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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053776
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】巻回型二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240409BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240409BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240409BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20240409BHJP
   H01M 10/6553 20140101ALI20240409BHJP
   H01M 50/538 20210101ALI20240409BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240409BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALN20240409BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/643
H01M10/6553
H01M50/538
H01M10/052
H01M10/0587
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160197
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 丈太郎
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
5H031
5H043
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB07
5H028CC05
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC10
5H028CC13
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029DJ05
5H029DJ12
5H029HJ04
5H029HJ12
5H031AA08
5H031EE01
5H031HH08
5H031KK01
5H031KK06
5H043AA05
5H043AA09
5H043AA19
5H043BA11
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA12
5H043EA07
5H043EA60
5H043JA01E
5H043JA10E
5H043LA02E
5H043LA21E
5H043LA22E
(57)【要約】
【課題】冷却効率を高めながらも、より簡単な構造でさらなる軽量化及び低コスト化を図ることができる巻回型二次電池を提供する。
【解決手段】正極体121aは、その短手方向一方端側に、正極活物質121bに覆われることなく自身の長手方向に沿って露出する正極用突出代121aaが設けられ、負極体122aは、その短手方向他方端側に、負極活物質122bに覆われることなく自身の長手方向に沿って露出する負極用突出代122aaが設けられ、正極用突出代121aa及び負極用突出代122aaの短手方向の長さが、前記長手方向に沿って変化するように形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯形状をなす導電性の正極体の両面に正極活物質層を設けた正極と、
帯形状をなす導電性の負極体の両面に負極活物質層を設けた負極と、
前記正極と前記負極との間に介在するように配設されて帯形状をなす電気絶縁性のセパレータと
が積層されて巻芯に巻回された電極部材を備える巻回型二次電池であって、
前記正極体は、当該正極体の短手方向一方端側に、前記正極活物質層に覆われることなく当該正極体の長手方向に沿って露出する正極用突出代が設けられ、
前記負極体は、当該負極体の短手方向他方端側に、前記負極活物質層に覆われることなく当該負極体の長手方向に沿って露出する負極用突出代が設けられ、
前記正極用突出代及び前記負極用突出代の少なくとも一方は、前記短手方向の長さが、前記長手方向に沿って変化するように形成されている
ことを特徴とする巻回型二次電池。
【請求項2】
前記正極用突出代及び前記負極用突出代の少なくとも一方は、前記短手方向の長さが、前記電極部材の径方向に隣り合う同士で互いに異なるように形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の巻回型二次電池。
【請求項3】
前記正極体と前記負極体とを重ね合わせたときに前記正極体及び前記負極体の前記長手方向で同じ位置となる前記正極用突出代の前記短手方向の長さと前記負極用突出代の前記短手方向の長さとの和が、前記正極体及び前記負極体の前記長手方向にわたって一定となっている
ことを特徴とする請求項2に記載の巻回型二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯形状をなす正極と負極との間にセパレータを介在させて巻回した電極部材を有する巻回型二次電池に関し、特にモビリティ用途に適用すると有効なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気の有効利用の観点から、多くの場面で二次電池が利用されるようになっている。このような二次電池は、急速放充電、大電流、大容量、高寿命等の各種性能の向上が要求されている。二次電池は、帯形状をなす正極と負極との間にセパレータを介在させて巻回した電極部材を円筒型のケースの内部に電解液と共に収容した巻回型が汎用されている(例えば、下記特許文献1等参照)。
【0003】
巻回型二次電池においては、電極部材の内側で熱が溜り易く、電池性能の低下を引き起こし易くなっている。そのため、例えば、下記特許文献2においては、巻回された電極部材の中心に金属製の軸芯部材を配設してケースと当接させることにより、電極部材の内側の熱を軸芯部材からケースを介して外部へ放出することができるようにしている。ところが、このような巻回型二次電池においては、部材点数が増加して重量の増加を招いてしまうと共に、構造が複雑になってしまい、コストの上昇を招いてしまっていた。
【0004】
そこで、例えば、下記特許文献3においては、帯形状をなす正極と負極との間にセパレータを介在させて螺旋状に軸方向へずらしながら巻回して電極部材を構成している。このような巻回型二次電池では、電極部材の内部部分の露出面積を増加させることができるので、部材点数を増加させることなく、簡単な構造で冷却効率の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-321220号公報
【特許文献2】特開平10-092469号公報
【特許文献3】特開2022-025413号公報
【特許文献4】特開2021-170502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような巻回型二次電池においては、冷却効率を高めながらも、より簡単な構造で軽量化及び低コスト化をさらに図ることが強く求められている。このような事情を鑑み、本発明は、冷却効率を高めながらも、より簡単な構造でさらなる軽量化及び低コスト化を図ることができる巻回型二次電池を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するための、本発明に係る巻回型二次電池は、帯形状をなす導電性の正極体の両面に正極活物質層を設けた正極と、帯形状をなす導電性の負極体の両面に負極活物質層を設けた負極と、前記正極と前記負極との間に介在するように配設されて帯形状をなす電気絶縁性のセパレータとが積層されて巻芯に巻回された電極部材を備える巻回型二次電池であって、前記正極体は、当該正極体の短手方向一方端側に、前記正極活物質層に覆われることなく当該正極体の長手方向に沿って露出する正極用突出代が設けられ、前記負極体は、当該負極体の短手方向他方端側に、前記負極活物質層に覆われることなく当該負極体の長手方向に沿って露出する負極用突出代が設けられ、前記正極用突出代及び前記負極用突出代の少なくとも一方は、前記短手方向の長さが、前記長手方向に沿って変化するように形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る巻回型二次電池は、上述した巻回型二次電池において、前記正極用突出代及び前記負極用突出代の少なくとも一方は、前記短手方向の長さが、前記電極部材の径方向に隣り合う同士で互いに異なるように形成されていると好ましい。
【0009】
また、本発明に係る巻回型二次電池は、上述した巻回型二次電池において、前記正極体と前記負極体とを重ね合わせたときに前記正極体及び前記負極体の前記長手方向で同じ位置となる前記正極用突出代の前記短手方向の長さと前記負極用突出代の前記短手方向の長さとの和が、前記正極体及び前記負極体の前記長手方向にわたって一定となっていると好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る巻回型二次電池によれば、正極用突出代及び負極用突出代の少なくとも一方の短手方向の長さが、長手方向に沿って変化するように形成されていることから、電極部材の径方向で重ならずに電解液と接触し易くなる。このため、電極部材の内側の熱を放出し易くすることができ、冷却性能を高めることができる。また、正極用突出代及び負極用突出代の少なくとも一方の短手方向の長さを長手方向に沿って変化させるように形成するだけで冷却性能を高めることができるので、非常に簡単な構造で容易に製造することができると共に、材料の使用量を削減することができる。したがって、冷却効率を高めながらも、より簡単な構造でさらなる軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る巻回型二次電池の主な実施形態の主要部分の概略構造の説明図である。
図2図1の矢線II方向から視た図である。
図3図1の要部の一部を抽出して拡大した説明図である。
図4図3の電極部材の正極及び負極を展開した状態の正面図である。
図5図4の正極及び負極の製造方法の説明図である。
図6】本発明に係る巻回型二次電池の他の実施形態の電極部材の正極及び負極を展開した状態の正面図である。
図7】従来の電極部材の正極及び負極の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る巻回型二次電池の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではなく、各実施形態において説明した種々の技術的事項を必要に応じて適宜組み合わせることも当然にして可能なものである。
【0013】
[主な実施形態]
本発明に係る巻回型二次電池の主な実施形態を図1~5に基づいて説明する。
【0014】
図1,2に示すように、円柱形状をなす巻芯110の外周面には、帯形状をなす電極部材120が巻き付けられている。この電極部材120は、図1,3に示すように、帯形状をなす正極121と、帯形状をなす負極122と、帯形状をなす樹脂製等の電気絶縁性を有するセパレータ123とを有している。そして、電極部材120は、正極121と負極122との間にセパレータ123を配設するように正極121と負極122とセパレータ123とが積層されている。
【0015】
図3に示すように、正極121は、帯形状をなす導電性を有する正極体121aと、正極体121aの両面にそれぞれ設けられた正極活物質層121bとを備えている。負極122は、帯形状をなす導電性を有する負極体122aと、負極体122aの両面にそれぞれ設けられた負極活物質層122bとを備えている。正極体121a及び負極体122aは、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、ステンレス、チタン、白金等の金属材料からなっている。
【0016】
正極活物質層121bは、複合酸化物等の正極活物質、金属粒子等の導電補助剤、バインダ樹脂、分散剤等が混合されたものとなっている。負極活物質層122bは、炭素系材料等の負極活物質、金属粒子等の導電補助剤、バインダ樹脂、分散剤等が混合されたものとなっている。なお、炭素系材料としては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンウィスカ、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンナノ粒子、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。
【0017】
正極活物質層121bや負極活物質層122bは、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、熱転写法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、スプレ法、金属溶射法、めっき法、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマ化学気相被着法等の各種の公知の方法を適用することにより形成することができる。
【0018】
図3,4Aに示すように、正極121の正極体121aの短手方向(図3,4A中、上下方向)の一方端側(図3,4A中、上端側)には、正極活物質層121bに覆われることなく正極体121aの長手方向(図4A中、左右方向)に沿って露出する正極用突出代121aaが設けられている。図1に示すように、正極体121aの正極用突出代121aaは、その短手方向の長さ(図1中、上下方向)が、電極部材120の径方向(図1中、左右方向)に隣り合う同士で互いに異なるように形成されている。
【0019】
すなわち、図4Aに示すように、正極体121aの正極用突出代121aaは、自身の短手方向(図3,4A中、上下方向)の長さが、自身の長手方向(図4A中、左右方向)に沿って変化するように形成されているのである。
【0020】
このような正極121は、図5Aに示すように、正極体121aの材料となる長尺な金属箔F1の両面それぞれに、複数の正極活物質層121bを規定の間隔L1(例えば2mm以上)ごとにスペースS1を設けるようにして布設する。この間隔L1は、接続タブを取り付け可能な大きさが必要であるが、大きい(広い)ほど重量や体積が増えると共に、材料のコストも上昇するため、接続タブの取り付けや通電等に問題のないレベルまで極力小さく(狭く)すると好ましい。
【0021】
そして、スリッタ装置を用いて、エッジポジションコントロール(EPC)によりカッタをスペースS1の長手方向(図5A中、左右方向)に沿ってジグザグ形状に移動させてスペースS1を直線で切断して隣り合う正極活物質層121bの間を二分する。これにより、図4Aに示すように、短手方向最大長さLp(例えば1.5mm以上)の山型を複数有するように正極用突出代121aaを型作ることができる。なお、ジグザグ等の切断形状の周期は、カッタの移動可能速度や加工精度の影響を受けるが、切断可能な範囲内で極力短い方が好ましい。
【0022】
また、図3,4Bに示すように、負極122の負極体122aの短手方向(図3,4B中、上下方向)の他方端側(図3,4B中、下端側)には、負極活物質層122bに覆われることなく負極体122aの長手方向(図4B中、左右方向)に沿って露出する負極用突出代122aaが設けられている。図1に示すように、負極体122aの負極用突出代122aaは、その短手方向の長さ(図1中、上下方向)が、電極部材120の径方向(図1中、左右方向)に隣り合う同士で互いに異なるように形成されている。
【0023】
すなわち、図4Bに示すように、負極体122aの負極用突出代122aaは、自身の短手方向(図1中、上下方向)の長さが、自身の長手方向(図4B中、左右方向)に沿って変化するように形成されているのである。
【0024】
このような負極122は、図5Bに示すように、負極体122aの材料となる長尺な金属箔F2の両面それぞれに、複数の負極活物質層122bを規定の間隔L2(例えば2mm以上)ごとにスペースS2を設けるようにして布設する。この間隔L2は、接続タブを取り付け可能な大きさが必要であるが、大きい(広い)ほど重量や体積が増えると共に、材料のコストも上昇するため、接続タブの取り付けや通電等に問題のないレベルまで極力小さく(狭く)すると好ましい。
【0025】
そして、スリッタ装置を用いて、EPCによりカッタをスペースS2の長手方向(図5B中、左右方向)に沿ってジグザグ形状に移動させてスペースS2を直線で切断して隣り合う負極活物質層122bの間を二分する。これにより、図4Bに示すように、短手方向最大長さLn(例えば1.5mm以上)の山型を複数有するように負極用突出代122aaを型作ることができる。なお、ジグザグ等の切断形状の周期は、カッタの移動可能速度や加工精度の影響を受けるが、切断可能な範囲内で極力短い方が好ましい。
【0026】
そして、正極体121と負極体122とを重ね合わせたときに、正極体121a及び負極体122aの長手方向で同じ位置となる正極用突出代121aaの短手方向の長さと負極用突出代122aaの短手方向の長さとの和が、正極体121及び負極体122の長手方向にわたって一定となっている。
【0027】
すなわち、スペースS1の間隔L1と正極用突出代121aaの長さLpとが等しく(L1=Lp)、スペースS2の間隔L2と負極用突出代122aaの長さLnとが等しく(L2=Lp)、スペースS1,S2をジグザグ形状に二分する山型が同形状となっているのである。
【0028】
このような正極121及び負極122を備えた電極部材120は、巻芯110に巻き付けられて、正極体121aの正極用突出代121aa及び負極体122aの負極用突出代122aaに接続タブ(図示省略)がそれぞれ取り付けられる。そして、円筒型のケース(図示省略)の内部に電解液と共に収容され、接続タブを介してケースの外部と電気的に接続されることにより、二次電池としての機能を発現することができる。
【0029】
上述したような構造をなす本実施形態に係る巻回型二次電池においては、先に説明したように、電極部材120の突出代121aa,122aaの短手方向の長さが、自身の長手方向に沿って変化するように形成されている。このため、電極部材120の突出代121aa,122aaを径方向で重ならせることなく電解液と接触し易くすることができるので、電極部材120の内側の熱を放出し易くすることができ、冷却性能を高めることができる。
【0030】
また、電極部材120の突出代121aa,122aaの短手方向の長さを長手方向に沿って変化させるように形成するだけで冷却性能を高めることができるので、非常に簡単な構造で容易に製造することができると共に、材料の使用量を削減することができる。
【0031】
したがって、本実施形態に係る巻回型二次電池によれば、冷却効率を高めながらも、より簡単な構造でさらなる軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0032】
また、電極部材120を巻芯110に巻回するだけで、突出代121aa,122aaの短手方向の長さを、電極部材120の径方向に隣り合う同士で互いに異ならせることが容易にできるので、電解液と接触し易くして電極部材120の内側の熱を放出し易くすることが容易にでき、冷却性能を高めることが容易にできる。そのため、さらなる低コスト化をより図ることができる。
【0033】
また、突出代121aa,122aaの短手方向最大長さLp,Lnの位置の径方向両側に隙間ができるようになるので、接続タブの取り付けを容易に行うことができると共に、接続タブの取り付けに伴う厚さの増加を大きく抑制することができる。
【0034】
また、従来は、図7A,7Bに示すように、金属箔F1,F2のスペースS3,S4の長手方向(図7A,7B中、左右方向)に沿ってスペースS3,S4を一直線で切断することにより突出代を形成するようにしていた。そのため、スペースS3,S4の間隔L3,L4は、突出代の短手方向最大長さLp(=L1),Ln(=L2)の2倍の大きさを必要としていた。
【0035】
これに対し、本実施形態においては、先に悦明したように、金属箔F1,F2のスペースS1,S2の長手方向(図5A,5B中、左右方向)に沿ってスペースS1,S2をジグザグ形状に直線的に切断して山型の突出代121aa,122aaを形成している。そのため、スペースS1,S2の間隔L1,L2は、突出代の短手方向最大長さLp,Lnと同じ大きさ(L1=Lp,L2=Ln)で済むようになる。これにより、金属箔F1,F2の使用量を減らすことができるので、軽量化を図ることができると共に、より低コスト化を図ることができる。
【0036】
また、正極体121と負極体122とを重ね合わせたときに、正極体121a及び負極体122aの長手方向で同じ位置となる正極用突出代121aaの短手方向の長さと負極用突出代122aaの短手方向の長さとの和が、正極体121及び負極体122の長手方向にわたって一定となっている。そのため、軸方向での放熱量を周方向で均一にすることができるので、冷却効率を最も効果的に向上させることができる。
【0037】
[他の実施形態]
なお、前述した実施形態においては、外縁端121ab,122abを長手方向にわたってジグザグ形状となるように直線で形成することにより、短手方向最大長さLp,Lnの山型の突出代121aa,122aaを形成した場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、外縁端を長手方向にわたって蛇行するように正弦波や余弦波等の曲線で形成することにより、短手方向最大長さLp,Lnの波型の突出代を形成することも可能である。
【0038】
また、前述した実施形態においては、正極体121と負極体122とを重ね合わせたときに、正極体121a及び負極体122aの長手方向で同じ位置となる正極用突出代121aaの短手方向の長さと負極用突出代122aaの短手方向の長さとの和が、正極体121及び負極体122の長手方向にわたって一定とした。しかしながら、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、上記和が上記長手方向で不定とすることも可能である。しかしながら、前述した実施形態のように、上記和が上記長手方向にわたって一定であると、上述した効果を得ることができるので、好ましい。
【0039】
また、前述した実施形態においては、正極用突出代121aa及び負極用突出代122aaの両方の短手方向の長さがそれぞれの長手方向に沿って変化するように形成されている場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、正極用突出代及び負極用突出代の一方のみの短手方向の長さがその長手方向に沿って変化するように形成されていても実施可能である。
【0040】
また、前述した実施形態においては、正極用突出代121aa及び負極用突出代122aaの両方の短手方向の長さが、電極部材120の径方向に隣り合う同士で互いに異なるように形成されている場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、正極用突出代及び負極用突出代の一方のみの短手方向の長さが、電極部材の径方向に隣り合う同士で互いに異なるように形成されていても実施可能である。
【0041】
また、前述した実施形態においては、金属箔F1,F2の両面に活物質層121b,122bを規定の間隔L1,L2ごとにスペースS1,S2を設けるようにして布設して、二分するように切断することにより、金属箔F1,F2を無駄なく使用できるようにした。しかしながら、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、図6A,6Bに示すように、金属箔F1,F2の両面にスペースS1,S2を設けるように活物質層121b,122bを布設し、必要に応じた位置及び大きさの突出代121aa,221aa,122aa,222aaを形成するように二分することなく切断することも可能である。これにより、金属箔F1,F2の余剰部分F1a,F2aを取り除くことができるので、さらなる軽量化を図ることができる。
【0042】
このとき、突出代121aa,221aa,122aa,222aaは、その位置や大きさ(切断形状の周期性)を一定とすることなく不定とすることも可能である。すなわち、接続タブを取り付け可能な大きさの突出代121aa,122aaと、接続タブを取り付けできないものの必要十分な放熱性を発現し得る大きさの突出代221aa,222aaとを必要に応じて適宜組み合わせて任意の位置に形成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る巻回型二次電池は、冷却効率を高めながらも、より簡単な構造でさらなる軽量化及び低コスト化を図ることができるので、モビリティ用途を始めとして、各種産業において極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
110 巻芯
120 電極部材
121 正極
121a 正極体
121aa,221aa 正極用突出代
121ab 外縁端
121b 正極活物質層
122 負極
122a 負極体
122aa,222aa 負極用突出代
122ab 外縁端
122b 負極活物質層
123 セパレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7