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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053743
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/84 20180101AFI20240409BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20240409BHJP
   F25B 27/02 20060101ALI20240409BHJP
   F24F 140/20 20180101ALN20240409BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20240409BHJP
【FI】
F24F11/84
F24F5/00 101A
F25B27/02 Z
F24F140:20
F24F140:00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160133
(22)【出願日】2022-10-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】591066465
【氏名又は名称】日本エアーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】岡野 宏志
(72)【発明者】
【氏名】豊田 貴大
(72)【発明者】
【氏名】丸山 秋広
【テーマコード(参考)】
3L054
3L260
【Fターム(参考)】
3L054BG04
3L260AA06
3L260AB05
3L260AB06
3L260BA31
3L260BA41
3L260CA16
3L260CB38
3L260FA01
3L260FB25
(57)【要約】
【課題】加熱装置(加熱部)を、ボイラやヒータ等の別途の熱源によらず加熱することで、省エネ効果を得ることができるとともに冷凍機に冷却水を安定的に供給できる空調装置を提供する。
【解決手段】排熱水供給路20から温水コイル13に流入する排熱水の流量は、排熱水供給路20から排熱水分岐路22に流入する排熱水の流量を、送風機14からの温空気の温度に基づいて、三方弁25によって制御することによって、制御され、外部冷却水供給路35から熱交換器27に流入する外部冷却水の流量は、冷却水供給路33を流通する冷却水の温度に基づいて、モータ弁37によって制御される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水冷式の冷凍機と、この冷凍機に接続され、当該冷凍機によって冷却された冷媒との熱交換によって外気を冷却して冷空気を生成する冷却部と、この冷却部によって生成された冷空気を加熱して温空気を生成する加熱部と、前記温空気を送風する送風機とを備えた空調装置であって、
前記冷凍機で発生する排熱水を前記加熱部に供給する排熱水供給路と、
前記排熱水供給路の途中で分岐する排熱水分岐路と、
前記加熱部で温度低下した排熱水を排熱温水として排水する排熱温水排水路と、
前記排熱水分岐路と前記排熱温水排水路とが接続される第1制御弁と、
熱交換器と、
前記第1制御弁と前記熱交換器とを接続して、前記熱交換器に前記第1制御弁から温水を供給する温水供給路と、
前記熱交換器と前記冷凍機とを接続して、前記冷凍機に前記熱交換器から冷却水を供給する冷却水供給路と、
前記熱交換器に外部から外部冷却水を供給する外部冷却水供給路と、
前記外部冷却水供給路に設けられた第2制御弁と、
前記熱交換器によって熱交換されて温水となった外部冷却水を排水する外部冷却水排水路と、を備え、
前記排熱水供給路から前記加熱部に流入する排熱水の流量は、前記排熱水供給路から前記排熱水分岐路に流入する排熱水の流量を、前記送風機からの温空気の温度に基づいて、前記第1制御弁によって制御することによって、制御され、
前記外部冷却水供給路から前記熱交換器に流入する外部冷却水の流量は、前記冷却水供給路を流通する冷却水の温度に基づいて、前記第2制御弁によって制御されることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記送風機から吹出される空気の温度を検知する第1温度センサと、
前記第1温度センサと前記第1制御弁とが接続された第1調節計とを備え、
前記第1調節計は、前記第1温度センサによって検知された温度に基づいて、前記第1制御弁を制御することを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記冷却水供給路を流れる冷却水の温度を検知する第2温度センサと、
前記第2温度センサと、前記第2制御弁とが接続された第2調節計とを備え、
前記第2調節計は、前記第2温度センサによって検知された温度に基づいて、前記第2制御弁を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機の冷却排熱を利用することで、省エネルギー化を図ることができる空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化を実現した空調装置の一例として、特許文献1に記載ものが知られている。
この空調装置は、空気に水を直接接触させて加湿を行う加湿装置と、該加湿装置で加湿した空気の一部を導入し露点以下の低温水と直接接触させて冷却を行う直接冷却装置と、前記加湿装置で加湿した空気の残りの空気を通すバイパス通路と、前記直接冷却装置からの空気とバイパス通路からの空気を導入して混合する混合室と、該混合室からの空気を導入して加熱する加熱装置と、前記直接冷却装置と前記バイパス通路に導く空気の流量を調節する流量調節手段と、を備えている。
【0003】
このような従来の空調装置では、加湿装置により空気を加湿した後、直接冷却装置とバイパス通路に空気を振り分けて導入することにより、混合室での空気湿度を目的湿度に保持した状態において、空気温度を目的温度又は目的温度より低い温度に保持することができる。したがって、混合室の空気温度が目的温度より低い場合にのみ空気の加熱を行えば目的温度と目的湿度の空気が得られるので、簡単な装置構成で空気の温度と湿度を広範囲にしかも正確に調整できるとともに、再加熱を最小限に抑えることで省エネルギー化が達成できる効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-336926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の空調装置では、加熱装置を加熱するためのボイラやヒータ等の熱源が別途必要であるため、その分、省エネ性能が劣るという問題がある。
また、上述した従来の空調装置では、直接冷却装置(冷凍機)に冷却塔から冷却水を供給するようになっているが、当該冷却塔からは他の空調装置等の冷却装置にも冷却水を供給するようになっている場合があるので、冷凍機に供給する冷却水の流量や温度にバラツキが生じ易いという問題がある。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、加熱装置(加熱部)を、ボイラやヒータ等の別途の熱源によらず加熱することで、省エネ効果を得ることができるとともに冷凍機に冷却水を安定的に供給できる空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の空調装置は、水冷式の冷凍機と、この冷凍機に接続され、当該冷凍機によって冷却された冷媒との熱交換によって外気を冷却して冷空気を生成する冷却部と、この冷却部によって生成された冷空気を加熱して温空気を生成する加熱部と、前記温空気を送風する送風機とを備えた空調装置であって、
前記冷凍機で発生する排熱水を前記加熱部に供給する排熱水供給路と、
前記排熱水供給路の途中で分岐する排熱水分岐路と、
前記加熱部で温度低下した排熱水を排熱温水として排水する排熱温水排水路と、
前記排熱水分岐路と前記排熱温水排水路とが接続される第1制御弁と、
熱交換器と、
前記第1制御弁と前記熱交換器とを接続して、前記熱交換器に前記第1制御弁から温水を供給する温水供給路と、
前記熱交換器と前記冷凍機とを接続して、前記冷凍機に前記熱交換器から冷却水を供給する冷却水供給路と、
前記熱交換器に外部から外部冷却水を供給する外部冷却水供給路と、
前記外部冷却水供給路に設けられた第2制御弁と、
前記熱交換器によって熱交換されて温水となった外部冷却水を排水する外部冷却水排水路と、を備え、
前記排熱水供給路から前記加熱部に流入する排熱水の流量は、前記排熱水供給路から前記排熱水分岐路に流入する排熱水の流量を、前記送風機からの温空気の温度に基づいて、前記第1制御弁によって制御することによって、制御され、
前記外部冷却水供給路から前記熱交換器に流入する外部冷却水の流量は、前記冷却水供給路を流通する冷却水の温度に基づいて、前記第2制御弁によって制御されることを特徴とする。
【0008】
ここで、冷却部としては、冷却コイルが好適に使用されるが、これに限るものではない。冷却コイルは、管内を流れる低温の水やブラインまたは冷媒によって、管の外側の流体を冷却する熱交換器の熱交換部のことを言う。
また、加熱部としては、温水コイルが好適に使用されるが、これに限るものではない。温水コイルは、空気の流れを加熱するために使用される熱交換器であり、コイルは、形成されたフィンのシートを通過するチューブの列で構成されている。冷空気がコイルを通過するとき、コイルのチューブを通って流れる高温水の熱によって冷空気を加熱する。
【0009】
本発明においては、冷凍機で発生する排熱水を加熱部に供給する排熱水供給路を備えているので、加熱部を、従来と異なりボイラやヒータ等の別途の熱源によらず、冷凍機で発生する排熱水によって加熱でき、省エネ効果を得ることができる。
また、排熱水供給路から加熱部に流入する排熱水の流量は、排熱水供給路から排熱水分岐路に流入する排熱水の流量を、送風機からの温空気の温度に基づいて、第1制御弁によって制御することによって、制御されるので、加熱部によって生成される温空気の温度を所望の温度に制御できる。
さらに、外部冷却水供給路から熱交換器に流入する外部冷却水の流量は、冷却水供給路を流通する冷却水の温度に基づいて、第2制御弁によって制御されるので、冷凍機に供給される冷却水を外部冷却水供給路から直接供給することなく、冷凍機の排熱水を利用して、熱交換器によって熱交換して、循環させて供給することができる。したがって、外部冷却水供給路を流れる冷却水の流量や温度にバラツキが生じていても、冷凍機に冷却水を安定的に供給できる。
【0010】
また、本発明の前記構成において、前記送風機から吹出される空気の温度を検知する温度センサと、
前記温度センサと前記第1制御弁とが接続された調節計とを備え、
前記調節計は、前記温度センサによって検知された温度に基づいて、前記第1制御弁を制御してもよい。
【0011】
このような構成によれば、調節計が、温度センサによって検知された温度に基づいて、第1制御弁を制御することによって、加熱部によって加熱された温空気を所望の温度に制御できる。
【0012】
また、本発明の前記構成において、前記冷却水供給路を流れる冷却水の温度を検知する温度センサと、
前記温度センサと、前記第2制御弁とが接続された調節計とを備え、
前記調節計は、前記温度センサによって検知された温度に基づいて、前記第2制御弁を制御してもよい。
【0013】
このような構成によれば、調節計が、温度センサによって検知された温度に基づいて、第2制御弁を制御することによって、冷凍機に供給される冷却水を所望の温度に制御できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加熱部を、ボイラやヒータ等の別途の熱源によらず加熱することで、省エネ効果を得ることができるとともに冷凍機に冷却水を安定的に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に空調装置を示すもので、当該空調装置の概略システム図である。
図2】同、正面図である。
図3】同、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係る空調装置の実施形態について説明する。図1は空調装置の概略システム図、図2は空調装置の正面図、図3は空調装置の側面図である。
図1図3に示すように、空調装置10は、冷凍機11と、冷却コイル(冷却部)12と、温水コイル(加熱部)13と、送風機14とを備えている。このような空調装置10は、例えばクリーンルーム等の部屋に設置されるが、空調装置10はクリーンルーム以外の他の場所や部屋に設置してもよい。
【0017】
冷凍機11は、水冷式であり、冷却コイル12に冷媒配管16a,16bによって循環接続されている。冷凍機11から冷却コイル12に冷媒を供給する冷媒配管16aには膨張弁17が設けられている。
冷却コイル12には、冷凍機11で冷却された冷媒が流通しており、当該冷却コイル12の表面を外気が通過し、これによって、当該外気が冷却される。例えば、外気が25℃程度の場合、当該外気は18~19℃に冷却される。
温水コイル13は、冷却コイル12によって生成(冷却)された冷空気を加熱して温空気を生成する。温空気は、23℃程度(例えば23℃±0.3℃)となるよう加熱制御される。23℃程度に加熱された、温空気は送風機14によって、外部(クリーンルーム)に給気される。
【0018】
また、本実施形態では、冷凍機11で発生する排熱水を前記温水コイル13に供給する排熱水供給路20を備えており、当該排熱水供給路20の一端部は冷凍機11に接続され、他端部は温水コイル13に接続されている。また、排熱水供給路20には、制水弁21が設けられており、当該制水弁21は冷媒配管16aに配管16cを介して接続されている。
【0019】
また、排熱水供給路20の途中には、排熱水分岐路22が分岐接続されている。したがって、冷凍機11で発生する排熱水の一部は排熱水分岐路22に流れることになる。
また、温水コイル13には、排熱温水排水路23の一端部が接続されている。温水コイル13からは、冷却コイル12で冷却された冷空気の加熱に使用された後の排熱温水が排熱温水排水路23に排水される。
排熱温水排水路23の他端部は三方弁(第1制御弁)25に接続され、この三方弁25に排熱水分岐路22が接続されている。また、三方弁25には温水供給路26の一端部が接続され、この温水供給路26の他端部は熱交換器27が接続されている。温水供給路26の途中には、上流側から順にバッファータンク28、ポンプ29が設けられている。このポンプ29によって、三方弁25から温水がバッファータンク28を介して熱交換器27に供給される。
【0020】
また、前記送風機14から吹出される空気の温度を検知する第1温度センサ30が設けられ、この第1温度センサ30が第1調節計31に接続され、この調節計31が三方弁25に接続されている。そして、第1調節計31は、第1温度センサ30によって検知された温度に基づいて、三方弁25を制御(フィードバック制御)して、温水コイル13で生成される温空気が、23℃程度(例えば23℃±0.03℃)となるように、排熱水供給路20から温水コイル13に流入する排熱水の流量を制御する。
【0021】
すなわち、冷凍機11から排熱水供給路20を通して温水コイル13に流入する排熱水の流量と、排熱水供給路20から排熱水分岐路22に分岐して流れる排熱水の流量とが三方弁25によって制御されることによって、温空気の温度を23℃程度(例えば23℃±0.03℃)となるように調節する。言い換えると、排熱水供給路20から温水コイル13に流入する排熱水の流量は、排熱水供給路20から排熱水分岐路22に流入する排熱水の流量を、送風機14からの温空気の温度(第1温度センサ30によって検出された温度)に基づいて、第1調節計31が三方弁25を制御することによって、制御される。
【0022】
例えば、冷凍機11から排熱水供給路20に流入する排熱水の温度は38℃程度である一方、冷却コイル12によって冷却されて、温水コイル13を通る冷空気は18~19℃であるので、三方弁25によって、排熱水分岐路22に流入する排熱水の流量を少なくすることで、排熱水供給路20を流れて温水コイル13に流入する排熱水の流量を多くするほど、温水コイル13によって加熱される冷空気の温度上昇量が大きく、逆に排熱水分岐路22に流入する排熱水の流量を多くすることで、排熱水供給路20を流れて温水コイル13に流入する排熱水の流量を少なくするほど、温水コイル13によって加熱される冷空気の温度上昇量が小さくなる。
【0023】
また、前記熱交換器27には、冷却水供給路33の一端部が接続され、冷却水供給路33の他端部は前記冷凍機11に接続されている。冷却水供給路33は、熱交換器27と冷凍機11とを接続して、冷凍機11に熱交換器27から冷却水を供給する。
熱交換器27には、温水供給路26から温水が流入し、この温水が熱交換されて、冷却水として、冷却水供給路33を流れて、冷凍機11に流入する。したがって、排熱水供給路20、排熱水分岐路22、排熱温水排水路23、温水供給路26および冷却水供給路33は循環路34を構成し、この循環路34に、冷凍機11、温水コイル13、三方弁25、バッファータンク28、ポンプ29、熱交換器27が設けられている。バッファータンク28を設けることによって、循環路34を流れる温水量を一定に保持することができる。
【0024】
また、前記熱交換器27には、一次側の冷却水を外部から供給する外部冷却水供給路35が接続されている。この外部冷却水供給路35は、例えば図示しない冷却塔に接続され、冷却塔で冷却された冷却水が外部冷却水供給路35を流れて熱交換器27に流れ込むようになっている。なお、前記冷却塔からは、他の空調装置やその他の機器に、冷却水を供給するようになっている。
また、熱交換器27には、熱交換されて温水となった外部冷却水を排水する外部冷却水排水路36が接続されている。この外部冷却水排水路36は、前記冷却塔に接続され、冷却塔で再び冷却された冷却水が外部冷却水供給路35を流れて熱交換器27に流れ込むようになっている。つまり、熱交換器27は外部に設置されている冷却塔に循環接続されている。
【0025】
また、前記循環路34を構成する冷却水供給路33には、第2温度センサ40が設けられ、この第2温度センサ40が第2調節計41に接続されている。また、外部冷却水供給路35にはモータ弁(第2制御弁)37が設けられ、このモータ弁37は調節計41に接続されている。
そして、調節計41は、温度センサ40によって検知された温度に基づいて、モータ弁37を制御(フィードバック制御)して、冷却水供給路33を流れる冷却水、つまり冷凍機11に供給される冷却水の水温が例えば32℃程度(例えば32℃±0.3℃)となるように、外部冷却水供給路35から熱交換器27に供給する冷却水の流量を制御する。言い換えると、外部冷却水供給路35から熱交換器27に流入する外部冷却水の流量は、冷却水供給路33を流通する冷却水の温度に基づいて、モータ弁37によって制御される。
【0026】
例えば、外部冷却水供給路35を流れる冷却水(一次冷却水)の温度は25℃~37℃である一方、温水供給路26を流れる温水の温度は35℃~37℃であるので、モータ弁37によって、熱交換器27に流入する一次冷却水の流量を少なくすることで、熱交換器27で熱交換された温水の温度が高くなり、逆に熱交換器27に流入する一次冷却水の流量を多くすることで、熱交換器27で熱交換された温水の温度が低くなる。このようにして、一次冷却水によって熱交換器27で熱交換された温水の温度が32℃程度(例えば32℃±0.3℃)となるように、熱交換器27に流入する一次冷却水の流量が制御される。
【0027】
なお、冷却水供給路33と温水供給路26とには、バイパス路45が接続され、このバイパス路45に手動式のバイパスバルブ46が設けられている。このバイパスバルブ46を開とすることで、温水供給路26を流れる温水の一部を直接冷却水供給路33に流入させることができる。
【0028】
前記構成の空調装置10は、図2および図3に示すように、略直方体箱状のケーシング50を備え、このケーシング50の内部に、冷却コイル12、温水コイル13、送風機14等が設けられている。冷却コイル12および温水コイル13は、コイルケース51に収納されたうえで、ケーシング50の内部に設けられ、送風機14は、送風機ケース52に収納されたうえで、ケーシング50の内部に設けられている。
【0029】
また、ケーシング50の正面側の上部には吹出口53が設けられ、送風機14から吹出された温空気は吹出口53から外部(例えばクリーンルーム)に吹出される。
また、ケーシング50の背面側の上下中央部に吸込口54が設けられ、送風機14によって外部(例えばクリーンルーム)の空気が吸込まれる。
さらに、ケーシング50の下部には、冷凍機11が設けられるとともに、冷凍機11の横に配管エリア55が設けられている。この配管エリア55には、排熱水供給路20、排熱水分岐路22、排熱温水排水路23、温水供給路26、冷却水供給路33、外部冷却水供給路35、外部冷却水排水路36等の配管が配置されている。
また、ケーシング50の底部には、空調装置10を移動させるためキャスタ56および空調装置10を設置固定するための設定固定部57が設けられている。
【0030】
以上のように本実施形態によれば、冷凍機11で発生する排熱水を温水コイル13に供給する排熱水供給路20を備えているので、温水コイル13を、従来と異なりボイラやヒータ等の別途の熱源によらず、冷凍機11で発生する排熱水によって加熱でき、省エネ効果を得ることができる。
また、排熱水供給路20から温水コイル13に流入する排熱水の流量は、排熱水供給路20から排熱水分岐路22に流入する排熱水の流量を、送風機14からの温空気の温度を検知した第1温度センサ30の温度に基づいて、第1調節器31によって三方弁25を制御することによって、制御されるので、温水コイル13によって生成される温空気の温度を所望の温度に制御できる。
【0031】
さらに、外部冷却水供給路35から熱交換器27に流入する外部冷却水の流量は、冷却水供給路33を流通する冷却水の温度を検知した第2温度センサ40の温度に基づいて、モータ弁37によって制御されるので、冷凍機11に供給される冷却水を外部冷却水供給路35から直接供給することなく、冷凍機11の排熱水を利用して、熱交換器27によって熱交換して、循環させて供給することができる。したがって、外部冷却水供給路35を流れる冷却水の流量や温度にバラツキが生じていても、冷凍機11に冷却水を安定的に供給できる。
【符号の説明】
【0032】
10 空調装置
11 冷凍機
12 冷却コイル(冷却部)
13 温水コイル(加熱部)
14 送風機
20 排熱水供給路
22 排熱水分岐路
23 排熱温水排水路
25 三方弁(第1制御弁)
26 温水供給路
27 熱交換器
30 第1温度センサ
31 第1調節計
33 冷却水供給路
35 外部冷却水供給路
36 外部冷却水排水路
37 モータ弁(第2制御弁)
40 第2温度センサ
41 第2調節計
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水冷式の冷凍機と、この冷凍機に接続され、当該冷凍機によって冷却された冷媒との熱交換によって外気を冷却して冷空気を生成する冷却部と、この冷却部によって生成された冷空気を加熱して温空気を生成する加熱部と、前記温空気を送風する送風機とを備えた空調装置であって、
前記冷凍機で発生する排熱水を前記加熱部に供給する排熱水供給路と、
前記排熱水供給路の途中で分岐する排熱水分岐路と、
前記加熱部で温度低下した排熱水を排熱温水として排水する排熱温水排水路と、
前記排熱水分岐路と前記排熱温水排水路とが接続される第1制御弁と、
熱交換器と、
前記第1制御弁と前記熱交換器とを接続して、前記熱交換器に前記第1制御弁から温水を供給する温水供給路と、
前記熱交換器と前記冷凍機とを接続して、前記冷凍機に前記熱交換器から冷却水を供給する冷却水供給路と、
前記熱交換器に外部から外部冷却水を供給する外部冷却水供給路と、
前記外部冷却水供給路に設けられた第2制御弁と、
前記熱交換器によって熱交換されて温水となった外部冷却水を排水する外部冷却水排水路と、を備え、
前記温水供給路の途中に、上流側から順にバッファータンク、ポンプが設けられ、
前記ポンプによって、前記第1制御弁から温水が前記バッファータンクを介して前記熱交換器に供給され、
前記排熱水供給路から前記加熱部に流入する排熱水の流量は、前記排熱水供給路から前記排熱水分岐路に流入する排熱水の流量を、前記送風機からの温空気の温度に基づいて、前記第1制御弁によって制御することによって、制御され、
前記外部冷却水供給路から前記熱交換器に流入する外部冷却水の流量は、前記冷却水供給路を流通する冷却水の温度に基づいて、前記第2制御弁によって制御されることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
水冷式の冷凍機と、この冷凍機に接続され、当該冷凍機によって冷却された冷媒との熱交換によって外気を冷却して冷空気を生成する冷却部と、この冷却部によって生成された冷空気を加熱して温空気を生成する加熱部と、前記温空気を送風する送風機とを備えた空調装置であって、
前記冷凍機で発生する排熱水を前記加熱部に供給する排熱水供給路と、
前記排熱水供給路の途中で分岐する排熱水分岐路と、
前記加熱部で温度低下した排熱水を排熱温水として排水する排熱温水排水路と、
前記排熱水分岐路と前記排熱温水排水路とが接続される第1制御弁と、
熱交換器と、
前記第1制御弁と前記熱交換器とを接続して、前記熱交換器に前記第1制御弁から温水を供給する温水供給路と、
前記熱交換器と前記冷凍機とを接続して、前記冷凍機に前記熱交換器から冷却水を供給する冷却水供給路と、
前記熱交換器に外部から外部冷却水を供給する外部冷却水供給路と、
前記外部冷却水供給路に設けられた第2制御弁と、
前記熱交換器によって熱交換されて温水となった外部冷却水を排水する外部冷却水排水路と、を備え、
前記排熱水供給路から前記加熱部に流入する排熱水の流量は、前記排熱水供給路から前記排熱水分岐路に流入する排熱水の流量を、前記送風機からの温空気の温度に基づいて、前記第1制御弁によって制御することによって、制御され、
前記外部冷却水供給路から前記熱交換器に流入する外部冷却水の流量は、前記冷却水供給路を流通する冷却水の温度に基づいて、前記第2制御弁によって制御され、
直方体箱状のケーシングを備え、
前記ケーシングの下部に前記冷凍機が設けられ、
前記ケーシングの内部でかつ前記冷凍機の上方に、前記冷却部、前記加熱部、前記送風機が設けられていることを特徴とする空調装置。
【請求項3】
前記送風機から吹出される空気の温度を検知する第1温度センサと、
前記第1温度センサと前記第1制御弁とが接続された第1調節計とを備え、
前記第1調節計は、前記第1温度センサによって検知された温度に基づいて、前記第1制御弁を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記冷却水供給路を流れる冷却水の温度を検知する第2温度センサと、
前記第2温度センサと、前記第2制御弁とが接続された第2調節計とを備え、
前記第2調節計は、前記第2温度センサによって検知された温度に基づいて、前記第2制御弁を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の空調装置。