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特開2024-53765電子機器、電子楽器システム、再生制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053765
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】電子機器、電子楽器システム、再生制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20240409BHJP
   G10G 1/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G10H1/00 102Z
G10G1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160178
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橘 敏之
(72)【発明者】
【氏名】吉野 順
【テーマコード(参考)】
5D182
5D478
【Fターム(参考)】
5D182AA03
5D182AA21
5D182AB01
5D478EB33
5D478EB40
5D478FF03
5D478FF12
5D478FF23
5D478FF26
(57)【要約】
【課題】アドリブ演奏の練習を効果的に行えるようにする。
【解決手段】電子機器の制御部は、レッスン対象の楽曲における予め定められた条件に該当する区間をガイド演奏区間に決定し、前記条件に該当しない区間をアドリブ演奏区間に決定する。そして、電子機器の制御部は、レッスン対象の楽曲の楽曲データに基づいて楽曲を再生する場合に、決定されたガイド演奏区間の楽曲音を出力するよう制御し、アドリブ演奏区間の楽曲音の少なくとも一部は出力しないように制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲データに基づいて楽曲の再生を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記楽曲における予め定められた条件に該当する演奏区間を第1の区間に決定し、前記条件に該当しない区間を第2の区間に決定し、
前記楽曲データに基づいて前記楽曲を再生する場合に、前記第1の区間の楽曲音を出力するよう制御し、前記第2の区間の楽曲音の少なくとも一部は出力しないように制御する、
電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記楽曲の小節に付与された小節番号を基準小節数で割った商が予め定められた条件に該当する小節を前記第1の区間に決定し、
前記楽曲の小節に付与された小節番号を前記基準小節数で割った商が前記条件に該当しない小節を前記第2の区間に決定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記商の整数部分が奇数及び偶数のいずれかであるかという前記条件に応じて、前記第1の区間及び前記第2の区間を決定する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記条件は、前記楽曲が所定数の小節の内容の繰り返しにより構成されている場合、前記繰り返しごとに前記第1の区間となる小節と前記第2の区間となる小節が異なるように設定されている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
入力部を備え、
前記制御部は、
前記入力部によって入力された前記基準小節数の値の情報を用いて前記第1の区間及び前記第2の区間を決定する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、
前記条件を、前記楽曲が再生されるごとに変更する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1の区間となる小節と前記第2の区間となる小節との組み合わせが予め定められた複数の小節パターンに基づき、所定数の小節の繰り返しごとに前記複数の小節パターンのうち1つを選択する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
表示部を備え、
前記制御部は、前記楽曲における前記第1の区間と前記第2の区間とを示す情報を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、前記楽曲の始めの所定数の小節については、前記第1の区間に決定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記制御部は、前記楽曲データが複数のパートごとの楽曲データを含んで構成されている場合、前記複数のパートのうち、第1のパートの楽曲については、前記第1の区間の楽曲音を出力するよう制御し、前記第2の区間の楽曲音は出力しないように制御し、前記第1のパートとは異なる少なくとも1つのパートの楽曲については、全区間について楽曲音を出力するように制御する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
表示部を備え、
前記制御部は、前記楽曲の前記第2の区間の演奏タイミングにおいて、前記第2の区間の音高のガイドを前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電子機器と、電子楽器と、を備える電子楽器システムであって、
前記電子機器の制御部は、
前記楽曲データに基づいて、前記電子楽器における前記楽曲音の出力を制御する、
電子楽器システム。
【請求項13】
前記電子楽器は、鍵のそれぞれに発光素子が内蔵された鍵盤を備え、
前記電子機器の制御部は、前記楽曲の前記第2の区間の演奏タイミングにおいて、前記電子楽器の鍵盤の、前記第2の区間の音高に対応する鍵を発光させる、
請求項12に記載の電子楽器システム。
【請求項14】
楽曲データに基づいて楽曲の再生を制御するコンピュータが、
前記楽曲における予め定められた条件に該当する演奏区間を第1の区間に決定し、前記条件に該当しない区間を第2の区間に決定し、
前記楽曲データに基づいて前記楽曲を再生する場合に、前記第1の区間の楽曲音を出力するよう制御し、前記第2の区間の楽曲音の少なくとも一部は出力しないように制御する、再生制御方法。
【請求項15】
楽曲データに基づいて楽曲の再生を制御するコンピュータに、
前記楽曲における予め定められた条件に該当する演奏区間を第1の区間に決定し、前記条件に該当しない区間を第2の区間に決定し、
前記楽曲データに基づいて前記楽曲を再生する場合に、前記第1の区間の楽曲音を出力するよう制御し、前記第2の区間の楽曲音の少なくとも一部は出力しないように制御する、
処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子楽器システム、再生制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピアノ等の電子楽器での練習の際には、ガイド(お手本)となる自動演奏楽曲を再生し、これに続いて、ガイドと一致するようにユーザに演奏させることで、ユーザの演奏の上達を図ることが多い。
【0003】
一方で、即興でフレーズを弾くアドリブ演奏というものも存在する。例えば、特許文献1には、演奏情報に含まれるコード指定情報に基づき、現時点から所定時間先までの演奏期間において使用可能な鍵を決定し、該使用可能な鍵を時間順に対応付けされた表示素子段で報知するように表示制御することで、アドリブ演奏を支援する演奏支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-163710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、自動演奏については楽曲全体の全パートの音を再生するか、ユーザが選択したパートを再生するか、又は自動演奏は行わず、表示素子段での表示のみを行っている。
しかし、自動演奏で楽曲全体を再生するのでは、即興性が求められるアドリブ演奏の練習にはならない。また、自動演奏が全くない場合、楽曲全部をアドリブで演奏しなければならず、ハードルが高く練習効果を上げることは難しい。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、アドリブ演奏の練習を効果的に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の電子機器は、
楽曲データに基づいて楽曲の再生を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記楽曲における予め定められた条件に該当する演奏区間を第1の区間に決定し、前記条件に該当しない区間を第2の区間に決定し、
前記楽曲データに基づいて前記楽曲を再生する場合に、前記第1の区間の楽曲音を出力するよう制御し、前記第2の区間の楽曲音の少なくとも一部は出力しないように制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アドリブ演奏の練習を効果的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る電子楽器システムの全体構成例を示す図である。
図2】電子機器の制御部により実行されるアドリブ演奏レッスン処理におけるメロディパートの再生処理の流れを示すフローチャートである。
図3図2のステップS2において実行される区間決定処理の流れを示すフローチャートである。
図4図3の区間決定処理によって決定されるガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を示す図である。
図5】アドリブ演奏区間とガイド演奏区間を示す情報の画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
[電子楽器システム100の構成]
図1は、本発明に係る電子楽器システム100の全体構成例を示す図である。
図1に示すように、電子楽器システム100は、電子機器1と、電子楽器2と、を備えて構成されている。電子機器1と電子楽器2は、無線又は有線によりデータ送受信可能に通信接続されている。
【0012】
[電子機器1の構成]
電子機器1は、電子楽器2のユーザにアドリブ演奏のレッスンを提供する装置である。
電子機器1としては、例えば、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、スマートフォン等が適用可能である。
【0013】
電子機器1は、図1に示すように、制御部11、記憶部12、入力部13、表示部14、通信部15、出力部16等を備えて構成され、各部はバス17により接続されている。
【0014】
制御部11は、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、電子機器1の各部を制御するコンピュータである。具体的には、制御部11のCPUは、記憶部12に記憶されているシステムプログラムや各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で、図2に示すアドリブ演奏レッスン処理を始めとする各種処理を実行する。
【0015】
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。記憶部12は、電子機器1のシステムプログラムや各種アプリケーションプログラム、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。記憶部12は、電子機器1に内蔵されたものに限られず、電子機器1に対して着脱可能な外部記録媒体を含んでもよい。
本実施形態において、記憶部12は、制御部11が図2に示すアドリブ演奏レッスン処理を実行するためのアプリケーションプログラム(レッスンアプリ121と呼ぶ)を記憶している。
また、記憶部12には、レッスンアプリ121でのレッスン対象として選択可能な複数の楽曲の楽曲データが、楽曲を識別するための楽曲番号及び楽曲名に対応付けて記憶されている。楽曲データは、例えば、SMF(Standard MIDI(Musical Instrument Digital Interface) File)等のMIDI形式のデータであり、パート(本実施形態では、メロディパート、伴奏パート)ごとの楽曲データ、すなわち、パートごとのノートオンイベント(押鍵)の情報、ノートオフイベント(離鍵)の情報、ノートオンイベント/ノートオフイベントのタイミング(押鍵/離鍵のタイミング)、tickの情報、拍子の情報、コード進行の情報等を含む。ノートオンイベント(ノートオンメッセージ)の情報は、出力を開始する楽曲音を示す情報であり、チャンネル情報、ノート番号(音高)、ベロシティの情報が含まれる。ノートオフイベント(ノートオフメッセージ)の情報は、出力を停止する楽曲音を示す情報であり、少なくとも、チャンネル情報、ノート番号(音高)の情報が含まれる。楽曲データにおける小節の区切りの位置は、拍子の情報とtickの情報に基づいて、制御部11が決定する。
また、本実施形態において、レッスン対象として選択可能な楽曲は、所定数の小節(コーラス)の繰り返しにより構成されており、記憶部12には、楽曲番号に対応付けて、その楽曲番号の楽曲におけるコーラス数(繰り返し数)及び各コーラスに含まれる小節数が記憶されている。
【0016】
入力部13は、押しボタンスイッチや表示部14に取り付けられたタッチパネル等で構成されている。入力部13は、ユーザによる押しボタンスイッチの操作信号や画面上の操作信号を制御部11に出力する。
【0017】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、制御部11から指示された表示情報に従い各種表示を行う。
【0018】
通信部15は、電子楽器2を始めとする外部機器との間で通信を行うための有線ユニットや無線ユニットを備え、外部機器とデータ送受信を行う。本実施形態において、通信部15は、図示しない通信インターフェース(本実施形態では、MIDIインターフェース)を介して電子楽器2とデータ送受信を行う。
【0019】
出力部16は、音源部、D/Aコンバータ、増幅器、スピーカ等を備える。出力部16は、制御部11からの指示に従って、音源部により、音源部に備えられた波形ROMに予め記憶された波形データを読み出すか又は波形データを生成して、波形データに基づく楽曲音を、D/Aコンバータ、増幅器を介してスピーカから出力する。
【0020】
[電子楽器2]
電子楽器2は、例えば、鍵盤楽器である。
電子楽器2は、図1に示すように、制御部21、記憶部22、鍵盤23、入力部24、表示部25、通信部26、出力部27等を備えて構成され、各部はバス28により接続されている。
【0021】
制御部21は、少なくとも1つのCPU、RAM等を備えて構成され、電子楽器2の各部を制御するコンピュータである。具体的には、制御部21のCPUは、記憶部22に記憶されているシステムプログラムや各種プログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
例えば、制御部21は、鍵盤23における演奏操作に従って出力部27により楽曲音を出力させる。
また、制御部21は、電子機器1からメロディ用のチャンネルで送信されたノートオンイベントを通信部26により受信すると、受信したノートオンイベントで指定された音高の楽曲音の出力を出力部27に開始させ、電子機器1からメロディ用のチャンネルで送信されたノートオフイベントを通信部26により受信すると、受信したノートオフイベントで指定された音高の楽曲音の出力を出力部27に停止させる。
また、制御部21は、電子機器1からガイド表示用のチャンネルで送信されたノートオンイベントを通信部26により受信すると、鍵盤23の、受信したノートオンイベントで指定された音高の鍵のLEDを発光させ、電子機器1からガイド表示用のチャンネルで送信されたノートオフイベントを通信部26により受信すると、鍵盤23の、受信したノートオフイベントで指定された音高の鍵のLEDを消灯させる。
【0022】
記憶部22は、不揮発性の半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。記憶部22は、電子楽器2のシステムプログラムや各種プログラム、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。記憶部22は、電子楽器2に内蔵されたものに限られず、電子楽器2に対して着脱可能な外部記録媒体を含んでもよい。
【0023】
鍵盤23は、複数の鍵(操作子)、及び押鍵/離鍵された鍵を検出する検出部等を備え、押鍵/離鍵された鍵の音高やタイミングの情報を制御部21に出力する。
鍵盤23の複数の鍵のそれぞれは、発光素子であるLED(Light Emitting Diode)を備えており、制御部21からの指示に応じて発光する。
【0024】
入力部24は、押しボタンスイッチや表示部25に取り付けられたタッチパネル等で構成されている。入力部24は、ユーザによる押しボタンスイッチの操作信号や画面上の操作信号を制御部21に出力する。
【0025】
表示部25は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、制御部21から指示された表示情報に従い各種表示を行う。
【0026】
通信部26は、電子機器1を始めとする外部機器との間で通信を行うための有線ユニットや無線ユニットを備え、外部機器とデータ送受信を行う。本実施形態において、通信部26は、図示しない通信インターフェース(本実施形態では、MIDIインターフェース)を介して電子機器1とデータ送受信を行う。
【0027】
出力部27は、音源部、D/Aコンバータ、増幅器、スピーカ等を備える。出力部27は、制御部21からの指示に従って、音源部により、音源部に備えられた波形ROMに予め記憶された波形データを読み出すか又は波形データを生成して、波形データに基づく楽曲音をD/Aコンバータ、増幅器を介してスピーカから出力する。
【0028】
[電子楽器システム100の動作]
次に、電子楽器システム100における動作について説明する。
電子機器1において、レッスンアプリ121が起動され、レッスン対象の楽曲が入力部13により選択されて再生が指示されると、制御部11は、レッスンアプリ121との協働によりアドリブ演奏レッスン処理を実行する。
【0029】
ここで、従来の電子楽器のレッスンは、お手本どおりに弾けるようになることを目的としており、全パートの楽曲全体をお手本として再生するか、いずれかのパートをミュートして楽曲全体を再生することによりユーザがそのパートを他のパートに合わせて練習できるようにするか、または、楽曲の一部のフレーズをお手本として再生し、ユーザにそれに続いて演奏させる、というものであった。
しかし、アドリブ演奏は、演奏の中で独自にフレーズを作り出すものであるため、お手本どおりに弾けるようなることを目的とした従来のレッスンは適していない。
そこで、アドリブ演奏レッスン処理では、レッスン対象の楽曲データに基づく楽曲を再生する際に、楽曲音を出力する(演奏する)区間(第1の区間。ガイド演奏区間と呼ぶ。)と、ユーザがその演奏を受けてアドリブ演奏をするために、楽曲音を出力しない区間(第2の区間。アドリブ演奏区間と呼ぶ。)と、を設けて再生する。再生の際には、レッスン対象の楽曲の進行(コード進行など)を崩すことなく再生する。すなわち、楽曲の進行を止めて一部を繰り返したり、ユーザが演奏するために待ち時間を設けたりすることなく再生する。これにより、ユーザがアドリブ演奏を効果的にレッスンできるようにする。
【0030】
アドリブ演奏レッスン処理は、メロディパートの再生処理と伴奏パートの再生処理からなっており、制御部11は、メロディパートの再生処理と伴奏パートの再生処理を同時並行して、例えば、tick数のカウントアップを同期させて実行する。
【0031】
以下、アドリブ演奏レッスン処理の各パートの再生処理について説明する。
なお、以下の説明では、メロディパートにガイド演奏区間とアドリブ演奏区間とを設け、メロディパートについてのアドリブ演奏のレッスンを提供する場合を例にとり説明する。また、レッスン対象の楽曲が、12小節で1周するコーラスが3つで構成されている場合を例にとり説明する。また、ガイド演奏区間とアドリブ演奏区間は、予め定められた小節数(ここでは4小節)の区間であり、ガイド演奏区間とアドリブ演奏区間が4小節ごとに交互に入れ替わる場合を例にとり説明する。
【0032】
図2は、制御部11により実行されるメロディパートの再生処理の流れを示すフローチャートである。まず、図2を参照してメロディパートの再生処理について説明する。
【0033】
メロディパートの再生処理において、まず、制御部11は、tick数、小節数、拍数、コーラス数、の各変数(RAMの記憶領域)を初期化する(ステップS1)。
すなわち、制御部11は、tick数、小節数、拍数、コーラス数、の各変数(RAMの記憶領域)に0を設定する。tick数、小節数、拍数、コーラス数、の各変数は、楽曲における、現在の再生対象の位置を特定するための変数である。
【0034】
次いで、制御部11は、図3に示す区間決定処理を実行し、現在の再生対象の位置を、ガイド演奏区間とするか又はアドリブ演奏区間とするかを決定する(ステップS2)。
【0035】
ここで、図3を参照して、図2のステップS2において実行される区間決定処理について説明する。図3に示す区間決定処理は、制御部11とレッスンアプリ121との協働により実行される。
【0036】
まず、制御部11は、現在の再生対象の位置が、最初のコーラス内(1コーラス目、すなわちコーラス数=0)であるか否かを判断する(ステップS201)。
言い換えると、制御部11は、現在の再生対象の位置が、楽曲の始めの12小節であるか否かを判断する。
【0037】
現在の再生対象の位置が、最初のコーラス(コーラス数=0)であると判断した場合(ステップS201;YES)、制御部11は、現在の再生対象の位置をガイド演奏区間に決定し(ステップS206)、図2のステップS3に戻る。
ここで、本実施形態では、最初の1コーラス目は、ユーザが楽曲のイメージを掴めるように、全区間をガイド演奏区間に決定する。
【0038】
現在の再生対象の位置が、最初のコーラス(コーラス数=0)ではないと判断した場合(ステップS201;NO)、制御部11は、2コーラス目の先頭の小節の小節番号を0とした場合の現在の再生対象の小節の小節番号(total_bar)を算出し、算出した小節番号(total_bar)を現在の再生対象の小節に付与する(ステップS202)。
例えば、上述のように1コーラスが12小節である場合、3コーラス目の最初の小節には、小節番号として12が付与される。
【0039】
次いで、制御部11は、ガイド演奏区間及びアドリブ演奏区間の小節数(基準小節数(play_bar))を取得する(ステップS203)。
上述のように、本実施形態では、ガイド演奏区間及びアドリブ演奏区間の小節数は4であるので、基準小節数(play_bar)として4を取得する。なお、基準小節数は、予め記憶部12に記憶されていることとするが、ユーザが入力部13から自由に設定可能としてもよい。
【0040】
次いで、制御部11は、小節番号(total_bar)を基準小節数(play_bar)で割って商を算出し、商の小数点以下を切り捨てる(ステップS204)。
この計算により、現在の再生対象の小節が、4小節区切りで何番目の小節かを取得することができる。
【0041】
次いで、制御部11は、ステップS204で算出された値が偶数であるか否かを判断する(ステップS205)。
ステップS204で算出された値が偶数であると判断した場合(ステップS205;YES)、制御部11は、現在の再生対象の小節をガイド演奏区間に決定し(ステップS206)、図2のステップS3に移行する。
ステップS204で算出された値が奇数であると判断した場合(ステップS205;NO)、制御部11は、現在の再生対象の小節をアドリブ演奏区間に決定し(ステップS207)、図2のステップS3に移行する。
【0042】
図4は、上記区間決定処理で決定されるガイド演奏区間とアドリブ演奏区間の一例を示す図である。図4においては、1つの矩形領域が1つの小節を示しており、楽曲内の小節を、1行を4小節として、コーラスごと(12小節ごと)に区切って示している。図4では、1コーラス目の左上のC7の矩形領域が初めの小節であり、通常の五線譜と同様に左から右に演奏が進み、1行(4つの矩形領域)が終了すると、次の行の一番左の矩形領域(図4ではF7)へと演奏が進む。矩形領域内のC7、F7等の符号はその小節のコードを示している。前の小節と同じコードの小節についてはコードの記載はない。
図4に示すように、上記区間決定処理では、1コーラス目は、ユーザが楽曲のイメージを掴めるように、全小節がガイド演奏区間に決定される。2コーラス目以降は、4小節ごとに、ガイド演奏区間とアドリブ演奏区間が交互となるように決定される。また、2コーラス目以降は、コーラスごとにガイド演奏区間とアドリブ演奏区間が変動するように決定される。
【0043】
図2のステップS3において、制御部11は、区間決定処理の結果に基づいて、現在の再生対象の位置がガイド演奏区間であるか否かを判断する(ステップS3)。
現在の再生対象の位置がガイド演奏区間であると判断した場合(ステップS3;YES)、制御部11は、メロディパートの楽曲データに基づいて、現在の再生対象の位置がノートオフタイミングであるか否かを判断する(ステップS4)。
現在の再生対象の位置がノートオフタイミングであると判断した場合(ステップS4;YES)、制御部11は、メロディパートの楽曲データの現在の再生位置に対応するノートオフイベントをメロディ用のチャンネルで通信部15により電子楽器2に送信することにより、電子楽器2に当該ノートオフイベントで指定された音高の楽曲音の出力を停止させ(ステップS5)、ステップS12に移行する。
【0044】
現在の再生対象の位置がノートオフタイミングではないと判断した場合(ステップS4;NO)、制御部11は、メロディパートの楽曲データに基づいて、現在の再生対象の位置がノートオンタイミングであるか否かを判断する(ステップS6)。
現在の再生対象の位置がノートオンタイミングであると判断した場合(ステップS6;YES)、制御部11は、メロディパートの楽曲データの現在の再生位置に対応するノートオンイベントをメロディ用のチャンネルで通信部15により電子楽器2に送信することにより、電子楽器2に当該ノートオンイベントで指定された音高の楽曲音の出力を開始させ(ステップS7)、ステップS12に移行する。
現在の再生対象の位置がノートオンタイミングではないと判断した場合(ステップS6;NO)、制御部11は、ステップS12に移行する。
【0045】
一方、ステップS3において、現在の再生対象の位置がガイド演奏区間ではない(すなわち、アドリブ演奏区間である)と判断した場合(ステップS3;NO)、制御部11は、メロディパートの楽曲データに基づいて、現在の再生対象の位置がノートオフタイミングであるか否かを判断する(ステップS8)。
現在の再生対象の位置がノートオフタイミングであると判断した場合(ステップS8;YES)、制御部11は、メロディパートの楽曲データの現在の再生位置に対応するノートオフイベントをガイド表示用のチャンネルで通信部15により電子楽器2に送信することにより、電子楽器2に当該ノートオフイベントで指定された音高の鍵のLEDの発光を停止させ(ステップS9)、ステップS12に移行する。
【0046】
現在の再生対象の位置がノートオフタイミングではないと判断した場合(ステップS8;NO)、制御部11は、メロディパートの楽曲データに基づいて、現在の再生対象の位置がノートオンタイミングであるか否かを判断する(ステップS10)。
現在の再生対象の位置がノートオンタイミングであると判断した場合(ステップS10;YES)、制御部11は、メロディパートの楽曲データの現在の再生位置に対応するノートオンイベントをガイド表示用のチャンネルで通信部15により電子楽器2に送信することにより、電子楽器2に当該ノートオンイベントで指定された音高の鍵のLEDの発光を開始させ(ステップS11)、ステップS12に移行する。
現在の再生対象の位置がノートオンタイミングではないと判断した場合(ステップS10;NO)、制御部11は、ステップS12に移行する。
【0047】
ステップS12において、制御部11は、tick数をカウントアップし(ステップS12)、拍数、小節数、コーラス数の変数のうち、tick数のカウントアップにより必要となった変数を更新する(ステップS13)。
例えば、1拍が480tickである場合、tick数が480増えるごとに拍数をカウントアップする。
【0048】
次いで、制御部11は、選択された楽曲の再生が終了したか否かを判断する(ステップS14)。例えば、tick数が所定のカウントとなったか否かに基づいて、選択された楽曲の再生が終了したか否かを判断する。
選択された楽曲の再生が終了していないと判断した場合(ステップS14;NO)、制御部11は、ステップS2に戻る。
選択された楽曲の再生が終了したと判断した場合(ステップS14;YES)、制御部11は、メロディパートの再生処理を終了する。
【0049】
このように、メロディパートの再生処理では、レッスン対象の楽曲を再生する際、ガイド演奏区間については楽曲音を出力し、アドリブ演奏区間については楽曲音の少なくとも一部を出力しないように制御するので、ガイド演奏を受けてアドリブ演奏を実施することが可能となり、実際に先生と生徒の間で展開されるアドリブのレッスンや、コール&レスポンスによるセッション感を味わうことができ、効果的にアドリブ演奏を練習することが可能となる。
また、メロディパートの再生処理では、アドリブ演奏区間の演奏タイミングにおいては、アドリブ演奏区間の音高に対応する鍵の位置を電子楽器2で光らせる(ガイド表示する)ので、本来弾かれるべき楽譜通りの鍵が発光することになり、基準となる音高やスケール等を把握できるようになる。
【0050】
伴奏パートの再生処理は、図2に示すメロディパートの再生処理における、ステップS2、S3、S8~S11の処理がない処理である。ステップS4~S7については、伴奏パートの楽曲データに基づいて実行される。すなわち、制御部11は、伴奏パートの再生処理において、選択された楽曲の、伴奏パートの全区間の楽曲音を出力するように電子楽器2を制御する。
【0051】
アドリブ演奏レッスン処理において、制御部11は、上述のように、メロディパートの再生処理と伴奏パートの再生処理とを同期させて同時並行で実行するので、ガイド演奏区間では、メロディと伴奏の双方の楽曲音が出力(演奏)され、アドリブ演奏区間では、伴奏音のみが出力される。これにより、ユーザは、メロディパートのアドリブ演奏を、伴奏に合わせて効果的に練習することが可能となる。
【0052】
以上説明したように、電子機器1の制御部11は、レッスン対象の楽曲における予め定められた条件に該当する演奏区間をガイド演奏区間に決定し、前記条件に該当しない区間をアドリブ演奏区間に決定する。そして、制御部11は、レッスン対象の楽曲の楽曲データに基づいて楽曲を再生する場合に、決定されたガイド演奏区間の楽曲音を出力するよう制御し、アドリブ演奏区間の楽曲音の少なくとも一部(本実施形態ではメロディパート)は出力しないように制御する。
したがって、アドリブ演奏区間については楽曲音の少なくとも一部を出力しないように制御するので、ユーザがガイド演奏を受けて能動的にアドリブ演奏を実施することが可能となり、実際に先生と生徒の間で展開されるアドリブのレッスンや、コール&レスポンスによるセッション感を味わうことができ、効果的にアドリブ演奏を練習することが可能となる。
【0053】
例えば、制御部11は、楽曲の各小節に付与された小節番号を基準小節数で割った商が予め定められた条件に該当する小節をガイド演奏区間に決定し、予め定められた条件に該当しない小節をアドリブ演奏区間に決定する。したがって、ガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を容易に決定することができる。
【0054】
また、例えば、制御部11は、1コーラス目(楽曲の始めの所定数の小節)についてはガイド演奏区間に決定するので、ユーザは、始めの1コーラス目で楽曲のイメージを掴むことが可能となる。
【0055】
また、例えば、楽曲が1コーラス目の繰り返しにより構成されている場合、区間を決定するための条件が、繰り返しによって(何番目のコーラスかによって)ガイド演奏区間となる小節とアドリブ演奏区間となる小節の組み合わせが異なるように設定されているようにすることで、いろいろな小節をアドリブ演奏することが可能となるので、効果的にアドリブ演奏を練習することが可能となる。
【0056】
また、例えば、制御部11は、楽曲データが複数のパートごとの楽曲データを含んで構成されている場合、複数のパートのうち、第1のパート(例えば、メロディパート)の楽曲については、ガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を設ける制御を実行し、第1のパートとは異なる少なくとも一つのパート(例えば、伴奏パート)については、全区間について楽曲音を出力するように制御する。
したがって、アドリブ演奏を実施したいパートのアドリブ演奏を、他のパートの演奏に合わせて効果的に練習することが可能となる。
【0057】
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明に係る電子機器、電子楽器システム、再生制御方法及びプログラムの好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0058】
例えば、制御部11は、上述のメロディパートの再生処理を実行する前に、予め、再生対象の楽曲のガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を決定しておき、再生対象の楽曲におけるアドリブ演奏区間とガイド演奏区間を示す情報を表示部14または表示部25に表示することとしてもよい。
【0059】
図5は、ガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を示す情報の表示例を示す図である。なお、図5は、図4に示した楽曲のガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を示す情報の表示例を示している。
例えば、制御部11は、予め、再生対象の楽曲のガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を決定しておき、1コーラス目を再生する前に、図5に示すように、1コーラス目の楽曲のコード譜面を表示部14(表示部25)に表示させ、そのコード譜面のガイド演奏区間とアドリブ演奏区間をそれぞれに対応する色(互いに異なる色)で表示させる。また、現在の小節(矩形領域)を更に異なる色で強調させるように表示しても良いし、現在の演奏タイミングに合わせて矩形領域上を左から右へと横切るようにカーソル(矢印や縦線)を表示させても良い。上述のように、1コーラス目は全てガイド演奏区間であるため、制御部11は、1コーラス目の楽曲のコード譜面を全てガイド演奏区間に対応する色で表示させる。1コーラス目が終了すると、制御部11は、2コーラス目の楽曲のコード譜面を表示部14(表示部25)に表示させ、そのコード譜面のガイド演奏区間とアドリブ演奏区間をそれぞれに対応する色で表示させる。2コーラス目が終了すると、制御部11は、3コーラス目の楽曲のコード譜面を表示部14(表示部25)に表示させ、そのコード譜面のガイド演奏区間とアドリブ演奏区間をそれぞれに対応する色で表示させる。これにより、どの区間をどの演奏方法で弾いたらよいのかを予めユーザに知らせておくことができる。
【0060】
また、上記実施形態では、再生対象の楽曲の各小節に付与された小節番号を基準小節数で割った商が奇数か偶数かによって、再生対象の楽曲におけるアドリブ演奏区間とガイド演奏区間を決定することとしたが、区間を決定するための条件は、これに限定されない。
【0061】
例えば、1コーラスが32小節などの4の倍数で構成される場合、上記実施形態のようにアドリブ演奏区間とガイド演奏区間が4小節であるとすると、各コーラスにおけるガイド演奏区間とアドリブ演奏区間が同じということになる。各コーラスにおけるガイド演奏区間とアドリブ演奏区間が同じということは、同じ箇所のアドリブ演奏しか体験できず、練習効果が薄い。そこで、このような場合、制御部11は、ステップS203で得られた値(各小節に付与された小節番号)を基準小節数(play_bar)である4以外の数で割って、得られた商の整数部分に基づいてガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を決定してもよい。例えば、ステップS203で得られた値(各小節に付与された小節番号)を3で割った商が1(又は3)である小節をガイド演奏区間、それ以外の小節をアドリブ演奏区間としてもよい。このようにすることで、アドリブ演奏区間を各コーラスにおいて異なるようにすることができ、アドリブの練習効果が向上する。
また、基準小節数(play_bar)の値ごとに予めモード(例えば、基準小節数が2,3,4の3つのモード)を設定し、演奏前に入力部へのユーザの入力によりモード選択させても良い。これにより、アドリブ演奏区間の難易度設定が可能となる。
【0062】
また、楽曲ごとに、ガイド演奏区間及び/又はアドリブ演奏区間を指定したテーブルを記憶部12に記憶しておき、制御部11は、テーブルの内容に基づいてガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を決定することとしてもよい。例えば、テーブルでガイド演奏区間が指定されている場合は、テーブルで指定されている区間をガイド演奏区間に、テーブルで指定されていない区間をアドリブ演奏区間に決定する。また、例えば、テーブルでアドリブ演奏区間が指定されている場合は、テーブルで指定されていない区間をガイド演奏区間に、テーブルで指定されている区間をアドリブ演奏区間に決定する。また、例えば、テーブルでガイド演奏区間及びアドリブ演奏区間が指定されている場合は、テーブルでガイド演奏区間(アドリブ演奏区間)に指定されている区間をガイド演奏区間(アドリブ演奏区間)、それ以外をアドリブ演奏区間(ガイド演奏区間)に決定する。
【0063】
また、上記実施形態では、予め定められた条件に該当する区間、例えば小節番号が偶数に該当する小節の区間をガイド演奏区間に決定し、予め定められた条件に該当しない区間、例えば小節番号が偶数に該当しない小節の区間をアドリブ演奏区間としたが、予め定められた条件に該当する区間をアドリブ演奏区間に決定し、該当しない区間をガイド演奏区間に決定しても構わない。また、予め定められた条件に該当するか否かという表現ではなく、予め定められた第1条件及び第2条件のいずれかに該当するかという表現を用いても良い。
【0064】
また、ガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を決定するため条件は、再生ごと(ユーザが入力部13によって楽曲の再生操作をするごと、又は楽曲がリピート再生されるごと)に変更することとしてもよい。
例えば、上述のように、再生対象の楽曲の各小節に付与された小節番号が奇数か偶数かによって、再生対象の楽曲におけるガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を決定する場合、制御部11は、再生ごとに、ランダムに(または、交互に)、小節番号が奇数の場合の区間をガイド演奏区間とアドリブ演奏区間とで変更することとしてもよい。
また、制御部11は、小節番号(total_bar)を割る数や、ガイド演奏区間又はアドリブ演奏区間に対応する商の数を、再生ごとに変更することとしてもよい。これにより、いろいろなパターンのアドリブ演奏区間とガイド演奏区間のパターンを組むことができる。また、基準小節数(play_bar)についても、再生開始時に乱数などによって決定して、再生ごとに変化させることとしてもよい。
【0065】
また、楽曲データごとに、ガイド演奏区間及び/又はアドリブ演奏区間を指定したテーブルを記憶部12に記憶しておき、テーブルの内容に基づいてガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を決定する場合においても、楽曲データごとに、内容が異なるテーブルを複数記憶しておき、再生ごとに使用するテーブルを順次又はランダムに変えることとしてもよい。
【0066】
このように、ガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を決定する条件を再生ごとに変更することで、再生ごとにガイド演奏区間とアドリブ演奏区間のパターンを可変とすることができ、ユーザにいろいろな箇所のアドリブ演奏を体験させることができる。これにより、ユーザがアドリブ演奏の練習をより一層効果的に行うことが可能となる。
【0067】
また、上記実施形態では、アドリブ演奏区間の演奏のガイドとなるように、アドリブ演奏区間の演奏タイミングにおいて、アドリブ演奏区間の音高の鍵盤の位置を電子楽器2で光らせてガイド表示することとしたが、これに限定されない。例えば、制御部11は、電子機器1の表示部14に鍵盤の模式図を表示し、アドリブ演奏区間の演奏タイミングにおいては、鍵盤の模式図におけるアドリブ演奏区間の音高に対応する鍵の位置をガイド表示することとしてもよい。また、このガイド表示は、電子楽器2の表示部25に表示させることとしてもよい。これにより、電子楽器2の鍵にLEDが搭載されていなくてもユーザがアドリブ演奏をするときのガイドを表示することができ、基準となる音高やスケール等を把握できるため、特に初心者から中級者においてはアドリブ演奏をしやすくすることができる。
【0068】
また、上記実施形態においては、アドリブ演奏区間の演奏タイミングにおいて、アドリブ演奏区間の音高に対応する鍵の位置を電子楽器2で発光させる(ガイド表示)することとして説明したが、ガイド演奏区間の演奏タイミングにおいても、ガイド演奏区間の音高に対応する鍵の位置を電子楽器2で光らせる(ガイド表示する)こととしてもよい。また、アドリブ演奏区間については、電子楽器2の鍵盤23の、アドリブ演奏区間の音高(スケール)に対応する鍵を発光させる、つまりアドリブ演奏区間では、アドリブ演奏として弾いても良い鍵盤(弾いても違和感の無い鍵盤)を一部又は全てを常に発光させておくこととしてもよい。これにより、アドリブ演奏のガイドとして活用することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、メロディパートにガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を設ける場合を例にとり説明したが、これに限定されず、ガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を設けるパートは、ユーザ操作に応じて適宜変更可能な構成としてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、レッスン対象の楽曲を、電子楽器2の出力部27により出力する場合を例にとり説明したが、電子機器1の出力部16により出力することとしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、1曲が複数の繰り返し(コーラス)により構成されている場合を例にとり説明したが、繰り返しのない楽曲においても本発明を適用することができる。この場合は、例えば、楽曲の最初を0として各小節に小節番号を付し、小節番号を基準小節数で割った商に基づいて(商の整数部分が奇数か偶数かに基づいて)、ガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を決定してもよい。
【0072】
また、楽曲データごとに予め定められたテーブルに基づいてガイド演奏区間とアドリブ演奏区間を決定してもよい。例えば、楽曲データごとに予め3パターン程度のガイド演奏区間とアドリブ演奏区間との組み合わせ(小節パターン)が定められているとし、所定数の小節(コーラス)の繰り返しごとに1つの小節パターンをランダムに選択するよう制御しても良い。このようにすることで、楽曲データ毎に意味のある小節(例えば、見せ場となる演奏区間等)を予めアドリブ演奏区間として設定できるため、楽曲のテーマに沿ったアドリブ演奏が可能となる。
また、ランダムに選択された最初の小節パターンが終了したら(最初の所定数の小節(コーラス)が終了したら)、最初の小節パターンのアドリブ演奏区間の少なくとも1区間をアドリブ演奏区間履歴情報として記憶部に記憶しておき、次回以降の小節パターンにおいて、アドリブ演奏区間履歴情報として記憶されたアドリブ演奏区間を引き継いでも良い。つまり、最初の小節パターンのアドリブ演奏区間の少なくとも1区間を、次回以降の小節パターンにおいてもアドリブ演奏区間として設定することで、アドリブ演奏の練習の難易度を上げることができる。また、同様にして所定数の小節(コーラス)の繰り返しごと(小節パターンが変わるごと)にアドリブ演奏区間を増やしても良い。
【0073】
また、上記実施形態では、本発明の機能を実現するためのレッスンアプリ121が電子楽器2とは別体の電子機器1の記憶部12に記憶され、本発明の制御部の機能が電子機器1の制御部11により実現される場合を例にとり説明したが、本発明の機能を実現するためのレッスンアプリ121と同等のプログラムが電子楽器2の記憶部22に記憶され、本発明の電子機器の制御部の機能が電子楽器2の制御部21により実現されることとしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態においては、電子楽器2が鍵盤楽器である場合を例にとり説明したが、エレキギター、MIDIバイオリン等他の電子楽器としてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として半導体メモリやハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、SSDや、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0076】
その他、電子楽器システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0077】
以上に本発明の実施形態及び変形例を説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載に基づいて定められる。更に、特許請求の範囲の記載から本発明の本質とは関係のない変更を加えた均等な範囲も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0078】
100 電子楽器システム
1 電子機器
11 制御部
12 記憶部
121 レッスンアプリ
13 入力部
14 表示部
15 通信部
16 出力部
2 電子楽器
21 制御部
22 記憶部
23 鍵盤
24 入力部
25 表示部
26 通信部
27 出力部
図1
図2
図3
図4
図5