(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053601
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】エンジンシステム、船舶
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20240409BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20240409BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20240409BHJP
F02D 19/06 20060101ALI20240409BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240409BHJP
B01J 23/44 20060101ALI20240409BHJP
B63H 21/14 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F01N3/24 T
F01N3/24 C ZAB
F01N3/20 F
F02M21/02 N
F02D19/06 B
B01D53/94 280
B01J23/44 A
B63H21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159920
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】小野 芳幸
(72)【発明者】
【氏名】上田 章生
(72)【発明者】
【氏名】安武 聡信
【テーマコード(参考)】
3G091
3G092
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091AA19
3G091AA21
3G091AB02
3G091BA01
3G091EA01
3G091GB07W
3G091HB03
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3G092AA18
3G092AB04
3G092AB06
3G092AC10
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3G092FA01
3G092HA17Z
3G092HE01Z
4D148AA18
4D148AB01
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4G169AA03
4G169BC72A
4G169CA02
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA15
4G169DA06
4G169EA02X
4G169EC29
4G169EE08
(57)【要約】
【課題】排出ガスに含まれるメタンの未燃分を良好に酸化処理するとともに、過給機の駆動効率の低下を抑える。
【解決手段】エンジンシステムは、メタンを燃料として駆動されるエンジンと、エンジンの排気部から排出される排出ガスによって駆動されることで、エンジンに空気を供給する過給機と、過給機から排出される排出ガスが流通する排出管と、排出管を介して排出ガスが導入されるとともに、第一メタン酸化触媒が収容された第一酸化処理部と、排気部から排出される排出ガスの一部を、過給機を迂回して排出管に合流させる過給機バイパス管と、過給機バイパス管の中途に設けられ、第二メタン酸化触媒が収容された第二酸化処理部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタンを燃料として駆動されるエンジンと、
前記エンジンの排気部から排出される排出ガスによって駆動されることで、前記エンジンに空気を供給する過給機と、
前記過給機から排出される排出ガスが流通する排出管と、
前記排出管を介して前記排出ガスが導入されるとともに、第一メタン酸化触媒が収容された第一酸化処理部と、
前記排気部から排出される前記排出ガスの一部を、前記過給機を迂回して前記排出管に合流させる過給機バイパス管と、
前記過給機バイパス管の中途に設けられ、第二メタン酸化触媒が収容された第二酸化処理部と、
を備えるエンジンシステム。
【請求項2】
前記排気部から前記過給機バイパス管への前記排出ガスの流路を開閉する弁を更に備える
請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項3】
前記エンジンは、燃料として、メタンと重油とを切り換えて利用する
請求項2に記載のエンジンシステム。
【請求項4】
前記過給機から排出される前記排出ガスを、前記第一酸化処理部を迂回させる第一酸化処理部バイパス管と、
前記過給機から排出される前記排出ガスの導入先を、前記排出管と前記第一酸化処理部バイパス管との間で切り替える切替部と、を更に備える
請求項3に記載のエンジンシステム。
【請求項5】
前記過給機バイパス管の配管径は、前記排出管の配管径よりも小さい
請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
【請求項6】
前記第二メタン酸化触媒は、前記第一メタン酸化触媒よりも触媒成分の濃度が高い
請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
【請求項7】
前記第一メタン酸化触媒と、前記第二メタン酸化触媒とは、同一の活性成分を含む
請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のエンジンシステムを備える
船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジンシステム、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの排出ガスに含まれるメタンを酸化処理する触媒コンバータが知られている。このような触媒コンバータは、過給機を備えるエンジンシステムの場合、過給機よりも、排出ガスの排出方向の下流側に配置されることが多い。
【0003】
特許文献1には、エンジンと、過給機(排ガスターボチャージャ)と、触媒コンバータと、を備えるエンジンシステム(往復動ピストン内燃機関)が開示されている。過給機は、エンジンの排出ガスにより駆動され、エンジンに空気を供給する。エンジンと過給機との間には、触媒コンバータを備えるラインが設けられている。エンジンの排出ガスは、触媒コンバータを備えるラインに通されている。触媒コンバータは、メタン酸化触媒コンバータであり、排気ガスに含まれるメタンを酸化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エンジンの燃料としてメタンを用いる場合、排出ガスにメタンの未燃分が含まれることがある。このため、排出ガスを大気中に排出するに先立ち、排出ガスに含まれるメタンの未燃分をメタン酸化触媒によって酸化処理する必要がある。一方で、過給機を備えるエンジンシステムにおいては、エンジンから排出される排出ガスによって、過給機を効率良く駆動することが望まれる。
【0006】
これに対し、特許文献1に記載の構成では、燃料としてガスを用いる場合、エンジンから排出される排出ガスは、触媒コンバータを経て、過給機に供給される。排出ガスが触媒コンバータを通過する際には、排出ガスが触媒コンバータ内のメタン酸化触媒に接触することで、排出ガスに含まれるメタンの酸化処理が行われる。触媒コンバータは、排出ガスの流れに対する流路抵抗となるため、触媒コンバータを経て過給機に到達する排出ガスに圧力損失が生じ、過給機の駆動効率の低下に繋がってしまう。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を良好に酸化処理するとともに、過給機の駆動効率の低下を抑えることができるエンジンシステム、船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係るエンジンシステムは、エンジンと、過給機と、排出管と、第一酸化処理部と、過給機バイパス管と、第二酸化処理部と、を備える。前記エンジンは、メタンを燃料として駆動される。前記過給機は、前記エンジンの排気部から排出される排出ガスによって駆動されることで、前記エンジンに空気を供給する。前記排出管は、前記過給機から排出される排出ガスが流通する。前記第一酸化処理部は、前記排出管を介して前記排出ガスが導入される。前記第一酸化処理部は、第一メタン酸化触媒が収容されている。前記過給機バイパス管は、前記排気部から排出される前記排出ガスの一部を、前記過給機を迂回して前記排出管に合流させる。前記第二酸化処理部は、前記過給機バイパス管の中途に設けられている。前記第二酸化処理部は、第二メタン酸化触媒が収容されている。
【0009】
本開示に係る船舶は、上記したようなエンジンシステムを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示のエンジンシステム、船舶によれば、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を良好に酸化処理するとともに、過給機の駆動効率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第一実施形態に係るエンジンシステムを備えた船舶の側面図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係るエンジンシステムの構成を示す図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係るエンジンシステムに備えられた第一メタン酸化触媒、第二メタン酸化触媒における、排出ガスの温度とメタン酸化率との関係の一例を示す図である。
【
図4】本開示の第一実施形態に係るエンジンシステムにおいて、燃料としてメタンを用いる場合の排出ガスの流れを示す図である。
【
図5】本開示の第一実施形態に係るエンジンシステムにおいて、燃料として重油を用いる場合の排出ガスの流れを示す図である。
【
図6】本開示の第二実施形態に係るエンジンシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
以下、本開示の実施形態に係るエンジンシステム、船舶について、
図1~
図6を参照して説明する。
(船舶の構成)
図1に示すように、この第一実施形態の船舶1は、船体2と、エンジンシステム10Aと、を少なくとも備えている。船舶1の船種は、例えば、ばら積み貨物船、液化天然ガス(LNG)、二酸化炭素、アンモニア等の液化ガスの運搬船、フェリー、RO-RO船(Roll-on/Roll-off船)、PCTC(Pure Car & Truck Carrier)、客船等を例示できる。
【0013】
(船体の構成)
船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底4と、上甲板5と、底部甲板6と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を有する。船底4は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を有する。これら一対の舷側3A,3B及び船底4により、船体2の外殻は、船首尾方向Daに直交する断面において、U字状を成している。この第一実施形態で例示する上甲板5は、外部に露出する全通甲板である。底部甲板6は、船体2内に設けられ、船底外板と共に二重底を構成している。船体2には、例えば船尾2b側の上甲板5上に、居住区を有する上部構造7が形成されている。なお、上部構造7の位置や大きさは、適宜変更可能である。
【0014】
(エンジンシステムの構成)
図2は、本開示の第一実施形態に係るエンジンシステムの構成を示す図である。
エンジンシステム10Aは、船体2内に設けられている。
図2に示すように、エンジンシステム10Aは、エンジン20Aと、過給機30と、第一酸化処理部40と、第二酸化処理部50と、を主に備えている。
【0015】
エンジン20Aは、船体2内に設けられている。エンジン20Aは、船体2を推進させるため駆動力を発生する主機や、船体2内に電力を供給する発電機を駆動するもの等を例示できる。エンジン20Aは、燃料を燃焼させることで駆動される。エンジン20Aは、燃料を燃焼させることで生成される排出ガスを排出する。この第一実施形態で用いられるエンジン20Aは、燃料として、メタンと、重油とを切り換えて利用することが可能となっている。重油としては、A重油、C重油等が例示できる。
【0016】
エンジン20Aは、エンジン本体21と、排気部22と、を備えている。エンジン本体21は、例えば、複数の気筒(図示せず)を有している。エンジン本体21の各気筒内には、吸気部(図示せず)を介して外部から燃料と空気との混合気が導入される。混合気は、各気筒内で燃焼される。各気筒内で混合気が燃焼されることで、エンジン本体21が駆動される。また、エンジン本体21は、各気筒内で混合気を燃焼させることによって生じた排出ガスを、排気部22を介して外部に排出する。
【0017】
排気部22は、エンジン本体21の各気筒からの排出ガスを、過給機30、第一酸化処理部40に排出する。排気部22は、接続管23と、マニホールド24と、を備えている。接続管23は、複数の気筒のそれぞれに対応して設けられている。各接続管23は、各気筒の排気ポート(図示せず)とマニホールド24とを接続している。マニホールド24には、複数の接続管23から排出ガスが流入する。マニホールド24は、複数の接続管23から排出された排出ガスを集合させ、過給機30、及び第一酸化処理部40に送り込む。
【0018】
過給機30は、マニホールド24における排出ガスの流通方向下流側の端部に接続されている。過給機30には、マニホールド24を流通する排出ガスのうちの一部の排出ガスが導入される。過給機30は、エンジン20Aに空気を供給するコンプレッサ(図示せず)と、排気タービン(図示せず)とを有している。過給機30の排気タービン(図示せず)は、排気部22から排出される排出ガスのエネルギーを回転エネルギーに変換する。コンプレッサ(図示せず)は、この回転エネルギーによって駆動される。過給機30を経た排出ガスは、排出管102に吐出される。
【0019】
排出管102は、過給機30から排出された排出ガスを導く流路を形成している。つまり、排出管102には、過給機30から排出される排出ガスが流通する。排出管102の一端は、過給機30の吐出口(図示せず)に接続されている。この第一実施形態で例示する排出管102は、過給機30から上下方向Dvの上方に向かって延びている。排出管102の他端は、第一酸化処理部40に接続されている。
【0020】
第一酸化処理部40は、排出ガスに含まれるメタンを酸化させる処理を行う。この第一酸化処理部40には、排出管102を介して排出ガスが導入される。第一酸化処理部40に導入される排出ガスは、少なくとも過給機30から排出される排出ガスを含む。第一酸化処理部40は、ハウジング41と、第一メタン酸化触媒42と、を有している。
【0021】
ハウジング41は、第一酸化処理部40の外殻を形成している。この第一実施形態では、ハウジング41が上下方向Dvに延びている場合を例示している。ハウジング41の下端には、排出管102の他端が接続されている。一方で、ハウジング41の上端には、排気ダクト43が接続されている。排気ダクト43は、
図1に示すファンネル9に至る。この第一実施形態のファンネル9は、船体2の船尾2b側の上甲板5上に設けられ、上下方向Dvに延びる筒状をなし、上甲板5から上方に突出するように延びている。
【0022】
図2に示すように、第一メタン酸化触媒42は、ハウジング41内に収容されている。この第一メタン酸化触媒42は、排出ガスに含まれるメタンの未燃分の酸化処理を行う。第一メタン酸化触媒42は、例えば、触媒担体と触媒担体に固定されたパラジウムの粒子等からなる活性成分とを備えている。
【0023】
第二酸化処理部50は、過給機バイパス管103の途中に設けられている。第二酸化処理部50は、過給機バイパス管103に流通する排出ガスに含まれたメタンを酸化させる処理を行う。
【0024】
過給機バイパス管103は、排気部22から排出される排出ガスの一部を、過給機30を迂回して排出管102に合流させる。過給機バイパス管103の第一端103aは、排気部22に接続されている。第一端103aは、排気部22のマニホールド24に対して複数の接続管23が接続されている位置よりも、マニホールド24内における排出ガスの流れ方向下流側に接続されている。過給機バイパス管103の第二端103bは、排出管102に接続されている。
【0025】
過給機バイパス管103の配管径(内径)D2は、エンジン20Aに空気を送り込むために過給機30を駆動するのに必要な排出ガスの流量に基づいて設定される。過給機30を駆動するのに必要な排出ガスの流量は、エンジン20Aに送り込むべき空気の流量の設定値(設計値)に基づいて定められる。過給機バイパス管103には、エンジン20Aから排出される排出ガスの流量と、過給機30を駆動するのに必要な排出ガスの流量との、差分の流量の排出ガスが導入される。つまり、過給機バイパス管103には、エンジン20Aから排出される排出ガスのうち、過給機30で必要とされる排出ガスの余剰分が導入される。このため、過給機バイパス管103の配管径(内径)D2は、排出管102の配管径D1よりも小さい。
【0026】
第二酸化処理部50には、過給機バイパス管103を介して、エンジン20Aの排気部22から排出される排出ガスが導入される。第二酸化処理部50は、ハウジング51と、第二メタン酸化触媒52と、を有している。
【0027】
ハウジング51は、第二酸化処理部50の外殻を形成している。この第一実施形態では、ハウジング51が上下方向Dvに延びている場合を例示している。ハウジング51の下端には、過給機バイパス管103の上流部103pが接続されている。ハウジング51の上端には、過給機バイパス管103の下流部103qが接続されている。
【0028】
第二メタン酸化触媒52は、ハウジング51内に収容されている。第二メタン酸化触媒52は、排出ガスに含まれるメタンの未燃分の酸化処理を行う。第二メタン酸化触媒52は、例えば、触媒担体と触媒担体に固定されたパラジウムの粒子等からなる活性成分とを備えている。この第一実施形態において、第一メタン酸化触媒42と、第二メタン酸化触媒52とは、同一の活性成分を含んでいる。
【0029】
図3は、本開示の第一実施形態に係るエンジンシステムに備えられた第一メタン酸化触媒、第二メタン酸化触媒における、排出ガスの温度とメタン酸化率との関係の一例を示す図である。
図3に示すように、第一メタン酸化触媒42、及び第二メタン酸化触媒52においては、排出ガスの温度が高いほど、メタンの酸化率が高くなる。このため、排出ガスの温度がなるべく高い領域で、メタンの未燃分の酸化処理を行うのが好ましい。この第一実施形態では、第二メタン酸化触媒52の触媒成分の濃度を、第一メタン酸化触媒42の触媒成分の濃度よりも高くすることで、メタンの酸化処理効率を、より高めることができ、且つ第一メタン酸化触媒42と第二メタン酸化触媒52とを合計した全体の活性成分の量を低減させることができる。
【0030】
また、
図2に示すように、過給機バイパス管103のうち、第二酸化処理部50よりも排出ガスの流れ方向上流側に位置する上流部103pには、弁60Aが設けられている。弁60Aは、排気部22から過給機バイパス管103への排出ガスの流路を開閉する。弁60Aは、過給機30への排ガス必要量にあわせて、開度調整される。
【0031】
また、この第一実施形態におけるエンジンシステム10Aは、第一酸化処理部バイパス管105と、切替部110と、を更に備えている。第一酸化処理部バイパス管105は、第一酸化処理部40を迂回する排出ガスの流路を形成している。第一酸化処理部バイパス管105の一端は、排出管102から分岐している。第一酸化処理部バイパス管105の他端は、排気ダクト43に合流している。
【0032】
切替部110は、過給機30から排出される排出ガスの導入先を、排出管102と第一酸化処理部バイパス管105との間で切り替える。切替部110は、第一切換弁111と、第二切換弁112と、を有している。第一切換弁111は、排出管102において、第一酸化処理部バイパス管105の一端が接続された部分と、第一酸化処理部40との間に配置されている。第二切換弁112は、第一酸化処理部バイパス管105に設けられている。第一切換弁111、第二切換弁112は、遠隔操作等により開閉可能としてもよい。
この第一実施形態におけるエンジンシステム10Aは、上記のような第一酸化処理部バイパス管105及び切替部110を備えることで、排出ガスの導入先を第一酸化処理部40では無く第一酸化処理部バイパス管105に切り替えることが可能となり、その結果、過給機30から排出管102に排出された排出ガスを、第一酸化処理部40を迂回して、排気ダクト43に至るようにすることができる。
【0033】
図1、
図2に示すように、上記エンジンシステム10Aのうち、エンジン20A、過給機30、及び第二酸化処理部50は、例えば、船体2内に設けられた機関室2k内に収容されている。排出管102、及び第二酸化処理部50から上方に延びる過給機バイパス管103の下流部103qは、機関室2kの上方に設けられた甲板8を貫通して、船体2内の上層に延びている。本実施形態で例示する第一酸化処理部40は、甲板8の上側に形成された上部機関室2j内に配置されている。しかし、第一酸化処理部40の配置は、上部機関室2j内に配置される場合に限られない。
【0034】
図4は、本開示の第一実施形態に係るエンジンシステムにおいて、燃料としてメタンを用いる場合の排出ガスの流れを示す図である。
図4に示すように、上記エンジンシステム10Aでは、エンジン20Aの燃料としてメタンを用いる場合、弁60A、及び第一切換弁111を開き、第二切換弁112を閉じる。エンジン20Aの排気部22から排出される排出ガスの一部は、排気部22のマニホールド24から過給機30に導入される。過給機30に導入された排出ガスにより、過給機30が駆動され、エンジン20Aに空気が供給される。過給機30から排出管102に排出される排出ガスは、エンジン20Aに空気を供給するための仕事をすることで、温度低下する。
【0035】
また、エンジン20Aの排気部22から排出される排出ガスの残部(余剰分)は、マニホールド24から過給機バイパス管103に流入する。過給機バイパス管103に流入した排出ガスは、第二酸化処理部50に導入される。第二酸化処理部50では、第二メタン酸化触媒52により、導入された排出ガスに含まれるメタンの未燃分の酸化処理がなされる。第二酸化処理部50におけるメタンの未燃分の酸化処理により、第二酸化処理部50を経た排出ガスの温度は上昇する。
【0036】
過給機30を経た排出ガスと、第二酸化処理部50を経た排出ガスとは、排出管102内で合流する。第二酸化処理部50を経た排出ガスは、酸化処理によって温度上昇しているため、過給機30を経た排出ガスと、第二酸化処理部50を経た排出ガスとが混合された混合ガス(排出ガス)の温度は、過給機30から排出された排出ガス単体の温度よりも高まる。
【0037】
このように温度が高められた排出ガスは、排出管102から第一酸化処理部40に導入される。第一酸化処理部40では、第一メタン酸化触媒42により、導入された排出ガスに含まれるメタンの未燃分の酸化処理がなされる。第一酸化処理部40を経た排出ガスは、排気ダクト43を通じてファンネル9から大気中に放出される。
【0038】
図5は、本開示の第一実施形態に係るエンジンシステムにおいて、燃料として重油を用いる場合の排出ガスの流れを示す図である。
図5に示すように、エンジンシステム10Aでは、エンジン20Aの燃料として重油を用いる場合、弁60A、及び第一切換弁111を閉じ、第二切換弁112を開く。エンジン20Aの排気部22から排出される排出ガスの全てが、排気部22のマニホールド24から過給機30に導入される。過給機30に導入された排出ガスにより、過給機30が駆動され、エンジン20Aに空気が供給される。過給機30から排出された排出ガスは、排出管102から第一酸化処理部バイパス管105に流入し、第一酸化処理部40を迂回して、排気ダクト43を通じてファンネル9から大気中に放出される。
【0039】
(作用効果)
上記第一実施形態のエンジンシステム10A、船舶1では、エンジン20Aの排気部22から排出される排出ガスが、過給機30と、過給機バイパス管103とに送り出される。過給機30は、排出ガスによって駆動され、エンジン20Aに空気を供給する。過給機30から排出される排出ガスは、排出管102を流通する。過給機30から排出管102に排出される排出ガスは、エンジン20Aに空気を供給するための仕事をすることで、温度低下する。
【0040】
一方で、過給機バイパス管103に送り出された排出ガスは、第二酸化処理部50に導入される。第二酸化処理部50は、導入された排出ガスに含まれるメタンの未燃分を、第二メタン酸化触媒52により酸化処理する。メタンの未燃分が酸化処理されることで、第二酸化処理部50から送り出される排出ガスは、第二酸化処理部50に導入される排出ガスよりも温度上昇する。第二酸化処理部50から排出された排出ガスは、過給機バイパス管103を通して、排出管102に合流する。
【0041】
第一酸化処理部40には、排出管102を通して排出ガスが導入される。この第一酸化処理部40に導入される排出ガスは、過給機30から排出された排出ガスと、第二酸化処理部50から排出された排出ガスとが排出管102内で合流して混合された排出ガスとなる。そして、第二酸化処理部50から排出された排出ガスは、過給機30から排出された排出ガスよりも高温であるため、過給機30から排出された排出ガスと、第二酸化処理部50から排出された排出ガスとが混合された排出ガスは、過給機30から排出された排出ガスよりも高温となる。これにより、過給機バイパス管103、及び第二酸化処理部50を備えていない場合と比較して、第一酸化処理部40に導入される排出ガスの温度を高くすることができる。
【0042】
そして、第一メタン酸化触媒42は、導入される排出ガスの温度が高いほど、メタンの酸化率が高まるため、第一酸化処理部40で、メタンを効率良く酸化処理することが可能となる。
【0043】
また、第二酸化処理部50は、過給機バイパス管103の途中に設けられており、排気部22と過給機30との間には設けられていない。このため、過給機30には、排気部22から排出される排出ガスがダイレクトに送り込まれる。したがって、過給機30の駆動効率の低下が抑えられている。
その結果、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を良好に酸化処理するとともに、過給機30の駆動効率の低下を抑えることが可能となる。
【0044】
また、上記第一実施形態では、排気部22から過給機バイパス管103への排出ガスの流路を開閉する弁60Aを更に備えている。
これにより、弁60Aを開閉することで、排気部22から第二酸化処理部50への排出ガスの供給を断続することができる。したがって、エンジン20Aの燃料として重油を用い、第二酸化処理部50においてメタンの未燃分の酸化処理が不必要な場合、第二酸化処理部50への排出ガスの供給を停止することができる。
【0045】
また、上記第一実施形態では、エンジン20Aの燃料として、メタンと重油とを切り換えて利用することが可能となっている。
これにより、燃料としてメタンを利用する場合、弁60Aを開くことによって、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を、第二酸化処理部50と、第一酸化処理部40とによって、順次酸化処理することができる。
【0046】
また、燃料として、排出ガスにメタンの未燃分が含まれない重油を用いる場合、弁60Aを閉じ、排出ガスを第二酸化処理部50に送らず、過給機30のみに送り込むことができる。これにより、過給機30を効率良く駆動することができる。また、重油を燃料として利用した場合に排出ガスに含まれる硫黄分が、第二酸化処理部50に及ぶのを抑えることができ、第二メタン酸化触媒52への影響を抑えることができる。
【0047】
また、上記第一実施形態では、切替部110により、過給機30から排出される排出ガスの導入先を、排出管102と第一酸化処理部バイパス管105との間で切り替えることができる。
これにより、例えば、燃料としてメタンを利用する場合には、切替部110により、過給機30から排出される排出ガスを、排出管102を介して第一酸化処理部40に導入させることによって、上記したように、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を、第一酸化処理部40で酸化処理することができる。
その一方で、燃料として、排出ガスにメタンの未燃分が含まれていない重油を用いる場合には、切替部110により、過給機30から排出される排出ガスを、第一酸化処理部バイパス管105に導入させることで、排出ガスを第一酸化処理部40に導入させず、第一酸化処理部バイパス管105を通して効率良く排出することができる。
【0048】
さらに、上記第一実施形態では、過給機30の能力は、エンジン20Aに供給すべき空気の流量に応じて設定されている。メタンを燃料とする場合、過給機バイパス管103には、排気部22から排出される排出ガスのうち、過給機30に供給されない余剰分が導入される。また、過給機バイパス管103の配管径(内径)D2を、排出管102の配管径(内径)D1よりも小さくすることで、過給機バイパス管103に導入される排出ガスの流量に応じたものとすることができる。これにより、過給機30の能力を確保しつつ、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を、効率良く酸化処理することができる。
【0049】
また、上記第一実施形態では、第一酸化処理部40に導入される排出ガスの温度は、第二酸化処理部50に導入される排出ガスの温度よりも低くなり、排出ガスに含まれるメタンの未燃分の酸化処理の効率は、第一酸化処理部40よりも第二酸化処理部50の方が高い。しかし、上記第一実施形態では、第二メタン酸化触媒52の触媒成分の濃度を、第一メタン酸化触媒42の触媒成分の濃度よりも高くすることで、メタン酸化処理効率を、より高めることができ、且つ第一メタン酸化触媒42と第二メタン酸化触媒52とを合計した全体の活性成分の量を低減させることができる。
【0050】
さらに、上記第一実施形態では、第一メタン酸化触媒42と、第二メタン酸化触媒52とは、同一の活性成分を含んでいる。これにより、第一酸化処理部40、及び第二酸化処理部50を、効率良く製作することができる。
【0051】
(第一実施形態の変形例)
なお、上記第一実施形態では、エンジンシステム10Aが、船舶1に設けられている場合を一例にして説明したが、エンジンシステム10Aは、船舶1に設けられる構成に限られない。エンジンシステム10Aは、例えば、陸上における各種設備で用いられるエンジンシステムにも適用可能である。
【0052】
<第二実施形態>
次に、本開示に係るエンジンシステムの第二実施形態について説明する。この第二実施形態は、第一実施形態とエンジンシステムの一部の構成のみが異なるため、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
(エンジンシステムの構成)
図6は、本開示の第二実施形態に係るエンジンシステムの構成を示す図である。
図6に示すように、この第二実施形態に例示するエンジンシステム10Bは、エンジン20Bと、過給機30と、第一酸化処理部40と、第二酸化処理部50と、を備えている。
【0053】
エンジン20Bは、燃料を燃焼させることで生成される排出ガスを排出する。この実施形態で例示するエンジン20Bは、燃料としてメタンのみを用いる。
【0054】
過給機30は、マニホールド24における排出ガスの流通方向下流側の端部に接続されている。過給機30には、マニホールド24を流通する排出ガスのうちの一部の排出ガスが導入される。この第二実施形態の過給機30は、メタンのみを燃料とする一般的なエンジンシステムで用いられる過給機よりも高効率な高効率過給機が用いられており、これにより、エンジン20Bからの排出ガスの流量が過給機30で必要とされる排出ガスの流量を上回り、第一実施形態と同様に、排出ガスの余剰分が生じ得るものとなっている。
排出管102は、過給機30から排出される排出ガスが流通する。
【0055】
第一酸化処理部40には、排出管102を介して、排出ガスが導入される。第一酸化処理部40に導入される排出ガスは、過給機30から排出される排出ガスと、第二酸化処理部50から排出される排出ガスとの混合されたものとなる。
【0056】
第二酸化処理部50は、過給機バイパス管103の途中に設けられている。過給機バイパス管103は、排気部22から排出された排出ガスの一部を、過給機30を迂回して排出管102に合流させる。
【0057】
第二酸化処理部50には、過給機バイパス管103を介して、排出ガスが導入される。
過給機バイパス管103のうち、第二酸化処理部50よりも排出ガスの流れ方向上流側に位置する上流部103pには、弁60Bが設けられている。
【0058】
なお、この第二実施形態におけるエンジンシステム10Bは、上記第一実施形態で例示したエンジンシステム10Aの第一酸化処理部バイパス管105と、切替部110と、を備えていない。
【0059】
このようなエンジンシステム10Bでは、エンジン20Bの排気部22から排出される排出ガスの一部は、排気部22のマニホールド24から過給機30に導入される。過給機30に導入された排出ガスにより、過給機30が駆動され、エンジン20Bに空気が供給される。
【0060】
弁60Bは、エンジン20Bの回転数、過給機30の回転数等に応じて開度調整される。具体的には、エンジン20Bからの排出ガスの流量が、過給機30で必要とされる排出ガスの流量を上回り、排出ガスの余剰分が生じる場合には、余剰分に応じた開度で弁60Bが開かれる。弁60Bは、エンジン20Bの作動中に常時開いていてもよいし、排出ガスの余剰分が生じない場合、弁60Bを全閉状態としてもよい。弁60Bが開いている場合、エンジン20Bの排気部22から排出される排出ガスの残部(余剰分)は、マニホールド24から過給機バイパス管103に流入する。過給機バイパス管103に流入した排出ガスは、第二酸化処理部50に導入される。第二酸化処理部50では、第二メタン酸化触媒52により、導入された排出ガスに含まれるメタンの未燃分の酸化処理がなされる。
【0061】
過給機30を経た排出ガスと、第二酸化処理部50を経た排出ガスとは、排出管102内で合流する。第二酸化処理部50を経た排出ガスは、酸化処理によって、第二酸化処理部50に導入される排出ガスよりも温度上昇している。このため、過給機30を経た排出ガスと、第二酸化処理部50を経た排出ガスとが混合された混合ガス(排出ガス)の温度は、過給機30を経た排出ガスの温度よりも高まる。温度が高められた排出ガスは、排出管102から第一酸化処理部40に導入される。第一酸化処理部40では、第一メタン酸化触媒42により、導入された排出ガスに含まれるメタンの未燃分の酸化処理がなされる。第一酸化処理部40を経た排出ガスは、排気ダクト43を通じてファンネル9から大気中に放出される。
【0062】
(作用効果)
上記第二実施形態のエンジンシステム10Bにおいても、上記第一実施形態と同様、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を良好に酸化処理するとともに、過給機30の駆動効率の低下を抑えることが可能となる。
【0063】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
上記各実施形態で示したエンジンシステム10A,10Bの構成は一例であって、各部の構成は適宜変更可能である。
また、エンジンシステム10A,10Bの用途については、何ら限定するものではなく、様々な用途に利用可能である。
【0064】
<付記>
各実施形態に記載のエンジンシステム10A,10B、船舶1は、例えば以下のように把握される。
【0065】
(1)第1の態様に係るエンジンシステム10A,10Bは、メタンを燃料として駆動されるエンジン20A,20Bと、前記エンジン20A,20Bの排気部22から排出される排出ガスによって駆動されることで、前記エンジン20A,20Bに空気を供給する過給機30と、前記過給機30から排出される排出ガスが流通する排出管102と、前記排出管102を介して前記排出ガスが導入されるとともに、第一メタン酸化触媒42が収容された第一酸化処理部40と、前記排気部22から排出される前記排出ガスの一部を、前記過給機30を迂回して前記排出管102に合流させる過給機バイパス管103と、前記過給機バイパス管103の中途に設けられ、第二メタン酸化触媒52が収容された第二酸化処理部50と、を備える。
【0066】
このエンジンシステム10A,10Bでは、エンジン20A,20Bの排気部22から排出される排出ガスは、過給機30と、過給機バイパス管103とに送り出される。過給機30は、排出ガスによって駆動され、エンジン20A,20Bに空気を供給する。過給機30から排出される排出ガスは、排出管102を流通する。過給機30から排出管102に排出される排出ガスは、エンジン20A,20Bに空気を供給するための仕事をすることで、温度低下している。
過給機バイパス管103に送り出された排出ガスは、第二酸化処理部50に導入される。第二酸化処理部50は、導入された排出ガスに含まれるメタンの未燃分を、第二メタン酸化触媒52により酸化処理する。メタンの未燃分が酸化処理されることで、第二酸化処理部50から送り出される排出ガスは、温度上昇している。第二酸化処理部50から排出された排出ガスは、過給機バイパス管103を通して、排出管102に合流させる。
第一酸化処理部40には、排出管102を通して、排出管102内で合流した、過給機30から排出された排出ガスと、第二酸化処理部50から排出された排出ガスとが混合された排出ガスが導入される。第二酸化処理部50から排出された排出ガスは、過給機30から排出された排出ガスよりも高温であるため、第一酸化処理部40に導入される排出ガスの温度が高くなる。第一メタン酸化触媒42は、導入される排出ガスの温度が高いほど、メタンの酸化率が高まる。このため、第一酸化処理部40で、メタンを効率良く酸化処理することができる。
また、第二酸化処理部50は、過給機バイパス管103の中途に設けられており、排気部22と過給機30との間には設けられていない。このため、過給機30には、排気部22から排出される排出ガスがダイレクトに送り込まれる。したがって、過給機30の駆動効率の低下が抑えられている。
その結果、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を良好に酸化処理するとともに、過給機30の駆動効率の低下を抑えることが可能となる。
【0067】
(2)第2の態様に係るエンジンシステム10A,10Bは、(1)のエンジンシステム10A,10Bであって、前記排気部22から前記過給機バイパス管103への前記排出ガスの流路を開閉する弁60A,60Bを更に備える。
【0068】
これにより、弁60A,60Bを開閉することで、排気部22から過給機バイパス管103への排出ガスの流路が開閉され、排気部22から第二酸化処理部50への排出ガスの供給を断続することができる。したがって、第二酸化処理部50における、排出ガスに含まれるメタンの未燃分の酸化処理が不必要な場合、第二酸化処理部50への排出ガスの供給を停止することができる。
【0069】
(3)第3の態様に係るエンジンシステム10Aは、(2)のエンジンシステム10Aであって、前記エンジン20Aは、燃料として、メタンと重油とを切り換えて利用する。
【0070】
これにより、燃料としてメタンを利用する場合、弁60Aを開くことによって、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を、第二酸化処理部50と、第一酸化処理部40とで、順次酸化処理することができる。
また、燃料として重油を用いる場合、排出ガスにメタンの未燃分が含まれていない。このため、弁60Aを閉じることで、排出ガスを第二酸化処理部50に送らず、過給機30のみに送り込むことができる。これにより、過給機30を効率良く駆動できる。また、重油を燃料として利用した場合に排出ガスに含まれる硫黄分が、第二酸化処理部50に及ぶのを抑え、第二メタン酸化触媒52に悪影響が及ぶのを抑えることができる。
【0071】
(4)第4の態様に係るエンジンシステム10Aは、(3)のエンジンシステム10Aであって、前記過給機30から排出される前記排出ガスを、前記第一酸化処理部40を迂回させる第一酸化処理部バイパス管105と、前記過給機30から排出される前記排出ガスの導入先を、前記排出管102と前記第一酸化処理部バイパス管105との間で切り替える切替部110と、を更に備える。
【0072】
これにより、切替部110により、過給機30から排出される排出ガスの導入先を、排出管102と第一酸化処理部バイパス管105との間で切り替えることができる。
燃料としてメタンを利用する場合、切替部110により、過給機30から排出される排出ガスを、排出管102に導入させることによって、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を、第二酸化処理部50と、第一酸化処理部40とで、順次酸化処理することができる。
また、燃料として重油を用いる場合、排出ガスにメタンの未燃分が含まれていない。このため、切替部110により、過給機30から排出される排出ガスを、第一酸化処理部バイパス管105に導入させることで、排出ガスを第一酸化処理部40に送らず、第一酸化処理部バイパス管105を通して効率良く排出することができる。
【0073】
(5)第5の態様に係るエンジンシステム10A,10Bは、(1)から(4)の何れか一つのエンジンシステム10A,10Bであって、前記過給機バイパス管103の配管径D2は、前記排出管102の配管径D1よりも小さい。
【0074】
このような構成において、過給機30の能力は、エンジン20A,20Bに供給すべき空気の流量に応じて設定される。この場合、過給機バイパス管103には、排気部22から排出される排出ガスのうち、過給機30に供給されない余剰分が導入される。過給機バイパス管103の配管径D2を、排出管102の配管径D1よりも小さくすることで、過給機バイパス管103に導入される排出ガスの流量に応じたものとすることができる。これにより、過給機30の能力を確保しつつ、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を、効率良く酸化処理することができる。
【0075】
(6)第6の態様に係るエンジンシステム10A,10Bは、(1)から(5)の何れか一つのエンジンシステム10A,10Bであって、前記第二メタン酸化触媒52は、前記第一メタン酸化触媒42よりも触媒成分の濃度が高い。
【0076】
このような構成において、第一酸化処理部40に導入される排出ガスの温度は、第二酸化処理部50に導入される排出ガスの温度よりも低い。これにより、排出ガスに含まれるメタンの未燃分の酸化処理の効率は、第二酸化処理部50の方が、第一酸化処理部40よりも高い。第二メタン酸化触媒52の触媒成分の濃度を、第一メタン酸化触媒42の触媒成分の濃度よりも高くすることで、メタンの酸化処理効率を、より高めることができ、且つ第一メタン酸化触媒42と第二メタン酸化触媒52とを合計した全体の活性成分の量を低減させることができる。
【0077】
(7)第7の態様に係るエンジンシステム10A,10Bは、(1)から(6)の何れか一つのエンジンシステム10A,10Bであって、前記第一メタン酸化触媒42と、前記第二メタン酸化触媒52とは、同一の活性成分を含む。
【0078】
これにより、第一酸化処理部40、及び第二酸化処理部50を、効率良く製作することができる。
【0079】
(8)第8の態様に係る船舶1は、(1)から(7)の何れか一つのエンジンシステム10Aを備える。
【0080】
これにより、排出ガスに含まれるメタンの未燃分を良好に酸化処理するとともに、過給機30の駆動効率の低下を抑えることができるエンジンシステム10Aを備えた船舶1を提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
1…船舶 2…船体 2b…船尾 2j…上部機関室 2k…機関室 3A,3B…舷側 4…船底 5…上甲板 6…底部甲板 7…上部構造 8…甲板 9…ファンネル 10A,10B…エンジンシステム 20A,20B…エンジン 21…エンジン本体 22…排気部 23…接続管 24…マニホールド 30…過給機 40…第一酸化処理部 41…ハウジング 42…第一メタン酸化触媒 43…排気ダクト 50…第二酸化処理部 51…ハウジング 52…第二メタン酸化触媒 60A,60B…弁 102…排出管 103…過給機バイパス管 103a…第一端 103b…第二端 103c…中間位置 103p…上流部 103q…下流部 105…第一酸化処理部バイパス管
110…切替部 111…第一切換弁 112…第二切換弁 D1,D2…配管径 Da…船首尾方向 Dv…上下方向