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特開2024-53821Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量方法、プライマーセット、及びFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053821
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量方法、プライマーセット、及びFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量キット
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6851 20180101AFI20240409BHJP
   C12Q 1/689 20180101ALI20240409BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
C12Q1/6851 Z ZNA
C12Q1/689 Z
C12N15/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160264
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】598096991
【氏名又は名称】学校法人東京農業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 明仁
(72)【発明者】
【氏名】丹野 広貴
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QQ44
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌をより正確に定量することができるFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量方法、プライマーセット及び定量キットの提供。
【解決手段】核酸を含む試料と、Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌のRNAポリメラーゼをコードする遺伝子の少なくとも一部を増幅するためのプライマーセットを用いて、前記核酸を鋳型としてDNAの増幅反応を行うことと、前記DNAの増幅反応の結果からを前記検体に含まれるFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌を定量することを含む、Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸を含む試料と、Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌のRNAポリメラーゼをコードする遺伝子の少なくとも一部を増幅するためのプライマーセットを用いて、前記核酸を鋳型としてDNAの増幅反応を行うことと、
前記DNAの増幅反応の結果からFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌を定量することを含む、Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量方法。
【請求項2】
前記プライマーセットが、
配列番号1により示されるポリヌクレオチド、配列番号1の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号1の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Fプライマー、
配列番号2により示されるポリヌクレオチド、配列番号2の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号2の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Rプライマー、
配列番号3により示されるポリヌクレオチド、配列番号3の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号3の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Fプライマー、
配列番号4により示されるポリヌクレオチド、配列番号4の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号4の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Rプライマー、
配列番号5により示されるポリヌクレオチド、配列番号5の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号5の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Fプライマー、
配列番号6により示されるポリヌクレオチド、配列番号6の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号6の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Rプライマー、
配列番号7により示されるポリヌクレオチド、配列番号7の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号7の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Fプライマー、
配列番号8により示されるポリヌクレオチド、配列番号8の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号8の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Rプライマー、
配列番号9により示されるポリヌクレオチド、又は配列番号9の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号9の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Fプライマー、
配列番号10により示されるポリヌクレオチド、配列番号10の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号10の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Rプライマー、
配列番号11により示されるポリヌクレオチド、配列番号11の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号11の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Fプライマー、
配列番号12により示されるポリヌクレオチド、配列番号12の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号12の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Rプライマー、
配列番号13により示されるポリヌクレオチド、配列番号13の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号13の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Fプライマー、
配列番号14により示されるポリヌクレオチド、配列番号14の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号14の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Rプライマー、
配列番号15により示されるポリヌクレオチド、配列番号15の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号15の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Fプライマー、
配列番号16により示されるポリヌクレオチド、配列番号16の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号16の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Rプライマー、
配列番号17により示されるポリヌクレオチド、配列番号17の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号17の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Fプライマー及び
配列番号18により示されるポリヌクレオチド、配列番号18の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号18の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Rプライマー、からなる、請求項1に記載の定量方法。
【請求項3】
前記プライマーセットが、
配列番号1により示されるポリヌクレオチド、配列番号1の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号1の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Fプライマー、
配列番号2により示されるポリヌクレオチド、配列番号2の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号2の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Rプライマー、
配列番号3により示されるポリヌクレオチド、配列番号3の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号3の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Fプライマー、
配列番号4により示されるポリヌクレオチド、配列番号4の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号4の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Rプライマー、
配列番号5により示されるポリヌクレオチド、配列番号5の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号5の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Fプライマー、
配列番号6により示されるポリヌクレオチド、配列番号6の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号6の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Rプライマー、
配列番号7により示されるポリヌクレオチド、配列番号7の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号7の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Fプライマー、
配列番号8により示されるポリヌクレオチド、配列番号8の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号8の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Rプライマー、
配列番号9により示されるポリヌクレオチド、配列番号9の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号9の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Fプライマー、
配列番号10により示されるポリヌクレオチド、配列番号10の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号10の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Rプライマー、
配列番号11により示されるポリヌクレオチド、配列番号11の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号11の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Fプライマー、
配列番号12により示されるポリヌクレオチド、配列番号12の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号12の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Rプライマー、
配列番号13により示されるポリヌクレオチド、配列番号13の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号13の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Fプライマー、
配列番号14により示されるポリヌクレオチド、配列番号14の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号14の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Rプライマー、
配列番号15により示されるポリヌクレオチド、配列番号15の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号15の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Fプライマー、
配列番号16により示されるポリヌクレオチド、配列番号16の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号16の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Rプライマー、
配列番号17により示されるポリヌクレオチド、配列番号17の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号17の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Fプライマー及び
配列番号18により示されるポリヌクレオチド、配列番号18の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号18の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Rプライマー、からなる、請求項1に記載の定量方法。
【請求項4】
前記プライマーセットが、
配列番号1により示されるポリヌクレオチドであるFG1Fプライマー、
配列番号2により示されるポリヌクレオチドであるFG1Rプライマー、
配列番号3により示されるポリヌクレオチドであるFG2Fプライマー、
配列番号4により示されるポリヌクレオチドであるFG2Rプライマー、
配列番号5により示されるポリヌクレオチドであるFG3Fプライマー、
配列番号6により示されるポリヌクレオチドであるFG3Rプライマー、
配列番号7により示されるポリヌクレオチドであるFG4Fプライマー、
配列番号8により示されるポリヌクレオチドであるFG4Rプライマー、
配列番号9により示されるポリヌクレオチドであるFG5Fプライマー、
配列番号10により示されるポリヌクレオチドであるFG5Rプライマー、
配列番号11により示されるポリヌクレオチドであるFG6Fプライマー、
配列番号12により示されるポリヌクレオチドであるFG6Rプライマー、
配列番号13により示されるポリヌクレオチドであるFG7Fプライマー、
配列番号14により示されるポリヌクレオチドであるFG7Rプライマー、
配列番号15により示されるポリヌクレオチドであるFG8Fプライマー、
配列番号16により示されるポリヌクレオチドであるFG8Rプライマー、
配列番号17により示されるポリヌクレオチドであるFG9Fプライマー及び
配列番号18により示されるポリヌクレオチドであるFG9Rプライマー、からなる、請求項1に記載の定量方法。
【請求項5】
前記試料は、第1~第9試料を含み、
前記DNAの増幅反応を行うことは、前記FG1Fプライマー及び前記FG1Rプライマーを前記第1試料に添加すること、前記FG2Fプライマー及び前記FG2Rプライマーを前記第2試料に添加すること、前記FG3Fプライマー及び前記FG3Rプライマーを前記第3試料に添加すること、前記FG4Fプライマー及び前記FG4Rプライマーを前記第4試料に添加すること、前記FG5Fプライマー及び前記FG5Rプライマーを前記第5試料に添加すること、前記FG6Fプライマー及び前記FG6Rプライマーを前記第6試料に添加すること、前記FG7Fプライマー及び前記FG7Rプライマーを前記第7試料に添加すること、前記FG8Fプライマー及び前記FG8Rプライマーを前記第8試料に添加すること及び前記FG9Fプライマー及び前記FG9Rプライマーを前記第9試料に添加することを含む、請求項2~4の何れか1項に記載の定量方法。
【請求項6】
前記Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌を定量することは、前記第1~第9試料における前記DNAの増幅反応の結果から、前記第1~第9試料のそれぞれにおいてFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌のうち1種を定量することを含む、請求項5に記載の定量方法。
【請求項7】
さらに、検体から前記核酸を抽出することと、
前記核酸を含む前記試料を調製することを含む、請求項1~4の何れか1項に記載の定量方法。
【請求項8】
前記検体が、糞便を含む、請求項7に記載の定量方法。
【請求項9】
Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌のRNAポリメラーゼをコードする遺伝子の少なくとも一部を増幅するためのプライマーセットであって、
配列番号1により示されるポリヌクレオチド、配列番号1の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号1の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Fプライマー、
配列番号2により示されるポリヌクレオチド、配列番号2の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号2の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Rプライマー、
配列番号3により示されるポリヌクレオチド、配列番号3の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号3の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Fプライマー、
配列番号4により示されるポリヌクレオチド、配列番号4の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号4の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Rプライマー、
配列番号5により示されるポリヌクレオチド、配列番号5の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号5の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Fプライマー、
配列番号6により示されるポリヌクレオチド、配列番号6の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号6の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Rプライマー、
配列番号7により示されるポリヌクレオチド、配列番号7の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号7の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Fプライマー、
配列番号8により示されるポリヌクレオチド、配列番号8の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号8の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Rプライマー、
配列番号9により示されるポリヌクレオチド、配列番号9の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号9の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Fプライマー、
配列番号10により示されるポリヌクレオチド、配列番号10の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号10の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Rプライマー、
配列番号11により示されるポリヌクレオチド、配列番号11の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号11の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Fプライマー、
配列番号12により示されるポリヌクレオチド、配列番号12の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号12の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Rプライマー、
配列番号13により示されるポリヌクレオチド、配列番号13の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号13の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Fプライマー、
配列番号14により示されるポリヌクレオチド、配列番号14の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号14の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Rプライマー、
配列番号15により示されるポリヌクレオチド、配列番号15の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号15の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Fプライマー、
配列番号16により示されるポリヌクレオチド、配列番号16の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号16の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Rプライマー、
配列番号17により示されるポリヌクレオチド、配列番号17の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号17の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Fプライマー及び
配列番号18により示されるポリヌクレオチド、配列番号18の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号18の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Rプライマー、からなるプライマーセット。
【請求項10】
前記プライマーセットが、
配列番号1により示されるポリヌクレオチド、配列番号1の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号1の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Fプライマー、
配列番号2により示されるポリヌクレオチド、配列番号2の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号2の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Rプライマー、
配列番号3により示されるポリヌクレオチド、配列番号3の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号3の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Fプライマー、
配列番号4により示されるポリヌクレオチド、配列番号4の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号4の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Rプライマー、
配列番号5により示されるポリヌクレオチド、配列番号5の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号5の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Fプライマー、
配列番号6により示されるポリヌクレオチド、配列番号6の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号6の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Rプライマー、
配列番号7により示されるポリヌクレオチド、配列番号7の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号7の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Fプライマー、
配列番号8により示されるポリヌクレオチド、配列番号8の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号8の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Rプライマー、
配列番号9により示されるポリヌクレオチド、配列番号9の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号9の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Fプライマー、
配列番号10により示されるポリヌクレオチド、配列番号10の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号10の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Rプライマー、
配列番号11により示されるポリヌクレオチド、配列番号11の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号11の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Fプライマー、
配列番号12により示されるポリヌクレオチド、配列番号12の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号12の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Rプライマー、
配列番号13により示されるポリヌクレオチド、配列番号13の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号13の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Fプライマー、
配列番号14により示されるポリヌクレオチド、配列番号14の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号14の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Rプライマー、
配列番号15により示されるポリヌクレオチド、配列番号15の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号15の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Fプライマー、
配列番号16により示されるポリヌクレオチド、配列番号16の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号16の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Rプライマー、
配列番号17により示されるポリヌクレオチド、配列番号17の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号17の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Fプライマー及び
配列番号18により示されるポリヌクレオチド、配列番号18の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号18の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Rプライマー、からなる、請求項9に記載のプライマーセット。
【請求項11】
前記プライマーセットが、
配列番号1により示されるポリヌクレオチドであるFG1Fプライマー、
配列番号2により示されるポリヌクレオチドであるFG1Rプライマー、
配列番号3により示されるポリヌクレオチドであるFG2Fプライマー、
配列番号4により示されるポリヌクレオチドであるFG2Rプライマー、
配列番号5により示されるポリヌクレオチドであるFG3Fプライマー、
配列番号6により示されるポリヌクレオチドであるFG3Rプライマー、
配列番号7により示されるポリヌクレオチドであるFG4Fプライマー、
配列番号8により示されるポリヌクレオチドであるFG4Rプライマー、
配列番号9により示されるポリヌクレオチドであるFG5Fプライマー、
配列番号10により示されるポリヌクレオチドであるFG5Rプライマー、
配列番号11により示されるポリヌクレオチドであるFG6Fプライマー、
配列番号12により示されるポリヌクレオチドであるFG6Rプライマー、
配列番号13により示されるポリヌクレオチドであるFG7Fプライマー、
配列番号14により示されるポリヌクレオチドであるFG7Rプライマー、
配列番号15により示されるポリヌクレオチドであるFG8Fプライマー、
配列番号16により示されるポリヌクレオチドであるFG8Rプライマー、
配列番号17により示されるポリヌクレオチドであるFG9Fプライマー及び
配列番号18により示されるポリヌクレオチドであるFG9Rプライマー、からなる、請求項9に記載のプライマーセット。
【請求項12】
請求項9~11の何れか1項に記載のプライマーセットと、デオキシヌクレオチド3リン酸と、DNAポリメラーゼと、pH緩衝液と、を含むFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量方法、プライマーセット、及びFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量キットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの腸内には百兆個にも及ぶ細菌が生息しており、これら腸内細菌は宿主であるヒトの健康と深く関わっていることが知られている。腸内細菌は、千種に及ぶ多様な細菌種で構成されており、この腸内細菌のバランスが崩れると、様々な疾病を引き起こす原因になると考えられている。
【0003】
これまでの研究で、様々な疾患患者の腸内細菌の構成は、健常者の腸内細菌の構成と大きく異なることが示されている。一方で、健常者の理想的な腸内細菌の構成については、いまだに明らかとなっていない。
【0004】
腸内細菌の一種であるFaecalibacterium prausnitzii(以下、F. prausnitziiと記載することがある)は、健常者の腸内には多数生息している一方で、様々な疾患患者の腸内では著しく減少していることが多数報告されている。このことから、F. prausnitziiは、健康なヒトの腸内細菌のバイオマーカーとしての役割を果たすのではないかと注目されている。
【0005】
このような背景から、F. prausnitziiは、現在最も注目されている腸内細菌の一種であるといえる。例えば、非特許文献1は、多くの研究においてF. prausnitziiの増減を定量的PCRや次世代シークエンサーを利用した解析によりモニターしていることを報告している。
【0006】
一方で、従来F. prausnitziiと考えられていた菌種が、実際には複数種の多様な細菌種で構成されていることが明らかにされている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Mireia Lopes-Siles et al., Faecalibacterium prausnitzii: from microbiology to diagnostics and prognostics, The ISME Journal, 2017, 11, 841-852
【非特許文献2】Hiroki Tanno et al., 16S rRNA gene sequence diversity in Faecalibacterium prausnitzii-complex taxa has marked impacts on quantitative analysis, FEMS Microbiology Ecology, 2022, 98, 1-13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1に報告される研究で用いられている手法では、非特許文献2に記載されるF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌を正確に定量することができない。
【0009】
本発明の一態様における目的は、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌をより正確に定量することができるF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量方法、プライマーセット及びF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]核酸を含む試料と、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌のRNAポリメラーゼをコードする遺伝子の少なくとも一部を増幅するためのプライマーセットを用いて、前記核酸を鋳型としてDNAの増幅反応を行うことと、前記DNAの増幅反応の結果からF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌を定量することを含む、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量方法。
[2]前記プライマーセットが、配列番号1により示されるポリヌクレオチド、配列番号1の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号1の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Fプライマー、配列番号2により示されるポリヌクレオチド、配列番号2の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号2の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Rプライマー、配列番号3により示されるポリヌクレオチド、配列番号3の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号3の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Fプライマー、配列番号4により示されるポリヌクレオチド、配列番号4の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号4の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Rプライマー、配列番号5により示されるポリヌクレオチド、配列番号5の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号5の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Fプライマー、配列番号6により示されるポリヌクレオチド、配列番号6の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号6の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Rプライマー、配列番号7により示されるポリヌクレオチド、配列番号7の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号7の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Fプライマー、配列番号8により示されるポリヌクレオチド、配列番号8の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号8の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Rプライマー、配列番号9により示されるポリヌクレオチド、又は配列番号9の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号9の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Fプライマー、配列番号10により示されるポリヌクレオチド、配列番号10の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号10の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Rプライマー、配列番号11により示されるポリヌクレオチド、配列番号11の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号11の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Fプライマー、配列番号12により示されるポリヌクレオチド、配列番号12の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号12の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Rプライマー、配列番号13により示されるポリヌクレオチド、配列番号13の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号13の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Fプライマー、配列番号14により示されるポリヌクレオチド、配列番号14の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号14の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Rプライマー、配列番号15により示されるポリヌクレオチド、配列番号15の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号15の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Fプライマー、配列番号16により示されるポリヌクレオチド、配列番号16の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号16の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Rプライマー、配列番号17により示されるポリヌクレオチド、配列番号17の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号17の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Fプライマー及び配列番号18により示されるポリヌクレオチド、配列番号18の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号18の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Rプライマー、からなる、[1]に記載の定量方法。
[3]前記プライマーセットが、配列番号1により示されるポリヌクレオチド、配列番号1の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号1の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Fプライマー、配列番号2により示されるポリヌクレオチド、配列番号2の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号2の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Rプライマー、配列番号3により示されるポリヌクレオチド、配列番号3の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号3の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Fプライマー、配列番号4により示されるポリヌクレオチド、配列番号4の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号4の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Rプライマー、配列番号5により示されるポリヌクレオチド、配列番号5の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号5の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Fプライマー、配列番号6により示されるポリヌクレオチド、配列番号6の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号6の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Rプライマー、配列番号7により示されるポリヌクレオチド、配列番号7の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号7の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Fプライマー、配列番号8により示されるポリヌクレオチド、配列番号8の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号8の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Rプライマー、配列番号9により示されるポリヌクレオチド、配列番号9の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号9の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Fプライマー、配列番号10により示されるポリヌクレオチド、配列番号10の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号10の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Rプライマー、配列番号11により示されるポリヌクレオチド、配列番号11の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号11の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Fプライマー、配列番号12により示されるポリヌクレオチド、配列番号12の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号12の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Rプライマー、配列番号13により示されるポリヌクレオチド、配列番号13の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号13の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Fプライマー、配列番号14により示されるポリヌクレオチド、配列番号14の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号14の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Rプライマー、配列番号15により示されるポリヌクレオチド、配列番号15の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号15の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Fプライマー、配列番号16により示されるポリヌクレオチド、配列番号16の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号16の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Rプライマー、配列番号17により示されるポリヌクレオチド、配列番号17の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号17の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Fプライマー及び配列番号18により示されるポリヌクレオチド、配列番号18の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号18の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Rプライマー、からなる、[1]又は[2]に記載の定量方法。
[4]前記プライマーセットが、配列番号1により示されるポリヌクレオチドであるFG1Fプライマー、配列番号2により示されるポリヌクレオチドであるFG1Rプライマー、配列番号3により示されるポリヌクレオチドであるFG2Fプライマー、配列番号4により示されるポリヌクレオチドであるFG2Rプライマー、配列番号5により示されるポリヌクレオチドであるFG3Fプライマー、配列番号6により示されるポリヌクレオチドであるFG3Rプライマー、配列番号7により示されるポリヌクレオチドであるFG4Fプライマー、配列番号8により示されるポリヌクレオチドであるFG4Rプライマー、配列番号9により示されるポリヌクレオチドであるFG5Fプライマー、配列番号10により示されるポリヌクレオチドであるFG5Rプライマー、配列番号11により示されるポリヌクレオチドであるFG6Fプライマー、配列番号12により示されるポリヌクレオチドであるFG6Rプライマー、配列番号13により示されるポリヌクレオチドであるFG7Fプライマー、配列番号14により示されるポリヌクレオチドであるFG7Rプライマー、配列番号15により示されるポリヌクレオチドであるFG8Fプライマー、配列番号16により示されるポリヌクレオチドであるFG8Rプライマー、配列番号17により示されるポリヌクレオチドであるFG9Fプライマー及び配列番号18により示されるポリヌクレオチドであるFG9Rプライマー、からなる、[1]~[3]の何れか一項に記載の定量方法。
[5]前記試料は、第1~第9試料を含み、前記DNAの増幅反応を行うことは、前記FG1Fプライマー及び前記FG1Rプライマーを前記第1試料に添加すること、前記FG2Fプライマー及び前記FG2Rプライマーを前記第2試料に添加すること、前記FG3Fプライマー及び前記FG3Rプライマーを前記第3試料に添加すること、前記FG4Fプライマー及び前記FG4Rプライマーを前記第4試料に添加すること、前記FG5Fプライマー及び前記FG5Rプライマーを前記第5試料に添加すること、前記FG6Fプライマー及び前記FG6Rプライマーを前記第6試料に添加すること、前記FG7Fプライマー及び前記FG7Rプライマーを前記第7試料に添加すること、前記FG8Fプライマー及び前記FG8Rプライマーを前記第8試料に添加すること及び前記FG9Fプライマー及び前記FG9Rプライマーを前記第9試料に添加することを含む、[2]~[4]の何れか一項に記載の定量方法。
[6]前記F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌を定量することは、前記第1~第9試料における前記DNAの増幅反応の結果から、前記第1~第9試料のそれぞれにおいてFaecalibacterium prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌のうち1種を定量することを含む、[5]に記載の定量方法。
[7]さらに、検体から前記核酸を抽出することと、前記核酸を含む前記試料を調製することを含む、[1]~[6]の何れか一項に記載の定量方法。
[8]前記検体が、糞便を含む、[7]項に記載の定量方法。
[9]F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌のRNAポリメラーゼをコードする遺伝子の少なくとも一部を増幅するためのプライマーセットであって、配列番号1により示されるポリヌクレオチド、配列番号1の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号1の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Fプライマー、配列番号2により示されるポリヌクレオチド、配列番号2の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号2の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Rプライマー、配列番号3により示されるポリヌクレオチド、配列番号3の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号3の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Fプライマー、配列番号4により示されるポリヌクレオチド、配列番号4の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号4の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Rプライマー、配列番号5により示されるポリヌクレオチド、配列番号5の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号5の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Fプライマー、配列番号6により示されるポリヌクレオチド、配列番号6の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号6の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Rプライマー、配列番号7により示されるポリヌクレオチド、配列番号7の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号7の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Fプライマー、配列番号8により示されるポリヌクレオチド、配列番号8の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号8の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Rプライマー、配列番号9により示されるポリヌクレオチド、配列番号9の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号9の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Fプライマー、配列番号10により示されるポリヌクレオチド、配列番号10の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号10の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Rプライマー、配列番号11により示されるポリヌクレオチド、配列番号11の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号11の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Fプライマー、配列番号12により示されるポリヌクレオチド、配列番号12の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号12の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Rプライマー、配列番号13により示されるポリヌクレオチド、配列番号13の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号13の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Fプライマー、配列番号14により示されるポリヌクレオチド、配列番号14の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号14の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Rプライマー、配列番号15により示されるポリヌクレオチド、配列番号15の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号15の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Fプライマー、配列番号16により示されるポリヌクレオチド、配列番号16の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号16の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Rプライマー、配列番号17により示されるポリヌクレオチド、配列番号17の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号17の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Fプライマー及び配列番号18により示されるポリヌクレオチド、配列番号18の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号18の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Rプライマー、からなるプライマーセット。
[10]前記プライマーセットが、配列番号1により示されるポリヌクレオチド、配列番号1の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号1の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Fプライマー、配列番号2により示されるポリヌクレオチド、配列番号2の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号2の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Rプライマー、配列番号3により示されるポリヌクレオチド、配列番号3の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号3の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Fプライマー、配列番号4により示されるポリヌクレオチド、配列番号4の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号4の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Rプライマー、配列番号5により示されるポリヌクレオチド、配列番号5の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号5の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Fプライマー、配列番号6により示されるポリヌクレオチド、配列番号6の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号6の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Rプライマー、配列番号7により示されるポリヌクレオチド、配列番号7の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号7の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Fプライマー、配列番号8により示されるポリヌクレオチド、配列番号8の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号8の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Rプライマー、配列番号9により示されるポリヌクレオチド、配列番号9の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号9の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Fプライマー、配列番号10により示されるポリヌクレオチド、配列番号10の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号10の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Rプライマー、配列番号11により示されるポリヌクレオチド、配列番号11の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号11の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Fプライマー、配列番号12により示されるポリヌクレオチド、配列番号12の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号12の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Rプライマー、配列番号13により示されるポリヌクレオチド、配列番号13の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号13の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Fプライマー、配列番号14により示されるポリヌクレオチド、配列番号14の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号14の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Rプライマー、配列番号15により示されるポリヌクレオチド、配列番号15の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号15の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Fプライマー、配列番号16により示されるポリヌクレオチド、配列番号16の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号16の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Rプライマー、配列番号17により示されるポリヌクレオチド、配列番号17の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号17の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Fプライマー及び配列番号18により示されるポリヌクレオチド、配列番号18の配列とその5’末端に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号18の配列の5’末端の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Rプライマー、からなる、[9]に記載のプライマーセット。
[11]前記プライマーセットが、配列番号1により示されるポリヌクレオチドであるFG1Fプライマー、配列番号2により示されるポリヌクレオチドであるFG1Rプライマー、配列番号3により示されるポリヌクレオチドであるFG2Fプライマー、配列番号4により示されるポリヌクレオチドであるFG2Rプライマー、配列番号5により示されるポリヌクレオチドであるFG3Fプライマー、配列番号6により示されるポリヌクレオチドであるFG3Rプライマー、配列番号7により示されるポリヌクレオチドであるFG4Fプライマー、配列番号8により示されるポリヌクレオチドであるFG4Rプライマー、配列番号9により示されるポリヌクレオチドであるFG5Fプライマー、配列番号10により示されるポリヌクレオチドであるFG5Rプライマー、配列番号11により示されるポリヌクレオチドであるFG6Fプライマー、配列番号12により示されるポリヌクレオチドであるFG6Rプライマー、配列番号13により示されるポリヌクレオチドであるFG7Fプライマー、配列番号14により示されるポリヌクレオチドであるFG7Rプライマー、配列番号15により示されるポリヌクレオチドであるFG8Fプライマー、配列番号16により示されるポリヌクレオチドであるFG8Rプライマー、配列番号17により示されるポリヌクレオチドであるFG9Fプライマー及び配列番号18により示されるポリヌクレオチドであるFG9Rプライマー、からなる、[9]又は[10]に記載のプライマーセット。
[12][9]~[11]の何れか一項に記載のプライマーセットと、デオキシヌクレオチド3リン酸と、DNAポリメラーゼと、pH緩衝液と、を含むF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量キット。
【発明の効果】
【0011】
上記定量方法、プライマーセット及び定量キットによればFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌をより正確に定量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌をANI値に基づいて分類したデンドログラムである。
図2】合成したrpoA遺伝子をターゲットにした各細菌群の特異的プライマーを用いて定量的PCRを行った結果を示すグラフである。
図3】合成したrpoA遺伝子をターゲットにした各細菌群の特異的プライマーを用いて定量的PCRを行った結果を示すグラフである。
図4】合成したrpoA遺伝子をターゲットにした各細菌群の特異的プライマーを用いて定量的PCRを行った結果を示すグラフである。
図5】合成したrpoA遺伝子をターゲットにした各細菌群の特異的プライマーを用いて定量的PCRを行った結果を示すグラフである。
図6】合成したrpoA遺伝子をターゲットにした各細菌群の特異的プライマーを用いて定量的PCRを行った結果を示すグラフである。
図7】合成した16S rRNA遺伝子をターゲットにしたプライマーを用いて定量的PCRを行った結果を示すグラフである。
図8】検体から抽出したゲノムのrpoA遺伝子をターゲットにした各細菌群の特異的プライマーを用いて定量的PCRを行った結果を示すグラフである。
図9】検体から抽出したゲノムのrpoA遺伝子をターゲットにした各細菌群の特異的プライマーを用いて定量的PCRを行った結果を示すグラフである。
図10】検体から抽出したゲノムのrpoA遺伝子をターゲットにした各細菌群の特異的プライマーを用いて定量的PCRを行った結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
本明細書中において、核酸の塩基配列中のA、C、G及びTは、それぞれ、デオキシリボヌクレオチド中のアデニン塩基、シトシン塩基、グアニン塩基及びチミン塩基を示す。
【0014】
<F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌>
図1は、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌をANI(Average Nucleotide Identity)値に基づいて分類したデンドログラムである(非特許文献2より改変して引用)。発明者らは、非特許文献2において、従来F. prausnitziiとして分類されていた細菌をゲノムDNA全体の相同性を基に、図1のデンドログラムに示されるように再分類した。分類手法の詳細は、非特許文献2の「Acquisition of Genomic data and genomic analysis」に記載の通りである。図1中のGroup1~Group8は、前記相同性に基づいて異なる系統群に分類されている。
【0015】
図1に示されるGroup1は、F. prausnitziiである。本明細書において、Group2~Group8に分類されている細菌は、F. prausnitzii類縁細菌に含まれると定義する。Group2~Group8に分類されている細菌を、それぞれGroup2~Group8細菌と記載することがある。なお、Group4はFaecalibacterium longum、Group6はFaecalibacterium duncaniae、Group7はFaecalibacterium hattoriiとして分類されている。
【0016】
さらに、本明細書において、Yuanqiang Zou et al., Scientific Reports, 2021,11, 11340に報告されているFaecalibacterium butyicigeneransもF. prausnitzii類縁細菌に含まれると定義する。本明細書において、Faecalibacterium butyicigeneransを、Group9細菌と記載することがある。
【0017】
つまりF. prausnitzii類縁細菌とは、従来F. prausnitziiとして分類されていた細菌または系統的類縁細菌である。
【0018】
<F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量方法>
本発明の一態様におけるF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量方法は、核酸を含む試料と、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌のRNAポリメラーゼをコードする遺伝子の少なくとも一部を増幅するためのプライマーセットを用いて、前記核酸を鋳型としてDNAの増幅反応を行うことと、前記DNAの増幅反応の結果からF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌を定量することを含む。
【0019】
本発明において、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌を定量するためのマーカーとしてRNAポリメラーゼをコードする遺伝子であるrpoA遺伝子を使用する。
【0020】
一般的に、16S rRNA遺伝子は、菌種内で保存性の高い遺伝子である。従って、細菌の分類、同定、検出及び定量等のマーカーとして頻繁に使用されている遺伝子である。しかしながら、Faecalibacterium属では同じ菌株のゲノムに6コピーの16S rRNA遺伝子が保存されている。さらに、6コピー間の16S rRNA遺伝子の相同性が低く、一部は、別菌種といえるレベルで相同性が低い。従って、Faecalibacterium属の細菌を定量するためのマーカーとして、16S rRNA遺伝子を使用すると、正確な定量が行えないおそれがある。
【0021】
本発明でF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌を定量するためのマーカーとして使用されるrpoA遺伝子は、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の菌種間において、異なる配列を有している。配列番号19~27は、それぞれF. prausnitzii及びGroup2~Group9細菌のrpoA1遺伝子~rpoA9遺伝子の配列を示す。rpoA遺伝子配列は、同一の細菌群であっても株ごとにその配列の一部が異なることがあるため、配列番号19~27は、各菌種における代表的なrpoA遺伝子配列を示している。
【0022】
rpoA遺伝子をマーカーとして用いることで、試料に含まれるF. prausnitzii及び8種のF. prausnitzii類縁細菌のそれぞれを個別に定量することができる。また、個別に定量した値の総和から、試料に含まれるF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の全量を正確に定量することができる。
【0023】
プライマーセットは、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌のrpoA遺伝子の少なくとも一部を増幅する。
【0024】
プライマーセットは、F. prausnitzii及び8種のF. prausnitzii類縁細菌のそれぞれのrpoA遺伝子を増幅する9組のフォワードプライマー及びリバースプライマーからなる。
【0025】
配列番号1及び配列番号2のそれぞれにより示されるポリヌクレオチドからなるフォワードプライマーFG1Fプライマー及びリバースプライマーFG1Rプライマーは、F. prausnitziiのrpoA遺伝子である遺伝子であるrpoA1遺伝子を増幅するプライマーである。FG1Fプライマーは、rpoA1遺伝子の367~387番目の塩基配列と、FG1RプライマーrpoA1遺伝子の498~518番目の塩基配列と相補的な配列である。
【0026】
配列番号3及び配列番号4のそれぞれにより示されるポリヌクレオチドからなるフォワードプライマーFG2Fプライマー及びリバースプライマーFG2Rプライマーは、Group2細菌のrpoA遺伝子であるrpoA2遺伝子を増幅するプライマーである。FG2Fプライマーは、rpoA2遺伝子の401~420番目の塩基配列と、FG2RプライマーrpoA2遺伝子の576~596番目の塩基配列と相補的な配列である。
【0027】
配列番号5及び配列番号6のそれぞれにより示されるポリヌクレオチドからなるフォワードプライマーFG3Fプライマー及びリバースプライマーFG3Rプライマーは、Group3細菌のrpoA遺伝子であるrpoA3遺伝子を増幅するプライマーである。FG3Fプライマーは、rpoA3遺伝子の467~487番目の塩基配列と、FG3RプライマーrpoA3遺伝子の598~618番目の塩基配列と相補的な配列である。
【0028】
配列番号7及び配列番号8のそれぞれにより示されるポリヌクレオチドからなるフォワードプライマーFG4Fプライマー及びリバースプライマーFG4Rプライマーは、Group4細菌のrpoA遺伝子であるrpoA4遺伝子を増幅するプライマーである。FG4Fプライマーは、rpoA4遺伝子の469~489番目の塩基配列と、FG4RプライマーrpoA4遺伝子の609~629番目の塩基配列と相補的な配列である。
【0029】
配列番号9及び配列番号10のそれぞれにより示されるポリヌクレオチドからなるフォワードプライマーFG5Fプライマー及びリバースプライマーFG5Rプライマーは、Group5細菌のrpoA遺伝子であるrpoA5遺伝子を増幅するプライマーである。FG5Fプライマーは、rpoA5遺伝子の229~249番目の塩基配列と、FG5RプライマーrpoA5遺伝子の450~469番目の塩基配列と相補的な配列である。
【0030】
配列番号11及び配列番号12のそれぞれにより示されるポリヌクレオチドからなるフォワードプライマーFG6Fプライマー及びリバースプライマーFG6Rプライマーは、Group6細菌のrpoA遺伝子であるrpoA6遺伝子を増幅するプライマーである。FG6Fプライマーは、rpoA6遺伝子の430~450番目の塩基配列と、FG6RプライマーrpoA6遺伝子の561~581番目の塩基配列と相補的な配列である。
【0031】
配列番号13及び配列番号14のそれぞれにより示されるポリヌクレオチドからなるフォワードプライマーFG7Fプライマー及びリバースプライマーFG7Rプライマーは、Group7細菌のrpoA遺伝子であるrpoA7遺伝子を増幅するプライマーである。FG7Fプライマーは、rpoA7遺伝子の367~388番目の塩基配列と、FG7RプライマーrpoA7遺伝子の495~515番目の塩基配列と相補的な配列である。
【0032】
配列番号15及び配列番号16のそれぞれにより示されるポリヌクレオチドからなるフォワードプライマーFG8Fプライマー及びリバースプライマーFG8Rプライマーは、Group8細菌のrpoA遺伝子であるrpoA8遺伝子を増幅するプライマーである。FG8Fプライマーは、rpoA8遺伝子の534~554番目の塩基配列と、FG8RプライマーrpoA8遺伝子の696~715番目の塩基配列と相補的な配列である。
【0033】
配列番号17及び配列番号18のそれぞれにより示されるポリヌクレオチドからなるフォワードプライマーFG9Fプライマー及びリバースプライマーFG9Rプライマーは、Group9細菌のrpoA遺伝子であるrpoA9遺伝子を増幅するプライマーである。FG9Fプライマーは、rpoA9遺伝子の544~564番目の塩基配列と、FG9RプライマーrpoA9遺伝子の696~717番目の塩基配列と相補的な配列である。
【0034】
前記フォワード及びリバースプライマーは、それぞれ配列番号1~18の配列を含むポリヌクレオチドであってもよい。前記フォワードプライマープライマーは、それぞれ配列番号1~18の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に各rpoA遺伝子と相補的な1~5塩基、好ましくは1~4塩基、より好ましくは1~3塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチドであってもよい。また、前記フォワードプライマープライマーは、それぞれ配列番号1~18の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基、好ましくは1~4塩基、より好ましくは1~3塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドであってもよい。前記フォワードプライマープライマーは、それぞれ配列番号1~18の配列とその5’末端の少なくとも一方に各rpoA遺伝子と相補的な1~5塩基、好ましくは1~4塩基、より好ましくは1~3塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチドであってもよい。また、前記プライマーは、それぞれ配列番号1~18の配列の5’末端の少なくとも一方の1~5塩基、好ましくは1~4塩基、より好ましくは1~3塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドであってもよい。
【0035】
上述の通りrpoA遺伝子配列は、同一の細菌群であっても株ごとにその配列の一部が異なることがある。そのため、本発明においては合計200菌株以上のF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の塩基配列データを使用し、同一菌種内(即ちF. prausnitzii及びGroup2~Group9細菌のいずれかの菌種内)において、rpoA遺伝子配列が異なっていても配列相同性が完全に一致し、且つ他の菌種とは配列が異なる部分を各プライマー配列として決定している。
【0036】
また、上記フォワード及びリバースプライマーは、蛍光物質や、ビオチン又はジゴキシンのような結合親和性物質、酵素、放射性同位元素又は発光物質等で標識されていてもよい。蛍光物質としては、例えば、サイバーグリーン(SYBR green)、フルオレスカミン及びフルオレッセインイソチオシアネート等が挙げられる。酵素としては、例えば、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、リンゴ酸脱水酵素、α-グルコシダーゼ及びα-ガラクトシダーゼ等が挙げられる。放射性同位元素としては、例えば、125I、131I、H及び14C等が挙げられる。発光物質としては、例えば、ルシフェリン、ルシゲニン、ルミノール及びルミノール誘導体等が挙げられる。
【0037】
9組のフォワード及びリバースプライマーは、それぞれ別の試料に添加される。つまり、9組のフォワード及びリバースプライマーは、それぞれ第1~第9試料のそれぞれに添加される。そのため、試料に含まれるF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌のうちの一種をそれぞれを定量することができる。よって、検体提供者の腸内におけるF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の量的なバランスを知ることができる。その結果、腸内細菌におけるF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌のそれぞれ割合と検体提供者の健康状態及び疾患との相関についての調査を行うことが可能である。また、この調査結果を、健康状態の改善効果がより高い飲食物や、治療効果のより高い医薬品の開発に使用することができる。
【0038】
F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌を定量する手順について説明する。まず、検体から核酸を抽出する。検体は、ヒトを含む哺乳類の糞便が挙げられる。また、検体は、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌を含む健康食品や医薬品等であってもよい。腸内細菌バランスを調査できるという観点から、検体は、ヒトの糞便であることが好ましい。
【0039】
検体から核酸を抽出し、試料を調製する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いて抽出することができる。例えば、磁性ビーズ法、フェノール/クロロホルム法及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)法、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。核酸の抽出には、市販のキットを用いてもよい。
【0040】
試料を少なくとも9つ準備し、9組のフォワード及びリバースプライマーをそれぞれ異なる試料に対して用いる。試料に含まれる核酸を鋳型として各フォワード及びリバースプライマーにより増幅反応を行う。増幅反応と各細菌の定量は、定量的PCRにより行われる。
【0041】
以上のように、本発明の一態様におけるF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量方法によれば、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌を正確に定量することができる。また、本発明の一態様におけるF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量方法によれば、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌をそれぞれ個別に定量することができる。
【0042】
なお、上述した態様においては、上述した9組のプライマー全てを用いているが、本発明はこれに限定されない。1組のプライマー、例えばFG1Fプライマー及びFG1Rプライマーのみを用いてF. prausnitziiを定量することができる。また、上述した9組プライマーのうち少なくとも2組のプライマーを用いてF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌のうちの少なくとも2種の細菌を定量することができる。このような定量により、より簡便に目的の細菌種を定量することが可能である。
【0043】
<プライマーセット>
本発明の一態様におけるプライマーセットは、F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌のRNAポリメラーゼをコードする遺伝子の少なくとも一部を増幅するためのプライマーセットであって、配列番号1により示されるポリヌクレオチド、は配列番号1の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号1の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Fプライマー、配列番号2により示されるポリヌクレオチド、配列番号2の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号2の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG1Rプライマー、配列番号3により示されるポリヌクレオチド、配列番号3の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号3の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Fプライマー、配列番号4により示されるポリヌクレオチド、配列番号4の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号4の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG2Rプライマー、配列番号5により示されるポリヌクレオチド、配列番号5の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号5の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Fプライマー、配列番号6により示されるポリヌクレオチド、配列番号6の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号6の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG3Rプライマー、配列番号7により示されるポリヌクレオチド、配列番号7の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号7の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Fプライマー、配列番号8により示されるポリヌクレオチド、配列番号8の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号8の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG4Rプライマー、配列番号9により示されるポリヌクレオチド、配列番号9の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号9の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Fプライマー、配列番号10により示されるポリヌクレオチド、配列番号10の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号10の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG5Rプライマー、配列番号11により示されるポリヌクレオチド、配列番号11の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号11の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Fプライマー、配列番号12により示されるポリヌクレオチド、配列番号12の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号12の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG6Rプライマー、配列番号13により示されるポリヌクレオチド、配列番号13の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号13の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Fプライマー、配列番号14により示されるポリヌクレオチド、配列番号14の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号14の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG7Rプライマー、配列番号15により示されるポリヌクレオチド、配列番号15の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号15の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Fプライマー、配列番号16により示されるポリヌクレオチド、配列番号16の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号16の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG8Rプライマー、配列番号17により示されるポリヌクレオチド、配列番号17の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号17の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Fプライマー及び配列番号18により示されるポリヌクレオチド、配列番号18の配列とその3’末端及び5’末端の少なくとも一方に1~5塩基のヌクレオチドが結合しているポリヌクレオチド、及び配列番号18の配列の3’末端及び5’末端の少なくとも一方の1~5塩基のヌクレオチドが欠失しているポリヌクレオチドのうちの何れか1つであるFG9Rプライマー、からなる。
【0044】
各プライマーについては、<F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量方法>に記載されるプライマーと同一であるため、説明を省略する。
【0045】
<F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量キット>
本発明の一態様におけるF. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量キットは、プライマーセットと、デオキシヌクレオチド3リン酸と、DNAポリメラーゼと、pH緩衝液と、を含む。プライマーセットは、上述の<F. prausnitzii及びF. prausnitzii類縁細菌の定量方法>に記載されるプライマーと同一であるため、これらの説明を省略する。
【0046】
本実施形態の定量キットは、さらにデオキシヌクレオチド3リン酸(dNTPs)と、DNAポリメラーゼと、緩衝液と、を含む。本実施形態の定量キットは、さらに蒸留水、塩、タンパク質及び界面活性剤等の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【実施例0047】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0048】
<プライマーの設計>
合計235菌株の塩基配列データを使用し、同一菌種内(即ちF. prausnitzii及びGroup2~Group9細菌のいずれかの菌種内)において、配列相同性が完全に一致し、且つ他の菌種とは配列が異なる部分を各プライマー配列として設計した。FG1F~FG9Fプライマー及びFG1R~FG9Rプライマーの各配列を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
<プライマーの評価>
(実施例1)
F. prausnitzii及びGroup2~Group9細菌の各細菌群から代表菌株を選抜した。より具体的には、F. prausnitziiは3菌株(株名APC918/95b、APC923/51-1及びATCC27768)、Group6は2菌株(株名A2165及びP9122)、Group2~5及び7~9は1菌株ずつ(それぞれ株名CNCM I 4541、CNCM I 4542、942/30-2、APC942/8-14-2、APC922/41-1、MGYG-HGUT-T00195、AF52-21)計12菌株を選抜した。選抜した菌株の配列に基づき、ユーロフィンジェノミクス社に依頼し、rpoA遺伝子DNA1~12の合成を行った。F. prausnitziiであるATCC27768株のrpoA1遺伝子DNA配列は、配列番号19に示す通りである。APC918/95b及びAPC923/51-1のrpoA1遺伝子DNA配列は、配列番号19とは完全一致しないが、フォワード及びリバースプライマーFG21F及びFG1Rの配列部分は一致している。Group2細菌であるCNCM I 4541株のrpoA2遺伝子DNA配列は、配列番号20に示す通りである。Group3細菌であるCNCM I 4542株のrpoA3遺伝子DNA配列は、配列番号21に示す通りである。Group4細菌である942/30-2株のrpoA4遺伝子DNA配列は、配列番号22に示す通りである。Group5細菌であるAPC942/8-14-2株のrpoA5遺伝子DNA配列は、配列表23に示す通りである。Group6細菌であるA2165株のrpoA6遺伝子DNA配列は、配列表24に示す通りである。P9122株のrpoA6遺伝子DNA配列は、配列番号24とは完全一致しないが、フォワード及びリバースプライマーFG6F及びFG6Rの配列部分は一致している。Group7細菌であるAPC922/41-1株のrpoA7遺伝子DNA配列は、配列番号25に示す通りである。Group8細菌であるMGYG-HGUT-T00195株のrpoA8遺伝子DNA配列は、配列番号26に示す通りである。Group9細菌であるAF52-21のrpoA9遺伝子DNA配列は、配列表27に示す通りである。
【0051】
表1に示すFG1F~FG9Fプライマー及びFG1R~FG9Rプライマーを作成した。
【0052】
合成したrpoA遺伝子DNA1~12をそれぞれ100pg(=約107.5コピー)ずつ含む試料を調製した。各試料に、FG1Fプライマー及びFG1Rプライマーの組み合わせ、FG2Fプライマー及びFG2Rプライマーの組み合わせ、FG3Fプライマー及びFG3Rプライマーの組み合わせ、FG4Fプライマー及びFG4Rプライマーの組み合わせ、FG5Fプライマー及びFG5Rプライマーの組み合わせ、FG6Fプライマー及びFG6Rプライマーの組み合わせ、FG7Fプライマー及びFG7Rプライマーの組み合わせ、FG8Fプライマー及びFG8Rプライマーの組み合わせ、FG9Fプライマー及びFG9Rプライマーの組み合わせのうちの一種を添加し、定量的PCRを下記条件で行った。
【0053】
(実験条件)
使用機器:リアルタイムPCR装置(ロシュ社製、LightCycler 96 system)
試薬:リアルタイムPCR試薬(ロシュ社製、FastStart Essential DNA Green Master Mix)
PCR条件:95℃10分間の後、[95℃10秒間、60℃10秒間、72℃15秒間]を45回繰り返し
データ解析:データ解析ソフト(ロシュ社製、LightCycler 96 system付属ソフト)
【0054】
図2(a)~2(b)は、それぞれFG1FプライマーとFG1Rプライマー及びFG2FプライマーとFG2Rプライマーの組み合わせを用いた定量的PCRの結果を示す。図3(a)~3(b)は、それぞれFG3FプライマーとFG3Rプライマーの組み合わせ及びFG4FプライマーとFG4Rプライマーを用いた定量的PCRの結果を示す。図4(a)~4(b)は、それぞれFG5FプライマーとFG5Rプライマー及びFG6FプライマーとFG6Rプライマーの組み合わせを用いた定量的PCRの結果を示す。図5(a)~5(b)は、それぞれFG7FプライマーとFG7Rプライマー及びFG8FプライマーとFG8Rプライマーの組み合わせを用いた定量的PCRの結果を示す。図6は、FG9FプライマーとFG9Rプライマーの組み合わせを用いた定量的PCRの結果を示す。図2~6中、F. prausnitziiをGroup1と記載する。図2~6は、rpoA遺伝子DNA1~12を鋳型とし各プライマーペアを用いたときのrpoA遺伝子コピー数を表す。
【0055】
図2~6に示す定量的PCRの結果より、各プライマーペアのターゲットとなる菌種のみを予測通り定量することができた。一方で、非ターゲットとなる菌種の定量値は、ターゲットとなる菌種と比べると著しく低くなった。非ターゲットとなる菌種の定量値で最も高い値であっても、ターゲットとなる菌種の1%程度であった。この結果より、本発明の定量方法及びプライマーセットを利用することで、Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌のそれぞれを正確に定量することが可能であることが示された。
【0056】
(比較例1)
非特許文献2に開示されている16S rRNA遺伝子配列に特異的な公知のプライマー及び実施例1で用いたrpoA遺伝子DNA1~11をそれぞれ含む試料を用いて定量的PCRを下記条件で行った。プライマー配列を表2に示す。
【0057】
(実験条件)
使用機器:リアルタイムPCR装置(ロシュ社製、LightCycler 96 system)
試薬:リアルタイムPCR試薬(ロシュ社製、FastStart Essential DNA Green Master Mix)
PCR条件:95℃10分間の後、[95℃10秒間、60℃10秒間(プライマーペア2を使用した際は58℃10秒間)、72℃15秒間]を45回繰り返し
データ解析:データ解析ソフト(ロシュ社製、LightCycler 96 system付属ソフト)
【0058】
【表2】
【0059】
図7(a)は、表2のプライマーペア1を用いた定量的PCRの結果を示し、図7(b)は、プライマーペア2を用いた定量的PCRの結果を示す。図7(a)及び7(b)は、rpoA遺伝子DNA1~12を鋳型とし表2のプライマーペア1及びプライマーペア2をそれぞれ用いたときのrpoA遺伝子コピー数を表す。プライマーペア1を用いると、Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の一部のみが定量された。プライマーペア2を用いるとFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌のほぼ全体を定量できるが、Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の各菌種ごとの定量ができなかった。
【0060】
<試料中のFaecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌の定量>
(実施例2)
検体として7人の被験者の糞便を用いた。検体200mgからキット(キアゲン社製、品番51504)を用いてDNAを抽出し、得られたDNA溶液1μlを試料として用いた。
【0061】
調製した試料にFG1F~FG9Fプライマー及びFG1R~FG9Rプライマーをフォワードプライマー及びリバースプライマー1組のセットとなるよう添加し、実施例1と同じ条件で定量的PCRを行った。
【0062】
図8(a)~8(c)は、それぞれFG1FプライマーとFG1Rプライマー、FG2FプライマーとFG2Rプライマー、FG3FプライマーとFG3Rプライマーの組み合わせを用いた定量的PCRの結果を示す。図9(a)~9(c)は、それぞれFG4FプライマーとFG4Rプライマー、FG5FプライマーとFG5Rプライマー、FG6FプライマーとFG6Rプライマーの組み合わせを用いた定量的PCRの結果を示す。図10(a)~10(c)は、左からFG7FプライマーとFG7Rプライマー、FG8FプライマーとFG8Rプライマー、FG9FプライマーとFG9Rプライマーの組み合わせを用いた定量的PCRの結果を示す。図8~10中、F. PrausnitziiをGroup1と記載する。図8~10は、各被験者における検体1gあたりの菌数(各rpoA遺伝子コピー数)を表す。
【0063】
図8~10に示す定量的PCRの結果より、各プライマーペアのターゲットとなる菌種のみを予測通り定量することができた。この結果より、本発明の定量方法及びプライマーセットを利用することで、Faecalibacterium prausnitzii及びFaecalibacterium prausnitzii類縁細菌を正確に定量することが示された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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