(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053758
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】除塵機
(51)【国際特許分類】
E02B 5/08 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
E02B5/08 104E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160160
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100139516
【弁理士】
【氏名又は名称】藤浪 一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 孝之
(57)【要約】
【課題】スクリーンの手前に堆積した沈砂による不具合を防止できる除塵機を提供することを課題とする。
【解決手段】水路Nに設置され複数の目開部2Bを備えた縦引きのバースクリーン2と、目開部2Bに入ってし渣を掻き揚げる掻揚レーキ9と、バースクリーン2の上流側に堆積した沈砂をバースクリーン2の下流側に送る櫛歯レーキ10と、掻揚レーキ9及び櫛歯レーキ10がバースクリーン2に対して前面降下かつ前面掻揚となるように移動させる回転機構3と、を備え、櫛歯レーキ10の少なくとも一部は、し渣及び沈砂を掻き揚げないように下方に傾斜していることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路に設置され複数の目開部を備えた縦引きのバースクリーンと、
前記目開部に入ってし渣を掻き揚げる掻揚レーキと、
前記バースクリーンの上流側に堆積した沈砂を当該バースクリーンの下流側に送る櫛歯レーキと、
前記掻揚レーキ及び前記櫛歯レーキが前記バースクリーンに対して前面降下かつ前面掻揚となるように移動させる回転機構と、を備え、
前記櫛歯レーキの少なくとも一部は、し渣及び沈砂を掻き揚げないように下方に傾斜していることを特徴とする除塵機。
【請求項2】
前記櫛歯レーキは、幅方向に延設され前記回転機構に接続される基部と、前記基部から前記バースクリーンに向けて突出する砂送り歯と、を備え、
前記砂送り歯は、前記回転機構の進行方向軸に垂直となる仮想基準線に対して下方に傾斜する傾斜部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の除塵機。
【請求項3】
前記櫛歯レーキは、前記バースクリーンと前記基部との間にし渣及び沈砂を落下させる間隙部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の除塵機。
【請求項4】
前記砂送り歯は、前記目開部に対して一つ置きとなるよう前記基部の幅方向に一定間隔で備えていることを特徴とする請求項2に記載の除塵機。
【請求項5】
前記櫛歯レーキは、連続して一対設けられており、
先行の前記櫛歯レーキの前記砂送り歯と後行の前記櫛歯レーキの前記砂送り歯とにより、幅方向に形成された複数の前記目開部に対して、相互に前記砂送り歯が挿入されることで抜けを補うことを特徴とする請求項4に記載の除塵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場、ポンプ場、揚排水機場等に設置される除塵機として、特許文献1に記載されたものが知られている。除塵機は、水路内に配設したバースクリーンにより水路を流れるし渣を捕捉するように構成されている。また、沈砂池の後段設備である汚水ポンプや雨水ポンプ等の保護を目的として、沈砂池の下流部に細目のバースクリーンを備えた除塵機が設置されていたが、近年では沈砂池内に堆積している沈砂の処理を水中ポンプ等で揚砂により行うシステムが採用され、水中ポンプ等の保護を目的として沈砂池の上流部に細目のバースクリーンを備えた除塵機が配設されている。バースクリーンにより捕捉されたし渣は、バースクリーン前面に沿って上昇する掻揚レーキにより掻き揚げられ、チェーンの上昇端付近に設けたシュート内に落下して水路内から除去される。シュート内に移したし渣は、次のし渣処理系統に移されて処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の除塵機は、沈砂池の上流部に設置するとバースクリーンの前に堆積した沈砂をし渣とともに掻き揚げてしまう場合がある。沈砂を掻き揚げることで、し渣処理系統の破砕機や脱水機の摩耗原因となる場合がある。また、し渣処理系統に洗浄機がある場合には、水槽内で砂が堆積することに伴う定期的な清掃やメンテナンスが増えるなどの悪影響を及ぼす。除塵機自体では、バースクリーンの前に堆積した沈砂により駆動装置の過トルクが発生したり、バースクリーンやレーキの歯が変形するといった問題がある。
【0005】
このような課題を踏まえ、本発明は、スクリーンの手前に堆積した沈砂による不具合を防止できる除塵機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、水路に設置され複数の目開部を備えた縦引きのバースクリーンと、前記目開部に入ってし渣を掻き揚げる掻揚レーキと、前記バースクリーンの上流側に堆積した沈砂を当該バースクリーンの下流側に送る櫛歯レーキと、前記掻揚レーキ及び前記櫛歯レーキが前記バースクリーンに対して前面降下かつ前面掻揚となるように移動させる回転機構と、を備え、前記櫛歯レーキの少なくとも一部は、し渣及び沈砂を掻き揚げないように下方に傾斜していることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、バースクリーンの上流側に堆積した沈砂を櫛歯レーキによって、下流側へ送ることができるため、バースクリーンの手前に沈砂が堆積するのを抑制することができる。また、櫛歯レーキの少なくとも一部は傾斜しているため、仮に沈砂を掻き揚げたとしても、櫛歯レーキの上昇に伴って、沈砂は櫛歯レーキから滑り落ちる。そのため、し渣処理系統に沈砂が入り込むのを防ぐことができる。これにより、沈砂によるし渣処理系統の機器への不具合を防ぐことができる。
【0008】
また、前記櫛歯レーキは、幅方向に延設され前記回転機構に接続される基部と、前記基部から前記バースクリーンに向けて突出する砂送り歯と、を備え、前記砂送り歯は、前記回転機構の進行方向軸に垂直となる仮想基準線に対して下方に傾斜する傾斜部を備えていることが好ましい。
【0009】
本発明によれば、傾斜部によって効率的に沈砂を滑り落とすことができる。
【0010】
また、前記櫛歯レーキは、前記バースクリーンと前記基部との間にし渣及び沈砂を落下させる間隙部を備えていることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、間隙部から沈砂を落下させることができるため、沈砂の掻き揚げをより防ぐことができる。
【0012】
また、前記砂送り歯は、前記目開部に対して一つ置きとなるよう前記基部の幅方向に一定間隔で備えていることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、目開部に対して一つ置きとなるように備えているため、砂送り歯と砂送り歯の間からは沈砂が落下しやすくすることができる。これにより沈砂の掻き揚げをより防ぐことができる。また、櫛歯レーキが、いわゆる歯抜け状態になっているため、バースクリーンとの抵抗を減らし、駆動装置の過トルク発生や砂送り歯、バースクリーンの変形を防ぐことができる。
【0014】
また、前記櫛歯レーキは、連続して一対設けられており、先行の前記櫛歯レーキの前記砂送り歯と後行の前記櫛歯レーキの前記砂送り歯とにより、幅方向に形成された複数の前記目開部に対して、相互に前記砂送り歯が挿入されることで抜けを補うことが好ましい。
【0015】
本発明によれば、負荷を分散させることができるとともに沈砂の掻き漏れを減らし、効率的に沈砂を下流側に送ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の除塵機によれば、スクリーンの手前に堆積した沈砂による不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る除塵機を示す模式側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る除塵機を示す模式正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る除塵機が沈砂を下流側へ送る様子を示す側面図である。
【
図7】(a)は先行する櫛歯レーキを示し、(b)は後行する櫛歯レーキを示し、(c)は掻揚レーキを示す平面図である。
【
図8】櫛歯レーキ及び掻揚レーキの配置の変形例を示す模式側面図である。
【0018】
以下、添付した図面を参照し、本発明の除塵機に係る実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は、適宜省略する。
【0019】
図1に示すように、除塵機1は、バースクリーン2と、回転機構3と、掻揚レーキ9と、櫛歯レーキ10と、を備えている。本実施の形態の除塵機1は、例えば下水処理場などの水処理施設において、沈砂池等の前処理設備の上流側の水路に設けられている。
【0020】
図1に示すように、バースクリーン2は、水路Nの底面に対して傾斜するように水路N内に固定されている。バースクリーン2は、沈砂池Tよりも上流側において、上端が下端よりも下流側に位置するように傾斜している。バースクリーン2の下端部は水路Nの底面に固定され、上端部は水路Nの天井部に設けられる開口部Pに位置している。
【0021】
図2に示すように、バースクリーン2は、細目用で、複数の縦引きのバー2Aが水路Nの幅方向に等間隔で並設されている。目開部2Bの幅寸法W(
図4)は、一定であって、概ね10数mm~数10mm程度になっている。バー2Aの形状は適宜設定すればよいが、例えば断面矩形状を呈する。各バー2Aの幅寸法も一定になっている。各バー2Aは水路幅方向に延設された連結バー2Cにより、溶接等により互いに連結されている。バー2A及び連結バー2Cは、例えば鋼材によって形成されている。
【0022】
図1に示すように、回転機構3は、掻揚レーキ9及び櫛歯レーキ10をバースクリーン2に対して前面降下かつ前面掻揚となるように移動させる機構である。
図1及び
図3に示すように、回転機構3は、駆動スプロケット4と、従動スプロケット5と、チェーン6と、ガイドローラ7と、ガイドレール8と、駆動装置Jと、を備えている。
【0023】
図1に示すように、駆動スプロケット4は、天井部の上方の区画において、水路幅方向に離間して一対設けられている。従動スプロケット5は、水路Nの下部において、水路幅方向に離間して一対設けられている。チェーン6は、水路幅方向に離間して一対設けられており、それぞれ駆動スプロケット4と従動スプロケット5に無端状に掛け回されている。つまり、駆動スプロケット4と、従動スプロケット5及びチェーン6は、バースクリーン2の両脇に一対として配設されている。チェーン6は、バースクリーン2と概ね平行となる直線部6a,6aを備えている。駆動装置Jは駆動スプロケット4にベルトやチェーン等の伝達手段Jaを介して接続され、駆動装置Jの回転を駆動スプロケット4に伝達するように構成されている。本実実施形態では、駆動装置Jを制御することでチェーン6が反時計回りに回転するように設定している。
【0024】
図3に示すように、チェーン6にはガイドローラ7が取り付けられており、このガイドローラ7がガイドレール8に案内されることで、チェーン6の移動軌跡が保持される。なお、ガイドレール8の従動スプロケット部分は、従動スプロケット5の代替えとすることができる場合もある。
【0025】
図1に示すように、チェーン6が反時計回りに循環移動することで掻揚レーキ9がバースクリーン2で捕捉したし渣を掻き揚げる。掻き揚げられたし渣は天井部の上方の区画に配置されたホッパ(不図示)等に排出される。
【0026】
図1及び
図3に示すように、掻揚レーキ9は、基部9Aと、複数の掻揚歯9Bとを備えており、例えば鋼材で形成されている。掻揚レーキ9は、バースクリーン2の上流側に堆積したし渣を掻き揚げる部材である。掻揚レーキ9は、本実施形態では所定のピッチで回転機構3に2つ取り付けられているが、設置数は適宜設定すればよい。
【0027】
基部9Aは、水路幅方向に長手の板状部材であって、水路Nの両側に位置した各チェーン6に掛け渡されるように取り付けられている。掻揚歯9Bは、基部9Aの長辺部の端部において水路幅方向に複数個並設されている。掻揚歯9Bは、先細りとなるように突出しており、それぞれ同形状になっている。各掻揚歯9Bは、対向するバースクリーン2の目開部2Bにそれぞれ入り込み、し渣を掻き寄せる部位である。
【0028】
図1及び
図3に示すように、櫛歯レーキ10は、基部10Aと、複数の砂送り歯10Bとを備えており、例えば鋼材で形成されている。櫛歯レーキ10は、バースクリーン2の上流側に堆積した沈砂を下流側へと送る部材である。また、櫛歯レーキ10は、し渣及び沈砂を掻き揚げない部材であって、仮に掻き揚げたとしても櫛歯レーキ10の上昇に伴ってし渣及び沈砂を落下させる部材である。櫛歯レーキ10は、本実施形態では所定のピッチで回転機構3に2つ取り付けられているが、設置数は適宜設定すればよい。
【0029】
基部10Aは、水路幅方向に長手の板状部材であって、水路Nの両側に位置したチェーン6に掛け渡されるように取り付けられている。砂送り歯10Bは、基部10Aの長辺部の端部において水路幅方向に複数個並設されている。
図4及び
図5に示すように、砂送り歯10Bは、目開部2Bに対向するとともに、水路幅方向に沿って一定の間隔で配置されている。砂送り歯10Bは、目開部2Bの奥行き方向に挿入される長さになっている。より詳しくは、砂送り歯10Bは、連結バー2Cに接触せず、かつ、従動スプロケット5を回った際に沈砂を下流側に送りつつ水路Nの底面に接触しない長さになっている。
【0030】
砂送り歯10Bの形状は、適宜設定すればよいが、本実施形態では平面視矩形の板状部材である。砂送り歯10Bは、面外方向が水路幅方向と平行になるように配置されている。また、
図5に示すように、砂送り歯10Bの先端側の上部には、チェーン6の直線部6a(回転機構3の進行方向軸)に垂直となる仮想基準線Kに対して下方に傾斜する傾斜部11を備えている。
【0031】
図4に示すように、基部10Aと対向する複数のバー2Aとの間には、間隙部Uが設けられている。間隙部Uは、基部10A、バー2A、砂送り歯10Bによって囲まれており、上下に貫通する領域である。間隙部Uは、し渣や沈砂が通り抜けるように形成されている。なお、
図4の砂送り歯10Bは、バースクリーン2の目開部2Bに対して一つ置きとなっているが、他の間隔で砂送り歯10Bを設けてもよいし、全ての目開部2Bに砂送り歯10Bが入るようにしてもよい。
【0032】
図1に示すように、本実施形態では、回転機構3に対して2つの掻揚レーキ9と、2つの櫛歯レーキ10を設けている。また、本実施形態では、櫛歯レーキ10,10が連続して移動し、掻揚レーキ9,9が連続して移動するように所定のピッチで取り付けられている。掻揚レーキ9,9はいずれも同形状になっている。一方、櫛歯レーキ10,10は砂送り歯10Bの配置が異なっている。
【0033】
図7(a)は、先行する櫛歯レーキ10を示している。
図7(b)は後行する櫛歯レーキ10を示している。先行する櫛歯レーキ10と後行する櫛歯レーキ10の砂送り歯10Bの配置は互いに逆になっている。つまり、先行の櫛歯レーキ10の砂送り歯10Bと後行の櫛歯レーキ10の砂送り歯10Bとにより、幅方向に形成された目開部2B,2Bに対して、相互に砂送り歯10Bが挿入されることで抜けを補うようになっている。
【0034】
より詳しくは、同一の目開部2Bに対して、先行の櫛歯レーキ10の砂送り歯10Bが通った後は、後行の櫛歯レーキ10の砂送り歯10Bは通らず、砂送り歯10Bがない部分が通る(対向する)。一方、同一の目開部2Bに対して先行の櫛歯レーキ10の砂送り歯10Bがない部分が通った(対向した)後は、後行する櫛歯レーキ10の砂送り歯10Bが通るようになっている。
【0035】
次に、本実施形態に係る除塵機1の作用について説明する。
図6に示すように、バースクリーン2の上流側には沈砂S3が堆積する傾向にある。回転機構3が駆動し、櫛歯レーキ10が沈砂S3へ接触すると、櫛歯レーキ10は、砂送り歯10Bで沈砂S2を掘削しながらバースクリーン2の目開部2Bを通過させ、バースクリーン2の下流側へと押し流す。砂送り歯10Bは、先行する櫛歯レーキ10と後行する櫛歯レーキ10とで水路幅方向に交互に配置されているため、沈砂S2を幅方向に亘って全体的に効率よく押し流すことができる。また、櫛歯レーキ10は、バースクリーン2に捕捉されたし渣S1の排除も行っている。
【0036】
沈砂を下流側へと送った後、櫛歯レーキ10はバースクリーン2に沿って上昇する。このとき、隣り合う砂送り歯10B,10B同士には十分な間隔があるため、沈砂を掻き揚げないようになっている。また、砂送り歯10Bの先端側に傾斜部11が設けられているため、仮に櫛歯レーキ10が沈砂及びし渣を掻き揚げたとしても、櫛歯レーキ10の上昇に伴って傾斜部11に沿って滑り落ちるようになっている。これにより、し渣処理系統に沈砂が入り込むのを防ぐことができ、沈砂による機器へのトラブルを低減することができる。
【0037】
また、間隙部Uを備えているため、間隙部Uからも、し渣や沈砂が落下する。つまり、先行する櫛歯レーキ10及び後行する櫛歯レーキ10によって、沈砂を効率よくバースクリーン2の下流側に移動させつつ、間隙部Uによって沈砂及びし渣を掻き揚げないようにすることができる。
【0038】
また、先行と後行で一対の櫛歯レーキ10は、沈砂の掻き漏れを減らし、効率的に沈砂を下流側に送るとともに、砂送り歯10Bがいわゆる歯抜け状態になっているため、バースクリーン2との抵抗を減らし、過トルクの発生やバースクリーン2や砂送り歯10Bの変形を防ぐことができる。
【0039】
詳しくは、櫛歯レーキ10は、回転機構3の回転に沿って連続して一対設けられており、先行の櫛歯レーキ10の砂送り歯10Bと後行の櫛歯レーキ10の砂送り歯10Bとにより、水路幅方向に形成された複数の目開部2Bに対して、相互に砂送り歯10Bが挿入されることで抜けを補うことができる。なお、「連続して一対設けられており」とは、先行の櫛歯レーキ10と後行の櫛歯レーキ10との間に掻揚レーキ9を挟まないことを意味する。
【0040】
櫛歯レーキ10,10が連続して最下端を通過した後、掻揚レーキ9が最下端を通過する。このとき、櫛歯レーキ10,10によって沈砂Sがバースクリーン2の下流側に送られているため、沈砂と掻揚レーキ9との接触を無くするか、小さくすることができる。これにより、掻揚レーキ9は沈砂を掻き揚げず、バースクリーン2に捕捉されたし渣のみを掻き揚げることができる。また、掻揚レーキ9が沈砂Sとの接触を避けることができため、回転機構3に過負荷が作用するのを防ぐことができる。
【0041】
以上本発明の実施形態について説明したが、適宜設計変更が可能である。例えば、
図8に示す変形例では、掻揚レーキ9と櫛歯レーキ10とを回転方向に沿って交互に設けている。また、変形例のように櫛歯レーキ10を全体的に下流側に傾斜させてもよい。つまり、櫛歯レーキ10の全体又は一部は、沈砂Sをバースクリーン2の下流側に送ることができるとともに、沈砂を掻き揚げない又は、仮に掻き揚げたとしても沈砂やし渣を積極的に滑り落とせる構造であればよい。
【0042】
また、傾斜部11の傾斜角度は適宜設定すればよいが、少なくとも仮想基準線Kに対して下方に傾斜させることが好ましい。また、砂送り歯10Bは、本実施形態では目開部2Bに対して一つ置きに設けているが、砂送り歯10Bの間(砂送り歯10Bがない部分)に目開部2Bに挿入されない短い歯を設けてよい。これにより沈砂が抜ける間隙部Uは狭くなるが、バースクリーン2に捕捉されたし渣は掻き揚げることができる。
【0043】
また、本実施形態では、2つの櫛歯レーキ10によって、幅方向に形成された目開部2B,2Bに対して、相互に砂送り歯10Bが挿入されることで抜けを補うようにしたが、3つ以上の櫛歯レーキを用いて目開部2Bに対して砂送り歯10Bが挿入されることで抜けを補うようにしてもよい。また、沈砂をバースクリーン2の下流側に送るため、バースクリーン2の下部と水路Nとの間は平坦であることが好ましい。仮に、構造物を設置する場合は、沈砂が抜けるような孔部を設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 除塵機
2 バースクリーン
2A バー
2B 目開部
3 回転機構
9 掻揚レーキ
10 櫛歯レーキ
10A 基部
10B 砂送り歯
S1 し渣
S2 沈砂(掘削部位)
S3 沈砂(堆積部位)
J 駆動装置