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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053671
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240409BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01L29/78 301D
H01L29/06 301G
H01L29/78 301S
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160019
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(72)【発明者】
【氏名】増田 祐一
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA25
5F140AA30
5F140AA40
5F140AB04
5F140BA01
5F140BC05
5F140BF04
5F140BH02
5F140BH04
5F140BH05
5F140BH13
5F140BH30
5F140BK12
5F140CB10
5F140CD09
(57)【要約】
【課題】オフ時の高耐圧を確保しつつオン抵抗を低下させた半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明は、第1導電型半導体層11の表面側に配置された第1の第2導電型ウェル13aと、第1導電型半導体層11の表面側に配置された第2の第2導電型ウェル13b~13gと、ソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層14と、第1の第1導電型不純物拡散層14と隣接して配置された第2導電型不純物拡散層21と、第1導電型半導体層11上に配置されドレイン又はソースのコンタクト不純物拡散層15と、第2の第2導電型ウェル13b~13gに配置され、コンタクト不純物拡散層15側に位置する一つ以上の第1導電型半導体層11を含む分割領域11bと、第1導電型半導体層11の上に配置されたゲート絶縁膜16と、ゲート絶縁膜16上に配置されたゲート電極17を有する半導体装置である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型半導体層と、
前記第1導電型半導体層の表面側に配置された第1の第2導電型ウェルと、
前記第1導電型半導体層の表面側に配置された第2の第2導電型ウェルと、
前記第1の第2導電型ウェルの表面側に配置されたソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層と、
前記第1の第2導電型ウェルの表面側に配置され、前記第1の第1導電型不純物拡散層と隣接して配置された第2導電型不純物拡散層と、
前記第1導電型半導体層上に配置され、前記第2の第2導電型ウェルに対して前記第1の第2導電型ウェルと反対側に配置されたドレイン又はソースのコンタクト不純物拡散層と、
前記第2の第2導電型ウェルに配置され、前記コンタクト不純物拡散層側に位置する一つ以上の前記第1導電型半導体層を含む分割領域と、
前記ソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層と第2の第2導電型ウェルとの間の前記第1導電型半導体層の上に配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の第2導電型ウェル及び前記分割領域の上には第2の第1導電型不純物拡散層が配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1の第2導電型ウェルと前記第2の第2導電型ウェルは、同一工程により不純物が導入された同一の不純物濃度であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記第1導電型半導体層の下に配置された第2導電型半導体層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記第2の第2導電型ウェル及び前記分割領域の上には絶縁膜が配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記絶縁膜上には配線が配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1又は2において、
前記分割領域は前記第2の第2導電型ウェルに複数配置されており、
前記コンタクト不純物拡散層に近い側に位置する分割領域の幅は、前記コンタクト不純物拡散層から遠い側に位置する分割領域の幅より広いことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
第1導電型半導体層に第2導電型不純物を導入することにより、前記第1導電型半導体層に第1の第2導電型ウェル及び第2の第2導電型ウェルを形成する工程(a)と、
前記第1の第2導電型ウェル及び前記第1導電型半導体層に第1導電型不純物を導入することにより、前記第1の第2導電型ウェルの表面側にソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層を形成すると同時に、前記第1導電型半導体層の表面側に、前記第2の第2導電型ウェルの前記第1の第2導電型ウェルと反対側に位置するドレイン又はソースのコンタクト不純物拡散層を形成する工程(b)と、
前記ソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層の端部上及びこの端部と前記第2の第2導電型ウェルとの間の上にゲート絶縁膜を形成する工程(c)と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程(d)と、
を有し、
前記第2の第2導電型ウェルには、前記コンタクト不純物拡散層側に位置する一つ以上の前記第1導電型半導体層を含む分割領域が形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の半導体装置の一部を平面方向に切断した断面図である。
図4に示すように、従来の半導体装置としてのダブルリサーフ又はトリプルリサーフ構造のMOSはP型半導体基板(図示せず)を有し、このP型半導体基板の表面側にN型ウェル11が形成されている。N型ウェル11の表面側にはソース側の第1のP型ウェル12a及びドレイン側の第2のP型ウェル12bが形成されている。P型ウェル12aの表面側にはソースとしてのN型不純物拡散層(図示せず)が形成されており、N型ウェル11上にはドレインのN型不純物拡散層(図示せず)が形成されている。このN型不純物拡散層は、平面視において第2のP型ウェル12bに対して第1のP型ウェル12aと反対側に配置されている。ソースとしてのN型不純物拡散層と第2のP型ウェル12bとの間のN型ウェル11の上にはゲート絶縁膜(図示せず)が形成されており、このゲート絶縁膜上にはゲート電極(図示せず)が形成されている。これに関連する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
ところで、上記の従来の半導体装置では、第1のP型ウェル12aと第2のP型ウェル12bの各々の不純物濃度は同一であるため、オフ時の高耐圧を確保しつつオン抵抗を十分に低下させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-22678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の種々の態様は、オフ時の高耐圧を確保しつつオン抵抗を低下させた半導体装置又はその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0007】
[1]第1導電型半導体層と、
前記第1導電型半導体層の表面側に配置された第1の第2導電型ウェルと、
前記第1導電型半導体層の表面側に配置された第2の第2導電型ウェルと、
前記第1の第2導電型ウェル13aの表面側に配置されたソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層と、
前記第1の第2導電型ウェルの表面側に配置され、前記第1の第1導電型不純物拡散層と隣接して配置された第2導電型不純物拡散層と、
前記第1導電型半導体層上に配置され、前記第2の第2導電型ウェルに対して前記第1の第2導電型ウェルと反対側に配置されたドレイン又はソースのコンタクト不純物拡散層と、
前記第2の第2導電型ウェルに配置され、前記コンタクト不純物拡散層側に位置する一つ以上の前記第1導電型半導体層を含む分割領域と、
前記ソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層と第2の第2導電型ウェとの間の前記第1導電型半導体層の上に配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【0008】
本発明の一態様に係る上記[1]の半導体装置によれば、ドレイン又はソースのコンタクト不純物拡散層側に配置された分割領域を形成することにより、第2の第2導電型ウェルのドレイン又はソース側の濃度を低減することができる。これにより、第2の第2導電型ウェルにおけるドレイン又はソース側の第1導電型半導体層11の濃度を高めることができ、その結果、オン抵抗を低下させることができる。これとともに、オフ状態において、第2の第2導電型ウェルにおけるドレイン又はソース側の分割領域に多数のN型のキャリアが残存することになり、N型のキャリアが多数存在するドレイン端部近傍で電界が緩和するため、オフ時の高耐圧を確保することが可能となる。
【0009】
[2]上記[1]において、
前記第2の第2導電型ウェル及び前記分割領域の上には第2の第1導電型不純物拡散層が配置されていることを特徴とする半導体装置。
【0010】
[3]上記[1]又は[2]において、
前記第1の第2導電型ウェルと前記第2の第2導電型ウェルは、同一工程により不純物が導入された同一の不純物濃度であることを特徴とする半導体装置。
【0011】
本発明の一態様に係る上記[3]の半導体装置によれば、第1の第2導電型ウェルと第2の第2導電型ウェルが、同一工程により不純物が導入された同一の不純物濃度であるため、工程数を増加させることなく、オン抵抗を低下させることができ、オフ時の高耐圧を確保することが可能となる。
【0012】
[4]上記[1]又は[2]において、
第1導電型半導体層の下に配置された第2導電型半導体層であることを特徴とする半導体装置。
【0013】
[5]上記[1]又は[2]において、
前記第2の第2導電型ウェル及び前記分割領域の上には絶縁膜が配置されていることを特徴とする半導体装置。
【0014】
[6]上記[5]において、
前記絶縁膜上には配線が配置されていることを特徴とする半導体装置。
【0015】
[7]上記[1]又は[2]において、
前記分割領域は前記第2の第2導電型ウェルに複数配置されており、
前記コンタクト不純物拡散層に近い側に位置する分割領域の幅は、前記コンタクト不純物拡散層から遠い側に位置する分割領域の幅より広いことを特徴とする半導体装置。
【0016】
本発明の一態様に係る上記[7]の半導体装置によれば、コンタクト不純物拡散層に近い側に位置する分割領域の幅を、コンタクト不純物拡散層に遠い側に位置する分割領域の幅より広くすることで、コンタクト不純物拡散層に近い側の第2の第2導電型ウェルの不純物濃度を、コンタクト不純物拡散層に遠い側の第2の第2導電型ウェルの不純物濃度より低くすることができる。これにより、第2の第2導電型ウェルにおけるドレイン又はソース側の第1導電型半導体層の濃度を高めることができ、その結果、オン抵抗を低下させることができる。これとともに、オフ状態において、第2の第2導電型ウェルにおけるドレイン又はソース側の分割領域に多数のN型のキャリアが残存することになり、N型のキャリアが多数存在するドレイン端部近傍で電界が緩和するため、オフ時の高耐圧を確保することが可能となる。
【0017】
[8]第1導電型半導体層に第2導電型不純物を導入することにより、前記第1導電型半導体層に第1の第2導電型ウェル及び第2の第2導電型ウェルを形成する工程(a)と、
前記第1の第2導電型ウェル及び前記第1導電型半導体層に第1導電型不純物を導入することにより、前記第1の第2導電型ウェルの表面側にソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層を形成すると同時に、前記第1導電型半導体層の表面側に、前記第2の第2導電型ウェルの前記第1の第2導電型ウェルと反対側に位置するドレイン又はソースのコンタクト不純物拡散層を形成する工程(b)と、
前記ソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層の端部上及びこの端部と前記第2の第2導電型ウェルとの間の上にゲート絶縁膜を形成する工程(c)と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程(d)と、
を有し、
前記第2の第2導電型ウェルには、前記コンタクト不純物拡散層側に位置する一つ以上の前記第1導電型半導体層を含む分割領域が形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0018】
本発明の一態様に係る上記[8]の半導体装置の製造方法によれば、工程(a)により第1導電型半導体層に第2導電型不純物を導入することにより、前記第1導電型半導体層に第1の第2導電型ウェル及び第2の第2導電型ウェルを形成する。この際、第2の第2導電型ウェルには、コンタクト不純物拡散層側に位置する一つ以上の第1導電型半導体層を含む分割領域が形成されている。これにより、上記の一つの工程(a)により第2の第2導電型ウェルのドレイン又はソース側の濃度を低減することができる。つまり、工程数を増やすことなく、第2の第2導電型ウェルのドレイン又はソース側の濃度を低減することができる。よって、第2の第2導電型ウェルにおけるドレイン又はソース側の第1導電型半導体層11の濃度を高めることができ、その結果、オン抵抗を低下させることができる。これとともに、N型のキャリアが多数存在するドレイン端部近傍で電界が緩和するため、オフ時の高耐圧を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の種々の態様によれば、オフ時の高耐圧を確保しつつオン抵抗を低下させた半導体装置又はその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一態様に係る半導体装置の一部を平面方向に切断した断面図である。
図2図1に示す半導体装置のA-A'部を切断した部分に相当する断面図である。
図3図2に示す半導体装置の変形例を示す断面図である。
図4】従来の半導体装置の一部を平面方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一態様に係る半導体装置の一部を平面方向に切断した断面図である。詳細には、図1は、第1導電型半導体層(例えばN型ウェル)11、第1の第2導電型ウェル(例えば第1のP型ウェル)13a、及び第2の第2導電型ウェル(例えば第2のP型ウェル)13b~13gの平面形状を示している。図2は、図1に示す半導体装置のA-A'部を切断した部分に相当する断面図である。
【0023】
図2に示すように、この半導体装置は、トリプルリサーフ構造のMOSであって、第2導電型の半導体基板10を有している。第1導電型は例えばP型であり、この半導体基板はP型半導体基板(例えばP型シリコン基板(Pbulk))10である。
【0024】
P型半導体基板(「第2導電型半導体層」ともいう。)10の表面側には第1導電型半導体層11が形成されている。この第1導電型半導体層11はN型ウェルである。このN型ウェル11の表面側には第1の第2導電型ウェル13a及び第2の第2導電型ウェル13b~13gが形成されている。第1の第2導電型ウェル13aは第1のP型ウェルであり、第2の第2導電型ウェル13b~13gは第2のP型ウェルである。第1のP型ウェル13aと第2のP型ウェル13bとの間にはN型ウェル11からなる分離領域11aが形成されている。
【0025】
第2のP型ウェル13b~13gには一つ以上の分割領域11bが形成されている。この分割領域11bは、第2のP型ウェル13b~13gのコンタクト不純物拡散層15側に位置している。また分割領域11bは、その幅が短いと第2のP型ウェル13b~13gの各々の不純物がサイドへ熱拡散することで第2のP型ウェル13b~13gの少なくとも一つが隣の第2のP型ウェルに接触していてもよいし、第2のP型ウェル13b~13gが互いに接触しなくてもよい。なお、図2では、第2のP型ウェル13b~13gが互いに接触しない分割領域11bを示しており、この場合は第2のP型ウェル13b~13gにスリット状の分割領域11bが形成されることになる。
【0026】
第1のP型ウェル13aの表面側にはソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層(NSD)14が形成されており、この第1の第1導電型不純物拡散層14はN型不純物拡散層(例えばN型ソース拡散層)である。また第1のP型ウェル13aの表面側には第2導電型不純物拡散層21が形成されており、この第2導電型不純物拡散層21は例えばP型不純物拡散層である。このP型不純物拡散層21は第1の第1導電型不純物拡散層(N型ソース拡散層)14と隣接して配置されている。N型ソース拡散層14及びP型不純物拡散層21の上にはソース・バックゲート電極32bが形成されている。
【0027】
第1の第1導電型不純物拡散層(N型ソース拡散層)14と第2のP型ウェル13bとの間の第1のN型ウェル11の上にはゲート絶縁膜16が形成されている。このゲート絶縁膜16上にはゲート電極17が形成されている。このゲート電極17は配線32cに電気的に接続されている。
【0028】
また、N型ウェル11の表面側にはドレイン又はソースの第1導電型のコンタクト不純物拡散層15が形成されている。この第1導電型のコンタクト不純物拡散層15はN型不純物拡散層(例えばN型ドレインコンタクト層)である。このN型不純物拡散層15は、第2の第2導電型ウェル(第2のP型ウェル)13b~13gに対して第1の第2導電型ウェル(第1のP型ウェル)13aと反対側に配置されている。N型不純物拡散層15上には配線(例えばドレイン配線)32aが形成されており、ドレイン配線32aはN型不純物拡散層15及び配線20と電気的に接続されている。
【0029】
第2の第2導電型ウェル13b~13g、分割領域11b及びN型ウェル11の上には第2の第1導電型不純物拡散層18が配置されている。この第2の第1導電型不純物拡散層18は例えばN型不純物拡散層である。N型不純物拡散層18はN型不純物拡散層15と隣接して配置されている。
【0030】
このN型不純物拡散層18は、ドリフト部分の表面電界を均一化させるための所謂トリプルリサーフ構造を構成する層である。
【0031】
図2に示すように、第2の第2導電型ウェル13b~13g及び前記分割領域11bの上には絶縁膜19が形成されており、この絶縁膜19は例えばSiO膜等のフィールド酸化膜である。
【0032】
絶縁膜19上には配線20が形成されている。この配線20は、図2の紙面に対して垂直な方向に延び、リングを形成している。
【0033】
ゲート電極17及び絶縁膜19の上には層間絶縁膜29が形成されている。この層間絶縁膜29、配線32a,32c及びバックゲート電極32bの上には窒化シリコン膜(P-SiN)33が形成されている。窒化シリコン膜33上には保護膜としてのポリイミド膜(PI)34が形成されている。
【0034】
本実施形態によれば、コンタクト不純物拡散層15側に配置された分割領域11bを形成することにより、第2のP型ウェル13b~13gのドレイン側の濃度を低減することができる。これにより、第2のP型ウェル13b~13gにおけるドレイン側の第1のN型ウェル11の濃度を高めることができ、その結果、オン抵抗を低下させることができる。これとともに、オフ状態において、第2のP型ウェル13b~13gにおけるドレイン側の分割領域11bに多数のN型のキャリアが残存することになり、N型のキャリアが多数存在するドレイン端部近傍で電界が緩和するため、オフ時の高耐圧を確保することが可能となる(図1,2参照)。
【0035】
なお、本実施形態では、第2の第2導電型ウェル13b~13gに形成された複数の分割領域11bの幅を均一に形成しているが、これに限定されるものではなく、図3に示すように、コンタクト不純物拡散層15に近い側に位置する分割領域11bの幅を、コンタクト不純物拡散層15から遠い側に位置する分割領域11bの幅より広くするように変更して実施することも可能である。
【0036】
図3に示す変形例によれば、コンタクト不純物拡散層15に近い側に位置する分割領域11bの幅を、コンタクト不純物拡散層15に遠い側に位置する分割領域の幅より広くすることで、コンタクト不純物拡散層15に近い側の第2のP型ウェル13b~13gの不純物濃度を、コンタクト不純物拡散層15に遠い側の第2のP型ウェル13b~13gの不純物濃度より低くすることができる。これにより、第2のP型ウェル13b~13gにおけるドレイン側の第1のN型ウェル11の濃度を高めることができ、その結果、オン抵抗を低下させることができる。これとともに、オフ状態において、第2のP型ウェル13b~13gにおけるドレイン側の分割領域11bに多数のN型のキャリアが残存することになり、N型のキャリアが多数存在するドレイン端部近傍で電界が緩和するため、オフ時の高耐圧を確保することが可能となる。
【0037】
(第2の実施形態)
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法について説明する。この半導体装置の製造方法は、工程(a)から工程(d)を有する。
【0038】
まず、工程(a)について説明する。
図2に示すように、第1導電型半導体層(例えばN型ウェル)11に第2導電型不純物(例えばP型不純物)を導入することにより、N型ウェル11に第1の第2導電型ウェル(例えば第1のP型ウェル)13a及び第2の第2導電型ウェル(例えば第2のP型ウェル)13b~13gを形成する。
【0039】
次に、工程(b)について説明する。
第1のP型ウェル13a及びN型ウェル11に第1導電型不純物(例えばN型不純物)を導入することにより、第1の第2導電型ウェル13aの表面側にソース又はドレインの第1の第1導電型不純物拡散層(例えばN型ソース拡散層)14を形成すると同時に、N型ウェル11の表面側に、第2のP型ウェル13b~13gに対して第1のP型ウェル13aと反対側に位置するドレイン又はソースのコンタクト不純物拡散層(例えばN型ドレインコンタクト層)15を形成する。
【0040】
第2のP型ウェル13b~13gには、コンタクト不純物拡散層15側に位置する一つ以上のスリット状のN型ウェル11を含む分割領域11bが形成されている。図2では、分割領域11bは複数形成されている。分割領域11bはドット・市松模様にパターン形成されることもあり得る。
【0041】
また、第1のP型ウェル13aと第2のP型ウェル13b~13gは、同一工程により不純物が導入された同一の不純物濃度で形成されている。
【0042】
次に、工程(c)について説明する。
N型ソース拡散層14の端部上及びこの端部と第2のP型ウェル13b~13gとの間の上にゲート絶縁膜16を形成す。このゲート絶縁膜16は例えば酸化シリコン膜からなるゲート酸化膜であり、N型ウェル11は例えばシリコン基板に形成されたものである。
【0043】
次に、工程(d)について説明する。
ゲート絶縁膜16上にゲート電極17を形成する。このゲート電極17は、例えばポリシリコンによって形成されている。
【0044】
本実施形態によれば、第1のP型ウェル13aと第2のP型ウェル13b~13gが、同一工程により不純物が導入された同一の不純物濃度であるため、工程数を増加させることなく、オン抵抗を低下させることができ、オフ時の高耐圧を確保することが可能となる。詳細には、工程(a)によりN型ウェル11にP型不純物を導入することにより、N型ウェル11に第1のP型ウェル13a及び第2のP型ウェル13b~13gを形成する。この際、第2のP型ウェル13b~13gには、コンタクト不純物拡散層15側に位置する一つ以上のN型ウェル11を含む分割領域11bが形成されている。これにより、上記の一つの工程(a)により第2のP型ウェル13b~13gのドレイン側の濃度を低減することができる。つまり、工程数を増やすことなく、第2のP型ウェル13b~13gのドレイン側の濃度を低減することができる。よって、第2のP型ウェル13b~13gにおけるドレイン側のN型ウェル11の濃度を高めることができ、その結果、オン抵抗を低下させることができる。これとともに、N型のキャリアが多数存在するドレイン端部近傍で電界が緩和するため、オフ時の高耐圧を確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
10 第2導電型半導体層
11 第1導電型半導体層
11b 分割領域
13a 第1の第2導電型ウェル
13b~13g 第2の第2導電型ウェル
14 第1の第1導電型不純物拡散層
15 コンタクト不純物拡散層
16 ゲート絶縁膜
17 ゲート電極
18 第2の第1導電型不純物拡散層
19 絶縁膜
20 配線
21 第2導電型不純物拡散層
図1
図2
図3
図4