(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053822
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】決済システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20240409BHJP
【FI】
G06Q20/40 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160268
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】596059130
【氏名又は名称】株式会社メディウムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 仁
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA75
5L055AA75
(57)【要約】
【課題】判断能力の不十分な被看護者が過剰な決済を行うことを抑制可能な決済システムを提供する。
【解決手段】決済システムは、機器と、決済管理装置と、を備える。被看護者が決済対象に対する決済を希望する場合に、決済管理装置は、機器から被看護者用識別コードを受信することによって被看護者の認証を行い、その認証が成立した場合には、決済を許可する場合に満たすべき許可条件が満たされるか否かを判断し、許可条件が満たされる場合には、決済を許可する場合に対応する第1処理を実行し、許可条件が満たされない場合には、決済を許可しない場合に対応する第2処理を実行するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
看護者によって看護される被看護者が利用する施設に導入される決済システムであって、
前記施設に設置される機器と、
前記機器と通信可能に構成される決済管理装置と、
を備え、
前記被看護者が決済対象に対する決済を希望する場合には、前記被看護者が所持する被看護者用メディアを前記機器に読み取らせる操作が行われ、その際、前記機器は、前記被看護者用メディアから被看護者用識別コードを読み取って、前記被看護者用識別コードを前記決済管理装置へ送信するように構成され、
前記決済管理装置は、前記機器から前記被看護者用識別コードを受信することによって前記被看護者の認証を行い、その認証が成立した場合には、前記被看護者及び前記決済対象の少なくとも一方に対応付けて定められた条件であって前記決済を許可する場合に満たすべき許可条件が満たされるか否かを判断し、前記許可条件が満たされる場合には、前記決済を許可する場合に対応する第1処理を実行し、前記許可条件が満たされない場合には、前記決済を許可しない場合に対応する第2処理を実行するように構成される、
決済システム。
【請求項2】
請求項1に記載の決済システムであって、
前記許可条件には、前記看護者の同意を得た決済であるとの同意条件が含まれる場合があり、
前記看護者が前記決済に同意する場合には、前記看護者が所持する看護者用メディアを前記機器に読み取らせる操作が行われ、その際、前記機器は、前記看護者用メディアから看護者用識別コードを読み取って、前記看護者用識別コードを前記決済管理装置へ送信するように構成され、
前記決済管理装置は、前記許可条件に前記同意条件が含まれる場合、前記機器から前記看護者用識別コードを受信することによって前記看護者の認証を行い、その認証が成立した場合には、前記許可条件が満たされるか否かを判断する際に、前記同意条件が満たされると判断するように構成される、
決済システム。
【請求項3】
請求項2記載の決済システムであって、
前記決済管理装置は、前記看護者の認証が成立した場合には、当該認証に対応する有効期限を設定し、前記有効期限に至るまでの期間内は、前記許可条件が満たされるか否かを判断する際に、前記同意条件が満たされると判断するように構成され、
前記被看護者及び前記決済対象の少なくとも一方に応じて、異なる前記有効期限が設定される場合がある、
決済システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の決済システムであって、
前記決済管理装置は、前記被看護者用識別コード及び前記看護者用識別コードが含まれる前記決済の履歴情報を記録するように構成される、
決済システム。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の決済システムであって、
前記被看護者には、前記許可条件に違いがある第1種被看護者と第2種被看護者とが含まれ、
前記第1種被看護者に対応付けて定められる前記許可条件には、前記同意条件が含まれるように構成され、
前記第2種被看護者に対応付けて定められる前記許可条件には、前記同意条件が含まれないように構成される、
決済システム。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の決済システムであって、
複数種の前記決済対象があり、
複数種の前記決済対象には、異なる前記許可条件が定められる場合がある、
決済システム。
【請求項7】
請求項6に記載の決済システムであって、
複数種の前記決済対象には、利用可能な金額又は回数に上限値が定められた前記決済対象が含まれており、
前記許可条件には、前記被看護者の利用済みの金額又は回数が前記上限値を超えない決済であるとの上限条件が含まれる場合があり、
前記決済管理装置は、前記許可条件に前記上限条件が含まれる場合、前記許可条件が満たされるか否かを判断する際に、前記被看護者用識別コードに基づいて特定される前記被看護者の利用済みの金額又は回数が前記上限値を超えていなければ、前記上限条件が満たされると判断するように構成される、
決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設に導入される決済システムとして、利用者(例えば、入院患者。)が医療施設内で物品やサービスを購入する際に、利用者が所持するカードで料金の決済を実行可能なシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような決済システムを利用すれば、利用者が現金を所持していなくても物品やサービスを購入できるので、利用者の利便性を高めることができ、また、医療施設内での現金の紛失や盗難を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、利用者が自由にカードを使えるようにすると問題が生じる場合がある。例えば、認知症高齢者、知的障害者、あるいは精神障害者等、看護者による看護が必要な被看護者の中には、被看護者本人のみでは判断能力が低く、適切な金銭管理ができない被看護者もいる。
【0005】
そのような被看護者の場合、被看護者が自由にカードを使えるようにすると、物品やサービスが被看護者にとって必要か不要かを適切に判断できないまま、それらの料金をカードで決済するおそれがある。また、そのような不要な決済を度々繰り返すことにより、想定外の高額請求が発生するなどの問題を招くおそれがある。
【0006】
本開示の一局面においては、判断能力の不十分な被看護者が過剰な決済を行うことを抑制可能な決済システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の一態様は、看護者によって看護される被看護者が利用する施設に導入される決済システムであって、機器と、決済管理装置と、を備える。機器は、施設に設置される。決済管理装置は、機器と通信可能に構成される。被看護者が決済対象に対する決済を希望する場合には、被看護者が所持する被看護者用メディアを機器に読み取らせる操作が行われ、その際、機器は、被看護者用メディアから被看護者用識別コードを読み取って、被看護者用識別コードを決済管理装置へ送信するように構成される。決済管理装置は、機器から被看護者用識別コードを受信することによって被看護者の認証を行い、その認証が成立した場合には、被看護者及び決済対象の少なくとも一方に対応付けて定められた条件であって決済を許可する場合に満たすべき許可条件が満たされるか否かを判断し、許可条件が満たされる場合には、決済を許可する場合に対応する第1処理を実行し、許可条件が満たされない場合には、決済を許可しない場合に対応する第2処理を実行するように構成される。
【0008】
このように構成される決済システムによれば、決済管理装置は、被看護者の認証が成立した場合に、被看護者及び決済対象の少なくとも一方に対応付けて定められた条件であって決済を許可する場合に満たすべき許可条件が満たされるか否かを判断する。ここで、許可条件が満たされる場合、決済管理装置は、決済を許可する場合に対応する第1処理を実行する。一方、許可条件が満たされない場合、決済管理装置は、決済を許可しない場合に対応する第2処理を実行する。
【0009】
したがって、被看護者の認証が成立した場合に、無条件で決済を許可する従来技術とは異なり、あらかじめ適切な許可条件を定めておくことにより、許可条件が満たされないにもかかわらず、決済が行われてしまうのを未然に防ぐことができる。
【0010】
なお、本開示の決済システムは、任意の構成として、更に以下に説明するような構成を備えていてもよい。
(2)本開示の一態様では、許可条件には、看護者の同意を得た決済であるとの同意条件が含まれる場合があってもよい。看護者が決済に同意する場合には、看護者が所持する看護者用メディアを機器に読み取らせる操作が行われ、その際、機器は、看護者用メディアから看護者用識別コードを読み取って、看護者用識別コードを決済管理装置へ送信するように構成されてもよい。決済管理装置は、許可条件に同意条件が含まれる場合、機器から看護者用識別コードを受信することによって看護者の認証を行い、その認証が成立した場合には、許可条件が満たされるか否かを判断する際に、同意条件が満たされると判断するように構成されてもよい。
【0011】
このように構成される決済システムによれば、許可条件に同意条件が含まれる場合、決済管理装置は、機器から看護者用識別コードを受信することによって看護者の認証を行う。その認証が成立した場合、決済管理装置は、許可条件が満たされるか否かを判断する際に、同意条件が満たされると判断する。
【0012】
許可条件が同意条件のみの場合、同意条件が満たされれば、許可条件が満たされる。許可条件に同意条件と他の条件が含まれる場合、同意条件及び他の条件が満たされれば、許可条件が満たされる。許可条件に同意条件と他の条件が含まれる場合、同意条件又は他の条件のいずれかが満たされなければ、許可条件は満たされない。
【0013】
したがって、被看護者の認証が成立した場合に、無条件で決済を許可する従来技術とは異なり、看護者の同意を得ていないにもかかわらず、決済が行われてしまうのを未然に防ぐことができる。
【0014】
(3)本開示の一態様では、決済管理装置は、看護者の認証が成立した場合には、当該認証に対応する有効期限を設定し、有効期限に至るまでの期間内は、許可条件が満たされるか否かを判断する際に、同意条件が満たされると判断するように構成されてもよい。被看護者及び決済対象の少なくとも一方に応じて、異なる有効期限が設定される場合があってもよい。
【0015】
このように構成される決済システムによれば、看護者の認証が成立した場合、決済管理装置は、有効期限に至るまでの期間内は、同意条件が満たされると判断する。しかも、被看護者及び決済対象の少なくとも一方に応じて、異なる有効期限が設定される場合があってもよい。例えば、被看護者毎又は決済対象毎に、認証成立から数分後まで、認証成立の当日何時まで、認証成立から何日後の何時までといった有効期限を任意に設定してあってもよい。
【0016】
このようにすれば、有効期限内であれば、複数回の決済を行う場合でも、看護者の認証は1回で足りるので、看護者の認証頻度を低減することができる。また、認証成立直後に有効期限に至るような設定もできるので、これにより、特定の被看護者や特定の決済対象については、認証後に複数回の決済が実行されるのを抑制することもできる。
【0017】
例えば、低額な決済対象や利用頻度が高いと予想される決済対象については有効期限を長めに設定し、高額な決済対象や利用頻度が低いと予想される決済対象については有効期限を短めに設定することができる。あるいは、相対的に判断能力が高めの被看護者については有効期限を長めに設定し、相対的に判断能力が低めの被看護者については有効期限を短めに設定することができる。これにより、決済が実行されるのを許容できる範囲で看護者の認証頻度を低減しつつ、決済が実行されるのを許容できない範囲では被看護者による決済頻度を抑制することができる。
【0018】
(4)本開示の一態様では、決済管理装置は、被看護者用識別コード及び看護者用識別コードが含まれる決済の履歴情報を記録するように構成されてもよい。
このように構成される決済システムによれば、被看護者用識別コード及び看護者用識別コードが含まれる決済の履歴情報を記録するので、その記録を見れば、決済を行った被看護者や決済に同意した看護者を、事後的に把握することができる。
【0019】
(5)本開示の一態様では、被看護者には、許可条件に違いがある第1種被看護者と第2種被看護者とが含まれてもよい。第1種被看護者に対応付けて定められる許可条件には、同意条件が含まれるように構成されてもよい。第2種被看護者に対応付けて定められる許可条件には、同意条件が含まれないように構成されてもよい。
【0020】
このように構成される決済システムによれば、例えば判断能力が相対的に低い被看護者は第1種被看護者とし、看護者の同意を得た場合に決済可能とすることができる。また、判断能力が相対的に高い被看護者は第2種被看護者とすることで、看護者の同意を得なくても決済可能とすることができる。
【0021】
(6)本開示の一態様では、複数種の決済対象があってもよい。複数種の決済対象には、異なる許可条件が定められる場合があってもよい。
このように構成される決済システムによれば、例えば、決済額が高額になりやすい決済対象や、決済回数が増大しやすい決済対象については、被看護者が容易には条件を満たせないような許可条件を設定し、高額な決済が発生したり決済総額が増大したりするのを抑制することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様では、複数種の決済対象には、利用可能な金額又は回数に上限値が定められた決済対象が含まれていてもよい。許可条件には、被看護者の利用済みの金額又は回数が上限値を超えない決済であるとの上限条件が含まれる場合があってもよい。決済管理装置は、許可条件に上限条件が含まれる場合、許可条件が満たされるか否かを判断する際に、被看護者用識別コードに基づいて特定される被看護者の利用済みの金額又は回数が上限値を超えていなければ、上限条件が満たされると判断するように構成されてもよい。
【0023】
このように構成される決済システムによれば、決済管理装置は、許可条件に上限条件が含まれる場合、許可条件が満たされるか否かを判断する際に、被看護者の利用済みの金額又は回数が上限値を超えていなければ、上限条件が満たされると判断する。
【0024】
許可条件が上限条件のみの場合、上限条件が満たされれば、許可条件が満たされる。許可条件に上限条件と他の条件が含まれる場合、上限条件及び他の条件が満たされれば、許可条件が満たされる。上限条件に上限条件と他の条件が含まれる場合、上限条件又は他の条件のいずれかが満たされなければ、許可条件は満たされない。
【0025】
したがって、被看護者の認証が成立した場合に、無条件で決済を許可する従来技術とは異なり、被看護者の利用済みの金額又は回数が上限値を超えた時点で、更に決済が行われてしまうのを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は決済システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2はサーバが実行する決済管理処理(その1)のフローチャートである。
【
図3】
図3はサーバが実行する決済管理処理(その2)のフローチャートである。
【
図4】
図4はIC管理データベースのデータ構成を示す説明図である。
【
図5】
図5はログデータベースのデータ構成を示す説明図である。
【
図6】
図6は認証設定データの例を示す説明図である。
【
図7】
図7は提供上限設定データの例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、上述の決済システムについて、例示的な実施形態を挙げて説明する。
[決済システムの概要]
図1に示す決済システム1は、医療施設や老人福祉施設等に導入されるシステムであり、詳しくは後述するが、看護者による看護が必要な被看護者によって利用されることを想定した構成を備えている。看護者による看護が必要な被看護者としては、被看護者本人のみでは判断能力が低く、看護者による支援がないと適切な金銭管理が困難な被看護者を想定している。そのような被看護者の例としては、例えば、認知症高齢者、知的障害者、あるいは精神障害者等を挙げることができる。
【0028】
決済システム1では、決済を許可するか否かを判断するための許可条件を、決済対象毎又は被看護者毎に設定し、被看護者が決済を希望する際には、許可条件を満たすか否かを判断する。その判断の結果、許可条件を満たす場合には決済を許可する。一方、許可条件を満たさない場合には決済を許可しない。これにより、無条件で決済を許可する場合とは異なり、あらかじめ適切な許可条件を定めておくことにより、許可条件が満たされないにもかかわらず、そのような決済が行われてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0029】
[決済システムの構成]
以下、決済システム1の構成について、更に詳細に説明する。
図1に示すように、決済システム1は、サーバ10、設定管理装置20及び複数の機器30A,30B,30C,30D,30Eを備える。設定管理装置20及び複数の機器30A~30Eは、通信ネットワーク(例えば、施設内のLAN。)を介してサーバ10と通信可能に構成されている。設定管理装置20及び複数の機器30A~30Eは、サーバ10に対して各種処理を要求するクライアント装置として機能するように構成されている。
【0030】
サーバ10は、プロセッサ11、メモリ12、ストレージ13及び通信器15などを備える。サーバ10は、設定管理装置20及び複数の機器30A~30Eからの処理要求に応じて各種処理を実行し、その実行結果を示す応答を処理要求の送信元へと送信する。送信元となった設定管理装置20又は複数の機器30A~30Eでは、サーバ10からの応答に基づいて、サーバ10において実行された処理の実行結果に対応する処理が実行される。なお、サーバ10は、施設の職員が管理する場所(例えば施設内のコンピュータ室等。)に設置されていればよい。あるいは、施設外にある情報処理センター等、施設とは別の場所で施設外の管理者が管理してもよい。
【0031】
設定管理装置20は、プロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、ユーザインタフェース24及び通信器25などを備える。設定管理装置20は、サーバ10に登録される各種設定情報等のデータを、遠隔で操作可能に構成されている。また、設定管理装置20は、サーバ10において記録される各種ログ情報を閲覧する際に使用される。なお、設定管理装置20は、施設の職員が管理する場所(例えば施設内のナースステーション等。)に設置されていればよい。あるいは、施設外にある情報処理センター等、施設とは別の場所で施設外の管理者が管理してもよい。
【0032】
機器30Aは、コントローラ31、ユーザインタフェース34、通信器35及びカードリーダ36などを備える。なお、図示は省略するが、機器30B~30Eは、機器30Aと同様の構成を備える。機器30A~30Eの具体的形態については、様々な形態を想定することができる。
【0033】
一例としては、機器自体が有料の物品又はサービスを提供可能に構成される機器を想定することができる。具体例としては、例えば、自動販売機、洗濯機、電話機、テレビ、冷蔵庫等を挙げることができる。これらの機器は、物品又はサービスを提供するための機能を備え、さらに、その機能を利用する際の代金を決済する際に、サーバ10と連携して決済を実行する決済関連機能を備える。
【0034】
また、別の例としては、決済関連機能のみを備える機器を想定することもできる。具体例としては、例えば、施設内にある売店や理髪店等の店舗に設置された決済処理用のPC(パーソナルコンピュータ)、キャッシュレジスター、精算機等を挙げることができる。このような機器の場合、機器とは別の手段で有料の物品又はサービスが提供されればよい。機器とは別の手段としては、例えば店員による物品の手渡しやサービスの提供等を想定することができる。
【0035】
[決済システムの利用例]
本実施形態の場合、決済システム1を利用する利用者(すなわち、看護者及び被看護者。)には、利用者毎にICカードが貸与され、利用者はICカードを使ってキャッシュレス決済を行うことができる。キャッシュレス決済に用いられる資金は、利用者が事前にチャージしておく必要がある。すなわち、本実施形態の場合、決済システム1には前払い方式で決済用の資金が入金され、その入金額の範囲内でキャッシュレス決済を実行できるように構成されている。
【0036】
ICカードには、ICカード毎に異なる識別コード(以下、UIDと称する。)が記録されている。利用者が物品を購入したい場合、利用者は、例えば機器30Aにおいてカードリーダ36にICカードを読み取らせる操作を行う。このとき、機器30Aは、ICカードからUIDを読み取り、そのUIDを含む決済要求をサーバ10へと送信する。サーバ10では、後述する決済処理が実行されており、この決済処理の中で、機器30Aからの決済要求を受信する。
【0037】
サーバ10が実行する決済処理の詳細については後述するが、サーバ10では、機器30Aからの要求を受けた決済に関し、決済を許可するか否かを判断する。決済を許可する場合は、機器30Aへ要求承認を通知する。決済を許可しない場合は、機器30Aへ要求拒否又はエラー応答を通知する。各通知を受信した機器30Aでは、その通知内容に応じた処理を実行する。
【0038】
例えば、機器30Aが、サーバ10から要求承認通知を受信した場合は、機器30Aから物品を排出する等の処理を実行する。機器30Aは、例えば、要求承認通知を受信したら、直ちに物品を排出するように構成されていればよい。この場合、サーバ10は、要求承認を通知したら、チャージ済みの資金から決済金額を差し引いてチャージ残高を更新すればよい。
【0039】
あるいは、機器30Aが、サーバ10から要求承認通知を受信した後に、機器30Aとサーバ10との間で、何回かのやり取りが行われてもよい。例えば、機器30Aは、要求承認通知を受信したら、要求承認通知を受信した旨を利用者に対して報知し、本当に決済を行うか否かを再確認するように構成されていてもよい。この場合、機器30Aは、利用者によって決済を行う旨の入力操作(例えばボタン操作)が行われたら、物品を排出するように構成されていればよい。
【0040】
上述のような入力操作が行われた場合、機器30Aからサーバ10へ販売完了を通知するように構成されていればよい。サーバ10は、販売完了通知を受信したら、チャージ済みの資金から決済金額を差し引いてチャージ残高を更新すればよい。つまり、機器30Aは、要求承認通知を受信しても、直ちには物品を排出せず、更に機器30Aでの操作や、機器30Aとサーバ10とのやり取りも経た上で、最終的な決済に至るように構成されていてもよい。
【0041】
また、例えば、機器30Aが、サーバ10から要求拒否又はエラー応答の通知を受信した場合は、決済ができない旨をメッセージ又は警告音等で報知する。利用者は、報知されるメッセージ又は警告音等により、希望する決済ができない旨を知ることができる。
【0042】
なお、機器30Aが自動販売機等であれば、機器30Aは物品を排出する等の処理を実行するが、上述の通り、機器が店舗に設置されたキャッシュレジスター等であれば、サーバ10との間で決済に関するデータのやり取りだけを行えばよい。この場合、決済対象となった物品は、店員による手渡しで利用者に提供されればよい。
【0043】
[サーバ10において実行される決済処理の詳細]
次に、サーバ10において実行される決済処理について、
図2及び
図3に基づいて説明する。この決済処理は、サーバ10の稼働時にはサーバ10において常時実行されている処理である。サーバ10は、S110において、リクエストを受信したか否かを判断する。リクエストを受信していない場合は、S110においてNoとなり、S110へと戻る。一方、リクエストを受信した場合は、S110においてYesとなり、S120へと進む。
【0044】
なお、S110で受信するリクエストとしては、設定管理装置20からの各種要求及び機器30A~30Eからの各種要求が含まれ得る。ただし、設定管理装置20からの各種要求については、本開示の要部との関連性が希薄なので、以下の説明では、機器30A~30Eからのリクエストであることを前提にして説明を続ける。
【0045】
サーバ10は、S120において、受信UIDは登録済UIDか否かを判断する。より詳しくは、利用者が機器30A~30EにICカードを読み取らせる操作を行うと、機器30A~30Eは、ICカードからUIDを読み取り、そのUIDが含まれるリクエストをサーバ10へと送信する。サーバ10は、機器30A~30Eから送信されるリクエストを受信し、そのリクエスト中に含まれるUIDを取得する。ここで取得するUIDが、S120でいう受信UIDである。
【0046】
また、S120でいう登録済UIDとは、サーバ10に登録済みのUIDである。サーバ10のストレージ13には、
図4に示すようなICカード管理データベースが格納されている。ICカード管理データベースには、発行済みの個々のICカードに対応する情報が登録されている。このICカード管理データベースに登録されているUIDが、登録済UIDである。
【0047】
ICカード管理データベースには、1枚のICカードに対応する情報として、
図4に示すように、UID、ICカード種別、所有者データ、設定データ、及び残高データ等を含む情報が登録されている。UIDは、上述の通り、個々のICカードに対応する固有の識別コードである。ICカード種別は、ICカードの種別が、被看護者の所持する被看護者用ICカードなのか、看護者の所持する看護者用ICカードなのかを示すデータである。所有者データは、ICカードの所有者に対して付与される所有者ID、又は所有者の氏名等、所有者との紐付けが可能なデータである。
【0048】
設定データは、被看護者用ICカードの場合に含まれるデータであり、二重認証設定データ及び提供上限設定データが含まれる。二重認証設定データは、後述する処理の中で説明する二重認証の要否を示すデータである。提供上限設定データは、後述する処理の中で説明する上限判断の要否を示すデータである。残高データは、被看護者用ICカードの場合に含まれるデータであり、チャージ残高を示すデータである。
【0049】
サーバ10は、S120において、
図4に示すICカード管理データベースにアクセスし、受信UIDを検索キーにしてICカード管理データベースを検索し、受信UIDに一致するUIDが、ICカード管理データベース登録されているか否かを判断する。受信UIDが登録済みUIDではない場合は、S120においてNoと判断され、S130へ進む。受信UIDが登録済みUIDであった場合は、S120においてYesと判断され、S140へ進む。
【0050】
S120からS140へ進んだ場合、サーバ10は、S140において、受信UIDに基づいてカード種別及び所有者を判別する。具体的には、受信UIDを検索キーにして、
図4に示すICカード管理データベースを検索し、受信UIDを検出したら、検出した登録済みUIDに対応付けられたカード種別及び所有者を取得する。
【0051】
S140からS150へ進んだ場合、サーバ10は、S150において、カード種別が被看護者用か否かを判断する。具体的には、S140で取得したカード種別に基づき、そのカード種別が被看護者用か否かを判断する。カード種別が被看護者用である場合、S150においてYesと判断され、S160へ進む。カード種別が被看護者用ではない場合、S150においてNoと判断され、S210へ進む。
【0052】
S150からS160へ進んだ場合、サーバ10は、S160において、二重認証要か否かを判断する。本実施形態の場合、サーバ10は、被看護者及び決済対象の双方について二重認証要の場合に、S160において、二重認証要と判断し、被看護者及び決済対象の少なくとも一方について二重認証不要の場合に、S160において、二重認証不要と判断する。ただし、この条件は任意に変更することもできる。例えば、被看護者及び決済対象の少なくとも一方について二重認証要の場合に、S160において、二重認証要と判断し、被看護者又は決済対象の双方について二重認証不要の場合に、S160において、二重認証不要と判断するように構成してもよい。
【0053】
S160において、サーバ10は、
図4に示すICカード管理データベースを参照して、受信UIDに対応する二重認証設定データを取得し、取得した二重認証設定データに基づき、受信UIDに対応する被看護者が、二重認証要の被看護者か否かを判断する。二重認証要否については、被看護者の判断能力等を考慮して、施設側の管理者が適宜設定できる。例えば、判断能力が著しく低い被看護者を第1種被看護者、判断能力がある程度高い被看護者を第2種被看護者とすれば、第1種被看護者については二重認証要と設定し、第2種被看護者については二重認証不要と設定することができる。
【0054】
また、S160において、サーバ10は、
図6に示す認証設定データを参照して、ここでの決済対象となっている機器30A~30Eが、二重認証要の機器か否かを判断する。例えば、機器30Aの料金が相対的に低額で、機器30Dの料金が相対的に高額になり得る場合、機器30Aについては二重認証要と設定し、機器30Dについては二重認証不要と設定することができる。
【0055】
あるいは、例えば、糖尿病患者が糖分の多い飲料を購入するおそれがある場合には、糖尿病患者については自動販売機や食料品店舗での決済については二重認証要と設定し、テレビや洗濯機を利用するための決済については二重認証不要と設定することができる。
【0056】
図6に示す認証設定データ中には、決済システム1に含まれる複数の機器30A~30Eそれぞれについて、二重認証の要否と、二重認証の頻度が登録されている。認証設定データの中で二重認証の要否が要となっている機器は、S160において二重認証要と判断され、認証設定データの中で二重認証の要否が不要となっている機器は、S160において二重認証不要と判断される。
【0057】
S160での判断の結果、二重認証要の場合は、S160においてYesと判断され、S170へ進む。二重認証不要の場合は、S160においてNoと判断され、S310へ進む。S160からS170へ進んだ場合、サーバ10は、S170において、所定時間内に追加UIDを受信したか否かを判断する。追加UIDは、被看護者が機器30A~30Eで行う決済を看護者が許可する場合に、同じ機器30A~30Eで看護者が許可操作を行うと、機器30A~30Eからサーバ10へと送信されるUIDである。
【0058】
看護者が行う許可操作は、看護者が所持する看護者用カードを機器30A~30Eに読み取らせる操作である。機器30A~30Eは、看護者用カードから読み取ったUIDをサーバ10へと送信する。サーバ10は、機器30A~30Eから送信される看護者用のUIDを上記追加UIDとして受信する。上述の通り、
図6に示す認証設定データ中には、決済システム1に含まれる複数の機器30A~30Eそれぞれについて、二重認証の頻度が登録されている。S170では、処理対象となっている機器30A~30Eに関し、
図6に示す認証設定データを参照して、二重認証の頻度を特定し、その頻度に合致する期間内に、所期の追加UIDを受信しているか否かを判断する。
【0059】
所定時間内に追加UIDを受信した場合、S170においてYesと判断され、S180へ進む。所定時間内に追加UIDを受信しなかった場合、S170においてNoと判断され、S130へ進む。S170からS180へ進んだ場合、サーバ10は、S180において、受信UIDは登録済UIDか否かを判断する。登録済UIDか否かの判断は、S120と同様の手法で実行されればよい。
【0060】
受信UIDが登録済UIDであった場合は、S180においてYesと判断され、S190へ進む。受信UIDが登録済UIDではなかった場合、S180においてNoと判断され、S130へ進む。S180からS190へ進んだ場合、サーバ10は、S190において、受信UIDに基づいてカード種別及び所有者を判別する。カード種別及び所有者の判別は、S140と同様の手法で実行されればよい。
【0061】
S190からS200へ進んだ場合、サーバ10は、S200において、カード種別が看護者用か否かを判断する。カード種別が看護者用か否かの判断は、S150と同様の手法で実行されればよい。カード種別が看護者用の場合は、S200においてYesと判断され、S310へ進む。カード種別が看護者用ではない場合は、S200においてNoと判断され、S130へ進む。
【0062】
ところで、上述のS150~S200の処理ステップは、機器30A~30Eにおいて被看護者が先にICカードを読み取らせ、その後で看護者がICカードを読み取らせた場合の処理に対応する。一方、被看護者及び看護者が二重認証を実施する際には、機器30A~30Eにおいて看護者が先にICカードを読み取らせ、その後で被看護者がICカードを読み取らせる場合もある。この場合、上述のS150ではNoと判断され、S210へと進む。
【0063】
S150からS210へ進んだ場合、サーバ10は、S210において所定時間内に追加UIDを受信したか否かを判断する。ここでの追加UIDは、看護者が機器30A~30Eで既に上述の許可操作を行った後、同じ機器30A~30Eで被看護者がICカードを読み取らせる操作を行うと、機器30A~30Eからサーバ10へと送信されるUIDである。機器30A~30Eは、被看護者用カードから読み取ったUIDをサーバ10へと送信する。サーバ10は、機器30A~30Eから送信される被看護者用のUIDを上記追加UIDとして受信する。
【0064】
所定時間内に追加UIDを受信した場合、S210においてYesと判断され、S220へ進む。所定時間内に追加UIDを受信しなかった場合、S210においてNoと判断され、S130へ進む。S210からS220へ進んだ場合、サーバ10は、S220において、受信UIDは登録済UIDか否かを判断する。登録済UIDか否かの判断は、S120と同様の手法で実行されればよい。
【0065】
受信UIDが登録済UIDであった場合は、S220においてYesと判断され、S230へ進む。受信UIDが登録済UIDではなかった場合、S220においてNoと判断され、S130へ進む。S220からS230へ進んだ場合、サーバ10は、S230において、受信UIDに基づいてカード種別及び所有者を判別する。カード種別及び所有者の判別は、S140と同様の手法で実行されればよい。
【0066】
S230からS240へ進んだ場合、サーバ10は、S240において、カード種別が被看護者用か否かを判断する。カード種別が被看護者用か否かの判断は、S150と同様の手法で実行されればよい。カード種別が被看護者用の場合は、S240においてYesと判断され、S310へ進む。カード種別が看護者用ではない場合は、S240においてNoと判断され、S130へ進む。
【0067】
なお、上述のS120,S170,S180,S200,S210,S220及びS240のいずれかからS130へ進んだ場合、サーバ10は、S130において、機器30A~30Eへエラー応答を返し、ログを記録する。S130を終えたら、決済処理を終了する。ただし、決済処理はサーバ10において常時実行される処理であり、サーバ10が稼働を停止するまでは決済処理が何度でも実行されることになる。
【0068】
サーバ10が機器30A~30Eへエラー応答を返した場合、そのエラー応答を受信した機器30A~30Eでは、エラー応答が返ってきた旨を報知する。これにより、利用者はエラー応答が返ってきたという事実を知ることができ、また、その報知内容によっては、エラー応答の原因を知ることもできる。また、サーバ10は、S130において、
図5に示すログデータベースに、ログを記録する。
【0069】
ログデータベースには、1回のログ記録イベントに対応する情報として、ログ管理番号、リクエスト日時、受信UID情報、リクエスト処理結果等を含む情報が登録される。ログ管理番号は、個々のログイベントに対して付与される連番である。リクエスト日時は、ログの記録対象となったリクエストイベントが発生した日時である。受信UID情報には、最大で2枚のICカードに対応する情報が含まれる。
【0070】
具体的には、1枚目のICカードに対応する情報として、UID1,カード種別,所有者ID,氏名が登録され、2枚目のICカードに対応する情報として、UID2,カード種別,所有者ID,氏名が登録される。2枚のICカードとしては、看護者用ICカードと被看護者用ICカードの2枚を想定している。リクエスト処理結果は、リクエスト内容,リクエスト承認/拒否,決済内容等を含むデータ群である。
【0071】
S160,S200及びS240のいずれかからS310へ進んだ場合は、少なくともS110~S240の処理ステップにより、被看護者及び看護者による二重認証が成立したことになる。そこで、この場合、サーバ10は、S310において、チャージ残高があるか否かを判断する。チャージ残高があるかないかは、チャージ残高と決済額とを比較して判断される。
【0072】
決済額が可変となる場合は、決済額が機器30A~30Eからサーバ10へ通知されるように構成されていればよい。決済額が固定となる場合は、決済額が機器30A~30Eからサーバ10へ通知されないように構成されていてもよい。決済額が可変であっても、物品の単価が固定で、数量のみ可変としった場合は、決済額の代わりに数量が機器30A~30Eからサーバ10へ通知されるようにし、決済額をサーバ10側で算出するようにしてもよい。さらに、チャージ残高そのものも金銭と同じ単位である必要はなく、例えば、物品の利用可能個数やサービスの利用可能回数をチャージして、その個数や回数を決済することも可能である。
【0073】
チャージ残高がある場合は、S310においてYesと判断され、S320へ進む。チャージ残高がない場合は、S310においてNoと判断され、S380へ進む。S320へ進んだ場合、サーバ10は、S320において、リクエストに対応する商品又はサービスの提供上限を判別する。
【0074】
S320において、サーバ10は、
図7に示す提供上限設定データを参照して、ここでの決済対象となっている機器30A~30Eに関し、提供上限を判別する。
図7に示す提供上限設定データ中には、決済システム1に含まれる複数の機器30A~30Eそれぞれについて、決済上限と、リセット間隔が登録されている。S320では、リセット間隔を考慮して、まだリセットされていない決済額又は決済数量を把握し、その決済額に対して更に追加で決済したい決済額又は決済数量を加算し、その合計値(下記S330でいう提供量。)が提供上限値を超えるか否かを判断する。
【0075】
続いて、S320からS330へ進むと、サーバ10は、S330において、提供量は上限以下か否かを判断する。提供量が上限以下の場合は、S330においてYesと判断され、S340へ進む。提供量が上限を超える場合は、S330においてNoと判断され、S380へ進む。S330からS340へ進んだ場合、サーバ10は、S340において、リクエスト承認を通知する。
【0076】
続いて、サーバ10は、S350において、決済を実行したか否かを判断する。機器30A~30Eが、リクエスト承認を通知したら直ちに物品を提供する機器の場合は、リクエスト承認を通知したことをもって、決済を実行したと判断すればよい。また、機器30A~30Eが、リクエスト承認を通知したら、その旨を機器30A~30E側で利用者に報知し、本当に決済を行うか否かを利用者に選択させる場合には、その選択結果が機器30A~30Eからサーバ10に通知されるのを待ってもよい。この場合、選択結果がサーバ10に通知されたら、その選択結果に基づいて、決済を実行したか否かを判断すればよい。
【0077】
決済を実行した場合は、S350においてYesと判断され、S360へ進む。決済を実行しなかった場合は、S350においてNoと判断され、S370へ進む。S360へ進んだ場合、サーバ10は、チャージ残高を更新し、
図5に示すログデータベースにログを記録して、決済処理を終了する。S370へ進んだ場合、サーバ10は、
図5に示すログデータベースにログを記録して、決済処理を終了する。
【0078】
S310又はS330からS380へ進んだ場合、サーバ10は、リクエスト拒否を通知し、
図5に示すログデータベースにログを記録して、決済処理を終了する。サーバ10が機器30A~30Eへリクエスト拒否を返した場合、そのリクエスト拒否を受信した機器30A~30Eでは、リクエスト拒否が返ってきた旨を報知する。これにより、利用者はリクエスト拒否が返ってきたという事実を知ることができ、また、その報知内容によっては、リクエスト拒否の原因を知ることもできる。
【0079】
[本開示と実施形態との対応]
上記実施形態における機器30A~30Eは、本開示でいう機器の一例に相当する。上記実施形態におけるサーバ10は、本開示でいう決済管理装置の一例に相当する。上記実施形態における被看護者用ICカードは、本開示でいう被看護者用メディアの一例に相当する。上記実施形態における看護者用ICカードは、本開示でいう看護者用メディアの一例に相当する。上記実施形態における看護者用UIDは、本開示でいう看護者用識別コードの一例に相当する。上記実施形態における被看護者用UIDは、本開示でいう被看護者用識別コードの一例に相当する。
【0080】
上記実施形態におけるS120,S140~S240の処理ステップは、看護者及び被看護者双方の認証が成立しているか否かを判断するための処理ステップである。よって、このような構成は、本開示でいう許可条件が満たされているか否かを判断する処理ステップの一例に相当し、看護者の同意を得た決済であるとの同意条件が満たされているか否かを判断する処理ステップの一例にも相当する。
【0081】
上記実施形態におけるS310の処理ステップは、チャージ残高があるか否かを判断するための処理ステップである。よって、このような構成は、本開示でいう許可条件が満たされているか否かを判断する処理ステップの一例に相当する。
【0082】
上記実施形態におけるS330~S340の処理ステップは、リクエストに対応する商品又はサービスの提供上限を判別し、提供量が上限以下か否かを判断する処理ステップである。よって、このような構成は、本開示でいう許可条件が満たされているか否かを判断する処理ステップの一例に相当し、被看護者の利用済みの金額又は回数が上限値を超えない決済であるか否かを判断する処理ステップの一例にも相当する。
【0083】
上記実施形態におけるS340~S370の処理ステップは、許可条件が満たされる場合に実行される処理ステップであり、本開示でいう第1処理の一例に相当する。上記実施形態におけるS380の処理ステップは、許可条件が満たされない場合に実行される処理ステップであり、本開示でいう第2処理の一例に相当する。
【0084】
上記実施形態におけるS170及びS210の処理ステップは、所定時間内に追加UIDを受信しているか否かを判断する処理ステップであり、処理対象となっている機器30A~30Eに関し、
図6に示す認証設定データを参照して、二重認証の頻度を特定し、その頻度に合致する期間内に、所期の追加UIDを受信しているか否かを判断している。よって、このような構成は、本開示でいう、有効期限に至るまでの期間内は、許可条件が満たされるか否かを判断する際に、同意条件が満たされると判断する構成に相当する。
【0085】
上記実施形態におけるS130,S360及びS380の処理ステップでは、
図5に示すログデータベースにログを記録しており、看護者用ICカードと被看護者用ICカードの2枚を想定したログを記録している。よって、このような構成は、本開示でいう被看護者用識別コード及び看護者用識別コードが含まれる決済の履歴情報を記録する構成に相当する。
【0086】
上記実施形態におけるS160の処理ステップでは、第1種被看護者については二重認証要と設定し、第2種被看護者については二重認証不要と設定し、二重認証要の被看護者か否かを判断する例が開示されている。よって、このような構成は、本開示でいう第1種被看護者に対応付けて定められる許可条件には、同意条件が含まれるように構成され、第2種被看護者に対応付けて定められる許可条件には、同意条件が含まれないように構成される例に相当する。
【0087】
上記実施形態におけるS160の処理ステップでは、決済対象となっている機器30A~30Eが、二重認証要の機器か否かを判断する例が開示されている。よって、このような構成は、本開示でいう複数種の決済対象には、異なる許可条件が定められる場合がある例に相当する。
【0088】
[効果]
以上説明した決済システム1によれば、サーバ10は、被看護者の認証が成立した場合に、被看護者及び決済対象の少なくとも一方に対応付けて定められた条件であって決済を許可する場合に満たすべき許可条件が満たされるか否かを判断する。ここで、許可条件が満たされる場合、サーバ10は、決済を許可する場合に対応する第1処理(S340~S360)を実行する。一方、許可条件が満たされない場合、決済管理装置は、決済を許可しない場合に対応する第2処理(S380)を実行する。
【0089】
したがって、被看護者の認証が成立した場合に、無条件で決済を許可する従来技術とは異なり、あらかじめ適切な許可条件を定めておくことにより、許可条件が満たされないにもかかわらず、決済が行われてしまうのを未然に防ぐことができる。
【0090】
[他の実施形態]
以上、決済システムについて、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本開示の一態様として例示されるものにすぎない。すなわち、本開示は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
【0091】
例えば、上記実施形態では、サーバ10が決済を許可するか否かを判断し、許可する場合には、サーバ10が決済も実行し、チャージ残高の管理等を行っていたが、サーバ10が決済を許可するか否かを判断するだけにとどめてもよい。この場合、決済用資金の入出金処理や決済処理は、サーバ10とは別の外部装置に委ねてもよい。サーバ10とは別の外部装置は、サーバ10と通信可能に構成された装置であれば、サーバ10との間で送受信したデータに基づき、入出金処理や決済処理を実行することができる。
【0092】
このようなサーバ10とは別の外部装置は、施設で所持する装置であってもよいし、施設とは別の機関(例えば、クレジットカード会社等。)が所持する装置であってもよい。すなわち、サーバ10は、既存の決済サービスを提供する機関と連携して、決済を実行できるように構成されていてもよい。この場合でも、サーバ10が許可条件に基づいて決済を許可するか否かを管理することにより、被看護者が既存の決済サービスを過剰に利用してしまうのを抑制することができる。
【0093】
また、上記実施形態では、被看護者用メディア及び看護者用メディアの一例として、ICカードを例示したが、固有の識別コードを機器30A~30Eに伝達可能なメディアであれば、具体的なメディアの構成は、ICカードに限定されない。ICカード以外のメディアとしては、例えば、磁気カードのような磁気的に読み取り可能なメディアを挙げることができる。あるいは、バーコードや2次元コードのような光学的に読み取り可能なコードが印刷されたメディア、光学的に読み取り可能なコードを表示可能なメディア(例えば、スマートフォン等。)等であってもよい。
【0094】
なお、上記実施形態で例示した1つの構成要素によって実現される複数の機能を、複数の構成要素によって実現してもよい。上記実施形態で例示した1つの構成要素によって実現される1つの機能を、複数の構成要素によって実現してもよい。上記実施形態で例示した複数の構成要素によって実現される複数の機能を、1つの構成要素によって実現してもよい。上記実施形態で例示した複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現してもよい。上記実施形態で例示した構成の一部を省略してもよい。上記実施形態のうち、1つの実施形態で例示した構成の少なくとも一部を、当該1つの実施形態以外の上記実施形態で例示した構成に対して付加又は置換してもよい。
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
看護者によって看護される被看護者が利用する施設に導入される決済システムであって、
前記施設に設置される機器と、
前記機器と通信可能に構成される決済管理装置と、
を備え、
前記被看護者が決済対象に対する決済を希望する場合には、前記被看護者が所持する被看護者用メディアを前記機器に読み取らせる操作が行われ、その際、前記機器は、前記被看護者用メディアから被看護者用識別コードを読み取って、前記被看護者用識別コードを前記決済管理装置へ送信するように構成され、
前記決済管理装置は、前記機器から前記被看護者用識別コードを受信することによって前記被看護者の認証を行い、その認証が成立した場合には、前記被看護者及び前記決済対象の少なくとも一方に対応付けて定められた条件であって前記決済を許可する場合に満たすべき許可条件が満たされるか否かを判断し、前記許可条件が満たされる場合には、前記決済を許可する場合に対応する第1処理を実行し、前記許可条件が満たされない場合には、前記決済を許可しない場合に対応する第2処理を実行するように構成される、
決済システム。
[項目2]
項目1に記載の決済システムであって、
前記許可条件には、前記看護者の同意を得た決済であるとの同意条件が含まれる場合があり、
前記看護者が前記決済に同意する場合には、前記看護者が所持する看護者用メディアを前記機器に読み取らせる操作が行われ、その際、前記機器は、前記看護者用メディアから看護者用識別コードを読み取って、前記看護者用識別コードを前記決済管理装置へ送信するように構成され、
前記決済管理装置は、前記許可条件に前記同意条件が含まれる場合、前記機器から前記看護者用識別コードを受信することによって前記看護者の認証を行い、その認証が成立した場合には、前記許可条件が満たされるか否かを判断する際に、前記同意条件が満たされると判断するように構成される、
決済システム。
[項目3]
項目2記載の決済システムであって、
前記決済管理装置は、前記看護者の認証が成立した場合には、当該認証に対応する有効期限を設定し、前記有効期限に至るまでの期間内は、前記許可条件が満たされるか否かを判断する際に、前記同意条件が満たされると判断するように構成され、
前記被看護者及び前記決済対象の少なくとも一方に応じて、異なる前記有効期限が設定される場合がある、
決済システム。
[項目4]
項目2又は項目3に記載の決済システムであって、
前記決済管理装置は、前記被看護者用識別コード及び前記看護者用識別コードが含まれる前記決済の履歴情報を記録するように構成される、
決済システム。
[項目5]
項目2から項目4までのいずれか一項に記載の決済システムであって、
前記被看護者には、前記許可条件に違いがある第1種被看護者と第2種被看護者とが含まれ、
前記第1種被看護者に対応付けて定められる前記許可条件には、前記同意条件が含まれるように構成され、
前記第2種被看護者に対応付けて定められる前記許可条件には、前記同意条件が含まれないように構成される、
決済システム。
[項目6]
項目1から項目5までのいずれか一項に記載の決済システムであって、
複数種の前記決済対象があり、
複数種の前記決済対象には、異なる前記許可条件が定められる場合がある、
決済システム。
[項目7]
項目6に記載の決済システムであって、
複数種の前記決済対象には、利用可能な金額又は回数に上限値が定められた前記決済対象が含まれており、
前記許可条件には、前記被看護者の利用済みの金額又は回数が前記上限値を超えない決済であるとの上限条件が含まれる場合があり、
前記決済管理装置は、前記許可条件に前記上限条件が含まれる場合、前記許可条件が満たされるか否かを判断する際に、前記被看護者用識別コードに基づいて特定される前記被看護者の利用済みの金額又は回数が前記上限値を超えていなければ、前記上限条件が満たされると判断するように構成される、
決済システム。
【符号の説明】
【0095】
1…決済システム、10…サーバ、20…設定管理装置、30A~30E…機器、11,21…プロセッサ、31…コントローラ、12,22…メモリ、13,23…ストレージ、24,34…ユーザインタフェース、15,25,35…通信器、36…カードリーダ。