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特開2024-53637点群データ処理システム、点群データ処理サーバ及び点群データ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053637
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】点群データ処理システム、点群データ処理サーバ及び点群データ処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240409BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20240409BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G06V10/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159968
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】510277752
【氏名又は名称】Automagi株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213909
【氏名又は名称】朝日航洋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】白柳 大樹
(72)【発明者】
【氏名】米倉 範和
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096AA09
5L096CA08
5L096EA43
5L096FA69
5L096GA30
5L096GA51
5L096GA55
5L096GA57
5L096HA11
5L096JA11
5L096MA07
(57)【要約】
【課題】点群データの各点に効率良く属性を付与することを課題とする。
【解決手段】点群データ処理サーバ10は、端末装置20からある領域の3D点群データを受信した場合に、同じ領域の過去の3D点群属性データを記憶している場合には最近傍点探索アルゴリズムを用いて3D点群データを形成する各点に属性情報を付与し、同じ領域の過去の3D点群属性データを記憶していない場合には、あらかじめ深層学習により生成した学習済モデルを用いて3D点群データを形成する各点に属性情報を付与する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の端末装置と、前記端末装置から点群データを取得する点群データ処理サーバとを通信可能に接続した点群データ処理システムであって、
前記点群データ処理サーバは、
前記端末装置から取得した点群データを形成する各点の属性情報を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された属性情報及び前記点群データを含む点群属性データを記憶する記憶手段と、
前記点群属性データを前記端末装置に通知する通知手段と
を有することを特徴とする点群データ処理システム。
【請求項2】
前記特定手段は、
前記記憶手段に同一領域の過去の点群属性データが存在する場合には、最近傍点探索処理により前記点群データを形成する各点の属性情報を特定することを特徴とする請求項1に記載の点群データ処理システム。
【請求項3】
前記特定手段は、
前記記憶手段に同一領域の過去の点群属性データが存在しない場合には、過去の点群属性データに基づく教師有り学習により生成された学習済モデルに特定対象となる点群データを入力し、該学習済モデルから出力される属性確率に基づいて点群データを形成する各点の属性情報を特定することを特徴とする請求項1に記載の点群データ処理システム。
【請求項4】
前記学習済モデルは、
前記記憶手段に記憶された過去の点群属性データを教師データとして多層ニューラルネットワークに教師有り学習を行わせることにより得られたものであることを特徴とする請求項3に記載の点群データ処理システム。
【請求項5】
前記属性情報は、
鉄塔、電線、樹木又は地表のクラスを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の点群データ処理システム。
【請求項6】
所定の端末装置から点群データを取得する点群データ処理サーバであって、
前記端末装置から取得した点群データを形成する各点の属性情報を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された属性情報及び前記点群データを含む点群属性データを記憶する記憶手段と、
前記点群属性データを前記端末装置に通知する通知手段と
を有することを特徴とする点群データ処理サーバ。
【請求項7】
所定の端末装置と、前記端末装置から点群データを取得する点群データ処理サーバとを通信可能に接続した点群データ処理システムにおける点群データ処理方法であって、
前記点群データ処理サーバが、前記端末装置から取得した点群データを形成する各点の属性情報を特定する特定工程と、
前記点群データ処理サーバが、前記特定工程により特定された属性情報及び前記点群データを含む点群属性データを記憶部に格納する格納工程と、
前記点群データ処理サーバが、前記点群属性データを前記端末装置に通知する通知工程と
を含むことを特徴とする点群データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元の点群データ(以下、「3D点群データ」という)の各点に効率良く属性を付与することができる点群データ処理システム、点群データ処理サーバ及び点群データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機などの移動体からレーザ波を照射し、その反射波に基づいて3D点群データを生成する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両に搭載されたカメラにより地物を撮影するとともに、同じく車両に搭載されたレーザにより測量を行って点群データを取得して、地物の位置および大きさを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-185777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる点群データを利用するために、従来技術では、点群データを形成する各点に対して、人手により鉄塔、電線、樹木、地表などの属性情報を付与していた。このため、多大の人的労力を要するという問題があった。加えて、人手で属性情報を付与するとなると、誤った属性情報を付与する可能性が生ずる。
【0005】
本発明は、上記従来技術による問題点(課題)を解決するためになされたものであって、点群データの各点に効率良く属性を付与することができる点群データ処理システム、点群データ処理サーバ及び点群データ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、所定の端末装置と、前記端末装置から点群データを取得する点群データ処理サーバとを通信可能に接続した点群データ処理システムであって、前記点群データ処理サーバは、前記端末装置から取得した点群データを形成する各点の属性情報を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された属性情報及び前記点群データを含む点群属性データを記憶する記憶手段と、前記点群属性データを前記端末装置に通知する通知手段とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記特定手段は、前記記憶手段に同一領域の過去の点群属性データが存在する場合には、最近傍点探索処理により前記点群データを形成する各点の属性情報を特定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記特定手段は、前記記憶手段に同一領域の過去の点群属性データが存在しない場合には、過去の点群属性データに基づく教師有り学習により生成された学習済モデルに特定対象となる点群データを入力し、該学習済モデルから出力される属性確率に基づいて点群データを形成する各点の属性情報を特定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記学習済モデルは、前記記憶手段に記憶された過去の点群属性データを教師データとして多層ニューラルネットワークに教師有り学習を行わせることにより得られたものであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記属性情報は、鉄塔、電線、樹木又は地表のクラスを含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、所定の端末装置から点群データを取得する点群データ処理サーバであって、前記端末装置から取得した点群データを形成する各点の属性情報を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された属性情報及び前記点群データを含む点群属性データを記憶する記憶手段と、前記点群属性データを前記端末装置に通知する通知手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、所定の端末装置と、前記端末装置から点群データを取得する点群データ処理サーバとを通信可能に接続した点群データ処理システムにおける点群データ処理方法であって、前記点群データ処理サーバが、前記端末装置から取得した点群データを形成する各点の属性情報を特定する特定工程と、前記点群データ処理サーバが、前記特定工程により特定された属性情報及び前記点群データを含む点群属性データを記憶部に格納する格納工程と、前記点群データ処理サーバが、前記点群属性データを前記端末装置に通知する通知工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、点群データの各点に効率良く属性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る点群データ処理システムの概要を説明するための説明図である。
図2図2は、図1に示した点群データ処理サーバの構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、図2に示した学習済モデルによる3D点群データの属性の判定を説明するための説明図である。
図4図4は、図2に示したCNNの層構成の一例を示す図である。
図5図5は、図2に示した教師データの一例を示す図である。
図6図6は、図2に示した3D点群データの一例を示す図である。
図7図7は、図2に示した学習済モデルから出力される属性確率の一例を示す図である。
図8図8は、図2に示した3D点群データ及び3D点群属性データの表示例を示す図である。
図9図9は、図2に示した点群データ処理サーバの処理手順を示すフローチャートである。
図10図10は、図2に示した教師データにRGBの色情報を追加したデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る点群データ処理システム、点群データ処理サーバ及び点群データ処理方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
<定義>
本実施形態における「3D点群データ」とは、ヘリコプター、航空機又はドローンなどの飛行体からレーザ光を照射し、対象物から反射された反射光に基づいて取得された3次元の点群データである。また、「属性情報」とは、点群データを形成する各点の属性を示す情報であり、鉄塔、電線、樹木又は地表等からなる。
【0017】
<点群データ処理システムの概要>
まず、本実施形態に係る点群データ処理システムの概要について説明する。図1は、実施形態に係る点群データ処理システムの概要を説明するための説明図である。
【0018】
図1に示すように、点群データ処理サーバ10と、端末装置20とがネットワークNを介して接続されたシステムである。端末装置20は、記憶部に記憶した3D点群データを点群データ処理サーバ10に送信し、属性情報の付与依頼を行う装置である。
【0019】
点群データ処理サーバ10は、端末装置20から受信した3D点群データ12dを形成する各点に属性情報を付与して3D点群属性データ12fを生成し、生成した3D点群属性データ12fを端末装置20に通知するクラウドサーバ又はサーバ装置である。本実施の形態では、点群データ処理サーバ10がサーバ装置である場合について説明する。
【0020】
点群データ処理サーバ10は、端末装置20からある領域の3D点群データを受信したならば、同じ領域の過去の3D点群属性データ12fを記憶しているか否かを判定する。その結果、同じ領域の過去の3D点群属性データ12fを記憶している場合には、周知の「最近傍点探索アルゴリズム」を用いて3D点群データ12dを形成する各点に属性情報を付与する。例えば、3D点群データ12dのある点Pに対応する3D点群属性データ12fの点P’の属性情報が「樹木」である場合には、点Pの属性情報を「樹木」とする。なお、3D点群属性データ12fの点P’は、3D点群データ12dの点Pの位置座標に近い点とする。
【0021】
これに対して、同じ領域の過去の3D点群属性データ12fを記憶していない場合には、あらかじめ深層学習により生成した学習済モデル12cを用いて3D点群データ12dを形成する各点に属性情報を付与する。具体的には、過去の3D点群属性データ12fを教師データとして周知のCNN(Convolutional Neural Network)に教師有り学習を行わせて、学習済モデル12cを生成しておく。そして、この学習済モデル12cに対して端末装置20から受信した3D点群データ12dを入力したならば、学習済モデルから3D点群データ12dを形成する各点の属性確率(鉄塔である確率、電線である確率、樹木である確率、地表である確率等)が出力される。そして、この属性確率に基づいて3D点群属性データ12fを生成する。
【0022】
<点群データ処理サーバ10の構成>
次に、図1に示した点群データ処理サーバ10の構成について説明する。図2は、図1に示した点群データ処理サーバ10の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、点群データ処理サーバ10は、通信I/F部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0023】
通信I/F部11は、端末装置20とネットワークを介して通信を行うためのインターフェース部である。
【0024】
記憶部12は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、CNN12aと、教師データ12bと、学習済モデル12cと、3D点群データ12dと、属性定義データ12eと、3D点群属性データ12fとを記憶する。
【0025】
CNN12aは、複数の層間を共通重みの局所結合で繋いだ多層ニューラルネットワークである。入力層、出力層、そしてその間にある畳み込み層及びプーリング層などにより形成される。
【0026】
教師データ12bは、深層学習の学習済モデル12cを教師有り学習させるためのデータであり、ここでは過去の3D点群属性データ12fを教師データ12bとして利用する。3D点群属性データ12fは、CNN12aに対する入力データとして用いる3D点群データ12dと、正解データとなる属性情報が含まれるため、CNN12aからの出力が属性情報となるようにバックプロパゲーションを行って重みを決定する処理を繰り返す。
【0027】
学習済モデル12cは、CNN12aに対して多数の過去の3D点群属性データ12fを用いた教師有り学習を行わせた結果として得られる学習済モデルである。この学習済モデル12cに対して新たな3D点群データ12dを入力したならば、この学習済モデル12cから属性情報が出力される。
【0028】
3D点群データ12dは、端末装置20から受信した3次元の点群データである。この3D点群データ12dは、ヘリコプター、航空機又はドローン等の飛行体に搭載されたレーザ装置からレーザ波を地表に向けて照射し、その反射光に基づいて生成される。
【0029】
属性定義データ12eは、3D点群データ12dの各点の属性の定義データであり、鉄塔、電線、樹木、地表等が含まれる。3D点群属性データ12fは、3D点群データ12dに対して属性情報が付与されたデータである。この3D点群属性データ12fには、過去の3D点群属性データも含まれる。
【0030】
制御部13は、点群データ処理サーバ10の全体制御を行う制御部であり、学習処理部14と、点群属性データ生成部15とを有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、学習処理部14と、点群属性データ生成部15とにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0031】
学習処理部14は、過去の3D点群属性データ12fを教師データ12bとして利用して、CNN12aに深層学習の教師有り学習を行わせて学習済モデル12cを生成する処理部である。なお、ここでは説明の便宜上、点群データ処理サーバ10上で学習済モデル12cを生成する場合について説明するが、高速処理可能なクラウド上で学習済モデル12cを生成することもできる。
【0032】
点群属性データ生成部15は、3D点群データ12dの各点に属性情報を付与した点群属性データを生成する処理部であり、点群データ取得部15aと、処理種別判定部15bと、最近傍点探索処理部15cと、AI判定部15dとを有する。
【0033】
点群データ取得部15aは、端末装置20から点群データを取得する処理部である。具体的には、端末装置20は、ヘリコプター、航空機又はドローンなどの飛行体により生成された3D点群データを飛行体から受信して記憶部に記憶しており、この端末装置20から送信された3D点群データを受信して記憶部12に3D点群データ12dとして記憶する。
【0034】
処理種別判定部15bは、記憶部12に記憶された3D点群データ12d及び3D点群属性データ12fに基づいて、3D点群データ12dを形成する各点の属性情報を特定するための処理種別を判定する処理部である。かかる処理種別には、(1)最近傍点探索処理により属性種別を特定する処理種別と、(2)学習済モデル12cを用いて属性種別を特定する処理種別とがある。
【0035】
具体的には、端末装置20からある領域の3D点群データを受信した場合に、同じ領域の過去の3D点群属性データ12fを記憶しているか否かを判定する。例えば、3D点群データ12dのファイル名に領域IDを含めておき、記憶部12内に同一の領域IDを含むものが存在するか否かによって、同じ領域の過去の3D点群属性データ12fを記憶しているか否かを判定することができる。
【0036】
最近傍点探索処理部15cは、最近傍点探索処理により属性種別を特定する処理部である。具体的には、3D点群データ12dと同一領域の過去の3D点群属性データ12fが記憶部12に存在する場合に、3D点群データ12dを形成する各点が3D点群属性データ12fを形成するどの点に相当するかを最近傍点探索アルゴリズムにより求め、3D点群属性データ12fの点の属性情報を3D点群データ12dの点の属性情報であると特定する。
【0037】
AI判定部15dは、学習済モデル12cを用いて属性種別を特定する処理部である。具体的には、3D点群データ12dと同一領域の過去の3D点群属性データ12fが記憶部12に存在しない場合には、図3に示すように、3D点群データ12dを学習済モデル12cに入力する。これにより、学習済モデル12cから3D点群データ12dを形成する各点の属性確率(P1、P2、P3、P4)が出力される。この属性確率は、例えば、クラス1(鉄塔)である確率が「0.01」、クラス2(電線)である確率が「0.01」、クラス3(樹木)である確率が「0.96」、クラス4(地表)である確率が「0.02」のように出力される。
【0038】
AI判定部15dは、各クラスの属性確率を比較し、属性確率が最大値であるクラスを、3D点群データ12dを形成する点の属性情報として判定する。なお、AI判定部15dは、各クラスの属性確率を所定のしきい値(例えば「0.80」)と比較し、属性確率が所定のしきい値を超える場合には、そのクラスが3D点群データ12dを形成する点の属性情報として判定してもよい。
【0039】
<CNN12cについて>
次に、図2に示したCNN12cの層構成の一例について説明する。図4は、図2に示したCNN12cの層構成の一例を示す図である。図4に示すように、CNN12aは、コンボリューション層(Convolution)51、コンボリューション層(Convolution)52、アベレージプーリング層(Average Pooling)53、コンボリューション層(Convolution)54、アベレージプーリング層(Average Pooling)55、全結合層(Fully Connect)56、全結合層(Fully Connect)57及び出力層(Softmax)58を有する。
【0040】
コンボリューション層51,52,54は、局所的な特徴を抽出するために、前層で近くにあるノードにフィルタを畳み込んで特徴マップを生成する。アベレージプーリング層53,55は、局所的な特徴をまとめあげるために、前層であるコンボリューション層から出力された特徴マップをさらに縮小して新たな特徴マップとする。このように、CNNの隠れ層は、コンボリューション層とアベレージプーリング層により形成される。全結合層56,57は、特徴部分が取り出された特徴マップを一つのノードに結合し、所定の活性化関数によって変換された値を出力する。この活性化関数には、周知技術であるReLU(Rectified Linear Unit)等を用いることができる。出力層58は、全結合層57からの出力(特徴変数)を元に、ソフトマックス関数を用いて確率に変換し、それぞれ正しく分類される確率を出力する。なお、オーバーフィッティングを避けるためにドロップアウト層を追加することもできる。なお、CNNの基本構造は公知技術であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0041】
そして、CNN12cに対して教師データ12bを入力し、正解データを付与してバックプロパゲーションを行わせ、各パスの重みを決定する教師有り学習処理を繰り返すことにより、学習済モデル12cを生成する。
【0042】
<教師データ12bについて>
次に、図2に示した教師データ12bの一例について説明する。図5は、図2に示した教師データ12bの一例を示す図である。図5に示すように、教師データ12bとしては、記憶部12に記憶された過去の3D点群属性データ12fを用いる。この3D点群属性データ12fは、3D点群データ12dと正解データとしてのクラスからなる。3D点群データ12dは、点データの番号に対して、X座標、Y座標、Z座標及び強度を対応付けたデータである。
【0043】
図5は、番号255に対して、X座標「527」、Y座標「358」、Z座標「519」、強度「193」、正解データのクラス「4」が対応付けられた状態を示している。同様に、番号256に対して、X座標「527」、Y座標「359」、Z座標「510」、強度「153」、正解データのクラス「3」が対応付けられている。また、番号257に対して、X座標「527」、Y座標「360」、Z座標「427」、強度「125」、正解データのクラス「2」が対応付けられている。また、番号258に対して、X座標「527」、Y座標「361」、Z座標「949」、強度「148」、正解データのクラス「1」が対応付けられている。
【0044】
<3D点群データについて>
次に、図2に示した3D点群データ12dについて説明する。図6は、図2に示した3D点群データ12dの一例を示す図である。図6に示すように、3D点群データ12dは、点データの番号に対して、X座標、Y座標、Z座標及び強度が対応付けられている。
【0045】
ここでは、番号「1000」に対して、X座標「107」、Y座標「201」、Z座標「512」及び強度「192」が対応付けられ、番号「1001」に対して、X座標「107」、Y座標「202」、Z座標「496」及び強度「149」が対応付けられ、番号「1002」に対して、X座標「107」、Y座標「203」、Z座標「521」及び強度「159」が対応付けられた状況を示している。
【0046】
<学習済モデル12cの出力について>
次に、図2に示す学習済モデル12cから出力される属性確率について説明する。図7は、図2に示した学習済モデル12cから出力される属性確率の一例を示す図である。図7に示すように、点データの番号に対して、クラス1、クラス2、クラス3及びクラス4の属性確率が対応付けられている。例えば、クラス1は「鉄塔」を示し、クラス2は「電線」を示し、クラス3は「樹木」を示し、クラス4は「地表」を示す。
【0047】
図7では、番号「1000」のデータは、クラス1の確率が「0.03」であり、クラス2の確率が「0.01」、クラス2の確率が「0.04」であり、クラス4の確率が「0.92」である状況を示している。このため、このデータの属性情報が確率の最大値である場合は、クラス4(地表)となる。
【0048】
また、番号「1001」のデータは、クラス1の確率が「0.93」であり、クラス2の確率が「0.02」であり、クラス3の確率が「0.03」であり、クラス4の確率が「0.02」である状況を示している。このため、クラス1(鉄塔)がこのデータの属性情報となる。
【0049】
また、番号「1002」のデータは、クラス1の確率が「0.02」であり、クラス2の確率が「0.04」であり、クラス3の確率が「0.90」であり、クラス4の確率が「0.04」である状況を示している。このため、クラス3(樹木)がこのデータの属性情報となる。
【0050】
なお、ここでは説明の便宜上、クラス1~4の4つのカテゴリを設けた場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カテゴリを形成するクラスは4つに限定されるものではない。
【0051】
次に、図2に示した3D点群データ12d及び3D点群属性データ12fの表示例について説明する。図8は、図2に示した3D点群データ12d及び3D点群属性データ12fの表示例を示す図である。
【0052】
図8(a)は、3D点群データ12dの強度を画素値とした画像の一例を示しており、所定の画素値をしきい値として2値化処理している。ここでは、鉄塔、電線、樹木、地表を形成するデータの画素値を256階調の「128」とし、点データが存在しない画素値を「256(白画素)」としている。
【0053】
図8(b)は、3D点群属性データ12fのうち鉄塔と電線を形成するデータの画素値を「64」とし、地表を形成するデータの画素値を「96」とし、樹木を形成するデータの画素値を「128」としている。このため、鉄塔及び電線は、目視により樹木及び地表と区別可能とされている。
【0054】
なお、ここでは説明の便宜上、白黒濃淡画像の階調により区別した例を示したが、色により区別することもできる。例えば、地表を形成するデータの画素は「茶」、樹木を形成するデータの画素は「緑」、電線を形成するデータの画素は「黒」、鉄塔を形成するデータの画素は「赤」、データが存在しない画素は「白」とすることにより、目視により区別可能にすることもできる。
【0055】
<点群データ処理サーバ10の処理手順>
次に、図2に示した点群データ処理サーバ10の処理手順について説明する。図9は、図2に示した点群データ処理サーバ10の処理手順を示すフローチャートである。図9に示すように、点群データ処理サーバ10は、記憶部12に記憶した3D点群データ12dを読み込む(ステップS101)。
【0056】
その後、点群データ処理サーバ10は、読み込んだ3D点群データ12dと同一領域の3D点群属性データ12fが存在するか否かを判定する(ステップS102)。同一領域の3D点群属性データ12fが存在しない場合には(ステップS102;No)、3D点群データ12dを学習済モデル12cに入力する(ステップS103)。その後、点群データ処理サーバ10は、学習済モデル12cから出力される属性確率に基づき属性情報を判定し(ステップS104)、この属性情報を含む3D点群属性データ12fを記憶部12に記憶する(ステップS105)。
【0057】
これに対して、同一領域の3D点群属性データ12fが存在する場合には(ステップS102;Yes)、3D点群データ12dを最近傍点探索アルゴリズムに入力する(ステップS106)。そして、最近傍点探索アルゴリズムにより3D点群データ12dの属性情報を判定し(ステップS107)、ステップS105に移行する。
【0058】
そして、未処理の3D点群データ12dが存在する場合には(ステップS108;Yes)、ステップS101に移行して同様の処理を繰り返す。これに対して、未処理の3D点群データ12dが存在しない場合には(ステップS108;No)、上記一蓮の処理を終了する。
【0059】
このように、本実施形態では、3D点群データ12dと同一領域の3D点群属性データ12fが存在するか否か(過去に計測した地域であるか否か)を判定し、過去に計測した地域である場合には、最近傍点探索アルゴリズムにより3D点群データ12dの属性情報を判定し、新規な地域である場合には、学習済モデル12cにより3D点群データ12dの属性情報を判定するよう構成したので、3D点群データ12dの各点に効率良く属性情報を付与することができる。
【0060】
なお、上記実施形態では、点の番号に対して、X座標、Y座標、Z座標、強度及びクラスを対応付けた教師データ12bを用いる場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図10に示すように、RGBの色情報を追加することもできる。
【0061】
また、学習済モデル12cは、ソフトウェアで実装する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ASIC又はFPGAなどのハードウェア回路を用いて学習済モデル12cを形成することもできる。
【0062】
上記の実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る点群データ処理システム、点群データ処理サーバ及び点群データ処理方法は、点群データの各点に効率良く属性を付与する場合に適している。
【符号の説明】
【0064】
10 点群データ処理サーバ
11 通信I/F部
12 記憶部
12a CNN
12b 教師データ
12c 学習済モデル
12d 3D点群データ
12e 属性定義データ
12f 3D点群属性データ
13 制御部
14 学習処理部
15 点群属性データ生成部
15a 点群データ取得部
15b 処理種別判定部
15c 最近傍点探索処理部
15d AI判定部
20 端末装置
51、52、54 Convolution層
53、55 Average Pooling層
56、57 Fully Connect層
58 Softmax層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10