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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053826
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】配車方法及び配車装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
G08G1/123 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160273
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 英明
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF01
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】配車対象の車両に対して、ユーザの乗車地点への到着時刻に対する遅延の少ない適切な走行ルートを指示する。
【解決手段】配車方法では、指示された走行ルートRu1を走行している車両40の位置情報を取得する。第1の走行ルートRu1外の乗車地点D3を含む配車リクエスト情報を受け付けると、位置情報が示す位置P1から乗車地点D3に向かう第2の走行ルートRu3を演算する。第1の分岐点C1における第1の走行ルートRu1から第2の走行ルートRu3への車両40の進行方向Xの変更が、第2の走行ルートRu3へのルート変更を車両40に指示する時点で不可能な場合、車両40の第3の走行ルートRu5を演算する。第3の走行ルートRu5は、第2の分岐点C3における第1の走行ルートRu1から第3の走行ルートRu5への進行方向Xの変更が、第3の走行ルートRu5へのルート変更を車両40に指示する時点で可能な走行ルートである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示された走行ルート上を走行する車両の配車方法であって、
第1の走行ルート上を走行している車両の位置情報を取得し、
前記第1の走行ルート上に位置しないユーザの乗車地点を含む配車リクエスト情報を受け付けた場合に、前記位置情報が示す位置から前記乗車地点に向かう前記車両の第2の走行ルートを演算し、
前記第2の走行ルートが前記第1の走行ルートから分岐する第1の分岐点における前記車両の進行方向の変更が、前記第1の走行ルートから前記第2の走行ルートへのルート変更を前記車両に指示する第1の時点において可能か否かを判断し、
前記進行方向の変更が不可能と判断した場合に、前記位置情報が示す位置から前記乗車地点に向かう前記車両の第3の走行ルートであって、前記第3の走行ルートが前記第1の走行ルート上から分岐する第2の分岐点における前記車両の進行方向の変更が、前記第1の走行ルートから前記第3の走行ルートへのルート変更を前記車両に指示する第2の時点において可能な前記第3の走行ルートを演算し、前記第3の走行ルートを前記車両に指示する、
配車方法。
【請求項2】
前記第1の分岐点及び前記第2の分岐点は、所定の面積を有するエリア内に設定される請求項1に記載の配車方法。
【請求項3】
前記所定の面積は、前記車両の走行速度が高くなるほど狭い請求項2に記載の配車方法。
【請求項4】
前記第1の時点又は前記第2の時点における前記車両の位置が、前記車両の進行方向において、前記第1の分岐点又は前記第2の分岐点の手前の所定の距離に亘るアプローチ区間よりもさらに手前の位置である場合に、前記第1の分岐点又は前記第2の分岐点における、前記第1の走行ルートから前記第2の走行ルート又は前記第3の走行ルートへのルート変更が可能と判断し、前記アプローチ区間よりもさらに手前の位置でない場合に、前記第1の分岐点又は前記第2の分岐点における、前記第1の走行ルートから前記第2の走行ルート又は前記第3の走行ルートへのルート変更が不可能と判断する請求項1に記載の配車方法。
【請求項5】
前記所定の距離は、前記第1の分岐点又は前記第2の分岐点における前記車両の左折又は右折の要否に基づいて設定される請求項4に記載の配車方法。
【請求項6】
前記第1の分岐点又は前記第2の分岐点において前記車両の左折又は右折を要する場合、前記所定の距離は、前記車両の乗客又は積荷の有無に基づいて設定される請求項5に記載の配車方法。
【請求項7】
前記所定の距離は、前記車両の進行方向における前記第1の分岐点又は前記第2の分岐点の手前での前記車両の進路変更の要否に基づいて設定される請求項4に記載の配車方法。
【請求項8】
前記所定の距離は、前記車両の進行方向における前記第1の分岐点又は前記第2の分岐点の手前の、車線変更禁止区間の有無に基づいて設定される請求項4に記載の配車方法。
【請求項9】
前記第1の分岐点が、前記第1の走行ルートから前記第2の走行ルートに前記車両の進行方向を変更できる前記第1の走行ルート上の最後の地点であるか否かを、前記乗車地点に基づいて判断し、前記第1の分岐点が最後の地点であると判断した場合に、前記車両に走行速度を指示し、前記車両に指示した前記走行速度に基づいて、前記第1の時点における、前記第1の分岐点での前記車両の進行方向の変更が可能か否を判断する請求項1に記載の配車方法。
【請求項10】
指示された走行ルート上を走行する車両の配車装置であって、
第1の走行ルート上を走行している車両の位置情報を取得する情報取得部と、
前記第1の走行ルート上に位置しないユーザの乗車地点を含む配車リクエスト情報を受け付けた場合に、前記位置情報が示す位置から前記乗車地点に向かう前記車両の第2の走行ルートを演算するルート演算部と、
前記第2の走行ルートが前記第1の走行ルートから分岐する第1の分岐点における前記車両の進行方向の変更が、前記第1の走行ルートから前記第2の走行ルートへのルート変更を前記車両に指示する第1の時点において可能か否かを判断する判断部と、
前記進行方向の変更が不可能と判断した場合に、前記位置情報が示す位置から前記乗車地点に向かう前記車両の第3の走行ルートであって、前記第3の走行ルートが前記第1の走行ルート上から分岐する第2の分岐点における前記車両の進行方向の変更が、前記第1の走行ルートから前記第3の走行ルートへのルート変更を前記車両に指示する第2の時点において可能な前記第3の走行ルートを演算し、前記第3の走行ルートを前記車両に指示する再設定部と、
を備える配車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車方法及び配車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗合車両運行スケジューリングシステムが記載されている。このシステムでは、各乗合車両の現在位置と乗員数などを含む車両情報を取得しておき、利用者からの利用要求をオンラインで受け付けると、以前に取得した車両情報を利用して、利用者の乗車地点を経由する新しい運行スケジュールを作成する。新しい運行スケジュールは、乗車のスケジュールとして利用者に通知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-140788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、以前に取得した乗合車両の現在位置に基づいて、新しい運行スケジュールが作成される。新しい運行スケジュールが対応する乗合車両に通知される頃には、現在の運行スケジュールにしたがって走行している乗合車両が、新しい運行スケジュールとの分岐点を過ぎて先に進み、新しい運行スケジュールの走行ルートから外れている場合がある。新しい運行スケジュールの走行ルートから乗合車両が外れていると、新しい運行スケジュール通りの走行ルートで乗合車両が利用者の乗車地点に移動できないので、予定の時刻に乗合車両が乗車地点に到着できず到着時刻が遅れる可能性がある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、配車対象の車両に対して、ユーザの乗車地点への到着時刻に対する遅延の少ない適切な走行ルートを指示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一つの態様に係る配車方法では、指示された走行ルート上を走行する車両の配車方法であって、第1の走行ルートを走行している車両の位置情報を取得する。第1の走行ルート上に位置しないユーザの乗車地点を含む配車リクエスト情報を受け付けた場合に、位置情報が示す位置から乗車地点に向かう車両の第2の走行ルートを演算する。第2の走行ルートが第1の走行ルートから分岐する第1の分岐点における車両の進行方向の変更が、第1の走行ルートから第2の走行ルートへのルート変更を車両に指示する第1の時点において可能か否かを判断する。進行方向の変更が不可能と判断した場合に、車両の第3の走行ルートを演算し、車両に指示する。第3の走行ルートは、位置情報が示す位置から乗車地点に向かう車両の走行ルートである。第3の走行ルートは、第1の走行ルート上の第2の分岐点における車両の進行方向の変更が、第2の分岐点における第1の走行ルートからのルート変更を車両に指示する第2の時点において可能な走行ルートでもある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配車対象の車両に対して、ユーザの乗車地点への到着時刻に対する遅延の少ない適切な走行ルートを指示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る配車装置を含む配車システムの構成を示す図である。
図2図2は、図1の配車装置が設定する配車候補の車両の予定走行ルートの基本的な考え方を示す図である。
図3A図3Aは、図1の配車システムにおける配車処理のアプローチ区間を算出するまでの手順の一例を示すフローチャートである。
図3B図3Bは、図1の配車システムにおける配車処理のユーザの乗車位置への予定走行ルートを設定するまでの手順の一例を示すフローチャートである。
図3C図3Cは、図1の配車システムにおける配車処理の配車車両に予定走行ルートを指示するまでの手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る配車装置を含む配車システムの構成を説明する。
【0011】
本実施形態に係る配車システム1は、配車装置10、通信ネットワーク20、ユーザ端末30及び車両40を有している。配車装置10は、通信ネットワーク20を介してユーザ端末30及び車両40と通信する。配車システム1は複数台の車両40を有しており、配車装置10は、ユーザ端末30から入力される配車リクエストに基づいて、複数の車両40の中から1台の車両40を、配車リクエスト元のユーザ(図示せず)に配車する。本実施形態に係る配車装置10は、本実施形態に係る配車方法を実施することができる。
【0012】
配車装置10は、例えば、汎用のマイクロコントローラを有している。マイクロコントローラは、CPU(Central Processing Unit )及びメモリを備える。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。
【0013】
マイクロコントローラは、メモリに記憶させたプログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。複数の情報処理回路は、配車装置10の後述する各部101~119を構成するのに用いることができる。
【0014】
本実施形態では、マイクロコントローラに構築される複数の情報処理回路をソフトウェアによって実現する例を示す。もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。専用のハードウェアは、各部101~119の機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC;Application Specific Integrated Circuit )、従来型の回路部品のような装置を含む。
【0015】
配車装置10のマイクロコントローラは、仮想的に構築する複数の情報処理回路により、情報取得部101、ルート受け取り位置計算部103、ルート変更地点検出部105、ルート変更可否判断部107及びルート変更地点修正部109を構成することができる。配車装置10のマイクロコントローラは、複数の情報処理回路により、走行ルート計算部111、配車車両選定部113、配車提案部115、配車決定部117及び走行ルート指示部119をさらに構成することができる。各部101~119が行う処理については後述する。図1では、走行ルート計算部111を「新規走行ルート/乗降地到着時間計算部111」と記載している。
【0016】
通信ネットワーク20は、無線方式で構成されてもよく、無線及び有線の両方の方式を含んで構成されてもよい。通信ネットワーク20の、少なくとも車両40と通信を行うネットワークの部分は、無線方式で構成する。通信ネットワーク20には、インターネットが含まれてもよい。本実施形態では、ユーザ端末30及び車両40は、無線通信方式によって通信ネットワーク20と接続する。ユーザ端末30が使用する通信ネットワークと車両40が使用する通信ネットワークとは、同じネットワークでもよく、異なるネットワークでもよい。
【0017】
ユーザ端末30は、スマートホンでもよく、汎用のパーソナルコンピュータでもよい。配車システム1では、車両40の配車を予約する不図示のユーザが、ユーザ端末30にインストールされたアプリケーションソフトウェア(以下、アプリという)を起動させて、車両40の配車のリクエストに必要な情報の入力を行うことができる。情報の入力は、例えば、不図示の入力部から行うことができる。入力部は、例えば、キーボード、マウスであってもよく、タッチパネルであってもよい。
【0018】
ユーザが入力する情報は、例えば、車両40の配車をリクエストするユーザの乗車地点及び降車地点、ユーザ情報等、予約に係る情報を含んでいる。ユーザ情報は、例えば、ユーザID等のユーザを識別するための情報を含むものとすることができる。ユーザの乗車地点は、例えば、住所等によって指定する任意の場所でもよく、予め定められた複数の乗車場所からユーザが選択した最寄りの乗車場所等でもよい。
【0019】
ユーザが、アプリを起動させたユーザ端末30に、車両40の配車のリクエストに必要な情報を入力すると、ユーザ端末30は、入力した情報を含む配車リクエスト情報を、通信ネットワーク20を介して配車装置10に送信する。
【0020】
ユーザ端末30は、配車候補の車両40の配車提案情報を配車装置10から受信すると、配車候補の車両40の配車を承諾するか否かの入力を、入力部から受け付けることができる。ユーザ端末30は、配車を承諾するか否かの入力を、例えば、配車提案情報に含まれるユーザの乗車地点への到着予定時刻を不図示のディスプレイに表示させた状態で、受け付けることができる。ユーザは、乗車地点への到着予定時刻を考慮して、配車候補の車両40の配車を承諾するか否かを入力することができる。ユーザ端末30は、受け付けた入力の内容を示す承諾情報を、通信ネットワーク20を介して配車装置10に送信する。
【0021】
車両40は、通信ネットワーク20を介して配車装置10と通信する車載装置(図示せず)を搭載している。車両40が自動運転車両である場合、車載装置は、例えば、自動運転ECU(Electronic Control Unit 、以下同じ。)によって構成することができる。
【0022】
自動運転ECUの複数の情報処理回路は、指示された走行ルート及び速度で車両40を自動運転させることができる情報処理回路を含んでいる。走行ルートは、例えば、配車装置10から指示されたルートとすることができる。
【0023】
自動運転ECUの情報処理回路は、車両40の情報を配車装置10に送信する情報処理回路を含んでいる。車両40の情報は、例えば、車両40の位置情報、車両40が現在走行している第1の走行ルートの情報、走行速度の情報のうち、少なくとも1つを含むものとすることができる。車両40の位置情報は、例えば、車両40に搭載された不図示のGNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)センサの出力を用いて取得することができる。
【0024】
配車装置10は、ユーザ端末30から受信した配車リクエスト情報に含まれるユーザの乗車地点が、各車両40から受信した情報にある第1の走行ルート上に位置しない場合に、配車候補の車両40の走行ルートを演算する。配車装置10が演算する走行ルートは、車両40が走行している現在の第1の走行ルートに代わって、配車候補の車両40に走行させる走行ルートである。配車装置10が演算する走行ルートは、配車候補の車両40から受信した情報に含まれる位置情報が示す配車候補の車両40の位置から、ユーザの乗車地点に向かう、車両40の走行ルートを含む。
【0025】
配車装置10は、配車候補の車両40がユーザの乗車地点に到着する予定時刻を、演算した走行ルートに基づいて算出する。配車装置10は、乗車地点への到着予定時刻を含む配車候補の車両40の配車提案情報を、配車リクエスト情報の送信元のユーザ端末30に送信する。
【0026】
配車候補の車両40は、例えば、配車装置10が演算する走行ルートに基づいて算出される乗車地点への到着予定時刻が最も早い車両40とすることができる。
【0027】
配車装置10は、ユーザ端末30から配車候補の車両40の配車を承諾する情報を受信すると、指定された第1の走行ルートに代わる走行ルートとして、配車装置10が演算した走行ルートへのルート変更を配車候補の車両40に指示する。
【0028】
配車装置10がユーザの承認後に配車候補の車両40に指示するルート変更後の走行ルートは、ユーザの承認前の位置情報に基づいて演算される。ここで、指定された走行ルートで目的地に向かっている車両40に、ユーザの乗車地点に向かう走行ルートへのルート変更を指示する場合について考える。
【0029】
図2の第1の走行ルートRu1で目的地D1に向かっている車両40を、道路Ro3上にあるユーザの乗車地点D3に向かわせる場合、配車装置10は、第1の走行ルートRu1から分岐しユーザの乗車地点D3に向かう走行ルートを演算する。第1の走行ルートRu1の車両40の位置情報から、車両40が道路Ro1の位置P1にいると認識した場合、配車装置10は、位置P1から乗車地点D3に最短距離で向かう第2の走行ルートRu3を演算することが考えられる。
【0030】
第2の走行ルートRu3は、道路Ro3との交差点C1で道路Ro1を左折して第1の走行ルートRu1から分岐し、道路Ro3を直進して乗車地点D3に向かう走行ルートである。第1の走行ルートRu1を走行中の車両40は、第1の分岐点となる交差点C1で進行方向を変更し、第1の走行ルートRu1から第2の走行ルートRu3にルート変更する。
【0031】
配車装置10が第2の走行ルートRu3を演算した場合、ユーザは、第2の走行ルートRu3に基づいて配車装置10が算出した乗車地点D3の到着予定時刻を考慮して、配車候補の車両40の配車を承諾するか否かを決定する。ユーザが配車を承諾した配車候補の車両40は、ユーザ端末30からの承諾情報を受信した配車装置10からの、第2の走行ルートRu3へのルート変更の指示を受け取って、第1の走行ルートRu1から第2の走行ルートRu3にルート変更する。
【0032】
承認された配車候補の車両40は、配車装置10からのルート変更の指示を受け取る時点(第1の時点)で、配車装置10が第2の走行ルートRu3を演算したときの前提とした位置P1よりも、第1の走行ルートRu1上を先に進んだ位置に進んでいる。
【0033】
配車候補の車両40が、例えば、交差点C1の直前の位置P3に進んでいる場合は、その時点で第2の走行ルートRu3へのルート変更の指示を受け取っても、左折の準備が整う時点では交差点C1に進入し、又は、交差点C1を通過している可能性がある。この場合は、交差点C1での進行方向の変更が間に合わないので、配車候補の車両40は、第1の走行ルートRu1のまま交差点C1を直進し、第2の走行ルートRu3から外れてしまう。
【0034】
第2の走行ルートRu3から外れた車両40が回り道して乗車地点D3に向かうと、第2の走行ルートRu3で乗車地点D3に向かった場合の到着予定時刻よりも、到着時刻が遅れてしまう。
【0035】
配車装置10は、演算した走行ルートへのルート変更の指示を受け取る時点の車両40の位置が、第1の走行ルートRu1からの分岐点において車両40が進行方向を変更するのが不可能で間に合わない位置となる場合に、別の走行ルートを演算する。別の走行ルートは、例えば、図2の第3の走行ルートRu5である。
【0036】
第3の走行ルートRu5は、道路Ro1の交差点C1を過ぎた次の交差点C3で左折して第1の走行ルートRu1から分岐し、左折後に道路Ro5,Ro7を通って乗車地点D3に向かう走行ルートである。第2の分岐点となる交差点C3で進行方向を変更し、第1の走行ルートRu1から第3の走行ルートRu5にルート変更する。
【0037】
配車候補の車両40は、第3の走行ルートRu5へのルート変更の指示を配車装置10から受け取る時点(第2の時点)で、第1の走行ルートRu1上の位置P1よりも先に進んだ位置にいても、左折の準備が整ってから交差点C3に進入することができる。この場合、配車候補の車両40は、交差点C3で進行方向を変更し、第3の走行ルートRu5から外れずに乗車地点D3に到着することができる。
【0038】
上述した概要の手順でユーザの乗車地点D3に配車する車両40の走行ルートを演算するために、配車装置10の各部101~119が行う処理を、図3A図3Cのフローチャートを参照して説明する。図3A図3Cのフローチャートは、本実施形態の配車システム1において、配車リクエスト元のユーザに車両40を配車する際の、配車装置10、ユーザ端末30及び車両40(の車載装置)においてそれぞれ行われる処理手順の一例を示している。
【0039】
配車システム1には複数の車両40が存在する。図3A図3Cには、複数の車両40を代表して、その中の1台である車両A40(の車載装置)において行われる処理手順を示している。車両A40を除く他の車両(車両B,・・・)40(の車載装置)も、図3A図3Cに記載した処理手順をそれぞれ行う。
【0040】
図3Aに示すように、ユーザ端末30から新規の配車リクエストが送信されると(ステップS301)、その配車リクエストを、図1の配車装置10の情報取得部101が受信する(ステップS201)。配車リクエストの受信により、情報取得部101は、ユーザの乗車地点D3及び降車地点、ユーザ情報等を取得することができる。情報取得部101は、配車システム1の各車両40に対して、車両40の車両情報を要求する信号を全車両40に送信する(ステップS202)。
【0041】
車両A40は、経路計画にしたがって走行(回送運行)している(ステップS101)。以下、経路計画にしたがった走行が、上述した第1の走行ルートRu1での走行である場合について説明する。車両A40は、車両情報要求信号を受信すると(ステップS102)、車両A40の車両情報を、配車装置10に送信する(ステップS103)。車両A40の車両情報は、例えば、車両A40の位置情報、車速情報、車両A40が現在走行している第1の走行ルートRu1の情報を含むものとすることができる。
【0042】
車両A40からの車両情報及び第1の走行ルートRu1の情報を情報取得部101が受信すると(ステップS203)、図1のルート受け取り位置計算部103が、車両A40の配車決定時推定車両位置を計算する(ステップS204)。配車決定時推定車両位置とは、車両A40が配車候補の車両40としてユーザに承諾された場合の、ユーザの乗車地点D3に向かうルート変更を車両A40に指示する時点における、車両A40の推定車両位置である。ルート受け取り位置計算部103は、車両A40が予め定めた計算用の走行速度で走行している前提で、車両A40の配車決定時推定車両位置を計算する。
【0043】
ルート受け取り位置計算部103は、情報取得部101が取得した車両情報中の車両A40の位置情報、第1の走行ルートRu1の情報、ユーザの乗車地点D3及び降車地点の情報を用いて、車両A40の配車決定時推定車両位置を計算することができる。車両A40の配車決定時推定車両位置は、第1の走行ルートRu1上の位置となる。
【0044】
次に、図1のルート変更地点検出部105が、新規の配車リクエストに対して車両A40の経路変更が発生する交差点と、その交差点に関するアプローチ区間とを算出する(ステップS205)。車両A40の経路変更が発生する交差点とは、車両A40の走行ルートが第1の走行ルートRu1から乗車地点D3に向かう別の走行ルートに分岐する分岐点の交差点のことである。
【0045】
例えば、図2の第2の走行ルートRu3及び第3の走行ルートRu5は、第1の走行ルートRu1から乗車地点D3に向かう別の走行ルートに該当する。車両A40の経路変更が発生する交差点を算出する過程で、ルート変更地点検出部105は、別の走行ルートを演算し、車両A40の経路変更が発生する交差点を算出する。ルート変更地点検出部105は、車両A40の配車決定時推定車両位置、車両情報中の位置情報、第1の走行ルートRu1の情報、ユーザの乗車地点D3及び降車地点の情報を用いて、別の走行ルートを演算することができる。ルート変更地点検出部105は、ルート演算部として機能する。
【0046】
例えば、図2の第1の走行ルートRu1から第2の走行ルートRu3にルート変更する場合は、第1の分岐点である交差点C1が、車両A40の経路変更が発生する交差点に該当する。第1の走行ルートRu1から第3の走行ルートRu5にルート変更する場合は、第2の分岐点である交差点C3が、車両A40の経路変更が発生する交差点に該当する。
【0047】
アプローチ区間とは、車両A40の経路変更が発生する交差点に設定される区間である。アプローチ区間は、車両A40の進行方向における、車両A40の経路変更が発生する交差点の手前に続く区間に設けられる。
【0048】
車両A40の経路変更が発生する交差点が、図2の交差点C1である場合、交差点C1のアプローチ区間AP1は、車両A40の進行方向Xにおける交差点C1の手前に続く区間に、所定の距離に亘る長さで設けられる。車両A40の経路変更が発生する交差点が交差点C3である場合、交差点C3のアプローチ区間AP3は、車両A40の進行方向Xにおける交差点C3の手前に続く区間に、所定の距離に亘る長さで設けられる。
【0049】
ステップS204で計算した車両A40の推定位置が、ステップS205で算出した交差点又はアプローチ区間に存在すると、その時点でルート変更の指示を受け取っても、算出した交差点で車両A40の経路を変更するのは時間的に間に合わない。
【0050】
例えば、配車候補の車両40が、位置P1に基づいて配車装置10が決定した第2の走行ルートRu3へのルート変更の指示を、交差点C1の直前の位置P3に進んだ時点で受け取る場合を考える。この場合、車両40は、交差点C1とその手前のアプローチ区間AP1とを合わせた区間F1に進入しているので、受け取ったルート変更の指示によって車両40の進行方向Xを交差点C1で変更しようとしても、時間的に間に合わない。
【0051】
次に、配車候補の車両40が位置P3に進んだ時点で受け取る指示が、1つ先の交差点C3で車両40が進行方向Xを変更する第3の走行ルートRu5へのルート変更の指示である場合を考える。この場合、車両40は、交差点C3とその手前のアプローチ区間AP3とを合わせた区間F3にまだ進入していないので、受け取ったルート変更の指示によって車両40の進行方向Xを、時間の余裕を十分に持って、交差点C3で変更することができる。
【0052】
アプローチ区間AP1,AP3は、車両40が受け取ったルート変更の指示で、交差点C1,C3において進行方向Xを変更できるかどうかを、ルート変更の指示を受け取る時点の車両40の位置から判断する場合の、目安にすることができる。
【0053】
図3Bに示すステップS207において、図1の配車装置10のルート変更可否判断部107は、ステップS204で計算した車両A40の推定位置が、ステップS205で算出した交差点又はアプローチ区間に存在するか否かを、判断する。ルート変更可否判断部107は、判断部として機能する。
【0054】
なお、ステップS205で算出した交差点での経路変更が、車両A40の減速を要する左折又は右折である場合は、交差点の直進で経路が変更となる場合よりも、減速区間の分だけ、車両A40の進行方向Xにおけるアプローチ区間の長さを長くしてもよい。つまり、交差点での左折又は右折の要否に基づいて、アプローチ区間の長さを設定してもよい。また、経路変更前の車両A40の車速が高い場合は、減速量が大きい分だけ長い減速区間を確保するために、低い場合に比べて、車両A40の進行方向Xにおけるアプローチ区間の長さを長くしてもよい。
【0055】
また、車両A40に乗客がいる場合、車両A40に積荷が積載されている場合に、乗客又は積荷にかかる重力の緩和のために、乗客がいない場合、積荷が積載されていない場合に比べて、車両A40の進行方向Xにおけるアプローチ区間の長さを長くしてもよい。つまり、車両A40の乗客又は積荷の有無に基づいて、アプローチ区間の長さを設定してもよい。但し、アプローチ区間に続く交差点を車両A40が直進する場合は、左折又は右折による重力が乗客、積荷にかからないので、アプローチ区間の長さを長くしなくてもよい。
【0056】
車両A40が進行方向Xを変更する交差点が、片側に複数の車線がある道路の交差点の場合は、片側1車線の道路の交差点である場合よりも、交差点の手前で変更後の進行方向Xに応じた車線に進路変更する可能性がある。そこで、交差点の車線数が多い場合は少ない場合に比べて、車両A40の進行方向Xにおけるアプローチ区間の長さを長くしてもよい。また、交差点の手前における進路変更の要否に基づいて、アプローチ区間の長さを設定してもよい。交差点の手前で複数の車線が方向別に分けられて、車線間の移動が禁じられた車線変更禁止区間となっている場合も、そうでない場合に比べて、車両A40の進行方向Xにおけるアプローチ区間の長さを長くしてもよい。つまり、交差点の手前における車線変更禁止区間の有無に基づいて、アプローチ区間の長さを設定してもよい。
【0057】
算出した交差点又はアプローチ区間に車両A40の推定位置が存在しない場合(ステップS207でNO)、ルート変更可否判断部107は、算出した交差点が、ルート変更の指示を受け取ってからでも進行方向Xの変更に間に合う交差点であると判断する。この場合は、後述するステップS213に処理を移行する。
【0058】
算出した交差点又はアプローチ区間に車両A40の推定位置が存在する場合(ステップS207でYES)、ルート変更可否判断部107は、算出した交差点が、ルート変更の指示を受け取ってからでは進行方向Xの変更が間に合わない交差点と判断する。この場合は、配車装置10のマイクロコントローラが、ステップS205で算出した交差点が新規の配車リクエストを受け付け可能な最後の交差点か否かを判断する(ステップS208)。
【0059】
新規の配車リクエストを受け付け可能な最後の交差点とは、その交差点を過ぎると、次以降に通過する交差点で進行方向Xを変更してユーザの乗車地点に向かっても効率的でなく、他の車両40を配車した方が効率的となる交差点を指す。
【0060】
例えば、その交差点を過ぎると、次の交差点までの距離が遠く、乗車地点までの距離が閾値を超えて増えてしまう場合、その交差点は、配車リクエストを受け付け可能な最後の交差点に該当する。例えば、その交差点を過ぎると、乗車位置よりも別の目的地に近づき、それでも目的地に行かずに、次の交差点で進行方向を変更して乗車位置に向かうことが、非効率となる場合、その交差点は、配車リクエストを受け付け可能な最後の交差点に該当する。
【0061】
例えば、第1の走行ルートRu1の交差点C1について、新規の配車リクエストを受け付け可能な最後の交差点か否かを確認する場合は、次の方法で確認することができる。
1.交差点C1の次の交差点C3を経由点に設定
2.交差点C3を通るルートで、乗車地点D3への移動を目的地D1への移動よりも優先した場合のツアーを作成
3.交差点C3を通るルートで、目的地D1への移動を乗車地点D3への移動よりも優先した場合のツアーを作成
4.2で作成したツアーの効率と3で作成したツアーの効率とを比較
※両ツアーの効率の比較は、例えば、各ツアーにおける車両40の総走行距離の比較、目的地D1のユーザ及び乗車地点D3のユーザが、降車地点で降車するまでにそれぞれ要する総所要時間の比較、等で行うことができる。
5.3で作成したツアーの方が2で作成したツアーよりも効率がいい場合、a点を最終交差点と判断する
※但し、a点で車両40が進行方向Xを変更するルートで、乗車地点D3への移動を優先するツアーと目的地D1への移動を優先するツアーとを比較した場合は、乗車地点D3への移動を優先するツアーの方が、効率がいいことが前提である。
【0062】
新規の配車リクエストを受け付け可能な最後の交差点か否かを簡便に判断するために、進行方向Xを変更して第1の走行ルートRu1から他の走行ルートにルート変更する分岐点の交差点を、所定の面積のエリア内に設定してもよい。図2の例では、位置P1の車両A40の進行方向Xの前方に、所定の面積のエリアAを設定している。分岐点とする交差点をエリアA内に設定することで、分岐点の交差点がむやみに広い範囲で設定できるようになって、新規の配車リクエストを受け付け可能な最後の交差点か否かの判断が煩雑になるのを抑制することができる。
【0063】
エリアAの所定の面積は、車両A40の走行速度が高くなるほど狭くなる可変の広さとしてもよい。走行速度が高いほどエリアAを狭くすることで、新規の配車リクエストを受け付け可能な最後の交差点か否かを、車両A40の走行速度に応じて的確に判断することができる。
【0064】
ステップS205で算出した交差点が、新規の配車リクエストを受け付け可能な最後の交差点でない場合(ステップS208でNO)、図1のルート変更地点修正部109は、経路計算方法を変更した後(ステップS209)、ステップS213に処理を移行する。ルート変更地点修正部109による経路計算方法の変更により、ルート変更地点検出部105が演算する走行ルートは、ステップS205で算出した交差点では経路変更しない走行ルートとなる。経路計算方法の変更後に走行ルートを演算するルート変更地点検出部105は、再設定部の一部として機能することができる。
【0065】
例えば、図2の第2の走行ルートRu3では、ルート変更の指示に基づいて車両A40の進行方向Xを変更するのに間に合わない交差点C1が分岐点となる。そこで、経路計算方法を変更すると、図1のルート変更地点検出部105は、第1の走行ルートRu1における交差点C1の次の交差点C3が分岐点となる別の走行ルートを演算する。そのために、ルート変更地点修正部109は、例えば、交差点C1を過ぎた第1の走行ルートRu1上の位置P5を、車両A40が必ず通る中継地点として設定してもよい。
【0066】
位置P5を中継地点とすることで、ルート変更地点検出部105は、交差点C1を必ず直進し、左折又は右折が可能な交差点C1として取り扱わない走行ルートを、演算することになる。ルート変更地点検出部105は、交差点C1が分岐点となる走行ルートを演算せず、次の交差点C3が分岐点となる別の走行ルートを演算することができる。
【0067】
ステップS205で算出した交差点が、新規の配車リクエストを受け付け可能な最後の交差点である場合(ステップS208でYES)、配車装置10のマイクロコントローラは、車両A40に走行速度(車速)を指示する(ステップS210)。マイクロコントローラは、ステップS204で計算した車両A40の推定位置が、ステップS205で算出した交差点又はアプローチ区間よりも進行方向Xの手前となる車速を指示する。
【0068】
車両A40は、車速の指示を受信すると(ステップS104)、指示された車速で走行するように車両A40を制御し、指示された車速を、走行予定車速として配車装置10に送信する(ステップS105)。
【0069】
配車装置10が走行予定車速を受信すると(ステップS211)、ルート受け取り位置計算部103が、走行予定車速で第1の走行ルートRu1を走行する車両A40の配車決定時推定車両位置を再計算する(ステップS212)。
【0070】
ステップS212の再計算は、例えば、ステップS204で配車決定時推定車両位置を計算するために使う車速よりも低い値を、車両A40に指示したものとして行うことができる。ステップS204の計算よりも低い車速とすることで、再計算した配車決定時推定車両位置を、前に計算した配車決定時推定車両位置よりも、車両A40の位置P1に近い位置とすることができる。また、車両A40に車速を指示することで、車両A40が走行する道路毎の車速の誤差、走行する車の流れに伴う車速の誤差、手動運転車の場合はドライバの個人差による車速の誤差、等の発生を抑制し、配車決定時の車両位置の推定精度を上げることができる。
【0071】
ステップS212で再計算する車両A40の推定位置は、ステップS205で算出した交差点又はアプローチ区間よりも進行方向Xの手前の位置となる。ルート受け取り位置計算部103が車両A40の推定位置を再計算した後は、ステップS213に処理を移行する。
【0072】
ステップS213では、ステップS204又はステップS212でルート受け取り位置計算部103が計算した車両A40の推定位置から乗車地点までの経路を、図1の走行ルート計算部111が計算する。例えば、図2の第1の走行ルートRu1から第2の走行ルートRu3にルート変更する場合は、第2の走行ルートRu3で乗車地点D3に向かう場合の経路を計算する。第1の走行ルートRu1から第3の走行ルートRu5にルート変更する場合は、第3の走行ルートRu5で乗車地点D3に向かう場合の経路を計算する。
【0073】
ステップS209で経路計算方法を変更した場合は、変更後の計算方法によりルート受け取り位置計算部103が計算した車両A40の推定位置から乗車地点D3までの経路を、走行ルート計算部111が計算する。走行ルート計算部111は、乗車地点D3への車両A40の到着予定時刻も計算する。
【0074】
図3Cに示すステップS214において、走行ルート計算部111は、乗車地点D3から降車地点までの経路を計算する。走行ルート計算部111は、降車地点への車両A40の到着予定時刻も計算する。
【0075】
ステップS215において、図1の配車車両選定部113は、残存航続距離等による配車可否を判定する。残存航続距離は、車両A40が電動自動車の場合は、バッテリの充電状態(SOC:State Of Charge )から算出することができる。車両A40が内燃機関を有する車両の場合は、残存航続距離を、内燃機関で燃焼させる燃料(例えばガソリン)の残量から算出することができる。
【0076】
例えば、図2の位置P1からステップS214で計算した降車地点までの予想走行距離が、ステップS215の残存航続距離以上である場合(ステップS215でNO)、配車車両選定部113は、車両A40を配車候補から除外する(ステップS216)。ステップS214の予想走行距離がステップS215の残存航続距離を下回る場合(ステップS215でYES)、配車車両選定部113は、車両A40を含む全配車候補から、ユーザに提案する車両40を1台決定する(ステップS217)。
【0077】
配車装置10は、決定した車両40を配車候補とする通知をユーザ端末30に送信する。この通知は、例えば、乗車地点D3及び降車地点への到着予定時刻等を含んでいてもよい。
【0078】
ユーザ端末30は、配車候補の車両40の通知を受信すると(ステップS302)、配車候補の車両40を承諾するユーザの入力を待ち受ける(ステップS303)。承諾の入力がない(不承諾の入力があった)場合は(ステップS303でNO)、ユーザ端末30は、通知された候補の車両40の配車が不承諾であることを、配車装置10に通知する(ステップS304)。
【0079】
承諾の入力があった場合は(ステップS303でYES)、ユーザ端末30は、通知された候補の車両40の配車が承諾であることを、配車装置10に通知する。承諾の通知を受信した配車装置10の、図1の配車決定部117は、車両A40が承諾された配車車両か否かを確認する(ステップS218)。
【0080】
車両A40が承諾された配車車両でない場合(ステップS218でNO)、配車決定部117は、ユーザに提案する車両40を別の車両40に変更する(ステップS219)。車両A40が承諾された配車車両である場合は(ステップS218でYES)、図1の走行ルート指示部119は、配車を承諾された車両A40に指示を出力する(ステップS220)。車両A40に対する指示は、乗車地点D3への配車の指示と、第1の走行ルートRu1から第2又は第3の走行ルートRu3,Ru5にルート変更する変更経路計画の指示とを含んでいる。
【0081】
走行ルート指示部119が、ステップS209の経路計算方法の変更後にルート変更地点検出部105が演算した第3の走行ルートRu5にルート変更する計画を指示した場合、走行ルート指示部119は、再設定部の一部として機能することができる。
【0082】
配車指示及び変更経路計画指示を受信した車両A40は、受信した変更経路計画により、第1の走行ルートRu1から第2又は第3の走行ルートRu3,Ru5にルート変更する計画にしたがって走行し、乗車地点D3に向かう(ステップS107)。
【0083】
本実施形態の配車システム1では、配車対象の車両40に対して、ルート変更後の走行ルートの指定を受け取る時点では、受け取った走行ルートの分岐点で車両40の進行方向Xを変更するのが間に合わない走行ルートが指示されるのが抑制される。配車装置10は、車両40が分岐点で進行方向Xを変更するのが間に合わずルートから外れるような走行ルートを指示するのを抑制し、外れた走行ルートに戻る回り道等で乗車地点D3への到着時刻に遅延が生じにくい、適切な走行ルートを指示することができる。
【0084】
上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0085】
1 配車システム
10 配車装置
40 車両
101 情報取得部
105 ルート変更地点検出部(ルート演算部、再設定部)
107 ルート変更可否判断部(判断部)
119 走行ルート指示部(再設定部)
AP1,AP3 アプローチ区間
Ru1 第1の走行ルート
Ru3 第2の走行ルート
Ru5 第3の走行ルート
C1 交差点(第1の分岐点)
C3 交差点(第2の分岐点)
D3 乗車地点
P1 位置(位置情報が示す位置)
X 進行方向
図1
図2
図3A
図3B
図3C