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特開2024-53823防音キャップ及び防音キャップを備えたトーショナルダンパ
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  • 特開-防音キャップ及び防音キャップを備えたトーショナルダンパ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053823
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】防音キャップ及び防音キャップを備えたトーショナルダンパ
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/12 20060101AFI20240409BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20240409BHJP
   F16F 15/126 20060101ALI20240409BHJP
   G10K 11/162 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F16F15/12 S
G10K11/16 150
F16F15/126 B
G10K11/16 120
G10K11/162
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160269
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】成田 信彦
(72)【発明者】
【氏名】塩沼 幸己
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061AA06
5D061AA22
5D061BB31
(57)【要約】
【課題】防音キャップの軸線方向の変更に伴う周辺干渉物との接触による破損を有効に抑制することが可能なトーショナルダンパを提供する。
【解決手段】クランクシャフトに固定される第1円筒部25及び第1円筒部25よりも径方向の外側の位置で第1円筒部25と同心的に設けられる第2円筒部21を有するハブ2と、振動リング7及びゴム状弾性体6を有するダンパー本体8と、ハブ2の第2円筒部21の内周面22に保持された円盤状の防音キャップ3と、を備え、ハブ2は、第2円筒部21の内周面22に設けられた環状溝31を有するとともに、防音キャップ3は、当該防音キャップ3の外周縁部に設けられた、環状溝31に挿入される環状突起23を有し、且つ、防音キャップ3は、トーショナルダンパ1の中心軸線Xを含む断面において、当該中心軸線Xに直交する対称軸Yに対して、中心軸線方向Xに対称な形状を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定されるハブの円筒部の内周面に保持される円盤状の防音キャップであって、
前記ハブの前記円筒部は、当該円筒部の前記内周面に設けられた環状溝を有するとともに、前記防音キャップは、当該防音キャップの外周縁部に設けられた、前記環状溝に挿入される環状突起を有し、且つ、
前記ハブの中心軸線を含む断面において、当該中心軸線に直交する対称軸に対して、前記中心軸線方向に対称な形状を有する、防音キャップ。
【請求項2】
発泡ウレタン、グラスウール、ロックウール、フェルト、メラミンフォーム、及びポリエチレンテレフタレートファイバーからなる群より選択される少なくとも一種を含む材料からなる、請求項1に記載の防音キャップ。
【請求項3】
クランクシャフトに固定される第1円筒部、及び前記第1円筒部に対して軸線方向にずれ、且つ前記第1円筒部よりも径方向の外側の位置で前記第1円筒部と同心的に設けられる第2円筒部を有するハブと、
前記ハブの前記第2円筒部と同心的に径方向外側に設けられる振動リング、及び前記第2円筒部と前記振動リングとの間に設けられるゴム状弾性体を有するダンパー本体と、
前記ハブの前記第2円筒部の内周面に保持された円盤状の防音キャップと、を備えたトーショナルダンパであって、
前記ハブは、前記第2円筒部の前記内周面に設けられた環状溝を有するとともに、前記防音キャップは、当該防音キャップの外周縁部に設けられた、前記環状溝に挿入される環状突起を有し、且つ、
前記防音キャップは、前記トーショナルダンパの中心軸線を含む断面において、当該中心軸線に直交する対称軸に対して、前記中心軸線方向に対称な形状を有する、トーショナルダンパ。
【請求項4】
前記防音キャップが、発泡ウレタン、グラスウール、ロックウール、フェルト、メラミンフォーム、及びポリエチレンテレフタレートファイバーからなる群より選択される少なくとも一種を含む材料からなる、請求項3に記載のトーショナルダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や一般産業機械用のエンジン等におけるクランクシャフト(回転駆動軸)に発生する捩じり振動を低減するためのトーショナルダンパに用いられる防音キャップ及びこのような防音キャップを備えたトーショナルダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や一般産業機械用のエンジンにおけるクランクシャフトには、その捩じり振動を低減させるために、トーショナルダンパが取り付けられている。このようなトーショナルダンパにおいては、エンジン稼動時におけるシリンダ内部の燃焼圧力及びピストンの往復運動により発生するクランクシャフト振動が、クランク軸先端に取り付けられたトーショナルダンパに伝達することで、トーショナルダンパから放射音が発生するという問題が有った。
【0003】
このため、トーショナルダンパ及び背後のエンジンのチェーンケースから放射される騒音や、トーショナルダンパのハブから放射される騒音を遮音する目的で、トーショナルダンパに防音キャップを取り付ける技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、図4に示すような防音キャップ1003を備えたトーショナルダンパが開示されている。図4は、従来のトーショナルダンパを模式的に示す断面図である。図4に示すように、防音キャップ1003は、ハブ1002の筒状部1021内周面1022に設けた環状突起1023と、防音キャップ1003の外周縁部に設けた環状溝1031とを係合し、防音キャップ1003を軸方向に固定している。また、この防音キャップ1003は、上述した環状突起1023及び環状溝1031に円周方向の凹凸(即ち、凹凸係合部1004)を設けることで、防音キャップ1003の空転が防止されている。具体的には、凹凸係合部1004は、環状突起1023の複数箇所に設けた係合用突起1231と、係合用突起1231に対応して環状溝1031に設けた係合溝1311とより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-267419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図4に示すような防音キャップ1003を備えたトーショナルダンパは、ハブ1002の環状突起1023に円周方向における凹凸形状を成型する場合、精密鋳造やフライス等による複雑な加工が必要であり、トーショナルダンパが非常に高価なものとなるという問題があった。
【0007】
また、特許文献1にて開示された防音キャップは、図4に示すように、防音キャップ1003の略中央部にボルト1001の頭部1011を受け入れるための窪み1032が設けられている。このような形状の防音キャップ1003は、トーショナルダンパが回転した際、遠心力によってクランクシャフトの締結ボルト(ボルト1001)を避けた防音キャップ1003の中央部構造が外周側へ膨らみ、且つ、防音キャップ1003の各所に作用する力の合成ベクトルによって防音キャップ1003の中央部がエンジンとは反対側(例えば、図4の紙面左側)に大きく変形するおそれがあるという問題もあった。例えば、図4に示すような防音キャップ1003の中央部が変形する方向の先に何らかの干渉物が存在した場合には、その干渉物との接触により、防音キャップ1003が破損するおそれもある。ここで、図4において、符号1005はサービス穴を示し、符号1006はゴム状弾性体を示し、符号1007はマス部材を示す。
【0008】
このような問題に対して、防音キャップの軸方向の変形が少なく、エンジンルーム内周辺の干渉物との接触が抑制されることで、破損を有効に防止することができる防音キャップの開発が切望されていた。
【0009】
上記の課題に鑑み、本発明によれば、防音キャップの軸方向の変形が抑制され、当該変形に伴う破損を有効に防止することが可能な防音キャップ、及びこのような防音キャップを備えたトーショナルダンパが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下の防音キャップ及び防音キャップを備えたトーショナルダンパを提供する。
【0011】
[1] 回転軸に固定されるハブの円筒部の内周面に保持される円盤状の防音キャップであって、
前記ハブの前記円筒部は、当該円筒部の前記内周面に設けられた環状溝を有するとともに、前記防音キャップは、当該防音キャップの外周縁部に設けられた、前記環状溝に挿入される環状突起を有し、且つ、
前記ハブの中心軸線を含む断面において、当該中心軸線に直交する対称軸に対して、前記中心軸線方向に対称な形状を有する、防音キャップ。
【0012】
[2] 発泡ウレタン、グラスウール、ロックウール、フェルト、メラミンフォーム、及びポリエチレンテレフタレートファイバーからなる群より選択される少なくとも一種を含む材料からなる、前記[1]に記載の防音キャップ。
【0013】
[3] クランクシャフトに固定される第1円筒部、及び前記第1円筒部に対して軸線方向にずれ、且つ前記第1円筒部よりも径方向の外側の位置で前記第1円筒部と同心的に設けられる第2円筒部を有するハブと、
前記ハブの前記第2円筒部と同心的に径方向外側に設けられる振動リング、及び前記第2円筒部と前記振動リングとの間に設けられるゴム状弾性体を有するダンパー本体と、
前記ハブの前記第2円筒部の内周面に保持された円盤状の防音キャップと、を備えたトーショナルダンパであって、
前記ハブは、前記第2円筒部の前記内周面に設けられた環状溝を有するとともに、前記防音キャップは、当該防音キャップの外周縁部に設けられた、前記環状溝に挿入される環状突起を有し、且つ、
前記防音キャップは、前記トーショナルダンパの中心軸線を含む断面において、当該中心軸線に直交する対称軸に対して、前記中心軸線方向に対称な形状を有する、トーショナルダンパ。
【0014】
[4] 前記防音キャップが、発泡ウレタン、グラスウール、ロックウール、フェルト、メラミンフォーム、及びポリエチレンテレフタレートファイバーからなる群より選択される少なくとも一種を含む材料からなる、前記[3]に記載のトーショナルダンパ。
【発明の効果】
【0015】
上述した防音キャップ及びその防音キャップを備えたトーショナルダンパは、防音キャップの軸方向(より具体的には、防音キャップが装着されるハブの中心軸線方向)の変形が抑制され、このような変形に伴う防音キャップの破損を有効に抑制することができる。即ち、防音キャップの遠心力による変形に伴う周辺干渉物との接触による破損を有効に抑制することができる。
【0016】
また、防音キャップは、円筒部(例えば、ハブの第2円筒部)に対する装着機構が非常に簡便であるにも関わらず、その円筒部に対し、防音キャップに作用する遠心力を利用した大きな摩擦力により堅実な装着を実現することができる。このため、従来のトーショナルダンパのように、防音キャップの外周縁部に対して防音キャップの空転を防止するため成型や加工が困難な凹凸形状を設ける必要がない。このため、上述したように構成された防音キャップ及びトーショナルダンパは、生産コストの低減にも大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】トーショナルダンパの実施形態を模式的に示す断面図である。
図2図1に示すトーショナルダンパにおける防音キャップの組付け状態を示す断面斜視図である。
図3図1に示すトーショナルダンパから防音キャップを取り外した状態を示す断面斜視図である。
図4】従来のトーショナルダンパを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0019】
以下、本実施形態の防音キャップ及びその防音キャップを備えたトーショナルダンパについて、図1図3に示すトーショナルダンパ1を例に説明する。本実施形態のトーショナルダンパ1は、図1図3に示すような、クランクシャフトに締結するハブ2と、振動リング7及びゴム状弾性体6を有するダンパー本体8と、防音キャップ3と、を備えたトーショナルダンパ1である。ここで、図1は、トーショナルダンパの実施形態を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示すトーショナルダンパにおける防音キャップの組付け状態を示す断面斜視図である。図3は、図1に示すトーショナルダンパから防音キャップを取り外した状態を示す断面斜視図である。なお、図1においては、トーショナルダンパ1の中心軸線Xを含む面で、トーショナルダンパ1を切断した断面を示している。
【0020】
ハブ2は、クランクシャフトに固定される第1円筒部25、及び第1円筒部25に対して軸線方向にずれ、且つ第1円筒部25よりも径方向の外側の位置で第1円筒部25と同心的に設けられる第2円筒部21を有する。第1円筒部25の内周面側にはボスなどが設けられ、例えば、ボルト(図示せず)によって、クランクシャフトに固定される。第1円筒部25は、クランクシャフトに直接取り付けられて固定されていてもよいし、クランクシャフトの外周面側に設けられるスリーブなどの部材を介して、ハブ2がクランクシャフトに間接的に取り付けられていてもよい。図1図3において、符号5は、ハブ2に設けたサービス穴5を示す。トーショナルダンパ1において、防音キャップ3は、ハブ2の第2円筒部21の内周面22に保持される。
【0021】
ダンパー本体8は、ハブ2の第2円筒部21と同心的に径方向外側に設けられる振動リング7、及び第2円筒部21と振動リング7との間に設けられるゴム状弾性体6を有する。環状に設けられるゴム状弾性体6は、第2円筒部21の外周面と振動リング7の内周面との間に圧入された状態で設けられている。振動リング7は、動吸振器のマス(質量体)をなすものである。ダンパー本体8は、振動リング7が回転方向に共振することで、クランクシャフトの捩り共振を抑制(別言すれば、吸振)することができる。
【0022】
ゴム状弾性体6は、特に限定されることはないが、例えば、加硫成型により得られたものを挙げることができる。ゴム状弾性体6の材料として、耐久性,耐熱性及び振動低減効果などに優れたエチレンプロピレンゴム(EPDM)などを好適に用いることができる。
【0023】
防音キャップ3は、ハブ2の第2円筒部21の内周面22に保持された円盤状のものである。クランクシャフトを締結するハブ2には、軽量化のための開口部が設けられている場合があり、この開口部を通してエンジンチェーンケースの放射音が透過し、車外へ騒音として放出されることがある。また、ハブ2自身が共振した際に、ハブ2自身から共振音が放射され、車外へ騒音として放出されることがある。本実施形態のトーショナルダンパ1は、ハブ2の第2円筒部21の内周面22に保持された防音キャップ3を備えているため、上述したような放射音を極めて効果的に遮断することができる。
【0024】
トーショナルダンパ1において、ハブ2は、第2円筒部21の内周面22に設けられた環状溝31を有し、防音キャップ3は、その防音キャップ3の外周縁部に設けられた、環状溝31に挿入される環状突起23を有する。即ち、環状溝31は、第2円筒部21の内周面22を周回するように環状に形成された溝(窪み)である。一方、環状突起23は、防音キャップ3の外周縁部から径方向外側に伸びるように形成された環状の突起である。このように構成された第2円筒部21の環状溝31に、防音キャップ3の環状突起23を嵌め合わせることで、防音キャップ3をトーショナルダンパ1に装着させるための防音キャップ装着部4が構成される。環状溝31は、特に限定されることはないが、ハブ2の第2円筒部21の内周面22に旋盤加工を施すことにより設けることができる。
【0025】
防音キャップ3は、その形状においても特に主要な構成を有している。即ち、防音キャップ3は、図1に示すようなトーショナルダンパ1の断面において、その中心軸線Xに直交する対称軸Yに対して、中心軸線X方向に対称な形状を有する。ここで、トーショナルダンパ1の中心軸線Xとは、トーショナルダンパ1の回転軸における中心軸線Xを意味し、中心軸線X方向とは、その中心軸線Xと平行な方向、例えば、図1において、紙面の左右方向(即ち、対称軸Yに直交する方向)を意味する。以下、上述した中心軸線X方向については、単に「軸方向」ということがある。
【0026】
防音キャップ3を、上述したような対称軸Yに対して対称な形状とすることで、防音キャップ3に作用する遠心力によって防音キャップ3を外周方向に変形させることができる。例えば、ハブ2の中央部付近では、防音キャップ3は外周に向かって変形し、ハブ2の外周部付近では更に外周に向かって変形する。そして、ハブ2の最外周部に相当する部分では、上述した防音キャップ3の連鎖的な全ての変形が集約され、ハブ2の最外周部にて最も大きな力で第2円筒部21の内周面22に密着する。このような遠心力による密着効果によって、防音キャップ3と第2円筒部21の内周面22とに大きな摩擦力が生じ、防音キャップ3が空転することなく、第2円筒部21の内周面22に保持させることができる。また、例えば、図4に示す従来の防音キャップ1003のように、防音キャップ1003の空転を抑制するための円周方向の凹凸形状(即ち、凹凸係合部1004)を作り込む必要がない。図4に示すような防音キャップ1003の凹凸係合部1004は、成型や加工が困難な形状となり製造コストの増大を招来する。一方で、図1図3に示すようなトーショナルダンパ1は、防音キャップ3の形状及びその装着機構が非常に簡便であり、生産コストの低減にも大きく寄与する。
【0027】
また、防音キャップ3は、これまでに説明したような防音キャップ3の対称性によって軸方向における変形が極めて有効に防止される。このため、防音キャップ3と周辺干渉物(例えば、エンジンルーム内周辺の干渉物)との接触が抑制され、当該接触に伴う破損を有効に防止することができる。
【0028】
防音キャップ3は、例えば、ゴム又は樹脂状弾製材で成型されたものを挙げることができる。防音キャップ3を上述したような弾性材製とすることで、防音キャップ3の環状突起23を第2円筒部21の内周面22の環状溝31に嵌め込むこと、及び嵌めこんだ状態から防音キャップ3を取り外すこと、が容易となる。
【0029】
防音キャップ3は、特に制限されることはないが、発泡ウレタン、グラスウール、ロックウール、フェルト、メラミンフォーム、及びポリエチレンテレフタレートファイバーからなる群より選択される少なくとも一種を含む材料からなるものであることが好ましい。
【0030】
なお、これまでに説明したように、防音キャップ3は、図1に示すような断面において、対称軸Lに対して、中心軸線X方向に対称な形状を有するものであるが、この中心軸線方向Xにおける対称性は、図面公差程度の幾何公差が許容される。防音キャップ3に許容される幾何公差は、基準寸法からの差(許容差)で表すことができ、基準寸法を100とした場合、100±0.2~0.3程度の公差が許容される。
【0031】
以上が本実施形態の説明である。なお、本実施形態では、クランクシャフト等のシャフトの端部に取り付けられるトーショナルダンパについて説明しているが、本実施形態のトーショナルダンパはこれに限定されることはない。本実施形態のトーショナルダンパは、例えば、自動車、建設機械、船舶等のクランクシャフトのみならず、エンジンのカムシャフトや、その他の装置の種々の回転軸における捩じれ振動を低減するためのトーショナルダンパに適用することができる。また、これまでに説明した防音キャップは、トーショナルダンパ機構を有さないクランクプーリに対して適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の防音キャップ及びトーショナルダンパは、自動車や一般産業機械用のエンジン等におけるクランクシャフト(回転駆動軸)に発生する捩じり振動を低減するために利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1:トーショナルダンパ
2:ハブ
3:防音キャップ
4:防音キャップ装着部
5:サービス穴
6:ゴム状弾性体
7:振動リング
8:ダンパー本体
21:第2円筒部
22:内周面
23:環状突起
25:第1円筒部
31:環状溝
1001:ボルト
1002:ハブ
1003:防音キャップ
1004:凹凸係合部
1005:サービス穴
1006:ゴム状弾性体
1007:マス部材
1011:頭部
1021:筒状部
1022:内周面
1023:環状突起
1031:環状溝
1032:窪み
1231:係合用突起
1311:係合溝
図1
図2
図3
図4