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特開2024-53665超電導磁石、および磁気共鳴イメージング装置
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  • 特開-超電導磁石、および磁気共鳴イメージング装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053665
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】超電導磁石、および磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240409BHJP
   G01N 24/00 20060101ALI20240409BHJP
   G01R 33/3815 20060101ALI20240409BHJP
   H01F 6/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61B5/055 331
G01N24/00 600C
G01R33/3815
H01F6/00 160
H01F6/00 180
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160010
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山城 大
(72)【発明者】
【氏名】田邉 肇
(72)【発明者】
【氏名】出丸 俊樹
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB42
4C096AD08
4C096CA02
4C096CA54
4C096CA70
(57)【要約】
【課題】消磁および励磁において冷媒の消費を低減可能な超電導磁石を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る超電導コイルと、複数の永久電流スイッチと、ヒーターと、熱伝導体と、を備える。超電導コイルは、静磁場を発生する。複数の永久電流スイッチは、前記超電導コイルと電気的に接続される。ヒーターは、前記複数の永久電流スイッチのうち少なくとも一つの永久電流スイッチの内部に設けられる。熱伝導体は、前記複数の永久電流スイッチにおいて隣接する2つの永久電流スイッチの間に設けられ、前記複数の永久電流スイッチのうち前記ヒーターにより常電導化された一方の永久電流スイッチによる自己発熱を他方の永久電流スイッチに熱伝導可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場を発生する超電導コイルと、
前記超電導コイルと電気的に接続された複数の永久電流スイッチと、
前記複数の永久電流スイッチのうち少なくとも一つの永久電流スイッチの内部に設けられたヒーターと、
前記複数の永久電流スイッチにおいて隣接する2つの永久電流スイッチの間に設けられ、前記複数の永久電流スイッチのうち前記ヒーターにより常電導化された一方の永久電流スイッチによる自己発熱を他方の永久電流スイッチに熱伝導可能な熱伝導体と、
を備える超電導磁石。
【請求項2】
前記熱伝導体は、金属により構成される、
請求項1に記載の超電導磁石。
【請求項3】
前記金属は、半田である、
請求項2に記載の超電導磁石。
【請求項4】
前記超電導コイルと前記複数の永久電流スイッチとは、超電導状態に関する冷媒に浸漬され、
前記超電導状態において、前記複数の永久電流スイッチと前記超電導コイルとは閉回路を形成する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超電導磁石。
【請求項5】
請求項4に記載の超電導磁石と、
前記静磁場の励磁および消磁において、前記閉回路に電気的に接続される静磁場電源と、
前記ヒーターへの電流の供給および前記供給の停止を制御する電流制御部と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記励磁および消磁において、前記静磁場電源と並列に前記閉回路に電気的に接続され、前記閉回路における抵抗を検出する抵抗検出部をさらに備え、
前記ヒーターは、前記複数の永久電流スイッチ各々に設けられ、
前記電流制御部は、前記抵抗の値に応じて前記他方の永久電流スイッチにおける前記ヒーターへの電流の供給を制御する、
請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超電導磁石、および磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超電導磁石の励磁および消磁の実施時において、外部電源から超電導磁石に電流が掃引される。このとき、超電導コイルに対して超電導回路にて並列接続された永久電流スイッチ(Persistent Current Switch:以下、PCSと呼ぶ)は、一時的に常電導化させられる。比較的一般的な熱式PCSでは、PCSに内蔵されたヒーターへ通電、発熱させることで、PCSを常電導化・維持する方式が採用されている。
【0003】
超電導磁石は、液体ヘリウムなどの冷媒に浸漬されている。また、PCSも同様に冷媒に浸漬されている。励磁および消磁の実施時には、常電導化したPCSにも電流が流れる。このため、PCSは、自己発熱する。この結果、PCSの自己発熱とヒーターの発熱とにより液体ヘリウムは、気化して、超電導磁石の外部へ排出される。PCSの自己発熱を抑制のするため、PCSを複数個直列接続して合成抵抗を高める施策がある。一方で、PCSの個数が増えるほど、PCSの内蔵されたヒーターの個数も増える。このため、ヒーターの総発熱量が増えて、液体ヘリウムの消費に増大することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-167827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、消磁および励磁において冷媒の消費を低減可能な超電導磁石を提供することにある。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る超電導磁石は、超電導コイルと、複数のPCSと、ヒーターと、熱伝導体と、を備える。超電導コイルは、静磁場を発生する。複数のPCSは、前記超電導コイルと電気的に接続される。ヒーターは、前記複数のPCSのうち少なくとも一つのPCSの内部に設けられる。熱伝導体は、前記複数のPCSにおいて隣接する2つのPCSの間に設けられ、前記複数のPCSのうち前記ヒーターにより常電導化された一方のPCSによる自己発熱を他方のPCSに熱伝導可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の一例を示す図。
図2図2は、実施形態に係るPCSユニット(またはPCSモジュール)の断面の一例を示す図。
図3図3は、実施形態に係る電流供給制御処理の手順の一例を示すフローチャート。
図4図4は、実施形態に係り、1並列および2直列の2つのPCSを有する超電導磁石の励磁および消磁の実行時における閉回路および閉回路に関する構成要素の一例を示す図。
図5図5は、実施形態の変形例に係り、PCSユニット(またはPCSモジュール)の断面の一例を示す図。
図6図6は、実施形態の変形例に係り、2並列および3直列の6つのPCSを有する超電導磁石の励磁および消磁の実行時における閉回路および閉回路に関する構成要素の一例を示す図。
図7図7は、実施形態の応用例に係り、MRI装置とともに、電流制御装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、超電導磁石および磁気共鳴イメージング装置の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明は適宜省略する。実施形態における機能は、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:以下、MRIと呼ぶ)装置に限定されず、例えば、PET(Positron Emission Tomography:陽電子放出コンピュータ断層撮影)-MRI装置、SPECT(single photon emission computed tomography:単一光子放出コンピュータ断層撮影)-MRI装置などにより実現されてもよい。
【0009】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係るMRI装置100の一例を示す図である。図1に示すように、MRI装置100は、超電導磁石101と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源105と、寝台107と、寝台制御回路(寝台制御部)109と、送信回路113と、送信コイル115と、受信コイル117と、受信回路119と、撮像制御回路(収集部)121と、システム制御回路(システム制御部)12と、記憶装置125と、コンソール70と、静磁場電源(外部電源ともいう)130と、ヒーター電源131と、抵抗検出器132と、を備える。
【0010】
なお、ヒーター電源131は、外部電源130に統合されてもよい。このとき、外部電源130は、超電導磁石101に電流を供給することの機能のほかに、ヒーター電源131としても機能する。また、静磁場電源130と、ヒーター電源131と、抵抗検出器132とは、MRI装置100とは別途設けられた電流制御装置に搭載されてもよい。この場合の機能構成等については応用例において説明する。
【0011】
超電導磁石101は、中空の略円筒状に形成された磁石である。超電導磁石101は、内部の空間に略一様な静磁場を発生する。超電導磁石101は、例えば、静磁場を発生する超電導コイルと、PCS(Persistent Current Switch:永久電流スイッチ)ユニット(またはPCSモジュール)とを有する。PCSユニットは、超電導コイルと電気的に接続された複数のPCSと、複数のPCSのうち少なくとも一つのPCSの内部に設けられたヒーターとを有する。以下、説明を具体的にするために、複数のPCSスイッチは、2つ(第1PCSおよび第2PCS)であるものとして説明する。なお、複数のPCSスイッチは、2つに限定されない。一例として、複数のPCSスイッチが3つである場合については、応用例において説明する。
【0012】
超電導磁石101は、励磁モードでは静磁場電源130から供給される電流を超電導コイルに印加することで静磁場を発生する。その後、永久電流モードに移行すると、静磁場電源130は、超電導コイルから切り離される。すなわち、超電導磁石101が超電導状態である場合、すなわち超電導状態において、複数のPCSスイッチと超電導コイルとは閉回路を形成する。超電導磁石101では、例えば、液体ヘリウムなどの冷媒によって超電導コイルが極低温に冷却されている。すなわち、超電導コイルと複数のPCSとは、超電導状態に関する冷媒に浸漬されている。
【0013】
図2は、PCSユニット(またはPCSモジュール)80の断面の一例を示す図である。図2に示すように、超電導磁石101における第1PCS10および第2PCS20は、互いに隣接して配置される。すなわち、図2に示すように、第2PCS20は、第1PCS10の片側面に配置される。図2に示すように、超電導磁石101における第1PCS10および第2PCS20は、断熱材で形成された巻芯1に超電導線2とヒーター線3とが巻き付けられている。すなわち、図2に示すように、ヒーター線3は、超電導線2にとともに巻線し、超電導線2に近接させた構造を有する。これにより、ヒーター線3で発生された熱は、効率よく超電導線2に伝熱させることができる。ヒーター線3は、ヒーターの一例である。図2ではヒーター3は、複数のPCS各々に設けられているが、特定のPCS(第1PCS10)に設けられてもよい。
【0014】
また、第1PCS10の側面および第2PCS20の側面は、伝熱板5と外筒6で構成される。第1PCS10および第2PCS20において、巻芯1と超電導線2とヒーター線3と伝熱板5と外筒6とによる隙間部分には、図2に示すように、モールド用樹脂材4が充填される。
【0015】
また、第1PCS10と第2PCS20とが電気的に接続される場合、第1PCS10と第2PCS20とは、側面で隣接するように配置される。このとき、第1PCS10と第2PCS20との境界面の隙間部分は、熱伝導体7が満たされる。すなわち、熱伝導体7は、複数のPCSにおいて隣接する2つのPCSの間に設けられる。このとき、熱伝導体7は、複数のPCSのうちヒーター線(ヒータ)3により常電導化された一方のPCSによる自己発熱を、他方のPCSに熱伝導可能である。換言すれば、第1PCS10と第2PCSとは、熱伝導体7を介して熱的に接続された構造となる。
【0016】
熱伝導体7は、例えば、金属により構成される。なお、熱伝導体7は、金属に限定されず、既知の熱伝導材料であれば、任意の材質が適用可能である。また、熱伝導体7としての金属は、例えば、半田である。なお、金属は半田に限定されず、熱伝導性を有すれば、他の金属であってもよい。熱伝導体7が半田である場合、上記隙間部分には、熱伝導体7として半田が充填される。
【0017】
図2に示すように、第1PCS10と第2PCS20との境界面に対向する他の側面には、断熱材8が配置される。断熱材8は、例えば、ガラス繊維強化プラスチック(Glass-Fiber-Reinforced Plastics :GFRP)である。なお、断熱材8は、GFRP材に限定されず、他の既知の材料が用いられてもよい。
【0018】
以上のことから、第1PCS10および第2PCS20において、少なくとも両者のPCSが隣接する側面は、高い熱伝導性を有する熱伝導体7(金属)で構成され、巻芯1と外枠(例えば、断熱材8および外筒6)は、低い熱伝導性の絶縁材で構成される。これにより、隣接する第1PCS10および第2PCS20は、互いに効率よく伝熱する。
【0019】
傾斜磁場コイル103は、中空の略円筒形状に形成されたコイルであり、円筒形の冷却容器の内面側に配置される。傾斜磁場コイル103は、傾斜磁場電源105から個別に電流供給を受けて、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生されるX、Y、Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場、位相エンコード用傾斜磁場および周波数エンコード用傾斜磁場(リードアウト傾斜磁場ともいう)を形成する。スライス選択用傾斜磁場は、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場は、空間的位置に応じて磁気共鳴信号(以下、MR(Magnetic Resonance)信号と呼ぶ)の位相を変化させるために利用される。周波数エンコード用傾斜磁場は、空間的位置に応じてMR信号の周波数を変化させるために利用される。
【0020】
傾斜磁場電源105は、撮像制御回路121の制御により、傾斜磁場コイル103に電流を供給する電源装置である。
【0021】
寝台107は、被検体Pが載置される天板1071を備えた装置である。寝台107は、寝台制御回路109による制御のもと、被検体Pが載置された天板1071を、ボア111内へ挿入する。
【0022】
寝台制御回路109は、寝台107を制御する回路である。寝台制御回路109は、入出力インターフェース17を介した操作者の指示により寝台107を駆動することで、天板1071を長手方向および上下方向、場合によっては左右方向へ移動させる。
【0023】
送信回路113は、撮像制御回路121の制御により、ラーモア周波数で変調された高周波パルスを送信コイル115に供給する。例えば、送信回路113は、発振部や位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、RFアンプなどを有する。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数のRFパルスを発生する。位相選択部は、発振部によって発生したRFパルスの位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力されたRFパルスの周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変換部から出力されたRFパルスの振幅を例えばsinc関数に従って変調する。RFアンプは、振幅変調部から出力されたRFパルスを増幅して送信コイル115に供給する。
【0024】
送信コイル115は、傾斜磁場コイル103の内側に配置されたRF(Radio Frequency)コイルである。送信コイル115は、送信回路113からの出力に応じて、高周波磁場に相当するRFパルスを発生する。
【0025】
受信コイル117は、傾斜磁場コイル103の内側に配置されたRFコイルである。受信コイル117は、高周波磁場によって被検体Pから放射されるMR信号を受信する。受信コイル117は、受信されたMR信号を受信回路119へ出力する。受信コイル117は、例えば、1以上、典型的には複数のコイルエレメントを有するコイルアレイである。以下、説明を具体的にするために、受信コイル117は、複数のコイルエレメントを有するコイルアレイとして説明する。
【0026】
なお、受信コイル117は、一つのコイルエレメントにより構成されてもよい。また、図1において送信コイル115と受信コイル117とは別個のRFコイルとして記載されているが、送信コイル115と受信コイル117とは、一体化された送受信コイルとして実施されてもよい。送受信コイルは、被検体Pの撮像部位に対応し、例えば、頭部コイルのような局所的な送受信RFコイルである。
【0027】
受信回路119は、撮像制御回路121の制御により、受信コイル117から出力されたMR信号に基づいて、デジタルのMR信号としての磁気共鳴データ(以下、MRデータと呼ぶ)を生成する。具体的には、受信回路119は、受信コイル117から出力されたMR信号に対して各種信号処理を施した後、各種信号処理が施されたデータに対してアナログ/デジタル(A/D(Analog to Digital))変換して、MRデータを生成する。受信回路119は、生成されたMRデータを、撮像制御回路121に出力する。例えば、MRデータは、コイルエレメントごとに生成され、コイルエレメントを識別するタグとともに、撮像制御回路121に出力される。
【0028】
撮像制御回路121は、処理回路15から出力された撮像プロトコルに従って、傾斜磁場電源105、送信回路113及び受信回路119等を制御し、被検体Pに対する撮像を行う。撮像プロトコルは、検査の種類に応じたパルスシーケンスを有する。撮像プロトコルには、傾斜磁場電源105により傾斜磁場コイル103に供給される電流の大きさ、傾斜磁場電源105により電流が傾斜磁場コイル103に供給されるタイミング、送信回路113により送信コイル115に供給される高周波パルスの大きさや時間幅、送信回路113により送信コイル115に高周波パルスが供給されるタイミング、受信コイル117によりMR信号が受信されるタイミング等が定義されている。撮像制御回路121は、傾斜磁場電源105、送信回路113及び受信回路119等を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路119からMRデータを受信すると、受信したMRデータを画像処理装置1等へ転送する。
【0029】
撮像制御回路121は、例えばプロセッサにより実現される。撮像制御回路121は、上記処理内容を実現するプログラムをメモリ13から読みだして実行することで、当該処理内容に関する各機能を実現する。撮像制御回路121は、撮像制御部に対応する。上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムをメモリ13から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。
【0030】
上記「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0031】
プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリ13に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、メモリ13にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。また、単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0032】
記憶装置125は、システム制御回路12において実行される各種プログラム、各種撮像プロトコル、撮像プロトコルを規定する複数の撮像パラメータを含む撮像条件等を記憶する。記憶装置125は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD(Hard disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等である。また、記憶装置125は、CD(Compact Disc)-ROMドライブやDVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。なお、記憶装置125に記憶されるデータは、メモリ13に記憶されてもよい。このとき、メモリ13は、記憶装置125の代替として機能する。
【0033】
コンソール70は、通信インターフェース11と、システム制御回路12と、メモリ13と、処理回路15と、入出力インターフェース17とを有する。図1に示すように、コンソール70において、通信インターフェース11と、システム制御回路12と、メモリ13と、処理回路15とはバスにより電気的に接続されている。図1に示すように、コンソール70は、通信インターフェース11を介して、ネットワークに接続されている。ネットワークには、例えば、各種モダリティや、HIS、放射線情報システム(RIS:Radiology Information System)等の医療機関内の情報処理システムと互いに通信可能に接続される。なお、コンソール70は、静磁場電源130、ヒーター電源131、および抵抗検出器132を備えていてもよい。
【0034】
通信インターフェース11は、例えば、被検体Pに対する検査において当該被検体Pを撮像する各種モダリティや、病院情報システム(Hospital Information System:HIS)、医用画像管理システム(Picture Archiving and Communication Systems:PACS)などとの間でデータ通信を行う。通信インターフェース11と各種モダリティおよび病院情報システムとの通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、HL7(Health Level 7)、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)、又はその両方等が挙げられる。
【0035】
システム制御回路12は、ハードウェア資源として図示していないプロセッサ、ROM(Read-Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ等を有し、システム制御機能によりMRI装置100を制御する。具体的には、システム制御回路12は、記憶装置125に記憶されたシステム制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開されたシステム制御プログラムに従って本MRI装置100の各回路を制御する。
【0036】
例えば、システム制御回路12は、入出力インターフェース17を介して操作者から入力された撮像条件に基づいて、撮像プロトコルを記憶装置125から読み出す。システム制御回路12は、撮像プロトコルを撮像制御回路121に送信し、被検体Pに対する撮像を制御する。システム制御回路12は、例えばプロセッサにより実現される。なお、システム制御回路12は、処理回路15に組み込まれてもよい。このとき、システム制御機能は処理回路15により実行され、処理回路15は、システム制御回路12の代替として機能する。システム制御回路12は、システム制御部に対応する。
【0037】
メモリ13は、種々の情報を記憶する記憶回路により実現される。例えば、メモリ13は、HDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ13は、記憶部に相当する。なお、メモリ13は、HDDやSSD等以外にも、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)などの光学ディスク、可搬性記憶媒体や、RAM等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。メモリ13は、処理回路15により実現される画像生成機能151および電流制御機能153を、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶する。メモリ13は、画像生成機能151により生成された画像データを記憶する。
【0038】
処理回路15は、コンソール70の全体の制御を行う。処理回路15は、上述のプロセッサなどにより実現される。処理回路15は、画像生成機能151および電流制御機能153などを備える。画像生成機能151および電流制御機能153をそれぞれ実現する処理回路15は、画像生成部および電流制御部に相当する。画像生成機能151および電流制御機能153などの各機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ13に記憶されている。例えば、処理回路15は、プログラムをメモリ13から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路15は、画像生成機能151および電流制御機能153などの各機能を有することとなる。
【0039】
処理回路15は、画像生成機能159により、MRデータに基づいて、MR画像を生成する。例えば、画像生成機能151は、k空間に配置されたMRデータ対してフーリエ変換を実行することで、MR画像を生成する。MR画像の生成としては、既知の処理が適用可能であるため、説明は省略する。画像生成機能159は、生成されたMR画像を、メモリ13に記憶させる。
【0040】
処理回路15は、電流制御機能153により、第1PCS10に内蔵された第1ヒーターと第2PCS20に内蔵された第2ヒーターとへの電流の供給および当該電流の供給の停止を制御する。電流制御機能153による電流の供給の制御は、例えば、超電導磁石101に対する励磁の実行時および消磁の実行時において実施される。
【0041】
具体的には、超電導磁石101に対する励磁および消磁の実行前において、電流制御機能153は、第1PCS10における第1ヒーターに電流を供給する。すなわち、電流制御機能153は、複数のPCSのうち一方のPCSにおけるヒーターに電流を供給する。また、電流制御機能153は、励磁および消磁の実行前および/または実行中において、抵抗検出器132により検出された抵抗の値(以下、抵抗値と呼ぶ)を所定の閾値と比較する。次いで、抵抗値が所定の閾値より小さければ、電流制御機能153は、第2PCS20における第2ヒーターに電流を供給する。すなわち、電流制御機能153は、抵抗値に応じて他方のPCSにおけるヒーターへの電流の供給を制御する。また、第2ヒーターへ電流が供給されている場合、抵抗値が所定の閾値より大きければ、電流制御機能153は、第2ヒーターへの電流の供給を停止する。ヒーター電源131から複数のヒーターへの電流の供給の制御の処理(以下、電流供給制御処理と呼ぶ)の手順については、後ほど説明する。
【0042】
入出力インターフェース17は、例えば、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける入力インターフェースと、各種情報を出力する出力インターフェースとを備える。入力インターフェースは、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェースは、処理回路15に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路15へと出力する。
【0043】
なお、本明細書において入力インターフェースは、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、MRI装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0044】
出力インターフェースは、例えば、ディスプレイにより実現される。ディスプレイは、処理回路15またはシステム制御回路12による制御のもとで、各種のGUI(Graphical User Interface)や、処理回路15によって生成されたMR画像等を表示する。また、ディスプレイは、スキャンに関する撮像パラメータ、および画像処理に関する各種情報などを表示する。ディスプレイは、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイ、モニタ等の表示デバイスにより実現される。
【0045】
静磁場電源130は、超電導磁石101の励磁および消磁において、超電導磁石101における閉回路に電気的に接続される。静磁場電源130は、例えば、MRI装置100のガントリの外部に設けられるため、外部電源と称されてもよい。静磁場電源130は、超電導磁石101の励磁の実行時において、超電導磁石101に流れる電流の値が規定値に到達するまで、超電導磁石101に電流を供給する。規定値は、例えば静磁場の強度に対応する電流値である。規定値は、予め設定されて、メモリ13または記憶装置125に記憶される。静磁場電源130は、超電導磁石101の消磁の実行時において、超電導磁石101に流れている電流がゼロとなるまで、超電導磁石101に流れている電流を低減する。
【0046】
ヒーター電源131は、超電導磁石101の励磁および消磁において、ヒーター線3に電気的に接続される。ヒーター電源131は、電流制御機能153により制御の下で、ヒーター3に電流を供給する。なお、ヒーター電源131により実現される機能は、静磁場電源130に統合されてもよい。
【0047】
抵抗検出器132は、超電導磁石101の励磁および消磁において、静磁場電源130と並列に超電導磁石101の閉回路に電気的に接続される。抵抗検出器132は、閉回路における抵抗を検出する。抵抗検出器132は、検出された抵抗の値(抵抗値)を、処理回路15に出力する。これにより、抵抗検出器132は、超電導磁石101の励磁および消磁において、超電導磁石101における閉回路の抵抗をモニタリングする。抵抗検出器132は、抵抗検出部に相当する。
【0048】
以上のように構成された本実施形態のMRI装置100により実行される電流供給制御処理について、図3および図4を用いて説明する。電流供給制御処理は、超電導磁石101の励磁および消磁において実行される。以下、説明を具体的にするために、超電導磁石101の励磁を例にとり、電流供給制御処理の手順について説明する。
【0049】
図3は、電流供給制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。図4は、1並列および2直列の2つのPCS(第1PCS10と第2PCS20)を有する超電導磁石101の励磁および消磁の実行時における閉回路および閉回路に関する構成要素の一例を示す図である。
【0050】
(電流供給制御処理)
(ステップS301)
外部電源130が、閉回路に電気的に接続される。これにより、超電導コイルSCCに電流を供給するための回路が構成される。
【0051】
(ステップS302)
抵抗検出器132は、閉回路の抵抗値のモニタリングを開始する。当該モニタリングにより、抵抗検出器132は、閉回路における抵抗を検知する。抵抗検出器132は、抵抗の検知により、抵抗値に関するデータを処理回路15に出力する。
【0052】
(ステップS303)
処理回路15は、電流制御機能153により、ヒーター電源HPSから第1ヒーターH1へ、電流を供給する。これにより、第1ヒーターH1は発熱し、図4に示すように第1PCS10は、常電導状態となる。次いで、第1PCS10を流れる電流により発熱したジュール熱は、第1PCS10における伝熱板5と、第1PCS10と第2PCS20との間の熱伝導体7と、を介して、第2PCS20に伝達される。これにより、第2PCSの温度が上昇する。
【0053】
(ステップS304)
処理回路15は、電流制御機能153により、抵抗値と閾値とを比較する。抵抗値が閾値未満であれば(ステップS304のNO)、ステップS305の処理が実行される。抵抗値が閾値未満の状態は、例えば、第1PCS10から第2PCS20に伝達した熱により、第2PCSが常電導状態に到達していないことに対応する。抵抗値が閾値以上であれば(ステップS304のYES)、ステップS306の処理が実行される。抵抗値が閾値以上の状態は、例えば、第1PCS10から第2PCS20に伝達した熱により、第2PCSが常電導状態に到達したことに対応する。
【0054】
(ステップS305)
処理回路15は、電流制御機能153により、ヒーター電源HPSから第2ヒーターH2へ、電流を供給する。これにより、第2ヒーターH2は発熱し、第2PCS20は常電導状態となる。本ステップの後、ステップS304の処理が繰り返される。
【0055】
(ステップS306)
外部電源130から閉回路に電流が供給される。このとき、外部電源130は、外部電源130から閉回路への供給される電流を、所定の規定に到達するまで、徐々に上昇させる。図4に示す矢印は、閉回路に流れる電流の向きCDを示している。
【0056】
(ステップS307)
処理回路15は、電流制御機能153により、電流値と規定値とを比較する。電流値が規定値に到達していれば(ステップS307のYES)、ステップS308の処理が実行される。電流値が規定値に到達していなければ(ステップS307のNO)、ステップS304の処理が実行される。
【0057】
(ステップS308)
処理回路15は、電流制御機能153により、全てのヒーターへの電流の供給を停止する。また、抵抗検出器132は、閉回路における抵抗値のモニタリングを終了する。
【0058】
(ステップS309)
外部電源130から閉回路への電流の供給をゼロに低減する。閉回路への電流の供給がゼロに到達すると、外部電源130は、閉回路、すなわち超電導磁石101から、電気的に切り離される。以上により、電流供給制御処理は終了する。
【0059】
以上に述べた実施形態に係る超電導磁石101は、超電導コイルSCCと電気的に接続された複数のPCSのうち少なくとも一つのPCSの内部に設けられたヒーターと、複数のPCSのうちヒーターにより常電導化された一方のPCSによる自己発熱を他方のPCSに熱伝導可能な熱伝導体7とを有する。実施形態に係る超電導磁石101において、熱伝導体7は、例えば、金属により構成され、当該金属は、例えば、半田である。また、実施形態に係る超電導磁石101において、超電導コイルSCCと複数のPCSとは、超電導状態に関する冷媒に浸漬され、超電導状態において、複数のPCSと超電導コイルSCCとは閉回路を形成する。
【0060】
これらのことから、実施形態に係る超電導磁石101およびMRI装置100によれば、超電導磁石101に係る励磁時及び消磁時において、複数個接続されたPCS(自己発熱伝導型PPCS)のうち、特定のPCS(図2乃至図4では第1PCS10)に含まれる第1ヒーターH1を発熱させ、常電導状態にする。その後、外部電源130から超電導磁石SCCへの電流掃引に伴い、特定のPCS(例えば、第1PCS10)だけが自己発熱する。これにより、第1PCS10で発生した熱が他のPCS(第2PCS20)へ伝導させて、全てのPCSを常電導化させることができる。
【0061】
また、実施形態に係る超電導磁石101を有するMRI装置100は、静磁場の励磁および消磁において、超電導磁石SCCにおける閉回路に電気的に接続される静磁場電源130から超電導コイルSCCに供給される電流を制御するために、ヒーターへの電流の供給および供給の停止を制御する。例えば、実施形態に係る超電導磁石101を有するMRI装置100は、励磁および消磁において、静磁場電源130と並列に閉回路に電気的に接続された抵抗検出器132により閉回路における抵抗を検出し、検出された抵抗の値に応じて他方のPCSにおけるヒーターへの電流の供給を制御する。
【0062】
これにより、実施形態に係るMRI装置100によれば、超電導磁石101における閉回路の抵抗をモニタリングすることで、複数のヒーターのうち特定のヒーターを除く他のヒーターのON/OFFを制御することができる。このため、実施形態に係る超電導磁石101によれば、複数のPCSの常電導化において、複数のヒーターによる複数のPCSへの加熱の熱量を、適応的に低減することができる。
【0063】
以上のことから、実施形態に係る超電導磁石101およびMRI装置100によれば、複数直列接続されたPCSを全て常電導状態にすることで合成抵抗を高めつつ、常電導化・維持のためのヒーター発熱を最小化することで、冷媒(液体ヘリウム)の消費を低減させることができる。このため、実施形態に係る超電導磁石101およびMRI装置100によれば、超電導磁石101に関する励磁および消磁において、コストを低減することができる。
【0064】
(変形例)
本変形例は、PCSユニット(またはPCSモジュール)において、2並列および3直列で複数のPCSを配置することにある。なお、本変形例では、2並列および3直列で複数のPCSについて説明するが、PCSの配置はこれに限定されず、常電導化のために隣接するPCSの加熱に関して、熱伝導体7を介して熱を伝達可能であれば、複数のPCSの配置を任意に設定可能である。
【0065】
図5は、本変形例に係るPCSユニット(またはPCSモジュール)90の断面の一例を示す図である。図5に示すように、複数のPCS(第1PCS10、第2PCS20、第3PCS30、第4PCS40、第5PCS50、第6PCS60)において、第1PCS10の両側面には、第2PCS20と第3PCS30とが隣接して配置される。また、図5に示すように、第4PCS40の両側面には、第5PCS50と第6PCS60とが隣接して配置される。加えて、図5に示すように、第3PCS30と第5PCS50とは、互いに隣接して配置される。
【0066】
複数のPCS各々の構造は、実施形態と同様なため、説明は省略する。また、複数のPCSのうち隣接する2つのPCSの間には、実施形態と同様に、半田などの金属材料で構成された熱伝導体7が設けられる。
【0067】
図6は、2並列および3直列の6つのPCS(第1PCS10、第2PCS20、第3PCS30、第4PCS40、第5PCS50、第6PCS60)を有する超電導磁石101の励磁および消磁の実行時における閉回路および閉回路に関する構成要素の一例を示す図である。図6に示すように、第2PCS20と第1PCS10と第3PCS30との順で、3つのPCSが電気的に直列で接続される。また、図6に示すように、第5PCS50と第4PCS40と第6PCS60との順で、3つのPCSが電気的に直列で接続される。さらに、電気的に直列で接続された第1PCS10、第2PCS20、第3PCS30と、電気的に直列で接続された第4PCS40、第5PCS50、第6PCS60とは、超電導磁石101における閉回路において、並列で電気的に接続されている。
【0068】
本変形例における電流供給制御処理では、ステップS303において、処理回路15は、電流制御機能153により、第1PCS10における第1ヒーターと第4PCS40における第4ヒーターとへ、ヒーター電源HPSから電流を供給する。また、ステップS305では、処理回路15は、電流制御機能153により、第2PCS20における第2ヒーターと、第3PCS30における第3ヒーターと、第5PCS50における第5ヒーターと、第6PCS60における第6ヒーターとへ、ヒーター電源HPSから電流を供給する。
【0069】
本変形例における電流供給制御処理では、処理回路15は、電流制御機能153により、電流値と規定値との比較結果(ステップS307)に応じて、第2ヒーター、第3ヒーター、第5ヒーター、および第6ヒーターへの電流の供給を停止してもよい。これにより、第2ヒーター、第3ヒーター、第5ヒーター、および第6ヒーターの発熱が停止する。第2ヒーター、第3ヒーター、第5ヒーター、および第6ヒーターの発熱無しに、第1PCS10および第4PCS40による自己発熱の伝導により、第2PCS20、第3PCS30、第5PCS50、および第6PCS60の常電導状態を維持できれば、冷媒の消費を低減することができる。本処理の後、ステップS304以降の処理が繰り返される。
【0070】
本変形例の電流供給制御処理における他の処理は、図3に示す電流供給制御処理と同様なため、説明は省略する。また、本変形例における他の処理の手順および効果は、実施形態における記載と同様なため、説明は省略する。
【0071】
(応用例)
本応用例は、電流制御装置により、電流供給制御処理を実現することにある。図7は、MRI装置100とともに、電流制御装置200の一例を示す図である。図7に示すように、電流制御装置200は、静磁場電源130と、ヒーター電源131と、抵抗検出器132と、電流制御機能153を有する処理回路16とを有する。本応用例における電流供給制御処理の処理の手順および効果は、実施形態における記載と同様なため、説明は省略する。
【0072】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、消磁および励磁において冷媒の消費を低減可能な超電導磁石101を提供することができる。
【0073】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0074】
1 巻芯
2 超電導線
3 ヒーター線(ヒーター)
4 モールド用樹脂材
5 伝熱板
6 外筒
7 熱伝導体
8 断熱材
10 第1永久電流スイッチ
11 通信インターフェース
12 システム制御回路
13 メモリ
15 処理回路
17 入出力インターフェース
20 第2PCS
30 第3PCS
40 第4PCS
50 第5PCS
60 第6PCS
70 コンソール
80 PCSユニット(またはPCSモジュール)
90 PCSユニット(またはPCSモジュール)
100 磁気共鳴イメージング装置
101 超電導磁石
103 傾斜磁場コイル
105 傾斜磁場電源
107 寝台
109 寝台制御回路
111 ボア
113 送信回路
115 送信コイル
117 受信コイル
119 受信回路
121 撮像制御回路
125 記憶装置
130 静磁場電源(外部電源)
131 ヒーター電源
132 抵抗検出器
151 画像生成機能
153 電流制御機能
200 電流制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7