IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

特開2024-53808照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法
<>
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図1
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図2
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図3
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図4
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図5
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図6
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図7
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図8
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図9
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図10
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図11
  • 特開-照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053808
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/165 20200101AFI20240409BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20240409BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20240409BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/11
H05B47/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160242
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 章裕
(72)【発明者】
【氏名】菅野 憲慎
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273QA07
3K273QA11
3K273QA30
3K273RA02
3K273RA05
3K273RA12
3K273SA04
3K273SA22
3K273SA23
3K273SA38
3K273SA46
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA52
3K273TA62
3K273TA70
3K273UA12
3K273UA14
3K273UA17
3K273UA19
3K273UA22
3K273UA25
(57)【要約】
【課題】本開示は照明制御システムに関し、利用者情報に基づき好適な光源の状態を選択する精度を高め、不特定多数の利用者にとって快適な照明を実現する照明制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の照明制御システムは、照明器具に光源操作値を指令する操作機を備える照明制御システムであって、利用者情報を受け付ける受け付け処理と、利用者情報に基づき学習モデルから光源制御値を選択する光源制御値選択処理と、光源制御値に基づき光源を点灯する点灯処理と、光源操作値に基づき光源の状態を上書きする上書き処理と、光源操作値を用いて、利用者情報に対する好適な光源制御値を学習モデルに学習させる学習処理と、学習モデルを更新して保存するモデル更新処理とを実行するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具に光源操作値を指令する操作機を備える照明制御システムであって、
利用者情報を受け付ける受け付け処理と、
前記利用者情報に基づき学習モデルから光源制御値を選択する光源制御値選択処理と、
前記光源制御値に基づき光源を点灯する点灯処理と、
前記光源操作値に基づき前記光源の状態を上書きする上書き処理と、
前記光源操作値を用いて、前記利用者情報に対する好適な光源制御値を前記学習モデルに学習させる学習処理と、
前記学習モデルを更新して保存するモデル更新処理と、
を実行するように構成される照明制御システム。
【請求項2】
前記利用者情報を入力する端末装置をさらに備え、
前記端末装置は、前記照明器具が設置される部屋とは別の場所に配置される、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記利用者情報は年齢、国籍、性別、季節、利用開始時間帯または利用人数の少なくとも一つの項目を含む、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記光源制御値及び前記光源操作値は、前記照明器具の明るさまたは色温度の少なくとも一方の制御を実現する制御値である、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項5】
外部センサをさらに備え、
前記学習処理においては、前記利用者情報と前記外部センサが測定したデータに対する好適な光源制御値を前記学習モデルに学習させる、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記外部センサが測定する前記データは時間、温度または照度の少なくとも一つの項目を含む、請求項5に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記上書き処理が実行された時間帯の情報をさらに備え、
前記時間帯の情報に基づき前記学習処理を行う、請求項1または5に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記利用者情報をテキストデータとして出力する処理をさらに実行する、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記利用者情報に含まれる項目に応じて好適な前記光源制御値を定めた基本モデルをさらに備え、
前記光源制御値選択処理においては、
前記利用者情報に含まれる前記項目に該当する前記学習モデルがない場合には、好適な光源制御値を前記基本モデルから選択する基本選択処理を実行する、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項10】
前記光源制御値選択処理は、前記外部センサが測定した前記データに基づき、好適な光源制御値を前記学習モデルから自動で選択する処理をさらに含む、請求項5に記載の照明制御システム。
【請求項11】
利用者情報を受け付ける処理と、
前記利用者情報に基づき学習モデルから光源制御値を選択する光源制御値選択処理と、
前記光源制御値選択処理により選択した前記光源制御値を照明器具に提供する処理と、
操作機から前記照明器具に通知された光源操作値の情報を受け付ける処理と、
前記光源操作値を用いて、前記利用者情報に対する好適な光源制御値を前記学習モデルに学習させる学習処理と、
前記学習モデルを更新して保存するモデル更新処理と、
を実行するように構成されるサーバ。
【請求項12】
他の装置から光源制御値を受け付ける処理と、
操作機から光源操作値を受け付ける処理と、
前記光源制御値に基づき光源を点灯する点灯処理と、
前記光源操作値に基づき前記光源の状態を上書きする上書き処理と、
前記光源操作値を前記他の装置に送信する処理と、
を実行するように構成される照明器具。
【請求項13】
照明器具に光源操作値を指令する操作機と用いる照明制御方法であって、
サーバが利用者情報を受け付けることと、
サーバが前記利用者情報に基づき学習モデルから光源制御値を選択することと、
サーバが前記光源制御値に基づき光源を点灯させることと、
前記光源操作値が生じた場合に、サーバが当該光源操作値を用いて、前記利用者情報に対する好適な光源制御値を前記学習モデルに学習させることと、
サーバが前記学習モデルを更新して保存することと、
を含む照明制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルルームまたはカラオケルームなど、不特定多数の人が利用する部屋の照明は、明るさまたは色温度などの初期設定が、各部屋で一律になっている。初期設定の照明が利用者の好みまたは気分にそぐわない場合は、入室した際に不快な印象を与えかねない。また、快適と感じる照明に利用者が自ら変更しなければならず、手間をかけさせることにもなる。
【0003】
先行技術においては、利用者情報に基づき、その利用者が快適と感じる光源の状態を選択し、光源を点灯する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-181874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
利用者が快適と感じる光源の状態は、年齢、国籍など、多くの観点から差異が発生する。例えば、年齢の観点では、高齢になるにつれて視力の低下が進行することにより差異が生じる。一般に、高齢者は、弱齢者に比べてより明るい照明が必要とされている。また、人種の観点では、日本人は色素の濃い黒色の瞳が多いが、欧米人は色素の薄い青色または茶色の瞳の人が多いため、明るさの感度が異なる。欧米人は、日本人よりも白色系の光を強く感じることから、暖色系を好む傾向がある。また、利用する時間帯、気温などの外的環境によっても、快適と感じる状態は変化する。たとえば、昼は白色系、夕方は暖色系など、サーカディアンリズムを整える効果を期待できる色温度を好む傾向がある。さらには、照明が備え付けられる施設に特有の事情で、好まれる条件などもあると考えられる。
【0006】
しかしながら、先行技術では、利用者情報に基づき好適な光源の状態を選択することはできるが、その精度を学習により高めていくことはできない。
【0007】
本開示は上述の問題を解決するため、利用者情報に基づき好適な光源の状態を選択する精度を高め、不特定多数の利用者にとって快適な照明を実現する照明制御システムを提供することを第一の目的とする。
【0008】
また、本開示は、利用者情報に基づき好適な光源の状態を選択する精度を高め、不特定多数の利用者にとって快適な照明を実現するサーバを提供することを第二の目的とする。
【0009】
また、本開示は、利用者情報に基づき好適な光源の状態を選択する精度を高め、不特定多数の利用者にとって快適な照明を実現する照明器具を提供することを第三の目的とする。
【0010】
また、本開示は、利用者情報に基づき好適な光源の状態を選択する精度を高め、不特定多数の利用者にとって快適な照明を実現する照明制御方法を提供することを第四の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第一の態様は、照明器具に光源操作値を指令する操作機を備える照明制御システムであって、
利用者情報を受け付ける受け付け処理と、
前記利用者情報に基づき学習モデルから光源制御値を選択する光源制御値選択処理と、
前記光源制御値に基づき光源を点灯する点灯処理と、
前記光源操作値に基づき前記光源の状態を上書きする上書き処理と、
前記光源操作値を用いて、前記利用者情報に対する好適な光源制御値を前記学習モデルに学習させる学習処理と、
前記学習モデルを更新して保存するモデル更新処理と、
を実行するように構成されることが好ましい。
【0012】
本開示の第二の態様は、利用者情報を受け付ける処理と、
前記利用者情報に基づき学習モデルから光源制御値を選択する光源制御値選択処理と、
前記光源制御値選択処理により選択した前記光源制御値を照明器具に提供する処理と、
操作機から前記照明器具に通知された光源操作値の情報を受け付ける処理と、
前記光源操作値を用いて、前記利用者情報に対する好適な光源制御値を前記学習モデルに学習させる学習処理と、
前記学習モデルを更新して保存するモデル更新処理と、
を実行するように構成されるサーバであることが好ましい。
【0013】
本開示の第三の態様は、他の装置から光源制御値を受け付ける処理と、
操作機から光源操作値を受け付ける処理と、
前記光源制御値に基づき光源を点灯する点灯処理と、
前記光源操作値に基づき前記光源の状態を上書きする上書き処理と、
前記光源操作値を前記他の装置に送信する処理と、
を実行するように構成される照明器具であることが好ましい。
【0014】
本開示の第四の態様は、照明器具に光源操作値を指令する操作機と用いる照明制御方法であって、
サーバが利用者情報を受け付けることと、
サーバが前記利用者情報に基づき学習モデルから光源制御値を選択することと、
サーバが前記光源制御値に基づき光源を点灯させることと、
前記光源操作値が生じた場合に、サーバが当該光源操作値を用いて、前記利用者情報に対する好適な光源制御値を前記学習モデルに学習させることと、
サーバが前記学習モデルを更新して保存することと、
を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本開示の第一から第四の態様によれば、利用者情報に基づき好適な光源の状態を選択する精度を高め、不特定多数の利用者にとって快適な照明を実現する照明制御システム、サーバ、照明器具及び照明制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施の形態1に係る、照明制御システムの構成例である。
図2】本開示の実施の形態1に係る、照明制御システムの機能例を示すブロック図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る、端末装置の機能を(a)ハードウエアで実現する場合と、(b)ソフトウエアで実現する場合の構成例である。
図4】本開示の実施の形態1に係る、サーバの機能を(a)ハードウエアで実現する場合と、(b)ソフトウエアで実現する場合の構成例である。
図5】本開示の実施の形態1に係る、照明器具の機能を(a)ハードウエアで実現する場合と、(b)ソフトウエアで実現する場合の構成例である。
図6】本開示の実施の形態1に係る、端末装置が行う処理のフローチャートである。
図7】本開示の実施の形態1に係る、サーバのデータ記憶部が行う処理のフローチャートである。
図8】本開示の実施の形態1に係る、サーバのデータ記憶部が外部センサの情報に基づき自動的に光源制御値を選択する処理を含む場合のフローチャートである。
図9】本開示の実施の形態1に係る、サーバの学習装置が行う処理のフローチャートである。
図10】本開示の実施の形態1に係る、サーバの制御部及び送信部が行う処理のフローチャートである。
図11】本開示の実施の形態1に係る、照明器具の光出力制御部が行う処理のフローチャートである。
図12】本開示の実施の形態1に係る、照明器具の制御部及び送信部が行う処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1
【0018】
図1は、本開示の実施の形態1に係る、照明制御システムの構成例である。照明制御システム110において、端末装置10は、ホテルまたはカラオケなど、不特定多数の人が利用する施設の受付ロビーなどに配設される。端末装置10は、受付など施設の利用開始時に、利用者が自ら、もしくは従業員が、利用者情報を入力する装置である。端末装置10は利用者情報から利用者データ50を生成し、サーバ20へ送信する。
【0019】
利用者情報は、年齢、国籍などの項目を含む。その他の項目として、性別、季節、利用開始時間帯、利用人数などが挙げられ、多ければ多いほど、より快適な照明を提供することができる。なお、これらの項目から、個人を特定することはできない。
【0020】
サーバ20は、利用者データ50に基づき利用者にとって快適な明るさ及び色温度などの光源状態を実現する制御値(以下、光源制御値と称する)を選択する。さらに、選択した光源制御値を含む最適化データ51を生成し、利用者が使用する部屋に設置された照明器具30へと送信する。また、各部屋の操作機40により照明器具30の光源状態が変更された場合は、変更された光源状態を教師データに用いた学習を行う。
【0021】
照明器具30は光源を備え、サーバ20から送信された最適化データ51に含まれる光源制御値に基づき光源を点灯する。一方、操作機40から操作値データ52を受信した場合は、操作値データ52に基づき現在の光源の状態を上書きする。これにより、サーバ20による制御よりも、利用者が操作機40を用いて行った照明制御を優先することができる。さらに、照明器具30は、上書きした光源の状態の情報を、変更値データ53としてサーバ20に送信する。
【0022】
操作機40は、照明器具30の光源状態を変更するためのリモコン操作機または壁スイッチを指す。操作機40は、所望の明るさ及び色温度などの光源状態を実現するための操作値(以下、光源操作値と称する)を含む操作値データ52を、有線または無線通信により照明器具30に送信する。
【0023】
外部センサ100は、時計、温度計または照度計など、外的環境を測定する測定器であり、施設の中と外のどちらに設置してもよいとする。外部センサ100は、測定した時間、温度または照度などの情報を含む利用時データ101をサーバ20に送信する。
【0024】
このように、本開示の照明制御システム110においては、端末装置10において入力された利用者情報に基づき、サーバ20が光源制御値を選択する。照明器具30は、サーバ20から受信した光源制御値に基づき、光源を点灯する。また、照明制御システム110において、端末装置10は、照明器具30が設置される部屋とは別の場所に配置されている。これにより、利用者が部屋の利用を開始する前に、先回りして照明器具30を制御し、利用者にとって快適な光源の状態にしておくことができる。すなわち、利用開始時の照明が利用者に不快な印象を与える心配を払拭することができる。
【0025】
また、本開示の照明制御システム110においては、操作機40から光源操作値が指令された場合、照明器具30は、現在の光源の状態を上書きし、当該光源操作値の情報をサーバ20にフィードバックする。これにより、サーバ20に対して、利用者にとってさらに快適な光源の状態を学習させることができる。
【0026】
〈変形例〉
なお、端末装置10、サーバ20、照明器具30、操作機40および外部センサ100それぞれの間におけるデータの送受信は有線又は無線のどちらを使用してもよいとする。
【0027】
図2は、本開示の実施の形態1に係る、照明制御システムの機能例を示すブロック図である。端末装置10の入力部11は、利用者情報を入力するユーザインタフェースである。端末装置10の入力部11は、利用者情報を受け付ける処理(以下、受け付け処理と称する)を実行する。入力制御部12は利用者情報をもとに利用者データ50を生成する処理(以下、利用者データ生成処理と称する)を行う部分である。送信部13は、利用者データ50をサーバ20に送信する。
【0028】
サーバ20の利用者データ受信部21は、端末装置10の送信部13から送信された利用者データ50を受信する。利用者データ受信部21は、受信した利用者データ50をデータ記憶部22に通知する。データ記憶部22は、利用者データ50に含まれる項目ごとに好適な光源制御値を算出する学習モデル24を記憶している部分である。さらには、利用者データ50そのものも記憶している部分である。
【0029】
データ記憶部22は、利用者データ受信部21から利用者データ50の通知を受けた場合は、利用者データ50に含まれる各項目に基づき、好適な光源制御値を学習モデル24から選択する処理(以下、光源制御値選択処理と称する)を実行する。さらに、選択した光源制御値を制御部60に通知する。
【0030】
制御部60はデータ記憶部22から通知された光源制御値を含む最適化データ51を生成する処理(以下、最適化データ生成処理と称する)を行う部分である。
【0031】
サーバ20の送信部25は、最適化データ51を照明器具30に送信する。
【0032】
サーバ20の受信部26は、照明器具30から入力される変更値データ53及び外部センサ100から入力される利用時データ101を受信する。受信部26は、受信した変更値データ53及び利用時データ101を学習装置27及びデータ記憶部22に通知する。
【0033】
学習装置27のデータ解析部28は、受信部26に変更値データ53が入力された場合は、利用時データ101と併せて、これらを解析する処理(以下、解析処理と称する)を行う。解析処理は、例えば、変更値データ53を送信した照明器具30が設置された部屋を特定し、その部屋の利用者に関する利用者データ50をデータ記憶部22から参照する処理などを含む。
【0034】
学習部29は、データ解析部28が解析処理で参照した利用者データ50、及び利用時データ101が含む各項目を変数とし、これらの変数にとって好適な光源制御値を、学習モデル24に学習させる処理(以下、学習処理と称する)を実行する。学習処理においては、変更値データ53に含まれる光源操作値が教師データとして用いられる。これにより、利用者が自ら変更した光源状態を正解とする学習を実施することができる。
【0035】
学習部29は、学習処理により生成した学習モデル24により、データ記憶部22内の学習モデル24を更新して保存する処理(以下、モデル更新処理と称する)をさらに実行する。
【0036】
なお、図2においては、学習部29が学習処理を実行する際に用いる変数が例示されている。すなわち、利用者データ50、利用時期・時間データ102、及び温度・照度データ103である。
【0037】
照明器具30は、サーバ20の送信部25から送信された最適化データ51を受信する最適化データ受信部31を備える。最適化データ受信部31は、受信した最適化データ51を光出力制御部32に通知する。光出力制御部32は、最適化データ51にて指定される光源制御値となるように、光出力部33を点灯する処理(以下、点灯処理と称する)を実行する。
【0038】
また、光出力制御部32は、後述する受信部34から操作値データ52の通知を受けた場合には、操作値データ52にて指定される光源操作値となるように、光出力部33の状態を上書きする処理(以下、上書き処理と称する)を実行する。
【0039】
光出力部33は、LED(Light-Emitting Diode)もしくは蛍光灯ランプなどの発光素子を有する光源である。
【0040】
受信部34は、操作機40から入力された操作値データ52を受信する受信部である。受信部34は、受信した操作値データ52を制御部35及び光出力制御部32に通知する。制御部35は、操作値データ52が備える光源操作値を含む変更値データ53を生成する処理(以下、変更値データ生成処理と称する)を行う部分である。送信部36は変更値データ53をサーバ20に送信する。
【0041】
なお、変更値データ53は、当該変更値データ53を送信した照明器具30が設置された部屋を特定できる情報を含む。これにより、変更値データ53を受信したサーバ20において、送信元の照明器具30が設置された部屋を特定し、その部屋の利用者の利用者データ50を参照することができる。
【0042】
操作機40の入力部42は、利用者が所望の光源状態を入力する部分であり、リモコンであれば操作ボタン及び液晶のタッチパネルなどが該当し、壁スイッチであればスイッチ及びボリュームつまみなどが該当する。操作機40の送信部41は、入力部42に入力された光源状態を実現する光源操作値を含む操作値データ52を生成し、照明器具30へ送信する。
【0043】
以上説明したように、本開示の照明制御システム110においては、利用者データ50に含まれる各項目に基づき、好適な光源制御値を学習モデル24から選択する光源制御値選択処理をサーバ20が実行する。さらに、サーバ20は、照明器具30から変更値データ53が入力されるたびに、変更値データ53に含まれる光源操作値を教師データとする学習処理を行う。このことにより、サーバ20は自身が備える学習モデル24の学習精度を向上させることができる。このようにして、照明制御システム110は、利用者が快適と感じる光源の状態を選択する精度を向上させることができる。
【0044】
〈変形例〉
サーバ20のデータ記憶部22が実行する光源制御値選択処理において、利用者データ50に含まれる各項目に該当する学習モデルがない場合には、最適な光源制御値を基本モデル23から選択する処理(以下、基本選択処理と称する)を実行してもよい。ここで、基本モデル23とは、利用者データ50に含まれる項目に応じて好適な光源制御値を定めたデータであり、データ記憶部22にあらかじめ保存されているものである。基本モデル23を備えることで、照明制御システム110の稼働初期段階など、該当する学習モデル24がない場合にも、光源制御値を選択することができる。
【0045】
上述の基本選択処理との違いを明らかにするため、以降では、利用者データ50に含まれる各項目に基づき、好適な光源制御値を学習モデル24から選択する処理を、学習選択処理と称する。すなわち、光源制御値選択処理には基本選択処理と学習選択処理とが含まれる。
【0046】
また、光源制御値選択処理では、利用者データ50に含まれる各項目に限らず、他の項目に基づき好適な光源制御値を選択してもよい。例えば、外部センサ100から送信された利用時データ101に含まれる各項目に基づき、最適な光源制御値を学習モデル24から選択する処理を含んでもよい。これにより、外部センサ100で測定された利用時間、温度、照度などに応じて最適な光源制御値を選択することができる。
【0047】
また、サーバ20の学習部29が実行する学習処理は、利用時データ101は必ずしも使用しなくともよく、外部センサ100が無い場合などは、変更値データ53のみから学習処理を行ってもよい。
【0048】
また、照明器具30が生成する変更値データ53は、照明器具30が当該変更値データ53を生成するきっかけとなった操作値データ52により上書き処理を実行した時間帯の情報を含んでもよいとする。これにより、サーバ20において、上書き処理が実行された時間帯に基づく学習処理を行うことができる。
【0049】
例えば、利用者が施設の利用を開始してから間もなくして照明器具30が上書き処理を実行した場合、サーバ20は、上書き処理には利用者の好みが影響していると判断する。学習処理においては、変更値データ53に含まれる照明操作値が、利用者データ50に含まれる各項目の変数と強い相関があるものとして、学習を行う。
【0050】
一方、利用者の施設利用開始から一定時間経過後に照明器具30が上書き処理を実行した場合、サーバ20は、上書き処理には時間帯、温度、照度などの外的環境が影響していると判断する。そのため学習処理においては、照明操作値が利用時データ101に含まれる各項目の変数と強い相関があるものとして学習を行う。
【0051】
図3は、本開示の実施の形態1に係る、端末装置の機能を(a)ハードウエアで実現する場合と、(b)ソフトウエアで実現する場合の構成例である。図2で説明した入力部11はディスプレイ211であり、送信部13は送信装置213である。さらに、入力制御部12の機能は、処理回路によって実現される。すなわち、端末装置10は、利用者データ生成処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、図3(a)のように専用のハードウエアによる処理回路212を用いて実施してもよい。もしくは、図3(b)のようにメモリ215に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、プロセッサともいう)214を用いてソフトウエアにより実施してもよい。
【0052】
図3(a)のように処理回路が専用のハードウエアである場合は、処理回路212は、例えば単一回路、復号回路、プログラム化したプロセッサー、並列プログラム化したプロセッサー、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0053】
図3(b)のように処理回路がCPU214である場合は、入力制御部12の機能は、ソフトウエア、ファームウエア、またはこれらの組み合わせにより実現される。ソフトウエアまたはファームウエアはプログラムとして記述され、メモリ215に格納される。処理回路は、メモリ215に記録されたプログラムを読みだして実行することにより各部の機能を実現する。すなわち、端末装置10は、処理回路により実行されるとき、利用者データ生成処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ215を備える。
【0054】
これらのプログラムは、入力制御部12の手順または方法をコンピュータに実行させるためのものであるともいえる。ここで、メモリ215とは、例えばRAM、ROM、フラッシュメモリなどの揮発性または不揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、DVDなどが該当する。
【0055】
図4は、本開示の実施の形態1に係る、サーバの機能を(a)ハードウエアで実現する場合と、(b)ソフトウエアで実現する場合の構成例である。図2で説明した利用者データ受信部21は受信装置221であり、送信部25は送信装置225である。また、受信部26は受信装置226である。さらに、データ記憶部22、学習装置27、及び制御部60の機能は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、またはこれらの組み合わせによる処理回路によって実現される。
【0056】
すなわち、サーバ20は、データ記憶部22による、光源制御値選択処理及び基本選択処理を実行する機能、及び選択した光源制御値を制御部60に通知する機能を実行するため処理回路を備える。また、制御部60による、最適化データ生成処理を実行するための処理回路を備える。
【0057】
さらには、学習装置27内のデータ解析部28による、解析処理を実行するため処理回路を備える。さらに、学習装置27内の学習部29による学習処理、及びモデル更新処理を実行するため処理回路を備える。ただし、各部の機能をそれぞれ処理回路で実現してもよく、各部の機能をまとめて処理回路で実現してもよい。
【0058】
処理回路は、図4(a)のように専用のハードウエアによる処理回路222を用いて実施してもよい。もしくは、図4(b)のようにメモリ224に格納されるプログラムを実行するCPU223を用いてソフトウエアにより実施してもよい。さらには、一部を専用のハードウエアで実施し、一部をソフトウエアまたはファームウエアで実施するようにしてもよい。
【0059】
なお、処理回路222の説明は図3の処理回路212と同様であるので省略する。さらに、CPU223の説明も、図3のCPU214と同様である。また、メモリ224の説明も、図3のメモリ215と同様である。
【0060】
図5は、本開示の実施の形態1に係る、照明器具の機能を(a)ハードウエアで実現する場合と、(b)ソフトウエアで実現する場合の構成例である。図2で説明した最適化データ受信部31は受信装置231であり、光出力部33は光源233である。また、受信部34は受信装置234である。また、送信部36は送信装置236である。さらに、光出力制御部32及び制御部35の機能は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、またはこれらの組み合わせによる処理回路によって実現される。
【0061】
すなわち、照明器具30は、光出力制御部32による、点灯処理及び上書き処理を実行するための処理回路、及び制御部35による変更値データ生成処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、図5(a)のように専用のハードウエアによる処理回路232を用いて実施してもよい。もしくは、図5(b)のようにメモリ238に格納されるプログラムを実行するCPU237を用いてソフトウエアにより実施してもよい。ただし、各部の機能をそれぞれ処理回路で実現してもよく、各部の機能をまとめて処理回路で実現してもよい。
【0062】
なお、処理回路232の説明は図3の処理回路212と同様であるので省略する。さらに、CPU237の説明も、図3のCPU214と同様である。また、メモリ238の説明も、図3のメモリ215と同様である。
【0063】
以上図3から5を用いて説明したように、本開示の実施の形態1に係る、端末装置10、サーバ20、照明器具30の機能はハードウエア、ソフトウエア、またはこれらの組み合わせによって実現することができる。
【0064】
図6は、本開示の実施の形態1に係る、端末装置が行う処理のフローチャートである。まず、端末装置10が処理を開始する(ステップS310)。つぎに、入力部11が受け付け処理を実行する(ステップS311)。つぎに、入力制御部12が利用者データ生成処理を実行する(ステップS312)。さらに、送信部13が利用者データ50をサーバ20に送信する(ステップS313)。最後に処理を終了する(ステップS314)。
【0065】
このように、端末装置10は入力部11に入力された利用者情報をもとに利用者データ50を生成し、サーバ20への送信を行う。
【0066】
図7は、本開示の実施の形態1に係る、サーバのデータ記憶部が行う処理のフローチャートである。まず、データ記憶部22が処理を開始する(ステップS320)。つぎに、利用者データ受信部21から利用者データ50が通知されたかを判定する処理を行う(ステップS321)。通知が認められた場合、光源制御値選択処理を実行する(ステップS322)。さらに、選択した光源制御値を制御部60に通知する(ステップS323)。最後に処理を終了する(ステップS324)。
【0067】
ここで、ステップS322の光源制御値選択処理は、複数のステップをさらに含む。そこではまず、利用者データ50に含まれる項目に該当する学習モデル24があるか否かを判定する処理を行う(ステップS325)。該当する学習モデル24がある場合、学習選択処理を実行する(ステップS326)。一方、該当する学習モデル24がない場合は、基本選択処理を実行する(ステップS327)。
【0068】
以上説明したように、データ記憶部22は、利用者データ50が通知された場合に光源制御値選択処理を実行することができる。
【0069】
〈変形例〉
なお、サーバ20のデータ記憶部22は、利用者データ50が通知されなくとも、外部センサ100で測定された時間帯、温度または照度などの情報の更新に応じて自動的に光源制御値選択処理を行って、光源制御値を選択してもよい。これにより、外部センサ100が測定したデータの更新に基づいて、自動的に光源制御値を変更することが可能となる。なお、この場合は、急激に照明器具30の光源状態を変化させるのではなく、徐々に変えていくことが望ましい。
【0070】
図8は、本開示の実施の形態1に係る、サーバのデータ記憶部が外部センサの情報に基づき自動的に光源制御値を選択する処理を含む場合のフローチャートである。図8のステップS320からステップS324までは図7と同様である。しかしながら、ステップS321において通知が認められない場合、受信部26からの利用時データ101の通知が更新されたかを判定する処理をさらに行う(ステップS328)。更新が認められる場合は、ステップS322に進み、光源制御値選択処理を実行する。
【0071】
このように、データ記憶部22は利用時データ101の更新に応じて光源制御値選択処理を実行する。これにより、外部センサ100が測定するデータの更新に基づいて、自動的に光源制御値を変更することができる。
【0072】
なお、図10のステップS328においては、外部センサ100から送信される利用時データ101が更新されたか否かを判定した。しかしながら、時間に応じて自動的に光源制御値を選択する場合等においては、利用時データ101を使用せずにサーバ20自身が内蔵する時計のデータを使用してもよい。
【0073】
図9は、本開示の実施の形態1に係る、サーバの学習装置が行う処理のフローチャートである。まず、学習装置27が処理を開始する(ステップS330)。つぎに、受信部26から変更値データ53が通知されたかを判定する処理を行う(ステップS331)。通知が認められた場合、学習装置27のデータ解析部28が、解析処理を実行する(ステップS332)。つぎに、学習部29が、学習処理を実行する(ステップS333)。さらに、学習部29が、モデル更新処理を実行する(ステップS334)。最後に処理を終了する(ステップS335)。
【0074】
このように、学習装置27は変更値データ53が通知された場合に学習処理とモデル更新処理を実行し、学習モデル24を更新することができる。
【0075】
図10は、本開示の実施の形態1に係る、サーバの制御部及び送信部が行う処理のフローチャートである。まず、制御部60が処理を開始する(ステップS340)。つぎに、データ記憶部22から光源制御値が通知されたかを判定する処理を行う(ステップS341)。通知が認められた場合、制御部60が最適化データ生成処理を実行する(ステップS342)。さらに、最適化データ51を送信部25に通知する(ステップS343)。次に送信部25が照明器具30に最適化データ51を提供する(ステップS344)。最後に処理を終了する(ステップS345)。
【0076】
このように、サーバ20は、光源制御値を含む最適化データ51を照明器具30へと提供することができる。
【0077】
図11は、本開示の実施の形態1に係る、照明器具の光出力制御部が行う処理のフローチャートである。まず、光出力制御部32が処理を開始する(ステップS350)。つぎに、受信部34から操作値データ52が通知されたかを判定する処理を行う(ステップS351)。通知が認められた場合、上書き処理を実行する(ステップS352)。一方、ステップS351において通知が認められない場合は、最適化データ受信部31から最適化データ51が通知されたかを判定する処理をさらに行う(ステップS353)。通知が認められた場合、点灯処理を実行する(ステップS354)。最後に処理を終了する(ステップS355)。
【0078】
このように、光出力制御部32は点灯処理よりも上書き処理を優先して実行することができる。
【0079】
図12は、本開示の実施の形態1に係る、照明器具の制御部及び送信部が行う処理のフローチャートである。まず、制御部35が処理を開始する(ステップS360)。つぎに、受信部34から操作値データ52が通知されたかを判定する処理を行う(ステップS361)。通知が認められた場合、制御部35が変更値データ生成処理を実行する(ステップS362)。さらに、変更値データ53を送信部36に通知する(ステップS363)。次に送信部36がサーバ20に変更値データ53を送信する(ステップS364)。最後に処理を終了する(ステップS365)。
【0080】
以上説明したように、照明器具30は光源操作値を含む変更値データ53をサーバ20へと送信することができる。
【0081】
以上説明したように、本開示の第一から第四の態様によれば、利用者情報に基づき好適な光源の状態を選択する精度を高め、不特定多数の利用者にとって快適な照明を実現する照明制御システム110、サーバ20、照明器具30及び照明制御方法を提供することができる。
【0082】
〈変形例〉
なお、本開示のサーバ20は、データ記憶部22に格納した学習モデル24および利用者データ50をテキストデータなどで出力する機能を備えていてもよい。このことにより、出力したテキストデータを別の装置またはシステムなどで利用することが可能となる。ただし、学習モデル24及び利用者データ50は個人を特定できるものではない。
【符号の説明】
【0083】
端末装置10;入力部11;入力制御部12;送信部13;サーバ20;利用者データ受信部21;データ記憶部22;基本モデル23;学習モデル24;送信部25;受信部26;学習装置27;データ解析部28;学習部29;照明器具30;最適化データ受信部31;光出力制御部32;光出力部33;受信部34;制御部35;送信部36;操作機40;送信部41;入力部42;利用者データ50;最適化データ51;操作値データ52;変更値データ53;外部センサ100;利用時データ101;ディスプレイ211;処理回路212;送信装置213;CPU214;メモリ215;受信装置221;処理回路222;CPU223;メモリ224;送信装置225;受信装置226;受信装置231;処理回路232;光源233;受信装置234;送信装置236;CPU237;メモリ238
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12