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特開2024-53815光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053815
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20240409BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20240409BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240409BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/04 D
G03B5/00 J
G03B30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160255
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳明
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
【Fターム(参考)】
2H044BD10
2H044BD20
2H044BE01
2H044BE10
2H044BE17
2K005CA02
2K005CA23
2K005CA34
2K005CA40
2K005CA44
2K005CA46
2K005CA53
(57)【要約】
【課題】部材間の固定方法の自由度を高くすること。
【解決手段】光学素子駆動装置は、光学素子を保持可能な保持部と、第1転動体を介して、保持部を移動可能に支持する第1固定部と、保持部及び第1固定部の一方に配置され、保持部を移動させる第1駆動部を構成する第1マグネットと、保持部及び第1固定部の他方に第1マグネットに対向して配置され、第1固定部側に第1転動体を付勢する第1付勢部と、を備え、第1付勢部は、磁性材料を含有する樹脂からなり、第1マグネットに磁気吸引される第1樹脂部材である。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を保持可能な保持部と、
第1転動体を介して、前記保持部を前記光学素子の光路方向に移動可能に支持する第1固定部と、
前記保持部及び前記第1固定部の一方に配置され、前記保持部を移動させる第1駆動部を構成する第1マグネットと、
前記保持部及び前記第1固定部の他方に前記第1マグネットに対向して配置され、前記第1固定部側に前記第1転動体を付勢する第1付勢部と、
を備え、
前記第1付勢部は、磁性材料を含有する樹脂からなり、前記第1マグネットに磁気吸引される第1樹脂部材である、
光学素子駆動装置。
【請求項2】
前記第1樹脂部材は、前記磁性材料としての磁性粉末を含む接着剤である、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項3】
前記保持部又は前記第1固定部は、前記接着剤が塗布される溝部を有する、
請求項2に記載の光学素子駆動装置。
【請求項4】
前記第1樹脂部材は、前記保持部又は前記第1固定部に埋設される、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項5】
前記第1固定部に埋設される配線部を備え、
前記第1樹脂部材は、前記第1固定部に埋設され、前記配線部に固定される、
請求項4に記載の光学素子駆動装置。
【請求項6】
第2転動体を介して、前記第1固定部を前記光路方向に直交する方向に移動可能に支持する第2固定部と、
前記第1固定部に配置され、前記第1固定部を移動させる第2駆動部を構成する第2マグネットと、
前記第2固定部に配置され、前記第2固定部側に前記第2転動体を付勢する第2付勢部と、
を備え、
前記第2付勢部は、磁性材料を含有する樹脂からなり、前記第2マグネットに磁気吸引される第2樹脂部材である、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項7】
前記第2樹脂部材は、前記磁性材料としての磁性粉末を含む接着剤である、
請求項6に記載の光学素子駆動装置。
【請求項8】
前記第2固定部は、前記接着剤が塗布される溝部を有する、
請求項7に記載の光学素子駆動装置。
【請求項9】
前記第2樹脂部材は、前記第2固定部に埋設される、
請求項6に記載の光学素子駆動装置。
【請求項10】
前記第2固定部に埋設される配線部を備え、
前記第2樹脂部材は、前記第2固定部に埋設され、前記配線部に固定される、
請求項9に記載の光学素子駆動装置。
【請求項11】
光学素子を保持可能な保持部と、
第1転動体を介して、前記保持部を前記光学素子の光路方向に移動可能に支持する第1固定部と、
第2転動体を介して、前記第1固定部を前記光路方向に直交する方向に移動可能に支持する第2固定部と、
前記第1固定部に配置され、前記第1固定部を移動させる駆動部を構成するマグネットと、
前記第2固定部において前記マグネットに対応する位置に配置され、前記第2固定部側に前記第2転動体を付勢する第2付勢部と、
を備え、
前記第2付勢部は、磁性材料を含有する樹脂からなり、前記マグネットに磁気吸引される第2樹脂部材である、
光学素子駆動装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の光学素子駆動装置と、
前記光学素子を用いて被写体像を撮像する撮像部と、
を備える、
カメラモジュール。
【請求項13】
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項12に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、
を備える、
カメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子を駆動する光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォンやドローン等のカメラ搭載装置には、カメラモジュールが搭載されている。このようなカメラモジュールには、光学素子を駆動する光学素子駆動装置が使用されている。なお、ドローンとは、遠隔操作又は自動制御により飛行させることができる無人航空機であり、マルチコプターと呼ばれるものもある。
【0003】
光学素子駆動装置は、オートフォーカス機能(以下「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)や振れ補正機能(以下「OIS機能」と称する、OIS:Optical Image Stabilization)を有している。光学素子駆動装置は、AF機能により、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行い、OIS機能により、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して画像の乱れを軽減している。
【0004】
このようなAF機能を有する光学素子駆動装置として、例えば、特許文献1には、ハウジング内に収容されるレンズを光軸方向に駆動する駆動部を備えたレンズ駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8810714号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すレンズ駆動装置においては、レンズとハウジングとの間にボールを配置し、駆動部を構成するマグネットとハウジングに固定されたヨークとの磁気吸引力により、ボールを保持している。
【0007】
ヨークは金属材料から構成され、ハウジングは樹脂材料から構成されることが一般的であるが、金属材料と樹脂材料とを固定するため、その固定方法が限られることがあり、部材間の固定方法の自由度を高くすることが望まれている。
【0008】
本発明の目的は、部材間の固定方法の自由度を高くすることが可能な光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光学素子駆動装置は、
光学素子を保持可能な保持部と、
第1転動体を介して、前記保持部を前記光学素子の光路方向に移動可能に支持する第1固定部と、
前記保持部及び前記第1固定部の一方に配置され、前記保持部を移動させる第1駆動部を構成する第1マグネットと、
前記保持部及び前記第1固定部の他方に前記第1マグネットに対向して配置され、前記第1固定部側に前記第1転動体を付勢する第1付勢部と、
を備え、
前記第1付勢部は、磁性材料を含有する樹脂からなり、前記第1マグネットに磁気吸引される第1樹脂部材である。
【0010】
本発明に係る光学素子駆動装置は、
光学素子を保持可能な保持部と、
第1転動体を介して、前記保持部を前記光学素子の光路方向に移動可能に支持する第1固定部と、
第2転動体を介して、前記第1固定部を前記光路方向に直交する方向に移動可能に支持する第2固定部と、
前記第1固定部に配置され、前記第1固定部を移動させる駆動部を構成するマグネットと、
前記第2固定部において前記マグネットに対応する位置に配置され、前記第2固定部側に前記第2転動体を付勢する第2付勢部と、
を備え、
前記第2付勢部は、磁性材料を含有する樹脂からなり、前記マグネットに磁気吸引される第2樹脂部材である。
【0011】
本発明に係るカメラモジュールは、
前記光学素子駆動装置と、
前記光学素子を用いて被写体像を撮像する撮像部と、
を備える。
【0012】
本発明に係るカメラ搭載装置は、
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
前記カメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部材間の固定方法の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明の実施の形態に係るカメラモジュールを搭載するスマートフォンを示す正面図である。
図1B図1Aに示すスマートフォンの背面図である。
図2】カメラモジュール及び撮像部を示す斜視図である。
図3A図2に示したカメラモジュールの光学素子駆動装置が有する光学素子駆動装置本体の平面図である。
図3B図3Aに示した光学素子駆動装置本体のA-A線矢視断面図である。
図4図3Aに示した光学素子駆動装置本体の変形例(変形例1)を示す図であって、図3AにおけるA-A線に該当する部分の矢視断面図である。
図5図3Aに示した光学素子駆動装置本体の変形例(変形例2)を示す図であって、図3AにおけるA-A線に該当する部分の矢視断面図である。
図6A図3Aに示した光学素子駆動装置本体の変形例(変形例3)を示す平面図である。
図6B図6Aに示した光学素子駆動装置本体のB-B線矢視断面図である。
図6C図6Aに示した光学素子駆動装置本体のC-C線矢視断面図である。
図6D図6Aに示した光学素子駆動装置本体の基部を示す平面図である。
図7A図6Aに示した光学素子駆動装置本体の変形例(変形例4)を示す図であって、図6AにおけるC-C線に該当する部分の矢視断面図である。
図7B図7Aに示した光学素子駆動装置本体の基部を示す平面図である。
図8A図6Aに示した光学素子駆動装置本体の変形例(変形例5)を示す図であって、図6AにおけるC-C線に該当する部分の矢視断面図である。
図8B図8Aに示した光学素子駆動装置本体の基部を示す平面図である。
図9A】車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す正面図である。
図9B図9Aに示す自動車を斜め後方側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
[スマートフォン]
図1A及び図1Bは、本実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置の一例)を示す図である。図1AはスマートフォンMの正面図であり、図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0017】
スマートフォンMは、2つの背面カメラOC1、OC2からなるデュアルカメラを有する。本実施の形態では、背面カメラOC1、OC2に、カメラモジュールAが適用されている。
【0018】
カメラモジュールAは、AF機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うことができる。なお、カメラモジュールAは、後述するように、OIS機能を備えていてもよい。OIS機能により、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して、像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0019】
[カメラモジュール]
図2は、カメラモジュールA及び撮像部5を示す斜視図である。図3Aは、図2に示すカメラモジュールAの光学素子駆動装置1が有する光学素子駆動装置本体4Aの平面図である。図3Bは、図3Aに示した光学素子駆動装置本体4AのA-A線矢視断面図である。図2図3A及び図3Bに示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。また、後述する図においても、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。
【0020】
カメラモジュールAは、例えば、スマートフォンMで撮影が行われる場合、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が、図2に示すレンズ部2の光軸OAの光軸方向であり、図2において、図中上側(+Z側)が光軸方向の受光側、下側(-Z側)が光軸方向の結像側である。また、以降において、Z軸に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称し、XY面を「光軸直交面」と称する。また、光軸に直交する方向を「径方向」と称する。
【0021】
なお、以降では、光軸OAを用いて説明を行うが、光軸OAの光軸方向は、光学素子の種類に応じて、光路方向、焦点方向(焦点を調整する方向)と言い換えてもよい。ここで、後述するカバー3の開口部301、後述する保持部10の開口部11、あるいは、後述する収容部20の収容開口部21によって形成される光の通り道が光路であり、この光路の延びる方向(各開口部の貫通方向)が光路方向である。
【0022】
図2に示すように、カメラモジュールAは、AF機能を実現する光学素子駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2及びレンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部5等を備える。すなわち、光学素子駆動装置1は、光学素子としてレンズ部2を駆動する、いわゆる、レンズ駆動装置である。
【0023】
[カバー]
光学素子駆動装置1において、光学素子駆動装置本体4Aは、外側をカバー3で覆われている。カバー3は、Z方向から見た平面視で略矩形状の有蓋四角筒状体である。本実施の形態では、カバー3は、平面視で略正方形状を有している。カバー3は、上面に略円形の開口部301を有する。レンズ部2は、光学素子駆動装置本体4Aの保持部10の開口部11に収容され、カバー3の開口部301から外部に臨み、Z方向における移動に伴い、カバー3の開口面よりも受光側に突出するように構成されている。カバー3の内壁は、例えば、光学素子駆動装置本体4Aの収容部20に、接着等により固定され、光学素子駆動装置本体4Aを収容する。
【0024】
カバー3は、光学素子駆動装置1の外部やカバー3の内部からの電磁波を遮断する部材、例えば、磁性体からなるシールド部材を有している。
【0025】
[撮像部]
撮像部5は、光学素子駆動装置1の結像側に配置される。撮像部5は、例えば、イメージセンサー基板501、イメージセンサー基板501に実装される撮像素子502及び制御部503を有する。撮像素子502は、例えば、CCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成され、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。
【0026】
制御部503は、例えば、制御ICで構成され、光学素子駆動装置1の駆動制御を行う。光学素子駆動装置1は、イメージセンサー基板501に搭載され、機械的かつ電気的に接続される。制御部503は、イメージセンサー基板501に設けられてもよいし、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器(本実施の形態では、スマートフォンM)に設けられてもよい。
【0027】
なお、図2では、位置が固定されたイメージセンサー基板501に対し、レンズ部2を光学素子駆動装置1でZ方向に駆動することで、被写体像を撮像素子502に結像しているが、例えば、撮像素子502をZ方向に駆動してもよい。この場合、レンズ部2をカバー3に固定し、光学素子である撮像素子502を光学素子駆動装置1でZ方向に駆動することで、被写体像を撮像素子502に結像すればよい。
【0028】
[光学素子駆動装置本体]
光学素子駆動装置本体4Aは、光学素子であるレンズ部2をZ方向に駆動する光学素子駆動装置1の本体部分である。なお、以降では、説明の便宜上、光学素子駆動装置1がレンズ部2を駆動することを前提に説明を行うが、上述したように、光学素子駆動装置1が撮像素子502を駆動してもよい。
【0029】
光学素子駆動装置本体4Aは、図3A図3Bに示すように、保持部10、収容部20、支持部30A、駆動部40A等を有する。
【0030】
[保持部]
保持部10は、中央部に開口部11が形成された枠部12を有し、開口部11は、レンズ部2を内側に保持可能に構成されている。例えば、開口部11は、その内周面に取付溝等を形成することにより、レンズ部2を内周面に保持可能に構成されている。このように、保持部10は、レンズ部2の外周を囲んでレンズ部2を保持する。
【0031】
枠部12の外周側である外周面13は、その複数箇所(図3Aでは、一例として、2箇所)が、Z方向に沿って延在する支持部30Aにより、Z方向に移動可能に支持されている。支持部30Aについては後述する。
【0032】
また、保持部10は、駆動部40Aにより、Z方向に移動可能に構成されている。保持部10は、複数の駆動部40Aにより、Z方向に移動可能に構成されてもよい。駆動部40Aについても後述する。
【0033】
なお、開口部11は、円筒形状のレンズ部2に対応して、円筒形状に形成されているが、レンズ部2の形状に対応して、適宜な形状に変更可能である。
【0034】
また、光学素子駆動装置1が撮像素子502を駆動する場合、保持部10に開口部11はなくてもよく、つまり、保持部10は枠部でなくてもよく、その場合、例えば、保持部10の上面(受光側の面)に撮像素子502を保持するようにすればよい。
【0035】
[収容部]
収容部20(本発明における第1固定部)は、中央部に収容開口部21が形成された枠部22を有し、収容開口部21は、保持部10の外周を囲んで保持部10を内側に収容可能に構成されている。
【0036】
収容開口部21の内側である内周面23には、その複数箇所に支持部30Aが設けられている。収容部20は、複数の支持部30Aにより、保持部10をZ方向に移動可能に支持する。
【0037】
また、内周面23には、駆動部40Aが設けられている。収容部20に設けられた駆動部40Aは、保持部10をZ方向に移動する。保持部10は、駆動部40Aに駆動される可動部として機能し、収容部20は、保持部10に対する固定部として機能する。
【0038】
平面視において、内周面23は、保持部10の外周面13の形状に対応して形成される。図3Aにおいて、保持部10の外周面13及び収容開口部21の内周面23の形状は一例であり、例えば、支持部30A、駆動部40Aの配置等に応じて、適宜に変更可能である。
【0039】
[支持部]
支持部30Aは、収容部20に対して、保持部10をZ方向に移動可能に支持する。支持部30Aは、一例として、図3Aに示すように、内周面23(外周面13)の周方向で異なる2箇所の位置であって、駆動部40Aを間に挟む位置に配置される。
【0040】
支持部30Aは、保持部10の外周面13に設けられた溝部14と、収容部20の内周面23に設けられた溝部24と、溝部14と溝部24との間に挟持されて転動可能な転動体31(本発明における第1転動体)とを有する。転動体31は、例えば、ボールベアリング等である。
【0041】
支持部30Aにおいて、溝部14及び溝部24は、Z方向に延在し、互いに対向するよう配置される。このように配置された溝部14と溝部24との間に転動体31が転動可能に挟持される。
【0042】
転動体31は、溝部14と溝部24との間に1つ以上配置される。ここでは、一例として、図3Bに示すように、3つの転動体31が溝部14と溝部24との間に配置される。このように、溝部14と溝部24との間に複数の転動体31を配置する場合には、保持部10の傾き(チルト)をより安定して抑制することができる。この場合、複数の転動体31は、Z方向に沿って並ぶよう配置され、また、互いの距離が一定に保たれると共にZ方向における位置決めができるよう、リテーナーに保持されてもよい。
【0043】
このように構成される支持部30Aにより、収容部20は、転動体31を介して、保持部10をZ方向に移動可能に支持する。
【0044】
なお、溝部14及び溝部24には、金属材料等からなり、転動体31を転動可能なレール状部材を取り付けてもよい。保持部10や収容部20は、通常、樹脂からなり、転動体31は、通常、セラミックスや合金等の材料からなる。そのため、保持部10や収容部20よりも硬質の金属材料等からなるレール状部材を溝部14及び溝部24に設けることで、転動体31からの押圧力を受けても、溝部14及び溝部24が変形し難くなる。このような構成により支持部30Aは、Z方向に移動可能に安定して保持部10を支持することができる。
【0045】
本実施の形態においては、後述するように、マグネット41Aが複合樹脂部材51を磁気吸引することにより、保持部10の溝部14を収容部20の溝部24側に付勢して、溝部14と溝部24との間に転動体31を転動可能に挟持するようにしている。図3Aに示す例では、マグネット41Aは複合樹脂部材51を-X方向に磁気吸引している。そのため、駆動部40Aを間に挟んで2箇所の位置に配置される支持部30Aは、謂わば、片持ち支持構造のように、保持部10を保持する。
【0046】
[駆動部]
駆動部40A(本発明における第1駆動部)は、収容部20に対して、保持部10をZ方向に駆動するアクチュエーターである。駆動部40Aは、一例として、図3Aに示すように、内周面23(外周面13)において、2箇所に配置された支持部30Aの間に配置される。
【0047】
駆動部40Aは、収容部20に取り付けられたマグネット41A(本発明における第1マグネット)と保持部10に取り付けられたコイル42Aとを有し、ムービングコイル方式のボイスコイルモーター(VCM:Voice Coil Motor)として機能する。
【0048】
マグネット41Aは、収容部20の内周面23に取り付けられる。コイル42Aは、保持部10の外周面13に取り付けられる。コイル42Aは、X方向に沿う方向を巻回軸として巻回された巻線から構成される。マグネット41Aとコイル42Aとは、径方向において、互いに対向するように離間して配置されている。
【0049】
マグネット41Aは、コイル42Aを径方向に横切る磁界が形成されるように、例えば、外周側がN極、内周側がS極になるように、着磁される。
【0050】
コイル42Aへ電力が供給されていないとき(無通電時)には、保持部10は、例えば、図示省略した弾性部材などにより、初期位置に支持されている。図示省略した配線により、コイル42Aへ電力が供給されると(通電時)、コイル42Aに流れる電流とマグネット41Aの磁界との相互作用により、コイル42Aにローレンツ力が生じる。
【0051】
ローレンツ力の方向は、マグネット41Aによる磁界の方向とコイル42Aに流れる電流の方向に直交する方向(Z方向)である。マグネット41Aは収容部20に固定されているので、コイル42Aに反力が働き、この反力がVCMの駆動力となる。コイル42Aに流れる電流の向きや大きさを制御すると、上述した初期位置に対して、コイル42Aを有する保持部10が光軸方向受光側又は光軸方向結像側に移動し、ピント合わせが行われることになる。
【0052】
図示は省略しているが、収容部20に対する保持部10のZ方向の位置を検出するZ位置検出部が設けられている。光学素子駆動装置1は、Z位置検出部で検出されたZ方向の位置に基づいて、コイル42Aに流れる電流の向きや大きさを制御する。Z位置検出部としては、例えば、位置の検出用のマグネット及び当該マグネットによる磁界を検出するホールセンサー等が用いられる。
【0053】
光学素子駆動装置1は、上述した支持部30A及び駆動部40Aにより、保持部10と共にレンズ部2をZ方向に駆動することができ、これにより、AF機能を実現する。
【0054】
[付勢部]
本実施の形態において、光学素子駆動装置本体4Aは、更に、複合樹脂部材51(本発明における第1付勢部、第1樹脂部材)を備える。
【0055】
本実施の形態においては、保持部10の溝部14を収容部20の溝部24側に付勢するため、保持部10に複合樹脂部材51を設け、マグネット41Aに対向するように配置している。ここでは、保持部10の枠部12に複合樹脂部材51を埋設している。保持部10の枠部12に複合樹脂部材51を埋設することで、装置サイズを抑制することができる。
【0056】
複合樹脂部材51は、磁性材料を含有する樹脂から形成される。磁性材料としては、樹脂に練り込むことが可能な磁性粉末、磁性粒子等を用いる。このように、磁性材料を含有する樹脂から複合樹脂部材51を形成するので、樹脂材料中の磁性材料の配分を適宜に変更することができ、また、形状も適宜に変更可能である。
【0057】
特許文献1に示すレンズ駆動装置では、金属材料のヨークを用いており、当該ヨークを樹脂材料のハウジングに固定する場合には、通常、接着剤等で固定していた。これに対し、本実施の形態では、上述したように形成される複合樹脂部材51を用いるので、樹脂から形成される保持部10に固定する方法としては、接着剤等に限らず、溶着等を用いることができ、部材間の固定方法(製造方法)の自由度を高くすることができる。また、金属材料のヨークと比較して、複合樹脂部材51は軽いので、装置全体の重量を軽くすることができ、特に、ドローン等に搭載する場合に有利である。
【0058】
このような構成により、複合樹脂部材51はマグネット41Aにより磁気吸引され、複合樹脂部材51が配置された保持部10の部位である溝部14は、マグネット41Aが配置された部位である収容部20の溝部24側に付勢される。これにより、溝部14と溝部24との間に転動体31を転動可能に挟持される。
【0059】
なお、ここでは、保持部10側にコイル42Aを設け、収容部20側にマグネット41Aを設けているが、配置を逆にして、保持部10側にマグネット41Aを設け、収容部20側にコイル42Aを設けてもよい。この場合、複合樹脂部材51は、収容部20の枠部22に埋設されることになる。
【0060】
また、ここでは、駆動部40Aのマグネット41Aを利用して複合樹脂部材51を磁気吸引しているが、複合樹脂部材51を磁気吸引するためのマグネットを別途設けてもよい。その場合、収容部20において、当該マグネットをマグネット41Aと異なる位置に配置し、この位置に対応して、複合樹脂部材51を配置すればよい。
【0061】
<変形例1>
図4は、図3Aに示した光学素子駆動装置本体4Aの変形例(変形例1)である光学素子駆動装置本体4Bを示す図であって、図3AにおけるA-A線に該当する部分の矢視断面図である。
【0062】
上記実施の形態においては、複合樹脂部材51は、保持部10の枠部12に埋設されていたが、このような固定方法に限らず、以下に示す固定方法でもよい。
【0063】
具体的には、磁性材料を含有する接着剤から形成される複合樹脂部材52(本発明における第1付勢部、第1樹脂部材)を用いる。このように、本変形例において、光学素子駆動装置本体4Bは、複合樹脂部材52を備える。
【0064】
複合樹脂部材52は、樹脂部分として接着剤を用いており、磁性材料としては、複合樹脂部材51と同等のものを用いる。
【0065】
そして、本変形例の場合、例えば、保持部10の枠部12の内周面15に固定用溝部16を形成し、固定用溝部16に磁性材料を含有する接着剤を塗布することで、複合樹脂部材52を形成する。固定用溝部16に複合樹脂部材52を形成することで、装置サイズを抑制することができる。
【0066】
このような構成により、複合樹脂部材52はマグネット41Aにより磁気吸引され、複合樹脂部材52が配置された保持部10の部位である溝部14は、マグネット41Aが配置された部位である収容部20の溝部24側に付勢される。これにより、溝部14と溝部24との間に転動体31を転動可能に挟持される。
【0067】
そして、本変形例の場合、内周面15に固定用溝部16を形成し、固定用溝部16に磁性材料を含有する接着剤を塗布することで、複合樹脂部材52を形成するので、部材間の固定方法の自由度を高くすることができる。
【0068】
なお、ここでも、保持部10側にコイル42Aを設け、収容部20側にマグネット41Aを設けているが、配置を逆にして、保持部10側にマグネット41Aを設け、収容部20側にコイル42Aを設けてもよい。この場合、例えば、収容部20の外周面に溝部を設け、当該溝部に磁性材料を含有する接着剤を塗布することで、複合樹脂部材52を形成する。
【0069】
<変形例2>
図5は、図3Aに示した光学素子駆動装置本体4Aの変形例(変形例2)である光学素子駆動装置本体4Cを示す図であって、図3AにおけるA-A線に該当する部分の矢視断面図である。
【0070】
上記実施の形態においては、複合樹脂部材51は、保持部10の枠部12に埋設されていたが、このような固定方法に限らず、以下に示す固定方法でもよい。
【0071】
具体的には、収容部20の枠部22にインサート成形されて埋設される配線部25に複合樹脂部材53(本発明における第1付勢部、第1樹脂部材)を固定するようにする。このように、本変形例において、光学素子駆動装置本体4Cは、複合樹脂部材53を備える。複合樹脂部材53としては、複合樹脂部材51と同等のものでよい。
【0072】
本変形例の場合、光学素子駆動装置本体4Cは、図5に示すように、保持部10の外周面13にマグネット41B(本発明における第1マグネット)を取り付け、収容部20の内周面にコイル42Bを取り付け、互いに対向するように離間して配置された構成である。つまり、駆動部40B(本発明における第1駆動部)は、保持部10に取り付けられたマグネット41Bと収容部20に取り付けられたコイル42Bとを有し、ムービングマグネット方式のVCMとして機能する。
【0073】
コイル42Bに電源を供給する配線部25は、収容部20の枠部22にインサート成形されて埋設される。本変形例では、配線部25の保持部10側の面に複合樹脂部材53を固定し、複合樹脂部材53と共に配線部25をインサート成形して枠部22に埋設するようにする。配線部25に複合樹脂部材53を固定することで、複合樹脂部材53の位置決めの精度が向上すると共に、装置サイズを抑制することができる。
【0074】
このような構成により、複合樹脂部材53はマグネット41Bにより磁気吸引され、マグネット41Bが配置された保持部10の部位である溝部14は、複合樹脂部材53が配置された部位である収容部20の溝部24側に付勢される。これにより、溝部14と溝部24との間に転動体31を転動可能に挟持される。
【0075】
そして、本変形例の場合、配線部25に複合樹脂部材53を固定し、複合樹脂部材53と共に配線部25をインサート成形して枠部22に埋設するので、部材間の固定方法の自由度を高くすることができる。
【0076】
<変形例3>
図6Aは、図3Aに示した光学素子駆動装置本体4Aの変形例(変形例3)である光学素子駆動装置本体4Dを示す平面図である。図6Bは、図6Aに示した光学素子駆動装置本体4DのB-B線矢視断面図である。図6Cは、図6Aに示した光学素子駆動装置本体4DのC-C線矢視断面図である。図6Dは、図6Aに示した光学素子駆動装置本体4Dの基部60Aを示す平面図である。
【0077】
上記実施の形態、変形例1及び変形例2において、光学素子駆動装置本体4A~4Cは、AF機能を有する構成である。光学素子駆動装置本体は更にOIS機能を有してもよく、OIS機能を有する光学素子駆動装置本体4Dにおいて、OIS機能のためのOIS支持部に対して、上述したような付勢部を設けるようにしてもよい。
【0078】
光学素子駆動装置本体4Dは、OIS機能のための構成を除き、上述した光学素子駆動装置本体4Aと同等の構成である。そのため、光学素子駆動装置本体4Dにおいて、光学素子駆動装置本体4Aと同等の構成については、同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0079】
光学素子駆動装置本体4Dは、OIS機能のための構成である基部60A、OIS支持部30B、OIS駆動部70、80(本発明における駆動部、第2駆動部)を備える。基部60A、OIS支持部30B、OIS駆動部70、80について以下に説明する。
【0080】
[基部]
基部60A(本発明における第2固定部)は、中央部に収容開口部61が形成された枠部62と底部63とを有し、収容開口部61は、収容部20の外周を囲んで収容部20を内側に収容可能に構成されている。
【0081】
収容部20の底部26と基部60Aの底部63との間には、その複数箇所にOIS支持部30Bが設けられている。基部60Aは、複数のOIS支持部30Bにより、収容部20を光軸直交方向に移動可能に支持する。
【0082】
また、収容部20の枠部22の外周面27と基部60Aの枠部62の内周面64との間には、OIS駆動部70、80が設けられている。OIS駆動部70は、基部60Aに対して、収容部20をX方向に移動する。OIS駆動部80は、基部60Aに対して、収容部20をY方向に移動する。収容部20は、OIS駆動部70、80に駆動される可動部として機能し、基部60Aは、収容部20に対する固定部として機能する。
【0083】
平面視において、基部60Aの内周面64は、収容部20の外周面27の形状に対応して形成される。図6A等において、収容部20の外周面27及び基部60Aの内周面64の形状は一例であり、例えば、OIS駆動部70、80の配置等に応じて、適宜に変更可能である。
【0084】
[OIS支持部]
OIS支持部30Bは、基部60Aに対して、収容部20を光軸直交方向に移動可能に支持する。OIS支持部30Bは、例えば、収容部20の底部26の下面と基部60Aの底部63の上面との間の異なる4箇所の位置に配置される(図6Dを参照)。
【0085】
OIS支持部30Bは、収容部20の底部26の下面に形成された溝部28と、基部60Aの底部63の上面に形成された溝部65と、溝部28と溝部65との間に挟持された転動体32(本発明における第2転動体)とを有する。転動体32は、例えば、ボールベアリング等である。
【0086】
OIS支持部30Bにおいて、溝部28及び溝部65は、互いに対向するよう配置される。このように配置された溝部28と溝部65との間に転動体32が転動可能に挟持される。
【0087】
このように構成されるOIS支持部30Bにより、基部60Aは、転動体32を介して、収容部20を光軸直交方向に移動可能に支持する。
【0088】
[OIS駆動部]
OIS駆動部70は、基部60Aに対して、収容部20をX方向に駆動するアクチュエーターであり、OIS駆動部80は、基部60Aに対して、収容部20をY方向に駆動するアクチュエーターである。OIS駆動部70、80は、図6Aに示すように、内周面64(外周面27)において、互いに異なる位置に配置される。
【0089】
OIS駆動部70は、収容部20に取り付けられたマグネット71(本発明におけるマグネット、第2マグネット)と基部60Aに取り付けられたコイル72とを有し、ムービングマグネット方式のVCMとして機能する。
【0090】
マグネット71は、収容部20の外周面27に取り付けられる。コイル72は、基部60Aの内周面64に取り付けられる。コイル72は、X方向に沿う方向を巻回軸として巻回された巻線から構成される。マグネット71とコイル72とは、X方向において、互いに対向するように離間して配置されている。
【0091】
マグネット71は、放射される磁界がコイル72の対向する2辺(長辺)を横切って戻るように着磁されている。
【0092】
同様に、OIS駆動部80は、収容部20に取り付けられたマグネット81(本発明におけるマグネット、第2マグネット)と基部60Aに取り付けられたコイル82とを有し、ムービングマグネット方式のVCMとして機能する。
【0093】
マグネット81は、収容部20の外周面27に取り付けられる。コイル82は、基部60Aの内周面64に取り付けられる。コイル82は、Y方向に沿う方向を巻回軸として巻回された巻線から構成される。マグネット81とコイル82とは、Y方向において、互いに対向するように離間して配置されている。
【0094】
マグネット81は、放射される磁界がコイル82の対向する2辺(長辺)を横切って戻るように着磁されている。
【0095】
そして、コイル72、82へ電力が供給されていないとき(無通電時)には、収容部20は、例えば、図示省略した弾性部材などにより、初期位置に支持されている。図示省略した配線により、コイル72へ電力が供給されると(通電時)、コイル72に流れる電流とマグネット71の磁界との相互作用により、コイル72にローレンツ力が生じる。同様に、コイル82へ電力が供給されると(通電時)、コイル82に流れる電流とマグネット81の磁界との相互作用により、コイル82にローレンツ力が生じる。
【0096】
コイル72によるローレンツ力の方向は、マグネット71による磁界の方向とコイル72に流れる電流の方向に直交する方向(X方向)である。コイル72は基部60Aに固定されているので、マグネット71に反力が働き、この反力がVCMの駆動力となる。コイル72に流れる電流の向きや大きさを制御すると、上述した初期位置に対して、マグネット71を有する収容部20がX方向又は-X方向に移動し、収容部20がX方向に揺動することになる。
【0097】
コイル82によるローレンツ力の方向は、マグネット81による磁界の方向とコイル82に流れる電流の方向に直交する方向(Y方向)である。コイル82は基部60Aに固定されているので、マグネット81に反力が働き、この反力がVCMの駆動力となる。コイル82に流れる電流の向きや大きさを制御すると、上述した初期位置に対して、マグネット81を有する収容部20がY方向又は-Y方向に移動し、収容部20がY方向に揺動することになる。
【0098】
光学素子駆動装置1は、このようにして、収容部20を光軸直交面内で揺動して、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して画像の乱れを軽減することができる。
【0099】
図示は省略しているが、基部60Aに対する収容部20のX、Y方向の位置を検出するX位置検出部、Y位置検出部が設けられている。光学素子駆動装置1は、X位置検出部、Y位置検出部で検出されたX、Y方向の位置に基づいて、コイル72、82に流れる電流の向きや大きさを制御する。X位置検出部、Y位置検出部としては、例えば、Z位置検出部と同様に、位置の検出用のマグネット及び当該マグネットによる磁界を検出するホールセンサー等が用いられる。
【0100】
光学素子駆動装置1は、上述したOIS支持部30B及びOIS駆動部70、80により、収容部20と共に保持部10及びレンズ部2をX、Y方向に揺動することができ、これにより、OIS機能を実現する。
【0101】
[付勢部]
本変形例において、光学素子駆動装置本体4Dは、複合樹脂部材54、55(本発明における第2付勢部、第2樹脂部材)を備える。
【0102】
本変形例においては、収容部20の溝部28を基部60Aの溝部65側に付勢するため、基部60Aに複合樹脂部材54、55を設け、それぞれ、マグネット71、81に対向するように配置している。ここでは、基部60Aの底部63に複合樹脂部材54、55を埋設している。複合樹脂部材54、55としては、複合樹脂部材51と同等のものでよい。基部60Aの底部63に複合樹脂部材54、55を埋設することで、装置サイズを抑制することができる。
【0103】
本変形例でも、複合樹脂部材51と同等の複合樹脂部材54、55を用いるので、樹脂から形成される保持部10に固定する方法としては、接着剤等に限らず、溶着等を用いることができ、部材間の固定方法の自由度を高くすることができる。
【0104】
このような構成により、複合樹脂部材54、55はマグネット71、81により磁気吸引され、マグネット71、81が配置された部位である収容部20の溝部28は、複合樹脂部材54、55が配置された基部60Aの部位である溝部65側に付勢される。これにより、溝部28と溝部65との間に転動体32を転動可能に挟持される。
【0105】
<変形例4>
図7Aは、図6Aに示した光学素子駆動装置本体4Dの変形例(変形例4)である光学素子駆動装置本体4Eを示す図であって、図6AにおけるC-C線に該当する部分の矢視断面図である。図7Bは、図7Aに示した光学素子駆動装置本体の基部60Bを示す平面図である。
【0106】
上記変形例3においては、複合樹脂部材54、55は、基部60Aの底部63に埋設されていたが、このような固定方法に限らず、以下に示す固定方法でもよい。
【0107】
具体的には、変形例1で説明した複合樹脂部材52と同等の複合樹脂部材56、57(本発明における第2付勢部、第2樹脂部材)、つまり、磁性材料を含有する接着剤から形成される複合樹脂部材56、57を用いる。このように、本変形例において、光学素子駆動装置本体4Eは、複合樹脂部材56、57を備える。
【0108】
本変形例の場合、例えば、基部60B(本発明における第2固定部)の底部63の上面に固定用溝部66、67を形成する。そして、固定用溝部66、67に磁性材料を含有する接着剤を塗布することで、複合樹脂部材56、57を形成する。固定用溝部66、67に複合樹脂部材56、57を形成することで、装置サイズを抑制することができる。
【0109】
このような構成により、複合樹脂部材56、57はマグネット71、81により磁気吸引され、マグネット71、81が配置された部位である収容部20の溝部28は、複合樹脂部材56、57が配置された基部60Bの部位である溝部65側に付勢される。これにより、溝部28と溝部65との間に転動体32を転動可能に挟持される。
【0110】
そして、本変形例の場合、基部60Bの底部63の上面に固定用溝部66、67を形成し、固定用溝部66、67に磁性材料を含有する接着剤を塗布することで、複合樹脂部材56、57を形成するので、部材間の固定方法の自由度を高くすることができる。
【0111】
<変形例5>
図8Aは、図6Aに示した光学素子駆動装置本体4Dの変形例(変形例5)である光学素子駆動装置本体4Fを示す図であって、図6AにおけるC-C線に該当する部分の矢視断面図である。図8Bは、図8Aに示した光学素子駆動装置本体4Fの基部60Cを示す平面図である。
【0112】
上記変形例3においては、複合樹脂部材54、55は、基部60Aの底部63に埋設されていたが、このような固定方法に限らず、以下に示す固定方法でもよい。
【0113】
具体的には、基部60B(本発明における第2固定部)の底部63にインサート成形されて埋設される配線部68に、複合樹脂部材58、59(本発明における第2付勢部、第2樹脂部材)を固定するようにする。複合樹脂部材58、59としては、複合樹脂部材51と同等のものでよい。このように、本変形例において、光学素子駆動装置本体4Fは、複合樹脂部材58、59を備える。
【0114】
コイル72、82に電源を供給する配線部68は、基部60Bの底部63にインサート成形されて埋設される。本変形例では、配線部68の上面に複合樹脂部材58、59を固定し、複合樹脂部材58、59と共に配線部68をインサート成形して底部63に埋設するようにする。配線部68に複合樹脂部材58、59を固定することで、複合樹脂部材58、59の位置決めの精度が向上すると共に、装置サイズを抑制することができる。
【0115】
このような構成により、複合樹脂部材58、59はマグネット71、81により磁気吸引され、マグネット71、81が配置された部位である収容部20の溝部28は、複合樹脂部材58、59が配置された基部60Cの部位である溝部65側に付勢される。これにより、溝部28と溝部65との間に転動体32を転動可能に挟持される。
【0116】
そして、本変形例の場合、配線部68に複合樹脂部材58、59を固定し、複合樹脂部材58、59と共に配線部68をインサート成形して底部63に埋設するので、部材間の固定方法の自由度を高くすることができる。
【0117】
[他の実施の形態]
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0118】
例えば、上記実施の形態では、スマートフォンMを例に挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部とを有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)等を含む。また、輸送機器は、例えば、自動車やドローン等を含む。
【0119】
図9A図9Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図9Aは自動車Vの正面図であり、図9Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、上記実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。図9A図9Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば、前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0120】
また、上記実施の形態では、光学素子としてレンズ部2を駆動する光学素子駆動装置1について説明したが、駆動対象となる光学素子は、ミラーやプリズム等のレンズ以外の光学素子であっても、撮像素子502のような光学素子でもよい。この場合、保持部10の開口部11は、取り付ける光学素子の形状に応じて、形状を変更したり、場合によっては、無くしたりしてもよい。
【0121】
また、上記実施の形態では、光学素子駆動装置1はAF機能を有しているが、AF機能だけでなく、ズーム機能等、レンズ部2をZ方向に移動させる機能を有するものでもよい。
【0122】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は、本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る光学素子駆動装置及びカメラモジュールは、例えば、スマートフォン、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、車載カメラ、ドローン等のカメラ搭載装置に搭載して、有用なものである。
【符号の説明】
【0124】
1 光学素子駆動装置
2 レンズ部
3 カバー
4A、4B、4C、4D、4E、4F 光学素子駆動装置本体
5 撮像部
10 保持部
11 開口部
12 枠部
13 外周面
14 溝部
15 内周面
16 固定用溝部
20 収容部
21 収容開口部
22 枠部
23 内周面
24 溝部
25 配線部
26 底部
27 外周面
28 溝部
30A 支持部
30B OIS支持部
31、32 転動体
40A、40B 駆動部
41A、41B マグネット
42A、42B コイル
51、52、53、54、55、56、57、58、59 複合樹脂部材
60A、60B、60C 基部
61 収容開口部
62 枠部
63 底部
64 内周面
65 溝部
66、67 固定用溝部
68 配線部
70 OIS駆動部
71 マグネット
72 コイル
80 OIS駆動部
81 マグネット
82 コイル
301 開口部
501 イメージセンサー基板
502 撮像素子
503 制御部
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B