(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053690
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】車両始動システムおよび車両始動方法
(51)【国際特許分類】
B60R 25/04 20130101AFI20240409BHJP
【FI】
B60R25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160063
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】飯ケ谷 好亮
(57)【要約】
【課題】運転免許証情報が流出する可能性を低減させることができる車両始動システムおよび車両始動方法を提供する。
【解決手段】携帯型の電子デバイスは、ユーザーの運転免許証情報を記憶する運転免許証記憶部を有する。車両認証装置は、車両に設けられ、車検証情報を記憶する車検証記憶部を有する。車両制御装置は、前記車両に設けられる。前記車両認証装置は、前記運転免許証記憶部から取得された前記運転免許証情報と、前記車検証記憶部に記憶されている前記車検証情報とを使用することにより前記ユーザーが正当な運転者であるか否かを判断する。前記ユーザーが正当な運転者であると判断された場合、前記車両制御装置は、前記車両のエンジンを始動させる処理を開始する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの運転免許証情報を記憶する運転免許証記憶部を有する携帯型の電子デバイスと、
車両に設けられ、車検証情報を記憶する車検証記憶部を有する車両認証装置と、
前記車両に設けられた車両制御装置と、
を備え、
前記車両認証装置は、前記運転免許証記憶部から取得された前記運転免許証情報と、前記車検証記憶部に記憶されている前記車検証情報とを使用することにより前記ユーザーが正当な運転者であるか否かを判断し、
前記ユーザーが正当な運転者であると判断された場合、前記車両制御装置は、前記車両のエンジンを始動させる処理を開始する車両始動システム。
【請求項2】
前記運転免許証記憶部は、前記ユーザーの識別情報を記憶し、
前記電子デバイスは、本人確認要求を前記車両制御装置から受けたとき、前記電子デバイスに入力された情報と、前記運転免許証記憶部に記憶されている前記識別情報とを使用することにより前記電子デバイスの使用者が前記ユーザーと一致するか否かを判断する処理部を有し、
前記使用者が前記ユーザーと一致すると判断された場合、前記車両認証装置は、前記ユーザーが正当な運転者であるか否かを判断する
請求項1に記載の車両始動システム。
【請求項3】
前記車両認証装置は、前記運転免許証記憶部にアクセスし、前記運転免許証情報を前記運転免許証記憶部から取得する請求項2に記載の車両始動システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記運転免許証記憶部に記憶されている前記運転免許証情報を前記車両認証装置に送信し、
前記車両認証装置は、前記運転免許証情報を前記処理部から受信する
請求項2に記載の車両始動システム。
【請求項5】
前記ユーザーと異なるフレンドの第2の運転免許証情報を記憶する第2の運転免許証記憶部を有する携帯型の第2の電子デバイスを備え、
前記車両認証装置は、前記第2の運転免許証記憶部から取得された前記第2の運転免許証情報と、前記車検証記憶部に記憶されている前記車検証情報とを使用することにより前記フレンドが正当な運転者であるか否かを判断し、
前記フレンドが正当な運転者であると判断された場合、前記車両制御装置は、前記エンジンを始動させる処理を開始する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両始動システム。
【請求項6】
前記電子デバイスは、前記フレンド用の前記車検証情報として設定される情報を前記車両認証装置に送信し、
前記車両認証装置は、前記電子デバイスから受信された前記情報に基づいて、前記車検証記憶部に記憶される前記フレンド用の前記車検証情報を設定する
請求項5に記載の車両始動システム。
【請求項7】
ユーザーの運転免許証情報を記憶する運転免許証記憶部を有する携帯型の電子デバイスと、
車両に設けられ、車検証情報を記憶する車検証記憶部を有する車両認証装置と、
前記車両に設けられた車両制御装置と、
を備える車両始動システムにおける車両始動方法であって、
前記車両認証装置が、前記運転免許証記憶部から取得された前記運転免許証情報と、前記車検証記憶部に記憶されている前記車検証情報とを使用することにより前記ユーザーが正当な運転者であるか否かを判断するステップと、
前記ユーザーが正当な運転者であると判断された場合、前記車両制御装置が、前記車両のエンジンを始動させる処理を開始するステップと、
を備える車両始動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両始動システムおよび車両始動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転免許証情報と車両に関する情報とを使用することにより、運転者が車両を運転する条件を満たしているか否かを判断する車載装置が開示されている。この車載装置では、運転免許証情報は運転免許証のICカードに記録され、車両に関する情報は、運転免許証のICカードと異なるICカードに記録されている。車載装置は、運転免許証情報と車両に関する情報とを各ICカードから読み取るカードリーダを有する。運転者が車両を運転する条件を満たしていると判断された場合、車載装置は車両のエンジンを始動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の車載装置では、運転免許証情報がICカードに記録されている。ICカードがカードリーダの挿入口に挿入されたまま車両が盗難または売却された場合、運転免許証情報が流出する可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたもので、運転免許証情報が流出する可能性を低減させることができる車両始動システムおよび車両始動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザーの運転免許証情報を記憶する運転免許証記憶部を有する携帯型の電子デバイスと、車両に設けられ、車検証情報を記憶する車検証記憶部を有する車両認証装置と、前記車両に設けられた車両制御装置と、を備え、前記車両認証装置は、前記運転免許証記憶部から取得された前記運転免許証情報と、前記車検証記憶部に記憶されている前記車検証情報とを使用することにより前記ユーザーが正当な運転者であるか否かを判断し、前記ユーザーが正当な運転者であると判断された場合、前記車両制御装置は、前記車両のエンジンを始動させる処理を開始する車両始動システムである。
【0007】
本発明は、ユーザーの運転免許証情報を記憶する運転免許証記憶部を有する携帯型の電子デバイスと、車両に設けられ、車検証情報を記憶する車検証記憶部を有する車両認証装置と、前記車両に設けられた車両制御装置と、を備える車両始動システムにおける車両始動方法であって、前記車両認証装置が、前記運転免許証記憶部から取得された前記運転免許証情報と、前記車検証記憶部に記憶されている前記車検証情報とを使用することにより前記ユーザーが正当な運転者であるか否かを判断するステップと、前記ユーザーが正当な運転者であると判断された場合、前記車両制御装置が、前記車両のエンジンを始動させる処理を開始するステップと、を備える車両始動方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両始動システムおよび車両始動方法は、運転免許証情報が流出する可能性を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態による車両始動システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態による車両始動システムが有する電子デバイスの構成の例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態による車両始動システムが有する車両認証装置の構成の例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態による車両始動システムの動作の例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による車両始動システムの動作の例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態による車両始動システムの動作の例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による車両始動システムの動作の例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態による車両始動システムの動作の例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態の変形例による車両始動システムの動作の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態による車両始動システム1の構成の例を示す。車両始動システム1は、電子デバイス10、車両認証装置20、および車両制御装置30を有する。
【0011】
電子デバイス10は、スマートフォンまたはタブレット端末のような携帯端末である。電子デバイス10は、車両認証装置20および車両制御装置30と通信を実行する。また、電子デバイス10は、車両の所有者であるユーザーの運転免許証情報を運転免許証40から読み取る。運転免許証40は、ICカードである。
【0012】
車両認証装置20は、車両に設けられている。車両認証装置20は、電子デバイス10および車両制御装置30と通信を実行する。また、車両認証装置20は、車検証情報を車検証50から読み取る。車検証50は、ICカードである。
【0013】
車両制御装置30は、車両に設けられている。例えば、車両制御装置30は、MCU(Micro Controller Unit)である。車両制御装置30は、電子デバイス10および車両認証装置20と通信を実行する。車両認証装置20および車両制御装置30は、一体化されてもよい。
【0014】
図2は、電子デバイス10の構成の例を示す。電子デバイス10は、車両鍵アプリ100、通信部110、カード通信部120、および運転免許証記憶部130を有する。
【0015】
車両鍵アプリ100は、運転免許証記憶部130に記憶された車両鍵アプリのプログラムをCPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサが実行することにより動作する。車両鍵アプリ100は、本人確認処理を実行し、電子デバイス10の使用者の本人性を確認する。つまり、車両鍵アプリ100は、電子デバイス10の使用者が、運転免許証40に登録されているユーザー(登録ユーザー)と一致するか否かを判断する。
【0016】
通信部110は、車両認証装置20および車両制御装置30と通信を実行する。通信部110は、車両認証装置20と無線通信を実行する第1の通信部と、車両制御装置30と無線通信を実行する第2の通信部とを有してもよい。
【0017】
カード通信部120は、運転免許証40と通信を実行する。運転免許証情報が運転免許証40に記録されている。運転免許証情報は、車両の車種を示す車種情報、運転免許証の更新期限を示す期限情報、およびユーザーの名前情報などを含む。例えば、カード通信部120は、BLEなどの近距離無線通信(NFC)を運転免許証40と実行し、運転免許証情報を運転免許証40から読み取る。
【0018】
運転免許証記憶部130は、フラッシュメモリなどの記憶媒体を有する。運転免許証記憶部130は、カード通信部120によって運転免許証40から読み取られた運転免許証情報と、車両鍵アプリのプログラムと、本人確認情報とを記憶する。車両鍵アプリのプログラムは、車両鍵アプリ100の機能を実現するためのプログラムコードを含む。本人確認情報は、ユーザーを識別するために使用されるパスワードまたは生体情報などである。生体情報は、顔画像または指紋情報などである。運転免許証情報は、運転免許証記憶部130内のセキュアエレメント(SE)130aに記憶されており、安全に保護されている。
【0019】
図3は、車両認証装置20の構成の例を示す。車両認証装置20は、認証部200、通信部210、カード通信部220、および車検証記憶部230を有する。
【0020】
認証部200は、認証部200の機能を実現するためのプログラムコードを含むプログラムをプロセッサが実行することにより動作する。認証部200は、運転免許証情報を電子デバイス10の運転免許証記憶部130から取得する。認証部200は、運転免許証記憶部130から取得された運転免許証情報と、車検証記憶部230に記憶されている車検証情報とを使用することにより電子デバイス10の使用者の正当性を検証する。つまり、認証部200は、電子デバイス10の使用者が正当な運転者であるか否かを判断する。
【0021】
通信部210は、電子デバイス10および車両制御装置30と通信を実行する。通信部210は、電子デバイス10と無線通信を実行する第1の通信部と、車両制御装置30と無線通信または有線通信を実行する第2の通信部とを有してもよい。
【0022】
カード通信部220は、車検証50と通信を実行する。車検証情報が車検証50に記録されている。車検証情報は、車両の車種を示す車種情報、自動車検査証の期限を示す期限情報、および車両の所有者を示す所有者情報などを含む。例えば、カード通信部220は、BLEなどの近距離無線通信(NFC)のような非接触型の通信または接触型の通信を車検証50と実行し、車検証情報を車検証50から読み取る。
【0023】
車検証記憶部230は、フラッシュメモリなどの記憶媒体を有する。車検証記憶部230は、カード通信部220によって車検証50から読み取られた車検証情報を記憶する。
【0024】
図4から
図8を使用することにより、車両始動システム1の動作を説明する。
図4は、車検証情報を車両に登録するための動作の例を示す。
図4に示す動作は、ユーザーが車両を始動させる前に実行される。
【0025】
(ステップS100)
車両認証装置20のカード通信部220は、車検証情報を要求するための車検証情報要求を車検証50に送信する。車検証50は、車検証情報要求を車両認証装置20から受信する。
【0026】
(ステップS105)
車検証50は、車検証情報を含む車検証情報応答を車両認証装置20に送信する。車両認証装置20のカード通信部220は、車検証情報応答を車検証50から受信する。
【0027】
(ステップS110)
車検証記憶部230は、車検証情報応答に含まれる車検証情報を記憶する。
【0028】
図5は、運転免許証情報を電子デバイス10に登録するための動作の例を示す。
図5に示す動作は、ユーザーが車両を始動させる前に実行される。
【0029】
(ステップS200)
電子デバイス10のカード通信部120は、運転免許証情報を要求するため運転免許証情報要求を運転免許証40に送信する。運転免許証40は、運転免許証情報要求を電子デバイス10から受信する。
【0030】
(ステップS205)
運転免許証40は、運転免許証情報を含む運転免許証情報応答を電子デバイス10に送信する。電子デバイス10のカード通信部120は、運転免許証情報応答を運転免許証40から受信する。
【0031】
(ステップS210)
運転免許証記憶部130は、運転免許証情報応答に含まれる運転免許証情報を記憶する。このとき、運転免許証情報は、車両鍵アプリ100と関連付けられる。
【0032】
図6は、車両鍵アプリ100と車両制御装置30とのペアリングを実行するための動作の例を示す。ユーザーが車両を始動させるためには、車両鍵アプリ100と車両制御装置30とを互いにペアリングさせる必要がある。
図6に示す動作は、ユーザーが車両を始動させる前に実行される。
【0033】
(ステップS300)
車両鍵アプリ100は、ペアリングの実行を要求するためのペアリング要求を、通信部110を使用することにより車両制御装置30に送信する。車両制御装置30は、ペアリング要求を車両鍵アプリ100から受信する。
【0034】
(ステップS305)
車両制御装置30は、ペアリング応答を車両鍵アプリ100に送信する。車両鍵アプリ100は、通信部110を使用することによりペアリング応答を車両制御装置30から受信する。これにより、車両鍵アプリ100と車両制御装置30とが互いに関連付けられる。
【0035】
(ステップS310)
車両鍵アプリ100は、車両鍵アプリ100を識別するIDなどを使用することにより車両鍵を生成する。生成された車両鍵は、運転免許証記憶部130内のSE130aに保存される。
【0036】
図7は、ユーザーが車両を始動させるときの車両始動システム1の動作の第1の例を示す。
【0037】
(ステップS400)
車両鍵アプリ100は、通信部110を使用することによりトランザクション開始通知を車両制御装置30に送信する。車両制御装置30は、トランザクション開始通知を車両鍵アプリ100から受信する。
【0038】
(ステップS405)
車両制御装置30は、本人確認処理の実行を要求するための本人確認要求を、通信部110を使用することにより車両鍵アプリ100に送信する。車両鍵アプリ100は、本人確認要求を車両制御装置30から受信する。
【0039】
(ステップS410)
車両鍵アプリ100は、本人確認処理を実行する。例えば、ユーザーは、パスワードまたは生体情報などを電子デバイス10に入力する。車両鍵アプリ100は、電子デバイス10に入力された情報が、運転免許証記憶部130に記憶されている本人確認情報と一致するか否かを判断する。これにより、車両鍵アプリ100は、電子デバイス10の使用者が登録ユーザーと一致するか否かを判断する。
【0040】
電子デバイス10に入力された情報が本人確認情報と一致する場合、車両鍵アプリ100は、電子デバイス10の使用者が登録ユーザーと一致すると判断する。電子デバイス10に入力された情報が本人確認情報と一致しない場合、車両鍵アプリ100は、電子デバイス10の使用者が登録ユーザーと一致しないと判断する。
【0041】
(ステップS415)
車両鍵アプリ100は、本人確認処理の結果を示す本人確認結果を、通信部110を使用することにより車両制御装置30に送信する。車両制御装置30は、本人確認結果を車両鍵アプリ100から受信する。
【0042】
(ステップS420)
電子デバイス10の使用者が登録ユーザーと一致しないことを本人確認結果が示す場合、
図7に示す処理が終了する。電子デバイス10の使用者が登録ユーザーと一致することを本人確認結果が示す場合、車両制御装置30は、電子デバイス10の使用者の運転者としての正当性の検証を要求するためのユーザー検証要求を車両認証装置20に送信する。車両認証装置20の通信部210は、ユーザー検証要求を車両制御装置30から受信する。
【0043】
(ステップS425)
車両認証装置20の認証部200は、運転免許証情報を要求するための運転免許証情報要求を、通信部210を使用することにより電子デバイス10に送信する。電子デバイス10の通信部110は、運転免許証情報要求を車両認証装置20から受信する。
【0044】
(ステップS430)
通信部110は、運転免許証記憶部130に記憶されている運転免許証情報を含む運転免許証情報応答を車両認証装置20に送信する。車両認証装置20の認証部200は、運転免許証情報応答を電子デバイス10から受信する。
【0045】
(ステップS435)
認証部200は、運転免許証情報応答に含まれる運転免許証情報と、車検証記憶部230に記憶されている車検証情報とを使用することにより電子デバイス10の使用者の正当性を検証する。つまり、認証部200は、電子デバイス10の使用者が正当な運転者であるか否かを判断する。
【0046】
認証部200は、2つ以上の項目の各々において所定の条件が満たされることを確認する。例えば、認証部200は、運転免許証情報に含まれる車種情報と、車検証情報に含まれる車種情報とが一致することを確認する。認証部200は、運転免許証情報の更新期限が切れていないことを確認する。認証部200は、自動車検査証の期限が切れていないことを確認する。認証部200は、運転免許証情報に含まれる名前情報と、車検証情報に含まれる所有者情報とが一致することを確認する。電子デバイス10の使用者の正当性を検証するための項目は、これらの例に限らない。
【0047】
2つ以上の項目の全てにおいて所定の条件が満たされる場合、認証部200は、電子デバイス10の使用者が正当な運転者であると判断する。2つ以上の項目のうちの1つ以上において所定の条件が満たされない場合、認証部200は、電子デバイス10の使用者が正当な運転者ではないと判断する。
【0048】
(ステップS440)
認証部200は、ステップS435における検証の結果を示すユーザー検証結果を、通信部210を使用することにより車両制御装置30に送信する。車両制御装置30は、ユーザー検証結果を車両認証装置20から受信する。
【0049】
(ステップS445)
電子デバイス10の使用者が正当な運転者ではないことをユーザー検証結果が示す場合、
図7に示す処理が終了する。電子デバイス10の使用者が正当な運転者であることをユーザー検証結果が示す場合、車両制御装置30は、エンジン始動トランザクション通知を車両鍵アプリ100に送信する。これにより、車両制御装置30は、車両のエンジンを始動させる処理を開始する。
【0050】
(ステップS450)
車両鍵アプリ100および車両制御装置30は、相互認証処理を実行する。車両鍵アプリ100は、運転免許証記憶部130に記憶されている車両鍵を使用することにより車両制御装置30を認証する。また、車両制御装置30は、車両鍵アプリ100を認証する。
【0051】
(ステップS455)
相互認証処理が実行された後、車両制御装置30はエンジンを始動させる。
【0052】
図8は、ユーザーが車両を始動させるときの車両始動システム1の動作の第2の例を示す。
図7に示す処理と同じ処理の説明を省略する。
【0053】
(ステップS460)
車両認証装置20の通信部210がユーザー検証要求を車両制御装置30から受信した後、認証部200は、運転免許証情報を要求するための運転免許証情報要求を、通信部210を使用することにより車両鍵アプリ100に送信する。車両鍵アプリ100は、運転免許証情報要求を車両認証装置20から受信する。
【0054】
(ステップS465)
車両鍵アプリ100は、運転免許証情報を運転免許証記憶部130から読み出す。
【0055】
(ステップS470)
車両鍵アプリ100は、運転免許証情報を含む運転免許証情報応答を、通信部110を使用することにより車両認証装置20に送信する。車両認証装置20の認証部200は、通信部210を使用することにより運転免許証情報応答を車両鍵アプリ100から受信する。
【0056】
図7に示す第1の例では、車両認証装置20が運転免許証記憶部130内の運転免許証情報に直接アクセスする。一方、
図8に示す第2の例では、車両鍵アプリ100が運転免許証記憶部130内の運転免許証情報にアクセスする。第2の例では車両認証装置20が運転免許証記憶部130内の運転免許証情報に直接アクセスしないため、運転免許証情報が流出する可能性が減る。
【0057】
上記のように、携帯型の電子デバイス10は、ユーザーの運転免許証情報を記憶する運転免許証記憶部130を有する。車両認証装置20は、車両に設けられ、車検証情報を記憶する車検証記憶部230を有する。車両制御装置30は、車両に設けられている。車両認証装置20は、運転免許証記憶部130から取得された運転免許証情報と、車検証記憶部230に記憶されている車検証情報とを使用することによりユーザーが正当な運転者であるか否かを判断する。ユーザーが正当な運転者であると判断された場合、車両制御装置30は、車両のエンジンを始動させる処理を開始する。
【0058】
運転免許証情報は、電子デバイス10の運転免許証記憶部130に記憶される。そのため、ユーザーが電子デバイス10を所持していれば、車両が盗難または売却されたとしても運転免許証情報は流出しない。したがって、上記の車両始動システム1は、運転免許証情報が流出する可能性を低減させることができる。
【0059】
特許文献1に開示された車載装置では、車両が始動するとき、運転免許証情報が記録されたICカードと、車両に関する情報が記録されたICカードと、各ICカードから情報を読み取るカードリーダとが必要である。車両が始動するときにこれらのICカードおよびカードリーダに不具合がある場合、ユーザーは車両を始動させることができない。
【0060】
一方、車両始動システム1では、車両が始動する前の任意のタイミングで電子デバイス10が運転免許証情報を運転免許証40から読み取る。また、車両が始動する前の任意のタイミングで車両認証装置20が車検証情報を車検証50から読み取る。車両始動システム1では、車両が始動するとき、ICカードおよびカードリーダは不要である。
【0061】
上記のように、運転免許証記憶部130は、ユーザーの識別情報(本人確認情報)を記憶する。車両鍵アプリ100(処理部)は、本人確認要求を車両制御装置30から受けたとき、電子デバイス10に入力された情報と、運転免許証記憶部130に記憶されている識別情報とを使用することにより電子デバイス10の使用者が登録ユーザーと一致するか否かを判断する。電子デバイス10の使用者が登録ユーザーと一致すると判断された場合、車両認証装置20は、登録ユーザーが正当な運転者であるか否かを判断する。
【0062】
電子デバイス10が本人確認処理を実行するため、本人確認情報を車両内のメモリに登録する必要はない。そのため、車両が盗難または売却されたときに本人確認情報は流出しない。
【0063】
図7に示す動作では、車両認証装置20は、運転免許証記憶部130にアクセスし、運転免許証情報を運転免許証記憶部130から取得する。
図8に示す動作では、車両鍵アプリ100は、運転免許証記憶部130に記憶されている運転免許証情報を車両認証装置20に送信し、車両認証装置20は、運転免許証情報を車両鍵アプリ100から受信する。前述したように、
図8に示す動作では、運転免許証情報が流出する可能性が減る。
【0064】
(変形例)
本発明の実施形態の変形例を説明する。この変形例では、予め登録された第3者であるフレンドが車両を始動させる。車両の所有者が所持する電子デバイス10は、フレンドに関する情報を車両認証装置20に登録する。
【0065】
図9は、フレンドに関する情報を車両認証装置20に登録するための動作の例を示す。
図9に示す動作は、フレンドが車両を始動させる前に実行される。
【0066】
フレンドは、電子デバイス10と同様の電子デバイス11を所持する。電子デバイス11は、
図2に示す電子デバイス10の構成と同じ構成を有する。
図5に示す動作と同様の動作が実行され、電子デバイス11の運転免許証記憶部130は運転免許証情報を記憶する。その後、
図9に示す動作が実行される。
【0067】
(ステップS500)
電子デバイス10の車両鍵アプリ100は、通信部110を使用することにより車両鍵情報を電子デバイス11の車両鍵アプリ100に送信する。車両鍵情報は、電子デバイス11の車両鍵アプリ100が車両鍵を生成するために必要な情報である。例えば、車両鍵情報は、電子デバイス10の車両鍵のIDを含む。電子デバイス11の車両鍵アプリ100は、通信部110を使用することにより車両鍵情報を電子デバイス10の車両鍵アプリ100から受信する。
【0068】
(ステップS505)
電子デバイス11の車両鍵アプリ100は、車両鍵情報を使用することにより車両鍵を生成する。生成された車両鍵は、電子デバイス11の運転免許証記憶部130内のSE130aに保存される。電子デバイス11の車両鍵は、電子デバイス10の車両鍵と異なる。
【0069】
(ステップS510)
電子デバイス10の車両鍵アプリ100は、フレンド用の車検証情報として設定されるフレンド情報を、通信部110を使用することにより車両認証装置20に送信する。例えば、フレンド情報は、フレンドの名前情報を含む。その名前情報は、電子デバイス11の運転免許証記憶部130に記憶されている運転免許証情報に含まれる名前情報と同じである。フレンド情報は、フレンドに適用される保険の範囲などを示す情報を含んでもよい。電子デバイス10のユーザーは、電子デバイス10が有する操作部を操作することにより、フレンド情報を電子デバイス10に入力することができる。車両認証装置20の認証部200は、通信部210を使用することによりフレンド情報を電子デバイス10の車両鍵アプリ100から受信する。
【0070】
(ステップS515)
認証部200は、フレンド情報を使用することにより、車検証記憶部230に記憶されている車検証情報を更新する。例えば、認証部200は、フレンド情報に含まれる名前情報を、車両の使用者を示す使用者情報として車検証情報に追加する。車両がフレンドを拒否するように設定されている場合、認証部200は、車両の設定を変更し、フレンドを許可する。
【0071】
フレンドが車両を始動させるとき、
図7または
図8に示す動作と同様の動作が実行される。このとき、電子デバイス10の代わりに電子デバイス11が使用される。
【0072】
認証部200は、
図7または
図8に示すステップS435において、2つ以上の項目の各々において所定の条件が満たされることを確認する。前述したように、認証部200は、運転免許証情報に含まれる名前情報と、車検証情報に含まれる所有者情報とが一致することを確認する。フレンドは車両の所有者と異なるため、認証部200は、運転免許証情報に含まれる名前情報と、車検証情報に含まれる所有者情報とが一致しないと判断する。その場合、認証部200は、運転免許証情報に含まれる名前情報と、車検証情報に含まれる使用者情報とが一致することを確認する。
【0073】
上記のように、携帯型の電子デバイス11(第2の電子デバイス)は、車両の所有者であるユーザーと異なるフレンドの第2の運転免許証情報を記憶する運転免許証記憶部130(第2の運転免許証記憶部)を有する。車両認証装置20は、運転免許証記憶部130から取得された第2の運転免許証情報と、車検証記憶部230に記憶されている車検証情報とを使用することによりフレンドが正当な運転者であるか否かを判断する。フレンドが正当な運転者であると判断された場合、車両制御装置30は、エンジンを始動させる処理を開始する。
【0074】
電子デバイス10は、フレンド用の車検証情報として設定されるフレンド情報を車両認証装置20に送信する。車両認証装置20は、電子デバイス10から受信されたフレンド情報に基づいて、車検証記憶部230に記憶されるフレンド用の車検証情報を設定する。
【0075】
フレンドは、車両の所有者と同様に車両を始動させることができる。電子デバイス10のユーザーは、車両を使用するフレンドを任意に設定することができる。
【0076】
フレンドの電子デバイス11は、電子デバイス10と同様に本人確認処理を実行する。フレンドは本人確認情報を車両内のメモリに登録する必要はない。
【0077】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1 車両始動システム、10,11 電子デバイス、20 車両認証装置、30 車両制御装置、40 運転免許証、50 車検証、100 車両鍵アプリ、110,210 通信部、120,220 カード通信部、130 運転免許証記憶部、200 認証部、230 車検証記憶部