(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053811
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】商品販売促進システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/015 20230101AFI20240409BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160249
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】506011205
【氏名又は名称】株式会社エセンシアジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】永野 隆治
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB07
5L030BB08
5L049BB07
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】ECサイトB1の運営者(商品販売者B)および実店舗C1の運営者(販売支援者C)のそれぞれにとってメリットの得られる手段を提供すること。
【解決手段】商品販売者B、販売支援者Cおよび商品購入者Dとの間で使用される、商品販売促進システムAであって、ID発行部10、紐付け部20、および対価設定部30を少なくとも具備する。ID発行部10は、販売支援者Cごとに紐付けID11を発行する機能を有する。紐付け部20は、商品販売者BのECサイトにおいて販売支援者Cから紐付けID11の配布を受けた商品購入者Dによる紐付けID11の入力を受けて、商品購入者Dに対し既に販売支援者Cが紐付けられていない場合に限り、商品購入者Dと紐付けID11を配布した販売支援者Cとを紐付ける処理を行う機能を有する。対価設定部30は、販売支援者Cが紐付けられている商品購入者Dが、ECサイトB1で商品Eの購入を行った際に、紐付けられている販売支援者Cに対し、支払う対価Fを設定する機能を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品販売者、販売支援者および商品購入者との間で使用される、商品販売促進システムであって、
ID発行部、紐付け部、および対価設定部を少なくとも具備し、
前記ID発行部は、
販売支援者ごとに、紐付けIDを発行する機能を有し、
前記紐付け部は、
商品販売者のECサイトにおいて、販売支援者から紐付けIDの配布を受けた商品購入者による、前記紐付けIDの入力を受けて、前記商品購入者に対し既に販売支援者が紐付けられていない場合に限り、前記商品購入者と前記紐付けIDを配布した販売支援者とを紐付ける処理を行う機能を有し、
前記対価設定部は、
販売支援者が紐付けられている商品購入者が、前記ECサイトで商品の購入を行った際に、前記紐付けられている販売支援者に対し、支払う対価を設定する機能を有する、
ことを特徴とする、
商品販売促進システム。
【請求項2】
前記対価設定部による対価の額が、実店舗で前記商品を販売する際の粗利益の額と同一以上に設定されていることを特徴とする、
請求項1に記載の商品販売促進システム。
【請求項3】
前記対価設定部は、
ECサイトでの商品の購入金額に対し、予め定めてある基本乗数と、前記商品販売者が任意に設定可能な特別乗数を、それぞれ掛け合わせた値を、前記対価とすることを特徴とする、
請求項1に記載の商品販売促進システム。
【請求項4】
ログイン情報発行部を更に具備し、
前記ログイン情報発行部は、
前記紐付け部によって、前記商品購入者と前記販売支援者とを紐付けた際に、前記商品購入者に対し、前記ECサイトへのログイン情報を発行する機能を有することを特徴とする、
請求項1に記載の商品販売促進システム。
【請求項5】
実績提供部を更に具備し、
前記実績提供部は、
販売支援者が操作する端末に対し、前記販売支援者に紐付けられた商品購入者の購入実績を確認可能な画面を表示する機能を有することを特徴とする、
請求項1に記載の商品販売促進システム。
【請求項6】
前記実績提供部は、
販売支援者に紐付けられた商品購入者のうち、休眠状態にある商品購入者を確認可能な画面を表示する機能をさらに有することを特徴とする、
請求項5に記載の商品販売促進システム。
【請求項7】
支援ツール提供部を更に具備し、
前記支援ツール提供部は、
販売支援者が操作する端末に対し、商品の販促に係る支援ツールの提供を受けることが可能な画面を表示する機能を有することを特徴とする、
請求項1に記載の商品販売促進システム。
【請求項8】
前記商品が化粧品であり、
前記販売支援者が、実店舗の化粧品専門店の運営者であることを特徴とする、
請求項1乃至7のうち何れか1項に記載の商品販売促進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品販売者と販売支援者との間で使用される、商品販売促進システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及や、COVID-19の感染予防の観点などから、消費者(以下「購入者」または「商品購入者」ともいう。)は、近隣の実店舗で商品を購入することなく、ECサイト(インターネット上に開設した商品販売サイト)から、商品を購入(以下「ネット通販」ともいう。)する場合がある。
近年では、ネット通販で商品を購入することを前提とした上で、商品の実物を近隣の実店舗で見た上で購入を検討したい、との消費者行動(ショールーミング)も定着しており、実店舗を運営する経営者達は、非特許文献1,2等に記載されるショールーミング対策に追われている、という実情がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】https://squareup.com/jp/ja/townsquare/taking-measures-to-solve-showrooming-problems 「店舗経営者が知っておきたい、ショールーミング対策」
【非特許文献2】https://alive-web.co.jp/blog/showrooming-surges/ 「ショールーミング急増中!消費者が求める実店舗の役割とは?!」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した非特許文献1,2では、消費者に対し、ECサイトでの購入では得られない体験(専門知識を有する者による接客、商品の試供など)や、価格上のメリット(来店ポイントの付与、メンテナンスサービスなど)を提供することで、実店舗への来店や購入を促すことが提案されているものの、これらは、ECサイトから消費者を取り返す(奪う)ことに主眼が置かれており、あくまで、実店舗とECサイトとの共存を目指す発想では無い。
なお、非特許文献1,2には、O2O(「Online to Offline」の略。オンラインからオフラインである店舗へ来店を促すマーケティング施策のこと)についても開示されているものの、本施策の実施は、実店舗とECサイトの両方を運用している法人に限られるため、実店舗のみを有する法人や、ECサイトのみを有する法人では採用することのできない政策であった。
【0005】
よって、本発明は、ECサイトの運営者および実店舗の運営者のそれぞれにメリットが得られる手段を提供することを目的の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべくなされた本願発明は、商品販売者、販売支援者および商品購入者との間で使用される、商品販売促進システムであって、ID発行部、紐付け部、および対価設定部を少なくとも具備し、前記ID発行部は、販売支援者ごとに、紐付けIDを発行する機能を有し、前記紐付け部は、商品販売者のECサイトにおいて、販売支援者から紐付けIDの配布を受けた商品購入者による、前記紐付けIDの入力を受けて、前記商品購入者に対し既に販売支援者が紐付けられていない場合に限り、前記商品購入者と前記紐付けIDを配布した販売支援者とを紐付ける処理を行う機能を有し、前記対価設定部は、販売支援者が紐付けられている商品購入者が、前記ECサイトで商品の購入を行った際に、前記紐付けられている販売支援者に対し、支払う対価を設定する機能を有することを特徴とする。
また、本願発明は、前記発明において、前記対価設定部による対価の額を、実店舗で前記商品を販売する際の粗利益の額と同一以上に設定するよう構成することができる。
また、本願発明は、前記発明において、前記対価設定部が、ECサイトでの商品の購入金額に対し、予め定めてある基本乗数と、前記商品販売者が任意に設定可能な特別乗数を、それぞれ掛け合わせた値を、前記対価とするよう構成することができる。
また、本願発明は、前記発明において、ログイン情報発行部を更に具備し、前記ログイン情報発行部が、前記紐付け部によって、前記商品購入者と前記販売支援者とを紐付けた際に、前記商品購入者に対し、前記ECサイトへのログイン情報を発行する機能を有するよう構成することができる。
また、本願発明は、前記発明において、実績提供部を更に具備し、前記実績提供部が、販売支援者が操作する端末に対し、前記販売支援者に紐付けられた商品購入者の購入実績を確認可能な画面を表示する機能を有するよう構成することができる。
また、本願発明は、前記発明において、前記実績提供部が、販売支援者に紐付けられた商品購入者のうち、休眠状態にある商品購入者を確認可能な画面を表示する機能をさらに有するよう構成することができる。
また、本願発明は、前記発明において、支援ツール提供部を更に具備し、
前記支援ツール提供部が、販売支援者が操作する端末に対し、商品の販促に係る支援ツールの提供を受けることが可能な画面を表示する機能を有するよう構成することができる。
また、本願発明は、前記発明において、前記商品を化粧品とし、前記販売支援者を実店舗の化粧品専門店の運営者とするよう構成することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を奏する。
【0008】
<1>実店舗運営者側からの観点
(1)販売支援者に対し、自身を紐付けた商品購入者によるECサイトでの販売実績に基づいて対価の支払いを受けることが可能となるため、実店舗での販売以外での利益の獲得が見込めることになる。
(2)一人の商品購入者に対し、紐付け可能な販売支援者が一つに限られるため、購入意欲の高い商品購入者をECサイトに誘導できると、より高い利益の獲得が見込めることになる。
(3)販売支援者が運営する実店舗での売り上げにこだわる必要がなく、対価の設定次第では、実店舗で同一商品を販売した場合の利益と遜色のない利益を得ることもできるため、商品購入者に対し、ECサイトでの商品購入の案内・誘導を躊躇なく行うことができる。
(4)休眠状態にある商品購入者への働きかけを行うことで、商品購入者の購入意欲を改めて惹起させることができる。
【0009】
<2>ECサイト運営者側からの観点
(1)ECサイトでの商品購入に対し、販売支援者に対価を支払うことで、販売支援者から商品購入者に対するECサイトへの案内・誘導の協力が得られやすく、新規ブランドの立ち上げ時などでも、知名度の早期獲得が期待できる。
(2)販売支援者にとって、購入意欲の高い商品購入者をECサイトに案内・誘導する動機付けが働くため、ECサイトでの売り上げのさらなる向上が見込めることになる。
(3)直営の実店舗を設けずとも、販売支援者の協力によって幅広い販促活動が可能となる。
(4)販売支援者が、商品販売者の商品を実店舗で取り扱うことも可能であるため、あたかも直営の実店舗を設けたと同等の販売実績の獲得も期待できる。
【0010】
<3>その他
(1)実店舗側とECサイト側との間で、商品購入者の奪い合いになるといった事態を避けられるため、双方の長所をうまく取り入れた販売戦略をたて易くなる。
(2)商品購入者に対し、販売支援者によるECサイトへの案内・誘導が行われることから、商品購入者にとって、販売支援者が運営する実店舗でのショールーミング行為に対する罪悪感が軽減されるため、二回目以降も実店舗に気軽に足を運びやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る商品販売促進システムの全体構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例0013】
<1>全体構成(
図1)
本発明に係る商品販売促進システムAは、商品販売者B、販売支援者Cおよび商品購入者Dの間で使用されるシステムである。
【0014】
<1.1>商品販売者(
図1)
本発明において「商品販売者B」とは、商品Eの販売に関するECサイトB1を運営して、商品Eをネット販売する者であり、商品メーカー、卸売業者、小売業者の何れをも想定している。
【0015】
<1.2>販売支援者(
図1)
本発明において、「販売支援者C」とは、「商品販売者B」が取り扱う商品Eの販売を支援する者であり、当該商品Eや、その他の関連商品を取り扱っている実店舗C1の運営会社などの法人や、インフルエンサーなどの個人などを想定している。
【0016】
なお、本発明において、「実店舗C1」とは、現実に実在する店舗を指すものであり、店舗内に実際に商品Eを並べているか否かを問わず、店舗に訪れた客(商品購入者D)に対し、店員(販売支援者C)が対面しながら商品説明や購入支援を行うことが可能な店舗も含まれる。
【0017】
<1.3>商品購入者(
図1)
本発明において、「商品購入者D」とは、商品Eの購入を希望または予定している者である。
【0018】
<1.4>商品(
図1)
本発明において、「商品E」の種類性は特段限定せず、電化製品、化粧品、飲食料品、贈答品、季節商品など、あらゆる種類のものを採用することができる。
なお、
図1では、商品Eとして、化粧水やスキンケア用品、口紅等の化粧品を想定している。化粧品は、他の商品と比較して、比較的原価率が低く、販促費や人件費の割合が多いことから、本発明に係る商品販売促進システムAにおいて、後述する対価の額を比較的大きく設定しやすい点で、メリットの大きい商材といえる。
【0019】
<1.5>システム構成(
図1)
本実施例に係る商品販売促進システムAは、ID発行部10、紐付け部20および対価設定部30を少なくとも具備し、さらに、ログイン情報発行部40、実績提供部50および支援ツール提供部60を更に具備する。
各部は、ハードウェアおよびソフトウェアを任意に組み合わせて実現することができるほか、各部を個別の装置とする構成や、複数の各部を一つの装置に組み込んで一体化した構成等を採用することができる。
以下、各部の詳細について説明する。
【0020】
<2>ID発行部(
図1,
図2)
ID発行部10は、各販売支援者Cに対し、紐付けID11を発行する機能を有する。
データベースに記録されている販売支援者情報100(
図2)には、販売支援者C毎に当該販売支援者Cを識別するためのID(紐付けID11)が付与されている。
この紐付けID11は、本発明に係るシステム内で使用される販売支援者Cの識別番号とは別に用意してもよいし、当該識別番号を流用する形であっても良い。
【0021】
販売支援者C毎に発行された紐付けID11は、対象の販売支援者Cに、メール等によって通知したり、後述する、商品販売者Bが用意する販売支援者Cの専用ページから確認したりすることができる。
【0022】
なお、本発明において、紐付けID11の構成は、当該紐付けID11の番号をそのまま表示する形に限られず、商品購入者DがECサイトB1にアクセスするためのURLに紐付けID11を埋め込んだものや、当該紐付けID11を埋め込んだURL情報を取得可能な二次元コード等が含まれる。
【0023】
<2.1>紐付けIDの配布例
紐付けID11は、販売支援者Cから、実店舗C1に来訪した商品購入者Dや、販売支援者Cが運営するホームページなどから不特定多数の商品購入者Dに配布することができる。
紐付けID11の配布例としては、紐付けID11を印刷してあるカードを手渡しする方法や、紐付けID11を電子画面上で表示可能なメールを送信する方法など、種々の方法を採用することができる。
商品購入者Dが配布を受けた紐付けID11は、商品販売者BがECサイトB1にてユーザー登録または商品購入を行う際の入力情報として使用される(
図1)。
【0024】
<3>紐付け部(
図1,
図3,
図4)
紐付け部20は、商品販売者Bが運営するECサイトB1において、商品購入者Dと販売支援者Cとを紐付けるための機能を有する。
より詳細には、商品販売者Bが運営するECサイトB1では、販売支援者Cから紐付けID11の配布を受けた商品購入者Dによる紐付けID11の入力を受け付け、商品購入者Dに対し既に販売支援者Cが紐付けられていない場合に限り、商品購入者Dと販売支援者Cとを紐付ける処理を行う機能を有する。
【0025】
<3.1>紐付け処理の手順
販売支援者Cから紐付けID11の提供を受けた商品購入者Dは、商品Eを購入したい場合や、将来的な購入のために事前にユーザー登録を進めておきたい場合に、商品販売者Bが運営するECサイトB1にアクセスすることになる。
以下、紐付け処理の手順例について説明する。
【0026】
<3.1.1>手動入力(
図3)
例えば、商品Eの購入を伴わない場合には、
図3に示したユーザー登録画面200において、商品購入者Dの氏名や連絡先(住所、電話番号、メールアドレスなど)の入力欄とともに、紐付けID入力欄210を設けておき、商品購入者Dによる各欄の入力を受け付けて、ユーザー登録とともに紐付け処理が行われるよう構成することができる。
また、商品Eの購入を伴う場合には、商品Eの購入画面等に、前記紐付けID入力欄210を設けておき、商品Eの購入と同時に、ユーザー登録および紐付け処理が行われるよう構成してもよい(図示せず)。
【0027】
<3.1.2>自動入力式(図示せず)
その他、商品購入者Dが、紐付けID11が埋め込まれているURLからECサイトにアクセスした際には、当該アクセス行為によって、商品購入者Dによる紐付けID11が自動的に入力され、前記<3.1.1>で説明した紐付けID11の手動入力を省略することもできる。
【0028】
<3.2>紐付け処理後のイメージ
ユーザー登録完了後、データベース上に記録される商品購入者情報300(
図4)では、商品購入者Dごとに紐付けID11が割り当てられており、前記した
図2に示す販売支援者情報100と組み合わせることで、ある商品購入者Dに対し、紐付けられている販売支援者Cを把握することができる。
【0029】
<3.3>紐付け処理の例外
なお、本発明では、一人の商品購入者Dに対し、複数の販売支援者Cを紐付けしないものとし、例えば、既に販売支援者Cが紐付けられている商品購入者Dが、新たに異なる販売支援者Cを紐付けようとした場合には、エラーメッセージを表示するものとする。
これは、商品購入者Dに対し、ECサイトB1での紐付け処理まで最初に誘導した販売支援者Cに、大きなメリット・インセンティブを与えるためである。
商品購入者Dに対し既に販売支援者Cが紐付けられているか否かを確認するには、商品購入者Dが入力する電話番号やメールアドレスが、既に
図4に示した商品購入者D情報に登録されているかどうかを確認する方法を採用することができる。
【0030】
<4>対価設定部(
図1)
対価設定部30は、販売支援者Cが紐付けられている商品購入者Dが、ECサイトB1で商品Eの購入を行った際に、前記紐付けられている販売支援者Cに対し、支払う対価Fを設定する機能を有する。
【0031】
<4.1>対価の計算例
本発明において、対価Fの計算方法は特段限定しないが、例えば、以下の方法を採用することができる。
(1)基本乗数型
ECサイトB1での商品Eの購入金額に対し、予め定めてある基本乗数(例:0.1~0.3など)を掛け合わせた額を最終の対価額とするもの。
(2)基本乗数+特別乗数追加型
前記(1)で説明した基本乗数を掛け合わせた額に対し、商品販売者Bがキャンペーン期間等に特別に設定した特別乗数(例:1.1~1.2など)を掛け合わせた額を最終の対価額とするもの。
【0032】
<4.2>対価の目安
販売支援者Cに支払う対価Fの額の目安は、販売支援者Cが運営する実店舗C1で、同じ商品Eを販売する際の粗利益(売上高-売上原価)の額と同一以上に設定しておくことが好ましい。
上記設定とすることで、販売支援者Cから見れば、実店舗C1で同一商品を販売した場合の利益と遜色のない対価を得ることができるため、ECサイトB1での商品購入の案内を躊躇なく行うことができる。
また、実店舗C1で抱える商品在庫を持たない、または極力抑えた形で営業活動を実施することができる点でも有益である。
【0033】
<4.3>対価の支払い例
本発明において、設定した対価Fの支払い方法は特段限定するものではなく、例えば、
図2に示した販売支援者情報100に記載の口座番号に係る口座に振り込むなどの処理を行えばよい。
【0034】
<5>ログイン情報発行部(
図1,
図4)
ログイン情報発行部40は、紐付け部20によって、商品購入者Dと販売支援者Cとを紐付けた際に、商品購入者Dに対し、ECサイトB1へのログイン情報を発行する機能を有する。
この「ログイン情報」は、主に、ログインIDと、パスワードで構成され、
図4に示す商品購入者情報300の一部として記録される。
ログインIDは、商品購入者Dのメールアドレスや、商品購入者Dが任意で設定、またはシステム側で自動生成したユーザー名などを用いることができる。
パスワードは、商品購入者Dが任意で設定したものなどを用いることができる。
ログイン情報の発行後は、商品購入者Dは、このログイン情報を用いてECサイトB1にログインすることで、その後の購入実績に基づく対価Fの設定が円滑に行われる。
【0035】
<6>実績提供部(
図1,
図5)
実績提供部50は、販売支援者Cが操作する端末に対し、販売支援者Cに紐付けられた商品購入者Dの購入実績を確認可能な画面(実績確認画面400)を表示する機能を有する。
ECサイトB1には、販売支援者Cの専用ページも用意されており、販売支援者Cが自身のログイン情報を用いてログインすることにより、自身が配布した紐付けID11によって紐付けられた商品購入者Dの購入実績を表示する、実績確認画面400を閲覧することができる。
販売支援者Cに対するログイン情報は、
図2に示す販売支援者情報100の一部として販売支援者Cごとに記録されているログインIDとパスワードを用いることができる。
【0036】
<6.1>購入実績の表示(
図5)
図5は、実績確認画面のイメージ図である。
図5に示すように、実績確認画面400では、購入者、購入日、購入品名、購入個数、購入金額、対価金額などの実績情報を示す、実績表示欄410が用意されている。
販売支援者Cは、実績確認画面400を閲覧することで、商品の購入傾向を分析したり、得られる対価の額を確認したりすることができる。
また、実績情報は、csvファイルなどの表形式データで販売支援者Cが使用する端末にダウンロードすることもできる。
【0037】
<6.2>休眠顧客の表示(
図6)
また、実績提供部50では、前記した実績確認画面400とは別に、
図6に示すように、販売支援者Cに紐付けられた商品購入者Dのうち、ECサイトB1での購入実績の無い者や、過去の購入から一定期間以上経過した者など(以下「休眠顧客」ともいう。)の休眠顧客情報を示す画面(休眠状況確認画面500)を表示する機能をさらに設けてもよい。
当該機能を有することにより、休眠顧客を販売支援者Cで容易に把握することにより、販売支援者Cから再度ECサイトB1での商品販売を促す連絡を送ったり、購入した商品Eへの不満や要望などをヒアリングするなどのフォローアップを行ったりすることができる。
また、休眠顧客情報は、実績情報と同様、csvファイルなどの表形式データで販売支援者Cが使用する端末にダウンロードすることもできる。
【0038】
<7>支援ツール提供部60(
図1)
支援ツール提供部60は、商品販売者Bが操作する端末に対し、商品Eの販促に係る支援ツールの提供を受けることが可能な画面を表示する機能を有する。
ECサイトB1に用意された販売支援者C専用のページには、別途支援ツール提供画面(図示せず)のページを設けておき、当該ページから、販促用の支援ツール(ECサイトB1上の特設サイトのURL、商品Eの写真や動画などの宣材データ、販売マニュアルの閲覧、商品Eのサンプルやノベルティなどの注文)のサービスの提供を、商品販売者Bから受けることができる。
【0039】
<8>その他(図示せず)
その他、本発明に係る商品販売促進システムAでは、販売支援者C専用のページとして、販売支援者Cの紐付けID11を確認可能な画面や、販売支援者Cが運営する実店舗C1で直接商品購入者Dに販売する商品の注文などを可能とするページなどを用意してもよい。
【0040】
<9>使用イメージ(
図1)
再度、主に
図1を参照しながら、本発明に係る商品販売促進システムAの使用イメージについて説明する。
【0041】
(1)紐付けIDの発行と配布(
図1,
図2)
本システムを利用する販売支援者Cには、当該販売支援者Cを識別するためのID(紐付けID11)があらかじめ発行されている(
図2)。
販売支援者Cは、自身が運営する実店舗C1に来訪した商品購入者D(顧客)に対し、商品販売者Bが取り扱う商品を紹介しつつ、商品販売者Bが運営するECサイトB1で、紹介した商品Eの購入が可能であることを説明し、ECサイトB1のURLや、当該URLを埋め込んだ二次元コード、前記した紐付けID11が付されたカードやメールによって、商品購入者Dに対し、紐付けID11の配布を行う。
このとき、商品購入者Dに配布されるECサイトB1のURLには、販売支援者Cとの紐付けがされていない商品購入者Dにのみ購入が可能な特別セットなどを販売する特設ページのURLや、ユーザー登録用のページのURLなどを用意してもよい。
【0042】
(2)紐付けIDの登録と紐付け作業(
図1,
図3,
図4)
紐付けID11の配布を受けた商品購入者Dは、商品販売者Bが運営するECサイトB1にアクセスし、ユーザー登録(
図3)または商品Eの購入等(以下「ユーザー登録等」)を試みる。
このとき、商品購入者Dから受け付けた入力情報の中に、販売支援者Cから配布を受けた紐付けID11を含めておくことで、商品販売者Bが有するデータベース上で、販売支援者Cと商品購入者Dとが紐付けられることになる(
図2,
図4)。
【0043】
(3)商品の購入および対価の支払い(
図1,図)
販売支援者Cの紐付けが完了している商品購入者Dが、商品販売者Bが運営するECサイトB1上で商品Eの購入を行った場合、販売支援者Cに対して、支払う対価Fを算出し、商品販売者B側から、適宜のタイミングで販売支援者Cの口座に対価Fを振り込む。
【0044】
<10>まとめ
このように、本発明に係る商品販売促進システムAによれば、販売支援者Cに対し、自身を紐付けた商品購入者DによるECサイトB1での商品Eの販売実績に基づいて対価Fの支払いを受けることが可能となるため、実店舗C1での販売以外での利益の獲得が見込めることになる。