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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053640
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】車両用緩衝部品
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
B60R13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159971
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】内藤 英治
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA07
3D023BB08
3D023BB22
3D023BC01
3D023BD03
3D023BD15
3D023BE03
(57)【要約】
【課題】車両の内装部材に設けられる複数種類の突出部に取り付け可能な汎用性の高い車両用緩衝部品を提供する。
【解決手段】車両用緩衝部品1は、車両の内装部材に対向部材に向けて突出するように設けられている突出部に取り付けられるものであり、内装部材の突出部に取り付けられた状態で突出部と対向部材との間に介装される天板11と、突出部である平板状のリブに対してはこのリブを板厚方向の両側から弾性的に挟み込んで保持可能な弾性突起31と、突出部である筒状のボスに対してはこのボスの筒壁を壁厚方向の少なくとも一方側から弾性的に押圧して保持可能な弾性突起32と、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装部材に対向部材に向けて突出するように設けられている突出部に取り付けられる車両用緩衝部品であって、
上記内装部材の上記突出部に取り付けられた状態で上記突出部と上記対向部材との間に介装される緩衝部と、
上記突出部である平板状のリブに対しては上記リブを板厚方向の両側から弾性的に挟み込んで保持可能な第1保持部と、
上記突出部である筒状のボスに対しては上記ボスの筒壁を壁厚方向の少なくとも一方側から弾性的に押圧して保持可能な第2保持部と、
を備える、車両用緩衝部品。
【請求項2】
上記緩衝部の裏面側にブロック状に設けられた保持ブロック部を備え、上記保持ブロック部には、上記リブを収容可能となるように所定方向に直線状に延びる収容溝と、上記収容溝の溝幅方向の壁面から突出した弾性突起と、が設けられており、上記弾性突起によって上記第1保持部が構成されている、請求項1に記載の車両用緩衝部品。
【請求項3】
上記弾性突起は、上記収容溝の溝幅方向の両側の壁面に上記所定方向に交互に配置されるように設けられている、請求項2に記載の車両用緩衝部品。
【請求項4】
上記緩衝部と合わせてキャップ形状をなしており上記保持ブロック部を取り囲む周壁を備え、
上記周壁と上記保持ブロック部との間には、上記ボスの上記筒壁を収容するための収容空間と、上記弾性突起を第1弾性突起としたとき上記周壁と上記保持ブロック部の少なくとも一方から上記収容空間に突出した第2弾性突起と、が設けられており、上記第2弾性突起によって上記第2保持部が構成されている、請求項2または3に記載の車両用緩衝部品。
【請求項5】
上記周壁は、上記所定方向について上記保持ブロック部の上記収容溝と重なる部位が開口されてなる挿通開口を有する、請求項4に記載の車両用緩衝部品。
【請求項6】
上記緩衝部と合わせてキャップ形状をなす周壁を備え、上記周壁は、その外径が上記リブのリブ長さを下回り、その内径が上記ボスの外径を上回るように構成されており、
上記周壁には、上記リブを挿通可能に開口した挿通開口と、上記挿通開口の幅方向の壁面から突出した第1弾性突起と、内周面から突出した第2弾性突起と、が設けられており、上記第1弾性突起によって上記第1保持部が構成され、上記第2弾性突起によって上記第2保持部が構成されている、請求項1に記載の車両用緩衝部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用緩衝部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ドアは、内装部材となるドアトリムと、その車外側のドアインナーパネルと、が対向配置されるように構成されている。ドアトリムには、このドアトリムとドアインナーパネルとの間に空間を保つためにドアインナーパネルに向けて突出した突出部が設けられている。このような車両ドアでは、ドアトリム側の突出部とドアインナーパネルとが接触と離間及び擦れを繰り返すことで打音や擦れ音等の異音が発生するとう問題がある。
【0003】
上記のような問題に対して、ドアトリム側の突出部に不織布を貼り付けるという対策が想定される。このとき、不織布は、ドアトリムとドアインナーパネルとの間で緩衝材としての機能を果たす。ところが、不織布を使用するという対策は、不織布の接着面に予め被着された離型紙を剥がしたうえでこの不織布を突出部に貼り付ける必要がある。このため、本対策は、不織布の貼り付け作業に手間がかかるという点や、不織布から剥がした後の不要の離型紙の処分のための費用を要するという点で不利である。
【0004】
そこで、下記特許文献1には、ドアトリムとドアインナーパネルとの間に介装される車両用緩衝部品が開示されている。この緩衝部品は、ドアトリム側の突出部がドアインナーパネルに接触するのを防ぐために、突出部に取り付けられるキャップ形状を有する。この緩衝部品は、ドアトリム側の突出部への取り付けが簡単であり、離型紙のような不要物も発生しないという点で有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-19489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1では、緩衝部品として、ボスと称される筒状の突出部に取り付けられるものと、リブと称される板状の突出部に取り付けられるものと、の二種類が準備されている。このとき、ボス用の緩衝部品とリブ用の緩衝部品は互いに構造が異なるため、各緩衝部品は各突出部のみに専用で使用される専用部品とされている。したがって、突出部の種類毎に緩衝部品を準備する必要があり、緩衝部品に要するコストが高くなることに加えて使い分け作業が必要になるという問題を抱えている。また、このような問題は、ドアトリムに設けられた突出部に取り付けられる緩衝部品に限らず、車両においてドアトリム以外の内装部材に設けられた突出部に取り付けられる緩衝部品についても同様に生じ得る。そこで、この種の緩衝部品の設計に際しては、複数種類の突出部に兼用できる汎用性の高い緩衝部品の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、車両の内装部材に設けられる複数種類の突出部に取り付け可能な汎用性の高い車両用緩衝部品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
車両の内装部材に対向部材に向けて突出するように設けられている突出部に取り付けられる車両用緩衝部品であって、
上記内装部材の上記突出部に取り付けられた状態で上記突出部と上記対向部材との間に介装される緩衝部と、
上記突出部である平板状のリブに対しては上記リブを板厚方向の両側から弾性的に挟み込んで保持可能な第1保持部と、
上記突出部である筒状のボスに対しては上記ボスの筒壁を壁厚方向の少なくとも一方側から弾性的に押圧して保持可能な第2保持部と、
を備える、車両用緩衝部品、
にある。
【発明の効果】
【0009】
上述の態様の車両用緩衝部品は、内装部材の突出部への取り付け状態で、突出部と対向部材との間に緩衝部が介装されるように構成されている。このため、緩衝部は、突出部と対向部材のそれぞれの振動を吸収して異音の発生を抑制する機能を果たす。これに対して、第1保持部及び第2保持部は、内装部材の突出部に対する車両用緩衝部品の取り付けに使用される。
【0010】
第1保持部によれば、突出部が平板状のリブであるときには、このリブを板厚方向の両側から弾性的に挟み込んで保持することができる。一方で、第2保持部によれば、突出部が筒状のボスであるときには、このボスの筒壁を壁厚方向の少なくとも一方側から弾性的に押圧して保持することができる。このように、車両用緩衝部品に第1保持部及び第2保持部の両方を設けることによって、この車両用緩衝部品を平板状のリブと筒状のボスとの両方への取り付けに兼用することができる。
【0011】
以上のごとく、上述の態様によれば、車両の内装部材に設けられる複数種類の突出部に取り付け可能な汎用性の高い車両用緩衝部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1にかかる車両ドアの断面図。
図2】実施形態1の車両用緩衝部品を斜め上方からみた斜視図。
図3図2の車両用緩衝部品を斜め下方からみた斜視図。
図4図2の車両用緩衝部品を下方からみた底面図。
図5図2の車両用緩衝部品がリブに取り付けられるときの様子を斜め上方からみた斜視図。
図6図5を車両用緩衝部品の下方側からみた底面図。
図7図2の車両用緩衝部品がボスに取り付けられるときの様子を斜め上方からみた斜視図。
図8図7を車両用緩衝部品の下方側からみた底面図。
図9】実施形態2の車両用緩衝部品を下方からみた底面図。
図10】実施形態3の車両用緩衝部品を下方からみた底面図。
図11】実施形態4の車両用緩衝部品を下方からみた底面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0014】
上述の車両用緩衝部品は、上記緩衝部の裏面側にブロック状に設けられた保持ブロック部を備え、上記保持ブロック部には、上記リブを収容可能となるように所定方向に直線状に延びる収容溝と、上記収容溝の溝幅方向の壁面から突出した弾性突起と、が設けられており、上記弾性突起によって上記第1保持部が構成されているのが好ましい。
【0015】
この車両用緩衝部品によれば、緩衝部の裏面側の保持ブロック部に設けられた収容溝にリブを挿入することで、収容溝の壁面から突出した弾性突起によってリブを弾性的に保持できる。これにより、簡単な構造の保持ブロック部を利用し、この保持ブロック部の収容溝にリブを挿入する簡単なワンタッチ操作でリブに車両用緩衝部品を取り付けることが可能になる。
【0016】
上述の車両用緩衝部品において、上記弾性突起は、上記収容溝の溝幅方向の両側の壁面に上記所定方向に交互に配置されるように設けられているのが好ましい。
【0017】
この車両用緩衝部品によれば、収容溝が延びている所定方向について弾性突起を一方の壁面と他方の壁面に交互に配置(すなわち、互い違いに配置)することによって、弾性突起の数を少なく抑えたうえで、リブをその板厚方向に概ね均等に弾性付勢してガタツキを抑えることができる。
【0018】
上述の車両用緩衝部品は、上記緩衝部と合わせてキャップ形状をなしており上記保持ブロック部を取り囲む周壁を備え、上記周壁と上記保持ブロック部との間には、上記ボスの上記筒壁を収容するための収容空間と、上記弾性突起を第1弾性突起としたとき上記周壁と上記保持ブロック部の少なくとも一方から上記収容空間に突出した第2弾性突起と、が設けられており、上記第2弾性突起によって上記第2保持部が構成されているのが好ましい。
【0019】
この車両用緩衝部品によれば、緩衝部の裏面側の保持ブロック部と周壁との間に設けられた収容空間にボスの筒壁を挿入することで、周壁と保持ブロック部の少なくとも一方から収容空間に突出した第2弾性突起によってボスの筒壁を弾性的に保持できる。これにより、簡単な構造の周壁及び保持ブロック部を利用し、これらの間の収容空間にボスの筒壁を挿入する簡単なワンタッチ操作でボスに車両用緩衝部品を取り付けることが可能になる。
【0020】
上述の車両用緩衝部品において、上記周壁は、上記所定方向について上記保持ブロック部の上記収容溝と重なる部位が開口されてなる挿通開口を有するのが好ましい。
【0021】
この車両用緩衝部品によれば、周壁に挿通開口を設けることによって、リブのリブ長さが周壁の外径を上回るときには、リブを収容溝に収容し且つそのリブの端部を周壁の挿通開口に挿通させることで取り付けに対応できる。したがって、リブのリブ長さにかかわらずこのリブへの車両用緩衝部品の取り付けが可能になる。
【0022】
上述の車両用緩衝部品は、上記緩衝部と合わせてキャップ形状をなす周壁を備え、上記周壁は、その外径が上記リブのリブ長さを下回り、その内径が上記ボスの外径を上回るように構成されており、上記周壁には、上記リブを挿通可能に開口した挿通開口と、上記挿通開口の幅方向の壁面から突出した第1弾性突起と、内周面から突出した第2弾性突起と、が設けられており、上記第1弾性突起によって上記第1保持部が構成され、上記第2弾性突起によって上記第2保持部が構成されているのが好ましい。
【0023】
この車両用緩衝部品によれば、周壁の挿通開口に設けた第1弾性突起によってリブを弾性的に保持することができる一方で、周壁の内周面に設けた第2弾性突起によってボスの筒壁を弾性的に保持することができる。周壁の外径がリブのリブ長さを下回り且つ周壁の内径がボスの外径を上回るような場合に、第1保持部及び第2保持部の構造を極力簡素化するのに有効である。
【0024】
以下、本実施形態の車両用緩衝部品の一例を、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
この車両用緩衝部品の説明のための図面において、特に断わらない限り、車両上方を矢印UPで示し、車両外方を矢印OUTで示すものとする。また、車両用緩衝部品の周方向が矢印Xで示され、車両用緩衝部品の高さ方向が矢印Yで示されている。
【0026】
図1に示されるように、実施形態1の車両用緩衝部品(以下、単に「緩衝部品」という。)1は、車両ドア100に組付けられる。ここで、車両ドア100は、ドアトリム101と、ドアインナーパネル104と、ドアアウターパネル105と、を備えている。ドアトリム101は、車両ドア100の車室側を覆う内装部材である。このドアトリム101は、各種の樹脂材料によって形成されている。
【0027】
ドアインナーパネル104は、ドアトリム101よりも車外側にドアトリム101と間隔を空けて対向するように設けられている。ドアアウターパネル105は、ドアインナーパネル104よりも車外側にドアインナーパネル104と間隔を空けて対向するように設けられている。ドアインナーパネル104及びドアアウターパネル105の材料は特に限定されるものではないが、鉄やアルミニウムを主体とした材料や、CFRPのような炭素強化プラスチック材料などが典型的に使用される。
【0028】
ドアトリム101には、その外面101aから対向部材であるドアインナーパネル104の内面104aに向けて車外方向に突出する突出部102,103が設けられている。突出部102,103は、ドアトリム101とドアインナーパネル104との間に空間を保つためのものである。突出部102は、前後方向を板厚方向として平板状をなすものであり、平板状のリブ102と称される。これに対して、突出部103は、左右方向を筒軸方向として筒状をなすものであり、筒状のボス103と称される。
【0029】
本形態の緩衝部品1は、リブ102とボス103のいずれにも取り付けが可能とされている。緩衝部品1は、リブ102やボス103よりも柔らかい弾性材料によって構成されている。この緩衝部品1は、典型的には、エラストマーと称される弾性材料(軟質樹脂材料)からなる射出成形体として構成される。これに代えて、エラストマー以外の弾性材料を緩衝部品1の材料に使用しても良い。
【0030】
緩衝部品1は、リブ102に取り付けられた状態では、このリブ102の突出先端部とドアインナーパネル104の内面104aとの間にそれぞれと接触する形で介在し、リブ102の突出先端部とドアインナーパネル104の内面104aとの振動を弾性によって吸収することで異音の発生を抑制する機能を果たす。また、この緩衝部品1は、ボス103に取り付けられた状態では、このボス103の突出先端部とドアインナーパネル104の内面104aとの間にそれぞれと接触する形で介在し、ボス103の突出先端部とドアインナーパネル104の内面104aとの振動を弾性によって吸収することで異音の発生を抑制する機能を果たす。ここでいう「異音」には、接触と離間及び擦れを繰り返すことのよる打音や擦れ音等が広く包含される。
【0031】
1.緩衝部品1の構造
図2及び図3に示されるように、緩衝部品1は、外周部10及び保持ブロック部20を備えている。
【0032】
図3に示されるように、外周部10は、天板11及び周壁12を有する。天板11は、緩衝部品1はドアトリム101の突出部102,103(図1を参照)に取り付けられた状態で、この突出部102,103とドアインナーパネル104(図1を参照)との間に介装されて両者の振動を吸収する緩衝部とされる。このため、この天板11が、緩衝部品1における実質的な緩衝機能を果たす。外周部10は、天板11と周壁12を合わせてキャップ形状をなすように構成されている。周壁12は、天板11の裏面側に保持ブロック部20を取り囲むように設けられている。
【0033】
図3及び図4に示されるように、保持ブロック部20は、外周部10の天板11の裏面側にブロック状(或いは、略円柱状)に設けられている。この保持ブロック部20には、収容溝21と複数の弾性突起31とが設けられている。
【0034】
収容溝21は、リブ102を収容可能となるように所定方向Dに直線状に延びる溝部である。このため、収容溝21の溝幅は、想定されるリブ102の板厚を若干上回るように寸法設定されている。
【0035】
各弾性突起31は、収容溝21の溝幅方向の壁面21a,21bから溝幅を下回るような突出高さで突出している。複数の弾性突起31は、リブ102をその板厚方向の両側から弾性的に挟み込んで保持可能な第1保持部として構成されている。本形態では、特に、各弾性突起31は、収容溝21の溝幅方向の両側の壁面21a,21bに所定方向Dに交互に配置されるように設けられている。
【0036】
外周部10の周壁12は、所定方向Dについて保持ブロック部20の収容溝21と重なる部位が開口されてなる2つの挿通開口12a,12bを有する。2つの挿通開口12a,12bはいずれも、収容溝21にリブ102が収容された状態でこのリブ102の挿通を許容するように構成されている。
【0037】
図3及び図4に示されるように、外周部10の周壁12と保持ブロック部20との間には、収容空間13と複数の弾性突起32とが設けられている。
【0038】
収容空間13は、ボス103の筒壁103aを収容するための空間である。本形態では、ボス103の円筒状の筒壁103aに対応して収容空間13が円環状の空間とされている。収容空間13の径方向の空間幅は、想定されるボス103の円筒状の筒壁103aの板厚を若干上回るように寸法設定されている。
【0039】
各弾性突起32は、保持ブロック部20の外面20aから収容空間13の空間幅を下回るような突出高さで突出している。複数の弾性突起32は、ボス103の筒壁103aをその壁厚方向の一方側(すなわち、筒壁103aの内周側)から弾性的に押圧して保持可能な第2保持部として構成されている。
【0040】
なお、弾性突起32は、弾性突起31を第1弾性突起31としたときには、第1弾性突起31とは別の第2弾性突起32とされる。第1弾性突起31及び第2弾性突起32は、いずれも微小な凸状に設けられており、緩衝部品1の中で最も弾性変形し易い部位とされる。第1弾性突起31及び第2弾性突起32は、保持ブロック部20に一体成形されたものであってもよいし、或いは、別部材として設けられ保持ブロック部20との接合によって形成されたものであってもよい。
【0041】
本形態では、特に、保持ブロック部20の外面20aのうち収容溝21の両側の開口部近傍のみに弾性突起32が設けられている。周壁12を径方向外側からみたとき、挿通開口12a,12bを通じて認識できる位置に弾性突起32が配置されている。このような配置は、弾性突起32を保持ブロック部20に一体成形する場合に、成形金型によって弾性突起32を樹脂成形するときの抜き方向を確保するのに有効である。
【0042】
2.リブ102に対する緩衝部品1の取り付け方法
図5及び図6を参照しながら、リブ102に対する緩衝部品1の取り付け方法について説明する。
【0043】
図5に示されるように、緩衝部品1をドアトリム101のリブ102に取り付けるときには、外周部10の周壁12をリブ102に被せるように緩衝部品1を高さ方向Yに動かす。そして、保持ブロック部20の収容溝21がリブ102に沿って延びるように位置合わせしたうえで、収容溝21にリブ102を挿入する。
【0044】
ここで、図6に示されるように、リブ102の板厚をD1とし、収容溝21の溝幅をd1とし、壁面21a側の弾性突起31と壁面21b側の弾性突起31との最小間隔をd2としたとき、これらの寸法は、d1>D1>d2で示される関係にある。
【0045】
したがって、複数の弾性突起31は、収容溝21へのリブ102の挿入時に、このリブ102によって押し開かれるように潰される。このとき、リブ102を、壁面21a側の弾性突起31と壁面21b側の弾性突起31とでその板厚方向の両側から弾性的に挟み込むことができる。これにより、複数の弾性突起31によってリブ102をその板厚方向に概ね均等に弾性付勢してガタツキを抑えることができ、リブ102の板厚を吸収できる。その結果、リブ102は、収容溝21内で複数の弾性突起31によって弾性的に保持された保持状態になる。このときの保持状態は、弾性突起31によってリブ102が両側からくわえ込まれた状態である。このため、本形態の弾性突起31を「くわえ込み突起」或いは「くわえ込み爪」ということもできる。
【0046】
なお、本形態では、外周部10に挿通開口12a,12bが設けられている。図6に示されるように、挿通開口12a,12bの開口幅をd3としたとき、この開口幅d3は、収容溝21の溝幅d1に対して、d3>d1で示される関係を有する。したがって、リブ102の所定方向Dのリブ長さLが外周部10の外径を上回るような場合であっても、リブ102を挿通開口12a,12bに挿通させることによって、このリブ102を収容溝21に挿入して弾性的に保持できる。
【0047】
3.ボス103に対する緩衝部品1の取り付け方法
図7及び図8を参照しながら、ボス103に対する緩衝部品1の取り付け方法について説明する。
【0048】
図7に示されるように、緩衝部品1をドアトリム101のボス103に取り付けるときには、外周部10の周壁12をボス103に被せるように緩衝部品1を高さ方向Yに動かす。そして、周壁12と保持ブロック部20との間の環状の収容空間13をボス103の筒壁103aに対して位置合わせしたうえで、収容空間13にボス103の筒壁103aを挿入する。
【0049】
ここで、図8に示されるように、ボス103の筒壁103aの壁厚をD2とし、収容空間13の径方向寸法をd4としたとき、これらの寸法は、d4>D2で示される関係にある。
【0050】
したがって、複数の弾性突起32は、収容空間13へのボス103の筒壁103aの挿入時に、この筒壁103aによって押し開かれるように潰される。このとき、筒壁103aは、周壁12の内周面12cと複数の弾性突起32とでその壁厚方向の両側から弾性的に挟み込まれる。これにより、複数の弾性突起32が筒壁103aの内径と保持ブロック部20の外径との差を吸収できる。その結果、ボス103の筒壁103aは、収容空間13で複数の弾性突起32によって弾性的に保持された保持状態になる。このときの保持状態は、弾性突起32が潰れることによってボス103の筒壁103aが内側から押圧された状態である。このため、本形態の弾性突起32を「潰れ突起」或いは「潰れ爪」ということもできる。
【0051】
上述の実施形態1によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0052】
実施形態1の緩衝部品1は、ドアトリム101の突出部102,103への取り付け状態で、突出部102,103とドアインナーパネル104との間に外周部10の天板11が介装されるように構成されている。このため、天板11は、突出部102,103とドアインナーパネル104のそれぞれの振動を吸収して異音の発生を抑制する機能を果たす。これに対して、天板11の裏面側の保持ブロック部20に設けられている第1弾性突起31及び第2弾性突起32は、ドアトリム101の突出部102,103に対する緩衝部品1の取り付けに使用される。
【0053】
第1弾性突起31によれば、平板状のリブ102に対してはこのリブ102を板厚方向の両側から弾性的に挟み込んで保持することができる。一方で、第2弾性突起32によれば、筒状のボス103に対してはこのボス103の筒壁103aを壁厚方向の内側から弾性的に押圧して保持することができる。このように、緩衝部品1の保持ブロック部20に第1弾性突起31及び第2弾性突起32の両方を設けることによって、この緩衝部品1を平板状のリブ102と筒状のボス103との両方への取り付けに兼用することができる。
【0054】
従って、上述の実施形態1によれば、車両の内装部材であるドアトリム101に設けられる複数種類の突出部102,103に取り付け可能な汎用性の高い緩衝部品1を提供することができる。
【0055】
実施形態1の緩衝部品1は、突出部102,103に緩衝材として不織布を貼り付けるような構造に比べて、突出部102,103への取り付け作業が簡単であり、離型紙のような不要物も発生しないという利点がある。
【0056】
実施形態1の緩衝部品1によれば、保持ブロック部20に設けられた収容溝21にリブ102を挿入することで、収容溝21の壁面21a,21bから突出した弾性突起31によってリブ102を弾性的に保持できる。これにより、簡単な構造の保持ブロック部20を利用し、この保持ブロック部20の収容溝21にリブ102を挿入する簡単なワンタッチ操作でリブ102に緩衝部品1を取り付けることが可能になる。
【0057】
実施形態1の緩衝部品1によれば、収容溝21が延びている所定方向Dについて弾性突起31を収容溝21の一方の壁面21aと他方の壁面21bに交互に配置(すなわち、互い違いに配置)することによって、弾性突起31の数を少なく抑えたうえで、リブ102をその板厚方向に概ね均等に弾性付勢してガタツキを抑えることができる。
【0058】
実施形態1の緩衝部品1によれば、保持ブロック部20と周壁12との間に設けられた収容空間13にボス103の筒壁103aを挿入することで、保持ブロック部20から収容空間13に突出した第2弾性突起32によってボス103の筒壁103aを弾性的に保持できる。これにより、簡単な構造の周壁12及び保持ブロック部20を利用し、これらの間の収容空間13にボス103の筒壁103aを挿入する簡単なワンタッチ操作でボス103に緩衝部品1を取り付けることが可能になる。
【0059】
実施形態1の緩衝部品1によれば、周壁12に挿通開口12a,12bを設けることによって、リブ102のリブ長さLが外周部10の外径を上回るときには、リブ102を収容溝21に収容し且つそのリブ102の端部を周壁12の挿通開口12a,12bに挿通させることで取り付けに対応できる。したがって、リブ102のリブ長さLにかかわらずこのリブ102への緩衝部品1の取り付けが可能になる。
【0060】
上記構成の緩衝部品1に特に関連する変更例では、所定方向Dについて弾性突起31を収容溝21の壁面21aと壁面21bに交互に配置する構造に代えて、壁面21a側の弾性突起31と壁面21b側の弾性突起31とが互いに対向させて配置する構造を採用することができる。
【0061】
また、上記構成の緩衝部品1に特に関連する別の変更例では、保持ブロック部20の外面20aのうち収容溝21の両側の開口部近傍にのみ弾性突起32を配置する構造に代えて、保持ブロック部20の外面20aに周方向Xに概ね均等に弾性突起32を配置する構造を採用することができる。
【0062】
次に、上述の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、上述の実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0063】
(実施形態2)
図9に示されるように、実施形態2の緩衝部品2は、外周部10の周壁12の内周面12cに複数の弾性突起32が設けられている点で、実施形態1の緩衝部品1と相違している。すなわち、緩衝部品1では保持ブロック部20の外面20aのみに弾性突起32が設けられているが、緩衝部品2で保持ブロック部20の外面20aに加えて周壁12の内周面12cにも弾性突起32が設けられている。
【0064】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0065】
実施形態2の緩衝部品2によれば、ボス103の筒壁103aが収容空間13に挿入されたとき、筒壁103aを保持ブロック部20側の弾性突起32と周壁12側の弾性突起32とでその壁厚方向の両側から弾性的に挟み込むことができる。これにより、複数の弾性突起32によってボス103の筒壁103aをその壁厚方向に概ね均等に弾性付勢してガタツキを抑えることができる。
【0066】
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0067】
(実施形態3)
図10に示されるように、実施形態3の緩衝部品3は、外周筒10のうちの周壁12が省略されている点で、実施形態1の緩衝部品1と相違している。
【0068】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0069】
実施形態3の緩衝部品3によれば、外周部10の構造を簡素化することによって、実施形態1の緩衝部品1に比べて部品コストを低減できる。
【0070】
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0071】
(実施形態4)
図11に示されるように、実施形態4の緩衝部品4は、保持ブロック部20が省略されており、保持ブロック部20とは別の箇所に弾性突起31,32を設けている点で、実施形態1の緩衝部品1と相違している。すなわち、緩衝部品4の周壁12には、リブ102を挿通可能に開口した挿通開口12a,12bと、挿通開口12a,12bの幅方向の壁面から突出した第1弾性突起31(第1保持部)と、内周面12cから突出した第2弾性突起32(第2保持部)と、が設けられている。このとき、周壁12は、その外径がリブのリブ長さLを下回り、その内径がボス103の外径を上回るように構成されている。
【0072】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0073】
実施形態4の緩衝部品4によれば、周壁12の挿通開口12a,12bに設けた第1弾性突起31によってリブ102を弾性的に保持することができる一方で、周壁12の内周面12cに設けた第2弾性突起32によってボス103の筒壁を弾性的に保持することができる。周壁12の外径がリブ102のリブ長さLを下回り且つ周壁12の内径がボス103の外径を上回るような場合に、第1保持部及び第2保持部の構造を極力簡素化するのに有効である。
【0074】
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0075】
本発明は、上述の形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0076】
上述の形態では、筒状のボス103として円形断面を有する円筒状のものを想定したが、ボス103の断面形状は、円形に限定されるものではなく、楕円形、三角形、四角形、多角形などであってもよい。この場合、想定するボス103の断面形状に応じて、外周部10や保持ブロック部20の形状が適宜に変更される。
【0077】
上述の形態では、内装部材であるドアトリム101の突出部102,103に取り付け可能な緩衝部品1,2,3,4について例示したが、内装部材はドアトリム101に限定されるものではない。突出部102,103のような部位を有する別の内装部材に緩衝部品1,2,3,4を取り付けることができる。
【符号の説明】
【0078】
1,2,3,4 車両用緩衝部品
11 天板(緩衝部)
12 周壁
12a,12b 挿通開口
12c 内周面
20 保持ブロック部
21 収容溝
21a,21b 壁面
31 第1弾性突起(第1保持部)
32 第2弾性突起(第2保持部)
101 ドアトリム(内装部材)
102 リブ(突出部)
103 ボス(突出部)
103a 筒壁
104 ドアインナーパネル(対向部材)
D 所定方向
L リブ長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11