(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053729
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】集塵口
(51)【国際特許分類】
B28D 7/02 20060101AFI20240409BHJP
B28D 1/08 20060101ALI20240409BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240409BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B28D7/02
B28D1/08
B23Q11/00 M
E04G23/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160109
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】596105208
【氏名又は名称】第一カッター興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河野 允告
(72)【発明者】
【氏名】内田 健
【テーマコード(参考)】
2E176
3C011
3C069
【Fターム(参考)】
2E176AA01
2E176DD22
2E176DD64
3C011BB03
3C069AA01
3C069BA06
3C069BB01
3C069BB03
3C069BC02
3C069CA07
3C069DA07
3C069EA01
(57)【要約】
【課題】ワイヤーソーマシンを用いた切断作業において、集塵作業を自動化する。
【解決手段】集塵口7は、プーリーユニットPに連結される取付ユニット8により支持され、プーリー3の外周の一部を集塵口7のスリット710を通じ集塵口7内に挿入されてプーリーユニットPに近接配置されるとともに、集塵口7の吸引口70が切断対象物の粉塵の切削引き出し端に近接しかつこの切削引き出し端からのワイヤーソーWの引き出し方向に対向して配置され、ワイヤーソーWが集塵口7の吸引口70を通して集塵口7内に挿通され、スリット710から集塵口7外に延ばされるようにした。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に吸引口を有する筒部からなり、集塵装置から延ばされる集塵ホースの先端に設けられ、切断対象物の近傍に設置されるレールに移動可能に配置されるとともに、ワイヤーソーマシン本体の駆動部から延ばされるワイヤーソーを巻き掛けられて、前記駆動部による前記ワイヤーソーの牽引とともに移動される支軸及びプーリーを有してなるプーリーユニットに近接して配置し、切断対象物の前記ワイヤーソーにより切削され、前記ワイヤーソーとともに引き出される粉塵の切削引き出し端で当該粉塵を集塵する集塵口であって、
前記筒部の周面に先端から軸方向に向けて前記プーリーの外周の一部を挿入可能にスリットを有し、
前記筒部は、前記支軸に連結して前記支軸から前記プーリーと平行に延ばされる取付ユニットに支持されて、前記プーリーの外周の一部を前記筒部の前記スリットを通じ前記筒部内に挿入されて、前記筒部が前記プーリーユニットに近接して配置されるとともに、前記筒部の前記吸引口を、切断対象物の前記粉塵の切削引き出し端に近接し、かつ前記粉塵の切削引き出し端からの前記ワイヤーソーの引き出し方向に対向して配置され、
切断対象物の前記粉塵の切削引き出し端から引き出される前記ワイヤーソーが前記筒部の前記吸引口を通して前記筒部内に挿通され、前記スリットから前記筒部外に延ばされる、
ことを特徴とする集塵口。
【請求項2】
筒部は、集塵ホースと別体で、一端に吸引口を有し、他端に前記集塵ホースの先端に着脱可能な連結口を有し、前記筒部の周面に一端から軸方向に向けてスリットを切り欠き形成され、前記集塵ホースの先端に着脱可能に設けられる請求項1に記載の集塵口。
【請求項3】
筒部の吸引口はスリットとは反対側が拡張されて、前記筒部の周面の前記スリットとは反対側の面が三角錐状に張り出される請求項1又は2に記載の集塵口。
【請求項4】
取付ユニットは、プーリーユニットの支軸の先端にプーリーと平行に延び、前記支軸の全周方向任意の方向に向けて取り付けられるロッドガイドと、前記ロッドガイドにその延びる方向にスライド可能に係合して任意のスライド位置で固定可能に取り付けられ、前記プーリーと平行に前記ロッドガイドから前記プーリーの外周の外側へ延ばされる支持ロッドと、を有し、筒部は前記支持ロッドに取り付けられる請求項1又は2に記載の集塵口。
【請求項5】
取付ユニットは、プーリーユニットの支軸の先端にプーリーと平行に延び、前記支軸の全周方向任意の方向に向けて取り付けられるロッドガイドと、前記ロッドガイドにその延びる方向にスライド可能に係合して任意のスライド位置で固定可能に取り付けられ、前記ロッドガイドから前記プーリーと平行に前記プーリーの外周の外側へ延ばされる支持ロッドと、前記プーリーの外周の外側で前記支持ロッドから前記支軸と平行に延ばされる取付ロッドと、筒部の他端側に設けられて、前記取付ロッドにスライド可能に係合され、前記筒部を前記スリットが前記プーリーの外周面に対向し、当該スリットを通じて前記プーリーの外周の一部が前記筒部内に挿入可能なスライド位置で固定される取付部と、を有し、筒部は前記取付ロッドに前記取付部を介して取り付けられる請求項1又は2に記載の集塵口。
【請求項6】
プーリーユニットは、レールに移動可能に配置されるプーリーベースと、前記プーリーベースに回動軸を介して回動可能に軸支されるプーリーアームと、前記プーリーアームの一端に支軸を介して前記プーリーアームと平行に回転可能に軸支されるプーリーと、前記プーリーアームの他端に前記プーリーアームの回動により前記レールに対して当接、離間可能に設けられるストッパーと、前記プーリーアームの他端を前記レールに向けて回動付勢し、前記ストッパーを常態として前記レールに圧接するばね部材と、を備え、ワイヤーソーが切断対象物に掛け回されて、駆動部の駆動により、前記ワイヤーソーで切断対象物が切断される間、前記ワイヤーソーは前記駆動部により牽引され、前記プーリーに作用する前記ワイヤーソーの張力が前記プーリーアームに作用する前記ばね部材による回動付勢力よりも大きくなったときに、前記プーリーアームは前記ストッパーが前記レールに対して離脱する方向に回動し、前記プーリーに作用する前記ワイヤーソーの張力が前記プーリーアームに作用する前記ばね部材による回動付勢力よりも小さくなったときに、前記プーリーアームは前記ばね部材により弾性復帰されて前記ストッパーが前記レールに対して圧接され、前記プーリーは前記駆動部による前記ワイヤーソーの牽引に自動的に追従される追従式で、当該追従式のプーリーユニットに採用される請求項1に記載の集塵口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーソーマシンに用いる集塵装置に関し、特に、ワイヤーソーで切断対象物の切断中に生じる粉塵(切断粉)を吸引するのに使用する集塵口に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄筋コンクリート造の構造物など切断対象物をワイヤーソーマシンを使って切断する工法が知られている。この種の工法は、特許文献1により開示されているように、切断対象物の周囲(切断位置)に沿ってワイヤーソーを一対のガイドプーリー、駆動装置の駆動プーリーを介して無端状に巻き掛けて線状に接触させ、ワイヤーソーを駆動装置により高速回転し、駆動装置の移動によりワイヤーソーの切断対象物に対する切断進行とともに切断に必要な適度の張力を維持して、ワイヤーソーで切断対象物のコンクリート、鉄筋などを引き切り(又は押し切り)、切断する。
【0003】
この工法では、ワイヤーソーで切断対象物の切断中に、切断対象物の、ワイヤーソーにより切削されてワイヤーソーとともに引き出される粉塵の切削引き出し端から粉塵が飛散するため、切断対象物の切断作業とともに、粉塵の集塵作業を併せて行う必要がある。この集塵作業は集塵装置を使用して行われる。この種の集塵装置は、一般に、集塵装置本体と、集塵装置本体から延びる集塵ホースとからなり、集塵ホースの先端に集塵口が設けられる。この集塵口は先端に吸引口を有する筒部からなる。この集塵装置を用いた集塵作業では、一般に、切削対象物に近接してワイヤーソーマシンを設置するために、切削対象物の周囲に配置される架台をなす各部材や付属的に配置される各部材を用いて、集塵口を支持固定し、集塵口の吸引口を切断対象物の粉塵の切削引き出し端に近接して対向配置する。この集塵口で、切断対象物の粉塵の切削引き出し端からワイヤーソーの引き出しとともに飛散される粉塵を吸引する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような集塵装置、特に集塵口を用いた集塵作業では、既述のとおり、ワイヤーソーで切断対象物の切断中に、切断対象物の近傍に支持固定された集塵口により切断対象物の粉塵の切削引き出し端からワイヤーソーの引き出しとともに飛散される粉塵を吸引するため、ワイヤーソーの切断対象物に対する切断進行とともに変位する切断対象物の粉塵の切削引き出し端の位置に合わせて、集塵口の支持固定位置を変更しなければならない。すなわち、ワイヤーソーで切断対象物の切断中、切断対象物の粉塵の切削引き出し端の位置と集塵口の吸引口の位置が合っていること、つまり、相互に対向することが必要で、ワイヤーソーで切断対象物の切断中は、この集塵口の位置を確認する作業が必要となる。そして、この集塵口の位置が合わなくなる前に、切断対象物の粉塵の切削引き出し端の位置に合わせて集塵口の支持固定位置を変更する。この変更は、ワイヤーソーで切断対象物の切断中、切断対象物の粉塵の切削引き出し端の位置と集塵口の位置が合わなくなる都度、その位置が合わなくなる前に行わなければならず、極めて煩雑な作業とならざるを得ない。また、切断対象物の粉塵の切削引き出し端の位置と集塵口の吸引口の位置が合わなくなれば、集塵口による集塵ロスが生じ、粉塵は作業現場に飛散される。この場合、集塵ロスが過度に大きいと、作業員の粉塵暴露リスクが増大し、他面でワイヤーソーによる切断対象物の切断中又は切断後における粉塵の清掃作業の負担も増大する。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の集塵口において、プーリーに近接して配置し、このプーリーに連動させることにより、集塵作業を自動化し併せて作業員の安全を確保すること、しかも、集塵ロスを大幅に低減すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、
先端に吸引口を有する筒部からなり、集塵装置から延ばされる集塵ホースの先端に設けられ、切断対象物の近傍に設置されるレールに移動可能に配置されるとともに、ワイヤーソーマシン本体の駆動部から延ばされるワイヤーソーを巻き掛けられて、前記駆動部による前記ワイヤーソーの牽引とともに移動される支軸及びプーリーを有してなるプーリーユニットに近接して配置し、切断対象物の前記ワイヤーソーにより切削され、前記ワイヤーソーとともに引き出される粉塵の切削引き出し端で当該粉塵を集塵する集塵口であって、
前記筒部の周面に先端から軸方向に向けて前記プーリーの外周の一部を挿入可能にスリットを有し、
前記筒部は、前記支軸に連結して前記支軸から前記プーリーと平行に延ばされる取付ユニットに支持されて、前記プーリーの外周の一部を前記筒部の前記スリットを通じ前記筒部内に挿入されて、前記筒部が前記プーリーユニットに近接して配置されるとともに、前記筒部の前記吸引口を、切断対象物の前記粉塵の切削引き出し端に近接し、かつ前記粉塵の切削引き出し端からの前記ワイヤーソーの引き出し方向に対向して配置され、
切断対象物の前記粉塵の切削引き出し端から引き出される前記ワイヤーソーが前記筒部の前記吸引口を通して前記筒部内に挿通され、前記スリットから前記筒部外に延ばされる、
ことを要旨とする。
【0008】
また、この集塵口は各部が次のように具体化されることが好ましい。
(1)筒部は、集塵ホースと別体で、一端に吸引口を有し、他端に前記集塵ホースの先端に着脱可能な連結口を有し、前記筒部の周面に一端から軸方向に向けてスリットを切り欠き形成され、前記集塵ホースの先端に着脱可能に設けられる。
(2)筒部の吸引口はスリットとは反対側が拡張されて、前記筒部の周面の前記スリットとは反対側の面が三角錐状に張り出される。
(3)取付ユニットは、プーリーユニットの支軸の先端にプーリーと平行に延び、前記支軸の全周方向任意の方向に向けて取り付けられるロッドガイドと、前記ロッドガイドにその延びる方向にスライド可能に係合して任意のスライド位置で固定可能に取り付けられ、前記プーリーと平行に前記ロッドガイドから前記プーリーの外周の外側へ延ばされる支持ロッドと、を有し、筒部は前記支持ロッドに取り付けられる。
(4)上記(3)に代えて、取付ユニットは、プーリーユニットの支軸の先端にプーリーと平行に延び、前記支軸の全周方向任意の方向に向けて取り付けられるロッドガイドと、前記ロッドガイドにその延びる方向にスライド可能に係合して任意のスライド位置で固定可能に取り付けられ、前記ロッドガイドから前記プーリーと平行に前記プーリーの外周の外側へ延ばされる支持ロッドと、前記プーリーの外周の外側で前記支持ロッドから前記支軸と平行に延ばされる取付ロッドと、筒部の他端側に設けられて、前記取付ロッドにスライド可能に係合され、前記筒部を前記スリットが前記プーリーの外周面に対向し、当該スリットを通じて前記プーリーの外周の一部が前記筒部内に挿入可能なスライド位置で固定される取付部と、を有し、筒部は前記取付ロッドに前記取付部を介して取り付けられるようにしてもよい。
【0009】
さらに、この集塵口は、追従式のプーリーユニットに採用されることが好ましい。この場合、追従式のプーリーユニットは、レールに移動可能に配置されるプーリーベースと、前記プーリーベースに回動軸を介して回動可能に軸支されるプーリーアームと、前記プーリーアームの一端に支軸を介して前記プーリーアームと平行に回転可能に軸支されるプーリーと、前記プーリーアームの他端に前記プーリーアームの回動により前記レールに対して当接、離間可能に設けられるストッパーと、前記プーリーアームの他端を前記レールに向けて回動付勢し、前記ストッパーを常態として前記レールに圧接するばね部材と、を備え、ワイヤーソーが切断対象物に掛け回されて、駆動部の駆動により、前記ワイヤーソーで切断対象物が切断される間、前記ワイヤーソーは前記駆動部により牽引され、前記プーリーに作用する前記ワイヤーソーの張力が前記プーリーアームに作用する前記ばね部材による回動付勢力よりも大きくなったときに、前記プーリーアームは前記ストッパーが前記レールに対して離脱する方向に回動し、前記プーリーに作用する前記ワイヤーソーの張力が前記プーリーアームに作用する前記ばね部材による回動付勢力よりも小さくなったときに、前記プーリーアームは前記ばね部材により弾性復帰されて前記ストッパーが前記レールに対して圧接され、前記プーリーは前記駆動部による前記ワイヤーソーの牽引に自動的に追従されることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の集塵口では、上記の構成により、筒部が、支軸に連結して支軸からプーリーと平行に延ばされる取付ユニットに支持されて、プーリーの外周の一部を筒部のスリットを通じ筒部内に挿入されて、筒部がプーリーユニットに近接して配置されるとともに、筒部の吸引口を、切断対象物の粉塵の切削引き出し端に近接し、かつ粉塵の切削引き出し端からのワイヤーソーの引き出し方向に対向して配置され、切断対象物の粉塵の切削引き出し端から引き出されるワイヤーソーが筒部の吸引口を通して筒部内に挿通され、スリットから筒部外に延ばされるものとした。このようにして集塵口をプーリーユニットに近接して配置し、このプーリーユニットと連動させるようにしたので、この集塵口で、切断対象物から発生する粉塵を自動的に確実に集塵することができ、この自動化により併せて作業員の安全を確保することができ、しかも、この集塵口の構造により集塵効率が顕著に向上し、集塵ロスを従来に比べて大幅に低減することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る集塵口の構成を取付ユニット、プーリーユニットとともに示す図(斜視図)
【
図2】同集塵口の構成を取付ユニットとともに示す図((a)は平面図(b)は正面図(c)は側面図)
【
図3】同集塵口の構成を取付ユニット、プーリーユニットとともに示す図(分解斜視図)
【
図4】同集塵口を取付ユニットによりプーリーユニットに取り付けた状態を示す図(斜視図)
【
図5】取付ユニットのプーリーユニットへの取り付け方法、及び同集塵口の取付ユニットへの取り付け方法を示す図
【
図6】同集塵口が適用される追従式のプーリーユニットの構成を示す図(側面図)
【
図7】同集塵口を追従式のプーリーユニットに取り付けた状態を示す図(拡大斜視図)
【
図8】同集塵口付きのプーリーユニットを用いたワイヤーソーマシンを示す図(斜視図)
【
図9】同集塵口の変更例を示し、同集塵口を取付ユニット、プーリーユニットとともに示す図(斜視図)
【
図10】同集塵口の変更例を示す図((a)は平面図(b)は正面図(c)は側面図)
【
図11】同集塵口の変更例を示し、同集塵口付きのプーリーユニットを用いたワイヤーソーマシンを示す図(斜視図)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1乃至
図4にワイヤーソーマシンのプーリーユニットに用いる集塵装置の集塵口を示している。
【0013】
図1に示すように、ワイヤーソーマシンのプーリーユニットPは支軸31及びプーリー3を有してなり、(ここで
図8を参照)切断対象物の近傍に設置されるレール(R)に移動可能に配置されるとともに、ワイヤーソーマシン本体の駆動部М11から延ばされるワイヤーソー(W)を巻き掛けられて、駆動部(М11)によるワイヤーソー(W)の牽引とともに移動されるようになっている。なお、この場合、プーリー3は中心にベアリング(図示省略)を一体に組み込まれており、支軸31は、
図3に示すように、プーリー3のベアリングに通され、プーリーベース(1(
図8参照))に固定されるシャフト311と、シャフト311の基端のヘッド312とからなる。
図1、
図2に示すように、集塵装置の集塵口7は先端に吸引口70を有する筒部71からなり、集塵装置から延ばされる集塵ホースの先端に設けられて、プーリーユニットPに近接して配置され、切断対象物の、ワイヤーソーにより切削されてワイヤーソーとともに引き出される粉塵の切削引き出し端で、この粉塵を集塵するようになっている。
【0014】
図2、
図3に示すように、集塵口7は、筒部71の周面に先端から軸方向に向けてプーリー3の外周の一部を挿入可能にスリット710を有する。この筒部71は、プーリーユニットPの支軸31に連結して支軸31からプーリー3(の中心周囲の平面)と平行に延ばされる取付ユニット8に支持されて、プーリー3の外周の一部を筒部71のスリット710を通じ筒部71内に挿入されて、筒部71がプーリーユニットPに近接して配置されるとともに、筒部71の吸引口70を、切断対象物の粉塵の切削引き出し端に近接し、かつ粉塵の切削引き出し端からのワイヤーソーの引き出し方向に対向して配置される。このようにして切断対象物の粉塵の切削引き出し端から引き出されるワイヤーソーは筒部71の吸引口70を通して筒部71内に挿通され、スリット710から筒部外に延ばされる。
【0015】
図1、
図2に示すように、ここで集塵口7の筒部71は、集塵ホースと別体で、一端に吸引口70を有し、他端に集塵ホースの先端に着脱可能な連結口72を有し、筒部71の周面に一端から軸方向に向けてスリット710を切り欠き形成されて、集塵ホースの先端に着脱可能に設けられる。
【0016】
この場合、筒部71は、基本形状を角筒形に形成され、一端の吸引口70はスリット710とは反対側が拡張されて、筒部71の周面のスリット710とは反対側の面が三角錐状に張り出され、他端に連結口72が円筒形に突出形成される。この場合、筒部71は、基本形状が断面四角形の角筒形に形成される。そして、この筒部71の一端の開口、すなわち、吸引口70が四角形で、スリット710とは反対側が拡張されることで、吸引口70は当該反対側に向けて延長され、細長い長方形を呈する。この筒部71の一端の開口の拡張とともに、周面のスリット710とは反対側の面が三角錐状に張り出される。この場合、周面のスリット710とは反対側の面は断面四角形の角筒形の一側面でその一端側の半面が三角錐状に張り出されて、この反対側の面の両側から直角三角形状に突出される両側面部711と、この両側面部711で直角三角形の斜辺をなす斜めの縁部間に連接される細長い長方形の斜面部712とからなり、他端側の半面は平面状になっている。スリット710側の面は断面四角形の筒形形状の一側面で全体として平面状に形成され、スリット710は、この面に一端から軸方向に向けて、プーリー3の外周の一部が挿通可能に、幅がプーリー3の幅よりも少し大きく、長さがプーリー3の直径よりも少し小さく形成される。この筒部71の他端には筒部71の軸心に同心的に連結部72が円筒形に連接して形成される。この場合、連結部72は集塵ホースの先端の開口内に圧入可能に形成される。
【0017】
なお、この筒部71、すなわち、集塵口7は金属材で形成されてもよく、プラスチックなどで形成されてもよい。
【0018】
図1に示すように、取付ユニット8は、プーリーユニットPの支軸31にプーリー3(の中心周囲の平面)と平行に延び、支軸31の全周方向任意の方向に向けて取り付けられるロッドガイド81と、ロッドガイド81にその延びる方向にスライド可能に係合して任意のスライド位置で固定可能に取り付けられ、ロッドガイド81からプーリー3と平行にプーリー3の外周の外側へ延ばされる支持ロッド82と、を有し、筒部71は支持ロッド82に取り付けられる。この場合、筒部71は支持ロッド82に溶接、ボルト・ナットなどにより直接固定されてもよい。
【0019】
しかし、ここで取付ユニット8は、特に、
図4に示すように、プーリーユニットPの支軸31の先端にプーリー3と平行に延び、支軸31の全周方向任意の方向に向けて取り付けられるロッドガイド81(
図1参照)と、ロッドガイド81にその延びる方向にスライド可能に係合して任意のスライド位置で固定可能に取り付けられ、ロッドガイド81からプーリー3と平行にプーリー3の外周の外側へ延ばされる支持ロッド82(
図1参照)と、プーリー3の外周の外側で支持ロッド82から支軸31と平行に延ばされる取付ロッド83と、筒部71の他端側に設けられて、取付ロッド83にスライド可能に係合され、筒部71のスリット710(
図1参照)がプーリー3の外周面に対向し、当該スリット710を通じてプーリー3の外周の一部が筒部71内に挿入可能なスライド位置で固定される取付部84と、を有する。
【0020】
この場合、取付ユニット8のロッドガイド81、支持ロッド82、取付ロッド83、筒部71の取付部84は、それぞれ、次のような構成を有することが望ましい。
【0021】
ロッドガイド81は、
図1に示すように、取付プレート811と、取付プレート811の一端に固着される筒形のガイド812とを備える。ここで取付プレート811はL字形のプレートからなり、縦長の長方形の大きい平面プレートと、この大きい平面プレートの一端からこの平面プレートの平面に対して直角方向に突出する横長の長方形の小さい平面プレートとを有する。大きい平面プレートは他端側の幅方向中央に支軸挿通穴810を形成されて取付プレート811の取付部になっていて、小さい平面プレートはガイド812の取付部になっている。ガイド812は角筒形、ここでは断面四角形の角筒形で角パイプからなり、取付プレート811の大きい平面プレートの一端側でこの平面プレートと小さい平面プレートとの間の直角面に配置可能な大きさを有し、この直角面に溶接、ボルトナットなどにより固着される。また、このガイド812の周面には、
図4に示すように、適宜の位置にねじ穴813が穿たれて、このねじ穴813にこのガイド812を支持ロッド82に締め付けるための固定用のねじS1がねじ込み可能になっている。なお、ガイド812の断面形状は後述する支持ロッド82の断面形状に対応するもので、例えば支持ロッド82が断面角形であれば、ガイド812もまた断面角筒形、支持ロッド82が断面円形であれば、ガイド812もまた断面円筒形に形成される。また、ガイド812は支持ロッド82を進退可能に移動案内する機能を有するものであればよく、ガイド812を筒形とする場合でも、筒形の一側面にスリットを有するものとしてもよく、ガイド812を筒形に代えて断面コ字形のものとしてもよく、さらに、ガイド812はフレーム状のものや複数のリングからなるものであってもよい。
【0022】
支持ロッド82は、
図1、
図4に示すように、ロッドガイド81のガイド812内に摺動して嵌挿可能に、ガイド812内の断面形状に対応して、この場合、断面四角形の角筒又は角棒からなり、ここでは角パイプで、少なくともプーリー3の半径よりも大きい長さを有し、ここではプーリー3の直径よりも長い所定の長さを有する。また、この支持ロッド82は後述する取付ロッド83が延設されるため、取付ロッド83を延設するための延長ロッド821が設けられる。延長ロッド821は、支持ロッド82のプーリー3の外周の外側まで延ばされる端部からプーリー3と平行で支持ロッド82に対して直角に支持ロッド82と同じ断面形状、ここでは断面四角形に、後述する取付ロッド83を取り付けるのに必要な長さだけ所定の長さに延長される。
【0023】
取付ロッド83は、
図4に示すように、全体がT字形に形成され、支持ロッド82の延長ロッド821に連結可能な連結部830と、後述する取付部84がスライド係合可能な取付部831とからなる。連結部830は延長ロッド821に外嵌可能に延長ロッド821の断面形状よりも少し大きい同じ断面形状、すなわち、断面四角形の角形で、延長ロッド821よりも短い角筒形に形成され、ここでは角パイプからなる。また、この連結部830の周面には適宜の位置にねじ穴830aが穿たれて、このねじ穴830aにこの連結部830を延長ロッド821に締め付けるための固定用のねじS2がねじ込み可能になっている。取付部831は連結部830の周面、この場合、一側面の長さ方向中間からこの側面に対して直角に延び、後述する筒部71の取付部84が係合可能な断面形状で所定の長さに形成される。ここで取付部831は後述する筒部71の取付部84が外嵌可能に断面四角形の角パイプからなる。このようにして取付ロッド83は連結部830の一側面からプーリー3の支軸31と平行で支持ロッド82に対して直角方向に延ばされる。
【0024】
取付部84は、
図4に示すように、取付ロッド83の取付部831を挿通してこの取付部831の周囲を摺動可能に取付部831よりも少し大きく、取付部831と略同じ長さの角筒形に形成され、この場合、断面四角形の角パイプからなる。なお、この取付部84は取付ロッド83を進退可能に移動案内する機能を有するものであればよく、取付部84を筒形とする場合でも、筒形の一側面にスリットを有するものとしてもよく、取付部84を筒形に代えて断面コ字形のものとしてもよく、さらに、取付部84はフレーム状のものや複数のリングからなるものであってもよい。この取付部84は、集塵口7の一側面、この場合、スリット710を有する面とは反対側の面で集塵口7の長さ方向略中央に、取付部84の軸方向を集塵口7の面の長さ方向に対して直角に向けて、溶接などにより固着される。
【0025】
このようにして取付ユニット8がプーリーユニットPに支軸31を介して取り付けられ、集塵口7は取付部84を介して取付ロッド83に取り付けられて、取付ユニット8に支持される。
【0026】
図5に取付ユニット8のプーリーユニットPへの取り付け方法、及び集塵口7の取付ユニット8への取り付け方法を示している。
図3も併せて参照する。なお、これらの取り付けでは、プーリーユニットPをプーリー3の軸心を水平方向に向けて設置している。
【0027】
取付ユニット8のプーリーユニットPへの取り付けでは、まず、
図5(1)に示すように、ロッドガイド81をプーリーユニットPの支軸31の、ヘッド312側の端部に取り付ける。この場合、
図3に示すように、ロッドガイド81の取付プレート811をプーリー3の外側の面にカラー32を介してガイド812をプーリー3のベアリングの上方でプーリー3の面に沿って水平方向に向けて配置し、支軸31を取付プレート811の支軸挿通穴810からカラー32を通しプーリー3のベアリングへ挿通して、取付プレート811を支軸31(シャフト311)のヘッド312側の端部に取り付ける。
【0028】
続いて、
図5(2)に示すように、支持ロッド82を、この場合、延長ロッド821を上方に向けて、ロッドガイド81のガイド812内に通し、延長ロッド821をプーリー3の外周の外側近傍に配置する。
【0029】
次いで、
図5(3)に示すように、支持ロッド82に延長ロッド821を介して取付ロッド83を連結する。この場合、取付ロッド83の連結部830に延長ロッド821を通してこの連結部830を延長ロッド821の周囲に取り付ける。そして、連結部830のねじ穴830aから固定用のねじS1を締め込み、連結部830と延長ロッド821とを締め付け固定する。
【0030】
そして、
図5(4)、(5)に示すように、集塵口7を筒部71の取付部84を介して取付ロッド83の取付部831に取り付けて、取付ユニット8に取り付け支持する。この場合、集塵口7の筒部71のスリット710をプーリーユニットP側に向けて、取付ロッド83の取付部831の端部と筒部71の取付部84の端部とを突き合わせ、取付ロッド83の取付部831の端部を筒部71の取付部84に差し込み、取付ロッド83の取付部831の周囲で筒部71の取付部84を連結部830に向けて摺動させて、筒部71のスリット710をプーリー3の外周面の位置に合わせ、相互に対向させる。この状態から、ロッドガイド81内で支持ロッド82を押し戻して筒部71のスリット710を通してプーリー3の外周の一部を筒部71内に配置する。そして、ロッドガイド81のねじ穴813から固定用のねじS1を締め込み、ロッドガイド81と支持ロッド82とを締め付け固定する。以上により、取付ユニットA及び集塵口7の取り付けを完了する。
【0031】
図6、
図7及び
図8にこの集塵口7の具体的な使用例を例示している。
なお、この集塵口7は、本願発明者が先の出願(特開2022-70671公報)で提案した追従式のプーリーユニットPに採用されることが好ましい。
図6にこの追従式のプーリーユニットPを示し、
図7にこの追従式のプーリーユニットPに取り付けた集塵口7を示し、
図8にこのプーリーユニットP及び集塵口7を用いたワイヤーソーマシンМを示している。
【0032】
図6に示すように、この追従式のプーリーユニットPは、レールRに移動可能に配置されるプーリーベース1と、プーリーベース1に回動軸211を介して回動可能に軸支されるプーリーアーム2と、プーリーアーム2の一端に支軸31を介してプーリーアーム2と平行に回転可能に軸支されるプーリー3と、プーリーアーム2の他端にプーリーアーム2の回動によりレールRに対して当接、離間可能に設けられるストッパー4と、プーリーアーム2の他端をレールRに向けて回動付勢し、ストッパー4を常態としてレールRに圧接するばね部材(コイルスプリング)5とを備えて構成される。このプーリーユニットPはかかる構成を備え、ワイヤーソーが切断対象物に掛け回されて、駆動部の駆動により、ワイヤーソーで切断対象物が切断される間、ワイヤーソーは駆動部により牽引され、プーリー3に作用するワイヤーソーの張力がプーリーアーム2に作用するばね部材5による回動付勢力よりも大きくなったときに、プーリーアーム2はストッパー4がレールRに対して離脱する方向に回動し、プーリー3に作用するワイヤーソーの張力がプーリーアーム2に作用するばね部材5による回動付勢力よりも小さくなったときに、プーリーアーム2はばね部材5により弾性復帰されてストッパー4がレールRに対して圧接され、プーリー3は駆動部によるワイヤーソーの牽引に自動的に追従されるようになっている。
なお、詳細は特開2022-70671公報を参照されたい。
【0033】
図7に示すように、このプーリーユニットPに集塵口7は、既述のとおり、取付ユニット8により取り付けられる。そして、プーリー3の外周の一部が集塵口7の筒部71のスリット710を通じ筒部71内に挿入されて、筒部71がプーリーユニットPに近接して配置されるとともに、筒部71の吸引口70を、切断対象物の粉塵の切削引き出し端に近接し、かつ粉塵の切削引き出し端からのワイヤーソーWの引き出し方向に対向して配置される。このようにして切断対象物の粉塵の切削引き出し端から引き出されるワイヤーソーWは筒部71の吸引口70を通して筒部71内に挿通され、スリット710から筒部71外に延ばされる。なお、集塵口7は、従来と同様に、集塵装置本体から延びる集塵ホースの先端に設けられる。この集塵口7の場合、筒部71他端の連結口72が集塵ホースの先端に圧入されて連結固定される。
【0034】
図8に示すように、この集塵口7付きのプーリーユニットPを用いたワイヤーソーマシンМは、本体の駆動部М11と、切断対象物の両側に並列に設置される一対のレールRと、各レールRに移動可能に設置される一対の追従式のプーリーユニットPと、駆動部М11から延び、各プーリーユニットPを巻き掛けられるワイヤーソーWとを備えて、各プーリーユニットP間のワイヤーソーWを切断対象物に巻き掛けて、駆動部М11を駆動することにより、ワイヤーソーWを回転させながら牽引するとともに、各レールR上で各プーリーユニットPを移動して、切断対象物を切断する形式になっている。この場合、一対の追従式のプーリーユニットPが切断対象物の両側で略同じ位置を取って移動する、引き切り式になっている。
なお、詳細は特開2022-70671公報を参照されたい。
【0035】
このワイヤーソーマシンМでは、集塵口7が吸引口70を切断対象物の粉塵の切削引き出し端に近接し、かつ粉塵の切削引き出し端からのワイヤーソーWの引き出し方向に対向させて配置され、ワイヤーソーWによる切断対象物に対する切断進行に合わせて各プーリーユニットPとともに各レールR上を移動しながら、集塵口7(吸引口70)で粉塵を吸引する。この場合、集塵作業は、特別な駆動手段を用いることなく、プーリーユニットPに連動して自動的に行われる。また、この場合、吸塵口7の吸引口70がスリット710とは反対側が拡張されるとともに、周面のスリット710とは反対側の面が三角錐状に張り出されることで、この吸引口70の拡張部から筒部71の三角錐状の通路を通してワイヤーソーWが通され、切断対象物からワイヤーソーWにより切削され、ワイヤーソーWの引き出し方向に飛散される粉塵が吸引口70の拡張部から筒部71の三角錐状の通路を通して吸引案内され、吸塵ホースへ送り出される。これにより、切断対象物から生じる粉塵を集塵口7で確実に吸い取ることができ、吸い取り漏れは顕著に少ない。
【0036】
以上説明したように、この集塵口7では、既述のとおり、筒部71が、支軸31に連結して支軸31からプーリー3と平行に延ばされる取付ユニット8に支持されて、プーリー3の外周の一部を筒部71のスリット710を通じ筒部71内に挿入されて、筒部71がプーリーユニットPに近接して配置されるとともに、筒部71の吸引口70を、切断対象物の粉塵の切削引き出し端に近接し、かつ粉塵の切削引き出し端からのワイヤーソーWの引き出し方向に対向して配置され、切断対象物の粉塵の切削引き出し端から引き出されるワイヤーソーWが筒部71の吸引口70を通して筒部71内に挿通され、スリット710から筒部71外に延ばされるものとしている。このようにして集塵口7をプーリーユニットPに近接して配置し、このプーリーユニットPと連動させるようにしたことで、この集塵口7で、切断対象物から発生する粉塵を自動的に確実に集塵することができ、この集塵作業の自動化により、作業員による作業の軽減と安全の確保を図ることができる。すなわち、従来のように、ワイヤーソーWで切断対象物の切断中に、集塵口7の位置を確認する煩雑な作業や集塵口7の支持固定位置を変更する煩雑な作業を行う必要がないので、集塵作業における作業員のこれらの作業を削減して、作業を大幅に軽減することができる。また、この分だけ、作業員がワイヤーソーマシンМの近くで作業を行うこともないので、作業員の安全も十分に確保することができる。
【0037】
しかも、この集塵口7の取付ユニット8を含む構造により、集塵効率が顕著に向上し、集塵ロスを従来に比べて大幅に低減することができる。すなわち、ワイヤーソーWで切断対象物の切断中、切断対象物の粉塵の切削引き出し端の位置と集塵口7の位置が常時合わせられるので、集塵口7による集塵ロスがなく又は著しく低減し、作業現場に飛散される粉塵は、従来に比べて大幅に減少し、切断対象物の切断中又は切断後における粉塵の清掃作業の負担を従来に比べて大幅に低減することができる。併せて、この集塵ロスの顕著な低減により、作業員の粉塵暴露リスクもまた大きく低減することができ、この点でも、作業員の安全を十分に確保することができる。
【0038】
また、この集塵口7では次のような利点がある。
(1)筒部71は、集塵ホースと別体で、一端に吸引口70を有し、他端に集塵ホースの先端に着脱可能な連結口72を有し、筒部71の周面に一端から軸方向に向けてスリット710を切り欠き形成され、集塵ホースの先端に着脱可能に設けられるようにしたので、集塵口7の構造を簡単にして、取付ユニット8によるプーリーユニットPへの取り付けを容易に行うことができ、また、集塵口7を低コストに製作することができる。
(2)筒部71の吸引口70はスリット710とは反対側が拡張され、筒部71の周面のスリット710とは反対側の面が三角錐状に張り出されるので、集塵口7の簡単な構造で、粉塵の吸引を確実に行うことができる。
(3)取付ユニット8は、プーリーユニットPの支軸31の先端にプーリー3と平行に延び、支軸31の全周方向任意の方向に向けて取り付けられるロッドガイド81と、ロッドガイド81にその延びる方向にスライド可能に係合して任意のスライド位置で固定可能に取り付けられ、ロッドガイド81からプーリー3と平行にプーリー3の外周の外側へ延ばされる支持ロッド82と、を有し、筒部71は支持ロッド82に取り付けられるようにしたので、取付ユニット8を簡単な構造にして、集塵口7をプーリーユニットPに容易に取り付けることができ、また、取付ユニット8を低コストに製作することができる。
(4)特に、取付ユニット8は、プーリーユニットPの支軸31の先端にプーリー3と平行に延び、支軸31の全周方向任意の方向に向けて取り付けられるロッドガイド81と、ロッドガイド81にその延びる方向にスライド可能に係合して任意のスライド位置で固定可能に取り付けられ、ロッドガイド81からプーリー3と平行にプーリー3の外周の外側へ延ばされる支持ロッド82と、プーリー3の外周の外側で支持ロッド82から支軸31と平行に延ばされる取付ロッド83と、筒部71の他端側に設けられて、取付ロッド83にスライド可能に係合され、筒部71をスリット710がプーリー3の外周面に対向し、当該スリット710を通じてプーリー3の外周の一部が筒部71内に挿入可能なスライド位置で固定される取付部84と、を有し、筒部71は取付ロッド83に取付部84を介して取り付けられるようにしたので、取付ユニット8をより簡単な構造にして、集塵口7をプーリーユニットPにより容易に取り付けることができ、取付ユニット8を低コストに製作することができる。
【0039】
さらに、この集塵口7は既述の追従式のプーリーユニットPに組み合わせて、ワイヤーソーマシンWに搭載することで、ワイヤーソーマシンWによる切断対象物の切断作業、集塵作業の効果を共に著しく向上させることができる。
【0040】
なお、この実施の形態では、集塵口7付きのプーリーユニットPを用いたワイヤーソーマシンМについて、特に、一対の追従式のプーリーユニットPが切断対象物の両側で略同じ位置を取って移動する、引き切り式のものを例示したが、一対の追従式のプーリーユニットが切断対象物の両側で前後に異なる位置を取って移動する、押し切り式のものであっても、同じ集塵口を同じ取付ユニットを用いてプーリーユニットに取り付け、同様に使用することができる。この場合、ワイヤーソーが先行のプーリーから後行のプーリーに向けて巻き掛けられて、切断対象物の粉塵の切削引き出し端からのワイヤーソーの引き出し方向が変わるので、この場合、ロッドガイドの支軸での取付角度を変えて支持ロッドを切断対象物に近接する方向に向けて回転変位させ、集塵口の吸引口を切断対象物の粉塵の切削引き出し端に近接させてかつワイヤーソーの引き出し方向に対向させるようにしてもよいが、取付ユニットを一部変更して押し切り用に変更することで、集塵口の取り付けをより容易にすることができる。
【0041】
この場合、取付ユニットにおいて、取付ロッドの連結部(角パイプ)に取付部(角パイプ)を必要な角度に傾斜させて固着すればよい。このようにすることにより、
図9に示すように、プーリーユニットPに取付ユニット8を取り付けた後、この取付ユニット8の取付ロッド83の取付部831にその傾斜に合わせて集塵口7の取付部84を嵌め込み取り付けることで、取付ロッド83に取り付け後の集塵口7が必要な角度に傾斜し、集塵口7の吸引口70を切断対象物の粉塵の切削引き出し端に近接してかつこの引き出し端からのワイヤーソーの引き出し方向に対向させることができる。
【0042】
このようにすることで、取付ユニット8のプーリーユニットPへの取り付け、集塵口7の取付ユニット8への取り付けを、それぞれ、上記実施の形態と同様に行うことかできる。したがって、一対の追従式のプーリーユニットPが押し切り式のものであっても、上記と同じ集塵口7を、上記の取付ユニット8の一部を僅かに変更した取付ユニットを用いて、プーリーユニットPに取り付けて、同様に使用することができる。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0043】
なお、この押し切り式の場合、集塵口7の筒部71は、
図10、
図11に示すように、単純な円筒形又は角筒形であってもよい。
【0044】
また、この実施の形態では、集塵口を追従式のプーリーユニットに取り付けるものとして例示したが、プーリーユニットにモーターその他の動力により回転される車輪を備え、レール上で移動可能な自走式のプーリーユニットにも、集塵口を上記実施の形態と同様に取り付けることができ、この集塵口を取り付けることで、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0045】
R レール
M ワイヤーソーマシン
M1 ワイヤーソーマシン本体(本体)
M11 駆動部
W ワイヤーソー
P 追従式のプーリーユニット
1 プーリーベース
2 プーリーアーム
211 回動軸
3 プーリー
31 支軸
311 シャフト
312 ヘッド
32 カラー
4 ストッパー
5 ばね部材(コイルスプリング)
7 集塵口
70 吸引口
71 筒部
710 スリット
72 連結口
8 取付ユニット
81 ロッドガイド
810 支軸挿通穴
811 取付プレート
812 ガイド
813 ねじ穴
S1 ねじ
82 支持ロッド
821 延長ロッド
83 取付ロッド
830 連結部
830a ねじ穴
831 取付部
S2 ねじ
84 取付部