(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053813
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】流量制御装置、気化供給装置および流量制御装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G05D 7/06 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160251
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】日高 敦志
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 正明
(72)【発明者】
【氏名】西野 功二
(72)【発明者】
【氏名】池田 信一
【テーマコード(参考)】
5H307
【Fターム(参考)】
5H307AA02
5H307BB01
5H307DD17
5H307EE02
5H307FF03
5H307FF13
5H307FF15
(57)【要約】
【課題】 高温ガスであってもリークを生じさせることなく広い圧力範囲で精度よく流量制御を行うことが可能な圧力式の流量制御装置を提供する。
【解決手段】
流量制御装置20は、コントロール弁22と、コントロール弁下流側の第1圧力センサ24と、第1圧力センサ下流側の絞り部28と、絞り部下流側の第2圧力センサ26と、コントロール弁、第1圧力センサを担持する第1流路ブロックBL1と、第2圧力センサを担持する第2流路ブロックBL2とを備え、第1流路ブロックと第2流路ブロックとの接続部にガスケット部材が挟持され、第1流路ブロックに対面する第1穴部分H1とより大きい断面積を有し外側に延びる第2穴部分H2とを含む接続穴Hが第2流路ブロックに形成され、第1穴部分H1の長さLaが、第1、第2流路ブロック接続面BLSから第2圧力センサのシール端部までの距離Lbよりも短い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントロール弁と、
前記コントロール弁の下流側の流路に設けられた第1圧力センサと、
前記第1圧力センサの下流側の流路に設けられた絞り部と、
前記絞り部の下流側の流路に設けられた第2圧力センサと、
前記コントロール弁および前記第1圧力センサを担持する第1流路ブロックと、
前記第1流路ブロックに隣接して設けられ前記第2圧力センサを担持する第2流路ブロックと
を備え、前記第1流路ブロックと前記第2流路ブロックとの接続部においてガスケット部材が挟持されている流量制御装置であって、
前記第2流路ブロックは、前記第1流路ブロックに向かって延びる接続穴を有し、前記接続穴は、第1の断面積を有し前記第1流路ブロックに対面する第1穴部分と、前記第1の断面積よりも大きい第2の断面積を有し前記第1穴部分から延長されて外側に延びる第2穴部分とを含み、前記第1穴部分と前記第2穴部分との境界に段差面が形成されており、
前記接続穴に配置されたブロック固定部材の拡径部が前記接続穴の前記段差面を押圧することによって、前記第2流路ブロックが前記第1流路ブロックに対して固定されており、
前記接続穴の前記第1穴部分の長さが、前記第1流路ブロックと前記第2流路ブロックとの接続面から前記第2圧力センサのシール端部までの距離よりも短い、流量制御装置。
【請求項2】
前記第2圧力センサのシール端部は、前記第2圧力センサをシールするために配置された環状のガスケットの外周面によって規定される、請求項1に記載の流量制御装置。
【請求項3】
前記ガスケット部材は、前記絞り部を含む構造を有している、請求項1に記載の流量制御装置。
【請求項4】
前記ガスケット部材は、ガスケット型オリフィス部材である、請求項3に記載の流量制御装置。
【請求項5】
前記第2流路ブロックには4本の前記接続穴が設けられており、各接続穴に前記ブロック固定部材が配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の流量制御装置。
【請求項6】
4本の接続穴は、前記第2流路ブロックの前記第2圧力センサ取り付け面に近い側に設けられた2本の接続穴と、遠い側に設けられた2本の接続穴とを含み、前記第2流路ブロックの内部に形成された流路であって前記ガスケット部材から延びる流路が、前記第2圧力センサ取り付け面に近い側の2本の接続穴と前記第2圧力センサ取り付け面に遠い側の2本の接続穴との間の位置を通っている、請求項5に記載の流量制御装置。
【請求項7】
前記接続穴の前記第1穴部分は、前記第2流路ブロックの側面に対して閉じており、前記第2穴部分は、前記第2流路ブロックの側面に対して開いている、請求項1から4のいずれかに記載の流量制御装置。
【請求項8】
気化器と、
前記気化器の下流側において隣接して接続された請求項1から4のいずれかに記載の流量制御装置と
を備える気化供給装置。
【請求項9】
請求項1から4のいずれかに記載の流量制御装置の製造方法であって、
前記第1流路ブロック、前記第2流路ブロック、前記ブロック固定部材および前記第2圧力センサを用意する工程と、
前記第2流路ブロックに形成された前記接続穴に配置された前記ブロック固定部材を用いて、前記第2流路ブロックを前記第1流路ブロックに対して固定する工程と、
前記第2流路ブロックを前記第1流路ブロックに固定する工程の後に、前記第2圧力センサを前記第2流路ブロックに固定する工程と
を含む、流量制御装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量制御装置およびこれを備える気化供給装置ならびに流量制御装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造設備又は化学プラント等において、原料ガスやエッチングガスを所望の流量でプロセスチャンバに供給することが求められている。ガス流量の制御装置としては、マスフローコントローラ(熱式質量流量制御器)や圧力式流量制御装置が知られている。
【0003】
圧力式流量制御装置は、コントロール弁と絞り部(例えばオリフィスプレートや臨界ノズル)とを組み合せた比較的簡単な構成によって各種流体の質量流量を高精度に制御することができるので広く利用されている。圧力式流量制御装置は、一次側の供給圧力が大きく変動したときにも安定して流量制御が行えるという優れた流量制御特性を有している。
【0004】
圧力式流量制御装置には、コントロール弁と絞り部の間の流体圧力(以下、上流圧力P1と呼ぶことがある)を制御することによって、絞り部の下流側に流れる流体の流量を調整するものがある。上流圧力P1は、流路に設けた圧力センサによって測定されており、圧力センサの出力に基づいてコントロール弁の開度を調整することによって、上流圧力P1ひいては質量流量を所望値に制御することができる。
【0005】
また、圧力式流量制御装置としては、上流圧力P1および下流圧力P2(絞り部の下流側の流体圧力)に基づいて流量を制御することができるものも知られている(例えば、特許文献1)。このタイプの流量制御装置では、上流圧力P1が下流圧力P2に比べて臨界比以上に大きくなく、臨界膨張条件を満たしていないときにも、流量制御を精度よく行うことができる。
【0006】
一方、特許文献2には、気化器に導入された液体材料を加熱し、生成したガスを流量制御して供給する気化供給装置が開示されている。気化器では、液体原料や固体原料をヒータによって加熱して半導体素子製造に用いる所望のプロセスガスを生成することができる。生成されたガスは、気化器の下流側に配置された流量制御装置によって流量が制御されたうえでプロセスチャンバに供給される。このような気化供給装置は、例えば有機金属気相成長法(MOCVD)により成膜を行うときに用いられる。
【0007】
気化器で生成したガスの流量制御も、上述した圧力式の流量制御装置を用いて行うことができる。特許文献2および3には、気化器の下流側に圧力式流量制御装置が隣接配置された一体型の気化供給装置が開示されている。
【0008】
気化器で生成したガスは、比較的高温(例えば150℃以上)のガスであることが多い。このため、流量制御装置も高温ガスに対応していることが好ましい。特許文献2に記載の流量制御装置では、高温ガスによってもコントロール弁(典型的にはピエゾ素子駆動型バルブ)が損傷しないように、ピエゾアクチュエータが放熱スペーサを介してガス流路から離れて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第03/058363号
【特許文献2】国際公開第2016/174832号
【特許文献3】国際公開第2019/021948号
【特許文献4】国際公開第2022/137812号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
気化器を用いて生成した高温ガスの流量制御を、上流圧力P1および下流圧力P2の両方の測定に基づいて行うことが可能である。ただし、下流圧力P2の測定も行う場合、絞り部の上流側だけでなく、絞り部の下流側にも圧力センサを配置する必要がある。
【0011】
ところが、絞り部の下流側の圧力センサを設けた流量制御装置では、その設置個所からガスリークが生じ得ることがわかった。特に上記のように気化器の下流側に配置された圧力式流量制御装置において、高温ガスの流量制御を行う場合には、下流側の圧力センサの周辺からガスリークが生じる可能性が高まることがわかった。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、高温ガスを幅広い範囲で流量制御するときにもリークの発生を防止することができる流量制御装置およびこれを備える気化供給装置ならびにそのような流量制御装置の製造方法を提供することをその主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施態様に係る流量制御装置は、コントロール弁と、前記コントロール弁の下流側の流路に設けられた第1圧力センサと、前記第1圧力センサの下流側の流路に設けられた絞り部と、前記絞り部の下流側の流路に設けられた第2圧力センサと、前記コントロール弁および前記第1圧力センサを担持する第1流路ブロックと、前記第1流路ブロックに隣接して設けられ前記第2圧力センサを担持する第2流路ブロックとを備え、前記第1流路ブロックと前記第2流路ブロックとの接続部においてガスケット部材が挟持されている流量制御装置であって、前記第2流路ブロックは、前記第1流路ブロックに向かって延びる接続穴を有し、前記接続穴は、第1の断面積を有し前記第1流路ブロックに対面する第1穴部分と、前記第1の断面積よりも大きい第2の断面積を有し前記第1穴部分から延長されて外側に延びる第2穴部分とを含み、前記第1穴部分と前記第2穴部分との境界に段差面が形成されており、前記接続穴に配置されたブロック固定部材の拡径部が前記接続穴の前記段差面を押圧することによって、前記第2流路ブロックが前記第1流路ブロックに対して固定されており、前記接続穴の前記第1穴部分の長さが、前記第1流路ブロックと前記第2流路ブロックとの接続面から前記第2圧力センサのシール端部までの距離よりも短い。
【0014】
ある実施形態において、前記第2圧力センサのシール端部は、前記第2圧力センサをシールするために配置された環状のガスケットの外周面によって規定される。
【0015】
ある実施形態において、前記ガスケット部材は、前記絞り部を含む構造を有している。
【0016】
ある実施形態において、前記ガスケット部材は、ガスケット型オリフィス部材である。
【0017】
ある実施形態において、前記第2流路ブロックには4本の前記接続穴が設けられており、各接続穴に前記ブロック固定部材が配置されている。
【0018】
ある実施形態において、4本の接続穴は、前記第2流路ブロックの前記第2圧力センサ取り付け面に近い側に設けられた2本の接続穴と、遠い側に設けられた2本の接続穴とを含み、前記第2流路ブロックの内部に形成された流路であって前記ガスケット部材から延びる流路が、前記第2圧力センサ取り付け面に近い側の2本の接続穴と前記第2圧力センサ取り付け面に遠い側の2本の接続穴との間の位置を通っている。
【0019】
ある実施形態において、前記接続穴の前記第1穴部分は、前記第2流路ブロックの側面に対して閉じており、前記第2穴部分は、前記第2流路ブロックの側面に対して開いている。
【0020】
本発明の実施形態に係る気化供給装置は、気化器と、前記気化器の下流側に隣接して接続された上記の流量制御装置とを備える。
【0021】
本発明の実施形態に係る流量制御装置の製造方法は、上記の流量制御装置の製造方法であって、前記第1流路ブロック、前記第2流路ブロック、前記ブロック固定部材および前記第2圧力センサを用意する工程と、前記第2流路ブロックに形成された前記接続穴に配置された前記ブロック固定部材を用いて、前記第2流路ブロックを前記第1流路ブロックに対して固定する工程と、前記第2流路ブロックを前記第1流路ブロックに固定する工程の後に、前記第2圧力センサを前記第2流路ブロックに固定する工程とを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態による圧力式流量制御装置および気化供給装置によれば、広い制御流量範囲にわたって、半導体製造装置などで用いられるガスを適切に流量制御して供給することができるとともに、高温ガスの供給時にもリークの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態による流量制御装置を備える気化供給装置を含むガス供給システムを示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る流量制御装置を備える気化供給装置の具体的な構成例を示す図である。
【
図3】流量制御装置に用いられる第2圧力センサ固定用の流路ブロックの例を示す斜視図である。
【
図4】第2圧力センサ固定用の流路ブロックの、隣接流路ブロックへの固定態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明の実施形態にかかる流量制御装置20およびこれを気化器10の下流側に備える気化供給装置50を含むガス供給システム100を示す。また、
図2は、気化供給装置50の具体的な構成例を示している。
【0026】
図1に示すように、ガス供給システム100は、液体材料源2と、液体材料源2に接続された気化供給装置50と、遮断弁4を介して気化供給装置50に接続されたプロセスチャンバ6とを備えている。気化供給装置50は、気化器10と、気化器10の下流側に設けられた流量制御装置20とを備えている。なお、
図2に示す気化供給装置50では、気化器10と、流量制御装置20とが隣接して一体的に設けられ、また、遮断弁4も、流量制御装置20の下流側に一体的に設けられている。
【0027】
ガス供給システム100は、液体材料源2からの液体材料Lを気化器10において気化し、得られた材料ガスGの流量を流量制御装置20によって制御してプロセスチャンバ6に供給するように構成されている。
図1において、液体材料Lの供給路を太い実線で示し、材料ガスGの供給路を太い破線で示している。
【0028】
プロセスチャンバ6には、真空ポンプ8が接続されており、チャンバ内およびチャンバに接続された流路を減圧することができる。
図1には、1系統のガス供給ラインのみが示されているが、種々のガスを供給するために、複数のガス供給ラインがプロセスチャンバ6に接続されていてもよいことは言うまでもない。
【0029】
使用される液体材料Lとしては、例えば、HCDS(Si2Cl6)、あるいは、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)、TMGa(トリメチルガリウム)、TMAl(トリメチルアルミニウム)などの有機金属材料があげられる。これらの材料は室温では液体であり、例えば、150℃~200℃程度に加熱することによって気化させることができる。生成された材料ガスGは、プロセスチャンバ6において、例えば、シリコン窒化膜(SiNx膜)やシリコン酸化膜(SiO2膜)などの絶縁膜を形成するために用いられる。
【0030】
気化供給装置50には複数のヒータが設けられており、気化器10や流量制御装置20を所望の温度に独立して加熱することができる。ヒータとしては、ジャケットヒータや、伝熱部材としてのアルミニウム板に発熱素子としてのカートリッジヒータを挿入して形成したヒータなどの金属ブロックを外側から加熱するヒータを用いることができる。このようなヒータは、例えば、特許文献3(国際公開第2019/021948号)に開示されている。
【0031】
気化器10は、液体材料源2から圧送されてきた液体材料Lを、気化部16の気化室において、ヒータによって加熱し、材料ガスGを生成するように構成されている。また、気化器10で生成された材料ガスGは、再液化しないように、比較的高温に保ったままプロセスチャンバ6に供給する必要がある。これに対して、
図2に示すように、気化器10と流量制御装置20とが隣接して一体的に配置された構成の気化供給装置50を用いれば、これをプロセスチャンバ6の近傍に配置することによって、高温に維持すべき領域をコンパクトにまとめることができる。
【0032】
図2に示すように、本実施形態の気化器10は、予加熱部14と、気化部16と、これらの間の流路に設けられた液体補充弁18とを備えている。予加熱部14において液体材料Lを気化しない程度の高温にまで予め加熱しておくことによって、気化部16での気化を容易にすることができる。これにより、気化潜熱による液温の低下を抑制し、材料ガスGの供給圧力P0を高い値に維持して安定的にガスを供給しやすくなる。
【0033】
予加熱部14と気化部16とを異なる温度に維持することをより容易にするために、予加熱部14と気化部16との間には、断熱部材30が設けられていても良い。断熱部材30は、例えば、PEEK(Poly Ether Ether Ketone)などの樹脂製の板材であってよい。
【0034】
また、気化供給装置50において、気化器10で生成した材料ガスGの供給圧力P0は、供給圧力センサ12によって測定されている。
図2に示すように、供給圧力センサ12は、流量制御装置20を構成するコントロール弁22や第1圧力センサ24が取り付けられた第1流路ブロックBL1においてコントロール弁22の上流側に取り付けられていても良い。
【0035】
供給圧力センサ12を用いて供給圧力P0を測定することによって、気化室内の液体材料Lの量が十分であるか否かを判断することができる。供給圧力P0が閾値よりも低下しているときには、液体補充弁18を開いて液体材料を補充することができ、気化部16において安定的にガスの生成を行うことができる。また、気化器10は、気化部16に所定量を超える液体材料Lが供給されたことを検知することができる液体検知部(図示せず)を別途備えていてもよい。液体検知部を設けることによって、気化部16への液体材料Lの過供給を防止することができる。液体検知部は、例えば、気化室に配置された温度計(白金測温抵抗体、熱電対、サーミスタなど)、液面計、ロードセルなどによって構成される。
【0036】
以下、気化器10で生成された材料ガスGの流量制御を行うための流量制御装置20の詳細構成について説明する。
【0037】
図1および
図2に示すように、本実施形態の流量制御装置20は、コントロール弁22と、コントロール弁22の下流側に設けられた第1圧力センサ24と、コントロール弁22および第1圧力センサ24の下流側の流路に設けられた絞り部28と、絞り部28の下流側に設けられた第2圧力センサ26とを備えている。後述するように、本実施形態において、絞り部28は、ガスケット部材に含まれるようにして構成されており、流路ブロック間に挟持されるガスケット部材に、絞り機能を持たせた構造を有するものに対応する。
【0038】
第1圧力センサ(または上流圧力センサ)24は、コントロール弁22と絞り部28との間の上流圧力P1を測定することでき、第2圧力センサ(または下流圧力センサ)26は、絞り部28の下流側の下流圧力P2を測定することができる。コントロール弁22、第1圧力センサ24、および、第2圧力センサ26は、図示しない制御回路に電気的に接続されている。
【0039】
流量制御装置20は、圧力式の流量制御装置であり、第1圧力センサ24の出力(上流圧力P1)に基づいて、または、第1圧力センサ24の出力(上流圧力P1)と第2圧力センサ26の出力(下流圧力P2)との両方に基づいて、コントロール弁22の開度を制御することによって、絞り部28の下流側に流れるガスの流量を制御することができる。なお、流量制御装置20は、コントロール弁22の下流側のガスの温度を測定するための図示しない温度センサを備えていても良い。温度センサの出力も付加的に参照してコントロール弁22の開度を制御することによって、より正確にガス流量を制御し得る。
【0040】
図2に示すように、本実施形態において、コントロール弁22および第1圧力センサ24は、内部に流路が設けられた上流側の第1流路ブロックBL1に固定されている。一方で、第2圧力センサ26は、内部に流路が設けられた下流側の第2流路ブロックBL2に固定されている。ここで、流路ブロックとは、典型的には金属製のブロック体であって、その内部に、流路や流体収容空間が形成されたブロック体を意味しており、本体ブロックとも称される。本実施形態の気化供給装置50は、複数の流路ブロックを隣接して配置して流路を形成するとともに、必要なセンサや弁を流路ブロック(本体ブロック)に取り付けることによって作製されている。
【0041】
そして、第1流路ブロックBL1と第2流路ブロックBL2との接続部(または境界部)に形成された凹所(ここでは第1流路ブロックBL1に形成された主凹所と第2流路ブロックBL2に形成された副凹所)には、ここでは絞り部28(またはガスケット部材)が配置されている。第1流路ブロックBL1と第2流路ブロックBL2とは、接続面において絞り部28を挟持するようにして、互いに対して固定されている。第1流路ブロックBL1および第2流路ブロックBL2は、例えばSUS316L等のステンレス製の金属ブロックであり、ドリルによる穿孔によって内部にガス流路が形成されている。
【0042】
コントロール弁22としては、例えば、ピエゾ素子駆動型バルブが用いられる。ピエゾ素子駆動型バルブは、ピエゾアクチュエータに内蔵される単数または積層された複数のピエゾ素子への印加電圧の制御によってダイヤフラム弁体の移動量を調節することができ、その開度を任意に調節することができる開度自在弁または比例弁である。
【0043】
図2に示すように、コントロール弁22は、高温対策のために、ピエゾアクチュエータ22Dと棒状の放熱スペーサ22Eとが一列に並ぶ構成を有していても良い。放熱スペーサ22Eは、例えばインバー材によって形成されており、これをピエゾアクチュエータ22Dと連動して動かすことによって、ダイヤフラム弁22V(
図4参照)の開閉を制御することができる。
【0044】
この構成において、第1流路ブロックBL1の内部の流路を流れる高温ガスや、この第1流路ブロックBL1を加熱する外側ヒータからの熱によって、ピエゾアクチュエータ22Dが高温に加熱されることが防止される。したがって、ピエゾ素子が耐熱温度以上になることを防ぎ、ピエゾアクチュエータ22Dの損傷や誤動作の発生を防止しながら、流量制御を適切に行うことができる。
【0045】
また、本実施形態において、絞り部28は、ガスケット型オリフィス部材を用いて構成されている。ガスケット型オリフィス部材は、金属ブロックの凹所に篏合されてシールをすることができるように構成されたガスケット部材の内部に、オリフィスプレートが組み込まれた構成を有する。外側のガスケット部材は、例えばSUS316L製またはPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)製であり、内側に保持されるオリフィスプレートは、例えばSUS316L製である。絞り部28のオリフィス径は、例えば、40μm~2500μmに設定される。ただし、絞り部28としては、臨界ノズルまたは音速ノズルなどを用いることもできる。
【0046】
なお、本実施形態においては、絞り部28としてガスケット型オリフィス部材を用いており、このガスケット型オリフィス部材は、絞り部28としての機能とガスケット部材としての機能との両方を備えている。ただし、他の態様において、絞り部28とガスケット部材とは、それぞれ別の部材として、第1流路ブロックBL1もしくは第2流路ブロックBL2に設置されていてもよい。いずれの場合にも、ガスケット部材は、第1流路ブロックBL1と第2流路ブロックBL2との接続部において挟持されている必要があり、接続部のシール性を確保するために用いられる。
【0047】
絞り部28として、ガスケット型オリフィス部材を用いれば、第1流路ブロックBL1と第2流路ブロックBL2との境界において、ガス流路のシール性を向上させることができる。したがって、この接続部からのガスリークの発生を防止することができる。
【0048】
ただし、第1流路ブロックBL1と第2流路ブロックBL2との接続部に、ガスケット型オリフィス部材を配置する構成においては、接続部でのガスリークの発生を防止するために、第1流路ブロックBL1と第2流路ブロックBL2とを互いに対して強固に固定することが望まれる。このため、後述するように、第2流路ブロックBL2は、接続穴Hに挿入されるブロック固定部材(六角穴付ボルトなど)によって、第1流路ブロックBL1に対して押圧されながらしっかりと固定されている。
【0049】
第1圧力センサ24および第2圧力センサ26としては、例えば、歪ゲージが設けられた感圧ダイヤフラムを有するシリコン単結晶製の圧力センサや、キャパシタンスマノメータが用いられる。第1圧力センサ24、第2圧力センサ26としては、例えば、特許文献4(国際公開第2022/137812号)に記載の圧力センサを用いることもできる。また、温度センサとしては、例えば、熱電対やサーミスタ、白金測温抵抗体が用いられる。
【0050】
また、遮断弁4は、本実施形態では、AOV(air operated valve)を用いて構成されている。また、気化器10の液体補充弁18もAOVによって構成されている。AOVには、圧縮空気の供給を制御する電磁弁が接続されており、電磁弁を制御することによって遮断弁4や液体補充弁18の開閉を迅速に行うことができる。ただし、これに限られず、遮断弁4または液体補充弁18は、電磁弁、または、電動弁などのオンオフ弁で構成されていてもよい。
【0051】
図2に示すように、遮断弁4は、第2流路ブロックBL2と後段ブロックとに跨るように配置されていてもよい。ブロック間(遮断弁4の下方)には、例えば、PEEK製の板材である断熱部材32が設けられていても良い。これによって、例えば、遮断弁4を閉じたガス供給停止時にも、上流側ガスの保温をより効率的に行うことができ、流量制御装置20におけるガス再液化を防止できる。
【0052】
以上のように構成された流量制御装置20は、臨界膨張条件P1/P2≧約2(ここで、P1は上流圧力、P2は下流圧力、約2は窒素ガスの場合)を満たすとき、流量Qは下流圧力P2によらず上流圧力P1によって決まるという原理を利用して流量制御を行うことができる。臨界膨張条件を満たすとき、流量Qは、Q=K1・P1(K1は絞り部の開口面積と流体の種類と流体温度に依存する定数)から算出される。
【0053】
また、流量制御装置20は、第2圧力センサ26を備えているので、臨界膨張条件を満足しない場合であっても、流量Qを、Q=K2・P2m(P1-P2)n(ここでK2は絞り部の開口面積と流体の種類と流体温度に依存する定数、m、nは実際の流量を元に導出される指数)から算出することができる。
【0054】
流量制御を行うために、設定流量Qsが制御回路に入力され、制御回路は、第1圧力センサ24および第2圧力センサ26の出力などに基づいて、上記の式に従って演算流量Qcを求め、この演算流量Qcが入力された設定流量Qsに近づくようにコントロール弁22をフィードバック制御する。演算流量Qcは、流量出力値として外部のモニタに表示されてもよい。
【0055】
ただし、上記のように第2流路ブロックBL2に第2圧力センサ26が固定されている場合、特に高温ガスを流す用途において、第2圧力センサ26の固定箇所からガスリークが生じる場合があることが、本発明者によって確認された。本発明者の実験によれば、第2流路ブロックBL2を第1流路ブロックBL1に堅固に取り付けるときに、典型的にはステンレス鋼などの金属製である第2流路ブロックBL2に応力が生じ、ブロックにわずかな変形が生じた結果、第2圧力センサ26の取り付け箇所のシール性が低下してしまったものと考えられる。
【0056】
そこで、本実施形態における流量制御装置20では、第2流路ブロックBL2を第1流路ブロックBL1にブロック固定部材によって固定したときにも、第2圧力センサ26の固定部分には応力が生じにくく、これによって、シール性を高く保つための工夫がなされている。以下、このための具体的な手法について説明する。
【0057】
図3は、第2流路ブロックBL2の斜視図であり、比較例の構成と実施例の構成との違いを説明するための図である。また、
図4は、本実施形態における第1流路ブロックBL1と第2流路ブロックBL2との固定態様を示す図である。
【0058】
図3に示すように、第2流路ブロックBL2の上面には、第2圧力センサ26を固定するための凹所26Hおよび出口4Hが設けられている。凹所26Hおよび出口4Hは、ブロック内に形成された流路と連通している。出口4Hは、遮断弁4の上流側流路に接続される。
【0059】
また、第2流路ブロックBL2には、第1流路ブロックBL1との接続を行うための、接続穴Hが形成されている。接続穴Hは、第1流路ブロックBL1に向かって水平方向(ブロック接続方向)に沿って延びている。また、接続穴Hは、第1流路ブロックBL1に対面する第1の断面積を有する第1穴部分H1と、その延長部分として外側に延びるより大径(より大きい第2の断面積)を有する第2穴部分H2とによって構成されている。第1穴部分H1と第2穴部分H2との境界には段差面(第2穴部分H2の底面)が形成されている。
【0060】
なお、便宜上、ブロックが並ぶ方向を水平方向と記載し、
図2の紙面上でこれに直交する方向を垂直方向または上下方向と記載することがある。ただし、気化供給装置50の姿勢や取り付け方向によって、実際の水平方向および鉛直方向とは異なる場合があってもよいことは言うまでもない。また、便宜上、ブロック接続面に対応する面を、ブロックの端面と記載し、素子等が取り付けられる面を、ブロックの上下面と記載し、上下面の間の横面(端面と直交する面)を、ブロックの側面と記載することがある。
【0061】
図3に示す態様では、第2流路ブロックBL2において、4本の接続穴Hが設けられている。4本の接続穴Hは、第2流路ブロックBL2の両方の側面において2本ずつ、上下方向に離れて平行に形成されている。これによって、第2流路ブロックBL2を、第1流路ブロックBL1に対して、4か所で堅固に固定することが可能である。また、上下左右方向に比較的均等な力で偏りなく固定することが可能である。
【0062】
また、各接続穴Hの第1穴部分H1は、第2流路ブロックBL2の側面に対して閉じている、すなわち、ブロック内部を延びる貫通孔である。一方で、より大径の第2穴部分H2は、第2流路ブロックBL2の側面に対して開いており、ブロック側面から第2穴部分H2にアクセス可能である。したがって、第1穴部分H1に挿入されるボルトなどの固定部材の締め付けを確実にしっかりと行うことができるとともに、第2穴部分H2においては固定部材の締め付け動作をより簡便に行い得る。ただし、これに限られず、第2穴部分H2も、ブロック側面に対して閉じた穴であってもよい。
【0063】
ここで、
図3に示すように、実施例の接続穴H(上側)における第1穴部分H1の水平方向の長さLaは、比較例の接続穴H(下側)における第1穴部分H1の水平方向の長さLa’よりも小さくなっている。言い換えると、比較例の接続穴Hの座繰り(第2穴部分H2)の深さに比べて、実施例の接続穴Hの座繰りの深さが、より深くなっている。なお、座繰りとは、拡径部分の穴のことであり、配置されるねじやボルトなどの固定部材の頭部が出っ張らないように径を大きくして掘り下げた部分である。
【0064】
このように座繰りを比較例に比べてより深く掘り込むことによって、第2流路ブロックBL2を第1流路ブロックBL1にボルトなどによって固定するときに第2流路ブロックBL2に生じる応力を、第1流路ブロックBL1の近傍の部分に集中させることができる。これによって、第2圧力センサ26を固定するための凹所26Hの近傍での応力や歪みの発生を抑制して、第2圧力センサ26の取りつけ部からのガスリークの発生を防止することができる。
【0065】
図4は、本実施形態における、ブロック固定部材29を用いた、第2流路ブロックBL2の第1流路ブロックBL1への固定態様を示す図である。
図4に示すように、第2流路ブロックBL2には小径の第1穴部分H1とより大径の第2穴部分H2とによって構成される接続穴Hに、ブロック固定部材29が挿入されている。ブロック固定部材29は、本実施形態では、拡径部(または頭部)29Hを有する六角穴付きボルトであり、その先端部は、第1流路ブロックBL1に形成された受け穴に挿入される。
【0066】
本実施形態では、ブロック固定部材29の挿入部にはネジが形成されており、また、受け穴にもネジが形成されている。このため、拡径部29Hを回転させることによって、ブロック固定部材29を第1流路ブロックBL1の方向に進行させることができる。なお、図示していないが、拡径部29Hと、接続穴Hの段差面HS(第2穴部分H2の底面)との間にはワッシャーが配置されていても良い。
【0067】
また、拡径部29Hが、段差面HSに当接した後は、拡径部29Hのさらなる回転により段差面HSを押圧するようにして、第2流路ブロックBL2を第1流路ブロックBL1に対してしっかりと強固に固定することが可能である。これによって、ブロック境界に絞り部28を配置する構成であっても、接続面BLSからのガスリークの発生を防止することができる。
【0068】
ただし、ブロック固定部材29による強い締め付けによって、第2流路ブロックBL2には、比較的大きい応力が発生する。これに対して、本実施形態の流量制御装置20では、第1穴部分H1の長さLaを、第1流路ブロックBL1と第2流路ブロックBL2との接続面BLSから第2圧力センサ26のシール端部までの距離Lbよりも短く設定することによって、応力が第2圧力センサ26のシール端部まで伝わりにくくしている。これによって、第2圧力センサ26のシール性を維持し、ガスリークが生じにくいものとしている。
【0069】
ここで、本実施形態で用いられる第2圧力センサ26は、センサ本体26Sの第2流路ブロックBL2への取り付け面において、環状のガスケット26Gを挟んだ形でシール性を確保して固定されている。本実施形態では、このガスケット26Gの外周面が、第2圧力センサ26のシール端部として規定される。ただし、第2圧力センサ26のシール端部は、ガスケットを用いない場合などは、第2流路ブロックBL2に形成された凹所にはめ込まれた第2圧力センサ26において第2流路ブロックBL2と当接してシールを形成するための部分であって、流路に最も近いシール部分の外周面であってもよい。
【0070】
上記のように、第1穴部分H1の長さLaを比較的短く(すなわち、座繰りを比較的深く)設定しているので、ブロック固定部材29の拡径部29Hからの力を直接的に受ける段差面HSとガスケット26Gの外周面との間には、距離Lcを有する応力緩衝部分が設けられる。これによって、ブロック固定部材29の締め付け時におけるガスケット26Gの近傍での第2流路ブロックBL2のわずかな歪みの発生を防止し、シール性を維持することができる。
【0071】
なお、
図4に示すように、ガスケット26Gの周囲には、ガスケットガイドリング26Rが設けられていても良く、また、センサ本体26Sは、センサ本体26Sを覆う形状のセンサボンネット26Bによって供回り防止ワッシャーを介して保持されていてもよい。センサボンネット26Bの外周面に形成されたネジを、第2流路ブロックBL2の凹所26H(
図3参照)の内周面に形成したネジに篏合させ、センサボンネット26Bを回転させることによって、ガスケット26Gを押圧しながらセンサ本体26Sを第2流路ブロックBL2にシール性高くしっかりと固定することができる。
【0072】
また、
図3に示したように、接続穴Hは、第2圧力センサ取り付け面に近い側に設けられた2本の接続穴と、遠い側に設けられた2本の接続穴とを含んでいてもよく、この場合に、
図4に示したように、絞り部28から延びる流路が、取り付け面に近い側の接続穴と遠い側の接続穴との間のブロック中央部分を通っていてもよい。これによって、端面方向から見たときに、4つの接続穴および挿入されるブロック固定部材が、流路の周囲に分散して均等に配置され、第2流路ブロックBL2のサイズを不必要に大きくすることなく、面的に均等な力で第2流路ブロックBL2を第1流路ブロックBL1に押圧固定することができる。この場合にも、第1穴部分H1の長さLa(または接続面BLSと段差面HSとの距離)を第2圧力センサ26のシール端部までの距離Lbよりも小さくしているので、各ブロック固定部材の締め付けによる応力が第2圧力センサ26のシール端部まで伝達されにくく、したがって、第2圧力センサ26のシール性を高く維持することができる。また、固定に問題が無いようであれば、接続穴Hの数は、1つの場合から2つ以上の複数の場合であっても良い。
【0073】
次に、上記の流量制御装置20の製造方法において、さらに、第2圧力センサ26の固定箇所からのガスリークの発生を低減させ得る方法について説明する。
【0074】
流路ブロックの接続において、通常、圧力センサやコントロール弁などを予め流路ブロッに固定したうえで流路ブロックの接続を行うことが多い。しかしながら、本実施形態による流量制御装置20の製造方法では、第2流路ブロックBL2への第2圧力センサ26の固定を、第2流路ブロックBL2を第1流路ブロックBL1に固定した後に行う。
【0075】
より具体的に説明すると、まず、コントロール弁22、供給圧力センサ12、第1圧力センサが取り付けられた第1流路ブロックBL1を用意する。次に、第2圧力センサ26が固定されていない状態の第2流路ブロックBL2を用意し、ガスケット部材(ここでは絞り部28)を介在させた後、これを、接続穴Hを用いて、ブロック固定部材29によって、第1流路ブロックBL1に対して、しっかりと固定する。このとき、ブロック固定部材29による固定によって、第2流路ブロックBL2には応力が生じ得るが、上記のように段差面HSを第1流路ブロックBL1の近い位置に形成しているため、第2圧力センサ26の固定箇所での歪みの発生を低減することができる。
【0076】
そして、第1流路ブロックBL1に第2流路ブロックBL2を固定してから、第2流路ブロックBL2への第2圧力センサ26への固定を行う。この第2圧力センサ26の固定は、上述したように、ガスケット26Gを介して第2流路ブロックBL2の凹所にセンサ本体26Sを配置するとともに、センサボンネット26Bを上から被せて回転させることによって実行することができる。
【0077】
このようにして、先に第1流路ブロックBL1に固定しておいた第2流路ブロックBL2に、第2圧力センサ26を固定する方法によれば、第2圧力センサ26の取り付け箇所からのガスリークの発生がさらに抑制され得ることがわかった。その理由は、第2圧力センサ26の取り付け前に、第2流路ブロックBL2に多少の歪が生じていたとしても、その後、第2圧力センサ26を固定する過程で、ガスケット26Gが適度に変形するなどしてシール性が回復するからと考えられる。したがって、第2圧力センサ26を後から取り付ける製造方法によれば、ガスリークの発生をさらに効果的に防止することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、種々の改変が可能である。例えば、上記には、第1の径を有する第1穴部分H1と、より大きい第2の径を有する第2穴部分H2とによって構成される接続穴Hを説明したがこれに限られない。第2穴部分H2は、必ずしも長穴形状を有していなくても良く、例えば、第2流路ブロックBL2の側面に形成された溝や凹所であってもよい。形成された溝や凹所は、第2流路ブロックBL2の下流側の端面まで達していなくても良い。第2穴部分H2の断面積が、第1穴部分H1の断面積よりも大きく、これらの境界において段差面HSが形成される限り、第1穴部分H1の形状は任意のものであり得る。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の実施形態による流量制御装置および気化供給装置は、半導体製造設備等のガス供給システムに組み込まれて幅広い制御レンジで流量制御を行うために適切に利用される。
【符号の説明】
【0080】
2 液体材料源
4 遮断弁
6 プロセスチャンバ
8 真空ポンプ
10 気化器
12 供給圧力センサ
20 流量制御装置
22 コントロール弁
24 第1圧力センサ
26 第2圧力センサ
28 絞り部 (ガスケット部材)
29 ブロック固定部材
29H ブロック固定部材の拡径部(頭部)
50 気化供給装置
100 ガス供給システム
BL1 第1流路ブロック
BL2 第2流路ブロック
H 接続穴
H1 第1穴部分
H2 第2穴部分
HS 段差面
P0 供給圧力
P1 上流圧力
P2 下流圧力