(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053814
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】治療費見積プログラム及び治療費見積システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240409BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160253
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】522391785
【氏名又は名称】株式会社tokusul
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 勇
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医師や医療系機関での治療を受ける患者等に対して、医療費控除額を含めた治療費の見積りを提供することが可能な治療費見積システムを提供する。
【解決手段】情報処理装置2(サーバー2A)によって構成される治療費見積りシステム1であって、医師又は医療系機関による治療方法毎に設定された治療費に係る見積もり処理を行う治療費見積処理部20を備える。治療費見積処理部20は、治療費取得部21と、健康保険に係る被保険者の年間所得額を取得する年間所得額取得部22と、課税所得額取得部30と、還付予定の医療費控除額を算出する医療費控除額算出部23と、治療費から医療費控除額を控除することで被保険者の負担治療費を算出する負担治療費算出部24と、治療費に対応して、年間所得額、医療費控除額及び負担治療費を含む治療費情報25Aを生成する治療費情報生成部25と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置において実行可能な医療における治療費見積プログラムであって、
医師、又は医療系機関による治療方法毎に設定された治療費を見積もる治療費見積処理が、
前記治療費を取得する治療費取得処理と、
健康保険に係る被保険者の年間所得額に基づいて、課税所得額を取得する課税所得額取得処理と、
取得された前記課税所得額に基づいて、還付予定の医療費控除額を算出する医療費控除額算出処理と、
前記治療費から前記医療費控除額を控除することで前記被保険者が負担する予定の負担治療費を算出する負担治療費算出処理と、
前記治療費に対応して、前記年間所得額、前記課税所得額、前記医療費控除額、及び前記負担治療費のうちの少なくとも前記負担治療費を含む治療費情報を生成する治療費情報生成処理と、
を実行するものであること、を特徴とする治療費見積プログラム。
【請求項2】
前記治療費見積処理が、
前記負担治療費に対してローンによる返済期間、前記ローンによる支払回数、及び前記ローンの金利から1回あたりの返済額、及び手数料を算出するローン返済見積処理を含むものであり、
前記治療費情報は、1回あたりの返済額、手数料、及び前記医療費控除額から前記手数料を減算することにより算出される差引控除額を含むこと、を特徴とする請求項1に記載の治療費見積プログラム。
【請求項3】
前記治療費を請求する医師、又は医療系機関を特定するために、予め前記医師、又は医療系機関に対して識別情報を付与する識別情報付与処理と、
前記識別情報を登録識別情報として登録する識別情報登録処理と、
前記識別情報の入力を受け付ける識別情報入力受付処理と、
前記識別情報入力受付処理により入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致するか否かを判定する識別情報判定処理と、
を実行可能であり、
前記識別情報判定処理において、前記識別情報が、前記登録識別情報と一致することを条件として、前記治療費見積処理の実行が許可されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の治療費見積プログラム。
【請求項4】
前記識別情報入力受付処理により入力を受け付けた前記識別情報が付与された前記医師、又は前記医療系機関を利用者に対して告知するための告知情報を出力すること、を特徴とする請求項3に記載の治療費見積プログラム。
【請求項5】
前記告知情報に係る出力が、画像の表示、及び印刷の少なくとも一方により行われること、を特徴とする請求項4に記載の治療費見積プログラム。
【請求項6】
インターネットを介して閲覧可能とされたウェブサイトにおいて実行可能とされており、
ウェブサイト上でバナーを表示するバナー表示処理を実行可能であり、
前記バナーには、前記治療費見積処理を実行可能な実行ウェブサイトにリンクが張られており、
前記バナーにアクセスすることで、前記実行ウェブサイトにおいて、前記治療費見積処理が実行されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の治療費見積プログラム。
【請求項7】
前記治療費を請求する医師、又は医療系機関を特定するために、予め前記医師、又は医療系機関に対して識別情報を付与する識別情報付与処理と、
前記識別情報を登録識別情報として登録する識別情報登録処理と、
前記識別情報の入力を受け付ける識別情報入力受付処理と、
前記識別情報入力受付処理により入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致するか否かを判定する識別情報判定処理と、
を実行可能であり、
前記バナー表示処理は、前記識別情報入力受付処理で入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致することを条件として、前記ウェブサイト上に前記バナーを表示する処理を行うものであること、を特徴とする請求項6に記載の治療費見積プログラム。
【請求項8】
前記医療費控除額が、所得税に係る環付額と、翌年の住民税に係る還付額と、を含むこと、を特徴とする請求項1又は2に記載の治療費見積プログラム。
【請求項9】
前記治療費情報が、画像の表示、及び印刷の少なくとも一方により行われること、を特徴とする請求項1又は2に記載の治療費見積プログラム。
【請求項10】
情報処理装置によって構成される治療費見積システムであって、
医師、又は医療系機関による治療方法毎に設定された治療費に係る見積もり処理を行う治療費見積処理部を備え、
前記治療費見積処理部は、
前記治療費を取得する治療費取得部と、
健康保険に係る被保険者の年間所得額に基づいて、課税所得額を取得する課税所得額取得部と、
取得された前記課税所得額に基づいて、還付予定の医療費控除額を算出する医療費控除額算出部と、
前記治療費から前記医療費控除額を控除することで前記被保険者が負担する予定の負担治療費を算出する負担治療費算出部と、
前記治療費に対応して、前記年間所得額、前記課税所得額、前記医療費控除額、及び前記負担治療費のうちの少なくとも前記負担治療費を含む治療費情報を生成する治療費情報生成部と、
を備えること、を特徴とする治療費見積システム。
【請求項11】
前記治療費見積処理部が、前記負担治療費に対してローンによる返済期間、前記ローンによる支払回数、及び前記ローンの金利から1回あたりの返済額、及び手数料を算出するローン返済見積部を有しており、
前記治療費情報生成部において生成される治療費情報が、1回あたりの返済額、手数料、及び前記医療費控除額から前記手数料を減算することにより算出される差引控除額を含むこと、を特徴とする請求項10に記載の治療費見積システム。
【請求項12】
前記情報処理装置が、
前記治療費を請求する医師、又は医療系機関を特定するために、予め前記医師、又は前記医療系機関に対して識別情報を付与する識別情報付与部と、
前記識別情報を登録識別情報として登録する識別情報登録部と、
前記識別情報の入力を受け付ける識別情報入力受付部と、
前記識別情報入力受付部により入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致するか否かを判定する識別情報判定部と、
を備えており、
前記識別情報判定部において、前記識別情報が、前記登録識別情報と一致することを条件として、前記治療費見積処理部における前記治療費の見積り処理の実行が許可されること、を特徴とする請求項10又は11に記載の治療費見積システム。
【請求項13】
前記識別情報入力受付部により入力を受け付けた前記識別情報が付与された前記医師、又は前記医療系機関を利用者に対して告知するための告知情報を出力する告知情報出力部を備えること、を特徴とする請求項12に記載の治療費見積システム。
【請求項14】
前記情報処理装置が、
インターネットを介して閲覧可能とされたウェブサイトにおいて表示可能とされたバナーを、ネットワークを通じて前記ウェブサイトに表示させるバナー表示処理部を備えており、
前記ウェブサイトに表示される前記バナーには、前記治療費見積処理部における治療費見積処理を実行可能な実行ウェブサイトにアクセス可能なリンクが張られており、
前記バナーにアクセスすることで、前記実行ウェブサイトにおいて、前記治療費見積処理が実行されること、を特徴とする請求項10又は11に記載の治療費見積システム。
【請求項15】
前記情報処理装置が、
前記治療費を請求する医師、又は医療系機関を特定するために、予め前記医師、又は前記医療系機関に対して識別情報を付与する識別情報付与部と、
前記識別情報を登録識別情報として登録する識別情報登録部と、
前記識別情報の入力を受け付ける識別情報入力受付部と、
前記識別情報入力受付部により入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致するか否かを判定する識別情報判定部と、
を備えており、
前記バナー表示処理部は、前記識別情報入力受付部で入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致することを条件として、前記ウェブサイト上に前記バナーを表示する処理を行うものであること、を特徴とする請求項14に記載の治療費見積プログラム。
【請求項16】
前記医療費控除額が、所得税に係る環付額と、翌年の住民税に係る還付額と、を含むこと、を特徴とする請求項1又は2に記載の治療費見積システム。
【請求項17】
前記情報処理装置が、画像出力処理部及び印刷出力処理部の少なくとも一方を有しており、
前記治療費情報が、画像の表示、及び印刷の少なくとも一方により行われること、を特徴とする請求項10又は11に記載の治療費見積システム。
【請求項18】
前記情報処理装置が、サーバーとして構成されていること、を特徴とする請求項10又は11に記載の治療費見積システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医師や医療系機関における治療費を見積もる治療費見積プログラム及び治療費見積システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医師や医療系機関においては、各種の治療が行われている。これらの治療において、費用負担が少額の場合は、利用者(患者)に対して大きな負担とはならないが、例えば、歯科医師や歯科系医療機関(以下、両者を総称して歯科医等と称する)において行われるインプラントやインビザラインといった治療には、比較的高額な治療費が発生するため、利用者に対して大きな負担となる懸念がある。そのため、治療を受ける利用者(患者)が、金銭的費用の面から、これらの治療を受けることを躊躇することが多かった。すなわち、インプラントやインビザライン等のような高額な治療費が発生する治療法は、利用者の利用に対する敷居が高くなる懸念があった。
【0003】
そのため、インプラントやインビザライン等の治療法を提案する場合は、例えば、デンタルローンのようなローンでの支払いを歯科医等で提案することが行われている。しかしながら、歯科医等を含め医療系機関における治療費は、例えば医療費控除額が絡むなど算出が複雑であることに加え、ローン等で支払う場合は、金利による手数料や支払回数などの算出も必要となり、より一層治療費の算出を複雑化している。そのため、歯科医等による治療費の見積りの提案が、困難となる問題が生じている。
【0004】
上記のような課題を解決すべく、医療費控除については、医療費控除の申告に係る詳細情報を提供することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の発明は、管理対象の人員(利用者)が既に支払った、又は支払う見込みの年間の医療費と、人員の年間所得に係る所得情報とに基づいて、環付金額を含む医療費控除の申告に係る医療費控除情報を生成するものとされている。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の発明は、利用者の年間に支払う医療費に基づいた医療費控除を算出するものであり、治療費毎に受け得る医療費控除を算出するものではない。そのため、これから治療を受けようとする利用者が、実際に利用者が負担する負担治療費の見積りを取得できない問題があった。また、医師や医療系機関から、詳細な治療費の支払いプランを提案できないため、利用者が治療を受けることを躊躇する懸念があった。
【0008】
そこで、本発明は、医師や医療系機関での治療を受ける患者等に対して、医療費控除額を含めた治療費の見積りを提供することが可能な治療費見積プログラム及び治療費見積システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の治療費見積プログラムは、情報処理装置において実行可能な医療における治療費見積プログラムであって、医師、又は医療系機関による治療方法毎に設定された治療費を見積もる治療費見積処理が、前記治療費を取得する治療費取得処理と、健康保険に係る被保険者の年間所得額を取得する年間所得額取得処理と、前記年間所得額に基づいて、課税所得額を取得する課税所得額取得処理と、取得された前記課税所得額に基づいて、還付予定の医療費控除額を算出する医療費控除額算出処理と、前記治療費から前記医療費控除額を控除することで前記被保険者が負担する予定の負担治療費を算出する負担治療費算出処理と、前記治療費に対応して、前記年間所得額、前記課税所得額、前記医療費控除額、及び前記負担治療費のうちの少なくとも前記負担治療費を含む治療費情報を生成する治療費情報生成処理と、を実行するものであること、を特徴とするものである。
【0010】
上述した治療費見積プログラムは、医師又は医療系機関による治療方法毎に設定された治療費を見積もることができる。ここで、医師又は医療系機関は、歯科医師又は歯科系医療機関を含む各種の医師や医療系機関を含むものとされている。また、上述した治療費見積プログラムは、治療費と、被保険者の年間所得額(見込の年間所得額を含む)と、課税所得額と、に基づいて、当該治療費に対する還付予定の医療費控除額を算出できる。ここで、課税所得額は、年間所得額から所得控除額を控除したものとされている。前記課税所得額は、被保険者から直接的に取得するものの他、被保険者の情報に基づいて間接的に取得するものでもよい。これらにより、上述した治療費見積プログラムは、治療費毎に医療費控除額を含めた負担治療費に係る治療費情報を生成することができる。そのため、上述した治療費見積プログラムによれば、利用者は、医療費控除額を考慮した負担治療費の見積りを参考に治療を受けるか否かの決定を行うことができる。これにより、上述した治療費見積プログラムは、例えば、インプラントやインビザライン等のような高額な治療費が発生する治療に対する利用者の敷居を下げることができる。また、上述した治療費見積プログラムは、治療費毎に、年間所得額、医療費控除額、及び負担治療費のうちの少なくとも負担治療費を含む治療費情報を生成することができるので、医師や医療系機関の負担を軽減できる。
【0011】
(2)上述した本発明の治療費見積プログラムは、前記治療費見積処理が、前記負担治療費に対してローンによる返済期間、前記ローンによる支払回数、及び前記ローンの金利から1回あたりの返済額、及び手数料を算出するローン返済見積処理を含むものであり、前記治療費情報は、1回あたりの返済額、手数料、及び前記医療費控除額から前記手数料を減算することにより算出される差引控除額を含むこと、を特徴とするとよい。
【0012】
上述した治療費見積プログラムは、かかる構成とすることにより、負担治療費に対してローンでの支払いをする場合の金利による手数料を考慮した治療費情報を得ることができる。そのため、利用者が、ローンを利用する場合の1回あたりの返済額や手数料を考慮して、ローンの利用可否を決定することができる。これにより、利用者の利便性の向上が期待できる。
【0013】
(3)上述した本発明の治療費見積プログラムは、前記治療費を請求する医師、又は医療系機関を特定するために、予め前記医師、又は医療系機関に対して識別情報を付与する識別情報付与処理と、前記識別情報を登録識別情報として登録する識別情報登録処理と、前記識別情報の入力を受け付ける識別情報入力受付処理と、前記識別情報入力受付処理により入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致するか否かを判定する識別情報判定処理と、を実行可能であり、前記識別情報判定処理において、前記識別情報が、前記登録識別情報と一致することを条件として、前記治療費見積処理の実行が許可されること、を特徴とするとよい。
【0014】
上述した治療費見積プログラムは、かかる構成とすることにより、特定の医師、又は医療系機関に対して、当該治療費見積プログラムの利用を許諾することができる。これにより、上述した治療費見積プログラムは、医師、又は医療系機関の不正な利用を抑制することができる。ここで、識別情報は、例えば、治療費見積プログラムに関する利用契約を締結した医師、又は医療系機関に対して付与されるものとすればよい。かかる構成とすることにより、上述した治療費見積プログラムは、前記利用契約を締結していない第三者の利用を抑制できる。
【0015】
(4)上述した本発明の治療費見積プログラムは、前記識別情報入力受付処理により入力を受け付けた前記識別情報が付与された前記医師、又は前記医療系機関を利用者に対して告知するための告知情報を出力すること、を特徴とするとよい。
【0016】
上述した治療費見積プログラムによれば、医師又は医療系機関に予め割り当てられた(付与された)識別情報が、利用者に告知情報として告知される。そのため、例えば、他人になりすまして、他人の識別情報を使用した場合、治療費見積システムを使用する医師又は医療系機関とは異なる他人の識別情報が、治療費見積を受ける利用者に対して告知情報として告知される。したがって、他人になりすましたことが、利用者に曝されることになるため、他人になりすました者が恥辱を受けることとなる。これにより、上述した治療費見積プログラムによれば、他人へのなりすましに対する抑制効果が期待できる。
【0017】
(5)上述した本発明の治療費見積プログラムは、前記告知情報に係る出力が、画像の表示、及び印刷の少なくとも一方により行われること、を特徴とするとよい。
【0018】
上述した治療費見積プログラムは、かかる構成とすることにより、告知情報を視覚的に認識させることができる。そのため、なりすましにより、治療費見積プログラムを利用する者に対して、より一層の恥辱を与えることができる。これにより、なりすましによる治療費見積プログラムの利用に対して、より一層の抑止効果が期待できる。
【0019】
(6)上述した本発明の治療費見積プログラムは、インターネットを介して閲覧可能とされたウェブサイトにおいて実行可能とされており、ウェブサイト上でバナーを表示するバナー表示処理を実行可能であり、前記バナーには、前記治療費見積処理を実行可能な実行ウェブサイトにリンクが張られており、前記バナーにアクセスすることで、前記実行ウェブサイトにおいて、前記治療費見積処理が実行されること、を特徴とするとよい。
【0020】
上述した治療費見積プログラムは、かかる構成とすることにより、実行ウェブサイトにアクセス可能なリンクが貼り付けられたバナーをウェブサイトに表示させることができる。これにより、上述した治療費見積プログラムは、医師又は医療系機関が自身で提供するウェブサイト(ホームページ)上にバナーを表示させることができる。そのため、医師、又は医療系機関に対する宣伝効果、及び治療費見積プログラムに対する宣伝効果の双方の宣伝効果が期待できる。また、医師又は医療系機関による治療を受ける利用者が、当該医師又は医療系機関のウェブサイトにアクセスすることで、利用者(患者)がバナーにリンクした実行ウェブサイト上で、治療費の見積りを行うことができる。これにより、利用者における利便性が向上する。
【0021】
(7)上述した本発明の治療費見積プログラムは、前記治療費を請求する医師、又は医療系機関を特定するために、予め前記医師、又は医療系機関に対して識別情報を付与する識別情報付与処理と、前記識別情報を登録識別情報として登録する識別情報登録処理と、前記識別情報の入力を受け付ける識別情報入力受付処理と、前記識別情報入力受付処理により入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致するか否かを判定する識別情報判定処理と、を実行可能であり、前記バナー表示処理は、前記識別情報入力受付処理で入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致することを条件として、前記ウェブサイト上に前記バナーを表示する処理を行うものであること、を特徴とするとよい。
【0022】
上述した治療費見積プログラムは、かかる構成とすることにより、識別情報が付与された特定の医師、又は医療系機関におけるウェブサイト上にバナーを表示させることができる。そのため、上述した治療費見積プログラムは、第三者による不正な治療費見積プログラムの使用を抑制できるので、セキュリティを向上させることができる。
【0023】
(8)上述した本発明の治療費見積プログラムは、前記医療費控除額が、所得税に係る環付額と、翌年の住民税に係る還付額と、を含むこと、を特徴とするとよい。
【0024】
上述した治療費見積プログラムは、かかる構成とすることにより、医療費控除額に係る詳細な還付額を明確にすることができる。これにより、治療費の見積りを受ける利用者が、控除対象となる税金を明確に把握することができる。
【0025】
(9)上述した本発明の治療費見積プログラムは、前記治療費情報が、画面表示又は画面表示、及び印刷媒体への印刷の少なくとも一方により行われること、を特徴とするとよい。
【0026】
上述した治療費見積プログラムは、かかる構成とすることにより、利用者に対して治療費情報を、視覚を通じて確実に伝えることができる。これにより、利用者が、治療費情報に基づいて、治療を受けるか否かの判断を容易に行うことができる。
【0027】
(10)上述した課題を解決すべく提供される本発明の治療費見積システムは、 情報処理装置によって構成される治療費見積システムであって、医師、又は医療系機関による治療方法毎に設定された治療費に係る見積もり処理を行う治療費見積処理部を備え、前記治療費見積処理部は、前記治療費を取得する治療費取得部と、健康保険に係る被保険者の年間所得額を取得する年間所得額取得部と、取得された年間所得額に基づいて、課税所得額を取得する課税所得額取得部と、取得された前記課税所得額に基づいて、還付予定の医療費控除額を算出する医療費控除額算出部と、前記治療費から前記医療費控除額を控除することで前記被保険者が負担する予定の負担治療費を算出する負担治療費算出部と、前記治療費に対応して、前記年間所得額、前記課税所得額、前記医療費控除額、及び前記負担治療費のうちの少なくとも前記負担治療費を含む治療費情報を生成する治療費情報生成部と、を備えること、を特徴とするものである。
【0028】
上述した治療費見積システムは、医師又は医療系機関による治療方法毎に設定された治療費を見積もることができる。ここで、医師又は医療系機関は、歯科医師又は歯科系医療機関を含む各種の医師や医療系機関を含むものとされている。また、上述した治療費見積システムは、治療費と、被保険者の年間所得額(見込の年間所得額を含む)と、課税所得額と、に基づいて、当該治療費に対する還付予定の医療費控除額を算出できる。ここで、課税所得額は、年間所得額から所得控除額を控除したものとされている。前記課税所得額は、被保険者から直接的に取得するものの他、被保険者の情報に基づいて間接的に取得するものでもよい。これらにより、上述した治療費見積システムは、治療費毎に医療費控除額を含めた負担治療費に係る治療費情報を生成することができる。そのため、上述した治療費見積システムによれば、利用者は、医療費控除額を考慮した負担治療費の見積りを参考に治療を受けるか否かの決定を行うことができる。これにより、上述した治療費見積システムは、例えば、インプラントやインビザライン等のような高額な治療費が発生する治療に対する利用者の敷居を下げることができる。また、上述した治療費見積システムは、治療費毎に、年間所得額、医療費控除額、及び負担治療費のうちの少なくとも負担治療費を含む治療費情報を生成することができるので、医師や医療系機関の負担を軽減できる。
【0029】
(11)上述した本発明の治療費見積システムは、前記治療費見積処理部が、前記負担治療費に対してローンによる返済期間、前記ローンによる支払回数、及び前記ローンの金利から1回あたりの返済額、及び手数料を算出するローン返済見積部を有しており、前記治療費情報生成部において生成される治療費情報が、1回あたりの返済額、手数料、及び前記医療費控除額から前記手数料を減算することにより算出される差引控除額を含むこと、を特徴とするとよい。
【0030】
上述した治療費見積システムは、かかる構成とすることにより、負担治療費に対してローンでの支払いをする場合の金利による手数料を考慮した治療費情報を得ることができる。そのため、利用者が、ローンを利用する場合の1回あたりの返済額や手数料を考慮して、ローンの利用可否を決定することができる。これにより、利用者の利便性の向上が期待できる。
【0031】
(12)上述した本発明の治療費見積システムは、前記情報処理装置が、前記治療費を請求する医師、又は医療系機関を特定するために、予め前記医師、又は前記医療系機関に対して識別情報を付与する識別情報付与部と、前記識別情報を登録識別情報として登録する識別情報登録部と、前記識別情報の入力を受け付ける識別情報入力受付部と、前記識別情報入力受付部により入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致するか否かを判定する識別情報判定部と、を備えており、前記識別情報判定部において、前記識別情報が、前記登録識別情報と一致することを条件として、前記治療費見積処理部における前記治療費の見積り処理の実行が許可されること、を特徴とするとよい。
【0032】
上述した治療費見積システムは、かかる構成とすることにより、特定の医師、又は医療系機関に対して、当該治療費見積システムの利用を許諾することができる。これにより、上述した治療費見積システムは、医師、又は医療系機関の不正な利用を抑制することができる。ここで、識別情報は、例えば、治療費見積システムに関する利用契約を締結した医師、又は医療系機関に対して付与されるものとすればよい。かかる構成とすることにより、上述した治療費見積システムは、前記利用契約を締結していない第三者の利用を抑制できる。
【0033】
(13)上述した本発明の治療費見積システムは、前記識別情報入力受付部により入力を受け付けた前記識別情報が付与された前記医師、又は前記医療系機関を利用者に対して告知するための告知情報を出力する告知情報出力部を備えること、を特徴とするとよい。
【0034】
上述した治療費見積システムによれば、医師又は医療系機関に予め割り当てられた(付与された)識別情報が、告知情報出力部によって利用者に告知情報として告知される。そのため、例えば、他人になりすまして、他人の識別情報を使用した場合、治療費見積システムを使用する医師又は医療系機関とは異なる他人の識別情報が、治療費見積を受ける利用者に対して告知情報として告知される。したがって、他人になりすましたことが、利用者に曝されることになるため、他人になりすました者が恥辱を受けることとなる。これにより、他人へのなりすましに対する抑制効果が期待できる。
【0035】
ここで、告知情報出力部による出力は、例えば、画面への表示や印刷媒体(例えば、紙媒体)への印刷などとすればよい。かかる構成とすることにより、上述した治療費見積システムは、告知情報を視覚的に認識させることができる。そのため、なりすましにより、治療費見積システムを利用する者に対して、より一層の恥辱を与えることができる。これにより、なりすましによる治療費見積システムの利用に対して、より一層の抑止効果が期待できる。
【0036】
(14)上述した本発明の治療費見積システムは、前記情報処理装置が、インターネットを介して閲覧可能とされたウェブサイトにおいて表示可能とされたバナーを、ネットワークを通じて前記ウェブサイトに表示させるバナー表示処理部を備えており、前記ウェブサイトに表示される前記バナーには、前記治療費見積処理部における治療費見積処理を実行可能な実行ウェブサイトにアクセス可能なリンクが張られており、前記バナーにアクセスすることで、前記実行ウェブサイトにおいて、前記治療費見積処理が実行されること、を特徴とするとよい。
【0037】
上述した治療費見積システムは、かかる構成とすることにより、実行ウェブサイトにアクセス可能なリンクが貼り付けられたバナーをウェブサイトに表示させることができる。これにより、上述した治療費見積システムは、医師又は医療系機関が自身で提供するウェブサイト(ホームページ)上にバナーを表示させることができる。そのため、医師、又は医療系機関に対する宣伝効果、及び治療費見積システムに対する宣伝効果の双方の宣伝効果が期待できる。また、医師又は医療系機関による治療を受ける利用者が、当該医師又は医療系機関のウェブサイトにアクセスすることで、利用者(患者)がバナーにリンクした実行ウェブサイト上で、治療費の見積りを行うことができる。これにより、利用者における利便性が向上する。
【0038】
(15)上述した本発明の治療費見積システムは、前記情報処理装置が、前記治療費を請求する医師、又は医療系機関を特定するために、予め前記医師、又は前記医療系機関に対して識別情報を付与する識別情報付与部と、前記識別情報を登録識別情報として登録する識別情報登録部と、前記識別情報の入力を受け付ける識別情報入力受付部と、前記識別情報入力受付部により入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致するか否かを判定する識別情報判定部と、を備えており、前記バナー表示処理部は、前記識別情報入力受付部で入力を受け付けた前記識別情報が、前記登録識別情報と一致することを条件として、前記ウェブサイト上に前記バナーを表示する処理を行うものであること、を特徴とするとよい。
【0039】
上述した治療費見積システムは、かかる構成とすることにより、識別情報が付与された特定の医師、又は医療系機関におけるウェブサイト上にバナーを表示させることができる。そのため、上述した治療費見積システムは、第三者による不正な治療費見積システムの使用を抑制できるので、セキュリティを向上させることができる。
【0040】
(16)上述した本発明の治療費見積システムは、前記医療費控除額が、所得税に係る環付額と、翌年の住民税に係る還付額と、を含むこと、を特徴とするとよい。
【0041】
上述した治療費見積システムは、かかる構成とすることにより、医療費控除額に係る詳細な還付額を明確にすることができる。これにより、治療費の見積りを受ける利用者が、控除対象となる税金を明確に把握することができる。
【0042】
(17)上述した本発明の治療費見積システムは、前記情報処理装置が、画像出力処理部及び印刷出力処理部の少なくとも一方を有しており、前記治療費情報が、画像の表示、及び印刷の少なくとも一方により行われること、を特徴とするとよい。
【0043】
上述した治療費見積システムは、かかる構成とすることにより、利用者に対して治療費情報を、視覚を通じて確実に伝えることができる。これにより、利用者が、治療費情報に基づいて、治療を受けるか否かの判断を容易に行うことができる。
【0044】
(18)上述した本発明の治療費見積システムは、前記情報処理装置が、サーバーとして構成されていること、を特徴とするとよい。
【0045】
上述した治療費見積システムは、情報処理装置がサーバーとして構成されているので、医師や医療系機関側の端末装置に上述した治療費見積プログラムを組み込まなくても、サーバー上で治療費の見積りに関する処理を実行できる。そのため、上述した治療費見積システムによれば、医師や医療系機関側でのより一層の負担の軽減が期待できる。また、利用者側の端末装置に掛かる負荷の低減が期待できる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、医師や医療系機関での治療を受ける患者等に対して、医療費控除額を含めた治療費の見積りを提供することが可能な治療費見積プログラム及び治療費見積システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の一実施形態に係る治療費見積システムのブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る治療費見積システムの概略体系図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る治療費見積システム及び治療費見積プログラムで表示されるバナーを含むウェブサイトの一実施画面である。
【
図4】
図3におけるバナーにリンクする実行ウェブサイトに係る一実施画面である
【
図5】本発明の治療費見積システム及び治療費見積プログラムにおける課税所得額の取得に係る一実施画面である。
【
図6】本発明により生成された治療費情報を表示する実行ウェブサイトに係る一実施画面である。
【
図7】(a)及び(b)は、
図6における治療費情報の拡大図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る治療費見積プログラムにおける識別情報付与処理に係るフロー図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る治療費見積プログラムにおける治療費見積処理に係るフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る治療費見積システム1の詳細を説明する。なお、これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付していることに留意されたい。また、本実施形態では、医師又は医療系機関6Aが、歯科医師又は歯科系医療機関6A(例えば、歯科医院)である場合を例として説明する。また、本実施形態では、歯科医師又は歯科系医療機関6Aにより、例えば、インプラントやインビザライン等の治療における治療費の見積りを行う場合を例として説明する。
【0049】
図1に示すように、治療費見積システム1は、情報処理装置2を備えている。本実施形態では、情報処理装置2がサーバー2Aとして構成されている場合を例として説明する。治療費見積システム1は、情報処理装置2に治療費見積プログラムをインストールすることにより実現されている。
【0050】
情報処理装置2は、本実施形態では、サーバー2Aとして構成されている。情報処理装置2は、CPU(中央演算処理装置)、記憶部(メモリ)、及び通信部(共に図示せず)等を備えている。情報処理装置2は、通信部を介してインターネット3に接続されている。また、情報処理装置2は、識別情報付与部10、識別情報登録部11、識別情報入力受付部12、及び識別情報判定部13を備えている。また、情報処理装置2は、前記の他、バナー表示処理部15、及び治療費見積処理部20等を備えている。
【0051】
識別情報付与部10は、治療費を請求する医師又は医療系機関6A(以下、両者を総称して医療系機関等6とも称する)を特定するために、予め医療系機関等6に対して識別情報5(
図2参照)を付与するものとされている。識別情報付与部10は、
図2に示すように、システム提供企業7と医療系機関等6との間で、治療費見積システム1(治療費見積プログラム)に係る利用契約が締結されることにより、識別情報5を医療系機関等6に付与する。ここで、識別情報5は、例えば、ユーザーIDに係る識別符号と、暗証番号とで構成されている。識別符号及び暗証番号は、例えば、数字・文字・記号などの組み合わせにより構成すればよい。
【0052】
図1及び
図2に示すように、識別情報登録部11は、適宜の記憶部として構成されており、医療系機関等6に付与された識別情報5を登録識別情報5Aとして登録(記憶)することができる。識別情報登録部11に登録された登録識別情報5Aは、医療系機関等6との認証に供される。
【0053】
識別情報入力受付部12は、インターネット3を介して閲覧可能とされたウェブサイトSとして提供されるものである。詳細は後述するが、識別情報入力受付部12は、バナーBA(
図3参照)に張られたリンク先である実行ウェブサイトSEにおいて提供されている。
図1に示すように、識別情報入力受付部12は、例えば、医療系機関等6における医療系機関側端末装置6B(
図2参照)において入力される識別情報5の入力を受け付けるものとされている。識別情報入力受付部12において入力が受け付けられた識別情報5は、識別情報判定部13に送信される。
【0054】
識別情報判定部13は、識別情報入力受付部12により入力を受け付けた識別情報5が、登録識別情報5Aと一致するか否かを判定するものとされている。また、識別情報判定部13において、識別情報5が、登録識別情報5Aと一致することを条件として、後述する治療費見積処理部20における治療費見積処理の実行が許可される。すなわち、識別情報判定部13は、入力を受け付けた識別情報5と、登録識別情報5Aとが一致するか否かの判定を行うことで、利用契約が締結された医療系機関等6であるか否かの認証を行うものとされている。
【0055】
したがって、上述した治療費見積システム1(治療費見積プログラム)では、識別情報判定部13における判定により、特定の医療系機関等6に対して、当該治療費見積システム1の利用を許諾することができる。これにより、上述した治療費見積システム1は、医療系機関等6の不正な利用を抑制することができる。また、上述した治療費見積システム1は、識別情報5が、治療費見積システム1に関する利用契約を締結した医療系機関等6に対して付与されているので、利用契約を締結していない第三者の利用を抑制できる。
【0056】
バナー表示処理部15は、バナーBA(
図3参照)を、インターネット3を介して閲覧可能とされたウェブサイトSにおいて表示させることができる。
図3に示すように、バナーBAは、例えば、医療系機関等6におけるウェブサイトS(ホームページSとも称する)にネットワークを通じて表示されるものである。本実施形態では、バナー表示処理部15は、識別情報入力受付部12で入力を受け付けた識別情報5が、登録識別情報5Aと一致することを条件として、ウェブサイトS上にバナーBAを表示するバナー表示処理を行うものとされている。すなわち、医療系機関等6が、システム提供企業7と利用契約を締結することにより、医療系機関等6におけるウェブサイトS上にバナーBAが表示されることとなる。
【0057】
バナーBAは、治療費見積処理部20へのリンクが張られており、例えば、利用者4が、バナーBAをクリックすることにより、治療費見積処理を実行可能な実行ウェブサイトSEに移行させることができる。バナーBAには、各種のものが利用でき、例えば、本発明の治療費見積システム1の宣伝広告などを併せて掲載するものでもよい。これにより、上述した治療費見積システム1は、治療費の見積りと併せて、各種の宣伝効果を発揮させることができる。なお、バナーBAには、様々な形態のものが利用できる。
【0058】
このように、上述した治療費見積システム1は、識別情報5が付与された特定の医師、又は医療系機関6AにおけるウェブサイトS上にバナーBAを表示させることができる。そのため、上述した治療費見積システム1は、第三者による不正な治療費見積システム1の使用を抑制できるので、セキュリティを向上させることができる。
【0059】
次に本発明の治療費見積システム1における主要部をなす治療費見積処理部20の構成について、以下に詳細を説明する。
【0060】
図1に示すように、治療費見積処理部20は、医療系機関等6による治療方法毎に設定された治療費に係る見積もり処理を行うものとされている。治療費見積処理部20は、治療費取得部21、年間所得額取得部22、医療費控除額算出部23、負担治療費算出部24、及び治療費情報生成部25を備えている。また、治療費見積処理部20は、前記の他、ローン返済見積部26、画像出力処理部27、印刷出力処理部28及び告知情報出力部29等を備えている。
【0061】
治療費取得部21は、医療系機関等6により設定された治療方法毎の治療費を取得することができる。具体的には、治療費取得部21による治療費の取得は、例えば、医療系機関等6からインプラントやインビザライン等の治療に対して設定した治療費(控除前)を利用者4に通知し、通知を受けた利用者4が利用者側端末装置4Aにおいて直接入力するように構成することができる。また、治療費取得部21による治療費の取得は、例えば、医療系機関等6が、予め治療法毎に治療費を登録(入力)しておき、利用者側端末装置4Aにおいて、予め登録された治療方法を利用者4が選択することにより、対応する治療費が自動的に取得されるように構成してもよい。治療費取得部21は、上記の他、各種の手段で治療費を取得することができる。
【0062】
年間所得額取得部22は、健康保険に係る被保険者4(利用者4とも称する)の年間所得額(年収とも称する)を取得することができる。ここで、年間所得額は、旧年度のものや当該年度の見込額などとすることができる。なお、年間所得額は、直接的に入力されるものだけではなく、予めテーブルとして、概算の目安となる年間所得額(例えば、200万円、300万円など)を複数登録(
図6及び
図7参照)しておいてもよい。年間所得額取得部22による年間所得額の取得は、例えば、利用者側端末装置4Aにおいて、予め登録された年間所得額を利用者4が選択することにより、自動的に取得されるようにしてもよい。また、年間所得額取得部22による治療費の取得は、利用者4が医療系機関等6に通知し、通知を受けた医療系機関等6が利用者側端末装置4Aにおいて直接入力するように構成してもよい。年間所得額取得部22は、上記の他、各種の手段で年間所得額を取得することができる。
【0063】
課税所得額取得部30は、被保険者4の課税所得額を取得することができる。課税所得額は、年間所得額から所得控除額を控除したものとされている。
図4に示すように、課税所得額取得部30は、例えば、被保険者4が、課税所得額を知っている場合は、課税所得額を実行ウェブサイトSE上で直接入力することができる。一方、被保険者4において、課税所得額が分からない場合は、例えば、課税所得額算出用のタブボタンをクリックすることで、
図5に示すような課税所得額の算出用ウェブサイトに移行させることができる。
【0064】
課税所得額の算出用ウェブサイトでは、被保険者4が、課税所得額に係る基本情報を入力するものとされている。被保険者4が、例えば、源泉徴収票を持っている場合は、源泉徴収票等を参照しながら所得控除後の金額、及び所得控除の合計額を入力することにより、概算での課税所得額が算出される。なお、算出された課税所得額は、例えば、
図4における課税所得額の入力欄に反映されると共に、課税所得額取得部30において課税所得額として取得される。
【0065】
一方、被保険者4が、源泉徴収票を有していない場合は、年間社会保険料支払額、配偶者の有無、及び子供の有無に係る情報を入力するものとされている。被保険者4に配偶者がいる場合は、配偶者の年収の入力が必要とされている。また、被保険者4に子供がいる場合は、子供の人数の入力、及びそれぞれの子供に応じた年齢の入力が必要とされている。これらの入力欄は、配偶者の有無や子供の有無等に応じて、適宜表示されるものとされている。これらの被保険者4の情報の入力が完了すると、課税所得額が、概算で算出される。なお、算出された課税所得額は、例えば、
図4における課税所得額の入力欄に反映されると共に、課税所得額取得部30において課税所得額として取得される。このように、課税所得額取得部30においては、課税所得額を直接的又は間接的に取得することができる。なお、本実施形態では、課税所得額に係る情報を入力するものとしているが、例えば、子供の人数等について予め用意されたテーブル等から被保険者4が選択するようにしてもよい。
【0066】
医療費控除額算出部23は、情報処理装置2における演算処理により、取得された課税所得額に基づいて、還付予定の医療費控除額を算出することができる。医療費控除額算出部23は、課税所得額に基づいて、直接的に演算処理により算出するものだけではなく、予め設定された年間所得額や課税所得額の基準に当てはめて、間接的に算出するものとしてもよい。具体的には、年間所得額が200万円のときの還付額や年間所得額が400万円のときの還付額等を予めテーブルとして登録しておき、医療費控除額算出部23が、取得した年間所得額(概算でも可)と、課税所得額(概算でも可)とに応じて、対応する医療費控除額を算出するようにすればよい。
【0067】
ここで、医療費控除額は、所得税に係る環付額と、翌年の住民税に係る還付額と、を含むものとするとよい。このように、医療費控除額に上記還付額を含めることにより、上述した治療費見積システム1は、医療費控除額に係る詳細な還付額を明確にすることができる。これにより、治療費の見積りを受ける利用者4が、控除対象となる税金を明確に把握することができる。
【0068】
負担治療費算出部24は、演算処理により、治療費から医療費控除額を控除することで被保険者4(利用者4)が負担する予定の負担治療費を算出することができる。
【0069】
治療費情報生成部25は、治療費に対応して、年間所得額、医療費控除額、及び負担治療費のうちの少なくとも負担治療費を含む治療費情報25A(
図6及び
図7参照)を生成するものとされている。治療費情報25Aは、治療費見積結果に相当するものである。
【0070】
ローン返済見積部26は、上述した負担治療費に対してローンによる返済期間、ローンによる支払回数、及びローンの金利から1回あたりの返済額、及び手数料を算出することができる。治療費情報生成部25において生成される治療費情報25Aには、例えば、1回あたりの返済額、手数料(例えば、金利手数料)、及び医療費控除額から前記手数料を減算することにより算出される差引控除額など(以下、これらを総称してローン返済情報とも称する)が含まれるものとされている。詳細は後述するが、
図4に示すように、ローン返済見積部26は、ローン利用の場合の返済期間(例えば、年)、支払回数、及び金利(%)を、利用者4の入力や医療系機関等6による入力により取得し、ローン返済情報を算出することができる。
【0071】
このように、上述した治療費見積システム1では、負担治療費に対してローンでの支払いをする場合の金利による手数料を考慮した治療費情報25Aを得ることができる。そのため、利用者4が、ローンを利用する場合の1回あたりの返済額や手数料を考慮して、ローンの利用可否を決定することができる。これにより、利用者4の利便性の向上が期待できる。具体的には、例えば、医療費控除額が、ローンによる手数料を上回るため、利用者4がローンを利用した場合であっても、お得感が出るような場合が想定される。
【0072】
図1に示すように、画像出力処理部27は、例えば、情報処理装置2に配されており、治療費情報25Aに係る情報を含めた情報処理装置2に係る各種の情報を表示させるための画像を出力することができる。画像出力処理部27によって出力された画像は、例えば、利用者側端末装置4Aに接続されたディスプレイ4B(
図2参照)に表示される。なお、画像出力処理部27は、情報処理装置2に配されるものだけではなく、利用者側端末装置4Aに配されていてもよい。かかる場合は、情報処理装置2又は治療費見積プログラムによって、利用者側端末装置4Aのディスプレイ4Bを直接的又は間接的に制御すればよい。
【0073】
印刷出力処理部28は、例えば、情報処理装置2に配されており、治療費情報25Aに係る情報を含めた情報処理装置2に係る各種の情報を印刷するための印字情報を出力することができる。印刷出力処理部28によって出力された印字情報は、例えば、利用者側端末装置4Aに接続されたプリンタ4C(
図2参照)で印刷される。なお、印刷出力処理部28は、情報処理装置2に配されるものだけではなく、利用者側端末装置4Aに配されていてもよい。かかる場合は、情報処理装置2又は治療費見積プログラムによって、利用者側端末装置4Aのプリンタ4Cを直接的又は間接的に制御すればよい。
【0074】
このように、上述した治療費見積システム1は、利用者4に対して治療費情報25Aを、視覚を通じて確実に伝えることができる。これにより、利用者4が、治療費情報25Aに基づいて、治療を受けるか否かの判断を容易に行うことができる。
【0075】
告知情報出力部29は、識別情報入力受付部12により入力を受け付けた識別情報5が付与された医師、又は医療系機関6Aを利用者4に対して告知するための告知情報29Aを出力することができる。具体的には、
図2及び
図4に示すように、治療費情報25A(治療費見積結果)と共に、利用者4側のディスプレイ4B上に、識別情報5と対応する歯科医院の名称等の告知情報29Aが表示される。なお、治療費情報25Aをプリンタ4Cで出力する場合は、印字媒体上に告知情報29Aが表示される。告知情報29Aは、単一のものだけではなく、複数のものであってもよい。
【0076】
このように、上述した治療費見積システム1によれば、医師又は医療系機関6Aに予め割り当てられた(付与された)識別情報5が、告知情報出力部29によって利用者4に告知情報29Aとして告知される。そのため、例えば、他人になりすまして、他人の識別情報5を使用した場合、治療費見積システム1を使用する医師又は医療系機関6Aとは異なる他人の識別情報5が、治療費見積を受ける利用者4に対して告知情報29Aとして告知される。したがって、他人になりすましたことが、利用者4に曝されることになるため、他人になりすました者が恥辱を受けることとなる。これにより、他人へのなりすましに対する抑制効果が期待できる。
【0077】
また、告知情報出力部29による出力は、例えば、画面への表示や印刷媒体(例えば、紙媒体)への印刷などとされている。そのため、上述した治療費見積システム1は、告知情報29Aを視覚的に認識させることができる。そのため、なりすましにより、治療費見積システム1を利用する者に対して、より一層の恥辱を与えることができる。これにより、なりすましによる治療費見積システム1の利用に対して、より一層の抑止効果が期待できる。
【0078】
以上が、本発明の治療費見積システム1の構成であり、次に治療費見積システム1、及び治療費見積システム1に組み込まれる治療費見積プログラムの動作について、
図8及び
図9のフロー図、並びに
図2~
図7を参照しながら、以下に詳細を説明する。
【0079】
図8に示すように、治療費情報25Aの見積りに先立って、医療系機関等6に対して識別情報付与処理(ステップS10)が実行される。識別情報付与処理(ステップS10)では、システム提供企業7と治療費見積システム1(治療費見積プログラム)に係る利用契約(例えば、有料ライセンス契約)を締結した医療系機関等6に対して、識別情報5が付与される(
図2参照)。
【0080】
医療系機関等6とシステム提供企業7との利用契約が締結されることに伴い、識別情報5を登録識別情報5Aとして登録する識別情報登録処理(ステップS11)が実行される。
【0081】
続いて、識別情報入力受付処理(ステップS11)において入力を受け付けた識別情報5が、登録識別情報5Aと一致したか否かの識別情報判定処理(ステップS13)が実行される。図示を省略するが、識別情報入力受付処理(ステップS11)では、例えば、医療系機関等6における医療系機関側端末装置6Bにおいて、識別情報5の入力を受け付ける画面が表示される。
【0082】
識別情報判定処理(ステップS13)において、識別情報5が登録識別情報5Aと一致しない場合は、識別情報入力受付処理(ステップS12)に処理が戻される。一方、識別情報判定処理(ステップS13)において、識別情報5が登録識別情報5Aと一致した場合は、治療費情報見積処理(ステップS20)としてのサブルーチン処理の実行が許可される。
【0083】
治療費情報見積処理(ステップS20)の実行が許可されると、治療費情報見積処理(ステップS20)に先立って、告知情報出力処理(ステップS14)が実行される。これにより、治療費情報見積処理(ステップS20)において、利用者側端末装置4Aのディスプレイ4B等に告知情報29Aを表示させるための出力処理が行われる。すなわち、告知情報出力処理(ステップS14)では、識別情報入力受付処理(ステップS12)により入力を受け付けた識別情報5が付与された医師、又は医療系機関6Aを利用者4に対して告知するための告知情報29Aを出力するための処理が実行される。なお、告知情報29Aは、治療費情報見積処理(ステップS20)を実行する際に、利用者側端末装置4Aのディスプレイ4B等に表示される。
【0084】
続いて、ディスプレイ4B(
図2参照)に表示された医療系機関等6のウェブサイトS(ホームページS)にバナーBAを表示するバナー表示処理(ステップS15)が実行される。
【0085】
上述したようにバナーBAには、治療費見積処理を実行可能な実行ウェブサイトSEにリンクが張られており、利用者4が、バナーBAをクリック(バナーBAにアクセス)することで、バナーBAにリンクする実行ウェブサイトSEへの移行が許可される。
【0086】
このように、上述した治療費見積プログラムは、特定の医師、又は医療系機関6Aに対して、当該治療費見積プログラムの利用を許諾することができる。これにより、上述した治療費見積プログラムは、医師、又は医療系機関6Aの不正な利用を抑制することができる。また、識別情報5は、例えば、治療費見積プログラムに関する利用契約を締結した医師、又は医療系機関6Aに対して付与されるので、上述した治療費見積プログラムは、利用契約を締結していない第三者の利用を抑制できる。
【0087】
図9に示すように、治療費見積プログラムにおける処理は、バナーBAへのアクセスに伴い、治療費情報見積処理(ステップS20)に移行する。治療費情報見積処理(ステップS20)が実行されると、利用者側端末装置4Aにおけるディスプレイ4Bに情報入力を受け付ける実行ウェブサイトSEに係る画像が表示される(
図2及び
図4参照)。
【0088】
実行ウェブサイトSE上では、医療系機関等6の治療毎に設定された治療費の入力を受け付ける治療費取得処理(ステップS21)が実行される。本実施形態では、治療費取得処理(ステップS21)において、利用者4が直接的に治療費を入力するものとしている。なお、治療費取得処理(ステップS21)では、適宜、利用者4が、治療を選択することにより、自動的に治療費が入力されるものとすることもできる。また、治療費取得処理(ステップS21)では、医療系機関等6側で、利用者4の治療に必要な治療費が設定されるようにしてもよい、
【0089】
続いて、利用者4における健康保険に係る被保険者4(利用者4)の年間所得額の入力を受け付ける年間所得額取得処理(ステップS22)が実行される。本実施形態では、治療費取得処理(ステップS22)において、利用者4が直接的に年間所得額を入力するものとしている。なお、年間所得額取得処理(ステップS22)では、適宜、利用者4が、年間所得額を選択することにより、自動的に年間所得額が入力されるものとすることもできる。また、年間所得額取得処理(ステップS22)で取得される年間所得額は、所定の範囲毎に予め複数の範囲として設定されていてもよい(
図7参照)。
【0090】
また、年間所得額取得処理(ステップS22)に続いて、課税所得額取得処理(ステップS23)が実行される。課税所得額取得処理(ステップS23)で取得される課税所得額は、年間所得額取得処理(ステップS22)で取得された年間所得額から所得控除額を控除することで取得(算出)できる。課税所得額取得処理(ステップS23)は、例えば、被保険者4が、源泉徴収票等を参照しながら入力等した課税所得額を直接的に取得処理するものや、例えば、被保険者4の情報に基づいて、間接的に課税所得額を取得(算出)処理するものなど各種の処理手段を用いて課税所得額を取得する処理を行うことができる。ここで、間接的に課税所得額をする場合の被保険者4の情報には、例えば、被保険者4が1年間に支払った社会保険料、配偶者及び子供の有無、配偶者がいる場合の配偶者の収入、子供がいる場合の子供の年齢などの各種の情報(
図5参照)を含めることができる。
【0091】
続いて、本実施形態では、ローン返済を検討する場合のローン返済情報取得処理(ステップS24)が実行される。なお、ローン返済情報取得処理(ステップS24)は、必要に応じて行えばよく、ローン返済情報取得処理(ステップS24)を実行しないものとすることも可能である。
【0092】
ステップS21~ステップS24の処理が実行されると、取得された課税所得額に基づいて、還付予定の医療費控除額を算出する医療費控除額算出処理(ステップS25)が実行される。また、医療費控除額算出処理(ステップS24)に続き、治療費から医療費控除額を控除することで被保険者4が負担する予定の負担治療費を算出する負担治療費算出処理(ステップS26)が実行される。
【0093】
続いて、本実施形態では、ローン利用の場合のローン返済見積処理(ステップS27)が実行される。ローン返済見積処理(ステップS27)は、負担治療費算出処理(ステップS26)において算出された負担治療費に対してローンによる返済期間、前記ローンによる支払回数、及び前記ローンの金利から1回あたりの返済額、及び手数料を算出するものとされている。なお、治療費取得処理(ステップS21)、年間所得額取得処理(ステップS22)、及びローン返済情報取得処理(ステップS24)は、それぞれ直列的に処理されるものだけではなく、並列的に処理されるものなど、適宜、処理の順番を変更することが可能である。
【0094】
続いて、治療費に対応して、年間所得額、課税所得額、医療費控除額、及び負担治療費のうちの少なくとも負担治療費を含む治療費情報25Aを生成する治療費情報生成処理(ステップS28)が実行される。本実施形態では、年間所得額、医療費控除額、及び負担治療費を含む治療費情報25Aが生成されるものとされている。また、本実施形態では、治療費情報25Aが、1回あたりの返済額、手数料、及び医療費控除額から手数料を減算することにより算出される差引控除額を含むものとされている。また、治療費情報25Aは、ローン返済見積処理(ステップS27)が実行された場合において、前記ローン返済情報を含むものとされている。
【0095】
続いて、治療費情報出力処理(ステップS29)が実行されることにより、
図6に示すように、実行ウェブサイトSE上に治療費情報25Aが表示される。
図7(a)及び
図7(b)は、
図6に示す治療費情報25Aを拡大したものである。なお、治療費情報出力処理(ステップS29)は、治療費情報25Aの画像での出力と共に、あるいは、治療費情報25Aの画像での出力に代えて印刷による出力とすることができる。また、治療費情報出力処理(ステップS29)では、告知情報出力処理(ステップS14)において生成した告知情報29Aが治療費情報25Aと併せて出力される。
【0096】
以上が、治療費見積システム1及び治療費見積プログラムの動作の詳細であり、次に治療費見積システム1の作用効果について、以下に説明する。なお、治療費見積プログラムの作用効果は、治療費見積システム1と同様であるので、特に相違がない場合は、治療費見積システム1の作用効果として説明し、同様部分の説明は省略する。
【0097】
上述した治療費見積システム1は、医師又は医療系機関6Aによる治療方法毎に設定された治療費を見積もることができる。また、上述した治療費見積システム1は、治療費と、被保険者4の年間所得額(見込の年間所得額を含む)と、課税所得額と、に基づいて、当該治療費に対する還付予定の医療費控除額を算出できる。これらにより、上述した治療費見積システム1は、治療費毎に医療費控除額を含めた負担治療費に係る治療費情報25Aを生成することができる。そのため、上述した治療費見積システム1によれば、利用者4は、医療費控除額を考慮した負担治療費の見積りを参考に治療を受けるか否かの決定を行うことができる。これにより、上述した治療費見積システム1は、例えば、インプラントやインビザライン等のような高額な治療費が発生する治療に対する利用者4の敷居を下げることができる。また、上述した治療費見積システム1は、治療費毎に、年間所得額、医療費控除額、及び負担治療費のうちの少なくとも負担治療費を含む治療費情報25Aを生成することができるので、医師や医療系機関6Aの負担を軽減できる。
【0098】
また、上述した治療費見積システム1は、実行ウェブサイトSEにアクセス可能なリンクが貼り付けられたバナーBAをウェブサイトSに表示させることができる。これにより、上述した治療費見積システム1は、医師又は医療系機関6Aが自身で提供するウェブサイトS(ホームページS)上にバナーBAを表示させることができる。そのため、医師、又は医療系機関6Aに対する宣伝効果、及び治療費見積システム1に対する宣伝効果の双方の宣伝効果が期待できる。また、医師又は医療系機関6Aによる治療を受ける利用者4が、当該医師又は医療系機関6AのウェブサイトSにアクセスすることで、利用者4(患者4)がバナーBAにリンクした実行ウェブサイトSE上で、治療費の見積りを行うことができる。これにより、利用者4における利便性が向上する。
【0099】
また、上述した治療費見積システム1は、情報処理装置2を、サーバー2Aとして構成することにより、医療系機関側端末装置6Bに上述した治療費見積プログラムを組み込まなくても、サーバー2A上で治療費の見積りに関する処理を実行できる。そのため、情報処理装置2がサーバー2Aとして構成された治療費見積システム1によれば、医師や医療系機関6A側での負担のより一層の軽減が期待できる。また、利用者側端末装置4Aに掛かる負荷の低減が期待できる。
【0100】
以上が、本発明の一実施形態に係る治療費見積システム1及び治療費見積プログラムの構成及び作用効果であるが、本発明の治療費見積システム1及び治療費見積プログラムは、上記実施形態には限定されず、各種の変形を行うことができる。
【0101】
例えば、医療費控除額算出処理は、適宜、法令等に応じて、各種の計算方法で算出することが可能である。また、治療費情報生成処理によって生成される治療費情報25Aは、年間所得額、課税所得額、医療費控除額、及び負担治療費のうちの少なくとも負担治療費を含んでいればよく、利用形態に応じて、適宜変更できる。また、本実施形態では、医師又は医療系機関6Aが歯科系医師又は歯科系医療機関6Aである場合を例示したが、本発明の治療費見積システム1は、これには限定されず、各種の医師や医療系機関6Aに利用することができる。また、本発明の治療費見積システム1は、インプラントやインビザラインの治療費を見積もるものだけではなく、矯正やレーシック等の各種の治療方法(特に高額治療)に利用することが可能である。
【0102】
本実施形態では、ローン返済見積部26によりローン返済見積処理が実行されるものとしたが、ローン返済見積部26の搭載やローン返済見積処理の実行は、必要に応じて行えばよく、ローン返済見積部26の搭載を行わないものや、ローン返済見積処理を実行しないものとすることも可能である。また、ローン返済見積処理は、実施形態に係るものに限定されず、各種の態様のローン返済に係る見積りを行うことができる。例えば、ローンによる返済期間、ローンによる支払回数、及び金利は、各種の返済期間や支払回数の設定が可能である。治療費情報25Aに含めるローン返済情報も適宜変更が可能である。
【0103】
また、告知情報出力処理は、告知情報29Aを出力したいタイミングに応じて、適宜、処理の順序を変更することが可能である。また、本実施形態では、ローン返済見積処理が、治療費見積処理と並行して実行されるものとしたが、ローン返済見積処理は、治療費見積処理が完了し、治療費情報25Aが生成されてから行うようにしてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、告知情報29Aが医療系機関6Aの名称が表示されるものとしたが、これに代えて、あるいは、これと共に医師の名称やその他の情報が表示されるようにしてもよい。告知情報29Aは、必要に応じて、適宜変更が可能である。また、告知情報29Aの出力態様も各種の手段が採用できる。例えば、告知情報29Aは、音声により出力されるものや、異なる端末装置等からのアクセスがあった場合に、第三者である可能性を示唆するメッセージや警告が表示されるようにしてもよい。また、告知情報29Aは、必要に応じて出力すればよく、告知情報29Aを出力しないものとすることも可能である。
【0105】
また、本実施形態では、バナーBAに、治療費見積処理を実行可能な実行ウェブサイトSEにリンクが張られているものを例示したが、バナーBAは、実行ウェブサイトSEに直接的にリンクが張られているものだけではなく、間接的に実行ウェブサイトSEにリンクが張られていてもよい。また、バナーBAが、治療費見積処理を実行可能な実行ウェブサイトSEにリンクが張られていないものとすることもできる。かかる場合は、適宜、治療費見積処理を実行可能な実行ウェブサイトSEにリンクが張られたコンバージョンボタン(CVボタンとも称する)等のボタンを設けるとよい。また、ウェブサイトSや実行ウェブサイトSEに表示される画像(治療費情報25Aを含む)の態様は、図示した実施形態に係るものだけではなく、各種のものに変更することができる。また、必要に応じて、上述したもの以外にリンク先として各種の実行ウェブサイトSEやウェブサイトSを設けることも可能である。
【0106】
また、本実施形態では、情報処理装置2を介して、医療系機関等6に識別情報5の付与が行われるようにしたが、識別情報5の付与は、例えば、システム提供企業7から直接的に医療系機関等6に行われるものや、電子メール等で医療系機関等6に送信されるものなど各種の態様で行うことができる。また、識別情報5は、例えば、英数字や記号などで構成されるものの他、バーコードやQRコード(登録商標)、あるいは、音声などによるものなど各種の態様で構成することができる。また、治療費見積プログラムや治療費見積システム1に対して、特にライセンスによる制限を設けない場合は、識別情報5の付与等を排してもよい。
【0107】
また、本実施形態では、医療費控除額が、所得税に係る環付額と、翌年の住民税に係る還付額と、を含むものとしたが、医療費控除額の態様も各種の変更が可能である。例えば、医療費控除額が、所得税に係る環付額と、翌年の住民税に係る還付額と、を含まないものとすることもできる。
【0108】
また、本実施形態では、情報処理装置2が、サーバー2Aとして構成されているが、情報処理装置2は、サーバー2Aとして構成されているものだけではなく、利用者側端末装置4Aや医療系機関側端末装置6Bのごとく端末装置として構成されていてもよい。かかる場合は、例えば、端末装置に、治療費見積プログラムをインストールし、当該端末装置上で、治療費見積プログラムが実行されるようにするとよい。また、サーバー2Aは、クラウドサーバーなど、各種の態様のサーバーを利用することができる。また、治療費情報25Aの出力態様は、画像の表示及び印刷に限定されるものではなく、各種の変更が可能である。
【0109】
また、本実施形態では、治療費見積プログラムをサーバー2Aにインストールするものとしたが、治療費見積プログラムは、サーバー2Aにインストールされるものだけではなく、医療系機関側端末装置6Bや利用者側端末装置4Aに治療費見積プログラムの一部又は全部がインストールされていてもよい。また、本実施形態では、サーバー2A側で生成された治療費情報25Aが、利用者側端末装置4Aに配信されるものとしたが、治療費情報25Aが、医療系機関側端末装置6Bに配信されるものとしてもよい。かかる場合は、例えば、利用者4が医療系機関等6に出向いた際に、医師等と利用者4とが相談の上、医療系機関側端末装置6B上で、治療費情報25Aが生成されるようにすればよい。
【0110】
以上が、本発明に係る治療費見積システム1及び治療費見積プログラムの各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の治療費見積システム及び治療費見積プログラムは、歯科系医師や歯科系医療機関等を含む各種の医師や医療系機関で利用することができる。また、本発明の治療費見積システム及び治療費見積プログラムは、インプラント、インビザライン、歯科矯正、レーシック等の各種の治療法における治療費(特に高額治療)の見積りに利用することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 :治療費見積システム
2 :情報処理装置
2A:サーバー
3 :インターネット
4 :被保険者(利用者,患者)
5 :識別情報
6A:医療系機関
10 :識別情報付与部
11 :識別情報登録部
12 :識別情報入力受付部
13 :識別情報判定部
15 :バナー表示処理部
20 :治療費見積処理部
21 :治療費取得部
22 :年間所得額取得部
23 :医療費控除額算出部
24 :負担治療費算出部
25 :治療費情報生成部
25A:治療費情報
26 :ローン返済見積部
27 :画像出力処理部
28 :印刷出力処理部
29 :告知情報出力部
30 :課税所得額取得部
S :ウェブサイト(ホームページ)
SE:実行ウェブサイト