(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053680
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】発汗量推定システムおよび浴室内警告システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20240409BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20240409BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20240409BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20240409BHJP
F24H 15/265 20220101ALI20240409BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240409BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240409BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20240409BHJP
F24H 15/414 20220101ALI20240409BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20240409BHJP
F24F 120/10 20180101ALN20240409BHJP
【FI】
F24H15/196 301X
F24H15/10
F24H15/219
F24H15/269
F24H15/265
G08B25/04 K
G08B21/02
F24H15/395
F24H15/414
F24F11/63
F24F120:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160040
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】富久 大成
【テーマコード(参考)】
3L024
3L260
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3L024CC17
3L024FF15
3L024FF17
3L024FF18
3L024GG02
3L024GG06
3L024GG42
3L260AA02
3L260CA03
3L260CA05
3L260CA12
3L260CA13
3L260EA03
3L260EA22
3L260FB01
5C086AA22
5C086BA04
5C086CA17
5C086CA19
5C086CB01
5C086CB07
5C086DA40
5C086FA01
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA11
5C086FA12
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5C086FA17
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA11
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5C087AA19
5C087AA21
5C087AA25
5C087AA32
5C087AA44
5C087DD03
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5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】容易かつ精度良く発汗量を推定することを目的とする。
【解決手段】浴室を利用する利用者の発汗量を推定する発汗量推定システムであって、推定用環境情報9を取得する情報取得部と、利用者の利用者情報7および推定用環境情報9から推定用特徴量57を生成する推定用特徴量生成部と、所定の学習用環境情報8で入浴した際の発汗量である教師データ52および学習用特徴量51が紐付けられた複数の学習用入力データ53を機械学習することにより、推定用特徴量57が入力されると推定発汗量58を出力するように生成された学習済みモデル55を取得するモデル取得部と、推定用特徴量57を学習済みモデル55に入力することにより推定発汗量58を出力する発汗量推定部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室を利用する利用者の発汗量を推定する発汗量推定システムであって、
推定用環境情報を取得する情報取得部と、
前記利用者の利用者情報および前記推定用環境情報から推定用特徴量を生成する推定用特徴量生成部と、
所定の学習用環境情報で入浴した際の前記発汗量である教師データおよび学習用特徴量が紐付けられた複数の学習用入力データを機械学習することにより、前記推定用特徴量が入力されると推定発汗量を出力するように生成された学習済みモデルを取得するモデル取得部と、
前記推定用特徴量を前記学習済みモデルに入力することにより前記推定発汗量を出力する発汗量推定部とを備え、
前記学習用特徴量は前記利用者情報および前記学習用環境情報を含み、
前記利用者情報は、年齢、性別、および体重を含み、
前記推定用環境情報は、浴室温度、浴室湿度、浴槽温度、合計入浴時間、連続入浴時間、および浴室利用時間を含み、
前記学習用環境情報は、前記浴室温度、前記浴室湿度、前記浴槽温度、前記合計入浴時間、前記連続入浴時間、および前記浴室利用時間を含む発汗量推定システム。
【請求項2】
前記推定用環境情報は、所定の時間毎に継続的に取得され、
前記発汗量推定部は、継続的に前記推定発汗量を出力する請求項1に記載の発汗量推定システム。
【請求項3】
特徴量演算部をさらに備え、
前記学習済みモデルを用いて前記推定発汗量を出力するために、それぞれの前記推定用特徴量が与える影響度の大きさがあらかじめ測定され、
前記特徴量演算部は、前記影響度の大きさに応じた重み付けをそれぞれの前記推定用特徴量に付与する請求項1に記載の発汗量推定システム。
【請求項4】
前記情報取得部として、人感センサ、温度センサ、湿度センサ、湯温センサ、水圧センサ、体重計、およびタイマを含み、
前記浴室温度は前記温度センサで測定され、
前記浴室湿度は前記湿度センサで測定され、
前記浴槽温度は前記湯温センサで測定され、
前記合計入浴時間および前記連続入浴時間は、前記水圧センサの検出値の変化から算出される浴槽水位の変化と前記タイマとで求められる前記利用者が浴槽に浸かっている時間から算出され、
前記浴室利用時間は、前記人感センサおよび前記タイマで前記利用者が前記浴室にいる時間として求められる請求項1に記載の発汗量推定システム。
【請求項5】
前記情報取得部として撮像装置を含み、
前記推定用環境情報および前記学習用環境情報の少なくともいずれかは、前記撮像装置が撮影した画像を含む請求項1に記載の発汗量推定システム。
【請求項6】
前記モデル取得部は、前記学習用入力データを機械学習することにより、前記学習済みモデルを生成する請求項1に記載の発汗量推定システム。
【請求項7】
前記情報取得部は前記浴室に設けられ、
前記浴室とデータ通信するサーバに、前記モデル取得部、前記推定用特徴量生成部、および前記発汗量推定部が設けられる請求項1に記載の発汗量推定システム。
【請求項8】
前記学習済みモデルは、勾配ブースティング決定木モデルである請求項1に記載の発汗量推定システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の発汗量推定システムと、
報知部と、
前記推定発汗量が所定の閾値以上であるか否かを判定する発汗量判定部と、
前記推定発汗量が前記閾値以上であると前記発汗量判定部が判定した場合に、前記報知部に所定の警告を行わせる警告制御部とを備える浴室内警告システム。
【請求項10】
前記警告は、警告音の発報、警告灯の発光、表示部への表示、あらかじめ登録された携帯端末への通知のうちの少なくとも1つを含む請求項9に記載の浴室内警告システム。
【請求項11】
前記閾値は、前記利用者情報に応じて決定される請求項9に記載の浴室内警告システム。
【請求項12】
前記浴室に設けられる空調設備と、
前記空調設備を制御する浴室制御部とをさらに備え、
前記推定発汗量が前記閾値以上であると前記発汗量判定部が判定した場合に、前記浴室制御部は前記空調設備を作動させる請求項9に記載の浴室内警告システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の利用者の発汗量を推定する発汗量推定システム、および、発汗量推定システムにより推定された発汗量に基づいて体調に異変が生じる可能性を警告する浴室内警告システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室を利用する利用者は、浴室の温度や湿度または入浴等の環境の影響で発汗しやすい。発汗が多くなりすぎると、利用者は熱中症等により体調に異変が生じる場合がある。
【0003】
特許文献1には、人体に生体センサを装着することにより、入浴中と入浴していない間に測定された、活動量や体温等の変化から発汗量を取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、体調に異変が生じることを事前に予測する精度を向上させるために、発汗量をより容易かつ精度良く推定することが求められている。
【0006】
本発明は、容易かつ精度良く発汗量を推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る発汗量推定システムは、浴室を利用する利用者の発汗量を推定する発汗量推定システムであって、推定用環境情報を取得する情報取得部と、前記利用者の利用者情報および前記推定用環境情報から推定用特徴量を生成する推定用特徴量生成部と、所定の学習用環境情報で入浴した際の前記発汗量である教師データおよび学習用特徴量が紐付けられた複数の学習用入力データを機械学習することにより、前記推定用特徴量が入力されると推定発汗量を出力するように生成された学習済みモデルを取得するモデル取得部と、前記推定用特徴量を前記学習済みモデルに入力することにより前記推定発汗量を出力する発汗量推定部とを備え、前記学習用特徴量は前記利用者情報および前記学習用環境情報を含み、前記利用者情報は、年齢、性別、および体重を含み、前記推定用環境情報は、浴室温度、浴室湿度、浴槽温度、合計入浴時間、連続入浴時間、および浴室利用時間を含み、前記学習用環境情報は、前記浴室温度、前記浴室湿度、前記浴槽温度、前記合計入浴時間、前記連続入浴時間、および前記浴室利用時間を含む。
【0008】
このような構成により、利用者の特徴や浴室内の環境から、入浴中のまたは浴室内にいる使用者の発汗量を容易かつ精度良く推定することができる。
【0009】
特に、人の発汗に対する影響が大きな、利用者の年齢・性別・体重、および、浴室温度・浴室湿度・浴槽温度・合計入浴時間・連続入浴時間・浴室利用時間に基づいて発汗量を推定するため、より精度良く発汗量を推定することができる。
【0010】
また、前記推定用環境情報は、所定の時間毎に継続的に取得され、前記発汗量推定部は、継続的に前記推定発汗量を出力することが好ましい。
【0011】
利用者は入浴中に随時発汗し、発汗は多様に変化する環境情報の影響を強く受ける。上記構成によると、推定用環境情報が継続的に取得され、それに応じて推定発汗量も継続的に出力される。その結果、変化・増加する発汗量を確認することができると共に、精度良く発汗量を推定することができる。
【0012】
また、特徴量演算部をさらに備え、前記学習済みモデルを用いて前記推定発汗量を出力するために、それぞれの前記推定用特徴量が与える影響度の大きさがあらかじめ測定され、前記特徴量演算部は、前記影響度の大きさに応じた重み付けをそれぞれの前記推定用特徴量に付与することが好ましい。
【0013】
このような構成により、発汗への影響度が考慮された推定用特徴量を用いて発汗量の推定を行うことで、より精度良く発汗量を推定することができる。
【0014】
また、前記情報取得部として、人感センサ、温度センサ、湿度センサ、湯温センサ、水圧センサ、体重計、およびタイマを含み、前記浴室温度は前記温度センサで測定され、前記浴室湿度は前記湿度センサで測定され、前記浴槽温度は前記湯温センサで測定され、前記合計入浴時間および前記連続入浴時間は、前記水圧センサの検出値の変化から算出される浴槽水位の変化と前記タイマとで求められる前記利用者が浴槽に浸かっている時間から算出され、前記浴室利用時間は、前記人感センサおよび前記タイマで前記利用者が前記浴室にいる時間として求められてもよい。
【0015】
このような構成により、容易に推定用環境情報および学習用環境情報を取得することができ、容易に発汗量の推定を行うことができる。
【0016】
また、前記情報取得部として撮像装置を含み、前記推定用環境情報および前記学習用環境情報の少なくともいずれかは、前記撮像装置が撮影した画像を含んでもよい。
【0017】
画像により、利用者の頭、肩、まぶた等の動きを容易に確認することができる。利用者の動きが発汗量に影響することもあるため、利用者の動きを確認することにより、より精度良く発汗量を推定することができる。
【0018】
また、前記モデル取得部は、前記学習用入力データを機械学習することにより、前記学習済みモデルを生成してもよい。
【0019】
このような構成により、学習済みモデルを別途用意する必要がなくなり、容易に学習済みモデルを取得することができる。
【0020】
また、前記情報取得部は前記浴室に設けられ、前記浴室とデータ通信するサーバに、前記モデル取得部、前記推定用特徴量生成部、および前記発汗量推定部が設けられてもよい。
【0021】
このような構成により、大きな処理能力が必要となることのある、モデル取得部、推定用特徴量生成部、および発汗量推定部を、処理能力を大きくすることが容易なサーバに配置することができるため、浴室内の構成を簡易化することができる。
【0022】
また、前記学習済みモデルは、勾配ブースティング決定木モデルであってもよい。
【0023】
このような構成により、推定精度の高い学習済みモデルを生成することができる。
【0024】
さらに、本発明の一実施形態に係る浴室内警告システムは、前記発汗量推定システムと、報知部と、前記推定発汗量が所定の閾値以上であるか否かを判定する発汗量判定部と、前記推定発汗量が前記閾値以上であると前記発汗量判定部が判定した場合に、前記報知部に所定の警告を行わせる警告制御部とを備える。
【0025】
発汗量が多くなりすぎると、熱中症等により、利用者の体調に異変が生じる場合がある。上記構成によると、発汗量から体調に異変が生じる可能性を予測することができる。そして、体調に異変が生じる前に警告を行うことにより、利用者等に注意を促すことができる。
【0026】
また、前記警告は、警告音の発報、警告灯の発光、表示部への表示、あらかじめ登録された携帯端末への通知のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0027】
このような構成により、容易かつ、利用者または利用者を補助できる可能性のある者が気づきやすいように、注意を促すことができる。
【0028】
また、前記閾値は、前記利用者情報に応じて決定されてもよい。
【0029】
体調に異変が生じるに至る発汗量には個人差がある。上記構成により、利用者情報により特定された個人、または、利用者情報から推測される発汗量が体調に与える影響度に基づいて、発汗量から体調に異変が生じる可能性を予測することができる。そのため、体調に異変が生じる前に警告を行うことをより精度良く行うことができる。
【0030】
また、前記浴室に設けられる空調設備と、前記空調設備を制御する浴室制御部とをさらに備え、前記推定発汗量が前記閾値以上であると前記発汗量判定部が判定した場合に、前記浴室制御部は前記空調設備を作動させてもよい。
【0031】
このような構成により、利用者の発汗量が多くなると、空調設備は換気や送風、冷房等を行うことにより、発汗量を抑制するための動作を行うことができる。そのため、利用者の発汗量を抑制し、利用者の体調に異変が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】発汗量を推定する構成の概略を説明する図である。
【
図3】浴室内警告システムの概略構成を例示する図である。
【
図4】リモコンが備える記憶部に記憶される情報を説明する図である。
【
図5】サーバが備える記憶部に記憶される情報を説明する図である。
【
図6】学習済みモデルを生成するフローを例示する図である。
【
図7】推定発汗量を推定するフローを例示する図である。
【
図10】特徴量の影響度の大きさを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本実施形態における発汗量推定システムおよび浴室内警告システムについて、図面を参照しながら説明する。発汗量推定システムは、浴室を利用する利用者の発汗量を推定する。浴室内警告システムは、推定された発汗量に基づいて、利用者の体調に異変が生じる可能性があることを事前に予測して警告を行う。
【0034】
〔発汗量推定システムおよび浴室内警告システムの概要〕
図1~
図3に示されるように、浴室には、浴槽3、リモコン1、空調設備5、情報取得部6等が設けられる。
【0035】
浴槽3は湯が貯められ、利用者が入浴する。空調設備5は、浴室内の換気、冷暖房等を行うことができ、浴室乾燥機として機能することもできる。
【0036】
情報取得部6として、人感センサ12、温度センサ13、湿度センサ14、湯温センサ15、水圧センサ16、体重計17、タイマ18等が浴室内に設けられる。情報取得部6は、後述の推定用環境情報9および学習用環境情報8を取得する。
【0037】
図2に示されるように、発汗量推定システムは、あらかじめ生成された学習済みモデル55に推定用特徴量57を入力することにより、利用者の発汗量である推定発汗量58を推定する。
【0038】
学習済みモデル55は、学習用入力データ53を、AI60(Artificial Intelligence)に入力して機械学習を行わせることにより生成される。学習用入力データ53は、学習用特徴量51と教師データ52とが紐づけられた情報である。学習用特徴量51は、あらかじめ取得される利用者情報7および学習用環境情報8から生成される。
【0039】
学習済みモデル55を生成するための学習用入力データ53は、ある利用者が、ある環境で、実際に浴室で入浴した際に発汗した情報があらかじめ集められた複数の情報に基づいて生成される。1つの情報を収集した際の、利用者の利用者情報7と、入浴した環境である学習用環境情報8と、その際の発汗量である教師データ52とは、互いに紐付けられて記憶される。
【0040】
学習用入力データ53は、利用者情報7と、学習用環境情報8と、教師データ52とが紐づけられた組を複数組含む情報であってもよいが、利用者情報7と学習用環境情報8とは、後述のように、発汗に及ぼす影響が考慮された重み付けがそれぞれの情報毎に付与された学習用特徴量51であってもよい。この場合、学習用入力データ53は、学習用特徴量51と教師データ52とが紐づけられた組を複数組含む情報となる。
【0041】
推定用特徴量57は、利用者情報7および推定用環境情報9から生成される。推定用環境情報9は、発汗量の推定対象である利用者が入浴している際の各種の環境情報である。
【0042】
浴室内警告システムは、発汗量推定システムが推定した推定発汗量58に基づいて、利用者が熱中症を発症する等の、利用者の体調に異変が生じる可能性を予測する。そして、浴室内警告システムは、利用者の体調に異変が生じる可能性があると判断される場合、事前に所定の警告を行う。
【0043】
発汗量推定システムは、学習済みモデル55を用いて利用者の推定発汗量58を出力することにより、容易かつ精度良く推定発汗量58を推定することができる。
【0044】
浴室内警告システムは、精度良く推定された推定発汗量58に基づいて利用者の体調に異変が生じる可能性を予測することができるため、利用者の体調に異変が生じる前に警告を行い、利用者の体調に異変が生じることを抑制することができる。
【0045】
〔情報取得部〕
次に、
図1を参照しながら、
図2~
図5を用いて、情報取得部6、および、情報取得部6が取得する情報について説明する。
【0046】
人感センサ12は浴室内の人物等を検知し、タイマ18で利用者が浴室内にいる時間を測定することにより、浴室利用時間48を取得する。温度センサ13は、浴室内の温度である浴室温度41を取得する。湿度センサ14は、浴室内の湿度である浴室湿度42を取得する。例えば、温度センサ13および湿度センサ14は、浴室内の任意の位置に設けられてもよいし、空調設備5に設けられてもよい。湯温センサ15は、浴槽3の湯の温度である浴槽温度43を取得する。湯温センサ15は、浴槽3の湯の温度を測定できれば任意の位置に設けられてもよいが、例えば、浴槽3と給湯器との間の配管に設けられてもよい。湯温センサ15が浴槽3と給湯器との間の配管に設けられる場合、浴槽3へ供給される湯の給湯温度を測定することもできる。
【0047】
水圧センサ16は浴槽3の湯の水圧を測定し、水圧(検出値)から浴槽3の湯の水位(浴槽水位44)が求められる。水位は水圧センサ16が算出してもよいが、リモコン1またはリモコン1のプロセッサまたは任意の機能ブロックが算出してもよい。水圧センサ16は、浴槽3の湯の水圧を測定できれば任意の位置に設けられてもよいが、例えば、浴槽3と給湯器との間の配管に設けられてもよい。
【0048】
体重計17は、利用者の体重7Dを測定する。体重計17は、浴室を利用する利用者の体重7Dを測定できれば任意の位置に設けられてもよいが、例えば、浴室の扉の外側等といった浴室の入口付近に設けられてもよい。これにより、浴室に入室する直前の利用者の体重7Dを測定することができる。
【0049】
また、水圧センサ16により求められる水位の変化から利用者が浴槽3に浸かっているか否かが判定され、タイマ18により利用者が浴槽3に浸かっている時間が計測される。これにより、利用者が浴槽3に連続して入浴している連続入浴時間47、および、合計入浴時間46を取得することができる。
【0050】
〔リモコン〕
次に、発汗量推定システムおよび浴室内警告システムを構成するリモコン1について、
図1、
図2を参照しながら、
図3、
図4を用いて説明する。
【0051】
リモコン1は、給湯温度や給湯量の設定の受け付け・制御、空調設備5の設定の受け付け・制御、その他浴室における各種の設定の受け付け・制御を行う。リモコン1は、CPU等のプロセッサ(コンピュータ)を備え、プロセッサはリモコン1の各機能ブロックの制御を行う。リモコン1は複数設けられてもよく、浴室内、浴室の入口付近、その他の場所等の任意の位置に設けられてもよい。
【0052】
リモコン1は、操作部1A、表示部1B、スピーカー1C、警告灯1D、通信部31、推定用特徴量生成部33(特徴量演算部に相当)、浴室制御部34、発汗量判定部35、警告制御部36、記憶部38を備える。
【0053】
操作部1Aは、リモコン1に対する種々の操作を受け付ける。操作部1Aは、テンキー等の各種スイッチ、レバー、ダイヤル等の任意の操作具の組み合わせであってよく、表示部1Bに表示されるソフトウェアスイッチが含まれてもよい。
【0054】
表示部1Bは各種の情報を表示するモニタである。スピーカー1Cは音声情報、警告音等を発報する。警告灯1Dは、警告等の各種の情報を発光により表示する。通信部31は、後述のサーバ2や他のリモコン1とデータ通信を行う。通信部31は、スマートフォン等の携帯端末とデータ通信する構成としてもよい。
【0055】
推定用特徴量生成部33は、推定発汗量58を推定するための推定用特徴量57を生成し、記憶部38に格納する。浴室制御部34は、操作部1Aが受け付けた操作等に応じて、湯温や湯量等を調整し、空調設備5を制御する。
【0056】
発汗量判定部35は、推定発汗量58から、熱中症等の利用者の体調に異変が生じる可能性を予測する。
【0057】
警告制御部36は、利用者の体調に異変が生じる可能性がある場合、所定の警告を行う。警告制御部36は、表示部1B、スピーカー1C、および警告灯1Dの制御を行い、表示部1Bの表示、スピーカー1Cから発報される警告音や音声、警告灯1Dの発光等により警告を行う。
【0058】
記憶部38は、個人情報データベース10、体重7D、利用者情報7、推定用環境情報9、推定用特徴量57、および推定発汗量58を記憶する。
【0059】
個人情報データベース10は、複数の利用者の情報が記憶されたデータベースであり、利用者毎に、利用者情報7が紐付けられる。利用者情報7は、年齢7A、性別7B、体重7Dを含み、さらに、身長7Cを含んでもよい。つまり、個人情報データベース10は、利用者個人を特定することにより、その利用者の利用者情報7を特定することができる。
【0060】
体重7Dは、利用者が浴室に入出する際に体重計17で測定された利用者の体重である。体重7Dは、体重計17で測定される構成に限らず、利用者が操作部1Aから入力する構成であってもよい。
【0061】
推定用環境情報9は、情報取得部6が取得した、浴室温度41、浴室湿度42、浴槽温度43、合計入浴時間46、連続入浴時間47、浴室利用時間48である。さらに、推定用環境情報9は、情報取得部6が取得した浴槽水位44を含んでもよい。つまり、情報取得部6は、取得した情報を推定用環境情報9として記憶部38に格納する。
【0062】
推定用環境情報9は、利用者が浴室にいる間(入浴中)、所定の時間毎に(所定の間隔で)継続的に取得されることが好ましい。これにより、利用者の入浴中に継続して発汗量を推定することができる。例えば、推定用環境情報9は5秒毎に取得される。
【0063】
推定用特徴量57は、利用者情報7および推定用環境情報9に対して、発汗量を推定するのに与える影響度の大きさに応じた重み付けが付与された特徴量である。学習済みモデル55があらかじめ解析されて、利用者情報7および推定用環境情報9の各情報における発汗量を推定するのに与える影響度の大きさが求められる。例えば、重み付けは、推定結果の二乗平均平方根誤差が最小となるように、利用者情報7および推定用環境情報9の各情報のパラメータ(重み付け)を調整することにより求めることができる。推定用特徴量生成部33は、影響度の大きさに応じた重み付けを、利用者情報7および推定用環境情報9の各情報に対して付与する演算を行い、推定用特徴量57を生成して記憶部38に格納する。
【0064】
推定発汗量58は、後述のように、サーバ2にて推定された発汗量であり、通信部31を介してサーバ2から取得される。
【0065】
〔サーバ〕
次に、発汗量推定システムおよび浴室内警告システムを構成するサーバ2について、
図1、
図2を参照しながら、
図3、
図5を用いて説明する。
【0066】
サーバ2は、インターネット等の任意の通信回線を介してリモコン1とデータ通信可能な構成で設けられる。データ通信は、リモコン1と無線LAN等でデータ通信されるスマートフォン等の携帯端末を介して行われてもよい。また、サーバ2は、CPU等のプロセッサ(コンピュータ)を備え、プロセッサはサーバ2の各機能ブロックの制御を行う。
【0067】
サーバ2は、通信部21、学習用特徴量生成部23、学習用入力データ生成部24、学習部25、発汗量推定部27、記憶部28を備える。
【0068】
通信部21は、リモコン1の通信部31を介して、リモコン1とデータ通信を行う。具体的には、サーバ2は、通信部21および通信部31を介して、リモコン1から推定用特徴量57を受信し、リモコン1に推定発汗量58を送信する。学習用特徴量生成部23は、後述のように、あらかじめ取得された学習用データセット11から学習用特徴量51を演算する。
【0069】
学習用入力データ生成部24は、学習用特徴量51と教師データ52とを紐付けて学習用入力データ53を生成し、記憶部28に格納する。
【0070】
学習部25は、AI60を搭載し、学習用入力データ53をAI60に入力して機械学習することにより、学習済みモデル55を生成し、記憶部28に格納する。
【0071】
例えば、機械学習は、勾配ブースティング決定木モデル等の線形回帰モデルを用いて行われる。
【0072】
発汗量推定部27は、推定用特徴量57を学習済みモデル55に入力して、推定発汗量58を推定し、記憶部28に格納する。
【0073】
記憶部28は、学習用データセット11、学習用特徴量51、教師データ52、学習用入力データ53、学習済みモデル55、推定用特徴量57、および推定発汗量58を記憶する。
【0074】
学習用データセット11は、互いに紐付けられた利用者情報7および学習用環境情報8の組が複数組含まれる。利用者情報7は、年齢7A、性別7B、体重7Dを含み、さらに、身長7Cを含んでもよい。学習用環境情報8は、浴室温度41、浴室湿度42、浴槽温度43、浴槽水位44、合計入浴時間46、連続入浴時間47、浴室利用時間48を含む。
【0075】
学習用特徴量51は、推定用特徴量57と同様に、利用者情報7および学習用環境情報8に対して、発汗量を推定するのに与える影響度の大きさに応じた重み付けが付与された特徴量である。重み付けの大きさは推定用特徴量57と同様でもよいが、別途求められてもよい。学習用特徴量生成部23は、影響度の大きさに応じた重み付けを、利用者情報7および学習用環境情報8の各情報に対して付与する演算を行い、学習用特徴量51を生成して記憶部28に格納する。
【0076】
教師データ52は、互いに紐付けられた利用者情報7および学習用環境情報8の組の条件下で、利用者が実際に発汗した発汗量である。つまり、利用者情報7に対応する利用者が、あらかじめ学習用環境情報8に対応する環境下で入浴し、その際の発汗量が教師データ52となる。そして、複数人の利用者が種々の環境下で入浴した際の発汗量が求められ、利用者情報7および学習用環境情報8に対応する教師データ52の組が複数取得され、記憶部28に格納される。
【0077】
学習用入力データ53は、学習用特徴量51と学習用特徴量51に紐付けられた教師データ52とからなる組が、複数組集められたデータである。学習用入力データ生成部24は、それぞれの利用者情報7および学習用環境情報8に対応する、学習用特徴量51と教師データ52とを紐付けて学習用入力データ53を生成し、記憶部28に格納する。
【0078】
学習済みモデル55は、学習部25で生成されたモデルであり、推定用特徴量57が入力されることにより推定発汗量58を出力する。発汗量推定部27は、学習済みモデル55に推定用特徴量57を入力することにより、推定発汗量58を推定し、記憶部28に格納する。
【0079】
推定用特徴量57は、リモコン1で生成され、記憶された情報であり、通信部21を介して取得される。
【0080】
このような、詳細な利用者情報7および詳細な学習用環境情報8を用いて機械学習を行い、学習済みモデル55を生成するため、精度良く推定発汗量58を推定することができる。特に、利用者情報7および学習用環境情報8から、発汗量を推定するのに与える影響度の大きさに応じた重み付けが付与された学習用特徴量51を生成し、この学習用特徴量51を用いて機械学習を行って学習済みモデル55を生成するため、より精度良く推定発汗量58を推定することができる。
【0081】
なお、発汗量推定システムは、情報取得部6およびリモコン1の推定用特徴量生成部33、サーバ2の学習用特徴量生成部23・学習用入力データ生成部24・学習部25・発汗量推定部27から構成される。また、浴室内警告システムは、発汗量推定システムに加え、表示部1B、スピーカー1C、および警告灯1Dの少なくともいずれかを含む報知部と、リモコン1の発汗量判定部35および警告制御部36とを備える。
【0082】
〔発汗量推定システム〕
次に、
図1~
図5を参照しながら、
図6,
図7を用いて、学習済みモデル55の生成と推定発汗量58の推定からなる発汗量推定システムの処理について説明する。
【0083】
まず、学習済みモデル55を生成するために学習用データセット11が収集される(
図6のステップ#1)。具体的には、利用者(検証者)が実際に入浴し、発汗量が所定の方法で取得される。この発汗量が教師データ52とされる。この際、入浴の際の学習用環境情報8が取得される。また、利用者の利用者情報7が記憶される。そして、利用者情報7、学習用環境情報8、および教師データ52が紐づけられて記憶される。このような情報が、あらかじめ、異なる利用者、異なる環境において取得され、サーバ2の記憶部28に格納される。
【0084】
次に、学習用特徴量生成部23は、互いに紐付けられる複数の利用者情報7および学習用環境情報8からなる学習用データセット11から学習用特徴量51を演算(生成)し、記憶部28に格納する(
図6のステップ#2)。
【0085】
この際、あらかじめ、利用者情報7および学習用環境情報8を構成する情報毎に、発汗量(推定発汗量58)を推定することに対する影響度の大きさが任意の方法で求められる。例えば、過去に生成された学習済みモデル55を検証し、各情報の影響度が求められる。
【0086】
学習用特徴量生成部23は、この影響度の大きさに応じた重み付けを利用者情報7および学習用環境情報8を構成する各情報に付与する演算を行うことにより、学習用特徴量51を生成し、記憶部28に格納する。学習用特徴量51は、紐づけられた利用者情報7および学習用環境情報8のセット毎に生成される。
【0087】
次に、学習用入力データ生成部24は、学習用特徴量51の基になる利用者情報7および学習用環境情報8に紐づけられた教師データ52と、学習用特徴量51とを紐付けて学習用入力データ53を生成し、記憶部28に格納する(
図6のステップ#3)。これにより、あらかじめ収集された全ての学習用データセット11および教師データ52の全てが含まれる学習用入力データ53が生成される。
【0088】
次に、学習部25は、生成された学習用入力データ53をAI60に入力して機械学習させることにより、学習済みモデル55を生成する(
図6のステップ#4)。学習済みモデル55は、発汗量の推定に先立って生成され、記憶部28に格納される。
【0089】
この際、生成された学習済みモデル55を解析して推定発汗量58を推定することに対する影響度(重要度)の大きさが求められ、影響度の大きさが更新されてもよい。さらに、更新後の影響度の大きさを用いて、再度学習済みモデル55が生成されてもよい。
【0090】
このような学習済みモデル55が記憶部28に格納された状態で、利用者が浴室を利用する際に、入浴中の利用者の発汗量が推定される。
【0091】
まず、利用者は、リモコン1の操作部1Aを操作して、あらかじめ記憶部38に格納された個人情報データベース10から、自身の利用者情報7を読み出す(
図7のステップ#1)。読み出された利用者情報7は記憶部38に記憶される。利用者情報7は、年齢7A、性別7B、体重7Dであり、身長7Cが含まれてもよい。また、体重7Dは、浴室に入室する際に体重計17を用いて測定されてもよいし、操作部1Aを用いて入力されてもよい。また、年齢7A、性別7B、身長7Cも操作部1Aを用いて入力されてもよい。
【0092】
次に、情報取得部6により推定用環境情報9が取得され、記憶部38に格納される(
図7のステップ#2)。推定用環境情報9は、上述の、浴室温度41、浴室湿度42、浴槽温度43、合計入浴時間46、連続入浴時間47、浴室利用時間48であり、さらに、浴槽水位44を含んでもよい。
【0093】
なお、情報取得部6は、利用者が入浴している所定のタイミングで推定用環境情報9を取得してもよいが、5秒(所定の時間)毎に推定用環境情報9を継続的に取得することが好ましい。入浴中のあるタイミングで発汗量の推定を行うだけでは、その後に、発汗量が増加し、体調が悪化しても、それを検知することができない。継続的に推定用環境情報9を取得することにより、利用者が入浴中に、後述の、発汗量の推定と体調に異常が生じる可能性の判定とを継続的に行うことができる。その結果、より精度良く発汗量を推定し、体調に異常が生じる可能性を判定することができる。
【0094】
また、利用者が浴室から退室後に測定して得られる体重を浴室入室前の体重7Dから減算することで発汗量の実測値が得られる。すなわち、推定用環境情報9と利用者情報7から推定発汗量58を推定すると共に、発汗量推定に用いた各種情報を学習用入力データ53に追加し、前記発汗量の実測値を教師データ52として追加し、学習済みモデル55を更新することで、発汗量推定の精度を高めることができる。
【0095】
以上のように、実測発汗量および実測発汗量が得られた際の環境情報を学習用環境情報8として学習用入力データ53に追加して学習済みモデル55を更新することは、必ずしも必要ではないが、発汗量推定精度を向上させるために、任意のタイミングで実施することが好ましい。
【0096】
次に、推定用特徴量生成部33は、前述の影響度の大きさに応じた重み付けを利用者情報7および推定用環境情報9を構成する各情報に付与する演算を行うことにより、推定用特徴量57を生成し、記憶部38に出力する(
図7のステップ#3)。推定用特徴量生成部33は、継続的に推定用環境情報9が取得される場合、取得される度に推定用特徴量57を生成する。
【0097】
次に、リモコン1は、生成された推定用特徴量57を、通信部31を介してサーバ2に送信する。サーバ2は、送信された推定用特徴量57を、通信部21を介して受信し、記憶部28に格納する(
図7のステップ#4)。リモコン1は、推定用特徴量57が生成される度に、推定用特徴量57をサーバ2に送信する。
【0098】
次に、サーバ2の発汗量推定部27は推定用特徴量57から発汗量を推定する。具体的には、発汗量推定部27は、記憶部28に格納された学習済みモデル55に、受信した推定用特徴量57を入力することにより、推定発汗量58を出力させる(
図7のステップ#5)。サーバ2の発汗量推定部27は、推定用特徴量57受信する度に推定発汗量58を推定する。
【0099】
そして、サーバ2は、通信部21を介して、出力された推定発汗量58をリモコン1に送信する(
図7のステップ#6)。サーバ2は、推定発汗量58が出力される度に、推定発汗量58をリモコン1に送信する。
【0100】
〔浴室内警告システム〕
次に、
図1~
図5を参照しながら、
図8を用いて、浴室内警告システムの処理について説明する。
【0101】
まず、リモコン1は、送信された推定発汗量58を、通信部31を介して受信し、記憶部38に格納する(
図8のステップ#1)。
【0102】
次に、リモコン1の発汗量判定部35は、推定発汗量58から、利用者が熱中症等により体調に異常が生じる可能性がある状態であるか否かの判定を行う(
図8のステップ#2)。具体的には、発汗量判定部35は、推定発汗量58が、あらかじめ定められた閾値以上であるか否かを確認し、推定発汗量58が閾値以上の場合、体調に異常が生じる可能性があると判定する。発汗量判定部35は、推定発汗量58を受信する度に、体調に異常が生じる可能性がある状態であるか否かの判定を行う。なお、閾値は、熱中症等を発症するおそれのある発汗量であり、例えば、体重7Dの3%の発汗量とすることができる。
【0103】
なお、閾値は複数用意され、閾値に応じて、異常が生じる可能性の高さを判定してもよい。また、閾値は、利用者情報7に応じて決定されてもよく、閾値として所定の関数が用いられてもよい。
【0104】
次に、警告制御部36は、判定結果に基づいて、必要に応じて所定の報知部により警告を行う。警告制御部36は、推定発汗量58が閾値より小さい場合(
図8のステップ#2 No)、警告を行わず、次の判定結果を待つ。
【0105】
推定発汗量58が閾値以上の場合(
図8のステップ#2 Yes)、警告制御部36は、報知部に警告を行わせる(
図8のステップ#3)。
【0106】
報知部は、例えば、表示部1B、スピーカー1Cおよび警告灯1Dの少なくともいずれかである。表示部1Bは、警告として、警告を示す文字や絵柄等を表示する。スピーカー1Cは、警告として警告音や音声を発報する。警告灯1Dは、警告として、点灯や点滅等の所定の発光を行う。また、これらの警告は、浴室内のリモコン1以外のリモコン1においても行われることが好ましい。また、警告は、利用者の家族等の別の人物が所持するスマートフォン等の携帯端末で行われてもよい。利用者以外の者が警告を受け取ることにより、利用者が自力で対処できない場合でも、警告を受け取った者が適切な対応を行うことができる。
【0107】
また、異常が生じる可能性の高さが判定された場合、表示内容、警告音、発光色や発光パターンが、可能性の高さに応じて変更される。
【0108】
このように、利用者の体調に異常が生じる前に、事前に、異常が生じる可能性があることの警告が行われる。これにより、利用者または他の者が、利用者に異常が生じる前に適切な対応を行うことができる。
【0109】
さらに、浴室制御部34は、推定発汗量58が閾値以上の場合(
図8のステップ#2 Yes)、空調設備5を制御して換気や送風、冷房の開始を行ってもよく、給湯温度を低下させてもよい。これにより、利用者の体調が悪化することを抑制することができる。
【0110】
〔予測精度〕
図9に示すように、学習用入力データ53の相互検証を行った結果、学習済みモデル55を用いた推定発汗量58の推定精度は良好であった。
【0111】
すなわち、残差分析を行った結果、推定された発汗量(推定量)によらず、大きな推定誤差は認められず、誤差の分布も誤差が0の近傍に集まる結果であった。
【0112】
また、学習済みモデル55を解析した結果、各特徴量の推定に対する影響度(重要度)は、
図10に示すような結果となった。
図10に示されるように、影響度は、大きい順に、判定時浴室温度、身長7C、後述の初期浴室湿度、体重7D・・・となることが分かる。
【0113】
学習用特徴量51および推定用特徴量57の重み付けは、
図10に示されるような重要度に応じて付与される。
【0114】
〔別実施形態〕
(1)学習用環境情報8および推定用環境情報9のいずれかは、利用者の体積、浴槽3のサイズ、給湯温度の少なくともいずれかを含んでもよい。利用者の体積は、水圧センサ16の変化によって求められる水位の変化から算出される。浴槽3のサイズは、浴槽3に入る湯の量、浴槽3の深さ、浴槽3の長さ、および浴槽3の幅の少なくともいずれかである。給湯温度は、利用者が入浴中に浴槽3に給湯される湯の温度である。さらに、学習用環境情報8および推定用環境情報9のいずれかは、その他の種々の情報を含んでもよい。学習用環境情報8および推定用環境情報9のいずれかにこれらの情報が含まれることにより、より精度良く学習済みモデル55の生成、および推定発汗量58の推定を行うことができる。
【0115】
(2)学習用環境情報8および推定用環境情報9のいずれかにおける浴室温度41は、所定のタイミング、例えば所定の時間毎に測定された浴室の温度(判定時浴室温度)の他に、利用者が浴室に入室した際の浴室の温度(初期浴室温度)が含まれてもよい。同様に、学習用環境情報8および推定用環境情報9のいずれかにおける浴室湿度42は、所定のタイミング、例えば所定の時間毎に測定された浴室の湿度(判定時浴室湿度)の他に、利用者が浴室に入室した際の浴室の湿度(初期浴室湿度)が含まれてもよい。また、学習用環境情報8および推定用環境情報9のいずれかにおける浴槽温度43は、所定のタイミング、例えば所定の時間毎に測定された浴槽3の温度(判定時浴槽温度)の他に、利用者が浴室に入室した際の浴槽3の温度(初期浴槽温度)が含まれてもよい。これにより、より精度良く学習済みモデル55の生成、および推定発汗量58の推定を行うことができる。
【0116】
(3)情報取得部6は、撮像装置を含んでもよい。そして、学習用環境情報8および推定用環境情報9のいずれかに、撮像装置が撮影した画像が含まれてもよい。画像により、利用者の頭、肩、まぶた等の動きを容易に確認することができる。利用者の動きが発汗量に影響することもあり、発汗量が利用者の動きに影響することもあるため、利用者の動きを確認することにより、より精度良く学習済みモデル55の生成、および推定発汗量58の推定を行うことができる。
【0117】
(4)推定用特徴量生成部33、発汗量判定部35および警告制御部36の少なくともいずれかは、リモコン1ではなくサーバ2に設けられてもよい。つまり、リモコン1は、利用者情報7および推定用環境情報9をサーバ2に送信してもよい。サーバ2は、推定用特徴量57を生成し、推定発汗量58を推定後、推定発汗量58の判定結果に応じて警告のための制御信号を生成し、制御信号をリモコン1に送信してもよい。そして、リモコン1は、制御信号を受信し、制御信号に従って所定の警告を行う。
【0118】
このような構成により、リモコン1の構成を簡易化することができ、効率的な構成で、推定発汗量58の推定、および、必要な警告を行うことができる。
【0119】
逆に、学習済みモデル55はサーバ2ではなく、リモコン1に記憶されてもよい。この場合、発汗量推定部27も、サーバ2ではなく、リモコン1に設けられる。そして、リモコン1において、推定用特徴量57が学習済みモデル55に入力されて推定発汗量58の推定が行われる。
【0120】
このような構成により、リモコン1において最適なシステムを容易に構成することができる。
【0121】
(5)学習用特徴量生成部23、学習用入力データ生成部24、および学習部25は、サーバ2ではなく、リモコン1に設けられてもよい。つまり、学習済みモデル55は、サーバ2ではなく、リモコン1で生成されてもよい。
【0122】
このような構成により、浴室および浴室を利用する利用者に特化した学習済みモデル55を容易に生成することができ、より精度良く学習済みモデル55の生成、および推定発汗量58の推定を行うことができる。
【0123】
(6)学習済みモデル55はサーバ2で生成する構成に限らず、サーバ2は、別途生成された学習済みモデル55を取得する構成であってもよい。つまり、サーバ2の学習部25は学習済みモデル55を生成してもよく、学習済みモデル55を取得するモデル取得部として機能してもよい。この場合、発汗量推定システムは、学習用特徴量生成部23・学習用入力データ生成部24・学習部25に代わりモデル取得部を備える。さらに、学習済みモデル55および発汗量推定部27はリモコン1に設けられてもよく、学習済みモデル55はリモコン1で生成されても、別途生成されてリモコン1に送信されてもよい。
【0124】
このような構成により、システム構成を簡易化することができる。
【0125】
(7)リモコン1およびサーバ2の少なくともいずれかは、
図3に示すような機能ブロックから構成されるものに限定されず、任意の機能ブロックから構成されてもよい。例えば、リモコン1およびサーバ2の少なくともいずれかの各機能ブロックはさらに細分化されてもよく、逆に、各機能ブロックの一部または全部がまとめられてもよい。また、リモコン1およびサーバ2の少なくともいずれかの機能は、上記機能ブロックに限らず、任意の機能ブロックが実行する方法により実現されてもよい。また、リモコン1およびサーバ2の機能の一部または全部は、ソフトウエアで構成されてもよい。ソフトウエアに係るプログラムは、記憶部28または記憶部38等の任意の記憶装置に記憶され、リモコン1またはサーバ2が備えるCPU等のプロセッサ、あるいは別に設けられたプロセッサにより実行される。
【0126】
なお、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、浴室の利用者の発汗量を推定する際、または、発汗量に基づいて体調に異変が生じる可能性を警告する際に適用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 リモコン
2 サーバ
6 情報取得部
7 利用者情報
8 学習用環境情報
9 推定用環境情報
23 学習用特徴量生成部
24 学習用入力データ生成部
25 学習部
27 発汗量推定部
33 推定用特徴量生成部(特徴量演算部)
35 発汗量判定部
36 警告制御部
51 学習用特徴量
52 教師データ
53 学習用入力データ
55 学習済みモデル
57 推定用特徴量
58 推定発汗量
60 AI