(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053608
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】時刻同期装置、時刻同期方法および時刻同期プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 7/00 20060101AFI20240409BHJP
G04G 5/00 20130101ALI20240409BHJP
G04G 7/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H04L7/00 990
G04G5/00 J
G04G7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159936
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】石倉 大地
【テーマコード(参考)】
2F002
5K047
【Fターム(参考)】
2F002AF01
2F002FA16
5K047AA18
5K047GG56
(57)【要約】
【課題】時刻同期の精度を向上することを可能にする。
【解決手段】
時刻同期装置は、パケットを送受信する送受信部と、時刻同期装置の内部の時刻である内部時刻を示す内部時刻情報を生成する時刻情報生成部と、マスター装置の時刻であるマスター時刻に前記内部時刻を同期させる処理である時刻同期処理を行う時刻同期部とを備え、前記内部時刻の同期は、前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われ、前記時刻同期部は、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が前記送受信部によってされている場合に、前記時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制し、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信部によってされていない場合に、前記抑制対象処理を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスター装置に接続する時刻同期装置であって、
パケットを送受信する送受信部と、
前記時刻同期装置の内部の時刻である内部時刻を示す内部時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
前記マスター装置の時刻であるマスター時刻に前記内部時刻を同期させる処理である時刻同期処理を行う時刻同期部と
を備え、
前記内部時刻の同期は、前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われ、
前記時刻同期部は、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が前記送受信部によってされている場合に、前記時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制し、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信部によってされていない場合に、前記抑制対象処理を行う、
時刻同期装置。
【請求項2】
前記抑制対象処理は、前記時刻同期用パケットの送受信時刻に基づいて前記マスター装置と前記時刻同期装置との間の伝搬時間を計算して、前記伝搬時間に基づいて前記内部時刻を前記マスター時刻に同期させる処理を含む、
請求項1に記載の時刻同期装置。
【請求項3】
前記抑制対象処理は、前記時刻同期用パケットを前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送する処理を含む、
請求項2に記載の時刻同期装置。
【請求項4】
前記時刻同期部は、前記抑制対象処理を抑制した場合、所定時間の待機の後、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信部によってされていない場合に、前記抑制対象処理を含む前記時刻同期処理を行う、
請求項1に記載の時刻同期装置。
【請求項5】
前記時刻同期部は、前記時刻同期用パケットの伝送の間に前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信部によってされていない場合に、前記抑制対象処理を含む前記時刻同期処理を行う、
請求項1に記載の時刻同期装置。
【請求項6】
前記時刻同期装置は、基地局であり、
前記時刻同期部は、さらに、UE(User Equipment)の接続に関する制御が行われている場合に、前記抑制対象処理を抑制する、
請求項1に記載の時刻同期装置。
【請求項7】
マスター装置に接続する時刻同期装置の時刻同期方法であって、
パケットを送受信し、
前記時刻同期装置の内部の時刻である内部時刻を示す内部時刻情報を生成し、
時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信がされていない場合に、前記マスター装置の時刻であるマスター時刻に前記内部時刻を同期させる処理である時刻同期処理を行い、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方がされている場合に、前記時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制し、
前記内部時刻の同期は、前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われる、
時刻同期方法。
【請求項8】
前記抑制対象処理は、前記時刻同期用パケットの送受信時刻に基づいて前記マスター装置と前記時刻同期装置との間の伝搬時間を計算して、前記伝搬時間に基づいて前記内部時刻を前記マスター時刻に同期させる処理を含む、
請求項7に記載の時刻同期方法。
【請求項9】
前記抑制対象処理は、前記時刻同期用パケットを前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送する処理を含む、
請求項8に記載の時刻同期方法。
【請求項10】
マスター装置に接続する時刻同期装置の時刻同期プログラムであって、
コンピュータに、
パケットを送受信する送受信機能と、
前記時刻同期装置の内部の時刻である内部時刻を示す内部時刻情報を生成する時刻情報生成機能と、
前記マスター装置の時刻であるマスター時刻に前記内部時刻を同期させる処理である時刻同期処理を行う時刻同期機能と
を実現させ、
前記内部時刻の同期は、前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われ、
前記時刻同期機能は、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が前記送受信機能によってされている場合に、前記時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制し、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信機能によってされていない場合に、前記抑制対象処理を行う、
時刻同期プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻同期装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)や5G(5th Generation)などの無線アクセス方式では、基地局間の干渉抑制やハンドオーバのために、基地局間の時刻同期に高い精度が必要とされる。要求されている精度は、基地局間の時刻のずれが1.5μs以下であることである。
【0003】
サーバ等の時刻同期に一般的に利用されている方式に、NTP(Network Time Protocol)パケットによる時刻同期方式がある。しかし、この方式の精度は、通常、数ミリ秒程度であり、基地局間の時刻同期に要求される精度を満たしていない。
【0004】
また、高精度な時刻同期方式には、GNSS(Global Navigation Satellite System)の信号による時刻同期方式がある。この方式では、GNSS衛星からの無線信号が時刻同期に利用される。しかし、GNSSの信号によって多数の機器(たとえば基地局)の時刻同期を行うには、アンテナケーブルの配線や増幅分配器等の設置が必要となるので、導入コストが大きい。
【0005】
また、LAN(Local Area Network)経由で高精度な時刻同期を行う方式が提案されている。LAN経由で時刻同期を行う方式には、たとえば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)-1588 PTP(Precision Time Protocol)による時刻同期方式がある。PTPでは、LAN上で送受信される時刻同期用パケットが時刻同期に用いられる。PTPでは、マスター装置とスレーブ装置との間で送受信される時刻同期用パケットに、時刻情報が格納される。そして、スレーブ装置は、時刻同期用パケットに格納されている時刻情報とパケットの送受信時刻とを用いてパケットの送受信における伝搬時間を計算し、伝搬時間を用いて時刻同期を行う。PTPでは、伝搬時間が時刻同期に用いられることで、高精度な時刻同期が実現される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】セイコーソリューションズ株式会社、“4K・8K放送に向けた時刻同期の取り組み 第2回”、[online]、[令和4年8月18日検索]、インターネット<URL:https://www.seiko-sol.co.jp/ip_live_production/no-02/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、PTPによる時刻同期が行われる場合、PTP準拠の装置が中継装置として選定される必要がある。一般的なネットワークでは、マスター装置とスレーブ装置との間で送受信されるパケットが、複数の中継装置(たとえばレイヤー2スイッチ等)を経由する場合がある。このようなネットワークでPTPが利用される場合、中継装置におけるパケットの送受信による遅延時間を補正するために、中継装置自身がPTPに対応し、パケットの送受信による遅延を補正する必要がある。中継装置がPTPに対応していない場合、マスター装置とスレーブ装置との間の時刻同期の精度が低下する。中継装置のすべてをPTPに対応した製品とする場合には、PTPに対応した中継装置の購入や、既存の中継装置からPTPに対応した中継装置への置き換えなどが必要である。このため、中継装置のすべてをPTPに対応した製品とすることは現実的でない。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、時刻同期の精度を向上することを可能にする時刻同期装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様において、時刻同期装置は、マスター装置に接続する時刻同期装置であって、パケットを送受信する送受信部と、前記時刻同期装置の内部の時刻である内部時刻を示す内部時刻情報を生成する時刻情報生成部と、前記マスター装置の時刻であるマスター時刻に前記内部時刻を同期させる処理である時刻同期処理を行う時刻同期部とを備え、前記内部時刻の同期は、前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われ、前記時刻同期部は、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が前記送受信部によってされている場合に、前記時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制し、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信部によってされていない場合に、前記抑制対象処理を行う。
【0010】
また、本発明の他の態様において、時刻同期方法は、マスター装置に接続する時刻同期装置の時刻同期方法であって、パケットを送受信し、前記時刻同期装置の内部の時刻である内部時刻を示す内部時刻情報を生成し、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信がされていない場合に、前記マスター装置の時刻であるマスター時刻に前記内部時刻を同期させる処理である時刻同期処理を行い、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方がされている場合に、前記時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制し、前記内部時刻の同期は、前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われる。
【0011】
また、本発明の他の態様において、時刻同期プログラムは、マスター装置に接続する時刻同期装置の時刻同期プログラムであって、コンピュータに、パケットを送受信する送受信機能と、前記時刻同期装置の内部の時刻である内部時刻を示す内部時刻情報を生成する時刻情報生成機能と、前記マスター装置の時刻であるマスター時刻に前記内部時刻を同期させる処理である時刻同期処理を行う時刻同期機能とを実現させ、前記内部時刻の同期は、前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われ、前記時刻同期機能は、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が前記送受信機能によってされている場合に、前記時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制し、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信機能によってされていない場合に、前記抑制対象処理を行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、時刻同期の精度を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一の実施形態の時刻同期装置の構成例を示す図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態の時刻同期装置の動作フローの例を示す図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態の時刻同期装置を含むシステムの構成例を示す図である。
【
図4】本発明の第二の実施形態の時刻同期装置の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の第二の実施形態の時刻同期装置の動作フローの例を示す図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態の時刻同期装置の他の動作フローの例を示す図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態の時刻同期装置の他の動作フローの例を示す図である。
【
図8】本発明の第二の実施形態の時刻同期装置を基地局に適用した場合のシステムの構成例を示す図である。
【
図9】本発明の各実施形態のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態について説明する。第一の実施形態における時刻同期装置10の具体的な一例が、後述する第二の実施形態における時刻同期装置20-iである。
【0015】
図1に、本実施形態の時刻同期装置10の構成例を示す。時刻同期装置10は、送受信部11と時刻同期部12と時刻情報生成部13とを含む。
【0016】
送受信部11は、パケットを送受信する。時刻情報生成部13は、内部時刻を示す内部時刻情報を生成する。内部時刻は、時刻同期装置10の内部の時刻である。
【0017】
時刻同期部12は、時刻同期処理を行う。時刻同期処理は、マスター装置の時刻であるマスター時刻に内部時刻を同期させる処理である。内部時刻の同期は、マスター装置と時刻同期装置10との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われる。
【0018】
時刻同期部12は、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部11によってされている場合に、時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制する。また、時刻同期部12は、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が送受信部11によってされていない場合に、抑制対象処理を行う。
【0019】
次に、
図2に、本実施形態の時刻同期装置10の動作フローの例を示す。
【0020】
時刻同期部12は、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が送受信部11によってされていない場合に(ステップS101でNO)、抑制対象処理を行う(ステップS102)。また、時刻同期部12は、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部11によってされている場合に(ステップS101でYES)、抑制対象処理を抑制する(ステップS103)。
【0021】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、時刻同期装置10は、送受信部11と時刻同期部12と時刻情報生成部13とを含む。送受信部11は、パケットを送受信する。時刻情報生成部13は、内部時刻を示す内部時刻情報を生成する。内部時刻は、時刻同期装置10の内部の時刻である。時刻同期部12は、時刻同期処理を行う。時刻同期処理は、マスター装置の時刻であるマスター時刻に内部時刻を同期させる処理である。内部時刻の同期は、マスター装置と時刻同期装置10との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われる。時刻同期部12は、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部11によってされている場合に、時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制する。また、時刻同期部12は、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が送受信部11によってされていない場合に、抑制対象処理を行う。
【0022】
通常、LAN上では、時刻同期用パケットだけでなく通常のパケット(たとえばTCP(Transmission Control Protocol)通信のパケット)も送受信されている。非特許文献1に記載されているように、時刻同期方式(たとえばPTPなど)に対応していない中継装置が使用され、また、中継装置が通常のパケットの送受信も行っている場合、時刻同期精度が低下する。一方、中継装置が時刻同期方式に対応していない場合であっても、中継装置に時刻同期用パケット以外のパケットを送受信していなければ、時刻同期精度の低下が抑えられる。
【0023】
また、時刻同期方式に対応している中継装置が使用されていても、中継装置は多少なりとも、時刻同期用パケット以外のパケットの送受信の影響を受ける。そして、時刻同期精度が低下する可能性がある。
【0024】
本実施形態の時刻同期装置10は、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信がされていない場合に、抑制対象処理を行い、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方がされている場合に、抑制対象処理を抑制する。これにより、時刻同期方式に対応している中継装置が使用されている場合と使用されていない場合の両方の場合において、中継装置が通常のパケットを送受信することによる時刻同期精度の低下を抑制することができる。そのため、時刻同期の精度を向上することが可能になる。
【0025】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。第一の実施形態における時刻同期装置10の具体的な一例が、第二の実施形態における時刻同期装置20-iである。
【0026】
まず、
図3に、本実施形態の時刻同期装置20-iを含むシステムの構成例を示す。
図3に示すシステムは、マスター装置40と中継装置60-j(jは1からMの整数)と時刻同期装置20-i(iは1からNの整数)とを含む。なお、一つの中継装置60-jには、一または二以上の複数の時刻同期装置20-iが接続することができる。
【0027】
マスター装置40は、GNSS衛星(不図示)からの無線信号、または、高精度クロックジェネレータ50からの時刻情報を利用して、マスター装置40の内部時刻であるマスター時刻に対して、高精度な時刻同期を行う。また、マスター装置40は、時刻同期装置20-iとの間で、時刻同期用パケットを送受信する。なお、時刻同期用パケットは、たとえば、PTPやNTP(Network Time Protocol)等のパケットである。また、時刻同期方式は、PTPやNTPに限られない。
【0028】
中継装置60-jは、パケットを送受信する。中継装置60-jは、たとえば、レイヤー2スイッチなどである。本実施形態の場合、中継装置60-jは、PTP等の時刻同期方式に対応していてもよいし、時刻同期方式に対応していなくてもよい。なお、
図3の例では、マスター装置40と時刻同期装置20-iとの間には、一つまたは二以上の複数の中継装置が存在しているが、中継装置を介さずにマスター装置40と接続されている時刻同期装置20-iがあってもよい。
【0029】
次に、
図4に、本実施形態の時刻同期装置20-iの構成例を示す。時刻同期装置20-iは、送受信部21-iと時刻同期部22-iと時刻情報生成部23-iとを含む。
【0030】
送受信部21-iは、Ethernet(登録商標)ポートやSFP(Small Form Factor Pluggable)ポート等を介して、マスター装置40および/または中継装置60-jと接続されている。送受信部21-iは、パケットを送受信する。送受信部21-iによって送受信されるパケットには、時刻同期用パケットと時刻同期用パケット以外のパケットがある。時刻同期用パケットは、マスター装置40と時刻同期装置20-iとの間で伝送される。
【0031】
時刻情報生成部23-iは、時刻同期装置20-iの内部時刻を示す内部時刻情報を生成する。内部時刻は、内部時刻用のクロックである内部クロックによってカウントアップされる。
【0032】
時刻同期部22-iは、時刻同期処理を行う。時刻同期処理は、マスター装置40の時刻であるマスター時刻に時刻同期装置20-iの内部時刻を同期させる処理である。(以降、単に「内部時刻」と記載されている場合は、時刻同期装置20-iの内部時刻を示す。)内部時刻の同期は、マスター装置40と時刻同期装置20-iとの間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われる。
【0033】
時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部21-iによってされている場合に、抑制対象処理を抑制する。抑制対象処理は、時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理であって、当該抑制の対象の処理である。時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が送受信部21-iによってされていない場合に、当該抑制対象処理を行う。
【0034】
時刻同期処理は、マスター装置40と時刻同期装置20-iとの間で時刻同期用パケットを伝送する処理を含む。また、時刻同期処理は、マスター装置40と時刻同期装置20-iとの間の伝搬時間を計算する処理を含む。また、時刻同期処理は、計算された伝搬時間に基づいて内部時刻をマスター時刻に同期させる処理を含む。抑制対象処理は、時刻同期処理のうち、たとえば、マスター装置40と時刻同期装置20-iとの間の伝搬時間を計算する処理と、計算された伝搬時間に基づいて内部時刻をマスター時刻に同期させる処理とを含む。また、抑制対象処理は、マスター装置40と時刻同期装置20-iとの間で時刻同期用パケットを伝送する処理を含んでいてもよい。
【0035】
より具体的には、たとえば、時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が送受信部21-iによってされていなければ、時刻同期処理を開始する。時刻同期部22-iは、時刻同期処理において、送受信部21-iを介してマスター装置40と時刻同期用パケットを送受信する。そして、時刻同期部22-iは、マスター装置40と時刻同期装置20-iとの間の伝搬時間を計算して、伝搬時間と、時刻同期用パケットに格納されている時刻情報とに基づいて、内部時刻をマスター時刻に同期させる。
【0036】
マスター装置40と時刻同期装置20-iとの間の伝搬時間は、たとえば、時刻T1からT4に基づいて計算される。時刻T1は、マスター装置40が時刻同期装置20-iへ送信した時刻同期用パケット(第一のパケット)の送信時刻である。時刻T2は、時刻同期装置20-iが受信した第一のパケットの受信時刻である。時刻T3は、時刻同期装置20-iがマスター装置40へ送信した時刻同期用パケット(第二のパケット)の送信時刻である。時刻T3は、マスター装置40が受信した第二のパケットの受信時刻である。
【0037】
たとえば、時刻同期方式がPTPである場合、時刻T1は、マスター装置40におけるSync messageの送信時刻である。時刻T2は、時刻同期装置20-iにおけるSync messageの受信時刻である。時刻T3は、時刻同期装置20-iにおけるDelay Request messageの送信時刻である。時刻T4は、マスター装置40におけるDelay Request messageの受信時刻である。時刻T1の情報は、Sync messageまたはFollow up messageによって、マスター装置40から時刻同期装置20-iに送信される。時刻T4の情報は、Delay Response messageによって、マスター装置40から時刻同期装置20-iに送信される。
【0038】
そして、時刻同期部22-iは、時刻T1からT4に基づいて、往復伝搬時間を計算する。往復伝搬時間は、一般的な方法によって計算可能である。また、時刻同期部22-iは、往復伝搬時間の半分の時間を片方向の伝搬時間とし、時刻T2から時刻T1と片方向伝搬時間とを減算することで、マスター時刻からの内部時刻のずれを計算する。時刻同期部22-iは、計算されたずれに基づいて内部時刻をマスター時刻に同期させる。具体的には、時刻同期部22-iは、計算されたずれを用いて、内部時刻を補正する。また、時刻同期部22-iは、計算されたずれに基づいて、内部クロックの周波数を調整してもよい。また、時刻同期部22-iは、時刻T1に片方向伝搬時間を加算した時刻を内部時刻に反映することで、内部時刻をマスター時刻に同期させてもよい。なお、この場合、時刻同期装置20-iが第一のパケットを受信してから内部時刻を同期させるまでの時間が、無視できる程度に短いことが前提である。また、内部時刻をマスター時刻に同期させる方法は、上述の方法に限られない。
【0039】
次に、
図5を用いて、本実施形態の時刻同期装置20-iの動作フローの例について説明する。
【0040】
時刻同期装置20-iは、
図5に示される動作を所定のタイミングで実施する。所定のタイミングは、たとえば、所定時間おきである。所定時間は、秒オーダーや秒より短い時間オーダーであってもよいし、分オーダーや時間オーダーであってもよい。また、所定のタイミングは、所定の条件が満たされた場合であってもよい。所定の条件は、たとえば、不具合等、何らかの理由により、内部時刻情報の精度を保証できなくなった場合、などである。
【0041】
時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部21-iによってされているか否かを確認する。そして、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が送受信部21-iによってされていない場合(ステップS201でNO)、時刻同期用パケットをマスター装置40との間で送受信する(ステップS202)。
【0042】
次に、時刻同期部22-iは、時刻T1からT4を用いて、伝搬時間を計算する。そして、時刻同期部22-iは、計算された伝搬時間に基づいて、内部時刻をマスター時刻に同期させる(ステップS203)。
【0043】
また、時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部21-iによってされている場合には(ステップS201でYES)、抑制対象処理を抑制する(ステップS204)。なお、この場合、抑制対象処理は、ステップS202からステップS203の処理である。すなわち、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部21-iによってされている場合、時刻同期部22-iは、ステップS202からステップS203の動作を行わない。
【0044】
なお、ステップS202における時刻同期用パケットの送受信の間に時刻同期用パケット以外のパケットがすこしでも送受信されると、同期精度に影響がある可能性がある。そのため、ステップS201において時刻同期用パケット以外のパケットの送受信の有無が確認されてから、ステップS202が実施されるまでの時間は、なるべく短いことが望ましい。
【0045】
また、ステップS201の実施タイミングで、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信がされていなければ、時刻同期部22-iは、ステップS202を実施することができる。たとえば、時刻同期用パケット以外のパケットの送受信が等時間間隔で行われている場合、時刻同期部22-iは、その間の時間(時刻同期用パケット以外のパケットの送受信が行われていない時間)に、時刻同期処理を実施することができる。
【0046】
また、時刻同期部22-iは、ステップS201において、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が行われていた場合には、所定時間の待機時間の後、再度ステップS201を実施してもよい。この場合の時刻同期装置20-iの動作フローの例を
図6に示す。なお、
図5のステップS201は、
図6のステップS301に相当する。
【0047】
また、時刻同期部22-iは、時刻同期用パケットの送受信の間に時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が行われたか否かを確認してもよい。そして、時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が行われていた場合に、送受信された時刻同期用パケットを時刻同期処理に使用しないようにしてもよい。
【0048】
図7に、この場合の時刻同期装置20-iの動作フローの例を示す。
【0049】
たとえば、マスター装置40が所定時間おきなどの所定のタイミングで第一のパケット(たとえば、Sync message)を送信しているとする。
【0050】
この場合、たとえば、時刻同期部22-iは、マスター装置40が送信した第一のパケットが送受信部21-iで受信された場合に、送受信部21-iを介して第二のパケット(たとえば、Delay Request message)をマスター装置40へ送信する(ステップS401)。
【0051】
また、時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部21-iによってされているか否かを確認する。たとえば、時刻同期部22-iは、ステップS401における時刻同期用パケットの送受信の間に、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部21-iによってされているか否かを確認する。時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が送受信部21-iによってされていない場合(ステップS402でNO)、時刻同期部22-iは、時刻T1からT4を用いて、伝搬時間を計算する。そして、時刻同期部22-iは、計算された伝搬時間に基づいて、内部時刻をマスター時刻に同期させる(ステップS403)。
【0052】
また、時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部21-iによってされている場合には(ステップS402でYES)、抑制対象処理を抑制する。なお、この場合、抑制対象処理は、ステップS403の処理である。すなわち、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部21-iによってされている場合、時刻同期部22-iは、ステップS403の動作を行わない。
【0053】
また、
図5や
図6の動作フローにおいて、時刻同期部22-iは、時刻同期用パケットの送受信の間に、時刻同期用パケット以外のパケットの送受信が発生するかどうかを確認してもよい。そして、時刻同期部22-iは、時刻同期用パケットが送受信されている間に時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が発生した場合に、内部時刻の補正を行わずに時刻同期処理を終了してもよい。また、この場合、時刻同期部22-iは、
図5や
図6のフローを最初から再度開始してもよい。
【0054】
次に、本実施形態の時刻同期装置20-iを無線アクセス方式の基地局に適用する場合について説明する。
【0055】
図8に、この場合の、時刻同期装置20-iを含むシステムの構成例を示す。
図8に示すシステムでは、時刻同期装置20-iは基地局である。また、時刻同期装置20-iは、UE(User Equipment)から接続される。
図8の例の場合、UEはQ台存在する(UE70-k:kは0からQの整数)。
【0056】
なお、一つの時刻同期装置(基地局)に対して、UEは一つまたは二以上の複数接続することができる。また、UEに接続されていない時刻同期装置20-iがあってもよい。また、図示されていないが、中継装置60-jには、時刻同期用パケットを送受信しない方法で時刻同期を行う基地局、たとえば、GNSS衛星からの無線信号によって時刻同期を行う基地局が接続されていてもよい。
【0057】
この場合、時刻同期装置20-iは、無線通信の基地局としての機能を持つ。たとえば、時刻同期装置20-iは、UEの接続に関する制御を行う機能を持つ。UEの接続に関する制御は、たとえば、新規のUEの接続に関する制御や、基地局間のUEの移動(ハンドオーバ)に関する制御である。また、時刻同期装置20-iは、UEとLANとの間で送受信されるデータパケットを転送する機能を持つ。なお、この場合、LANは、時刻同期装置20-iと中継装置60-jとを含むネットワークである。また、時刻同期装置20-iは、UEとの間で無線信号を送受信する機能を持つ。この無線信号は、たとえば、5GやLTEの信号であるが、これらに限られない。
【0058】
また、この場合、時刻同期装置20-iの時刻同期部22-iは、さらに、UEの接続に関する制御や、データパケットの転送が行われている場合に、抑制対象処理を抑制してもよい。UEの接続に関する制御や、データパケットの転送が行われている場合、送受信部21-iによって、時刻同期用パケット以外のパケットが送受信される。このような場合に抑制対象処理を抑制することで、中継装置が時刻同期用パケット以外のパケットを送受信している場合の抑制対象処理が抑制されるので、中継装置が時刻同期用パケット以外のパケットを送受信することによる時刻同期処理の精度の低下を抑えることが可能になる。
【0059】
以上で説明したように、本発明の第二の実施形態では、時刻同期装置20-iは、送受信部21-iと時刻同期部22-iと時刻情報生成部23-iとを含む。送受信部21-iは、パケットを送受信する。時刻情報生成部23-iは、内部時刻を示す内部時刻情報を生成する。内部時刻は、時刻同期装置20-iの内部の時刻である。時刻同期部22-iは、時刻同期処理を行う。時刻同期処理は、マスター装置の時刻であるマスター時刻に内部時刻を同期させる処理である。内部時刻の同期は、マスター装置と時刻同期装置20-iとの間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われる。時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が送受信部21-iによってされている場合に、時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制する。また、時刻同期部22-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が送受信部21-iによってされていない場合に、抑制対象処理を行う。
【0060】
このように、本実施形態の時刻同期装置20-iは、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信がされていない場合に、抑制対象処理を行い、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方がされている場合に、抑制対象処理を抑制する。これにより、中継装置が通常のパケットを送受信することによる時刻同期精度の低下を抑制することができる。そのため、時刻同期の精度を向上することが可能になる。
【0061】
また、PTP等の時刻同期方式に対応している中継装置を利用せずにシステムを構築することが可能になる。これにより、中継装置の機器選定において、多くの選択肢の中から中継装置を選定することが可能になる。また、既存の中継装置を利用することが可能になる。特に、時刻同期方式がPTPである場合、本実施形態の時刻同期装置20-iによって、PTPに対応している中継装置を利用しないシステム構築が可能になるので、システム構築コストを抑制することができる。
【0062】
また、抑制対象処理は、時刻同期用パケットの送受信時刻に基づいてマスター装置40と時刻同期装置20-iとの間の伝搬時間を計算して、計算された伝搬時間に基づいて内部時刻をマスター時刻に同期させる処理を含む。これにより、時刻同期用パケットの送受信時刻に基づいて伝搬時間を計算して時刻同期を行う時刻同期方式について、伝搬時間の精度を向上して、時刻同期の精度を向上することが可能になる。
【0063】
また、抑制対象処理は、時刻同期用パケットをマスター装置40と時刻同期装置20-iとの間で伝送する処理を含んでいてもよい。
【0064】
また、時刻同期部22-iは、抑制対象処理を抑制した場合、所定時間の待機の後、時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が送受信部21-iによってされていない場合に、抑制対象処理を含む時刻同期処理を行ってもよい。この場合、抑制対象処理が抑制されても、時刻同期処理が可能になったタイミングで時刻同期処理を行うことができる。
【0065】
また、時刻同期部22-iは、時刻同期用パケットの送受信の間に時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が送受信部21-iによってされていない場合に、抑制対象処理を含む時刻同期処理を行う。これによって、時刻同期精度をさらに向上することができる。
【0066】
また、時刻同期装置20-iは、基地局であってもよい。この場合、時刻同期部22-iは、さらに、UEの接続に関する制御が行われている場合に、抑制対象処理を抑制してもよい。これによって、時刻同期の精度を向上することができる。
【0067】
[ハードウェア構成例]
上述した本発明の各実施形態における時刻同期装置(10、20)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、時刻同期装置は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現してもよい。また、時刻同期装置は、専用の装置として実現してもよい。また、時刻同期装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現してもよい。
【0068】
図9は、本発明の各実施形態の時刻同期装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を含む。
【0069】
たとえば、
図1の送受信部11は、通信インタフェース91で実現することが可能である。時刻同期部12は、演算装置93で実現することが可能である。
【0070】
通信インタフェース91は、各実施形態の時刻同期装置が、有線あるいは/および無線で外部装置と通信するための通信手段である。なお、時刻同期装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続してもよい。
【0071】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0072】
演算装置93は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置93は、たとえば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0073】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0074】
不揮発性記憶装置95は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0075】
ドライブ装置96は、たとえば、後述する記録媒体97に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。
【0076】
記録媒体97は、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0077】
本発明の各実施形態は、たとえば、
図9に例示した情報処理装置90により時刻同期装置を構成し、この時刻同期装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0078】
この場合、時刻同期装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、時刻同期装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0079】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、時刻同期装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう時刻同期装置を構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して時刻同期装置内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0080】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0081】
(付記1)
マスター装置に接続する時刻同期装置であって、
パケットを送受信する送受信部と、
前記時刻同期装置の内部の時刻である内部時刻を示す内部時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
前記マスター装置の時刻であるマスター時刻に前記内部時刻を同期させる処理である時刻同期処理を行う時刻同期部と
を備え、
前記内部時刻の同期は、前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われ、
前記時刻同期部は、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が前記送受信部によってされている場合に、前記時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制し、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信部によってされていない場合に、前記抑制対象処理を行う、
時刻同期装置。
【0082】
(付記2)
前記抑制対象処理は、前記時刻同期用パケットの送受信時刻に基づいて前記マスター装置と前記時刻同期装置との間の伝搬時間を計算して、前記伝搬時間に基づいて前記内部時刻を前記マスター時刻に同期させる処理を含む、
付記1に記載の時刻同期装置。
【0083】
(付記3)
前記抑制対象処理は、前記時刻同期用パケットを前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送する処理を含む、
付記2に記載の時刻同期装置。
【0084】
(付記4)
前記時刻同期部は、前記抑制対象処理を抑制した場合、所定時間の待機の後、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信部によってされていない場合に、前記抑制対象処理を含む前記時刻同期処理を行う、
付記1に記載の時刻同期装置。
【0085】
(付記5)
前記時刻同期部は、前記時刻同期用パケットの伝送の間に前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信部によってされていない場合に、前記抑制対象処理を含む時刻同期処理を行う、
付記1に記載の時刻同期装置。
【0086】
(付記6)
前記時刻同期装置は、基地局であり、
前記時刻同期部は、さらに、UE(User Equipment)の接続に関する制御が行われている場合に、前記抑制対象処理を抑制する、
付記1に記載の時刻同期装置。
【0087】
(付記7)
マスター装置に接続する時刻同期装置の時刻同期方法であって、
パケットを送受信し、
前記時刻同期装置の内部の時刻である内部時刻を示す内部時刻情報を生成し、
時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信がされていない場合に、前記マスター装置の時刻であるマスター時刻に前記内部時刻を同期させる処理である時刻同期処理を行い、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方がされている場合に、前記時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制し、
前記内部時刻の同期は、前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われる、
時刻同期方法。
【0088】
(付記8)
前記抑制対象処理は、前記時刻同期用パケットの送受信時刻に基づいて前記マスター装置と前記時刻同期装置との間の伝搬時間を計算して、前記伝搬時間に基づいて前記内部時刻を前記マスター時刻に同期させる処理を含む、
付記7に記載の時刻同期方法。
【0089】
(付記9)
前記抑制対象処理は、前記時刻同期用パケットを前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送する処理を含む、
付記8に記載の時刻同期方法。
【0090】
(付記10)
前記抑制対象処理を抑制した場合、所定時間の待機の後、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信がされていない場合に、前記抑制対象処理を含む時刻同期処理を行う、
付記7に記載の時刻同期方法。
【0091】
(付記11)
前記時刻同期用パケットの伝送の間に前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信がされていない場合に、前記抑制対象処理を含む時刻同期処理を行う、
付記7に記載の時刻同期方法。
【0092】
(付記12)
前記時刻同期装置は、基地局であり、
さらに、UEの接続に関する制御が行われている場合に、前記抑制対象処理を抑制する、
付記7に記載の時刻同期方法。
【0093】
(付記13)
マスター装置に接続する時刻同期装置の時刻同期プログラムであって、
コンピュータに、
パケットを送受信する送受信機能と、
前記時刻同期装置の内部の時刻である内部時刻を示す内部時刻情報を生成する時刻情報生成機能と、
前記マスター装置の時刻であるマスター時刻に前記内部時刻を同期させる処理である時刻同期処理を行う時刻同期機能と
を実現させ、
前記内部時刻の同期は、前記マスター装置と前記時刻同期装置との間で伝送された時刻同期用パケットを使用して行われ、
前記時刻同期機能は、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信の少なくともいずれか一方が前記送受信機能によってされている場合に、前記時刻同期処理のうちの少なくとも一部の処理である抑制対象処理を抑制し、前記時刻同期用パケット以外のパケットの送信および受信が前記送受信機能によってされていない場合に、前記抑制対象処理を行う、
時刻同期プログラム。
【0094】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0095】
10、20-i 時刻同期装置
11、21-i 送受信部
12、22-i 時刻同期部
13、23-i 時刻情報生成部
40 マスター装置
50 高精度クロックジェネレータ
60-j 中継装置
70-k UE
90 情報処理装置
91 通信インタフェース
92 入出力インタフェース
93 演算装置
94 記憶装置
95 不揮発性記憶装置
96 ドライブ装置
97 記録媒体