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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053668
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/20 20060101AFI20240409BHJP
   B65D 75/04 20060101ALI20240409BHJP
   B65D 33/08 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B65D30/20 D
B65D75/04
B65D33/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160013
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100228164
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 智康
(72)【発明者】
【氏名】坂野 賀津士
(72)【発明者】
【氏名】加塩 龍一
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA13
3E064BA24
3E064BA26
3E064BA30
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA05
3E064FA01
3E064GA01
3E064HJ02
3E064HM01
3E064HN05
3E067AA16
3E067AA22
3E067AB74
3E067AB76
3E067AC14
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA06
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GD07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】包装の強度が良好で、しわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)の発生が少なく外観に優れる、ロール状衛生薄葉紙の紙製包装体を提供すること。
【解決手段】複数個のロール状衛生薄葉紙を包装袋に収納してなる包装体であって、前記包装袋は対向する1対の平面部と、該平面部の両端から内側に折り込まれたガゼット部とを有する、包装基材のガゼット包装袋であり、前記包装基材は紙基材を含み、前記平面部の上面部はシールされており、前記ロール状衛生薄葉紙は、平面視でn×n個の正方行列状(nは1以上の整数を表す。)に配置されてなり、前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、前記ガゼット包装袋の前記平面部の幅aと前記ガゼット包装袋のガゼット幅bとの差(a-b)及び和(a+b)が下式(1)及び(2)の関係を共に満たすロール状衛生薄葉紙の包装体。
0<(a-b)≦20n(1)
πR+(n-1)×4R<(a+b)(2)
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のロール状衛生薄葉紙を包装袋に収納してなる包装体であって、
前記包装袋は、対向する1対の平面部と、該平面部の両端から内側に折り込まれたガゼット部とを有する、包装基材のガゼット包装袋であり、
前記包装基材は紙基材を含み、
前記平面部の上面部はシールされており、
前記ロール状衛生薄葉紙は、平面視でn×n個の正方行列状(nは1以上の整数を表す。)に配置されてなり、
前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、
前記ガゼット包装袋の前記平面部の幅aと前記ガゼット包装袋のガゼット幅bとの差(a-b)及び和(a+b)が下式(1)及び(2)の関係を共に満たすロール状衛生薄葉紙の包装体。
0 < (a-b) ≦ 20n (1)
πR+(n-1)×4R < (a+b) (2)
【請求項2】
前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、前記ガゼット包装袋の前記平面部の幅aと前記ガゼット幅bとの和(a+b)が4nR+10以下である、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、前記ガゼット包装袋の前記平面部の幅a及び前記ガゼット幅bが下式(3)及び(4)の関係を共に満たす、請求項1に記載の包装体。
2nR-0.35R ≦ a ≦ 2nR+20 (3)
(n-1)×2R < b ≦ 2nR (4)
【請求項4】
前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、前記平面部の幅aが2nRより小さい、請求項1に記載の包装体。
【請求項5】
前記ロール状衛生薄葉紙が、トイレットペーパーロール、キッチンペーパーロール又はハンドタオルロールのいずれかである、請求項1に記載の包装体。
【請求項6】
前記ロール状衛生薄葉紙はほぼ同様の寸法を有し、前記ロール状衛生薄葉紙の幅が100mm以上260mm以下であり、かつ前記前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rが50mm以上70mm以下である、請求項5に記載の包装体。
【請求項7】
前記包装基材が、ヒートシール層を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項8】
前記包装基材の坪量に対する紙基材の坪量の割合が、50%より大きく100%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーロール等のロール状の紙製品を複数個収納した、紙基材を含む包装基材製の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレットペーパーロール、キッチンペーパーロール等のロール状衛生薄葉紙である紙製品を被包装物として、ポリエチレン等の包装フィルムで包装した包装体が知られている。例えば、特許文献1には、ポリエチレン等の筒状フィルムにガゼットを対称的に折り込んで本体(ガゼット包装袋)とし、その上部を平面状に折り畳んで把持部を構成し、ロール状衛生薄葉紙である紙製品を包装する包装体が開示されている。
近年、世界的にプラスチックゴミ問題が深刻化しており、例えば海洋のマイクロプラスチック低減による地球環境保護等の観点から、プラスチック(合成樹脂)の使用を削減し、包装の素材を合成樹脂フィルムから他の素材に替えることが望まれている。紙製品を包装する包装体においても、包装の素材を紙基材とし、紙製品を包装した包装体が提案されている。例えば、紙基材に封止用のヒートシール層を積層した包装基材によって紙製品を包装した包装体が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-269010号公報
【特許文献2】特開2021-070501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
素材を紙基材とした筒状包装基材にガゼットを対称的に折り込んで本体とし、その上部を接合したガゼット包装袋の場合、樹脂フィルムと異なり可撓性が小さいため、複数個のロール状衛生薄葉紙を収納する際に該包装袋における包装基材同士の接合部が剥離する場合がある。また、折目が目立ちやすく、ガゼット包装袋の平面部の幅によっては、ロール状衛生薄葉紙を収納した包装体を陳列した際に折目が消費者の視覚に触れ、外観が損なわれやすい。さらに、包装体にしわや表面の浮き上がりが発生しやすく、複数段に重ねられた複数個のロール状衛生薄葉紙を包装した包装体ではその傾向が顕著となりやすい。輸送時や陳列時に、特に包装体の仕上げ面にしわがあると包装体の外観を損ない、消費者に対する商品の訴求力が低下して購買意欲を損ないやすい。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、包装基材同士の接合部が剥離し難く、特にしわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)の発生が少なく外観に優れる、紙基材を含む包装基材製の、ロール状衛生薄葉紙の包装体を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、紙基材を含む包装基材のガゼット包装袋の平面部の幅とガゼット幅との関係を特定範囲に設定することにより、ロール状衛生薄葉紙を収納しやすく、包装基材同士の接合部が剥離し難く、しわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)の発生が少なく外観に優れる包装体を得られることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の構成を有する。
<1> 複数個のロール状衛生薄葉紙を包装袋に収納してなる包装体であって、
前記包装袋は、対向する1対の平面部と、該平面部の両端から内側に折り込まれたガゼット部とを有する、包装基材のガゼット包装袋であり、
前記包装基材は紙基材を含み、
前記平面部の上面部はシールされており、
前記ロール状衛生薄葉紙は、平面視でn×n個の正方行列状(nは1以上の整数を表す。)に配置されてなり、
前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、
前記ガゼット包装袋の前記平面部の幅aと前記ガゼット包装袋のガゼット幅bとの差(a-b)及び和(a+b)が下式(1)及び(2)を共に満たすロール状衛生薄葉紙の包装体。
0 < (a-b) ≦ 20n (1)
πR+(n-1)×4R < (a+b) (2)
<2> 前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、前記ガゼット包装袋の前記平面部の幅aと前記ガゼット幅bとの和(a+b)が4nR+10以下である、上記<1>の包装体。
<3> 前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、前記ガゼット包装袋の前記平面部の幅a及び前記ガゼット幅bが下式(3)及び(4)の関係を共に満たす、上記<1>又は<2>の包装体。
2nR-0.35R ≦ a ≦ 2nR+20 (3)
(n-1)×2R < b ≦ 2nR (4)
<4> 前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、前記平面部の幅aが2nRより小さい、上記<1>又は<3>の包装体。
<5> 前記ロール状衛生薄葉紙が、トイレットペーパーロール、キッチンペーパーロール又はハンドタオルロールのいずれかである、上記<1>~<4>のいずれかの包装体。
<6> 前記ロール状衛生薄葉紙はほぼ同様の寸法を有し、前記ロール状衛生薄葉紙の幅が100mm以上260mm以下であり、かつ前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rが50mm以上70mm以下である、上記<5>の包装体。
<7> 前記包装基材が、ヒートシール層を有する、上記<1>~<6>のいずれかの包装体。
<8> 前記包装基材の坪量に対する紙基材の坪量の割合が、50%より大きく100%以下である、上記<1>~<7>のいずれかの包装体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロール状衛生薄葉紙を収納しやすく、包装基材同士の接合部が剥離し難く、しわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)の発生が少なく外観に優れる、紙基材を含む包装基材製の、ロール状衛生薄葉紙の包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の包装体の実施形態に係る、ガゼット包装袋の正面図である。
図2】ガゼット包装袋を途中まで広げたときの上面断面図である。
図3】ガゼット包装袋を途中まで広げたときのガゼット袋の上部を示した斜視図である。
図4】本発明の包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の包装体は、複数個のロール状衛生薄葉紙を包装袋に収納してなる包装体であって、前記包装袋は、対向する1対の平面部と、該平面部の両端から内側に折り込まれたガゼット部とを有する、包装基材のガゼット包装袋であり、
前記包装基材は紙基材を含み、
前記平面部の上面部はシールされており、
前記ロール状衛生薄葉紙は、平面視でn×n個の正方行列状(nは1以上の整数を表す。以下、同様である。)に配置されてなり、
前記ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、
前記ガゼット包装袋の前記平面部の幅aと前記ガゼット包装袋のガゼット幅bとの差(a-b)及び和(a+b)が下式(1)及び(2)を共に満たすロール状衛生薄葉紙の包装体である。
0 < (a-b) ≦ 20n (1)
πR+(n-1)×4R < (a+b) (2)
なお、上記a、bの単位はいずれもmmである。
【0010】
本発明の包装体を構成する包装袋は、対向する1対の平面部と、該平面部の両端から内側に折り込まれたガゼット部とを有する、包装基材のガゼット包装袋であり、前記平面部の上面部はシールされており、前記シール部を把持部としてもよい。
【0011】
包装基材は紙基材を含む。包装基材には、包装体として形成された際、外面側に印刷が施されていてもよい。また、包装基材は、防水性の確保のために、オーバーコートが施されたオーバーコート紙であってもよい。包装基材は、後述するヒートシール層、接着剤層等をさらに有していてもよい。
【0012】
包装基材の坪量は、45g/m以上160g/m以下であることが好ましく、70g/m以上140g/m以下がより好ましく、90g/m以上120g/m以下がさらに好ましい。
包装基材の坪量が低い場合は、概して、包装基材に含まれる紙基材の坪量も低く、構成パルプ繊維は少なく、繊維間結合も少なく、強度が低くて破れ易い傾向にある。また、包装基材の坪量低下に伴い、後述するヒートシール層や接着剤層等の坪量も概して低くなるため、包装基材同士の接合部が剥離し易くなる。
一方、包装基材の坪量が高い場合、しわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)が発生し易くなり、包装体の外観が劣る傾向にある。また、シール層がヒートシール層である場合は、ヒートシール処理時に熱伝達が不十分となって、ヒートシール層の加熱温度が低下して良好な接合強度を得ることができないことがある。
包装基材の坪量が上述の範囲内にあると、包装基材は適度な強度を有して破れにくく、且つ、包装体の外観が優れる。また、シール層がヒートシール層である場合は、包装体100において包装基材同士の接合部が剥離し難くなる。
なお、包装基材の坪量は、後述するヒートシール層、接着剤層等の坪量と紙基材の坪量を合計した坪量である。
【0013】
包装基材が含む紙基材は、繊維原料であるパルプ成分を含むスラリーを抄紙することによって得られる。パルプ成分としては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の木材パルプ;竹、葦、麦わら、ケナフ、バガス等の非木材パルプ;新聞紙、チラシ、更系雑誌、コート系雑誌、感熱記録紙、感圧記録紙、模造紙、色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、これらの混合古紙等の古紙パルプ等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を任意の配合率で混合して用いてもよい。
なお、パルプ製造における蒸解方法や漂白方法は、特に限定されない。
また、紙基材には、必要に応じて、湿潤紙力向上剤、填料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色顔料等の、一般的に用いられる各種添加剤を添加してもよい。
【0014】
紙基材の坪量は、25g/m以上85g/m以下であることが好ましく、30g/m以上70g/m以下がより好ましく、35g/m以上60g/m以下がさらに好ましい。紙基材の坪量が上記範囲にあると、包装基材のしなやかさ、柔らかさ及び強度が良好となる。なお、包装基材の坪量に対する紙基材の坪量の割合は50%より大きい。
【0015】
包装基材の厚さは、柔軟性、コスト、開封の容易さ、内包されるロール状衛生薄葉紙に対する耐摩耗性、必要に応じて把持部に設けられる指掛け穴に指を通して持ち運ぶ際に指に過度の負荷がかからない柔軟性等の、ガセット包装特有の事情、及び内包されるロール状衛生薄葉紙の種類や個数の関係を考慮して適宜に選択でき、通常、80μm以上130μm以下が好ましく、90μm以上120μm以下がより好ましく、95μm以上115μm以下がさらに好ましい。
【0016】
包装基材及び紙基材の坪量は、JIS P 8124(1998)に準拠して測定できる。また、包装基材及び紙基材の厚さはJIS P 8118(2014)に準拠して測定できる。
【0017】
ガゼット包装袋を形成する手段は特に制限されず、包装基材に接着剤層を予め形成して、該接着剤層が内側となるようにガゼット包装袋を形成して貼り合わせてもよく、ヒートシール層を備えた包装基材を用いて該ヒートシール層が内側となるようにガゼット包装袋を形成し、加熱により接合(シール)してもよい。また、ガゼット包装袋の平面部の上面部をシールして把持部を形成してもよく、前記把持部を形成する手段は特に制限されない。
【0018】
接着剤層を構成する接着剤は特に限定されず、例えば、エチレン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、スチレン-アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。中でも、ホットメルト接着剤として使用できる観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体等のエチレン系接着剤が好ましい。
接着剤層は、接着剤を、紙基材に例えばロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の方法で塗工して形成できる。接着剤層は、紙基材の全面に形成しても、表面の一部、例えば、紙基材同士が積層・接合される部分にのみ形成してもよい。紙基材の表面において接着剤層を形成する位置、大きさ、及び接着剤層が占める割合は適宜設定できる。
【0019】
ヒートシール層を構成する材料は特に限定されず、例えばポリオレフィン系樹脂や、その他の熱可塑性樹脂等のヒートシール性を発現する材料を使用できる。具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体等をグラフト重合又は共重合したポリプロピレン系樹脂、スチレン-アクリル共重合体、非晶性ポリエステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0020】
ヒートシール層は、例えば紙基材上にポリオレフィン系樹脂等のヒートシール層を構成する材料を押出法で製膜する方法;公知のヒートシール加工装置(貼合処理装置)を用いて、紙基材にヒートシール層を構成する材料を含有するフィルムを積層する方法;ヒートシール層を構成する材料を溶剤に溶解又は分散させた溶液をロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の方法で紙基材上に塗工する方法等で形成できる。
【0021】
ガゼット包装袋の強度、耐水性、通気性等を確保できること、また、包装体とした際にしわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)の発生が少なく、外観に優れやすい観点から、ヒートシール層を備える紙基材を包装基材として用いてガゼット包装袋を形成するのが好ましい。ヒートシール層は紙基材の全面に形成されていてもよく、表面の一部、例えば、紙基材同士が積層・接合される部分にのみ形成されていてもよい。紙基材の表面においてヒートシール層を形成する位置、大きさ、及びヒートシール層が占める割合は適宜設定できる。
【0022】
本発明の包装体においては、ガゼット包装袋を形成する包装基材として、ヒートシール層を有する紙基材を好ましく使用できる。中でも、ポリエチレン又はポリプロピレン等のヒートシール層を構成する材料を積層(ラミネート又は塗工)したラミネート紙、塗工紙、コート紙が、包装基材としてより好ましい。
紙基材の具体例としては、例えばグラシン紙のような透明な紙や、純白紙のような片艶紙が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
ガゼット包装袋を構成する包装基材は、ヒートシール層又は接着剤層以外に、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバープリント層、遮光層等の他の層を備えていてもよい。他の層は、例えば、紙基材とヒートシール層若しくは接着剤層との間、又は包装体の最上面となる面に設けることができ、1層でもよく、2層以上であってもよい。
【0024】
本発明の包装体において、ロール状衛生薄葉紙としては、トイレットペーパーロール、キッチンペーパーロール又はハンドタオルロールのいずれかであるのが好ましい。
ロール状衛生薄葉紙のプライ数は1~3プライで適宜選択でき、特に限定されない。また、エンボスが付与されたものであってもよい。
ロール状衛生薄葉紙はほぼ同様の寸法を有するのが好ましい。ロール状衛生薄葉紙の幅(高さ)は、100mm以上260mm以下であることが好ましい。具体的にはロール状衛生薄葉紙がトイレットペーパーロールの場合、ロール状衛生薄葉紙の幅(高さ)は100mm以上130mm以下であることが好ましく、105mm以上125mm以下であることがより好ましい。また、ロール状衛生薄葉紙がキッチンペーパーロール又はハンドタオルロールである場合、ロール状衛生薄葉紙の幅(高さ)は、200mm以上260mm以下であることが好ましく、210mm以上250mm以下であることがより好ましい。
ロール状衛生薄葉紙の半径Rは、50mm以上70mm以下であるのが好ましく、52mm以上65mm以下であることがより好ましい。
ここで、ロール状衛生薄葉紙の半径Rとは、包装体内の全ロールの平均値を意味する。詳細には、包装体内の全ロールの各ロール断面を真円と仮定し、ロール状衛生薄葉紙の外周長を2πで除した値の平均値である。
【0025】
トイレットペーパーロールは、紙管に帯状のトイレットペーパーを巻きつけた芯有りのトイレットペーパーロールであっても良く、コアレスとも称される芯無しトイレットペーパーロールであっても良い。トイレットペーパー1プライの厚さは80μm以上230μm以下、1プライ当たりの坪量が10.0g/m以上25.0g/m以下であるのが好ましい。
紙管に帯状のキッチンペーパーを巻きつけたキッチンペーパーロールの場合、例えば2プライの厚さが300μm以上800μm以下、1プライ当りの坪量が15.0g/m以上30.0g/m以下のものが例示できる。なお、坪量は、JIS P 8124(1998)に基づき測定でき、厚さは、JIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でISO12625-3(2014)に準拠して測定した値である。
【0026】
以下、本発明について、図面を参照しながら具体的な実施態様を説明する。ただし、発明の範囲は、これらの図示例に限定されない。
【0027】
図1は、本発明の包装体を構成する包装袋10の正面図である。包装袋10は、対向する1対の平面部1及び平面部3と、これらを接続する両側面部である、各平面部1及び3の両端1a、1a′(3a、3a′)からV字状に内側に折り込まれた、ガゼット部2及びガゼット部4とを有するガゼット包装袋である。
また、図2は、ガゼット包装袋である包装袋10を広げたときの上面断面図であり、図3は、ガゼット包装袋である包装袋10を広げたときのガゼット袋の上部を示した斜視図である。包装袋は、平面部1及び3の間にガゼット部2及び4を内側に折り込んだ状態で形成されている。かかるガゼット包装袋は、図2及び図3に示すように、筒状の袋体から4つの側面を構成し、そのうち対向する2面(ガゼット部2,4に相当)を中央(折り畳み線Z)に向かって内側に引込むように折り畳んだ構造をなしている。
なお、各平面部1,3の両端1a、1a′(3a、3a′)を結ぶ方向Lを「横方向」と称する。また、包装袋10において、後述する把持部5が形成される側を「上端」とし、上端の反対側の開放端側を「下側」とする。
【0028】
図1に示すように、平面部1及び平面部3の上端側は、これらの対向する面同士が重ね合わされて、横方向Lにほぼ平行に、具体的には上端縁近傍と上端縁より下側の2箇所でシール(図1におけるシールS)され、これらシールSの間で把持部5を形成する。ヒートシール層を備える紙基材を用い、平面部1及び平面部3の対向する面同士がヒートシール層となるようにガゼット包装袋を形成するのが好ましい。なお、把持部5には1つ以上の指掛け穴を設けてもよい。図1には、例えば、把持部5において、両端1a、1a′(3a、3a′)の間の中央部を切り抜いて指掛け穴を設け、横方向Lに長い、長円形の持ち手6を形成する場合を示している。又は、把持部5の横方向Lすなわち幅方向のほぼ中心から所定の距離をあけ、把持部5の上辺から所定の距離をおいた位置に、成人の指などを容易に入れることができる程度の大きさの円形、楕円形、卵型等の指掛け穴を複数個設けてもよい。
下側はロール状衛生薄葉紙を収納できるように開放された状態になっている。この開放状態の底辺を拡開してロール状衛生薄葉紙を挿入して収納後、底辺部をヒートシールなどによりシールし封止する。
【0029】
包装基材をガゼット包装袋に形成するに際しては、公知の方法を適用可能であり、例えば図2(a)~(c)及び図3(a)~(c)に示す、HS-a、HS-b、HS-1~4の部分をヒートシール又は接着により接合して筒状体をまず形成する。
詳細には、ガセット包装袋10は、例えば、図2(a)及び図3(a)に示されるように、1枚の包装基材を筒状とし、ガゼット部を折り込んで1対の平面部及び1対のガゼット部を形成し、平面部の中央部付近のHS-aにおいてヒートシール又は接着して筒状体とし、次いで、ガゼット部を袋内側に折り込んで偏平にした状態で、1対の平面部の上端側をシールして把持部5を形成する。
又は、図2(b)及び図3(b)に示されるように、1枚の包装紙基材を筒状とし、ガゼット部を折り込んで1対の平面部及び1対のガゼット部を形成し、平面部とガゼット部の側面であるHS-bにおいてヒートシール又は接着して筒状とし、次いでガゼット部を袋内側に折り込んで偏平にした状態で、1対の平面部の上端側をシールして把持部5を形成する。
又は、図2(c)及び図3(c)に示されるように、4枚の包装基材を平面部1,3の両端1a、1a′(3a、3a′)に相当する箇所であるHS-1~HS-4をヒートシールして、1対の平面部及び1対のガゼット部を有する筒状体を形成することもできる。この場合、平面部を構成する包装基材とガゼット部を構成する包装基材とを同種の材料としてもよいし、異なる材料としてもよい。次いで、ガゼット部を袋内側に折り込んで偏平にした状態で、1対の平面部の上端側をシールして把持部5を形成する。
【0030】
本発明において、ガゼット包装袋の平面部の幅aとは、図2及び図3に示すように、ガゼット包装袋の平面部の幅を表す。なお図2(b)、(c)及び図3(b)、(c)のように平面部の端部に接合部がある場合は、ガゼット包装袋の平面部の幅aは接合部を除いた部分を示す。ガゼット幅bとは、図2及び図3に示すように折り込まれている、後述する側面部を構成するガゼット部2b及び2b′の和、又はガゼット部4b及び4b′の和を意味する。ガゼット幅bも平面部の幅aと同様に、図2(b)、(c)及び図3(b)、(c)のように平面部の端部に接合部がある場合は、接合部を除いた部分を示す。
ガゼット包装袋の1対の平面部の一方が仕上げ面、すなわち商品としての包装体の正面側表示面となり、ガゼット部がガゼット面、すなわち商品の注意書等の付属表示面となる。なお、図2(a)のように、一方の平面部においてヒートシール又は接着してガゼット包装袋を形成している場合には、そのようなヒートシール部等がない側の平面部が仕上げ面となる。
【0031】
図4は、本発明を適用した一実施形態の包装体100を示す斜視図である。包装体100は、トイレットペーパーロール、ペーパータオルロールなどのロール状衛生薄葉紙を、平面視でn×n個の正方行列状に配置して1段又は複数段に段積みして、1対の平面部と、該平面部の両端から内側に折り込まれたガゼット部とを有し、平面部の上面部はシールされて把持部を形成している、図1図3に示す包装基材のガゼット包装袋で包装したものである。包装体100は、ロール状衛生薄葉紙が収容された袋本体部20と、この袋本体部20の上部に設けられた把持部5とを備えている。把持部5には上述したとおり指掛け穴6が形成されていてもよい。
【0032】
本実施形態に係る包装体100では、上記構成のガゼット包装袋10内に、ロール状衛生薄葉紙が、各々隣接するロール状衛生薄葉紙が胴面で接しかつ端面が面一となるようにして平面視でn×n個の正方行列状に配置され、一方の各端面が前記把持部5に向けて内包されている。すなわち、包装体100では、ガゼット包装袋10の、内側に折り込まれたガゼット部が開かれて1対の平面部1及び3と隣接した側面部2及び4が形成され、袋本体部20には、平面視でn×n個の正方行列状に配置されたロール状衛生薄葉紙が1段又は複数段で収容されている。nは4以下の整数であるのが好ましく、nは2以上3以下の整数であるのがより好ましく、nは2であるのがさらに好ましい。なお、ロール状衛生薄葉紙が複数段で収容される場合は、その段数は2段又は3段であるのが好ましい。図4ではn=2であって、2段積みである態様を示している。
【0033】
本発明の包装体は、ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、前記ガゼット包装袋の前記平面部の幅aと前記ガゼット包装袋のガゼット幅bとの差(a-b)及び和(a+b)が下式(1)及び(2)の関係を共に満たす。
0 < (a-b) ≦ 20n (1)
πR+(n-1)×4R < (a+b) (2)
なお、上記a、b、及びRの単位はいずれもmmである。
【0034】
より具体的には、式(1)において、ガゼット包装袋の平面部の幅aと前記ガゼット幅bとの差(a-b)は10n以下であるのが好ましく、8n以下であるのがより好ましい。また、差(a-b)はn以上であるのが好ましく、2n以上であるのがより好ましい。換言すれば、差(a-b)はn以上10n以下の範囲が好ましく、2n以上8n以下の範囲で設定するのがより好ましい。差(a-b)が20nを超えると、包装袋とした時の底面の形状がロール状衛生薄葉紙をn×nの正方行列状に配置した状態の形状と乖離するため、ガゼット包装袋にロール状衛生薄葉紙を挿入し難くなる。
また、式(2)において、ガゼット包装袋の平面部の幅aと前記ガゼット幅bとの和(a+b)はπR+(n-1)×4Rより大きい。πR+(n-1)×4Rは、ロール状衛生薄葉紙をn×nの正方行列状に配置した状態のn×n個のロール状衛生薄葉紙の外周を2で除した値に相当し、和(a+b)がπR+(n-1)×4Rより小さいと、ガゼット包装袋にロール状衛生薄葉紙を挿入し難く、さらにロール状衛生薄葉紙を挿入して収容する際に包装基材同士の接合部が剥離するおそれがある。
また、ガゼット包装袋の平面部の幅aと前記ガゼット幅bとの和(a+b)は4nR+10以下であるのが好ましく、4nR以下であるのがより好ましく、4nR-10以下であるのがさらに好ましい。4nRは、n×n個の正方行列状に配置された1例のロール状衛生薄葉紙の直径の和に2を乗じた値に相当し、和(a+b)が4nR+10以下であると、包装体が外観に優れ、しわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)の発生が少なくなる。
【0035】
ロール状衛生薄葉紙の半径Rに対し、前記ガゼット包装袋の平面部の幅a及び前記ガゼット幅bが下式(3)及び(4)の関係を共に満たすことが好ましい。
2nR-0.35R ≦ a ≦ 2nR+20 (3)
(n-1)×2R < b ≦ 2nR (4)
なお、上記a、b、W及びRの単位はいずれもmmである。
【0036】
より具体的には、式(3)において、ガゼット包装袋の平面部の幅aは2nR-0.25R以上であるのがより好ましく、2nR-0.20R以上がさらに好ましい。ガゼット包装袋の平面部の幅aは2nR+10以下であるのがより好ましく、2nR+5以下がさらに好ましい。
ここで、ガゼット包装袋の平面部の幅aの計算上の最小値(amin)は以下の式(5)で示される。但し、ガゼット包装袋の平面部の幅aをaminに設定した場合は、包装体を作製する際にガゼット包装袋へのロール状衛生薄葉紙の挿入が困難となり、ガゼット包装袋のヒートシール部(図2又は図3におけるHS部)の剥離又は破れが生じやすく、包装体の生産性に影響を及ぼす傾向となる。
min=2πR×2×1/8+(n-1)×2R (5)
【0037】
式(4)において、ガゼット幅bは(n-1)×2R+R以上であるのがより好ましく、(n-1)×2R+1.5R以上がさらに好ましい。ガゼット幅bは2nR-2n以下であるのがより好ましく、2nR-4n以下がさらに好ましい。
ガゼット包装袋の平面部の幅a及びガゼット幅bが上記の関係を満たすように設計することで、形成される包装体がその外観に優れ、しわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)の発生が少なくなる。また、平面視でn×n個の正方行列状に配置したロール状衛生薄葉紙を挿入して収容する際に包装基材同士の接合部が剥離し難くなる。
【0038】
また、前記半径Rに対し、ガゼット包装袋の平面部の幅aが2nRより小さいことが特に好ましい。2nRは、n×n個の正方行列状に配置された1例のロール状衛生薄葉紙の直径の和に相当し、ガゼット包装袋の平面部の幅aが2nRよりも小さくなるようにすることで、包装体が外観に優れ、しわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)の発生が少なくなる。
【0039】
本発明においては、ガゼット包装袋の平面部の幅a及びガゼット幅bが本発明で規定する関係を満たすことで、特に、平面部とガゼット部を包装体側面の4辺(=折り目部分に相当)でヒートシールしたガゼット包装袋の態様において、平面視でn×n個の正方行列状に配置したロール状衛生薄葉紙を挿入して収容する際にも包装基材同士の接合部が剥離し難くなる。また、得られる包装体の外観に優れ、しわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)の発生が少なくなりやすい。
【0040】
ガゼット包装の手順は公知の方法を適用できる。例えば、図2(a)~図2(c)のように、包装基材をヒートシールして、対向する1対の平面部と、該平面部の両端から内側に折り込まれたガゼット部とを有し、前記平面部の上面部をシールして把持部を形成したガゼット包装袋を作成し、そのガゼット包装袋の下端の開口部(底面側開口部)を拡開して、そこから被包装物であるロール状衛生薄葉紙を、平面視でn×n個の正方行列状に配置されて並べた状態で挿入し、その後に底面側開口部をヒートシールして封止することにより製造できる。なお、ロール状衛生薄葉紙を、平面視でn×n個の正方行列状に配置されて並べた状態で挿入する際に、下端の開口部にて1対の平面部とガゼット部との接続部に相当する4カ所の角部を保持しつつ拡開して、挿入するのが好ましい。
【0041】
以上、本発明の包装体について説明したが、本発明は、前述した実施形態の構成に限定されない。例えば、本発明の包装体は、前述した実施形態の構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
【実施例0042】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[実施例1~16、比較例1~6]
1.包装体の作成
包装基材としてヒートシール層を有する片艶紙を用い、1対の平面部とガゼット部を、包装袋の側面4辺に相当する部分(図2(c)のHS1~4に相当)でヒートシールして、次いで平面部の上面部をシールして把持部を形成してガゼット包装袋を作成した。次いで、各種ロール状衛生薄葉紙を、表1に記載したn(個)及びm(段)で挿入し、底面側開口部をヒートシールして、包装体を作製した。各実施例及び比較例におけるロール状衛生薄葉紙の半径Rと幅W、包装基材の坪量、厚さ及び紙基材の割合、ガゼット包装袋の平面部の幅a及びガゼット幅bを表1に併せて示す。
ガゼット包装袋の平面部の幅a及びガゼット幅bは、定規で測定した。
ロール状衛生薄葉紙の幅Wは、ロールを立てた状態で定規で測定した。ロール状衛生薄葉紙の半径Rは、巻尺でロール外周長を測定し、その数値を、ロール断面を真円と仮定して2πで除して求めた。
なお、上記a、b、W及びRの単位はいずれもmmである。また、測定はISO187に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)で行った。
【0043】
2.包装体の評価
2-1.包装体の外観
各実施例及び比較例で得た包装体5個を、陳列棚に横並びに隙間なく並べ、正面から仕上げ面の外観を目視で観察し、しわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)の有無を以下の基準で試験者20名で評価した。
<評価基準>
4:良好である。
3:僅かにしわが見られるがあまり目立たない。
2:しわや表面の浮き上がりがやや観察されるが、許容範囲である。
1:しわ及び表面の浮き上がりが目立つ。
【0044】
2-2.生産性
包装体を作製する際における、ガゼット包装袋へのロール状衛生薄葉紙の挿入しやすさと、底面側開口部をヒートシールにより封止して得られた包装体10個について、側面部の接合部((図2(c)のHS1~4の部分)の位置にズレがないか目視で確認し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
5:容易に挿入でき、9個以上が側面部の接合部がほぼ同じ位置であった
4:容易に挿入でき、6~8個が側面部の接合部がほぼ同じ位置であった。
3:挿入時に包装袋の縁部に接触することがあったが、6個以上が側面部の接合部がほぼ同じ位置であった。
2:容易に挿入できたが、側面部の接合部がほぼ同じ位置であったのは5個以下であった。
1:容易に挿入できなかった。
【0045】
2-3.丈夫さ
各実施例及び比較例で得た包装体5個について、ガゼット包装体の側面部のヒートシール部(図2(c)のHS1~4の部分)の剥離の有無及び包装基材の破れを試験者1名で目視で確認した。
4:ヒートシール部の剥離又は包装基材の破れが全くなかった。
3:ヒートシール部にわずかに剥離の発生個所が見られたが、許容範囲である。
2:ヒートシール部に剥離発生個所が多く見られた。
1:ヒートシール部全般に亘り剥離が発生した。
以上の評価結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示されるように、本発明の規定を満たす実施例1~実施例16の包装体は、「包装体の外観」(4段階評価)がいずれも評価2又は評価3又は評価4であり、しわ及び表面の浮き上がり(波打ちやゴワゴワ感を含む。)が少なかった。
また、「生産性」(5段階評価)は、(a+b)がやや小さい実施例7と実施例10は評価3であり、挿入時に包装袋の縁部に接触することがあったが、実施例1~6及び実施例8、9、実施例11~16については評価4又は評価5であり、ガゼット包装袋にロール状衛生薄葉紙が挿入しやすく、側面部の接合部の位置にばらつきが少なかった。
また、「丈夫さ」(4段階評価)は、実施例1~16については評価3又は評価4であり、ヒートシール部の剥離はわずかであり、許容範囲であった。
【0048】
比較例1は、実施例1~4と比較して、(a+b)が小さく、かつ(a-b)が大きかった。比較例1の(a+b)は本発明の規定の範囲内であるものの実施例1~4と比較して小さく、(a-b)は本発明の規定の範囲外でありガゼット包装袋の底面の形状がロール状衛生薄葉紙4個を正方行列状に配置した状態と乖離しているため、ガゼット包装袋にロール状衛生薄葉紙を挿入し難かった。また、挿入し難かったが故に、ヒートシール部の剥離個所が多く見られた。
【0049】
比較例2、比較例3及び比較例6は、(a+b)が本発明の規定の範囲外であり、ガゼット包装袋にロール状衛生薄葉紙を挿入し難く、さらにヒートシール部全般に亘り剥離が生じていた。比較例3は(a-b)は本発明の規定の範囲内であるものの比較例2よりも大きく、比較例2と比較してガゼット包装袋の底面の形状がロール状衛生薄葉紙4個を正方行列状に配置した状態と乖離しているため、ガゼット包装袋にロール状衛生薄葉紙がより挿入し難かった。
【0050】
比較例4は、実施例3及び実施例9と比較してガゼット包装袋の平面部の幅aが長いため、(a-b)が大きかった。比較例4の(a+b)は本発明の規定の範囲内であるものの実施例3及び実施例9と比較して大きく、かつ(a-b)は本発明の規定の範囲外であるため、包装袋とロール状衛生薄葉紙との間に隙間が生じ、側面部の接合部の位置にばらつきが多く、しわや表面の浮き上がりが目立った。
比較例5は、(a-b)が本発明の規定の範囲外であり、ガゼット包装袋の底面の形状がロール状衛生薄葉紙4個を正方行列状に配置した状態と乖離しているため、ガゼット包装袋にロール状衛生薄葉紙がより挿入し難かった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の包装体は、包装の強度が良好で外観に優れ、プラスチックの使用を低減し環境に配慮した包装体として有用である。
【符号の説明】
【0052】
1,3 平面部
2,4 ガゼット部
5 把持部
6 指掛け穴
10 ガゼット包装袋
20 袋本体部
100 包装体
S シール部
Z ガゼット部折り畳み線
P ロール状衛生薄葉紙
図1
図2
図3
図4