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特開2024-53797無線通信システム、ユーザ端末、及び通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053797
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】無線通信システム、ユーザ端末、及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/02 20090101AFI20240409BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240409BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20240409BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20240409BHJP
【FI】
H04W88/02 140
H04W16/28
H04W4/44
H04W36/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160225
(22)【出願日】2022-10-04
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、総務省、令和4年度における第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発の委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】313005318
【氏名又は名称】パナソニックコネクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大植 裕司
(72)【発明者】
【氏名】村松 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】浅野 弘明
(72)【発明者】
【氏名】品川 宜昭
(72)【発明者】
【氏名】上杉 充
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 努
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067BB03
5K067EE02
5K067EE10
5K067KK02
5K067KK03
(57)【要約】
【課題】移動体の向きの変更による通信品質の劣化や、遮蔽による通信品質の劣化が発生する状況でも、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保できるようにする。
【解決手段】道路上を移動可能な移動体としての自動車V1に搭載されたユーザ端末7とアクセスポイント4とが無線通信を行う無線通信システムにおいて、ユーザ端末は、指向性を制御可能な指向性通信部78,79でアクセスポイントと無線通信を行い、自装置が搭載された自動車が向きを変更する場合、例えば交差点において右左折を行う場合に、アクセスポイントとの通信品質が向上するように、指向性通信部の指向性を制御する。特に、ユーザ端末は、自装置の指向性通信部のカバーエリアの幅及び方向の少なくともいずれかを変化させるように指向性通信部を制御する。また、ユーザ端末は、前方に指向性を有する前方指向性通信部78と、後方に指向性を有する後方指向性通信部79とを備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、
前記ユーザ端末は、
前記基地局と無線通信を行うと共に指向性を制御可能な指向性通信部と、
自装置が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記基地局との通信品質が向上するように、前記指向性通信部の指向性を制御する制御部と、を備える、無線通信システム。
【請求項2】
前記ユーザ端末は、前記移動体としての車両に搭載され、
前記ユーザ端末の制御部は、
自装置が搭載された車両が交差点において右左折を行う場合に、前記指向性通信部の指向性を制御する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記ユーザ端末の制御部は、
自装置の前記指向性通信部のカバーエリアの幅及び方向の少なくともいずれかを変化させるように前記指向性通信部を制御する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記ユーザ端末は、
前方に指向性を有する前方指向性通信部と、後方に指向性を有する後方指向性通信部とを備える、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記基地局は、
車線の上流側に指向性を有する指向性通信部を有する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記基地局は、
車線の上流側に指向性を有する上流側指向性通信部と、車線の下流側に指向性を有する下流側指向性通信部とを有する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記基地局は、
隣り合う他の基地局のカバーエリアとオーバラップするように自身のカバーエリアを形成する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項8】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、
前記ユーザ端末の制御部は、
まず、自車線側の前方の前記基地局を接続先に選択し、
自車線側の前方の前記基地局との通信が不良である場合、後方の前記基地局に接続先を切り替える、無線通信システム。
【請求項9】
前記ユーザ端末の制御部は、
自車線側の前方の前記基地局との通信が不良である場合、反対車線側の後方の前記基地局に接続先を切り替える、請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記ユーザ端末の制御部は、
自車線側の前方の前記基地局との通信が不良である場合、自車線側の後方の前記基地局に接続先を切り替え、
自車線側の後方の前記基地局の通信が不良である場合、反対車線側の後方の前記基地局に接続先を切り替える、請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記ユーザ端末の制御部は、
周辺に存在する前記基地局との通信が不良である場合、周辺に存在する他の移動体に搭載されたユーザ端末を中継装置として利用して、そのユーザ端末を介した通信を実施する、請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項12】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、
前記基地局は、
前記ユーザ端末と無線通信を行うと共に指向性を制御可能な指向性通信部と、
前記ユーザ端末が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記ユーザ端末との通信品質が向上するように、前記指向性通信部の指向性を制御する制御部と、を備える、無線通信システム。
【請求項13】
前記基地局は、グループ化されて、同じグループに属する他の基地局とマルチホップ通信を実行する、請求項1から請求項12のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項14】
道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、
前記基地局と無線通信を行うと共に指向性を制御可能な指向性通信部と、
自装置が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記基地局との通信品質が向上するように、前記指向性通信部の指向性を制御する制御部と、を備える、ユーザ端末。
【請求項15】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、
前記ユーザ端末の制御部は、
自装置が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記基地局との通信品質が向上するように、指向性通信部の指向性を制御する、通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システム、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末、及び道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モバイルネットワークの分野では、5G(第5世代移動体通信システム)が商用化の段階にある。このような5Gでは、利用される周波数が高く、1つの基地局のサービスエリアが小さくなるため、基地局をより高密度に配置する必要が生じる。そのため、複数の基地局間の無線マルチホップ通信によりバックホール回線のネットワークを構築することが考えられる。
【0003】
このようなマルチホップ通信によりバックホール回線のネットワークを構築する技術として、基地局がグループ化され、同じグループに属する基地局間のマルチホップ通信によって無線通信経路が構築されると共に、基地局のグループに対応してエッジサーバが配置される技術が知られている(特許文献1参照)。また、移動体(列車など)に搭載された通信端末が、移動方向に指向性を有する通信部を備え、通信先の電波強度に基づいて通信先を選択する技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-57738号公報
【特許文献2】特開2009-188983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、エッジサーバが配置されたネットワークにおいて、エッジサーバとユーザ端末との通信に用いられる無線通信経路が適切に構築される。また、特許文献2に開示された技術では、基地局の切り換え時における無線通信の途切れを防止することができる。
【0006】
一方、道路上を移動可能な移動体、特に比較的高速で走行する自動車に搭載されたユーザ端末では、移動体自体の状況が急激に変化し、また、移動体の周辺の状況も急激に変化する。このため、移動体やその周辺の状況の変化に影響されずに、移動体に搭載されたユーザ端末とその周辺の基地局との良好な通信を確保することが望まれる。また、5Gで利用されるミリ波の通信では、カバーエリア(ビーム)が狭いため、移動体の向きの変更による通信品質の劣化が著しい。また、5Gで利用されるミリ波は、直進性が強いために遮蔽に弱く、遮蔽による通信品質の劣化が著しい。しかしながら、従来の技術では、このような問題を十分に解決できない。
【0007】
そこで、本発明は、移動体の向きの変更による通信品質の劣化や、遮蔽による通信品質の劣化が発生する状況でも、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる無線通信システム、ユーザ端末、及び通信制御方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無線通信システムは、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、前記ユーザ端末は、前記基地局と無線通信を行うと共に指向性を制御可能な指向性通信部と、自装置が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記基地局との通信品質が向上するように、前記指向性通信部の指向性を制御する制御部と、を備える構成とする。
【0009】
また、本発明のユーザ端末は、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、前記基地局と無線通信を行うと共に指向性を制御可能な指向性通信部と、自装置が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記基地局との通信品質が向上するように、前記指向性通信部の指向性を制御する制御部と、を備える構成とする。
【0010】
また、本発明の通信制御方法は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、前記ユーザ端末の制御部は、自装置が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記基地局との通信品質が向上するように、指向性通信部の指向性を制御する構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザ端末が搭載された移動体の向きの変更に応じてユーザ端末と基地局との通信品質が劣化して通信が途切れることを防止し、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る無線通信システムの全体構成図
図2】NW制御サーバによるユーザ端末とエッジサーバとの通信経路の制御の一例を示す説明図
図3】アクセスポイントの概略構成を示すブロック図
図4】エッジサーバの概略構成を示すブロック図
図5】NW制御サーバの概略構成を示すブロック図
図6】ユーザ端末の概略構成を示すブロック図
図7】第1実施形態に係る無線通信システムで行われる通信制御の概要を示す説明図
図8】ユーザ端末7で行われる処理の流れを示すフロー図
図9】第2実施形態に係るアクセスポイントの概略構成を示すブロック図
図10】第2実施形態に係るユーザ端末の概略構成を示すブロック図
図11】第2実施形態に係る無線通信システムで行われる通信制御の概要を示す説明図
図12】第2実施形態に係る無線通信システムで行われる通信制御の概要を示す説明図
図13】ユーザ端末7で行われる処理の流れを示すフロー図
図14】第2実施形態の変形例に係るアクセスポイントの通信制御の状況を示す説明図
図15】第3実施形態に係る無線通信システムで行われる通信制御の概要を示す説明図
図16】第3実施形態に係る無線通信システムで行われる通信制御の概要を示す説明図
図17】ユーザ端末で行われる処理の流れを示すフロー図
図18】第4実施形態に係る無線通信システムで行われる通信制御の概要を示す説明図
図19】第4実施形態に係る無線通信システムで行われる通信制御の概要を示す説明図
図20】第5実施形態に係るアクセスポイントのカバーエリアの概要を示す説明図
図21】第5実施形態に係るアクセスポイントのカバーエリアの概要を示す説明図
図22】ユーザ端末とアクセスポイントとの通信の遷移状況を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、前記ユーザ端末は、前記基地局と無線通信を行うと共に指向性を制御可能な指向性通信部と、自装置が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記基地局との通信品質が向上するように、前記指向性通信部の指向性を制御する制御部と、を備える構成とする。
【0014】
これによると、ユーザ端末が搭載された移動体の向きの変更に応じてユーザ端末と基地局との通信品質が劣化して通信が途切れることを防止し、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる。
【0015】
また、第2の発明は、前記ユーザ端末は、前記移動体としての車両に搭載され、前記ユーザ端末の制御部は、自装置が搭載された車両が交差点において右左折を行う場合に、前記指向性通信部の指向性を制御する構成とする。
【0016】
これによると、ユーザ端末が搭載された車両が交差点において右左折を行う場合に、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる。
【0017】
また、第3の発明は、前記ユーザ端末の制御部は、自装置の前記指向性通信部のカバーエリアの幅及び方向の少なくともいずれかを変化させるように前記指向性通信部を制御する構成とする。
【0018】
これによると、指向性通信部の指向性を適切に制御して、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる。なお、指向性通信部の指向性の制御は、ビームフォーミングにより行うことができるが、指向性通信部の指向性が機械的に制御されてもよい。
【0019】
また、第4の発明は、前記ユーザ端末は、前方に指向性を有する前方指向性通信部と、後方に指向性を有する後方指向性通信部とを備える構成とする。
【0020】
これによると、前後にカバーエリア(良好な通信品質が得られるエリア)が形成されるため、状況に応じて、前方に位置する基地局を利用したり後方に位置する基地局を利用したりすることで、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる。
【0021】
また、第5の発明は、前記基地局は、車線の上流側に指向性を有する指向性通信部を有する構成とする。
【0022】
これによると、車線の上流側にカバーエリアが形成されるため、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる。
【0023】
また、第6の発明は、前記基地局は、車線の上流側に指向性を有する上流側指向性通信部と、車線の下流側に指向性を有する下流側指向性通信部とを有する構成とする。
【0024】
これによると、車線の上流側と下流側との両方にカバーエリアが形成されるため、ユーザ端末と基地局との良好な通信をより一層安定して確保することができる。
【0025】
また、第7の発明は、前記基地局は、隣り合う他の基地局のカバーエリアとオーバラップするように自身のカバーエリアを形成する構成とする。
【0026】
これによると、ユーザ端末の位置に関係なく、ユーザ端末と基地局との良好な通信を確保することができる。
【0027】
また、第8の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、前記ユーザ端末の制御部は、まず、自車線側の前方の前記基地局を接続先に選択し、自車線側の前方の前記基地局との通信が不良である場合、後方の前記基地局に接続先を切り替える構成とする。
【0028】
これによると、遮蔽によりユーザ端末と基地局との通信品質が劣化して通信が途切れることを防止し、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる。
【0029】
また、第9の発明は、前記ユーザ端末の制御部は、自車線側の前方の前記基地局との通信が不良である場合、反対車線側の後方の前記基地局に接続先を切り替える構成とする。
【0030】
これによると、ユーザ端末は、良好な通信を確保可能な基地局と通信を行うことができる。
【0031】
また、第10の発明は、前記ユーザ端末の制御部は、自車線側の前方の前記基地局との通信が不良である場合、自車線側の後方の前記基地局に接続先を切り替え、自車線側の後方の前記基地局の通信が不良である場合、反対車線側の後方の前記基地局に接続先を切り替える構成とする。
【0032】
これによると、ユーザ端末は、良好な通信を確保可能な基地局と通信を行うことができる。
【0033】
また、第11の発明は、前記ユーザ端末の制御部は、周辺に存在する前記基地局との通信が不良である場合、周辺に存在する他の移動体に搭載されたユーザ端末を中継装置として利用して、そのユーザ端末を介した通信を実施する構成とする。
【0034】
これによると、周辺に存在する基地局との通信が不良である場合でも、比較的高速の通信を確保することができる。なお、中継装置としてのユーザ端末は、反対車線を走行する自動車に搭載されたユーザ端末、及び上空を飛翔する飛翔体に搭載されたユーザ端末のいずれかであるとよい。これにより、周辺に存在する基地局との通信が不良で、しかも、中継装置として利用できる他のユーザ端末との通信も不良である場合でも、比較的高速の通信を確保することができる。
【0035】
また、第12の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、前記基地局は、前記ユーザ端末と無線通信を行うと共に指向性を制御可能な指向性通信部と、前記ユーザ端末が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記ユーザ端末との通信品質が向上するように、前記指向性通信部の指向性を制御する制御部と、を備える構成とする。
【0036】
これによると、ユーザ端末が搭載された移動体の向きの変更に応じてユーザ端末と基地局との通信品質が劣化して通信が途切れることを防止し、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる。
【0037】
また、第13の発明は、前記基地局は、グループ化されて、同じグループに属する他の基地局とマルチホップ通信を実行する構成とする。
【0038】
これによると、ユーザ端末の通信に用いられる無線通信経路を適切に構築することができる。
【0039】
また、第14の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、前記基地局と無線通信を行うと共に指向性を制御可能な指向性通信部と、自装置が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記基地局との通信品質が向上するように、前記指向性通信部の指向性を制御する制御部と、を備える構成とする。
【0040】
これによると、第1の発明と同様に、ユーザ端末が搭載された移動体の向きの変更に応じてユーザ端末と基地局との通信品質が劣化して通信が途切れることを防止し、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる。
【0041】
また、第15の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、前記ユーザ端末の制御部は、自装置が搭載された移動体が向きを変更する場合に、前記基地局との通信品質が向上するように、指向性通信部の指向性を制御する構成とする。
【0042】
これによると、第1の発明と同様に、ユーザ端末が搭載された移動体の向きの変更に応じてユーザ端末と基地局との通信品質が劣化して通信が途切れることを防止し、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる。
【0043】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0044】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る無線通信システム1の全体構成図である。
【0045】
無線通信システム1(システム1と略称する。)は、マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、アクセスポイント(又は基地局)4、エッジサーバ5、ネットワーク制御サーバ(NW制御サーバ6と略称する。)、及びユーザ端末7を備える。
【0046】
システム1が適用されるネットワークでは、複数のスモールセル基地局3の通信エリアであるスモールセルエリア11が、マクロセル基地局2の通信エリアであるマクロセルエリア12上にそれぞれ重畳される。
【0047】
マクロセル基地局2は、例えばLTE(Long Term Evolution)などのUHF帯(周波数:300M Hz~3GHz)を代表とするより大きなセルを構築しやすい周波数帯を利用して無線通信を行うものである。マクロセル基地局2は、制御信号を伝送するための制御プレーン(CPlane)の基地局となる。また、マクロセル基地局2は、ユーザデータを伝送するためのユーザプレーン(U-Plane)の基地局として使用される場合もある。
【0048】
スモールセル基地局3は、例えば低SHF帯(周波数:3GHz~6GHz)などのマクロセル基地局2よりも高い周波数を利用して無線通信を行うものである。なお、スモールセル基地局3は、高SHF帯(周波数:6GHz~30GHz帯)を利用するものであってもよい。スモールセル基地局3は、ユーザプレーンの基地局として使用される。
【0049】
アクセスポイント4は、例えば、Wi-Fi(登録商標)による比較的小容量の無線通信や、WiGig(登録商標)による比較的大容量の無線LAN通信を行うものである。アクセスポイント4の通信エリア13は、スモールセルエリア11及びマクロセルエリア12の少なくとも一方に重畳される。
【0050】
ただし、アクセスポイント4は、スモールセル基地局3よりも高い周波数帯を利用して無線通信を行うマイクロセル基地局であってもよい。その場合、アクセスポイント4による無線通信は、5GのNR(New Radio)となる高SHF帯またはEHF帯(ここでは、28GHz帯、40GHz帯、及び70GHz帯など)を利用して行うことができる。また、複数のアクセスポイント4には、そのようなマイクロセル基地局と、無線LAN通信を行う基地局とが共に含まれてもよい。アクセスポイント4としてマイクロセル基地局が用いられる場合、通信エリア13は、マイクロセル基地局の通信エリアであるマイクロセルに相当する。
【0051】
システム1では、複数のRAT(無線通信方式)が混在する通信環境、いわゆるヘテロジーニアスネットワークが構成される。マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及び一部のアクセスポイント4は、コアネットワーク15及びインターネット16からなる有線ネットワークに有線接続されている。コアネットワーク15には、LTEのコアネットワークに相当するEPC(Evolved Packet Core)を構成するMME(Mobility Management Entity)、S-GW(Serving Gateway)、及びP-GW(Packet data network Gateway)や5Gのコアネットワークに相当する5GC(5G Core network)を構成するAMF(Access and Mobility Management Function)、及びUPF(User Plane Function)などが含まれる。また、システム1において、マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、アクセスポイント4、エッジサーバ5、NW制御サーバ6、及びユーザ端末7の数や配置は適宜変更することが可能である。
【0052】
エッジサーバ5は、移動するユーザ端末7と物理的に近い位置において、ユーザ端末7に提供するサービスとして種々のアプリケーション(プログラム)を実行する。各エッジサーバ5の配置には、特に制限はないが、ここではアクセスポイント4のいずれかに接続される。
【0053】
NW制御サーバ(ネットワーク制御装置)6は、システム1が適用されたネットワークにおけるエッジサーバ5とユーザ端末7との通信に用いられる通信経路を制御する。NW制御サーバ6は、コアネットワーク15に接続される。ただし、NW制御サーバ6は、コアネットワーク15の一部を構成してもよいし、インターネット16に接続されてもよい。
【0054】
ユーザ端末7は、各ユーザ(図示せず)によって携帯されるスマートフォンやタブレット端末などの無線通信機能を有する情報機器である。ユーザ端末7は、マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4にそれぞれ無線接続することができる。また、ユーザ端末7は、それらマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4を介してエッジサーバ5と通信することにより、エッジサーバ5のアプリケーションを利用することができる。また、ユーザ端末7は、コアネットワーク15及びインターネット16からなる有線ネットワークを介して任意のサーバ(図示せず)と通信することにより、当該サーバのアプリケーションを利用することもできる。
【0055】
図2は、NW制御サーバ6によるユーザ端末7とエッジサーバ5との通信経路の制御の一例を示す説明図である。図2(A)は、従来の通信経路(比較例)であり、図2(B)は、NW制御サーバ6によって構築された通信経路である。
【0056】
図2では、有線ネットワークの接続点18を起点としてツリー状またはメッシュ状に複数のアクセスポイント4が配置されている。各アクセスポイント4は、無線通信によって相互に接続されることにより、バックホールを形成する。なお、図2では、アクセスポイント4を相互に区別するために符号AP1-AP12が付されている。
【0057】
図2(A)では、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信において、無線品質を基準にアクセスポイントが選択される例が示されている。この場合、ユーザ端末7は、最も高い無線品質を得られる近隣のアクセスポイントAP1を接続先として選択するため、結果として、より多くのアクセスポイントAP1-AP9を介してエッジサーバ5と通信を行う必要が生じる。図2(A)では、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信経路R1には、各アクセスポイントを有線ネットワークの接続点18に接続するためのバックホールを利用することになる。
【0058】
これに対し、図2(B)では、エッジサーバ5が接続されたアクセスポイントAP9を含む複数のアクセスポイントAP9-AP12がグループ化される(図中の破線の円を参照)。また、NW制御サーバ6は、それらグループ化されたアクセスポイントAP9-AP12によって無線通信経路R2、R3を形成する。さらに、NW制御サーバ6は無線通信経路R2、R3を優先的に利用するようアクセス回線の接続先優先度を決定しユーザ端末7に提供する。これにより、ユーザ端末7は、アクセスポイントAP10またはAP11を接続先として選択し、無線通信経路R2、R3を利用してエッジサーバ5と通信することが可能となる。
【0059】
図3は、アクセスポイント4の概略構成を示すブロック図である。
【0060】
本実施形態では、アクセスポイント4は道路のわき(路側)や交差点に設置された路側機を構成する。だたし、アクセスポイント4は実質的に路側機を構成すればよく、例えば、既設の路側機及びそれと協働する通信装置から構成されてもよい。
【0061】
アクセスポイント4は、無線通信部21、バックホール通信部22、有線通信部23、記憶部24、及び制御部25を備える。
【0062】
無線通信部21は、ユーザ端末7と無線通信を行うためのアンテナや通信回路を備える。無線通信部21は、指向性通信部26を有する。指向性通信部26は、車線方向の上流側に指向性を有する。また、指向性通信部26は、可変指向性、すなわち、指向性を制御可能である。具体的には、ビームフォーミング技術などに基づいて指向性通信部26によるカバーエリア(ビーム)の幅及び方向が制御可能である。また、指向性通信部自体の方向を変化させることが可能である。
【0063】
バックホール通信部22は、周辺のアクセスポイント4と無線通信を行うためのアンテナや回路を備える。これにより、複数のアクセスポイント4によるマルチホップ通信が行われ、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる無線通信経路が形成される。
【0064】
有線通信部23は、コアネットワーク15との有線通信を行うための通信回路を備える。ただし、有線通信部23は、必ずしも全てのアクセスポイント4に設けられる必要はなく、有線ネットワークの近隣のアクセスポイント4に必要に応じて設けられる。
【0065】
記憶部24は、ユーザ端末7に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及び他のアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部25を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0066】
制御部25は、無線品質測定部31、位置情報取得部32、経路接続部33、無線制御部34、有線制御部35、及び指向性制御部36を備える。
【0067】
無線品質測定部31は、他の周辺のアクセスポイント4との無線通信の品質を受信信号強度などの公知の指標に基づき測定する。また、無線品質測定部31は、無線通信の品質の測定結果に基づき無線品質情報を生成する。
【0068】
位置情報取得部32は、自身(アクセスポイント4)の位置情報を取得する。位置情報取得部32は、自装置の位置を適宜測定することにより位置情報を取得するか、記憶部24等に予め記憶された位置情報を用いることができる。
【0069】
経路接続部33は、エッジサーバ5から受信する経路確立指示に基づき、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる通信経路を確立する。経路接続部33は、そのような通信経路の確立にあたり、バックホール通信部22による無線通信を制御することにより、周辺のアクセスポイント4とのマルチホップ通信を実現する。
【0070】
無線制御部34は、無線通信部21によるユーザ端末7との無線通信を制御する。
【0071】
有線制御部35は、有線通信部23による通信を制御する。また、有線制御部35は、有線ネットワークにおける通信制御装置や、周辺にあるマクロセル基地局2やスモールセル基地局3との有線通信により、ユーザ端末7の接続先などに関する情報を交換することができる。
【0072】
指向性制御部36は、指向性通信部26の指向性を制御する。具体的には、ユーザ端末7との間の通信品質が良好になるように、指向性通信部26によるカバーエリア(ビーム)の幅及び方向が制御される。また、指向性通信部自体の方向の制御を実施する。なお、指向性制御はユーザ端末7ごとに個別に実施することができる。
【0073】
なお、上述の制御部25における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0074】
図4は、エッジサーバ5の概略構成を示すブロック図である。
【0075】
エッジサーバ5は、通信部41、記憶部42、及び制御部43を備える。
【0076】
通信部41は、自装置が接続されたアクセスポイント4と通信を行うための通信回路を備える。
【0077】
記憶部42は、ユーザ端末7に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部43を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0078】
制御部43は、経路確立指示部45、トラフィック情報収集部46、アクセスポイント動作指示部47、通信制御部48、及びアプリケーション部49を備える。
【0079】
経路確立指示部45は、NW制御サーバ6から受信する情報に基づき、アクセスポイント4に通信経路を確立させるための経路確立指示を送信する。
【0080】
トラフィック情報収集部46は、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に関し、無線通信経路を形成する各アクセスポイント4間のトラフィックの情報を収集する。なお、トラフィック情報収集部46は、適宜省略されてもよい。
【0081】
アクセスポイント動作指示部47は、NW制御サーバ6から受信する情報に基づき、アクセスポイント4に対して動作指示を送信する。そのような動作指示には、アクセスポイント4に対する起動または停止の指示が含まれる。なお、アクセスポイント動作指示部47は、適宜省略されてもよい。
【0082】
通信制御部48は、通信部41による通信を制御する。また、通信制御部48は、周辺のアクセスポイント4やユーザ端末7と必要な情報を交換する。
【0083】
アプリケーション部49は、ユーザ端末7へのサービス内容に応じて種々のアプリケーションを実行する。アプリケーションによる処理には、例えば、スマート工場に設置されたセンサの出力(検出結果)の格納または提供や、交差点などの交通映像その他の検出情報の格納または提供などが含まれる。
【0084】
なお、上述の制御部43における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0085】
図5は、NW制御サーバ6の概略構成を示すブロック図である。
【0086】
NW制御サーバ6は、通信部51、記憶部52、及び制御部53を備える。
【0087】
通信部51は、コアネットワーク15を介してエッジサーバ5やユーザ端末7と通信を行うための通信回路を備える。
【0088】
記憶部52は、ユーザ端末7に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部53を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0089】
制御部53は、情報収集部61、グループ化部62、経路設定部63、トラフィック分析部64、接続先優先度設定部65、サービスエリア設定部66、エッジサーバ動作制御部67、アクセスポイント動作制御部68、及び通信制御部69を備える。
【0090】
情報収集部61は、各アクセスポイント4から周辺機器情報を収集する。この周辺機器情報には、各アクセスポイント4間の無線通信の品質に関する無線品質情報、各アクセスポイント4の位置情報、及び各アクセスポイント4に接続されたエッジサーバ5の有無に関するエッジサーバ情報が含まれる。
【0091】
グループ化部62は、収集された周辺機器情報に基づき、管理下にある複数のアクセスポイント4から、特定のエリアでネットワークを構成するアクセスポイント4を抽出し、それらをグループ化する。これにより、少なくとも1組以上のアクセスポイント4のグループが生成される。「特定のエリア」には、例えば、スマート工場内や、交差点を含む所定領域などが含まれる。なお、アクセスポイント4のグループの少なくとも一部は、オペレータによって設定されてもよい。また、グループ化部62は、後述するトラフィック分析部64によるトラフィックの分析結果に基づき、既存のアクセスポイント4のグループを再構成することができる。なお、本実施形態では、各アクセスポイント4は、それぞれ対応する路側機を構成し得る。
【0092】
経路設定部63は、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる1以上の無線通信経路を設定する。そのような無線通信経路は、グループ化されたアクセスポイント4のマルチホップ通信によって形成される。なお、そのような無線通信経路の少なくとも一部は、オペレータによって設定されてもよい。
【0093】
トラフィック分析部64は、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられた無線通信経路におけるトラフィック情報をエッジサーバ5から順次取得する。それらの取得されたトラフィック情報は記憶部52に蓄積される。また、トラフィック分析部64は、蓄積されたトラフィック情報に基づき、例えば経路設定部63によって設定された無線通信経路のトラフィックの分布を予測するなどのトラフィックの分析を行う。トラフィック分析部64は、対象のグループに含まれないグループ外のアクセスポイント4を用いる迂回経路の検出を行うこともできる。
【0094】
接続先優先度設定部65は、ユーザ端末7が利用するエッジサーバ5のサービスの種別に応じて、ユーザ端末7の接続先の候補の優先度を設定する。また、接続先優先度設定部65は、設定した接続先の候補の優先度に基づき接続先優先度情報を生成する。ユーザ端末7の接続先の候補は、通常はアクセスポイント4のいずれかであるが、必要に応じてマクロセル基地局2やスモールセル基地局3が接続先の候補となり得る。また、接続先優先度情報には、接続先の候補の優先順位が含まれる。これに限らず、接続先優先度情報には、例えば、接続先の候補の優先順位を決定するための基準(ルール)に関する情報が含まれてもよい。
【0095】
サービスエリア設定部66は、各アクセスポイント4からの周辺機器情報に基づき、それらのサービスエリア(通信エリアの範囲)を設定する。そのようなサービスエリアは、ユーザ端末7が利用するエッジサーバ5のサービスの種別に応じて設定される。また、サービスエリア設定部66は、設定したサービスエリアの範囲に関するサービスエリア情報を生成する。なお、サービスエリア情報の少なくとも一部は、オペレータによって設定されてもよい。
【0096】
エッジサーバ動作制御部67は、エッジサーバ5におけるアプリケーションの起動などを含めエッジサーバ5の動作を制御する。
【0097】
アクセスポイント動作制御部68は、アクセスポイント4の起動及び停止を含めアクセスポイント4の動作を制御する。
【0098】
通信制御部69は、通信部51による通信を制御する。また、通信制御部69は、周辺のアクセスポイント4、エッジサーバ5、及びユーザ端末7と必要な情報を交換することができる。
【0099】
なお、上述の制御部53における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0100】
図6は、ユーザ端末7の概略構成を示すブロック図である。
【0101】
本実施形態では、ユーザ端末7は、移動体(ここでは、自動車)に搭載される端末装置である。ユーザ端末7は、例えば、自動車に設けられた車載器によって構成され得る。また、ユーザ端末7は、自動車のユーザ(運転者や乗員)によって携帯される携帯型のコンピュータであってもよい。
【0102】
ユーザ端末7は、無線通信部71、記憶部72、位置情報取得部73、及び制御部74を備える。
【0103】
無線通信部71は、マクロセル・スモールセル通信部75、及びアクセスポイント通信部76を備える。
【0104】
マクロセル・スモールセル通信部75は、マクロセル基地局2またはスモールセル基地局3と無線通信を行うためのアンテナや通信回路を備える。
【0105】
アクセスポイント通信部76は、アクセスポイント4と無線通信を行うためのアンテナや通信回路を備える。アクセスポイント通信部76は、前方指向性通信部78及び後方指向性通信部79を備える。前方指向性通信部78は、前方(自動車の移動方向)に指向性を有する。後方指向性通信部79は、後方(自動車の移動方向とは逆の方向)に指向性を有する。また、前方指向性通信部78及び後方指向性通信部79は、可変指向性、すなわち、指向性を制御可能である。具体的には、ビームフォーミング技術などに基づいて前方指向性通信部78及び後方指向性通信部79の各々によるカバーエリア(ビーム)の幅及び方向が制御可能である。
【0106】
記憶部72は、自装置に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部74を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0107】
位置情報取得部73は、GPS(Global Positioning System)や、ビーコン発信器を用いたシステムなどの公知の測位システムにより、自装置の位置情報を取得する。なお、位置情報取得部73は、例えばアクセスポイント4や路側などに設置されたLiDAR、カメラ、レーダーなど、ユーザ端末7以外の装置で取得した位置情報を、アクセスポイント4などを経由して取得してもよい。
【0108】
制御部74は、接続先選択部81、アプリケーション部82、及び無線制御部83を備える。
【0109】
接続先選択部81は、NW制御サーバ6から受信するグループ化情報、接続先優先度情報、及びサービスエリア情報に基づき、アクセスポイント4等の接続先を選択する。これにより、ユーザ端末7は、その選択された接続先及びそれを含む無線通信経路を介してエッジサーバ5と通信可能である。
【0110】
アプリケーション部82は、ユーザ端末7で実行されるアプリケーションの内容に応じた処理を実行し、無線通信部71を介してエッジサーバ5との間でアプリケーションデータを送受信する。
【0111】
無線制御部83は、無線通信部71によるアクセスポイント4との無線通信や、マクロセル基地局2及びスモールセル基地局3との無線通信を制御する。
【0112】
指向性制御部84は、前方指向性通信部78及び後方指向性通信部79の指向性を制御する。具体的には、アクセスポイント4との間の通信品質が良好になるように、前方指向性通信部78及び後方指向性通信部79の各々によるカバーエリア(ビーム)の幅及び方向が制御される。
【0113】
なお、上述の制御部74における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0114】
図7は、第1実施形態に係る無線通信システムで行われる通信制御の概要を示す説明図である。図7(A)は、ユーザ端末7が搭載された自動車V1が前方の交差点から離れた状態の場合を示す。図7(B)は、ユーザ端末7が搭載された自動車V1が前方の交差点に近づいた状態の場合を示す。
【0115】
アクセスポイント4は、道路の交差点などに配置された信号機Lに設置されている。アクセスポイント4では、指向性通信部26により、車線の幅方向の略中央から車線方向の上流側に向けて延びた状態でカバーエリアC1(良好な通信品質が得られるエリア)が形成される(片方向エリア通信)。すなわち、対応する車線を走行する自動車に対して前方から電波が放射されるようにビームを形成される。なお、C1はアクセスポイント4の地点からカバー範囲として図示しているが、実際はアクセスポイント4からのビームは上下方向の指向性も有するため、ユーザ端末7の高さにおいては、アクセスポイント4の直下付近は通信品質が劣化する。
【0116】
一方、ユーザ端末7では、前方指向性通信部78により、前方(自動車の移動方向)に向けて延びた状態でカバーエリアC21が形成されると共に、後方指向性通信部79により、後方(自動車の移動方向とは逆の方向)に向けて延びた状態でカバーエリアC22が形成される。
【0117】
ユーザ端末7では、前方指向性通信部78が自車線(ユーザ端末7が搭載された自動車が走行する車線)側の前方のアクセスポイント4に接続して通信を行う。ここで、図7(A)に示すように、ユーザ端末7、すなわち、ユーザ端末7が搭載された自動車V1が、前方の交差点から離れた状態では、接続先のアクセスポイント4の通信品質は良好である。
【0118】
一方、図7(B)に示すように、ユーザ端末7、すなわち、ユーザ端末7が搭載された自動車V1が前方の交差点に近づくと、自車線側の前方のアクセスポイント4にユーザ端末7が近づき過ぎることで、アクセスポイント4の通信品質が劣化する。この場合、ユーザ端末7では、反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーが行われ、後方指向性通信部79が反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続して通信を行う。
【0119】
このとき、ユーザ端末7は、後方指向性通信部79の指向性を制御する。具体的には、反対車線側の後方のアクセスポイント4との間の通信品質が良好になるように、後方指向性通信部79のカバーエリアC22(ビーム)の幅及び方向が制御される。なお、カバーエリアC22(ビーム)の方向の制御では、放射されるビームを左右に振る走査が行われて、カバーエリアC22(ビーム)の最適な方向が探索される。また、後方指向性通信部79のカバーエリアC22(ビーム)は、反対車線側の後方のアクセスポイント4に向けて斜め後方に形成され、その方向は、反対車線側の後方のアクセスポイント4とユーザ端末7との距離に応じて変化する。
【0120】
図8は、ユーザ端末7で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0121】
ユーザ端末7は、自車線側の前方のアクセスポイント4を接続先に選択して(ST101)、そのアクセスポイント4に接続して通信を行う(ST102)。次に、ユーザ端末7は、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化したか否かを判定する(ST103)。ここで、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化していない場合には(ST103でNo)、自車線側の前方のアクセスポイント4との通信が継続される。
【0122】
一方、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化した場合には(ST103でYes)、次に、ユーザ端末7は、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が良好であるか否かを判定する(ST104)。ここで、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が良好でない場合には(ST104でNo)、自車線側の前方のアクセスポイント4との通信が継続される。
【0123】
一方、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が良好である場合には(ST104でYes)、次に、ユーザ端末7は、反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続先に選択して(ST105)、その反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続して通信を行う(ST106)。次に、ユーザ端末7は、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が劣化したか否かを判定する(ST107)。ここで、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が劣化していない場合には(ST107でNo)、反対車線側の後方のアクセスポイント4との通信が継続される。
【0124】
一方、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が劣化した場合には(ST107でYes)、次に、ユーザ端末7は、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質より良好であるか否かを判定する(ST108)。ここで、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質より、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が良好である場合には(ST108でNo)、次に、ユーザ端末7は、後方指向性通信部79の指向性を制御する(ST109)。このとき、反対車線側の後方のアクセスポイント4との間の通信品質が良好になるように、後方指向性通信部79のカバーエリア(ビーム)の幅及び方向が制御される。
【0125】
一方、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質より良好である場合には(ST108でYes)、次に、ユーザ端末7は、自車線側の前方のアクセスポイント4を接続先に選択して(ST110)、その自車線側の前方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、自車線側の前方のアクセスポイント4に接続して通信を行う(ST111)。
【0126】
このようにユーザ端末7では、まず、自車線側の前方のアクセスポイント4と通信が行われ(図22(A)参照)ユーザ端末7が搭載された自動車が走行して、ユーザ端末7が自車線側の前方のアクセスポイント4の直近に到来して、そのアクセスポイント4の通信品質が劣化すると、反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーが実施され(図22(B)参照)、さらに、ユーザ端末7が搭載された自動車が走行して、自車線側の1つ先の前方のアクセスポイント4の通信品質が、反対車線側の後方のアクセスポイント4より高くなると、その自車線側の1つ先の前方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーが実施される(図22(C)参照)。
【0127】
また、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質より、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が良好である場合には、反対車線側の後方のアクセスポイント4との通信が継続されると共に、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質をより一層改善するため、後方指向性通信部79の指向性を制御する指向性制御が行われる。この場合、自動車の走行に伴ってユーザ端末7が反対車線側の後方のアクセスポイント4から遠ざかるため、反対車線側の後方のアクセスポイント4とユーザ端末7との位置関係の変化に応じて、指向性制御により後方指向性通信部79の指向性が次第に変化する。
【0128】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係るアクセスポイント4の概略構成を示すブロック図である。図9では、図3に示した第1実施形態に係るアクセスポイント4と同様の構成要素については、同一の符号が付されている。図10は、第2実施形態に係るユーザ端末7の概略構成を示すブロック図である。図10では、図6に示した第1実施形態に係るユーザ端末7と同様の構成要素については、同一の符号が付されている。第2実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0129】
図9に示すように、第2実施形態に係るアクセスポイント4では、無線通信部21が、上流側指向性通信部27及び下流側指向性通信部28を備える。上流側指向性通信部27は、信号機の向きと同様に車線の上流側の方向に指向性を有する。下流側指向性通信部28は、信号機の向きと逆の車線の下流側の方向に指向性を有する。また、上流側指向性通信部27及び下流側指向性通信部28は、可変指向性、すなわち、指向性を制御可能である。具体的には、ビームフォーミング技術などに基づいて上流側指向性通信部27及び下流側指向性通信部28の各々によるカバーエリア(ビーム)の幅及び方向が制御可能である。
【0130】
図10に示すように、第2実施形態に係るユーザ端末7は、方位センサ80を備えている。方位センサ80は、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車の進行方向(車体の向き)を検出する。制御部74は、方位センサ80の検出結果に基づいて、ユーザ端末7が搭載された自動車が、交差点において右左折を行っていることを検知することができる。
【0131】
なお、エッジサーバ5、及びNW制御サーバ6の構成は第1実施形態(図4図5参照)と同様である。
【0132】
図11図12は、第2実施形態に係る無線通信システムで行われる通信制御の概要を示す説明図である。図11は、ユーザ端末7が搭載された自動車V1が道路を直進している状態でのユーザ端末7の通信制御の状況を示す。図12は、ユーザ端末7が搭載された自動車V1が交差点で右折している状態でのユーザ端末7の通信制御の状況を示す。なお、自動車V1が交差点で左折する場合も図12に示される右折の場合と同様である。
【0133】
図11に示すように、アクセスポイント4では、上流側指向性通信部27により、車線の幅方向の略中央から車線方向の上流側に向けて延びた状態でカバーエリアC11が形成される共に、下流側指向性通信部28により、車線方向の下流側に向けて延びた状態でカバーエリアC12が形成される(両方向エリア通信)。
【0134】
また、図11(A)に示すように、移動体としての自動車V1に搭載されたユーザ端末7では、前方指向性通信部78が自車線側の前方のアクセスポイント4に接続して通信を行う。ここで、ユーザ端末7、すなわちユーザ端末7が搭載された自動車V1が、前方の交差点から離れた状態では、自車線の前方のアクセスポイント4の通信品質は良好である。
【0135】
一方、図11(B)に示すように、ユーザ端末7、すなわちユーザ端末7が搭載された自動車V1が前方の交差点に近づくと、自車線側の前方のアクセスポイント4にユーザ端末7が近づき過ぎることで、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化する。この場合、ユーザ端末7では、自車線側の後方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーが行われ、後方指向性通信部79が自車線側の後方のアクセスポイント4に接続して通信を行う。
【0136】
また、図12に示すように、ユーザ端末7が搭載された自動車V1が、交差点に進入して右折を開始すると、ユーザ端末7では、後方のアクセスポイント4の通信品質が劣化するため、後方指向性通信部79の指向性が制御される。また、交差点において自動車V1の右折が進行すると、後方のアクセスポイント4の通信品質より、交差道路の前方のアクセスポイント4の通信品質が高くなるため、交差道路の前方のアクセスポイント4を接続先に切り替えるハンドオーバーが実施される。このとき、前方指向性通信部78の指向性が制御される。
【0137】
ここで、図12(A)に示す例では、ユーザ端末7の後方指向性通信部79及び前方指向性通信部78の各々において、カバーエリアC21,C22(ビーム)の方向を調整する制御が行われている。このとき、放射されるビームを左右に振る走査を行って、カバーエリアC21,C22(ビーム)の最適な方向が探索される。図12(B)に示す例では、後方指向性通信部79及び前方指向性通信部78の各々において、カバーエリアC21,C22(ビーム)の幅を左右に拡大する制御が行われている。また、図12(A)に示すカバーエリアC21,C22(ビーム)の方向の調整と図12(B)に示すカバーエリアC21,C22(ビーム)の幅の拡大とを組み合わせた制御が行われてもよい。なお、ビーム幅を拡大すると通信距離が短くなるため、図12(B)に示される制御は、ユーザ端末7がアクセスポイント4に近づいた時のみ実施されてもよい。
【0138】
ところで、図12(A)に示す例では、ユーザ端末7が搭載された自動車V1が交差点で右折を行う場合に、ユーザ端末7の後方指向性通信部79が、自車線側の後方のアクセスポイント4に接続された状態に維持されて、そのときの通信品質が良好となるように、カバーエリアC22の方向を調整する制御が行われる(図中の第1の状態)。一方、交差点において自動車V1の右折が進むと、ユーザ端末7の後方指向性通信部79は、交差道路における反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続できる状態になる。このため、ユーザ端末7の後方指向性通信部79と、交差道路における反対車線側の後方のアクセスポイント4との間の通信品質が良好となるように、カバーエリアC22の方向を調整する制御が行われてもよい(図中の第2の状態)。
【0139】
図13は、ユーザ端末7で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0140】
ユーザ端末7は、自車線側の前方のアクセスポイント4を接続先に選択して(ST201)、そのアクセスポイント4に接続して通信を行う(ST202)。次に、ユーザ端末7は、方位センサ80の検出結果である方位情報を取得して、方位が所定値以上変化したか否かを判定する(ST203)。ここで、方位が所定値以上変化していない場合、すなわち、ユーザ端末7が搭載された自動車が直進している場合には(ST203でNo)、自車線側の前方のアクセスポイント4との通信が継続される。
【0141】
一方、方位が所定値以上変化した場合、すなわち、ユーザ端末7が搭載された自動車が交差点において右左折を開始した場合には(ST203でYes)、次に、ユーザ端末7は、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化したか否かを判定する(ST204)。ここで、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化していない場合には(ST204でNo)、自車線側の前方のアクセスポイント4との通信が継続される。
【0142】
一方、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化した場合には(ST204でYes)、次に、ユーザ端末7は、自車線側の後方のアクセスポイント4に接続先に選択して(ST205)、その自車線側の後方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、自車線側の後方のアクセスポイント4に接続して通信を行う(ST206)。
【0143】
次に、ユーザ端末7は、後方指向性通信部79の指向性を制御する(ST207)。このとき、反対車線側の後方のアクセスポイント4との間の通信品質が良好になるように、後方指向性通信部79のカバーエリア(ビーム)の幅及び方向が制御される。
【0144】
次に、ユーザ端末7は、前方のアクセスポイント4の通信品質が、後方のアクセスポイント4の通信品質より良好であるか否かを判定する(ST208)。このとき、自動車が右左折の途中であるため、前方のアクセスポイント4は、交差道路(交差点において右左折を行った先の道路)側の前方に位置するアクセスポイント4である。ここで、前方のアクセスポイント4の通信品質より、後方のアクセスポイント4の通信品質が良好である場合には(ST208でNo)、自車線側の後方のアクセスポイント4との通信が継続される。
【0145】
一方、前方のアクセスポイント4の通信品質が、後方のアクセスポイント4の通信品質より良好である場合には(ST208でYes)、次に、ユーザ端末7は、交差道路側の前方のアクセスポイント4を接続先に選択して(ST209)、その交差道路側の前方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、交差道路側の前方のアクセスポイント4に接続して通信を行う(ST210)。
【0146】
次に、ユーザ端末7は、前方指向性通信部78の指向性を制御する(ST211)。このとき、前方のアクセスポイント4との間の通信品質が良好になるように、前方指向性通信部78のカバーエリア(ビーム)の幅及び方向が制御される。
【0147】
このようにユーザ端末7では、まず、交差点においてユーザ端末7が搭載された自動車が右左折を開始すると、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化するため、自車線側の後方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーが実施される。そして、自車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質をより一層改善するため、後方指向性通信部79の指向性を制御する指向性制御が行われる。さらに、交差点において自動車の右左折が進行すると、交差道路の前方のアクセスポイント4の通信品質が高くなるため、交差道路の前方のアクセスポイント4を接続先に切り替えるハンドオーバーが実施される。そして、交差道路の前方のアクセスポイント4の通信品質をより一層改善するため、前方指向性通信部78の指向性を制御する指向性制御が行われる。なお、これら指向性制御においては、図12(B)に示すようなビーム幅の拡大、および指向性制御とビーム幅の拡大の組合せを用いてもよい。
【0148】
(第2実施形態の変形例)
図14は、第2実施形態の変形例に係るアクセスポイント4の通信制御の状況を示す説明図である。
【0149】
第2実施形態では、ユーザ端末7が搭載された自動車V1が交差点で右左折している状態において、ユーザ端末7が、前方指向性通信部78及び後方指向性通信部79の指向性を制御するが、本変形例では、アクセスポイント4が、上流側指向性通信部27の指向性を制御する。
【0150】
ここで、図14(A)に示す例では、アクセスポイント4の上流側指向性通信部27において、カバーエリアC11(ビーム)の方向を調整する制御が行われている。このとき、放射されるビームを左右に振る走査を行って、カバーエリアC11(ビーム)の最適な方向が探索される。図14(B)に示す例では、上流側指向性通信部27において、カバーエリアC11(ビーム)の幅を左右に拡大する制御が行われている。また、図14(A)に示すカバーエリアC11(ビーム)の方向の調整と図14(B)に示すカバーエリアC11(ビーム)の幅の拡大とを組み合わせた制御が行われてもよい。なお、ビーム幅を拡大すると通信距離が短くなるため、図14(B)に示される制御は、ユーザ端末7がアクセスポイント4に近づいた時のみ実施されてもよい。
【0151】
なお、アクセスポイント4における指向性の制御は、例えば時分割制御によりユーザ端末7ごとに個別に行われる。具体的には、例えば、交差点で右左折中の自動車に搭載されたユーザ端末7に対しては広いビームに制御され、交差点を直進する自動車に搭載されたユーザ端末7に対しては細いビームに制御されてもよい。
【0152】
(第3実施形態)
図15図16は、第3実施形態に係る無線通信システム1で行われる通信制御の概要を示す説明図である。第3実施形態において、以下で特に言及しない事項については、前記の実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。なお、アクセスポイント4の構成は第2実施形態(図9参照)と同様である。また、エッジサーバ5、NW制御サーバ6、及びユーザ端末7の構成は第1実施形態(図4図5図6参照)と同様である。
【0153】
本実施形態では、第2実施形態と同様に、アクセスポイント4の無線通信部21が、上流側指向性通信部27及び下流側指向性通信部28を備える。
【0154】
また、本実施形態では、移動体に搭載されたユーザ端末7とアクセスポイント4との通信が、別の移動体による遮蔽により不良となった場合に、別のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーが実施される。特にここでは、通信に利用するアクセスポイント4に優先順位が設定されている。具体的には、自車線側の前方のアクセスポイント4、自車線側の後方のアクセスポイント4、反対車線側の後方のアクセスポイント4の順に接続先が選択される。
【0155】
図15(A)に示す例では、移動体としての自動車V1に搭載されたユーザ端末7は、自車線側の前方のアクセスポイント4と通信を行う。
【0156】
図15(B)に示す例では、自車線側の前方にある別の移動体としての自動車V2による遮蔽が発生し、自動車V1に搭載されたユーザ端末7と、自車線側の前方のアクセスポイント4との通信が不良となっている。この場合、自動車V1に搭載されたユーザ端末7は、自車線側の後方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、自車線側の後方のアクセスポイント4と通信を行う。
【0157】
図16に示す例では、自車線側の後方にある別の移動体としての自動車V3による遮蔽が発生し、自動車V1に搭載されたユーザ端末7と、自車線側の後方のアクセスポイント4との通信が不良となっている。この場合、自動車V1に搭載されたユーザ端末7は、反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、反対車線側の後方のアクセスポイント4と通信を行う。
【0158】
このとき、ユーザ端末7は、後方指向性通信部79の指向性を制御する。具体的には、反対車線側の後方のアクセスポイント4との間の通信品質が良好になるように、後方指向性通信部79のカバーエリアC22(ビーム)の幅及び方向が制御される。なお、カバーエリアC22(ビーム)の方向の制御では、放射されるビームを左右に振る走査が行われて、カバーエリアC22(ビーム)の最適な方向が探索される。また、後方指向性通信部79のカバーエリアC22(ビーム)は反対車線側の後方のアクセスポイント4に向けて斜め後方に形成され、その方向は、反対車線側の後方のアクセスポイント4とユーザ端末7との距離に応じて変化する。
【0159】
図17は、ユーザ端末7で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0160】
ユーザ端末7は、自車線側の前方のアクセスポイント4を接続先に選択して(ST301)、そのアクセスポイント4に接続して通信を行う(ST302)。次に、ユーザ端末7は、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化したか否かを判定する(ST303)。ここで、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化していない場合には(ST303でNo)、自車線側の前方のアクセスポイント4との通信が継続される。
【0161】
一方、自車線側の前方のアクセスポイント4の通信品質が劣化した場合には(ST303でYes)、次に、ユーザ端末7は、自車線側の後方のアクセスポイント4に接続先に選択して(ST304)、その自車線側の後方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、自車線側の後方のアクセスポイント4に接続して通信を行う(ST305)。このとき、自車線側の後方のアクセスポイント4との間の通信品質が良好になるように、後方指向性通信部79のカバーエリア(ビーム)の幅及び方向が制御されてもよい。
【0162】
次に、ユーザ端末7は、自車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が劣化したか否かを判定する(ST306)。ここで、自車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が劣化していない場合には(ST306でNo)、自車線側の後方のアクセスポイント4との通信が継続される。
【0163】
一方、後方のアクセスポイント4の通信品質が劣化した場合には(ST306でYes)、次に、ユーザ端末7は、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が、自車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質より良好であるか否かを判定する(ST307)。ここで、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が、自車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質より良好でない場合には(ST307でNo)、自車線側の後方のアクセスポイント4との通信が継続される。
【0164】
一方、反対車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質が、自車線側の後方のアクセスポイント4の通信品質より良好である場合には(ST307でYes)、次に、ユーザ端末7は、前方のアクセスポイント4の通信品質が、後方のアクセスポイント4の通信品質より良好であるか否かを判定する(ST308)。ここで、前方のアクセスポイント4の通信品質より、後方のアクセスポイント4の通信品質が良好である場合には(ST308でNo)、次に、ユーザ端末7は、反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続先に選択して(ST309)、その反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、反対車線側の後方のアクセスポイント4に接続して通信を行う(ST310)。
【0165】
次に、ユーザ端末7は、後方指向性通信部79の指向性を制御する(ST311)。このとき、反対車線側の後方のアクセスポイント4との間の通信品質が良好になるように、後方指向性通信部79のカバーエリア(ビーム)の幅及び方向が制御される。
【0166】
一方、前方のアクセスポイント4の通信品質が、後方のアクセスポイント4の通信品質より良好である場合には(ST308でYes)、次に、ユーザ端末7は、自車線側の前方のアクセスポイント4を接続先に選択して(ST312)、その自車線側の前方のアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、自車線側の前方のアクセスポイント4に接続して通信を行う(ST313)。
【0167】
(第4実施形態)
図18図19は、第4実施形態に係る無線通信システム1で行われる通信制御の概要を示す説明図である。第4実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。なお、アクセスポイント4の構成は第2実施形態(図9参照)と同様である。また、エッジサーバ5、NW制御サーバ6、及びユーザ端末7の構成は第1実施形態(図4図5図6参照)と同様である。
【0168】
第3実施形態では、移動体としての自動車に搭載されたユーザ端末7が、周辺のアクセスポイント4に接続する制御が行われるが、周辺に存在する他の移動体などによる遮蔽により、周辺のアクセスポイント4、具体的には、自車線側の前方のアクセスポイント4、自車線側の後方のアクセスポイント4、及び反対車線側の後方のアクセスポイント4の全てで通信が不良となる場合がある。このような場合に、本実施形態では、周辺に存在する他の移動体に搭載されたユーザ端末7を中継装置として利用して、そのユーザ端末7を介した通信が行われる。なお、中継装置としてのユーザ端末7は、周辺の接続可能なアクセスポイント4に接続して、中継装置としての通信と共に、自身にとって必要な通信を行うことができる。
【0169】
図18(A)に示す例では、反対車線側の後方にある自動車V4による遮蔽が発生し、自動車V1に搭載されたユーザ端末7と、反対車線側の後方のアクセスポイント4との通信が不良となっている。この場合、自動車V1に搭載されたユーザ端末7は、反対車線を走行する別の移動体としての自動車V5に搭載されたユーザ端末7を中継装置として利用して、そのユーザ端末7を介した通信モードに遷移する。この通信モードでは、自動車V1に搭載されたユーザ端末7は、自動車V5に搭載されたユーザ端末7に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、自動車V5に搭載されたユーザ端末7と通信を行う。
【0170】
図18(B)に示す例では、反対車線を走行する自動車V6による遮蔽が発生し、自動車V1に搭載されたユーザ端末7と、反対車線を走行する自動車V5に搭載されたユーザ端末7との通信が不良となっている。この場合、自動車V1に搭載されたユーザ端末7は、上空を飛翔するドローンD(飛翔体)に搭載された中継装置としてのユーザ端末7を介した通信モードに遷移する。この通信モードでは、自動車V1に搭載されたユーザ端末7は、ドローンDに搭載されたユーザ端末7に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、ドローンDに搭載されたユーザ端末7と通信を行う。
【0171】
なお、ユーザ端末7が搭載された飛翔体は、ドローンDに限定されず、例えば気球などであってもよい。
【0172】
また、ユーザ端末7では、アクセスポイント4と通信するために前方指向性通信部78及び後方指向性通信部79を備えるが、飛翔体との通信を良好とするために、上空に指向性を有する上方指向性通信部が設けられてもよい。この場合、上方指向性通信部において、上空に向けた円状の偏波が形成されるとよい。また、前方指向性通信部78及び後方指向性通信部79において、水平偏波から垂直偏波に切り替える制御が行われてもよい。
【0173】
図19に示す例では、建物などによる遮蔽が発生し、自動車V1に搭載されたユーザ端末7とドローンDに搭載されたユーザ端末7との通信が不良となっている。この場合、自動車V1に搭載されたユーザ端末7は、広域通信網の基地局としてのスモールセル基地局3またはマクロセル基地局2に接続先を切り替えるハンドオーバーを実施し、スモールセル基地局3またはマクロセル基地局2と通信を行う。
【0174】
(第5実施形態)
図20図21は、第5実施形態に係るアクセスポイント4のカバーエリアの概要を示す説明図である。第5実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0175】
アクセスポイント4の指向性通信部26によるカバーエリアC1(ビーム)は、左右方向に加えて上下方向の指向性も有するため、アクセスポイント4の直近の位置では通信品質が劣化する。そこで、図20図21に示すように、カバーエリアC1が形成されるようにアクセスポイント4が構成されるとよい。これにより、アクセスポイント4の直近の位置が、別のカバーエリアC1で覆われることで、これにより、ユーザ端末7の道路上の位置に関係なく、前方指向性通信部78及び後方指向性通信部79のいずれかがアクセスポイント4に良好な通信品質で接続することができる。
【0176】
図20(A),(B)に示す例は、アクセスポイント4が、第1実施形態と同様に、片方向エリア通信の構成を備える場合である。具体的には、アクセスポイント4の無線通信部21が、車線方向の上流側に指向性を有する指向性通信部26を備える。指向性通信部26は、車線方向の上流側に向けて延びた状態でカバーエリアC1(良好な通信品質の得られるエリア)を形成する。
【0177】
図20(A)に示す例では、アクセスポイント4の指向性通信部26のカバーエリアC1と、隣り合うアクセスポイント4の指向性通信部26のカバーエリアC1とが一部オーバラップする状態になっている。
【0178】
図20(B)に示す例では、道路の上り車線側に設置されたアクセスポイント4と、下り車線側に設置されたアクセスポイント4とで、カバーエリアC1が一部オーバラップするように交互に形成され、アクセスポイント4のカバーエリアC1が道路を全体的に覆うように形成される。
【0179】
図21(A),(B)に示す例は、アクセスポイント4が、第2実施形態と同様に、両方向エリア通信の構成を備える場合である。具体的には、アクセスポイント4の無線通信部21が、車線の上流側に指向性を有する上流側指向性通信部27と、車線の下流側に指向性を有する下流側指向性通信部28とを備える。上流側指向性通信部27は、車線方向の上流側に向けて延びた状態でカバーエリアC11を形成する。下流側指向性通信部28は、車線方向の下流側に向けて延びた状態でカバーエリアC12を形成する。
【0180】
図21(A)に示す例では、アクセスポイント4の上流側指向性通信部27のカバーエリアC11と、車線の上流側で隣り合うアクセスポイント4の下流側指向性通信部28のカバーエリアC12とが一部オーバラップする状態になっている。
【0181】
図21(B)に示す例では、アクセスポイント4が、車線の下流側で隣り合うアクセスポイント4の上流側指向性通信部27のカバーエリアC11に含まれると共に、アクセスポイント4が、車線の上流側で隣り合うアクセスポイント4の下流側指向性通信部28のカバーエリアC12に含まれる状態になっている。
【0182】
図21(C)に示す例では、1つのアクセスポイント4において、上流側指向性通信部27のカバーエリアC11と下流側指向性通信部28のカバーエリアC12とが一部オーバラップする状態になっている。すなわち、下流側指向性通信部28が上流側指向性通信部27のカバーエリアC11に含まれると共に、上流側指向性通信部27が下流側指向性通信部28のカバーエリアC12に含まれる状態になっている。
【0183】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【0184】
例えば、本開示では、ユーザ端末7が搭載される移動体が自動車であるが、ユーザ端末7が搭載される移動体は自動車に限定されない。ユーザ端末7が搭載される移動体は、自転車、シニアカー、車椅子等のその他の車両であってもよく、また、歩行者などの車両以外の移動体であってよい。
【0185】
また、本開示では、ユーザ端末7が搭載される移動体としての自動車が道路上を移動するが、ユーザ端末7が搭載される移動体が移動可能な経路は道路に限定されない。ユーザ端末7が搭載される移動体は所定の経路に沿って移動するものであればよく、例えば、移動体が、所定の飛行ルートに沿って飛行する飛翔体(ドローンなど)である場合に、移動体が移動可能な経路は飛行ルートになる。
【0186】
また、本開示では、ユーザ端末7が搭載される移動体としての自動車が走行する道路の車線に対応するように、アクセスポイント4及びユーザ端末7によるカバーエリア(ビーム)が形成される。一方、飛行ルートのように道路以外の経路に沿って移動体が移動する場合では、道路の場合の車線に相当する複数の通行区分が移動体の経路上に設定されるとよい。複数の通行区分では、2以上の移動体が対向(または並行)して移動できるように、移動体が進む際の位置や方向が予め規定される。
【0187】
また、本開示では、アクセスポイント4及びユーザ端末7で行われる無線通信の指向性の制御において、ビームフォーミング技術に基づいてカバーエリア(ビーム)の幅及び方向の少なくともいずれかを変化させるが、これに限定されない。例えば、ジンバル機構などを利用して指向性が機械的に制御されてもよい。
【0188】
また、本開示では、ユーザ端末7が搭載される移動体としての自動車が、交差点での右左折時に無線通信の指向性の制御が行われるが、これに限定されない。例えば、道路が曲がっているために、基地局における無線通信の指向性と自動車の方向とがずれる場合にも、無線通信の指向性の制御が有用である。
【0189】
また、本開示では、アクセスポイント4及びユーザ端末7で行われる無線通信の指向性の制御では、通信品質に基づいて指向性を制御する、すなわち、通信品質が良好となるように指向性を制御するが、ユーザ端末7の道路上の位置、すなわちユーザ端末7とアクセスポイント4との位置関係に関する情報を取得して、それに基づいて指向性制御が行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明に係る無線通信システム、ユーザ端末、及び通信制御方法は、移動体の向きの変更による通信品質の劣化や、遮蔽による通信品質の劣化が発生する状況でも、ユーザ端末と基地局との良好な通信を安定して確保することができる効果を有し、路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システム、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末、及び道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0191】
1 :無線通信システム
2 :マクロセル基地局
3 :スモールセル基地局
4 :アクセスポイント(基地局)
5 :エッジサーバ
6 :NW制御サーバ
7 :ユーザ端末
11:スモールセルエリア
12:マクロセルエリア
13:通信エリア
15:コアネットワーク
16:インターネット
18:接続点
21:無線通信部
22:バックホール通信部
23:有線通信部
24:記憶部
25:制御部
26:指向性通信部
27:上流側指向性通信部
28:下流側指向性通信部
31:無線品質測定部
32:位置情報取得部
33:経路接続部
34:無線制御部
35:有線制御部
36:指向性制御部
41:通信部
42:記憶部
43:制御部
45:経路確立指示部
46:トラフィック情報収集部
47:アクセスポイント動作指示部
48:通信制御部
49:アプリケーション部
51:通信部
52:記憶部
53:制御部
61:情報収集部
62:グループ化部
63:経路設定部
64:トラフィック分析部
65:接続先優先度設定部
66:サービスエリア設定部
67:エッジサーバ動作制御部
68:アクセスポイント動作制御部
69:通信制御部
71:無線通信部
72:記憶部
73:位置情報取得部
74:制御部
75:スモールセル通信部
76:アクセスポイント通信部
78:前方指向性通信部
79:後方指向性通信部
80:方位センサ
81:接続先選択部
82:アプリケーション部
83:無線制御部
84:指向性制御部
C1,C11,C12:カバーエリア
C21,C22:カバーエリア
D :ドローン
L :信号機
V1-V6:自動車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22