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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053841
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ごみ搬入管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240409BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20240409BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20240409BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240409BHJP
【FI】
G06Q50/26
G07B15/00 Z
G08G1/04 C
G06Q10/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160293
(22)【出願日】2022-10-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉光 範雄
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 大峰
(72)【発明者】
【氏名】柏本 有貴
(72)【発明者】
【氏名】中路 信哉
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3E127AA15
3E127BA05
3E127CA12
3E127EA05
3E127FA10
3E127FA16
3E127FA18
3E127FA20
3E127FA24
5H181AA01
5H181CC04
5H181EE07
5L010AA04
5L049AA04
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】廃棄物処理施設において、業者と住民の双方の心理的負担を緩和するとともに、早く且つ安全に荷降作業を実施する。
【解決手段】施設入口3から廃棄物荷降エリア14に向かう本道11に接続され、業者車両12は進入せず且つ住民車両13は本道11から逸れて進入するよう誘導される住民車両に専用の待機スペースと、誘導装置と、住民車両のうち、廃棄物荷降エリアへの第一住民車両の入場を検知する入場検知装置と、廃棄物荷降エリアからの第一住民車両の退場を検知する退場検知装置と、当該入場の検知に基づいて計時し、第一住民車両の荷降しが完了する前であっても予め設定された誘導開始時間が経過した場合、並びに、誘導開始時間の経過前に当該退場の検知がある場合に、誘導装置を制御して、待機スペースに待機する住民車両のうち第二住民車両に対して本道へ進入するよう誘導する制御装置18を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設入口と、廃棄物を積載した車両の第一重量を計量する入口計量装置と、前記車両に紐づく固有情報を入力する入力装置と、廃棄物を荷降しする荷降場を含む廃棄物荷降エリアと、前記荷降しした車両の第二重量を計量する出口計量装置と、前記第一重量と前記第二重量との差で料金を算出する精算装置と、施設出口と、前記施設入口から前記施設出口まで、前記入口計量装置、前記廃棄物荷降エリア、及び前記出口計量装置の順に経由して配置された本道とを備えた廃棄物処理施設のごみ搬入管理システムにおいて、
前記荷降場は、前記車両のうち廃棄物処理業を営む業者の業者車両が専用で荷降しする業者用荷降場と、前記車両のうち前記業者でない住民の住民車両が専用で荷降しする住民用荷降場とを少なくとも備え、
前記施設入口から前記廃棄物荷降エリアに向かう前記本道に接続され、前記業者車両は進入せず且つ前記住民車両は前記本道から逸れて進入するよう誘導される前記住民車両に専用の待機スペースと、
前記待機スペースの出口近傍に配置された誘導装置と、
前記住民車両のうち、前記廃棄物荷降エリアへの第一住民車両の入場を検知する入場検知装置と、
前記廃棄物荷降エリアからの前記第一住民車両の退場を検知する退場検知装置と、
前記入場の検知に基づいて計時し、前記住民用荷降場における前記第一住民車両の荷降しが完了する前であっても予め設定された誘導開始時間が経過した場合、並びに、前記誘導開始時間の経過前に前記退場の検知がある場合に、前記誘導装置を制御して、前記待機スペースに待機する前記住民車両のうち第二住民車両に対して前記廃棄物荷降エリアへ移動のため前記本道へ進入するよう誘導する制御装置と
を有するごみ搬入管理システム。
【請求項2】
前記待機スペースへ入場する全ての前記住民車両の車両番号を時系列に少なくとも撮影する車両撮影カメラをさらに有し、
前記待機スペースは、前記施設入口から前記入口計量装置までの前記本道に接続された第一待機スペース、または、前記入口計量装置から前記廃棄物荷降エリアまでの前記本道に接続された第二待機スペースのいずれか一方もしくは両方で構成され、
前記第二住民車両は、前記第一待機スペースまたは前記第二待機スペースのうち前記廃棄物荷降エリアに最寄りの待機スペースに待機し、且つ、前記最寄りの待機スペースに待機する住民車両のうち、前記制御装置が、前記車両番号に基づき最も早く前記最寄りの待機スペースに進入したことを特定した住民車両である請求項1に記載のごみ搬入管理システム。
【請求項3】
前記住民用荷降場での荷降しの開始から終了までに見込まれる時間が作業予定時間として予め設定され、且つ、前記作業予定時間より短い所定時間が予め設定されており、
前記制御装置は、前記作業予定時間と前記所定時間との差を前記誘導開始時間とする請求項2に記載のごみ搬入管理システム。
【請求項4】
前記固有情報は、前記車両撮影カメラによる撮影によって前記制御装置により自動で追加される、少なくとも前記住民車両の種類、前記住民車両のドライバーの年齢または前記ドライバーの性別のいずれかを含む情報と、前記入力装置により入力される情報とを含む情報であり、
前記制御装置は、前記作業予定時間を、前記第一住民車両に紐づく前記種類、前記年齢または前記性別の情報に応じて変更する請求項3に記載のごみ搬入管理システム。
【請求項5】
前記待機スペースは、前記第一待機スペースのみで構成され、前記最寄りの待機スペースは前記第一待機スペースとなり、
前記入力装置は、前記第一待機スペースに配置された事前入力装置と、前記入口計量装置の近傍に配置された入口入力装置とを備え、
前記住民車両に紐づく固有情報は、前記事前入力装置または前記入口入力装置に入力される請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のごみ搬入管理システム。
【請求項6】
前記待機スペースは、前記第一待機スペースと前記第二待機スペースの両方で構成され、前記最寄りの待機スペースは前記第二待機スペースとなり、
前記誘導装置は、前記第一待機スペースの出口近傍に配置された第一誘導装置と、前記第二待機スペースの出口近傍に配置された第二誘導装置とを備え、
前記入力装置は、前記第一待機スペースに配置された事前入力装置と、前記入口計量装置の近傍に配置された入口入力装置とを備え、
前記制御装置は、前記第二誘導装置を制御して前記第二待機スペースから前記本道へ前記第二住民車両を誘導する際、前記第一誘導装置を制御して、前記第一待機スペースに待機する複数の前記住民車両のうち、前記車両番号に基づき最も早く前記第一待機スペースに進入したことを特定した前記住民車両を、前記第二待機スペースへの移動のため前記本道へ誘導し、
前記住民車両に紐づく固有情報は、前記入口入力装置または前記事前入力装置に入力される請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のごみ搬入管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務で廃棄物を廃棄物処理施設へ運搬する廃棄物処理業者の車両と、業務ではなく個人的に同施設へ廃棄物を運搬する一般人の車両とを、それぞれ対応する荷降場に誘導するごみ搬入管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処理施設には、一般的に、ごみ種類(可燃ごみ、不燃ごみ、プラごみ、など)に応じた複数の荷降場があるが、その荷降場の数は多くなく、また、廃棄物処理施設の入口から荷降場へ向かう道は、通常、一車線である。従って、単に、廃棄物を運搬する車両の到着順に、ごみ種類に対応した荷降場へ案内しようとすると、これら車両が当該施設の敷地内で渋滞し、荷降場の稼働率が低下する恐れがある。
また、廃棄物処理業を営み、廃棄物の荷降作業に慣れた廃棄物処理業者(以下、「業者」という)は、事前に企業名、住所などの基本情報を登録している場合が多いが、業者ではなく且つ当該荷降作業に不慣れな廃棄物処理施設の近隣住民などの一般人は、通常、廃棄物処理施設の入口でこれら基本情報を手作業で登録する手続きを行っている。当該手続きに時間を要するため、さらに上記渋滞の程度が悪化し、結果として荷降場の稼働率がさらに低下する恐れがある。
【0003】
そこで、廃棄物処理施設では、運搬するごみ種類に対応した荷降場へ、渋滞を回避して車両を誘導するため、当該施設の敷地内に、ごみ種類ごとに設けられ且つ業者の車両を待機させる複数の待機スペースを設ける技術(例えば、特許文献1参照)や、荷降作業に慣れた業者と荷降作業に不慣れな一般人とで、異なる荷降場を使用する技術(例えば、特許文献2参照)が採用されてきた。また、一度登録すれば、車両のナンバープレートをカメラで撮影して、自動で名前、住所、所属などを認識し、再度の上記手続きを不要とする技術(例えば、特許文献2参照)も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-167963号公報
【特許文献2】特開2021-15337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
業者による荷降場での荷降作業については、貯留且つ運搬した廃棄物を車両の外部へ排出する排出装置を備えた専用車両(例えば、パッカー車など)が一般的に用いられていることや、業者は廃棄物(ごみ)の荷降作業に手慣れているので、運搬した廃棄物の総量によらず、通常、全ての業者は、迅速(例えば、5分以内)に、当該荷降作業を完了することができる。
これに対し、業務としてではなく個人的に廃棄物を搬入する一般人(以下、「住民」という)による荷降場での荷降作業については、使用する車両の種類が様々(例えば、軽自動車やトラックなど)であり、1つの車両において運搬される廃棄物の総量に大幅な差がある。また、通常、当該車両には上記専用車両と異なり排出装置がないため、住民が自己の手で荷降作業を行うが、住民は、一般的に荷降作業に不慣れであり、住民の年齢や性別(若者か老人か、男性か女性か)、すなわち運動能力の観点で非力か非力でないかによっても、荷降作業の作業時間に大幅な差が生じうる。言い換えれば、廃棄物の総量、住民の年齢や性別によって、廃棄物の荷降作業が早く完了する場合(例えば、3分程度)や、遅く完了する場合(例えば、10分以上)がある。
【0006】
一方、廃棄物処理施設へ廃棄物を搬入する業者の車両の数は、時期によらずほぼ一定の数(例えば、一日に約100台程度)である。
しかし、廃棄物処理施設へ廃棄物を搬入する住民の車両の数は、閑散期と繁忙期(例えば、夏休みや年末年始などの定期の繁忙期)とを比較すると、閑散期は例えば一日に約100台程度、定期の繁忙期は例えば一日に約300台程度と、一日当たり3倍程度の差があり、時期によって大きく増減する。また、不定期な繁忙期、例えば、災害が発生した場合には、多くの住民がそれぞれ多量の廃棄物を廃棄物処理施設へ運搬する。
【0007】
従って、業者の車両は、荷降作業に要する時間がほぼ一定、且つ、時期によらずほぼ一定の数であり、住民の車両は、荷降作業に要する時間にばらつきがあり、且つ、閑散期と定期や不定期の繁忙期とで車両の数が大きく異なるといえる。
そして、繁忙期には、廃棄物処理施設へ多数の住民の車両が進入して混雑する時間帯を予見することが難しいため、業者がその時間帯を避けることができず、特定の時間帯に大きな渋滞が発生することがありうる。
このとき発生する渋滞は、住民の車両に起因するものであり、廃棄物処理施設の敷地内で業者と住民の車両が不均一に入り混じり、かつ、業者の車両の前方に、住民の車両が連続して多数並んだ渋滞が発生している状況が多いといえる。この場合、特許文献1や特許文献2の技術では、当該渋滞を十分に緩和することは困難である。
【0008】
先述のとおり、住民の車両は荷降作業に要する時間のばらつきが大きく、業者から見て住民の車両であることは容易に認識可能であるため、自己の車両から前方に不規則に連なる多数の住民の車両を認識した業者は、自己の荷降作業をいつ行うことができるのか予見することが難しく、心理的負担が増加することになる。
一方、住民は、そもそも廃棄物処理施設へ進入することに不慣れであり、大きな渋滞にある中、自己の荷降作業をいつ行うことができるのか予見することは業者よりもさらに難しく、心理的負担が増加することになる。
このように、業者と住民の心理的負担が増加した渋滞の状況では、当該敷地内での車両事故が誘発され、結局、各々の車両の荷降作業がさらに遅れる恐れがある。
【0009】
そこで、本発明は、廃棄物処理施設において、業者と住民の双方の心理的負担を緩和するとともに、早く且つ安全に荷降作業を実施することができるごみ搬入管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のごみ搬入管理システムは、施設入口と、廃棄物を積載した車両の第一重量を計量する入口計量装置と、車両に紐づく固有情報を入力する入力装置と、廃棄物を荷降しする荷降場を含む廃棄物荷降エリアと、荷降しした車両の第二重量を計量する出口計量装置と、第一重量と第二重量との差で料金を算出する精算装置と、施設出口と、施設入口から施設出口まで、入口計量装置、廃棄物荷降エリア、及び出口計量装置の順に経由して配置された本道とを備えた廃棄物処理施設に適用されるごみ搬入管理システムである。
荷降場は、上記車両のうち廃棄物処理業を営む業者の業者車両が専用で荷降しする業者用荷降場と、上記車両のうち業者でない住民の住民車両が専用で荷降しする住民用荷降場とを少なくとも備える。
そして、本発明のごみ搬入管理システムは、
施設入口から廃棄物荷降エリアに向かう本道に接続され、業者車両は進入せず且つ住民車両は本道から逸れて進入するよう誘導される住民車両に専用の待機スペースと、
当該待機スペースの出口近傍に配置された誘導装置と、
住民車両のうち、廃棄物荷降エリアへの第一住民車両の入場を検知する入場検知装置と、
廃棄物荷降エリアからの第一住民車両の退場を検知する退場検知装置と、
上記入場の検知に基づいて計時し、住民用荷降場における第一住民車両の荷降しが完了する前であっても予め設定された誘導開始時間が経過した場合、並びに、誘導開始時間の経過前に上記退場の検知がある場合に、誘導装置を制御して、待機スペースに待機する住民車両のうち第二住民車両に対して廃棄物荷降エリアへ移動のため本道へ進入するよう誘導する制御装置を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、住民車両は本道から逸れた待機スペースへ誘導されるので、業者車両は、本道を優先的に進むことができる。そして、住民用荷降場における第一住民車両の荷降しが完了する前であっても予め設定された誘導開始時間が経過した場合、並びに、当該誘導開始時間の経過前に荷降しが完了して第一住民車両が廃棄物荷降エリアから退場した場合、所定の時間間隔もしくはこれよりもやや早い時間間隔で、本道に並んだ複数の業者車両の列に、待機スペースの出口から、第二住民車両が規則的に割り込んで並ぶことになる。
このため、渋滞時、本道において自己の業者車両の前方に並ぶ車両の大多数は他の業者車両であるため、業者は、自己の荷降しをいつ実施できるのか予見することができる。一方、住民は、待機スペースには住民車両のみが待機するので安心感が得られ、また、当該待機スペースから規則的に本道へ進入する他の住民車両を見ながら待つことができるので、自己が待機スペースから本道へいつ進入できるか予見することができる。
従って、業者と住民の双方の心理的負担が軽減され、廃棄物処理施設内での車両交通の安全性が保たれ、結局、各々の車両の荷降しを早く実施することができる。
また、第二住民車両は、第一住民車両の荷降しが完了する前に、誘導装置により待機スペースから本道へ進入するよう誘導されうるので、住民車両の荷降しも効率的に行うことができる。
すなわち、廃棄物処理施設において、業者と住民の双方の心理的負担を緩和するとともに、早く且つ安全に廃棄物の荷降作業を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るごみ搬入管理システムを示す図である。
図2】ごみ搬入管理システムの第一待機スペースを示す図である。
図3】ごみ搬入管理システムの第一待機スペースの変形例を示す図である。
図4】ごみ搬入管理システムの第二待機スペースを示す図である。
図5】ごみ搬入管理システムの第二待機スペースの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1乃至図5を参照して、本発明のごみ搬入管理システムについて説明する。以下に示す構成等はあくまでも例示に過ぎず、明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。実施形態及び変形例で示す各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、当該各構成は、本発明の必須の構成要件を除き、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0014】
図1は、本発明の実施形態であるごみ搬入管理システム1を示す図である。
ごみ搬入管理システム1は、施設入口3と、廃棄物を積載した車両の第一重量を計量する入口計量装置4と、当該車両に紐づく固有情報(後述)を入力する入力装置5と、廃棄物を荷降しする荷降場6を含む廃棄物荷降エリア14と、荷降しした車両の第二重量を計量する出口計量装置8と、第一重量と第二重量との差で料金を算出する精算装置9と、施設出口10と、施設入口3から施設出口10まで、入口計量装置4、廃棄物荷降エリア14、及び出口計量装置8の順に経由して配置された本道11を、少なくとも備えた廃棄物処理施設2に適用される。
荷降場6は、車両のうち廃棄物処理業を営む業者の車両12(以下、「業者車両」という)が専用で荷降しする業者用荷降場6Aと、業者でない住民の車両13(以下、「住民車両」という)が専用で荷降しする住民用荷降場6Bを少なくとも備える。業者用荷降場6Aと住民用荷降場6Bのほかに、業者車両12と住民車両13とで兼用の荷降場が設けられてもよい。また、もともと当該兼用の荷降場として設置された場合でも、実質的に業者車両12のみが専用で荷降しする場合は業者用荷降場6Aであり、また、実質的に住民車両13のみが専用で荷降しする場合は住民用荷降場6Bとして取り扱うことができる。
廃棄物処理施設2としては、廃棄物荷降エリア14に、廃棄物清掃工場のように焼却炉を備えた施設や、廃棄物清掃工場へ運搬する廃棄物を運搬経路の途中で中継するための設備を備えた中継処理施設などがありうるが、図1では、廃棄物荷降エリア14に焼却炉15を備えた廃棄物清掃工場の例を示す。
また、可燃ごみ、不燃ごみ、プラごみ等、ごみ種類は多種あるが、説明の簡便のため、図1では、廃棄物処理施設2に運搬される廃棄物、すなわち「ごみ」は、焼却炉15で焼却する可燃ごみと粗大ごみの2種である例を示す。
【0015】
廃棄物処理施設2には、廃棄物荷降エリア14に、可燃ごみを貯留する可燃ごみピット16と粗大ごみを貯留する粗大ごみピット17が設置される。そして、可燃ごみピット16に可燃ごみを排出するための業者車両12専用の業者用荷降場が横並びに6Aa、6Ab、6Acの順に連続して3つ、且つ、可燃ごみピット16に可燃ごみを排出するための住民車両13専用の住民用荷降場6Baが1つ配置される。また、粗大ごみピット17に粗大ごみを排出するための業者車両12専用の業者用荷降場6Adと住民車両13専用の住民用荷降場6Bbが互いに隣接するようにそれぞれ1つ配置される。
ここでは、廃棄物処理施設2として以上の構成を例示するが、ごみ種類は上述の2種に限らず1種または3種以上でもよく、また、ごみ種類の各々に対応した業者用荷降場の数と住民用荷降場の数も上述の数に限らず、廃棄物処理施設2の性質と事情に応じて、適宜、設計変更可能である。一般的には、ある特定のごみ種について見たとき、業者用荷降場の数は、住民用荷降場の数以上となるよう設計される。
【0016】
そして、廃棄物処理施設2に適用されるごみ搬入管理システム1は、(1)施設入口3から廃棄物荷降エリア14に向かう本道11に接続され、業者車両12は進入せず且つ住民車両13は本道11から逸れて進入するよう誘導される住民車両13に専用の待機スペースと、(2)待機スペースの出口近傍に配置された誘導装置と、(3)住民車両13のうち、廃棄物荷降エリア14への第一住民車両の入場を検知する入場検知装置と、(4)廃棄物荷降エリア14からの当該第一住民車両の退場を検知する退場検知装置と、(5)当該入場の検知に基づいて計時し、住民用荷降場6Bにおける当該第一住民車両の荷降しが完了する前であっても予め設定された誘導開始時間が経過した場合、並びに、誘導開始時間の経過前に当該退場の検知がある場合に、誘導装置を制御して、待機スペースに待機する住民車両13のうち第二住民車両に対して廃棄物荷降エリア14へ移動のため本道11へ進入するよう誘導する制御装置18を少なくとも備える。
上記待機スペースは、施設入口3から入口計量装置4までの本道11に接続された第一待機スペース19、または、入口計量装置4から廃棄物荷降エリア14までの本道11に接続された第二待機スペース20のいずれか一方もしくは両方から構成される。すなわち、図1では、第一待機スペース19と第二待機スペース20が両方とも図示されているが、いずれか一方のみ設置される構成でもよい。
入場検知装置と退場検知装置の詳細については後述する([0041]、[0042]参照)。
【0017】
第一住民車両は、住民車両13のうち、廃棄物荷降エリア14へ入場し、住民用荷降場6Bで荷降しし、廃棄物荷降エリア14から退場をする一連の動作を行う同一の車両、言い換えれば、廃棄物荷降エリア14内で移動する特定の車両番号を持つ車両を意味する。
一方、第二住民車両は、廃棄物荷降エリア14に最寄りの待機スペースに待機し、且つ、当該最寄りの待機スペースに待機する住民車両13のうち、制御装置18が、最も早く当該最寄りの待機スペースに進入したことを特定した車両を意味する。
従って、廃棄物処理施設2に待機スペースとして第一待機スペース19のみ設置される場合、廃棄物荷降エリア14に最寄りの待機スペースは第一待機スペース19であるので、第二住民車両は、第一待機スペース19に待機する住民車両13であり、且つ、第一待機スペース19に待機する住民車両13のうち最も早く第一待機スペース19に進入した車両である。
また、廃棄物処理施設2に待機スペースとして第二待機スペース20のみ設置される場合、廃棄物荷降エリア14に最寄りの待機スペースは第二待機スペース20であるので、第二住民車両は、第二待機スペース20に待機する住民車両13であり、且つ、第二待機スペース20に待機する住民車両13のうち最も早く第二待機スペース20に進入した車両である。
さらに、廃棄物処理施設2に待機スペースとして第一待機スペース19と第二待機スペース20の両方が設置される場合、廃棄物荷降エリア14に最寄りの待機スペースは第二待機スペース20であるので、第二住民車両は、第二待機スペース20に待機する住民車両13であり、且つ、第二待機スペース20に待機する住民車両13のうち最も早く第二待機スペース20に進入した車両である。
【0018】
ここでは、まず、ごみ搬入管理システムの待機スペースが、第一待機スペース19と第二待機スペース20の両方で構成される場合の制御につき説明し、後に、第一待機スペース19のみで構成される場合の制御と、第二待機スペース20のみで構成される場合の制御を順次説明する。
なお、説明の都合上、ごみ搬入管理システム1が備える制御装置18による上記制御は、他の各構成の説明を行う箇所の随所で説明される。また、図1において、制御装置18は、記憶装置21とともに、入口計量装置4と出口計量装置8の近傍に配置されるが、これに限らず、廃棄物処理施設2の敷地内の適切な場所に配置されてよい。
【0019】
[第一待機スペース19と第二待機スペース20の両方が設置される場合]
では、図1に示すごみ搬入管理システム1につき、順次、詳述する。
まず、施設入口3は、業者車両12または住民車両13が、公道から廃棄物処理施設2へ進入する入口である。施設入口3は、廃棄物処理施設2の敷地に設置された入口計量装置4に向かう本道11である第一進入路11aに接続する。第一進入路11aは、施設入口3から入口計量装置4に向かう一車線且つ一方通行の道路である。
第一進入路11aに隣接して、第一待機スペース19が設置される。第一待機スペース19には、第一進入路11aから第一待機スペース19に住民車両13が進入するための第一待機スペース入口19aと、第一待機スペース19から第一進入路11aへ住民車両13が退出するための第一待機スペース出口19bを備える。第一進入路11aに沿って、第一待機スペース入口19aは、第一待機スペース出口19bよりも施設入口3に近い側に設置され、第一待機スペース出口19bは、第一待機スペース入口19aよりも入口計量装置4に近い側に設置される。
【0020】
施設入口カメラ22は、少なくとも、施設入口3と第一待機スペース入口19aの間の第一進入路11aを走行する全ての車両(業者車両12または住民車両13)のナンバープレートの番号(車両番号)を時系列に撮影し、撮影した映像を制御装置18へ送信する。
施設入口表示装置23は、第一進入路11aに沿って、施設入口カメラ22よりも第一待機スペース入口19aに近い側に設置され、第一進入路11aに沿って走行する車両のドライバーに、視覚的表示または音でメッセージを伝達する装置である。
制御装置18は、施設入口カメラ22で撮影された車両の車両番号がすでに記憶装置21に記憶されていると判定した場合、施設入口表示装置23に「そのまま本線を進行」の旨のメッセージを電光表示し、または、当該メッセージを話す音声をスピーカーで流す。また、制御装置18は、施設入口カメラ22で撮影された車両の車両番号がまだ記憶装置21に記憶されていないと判定した場合、施設入口表示装置23に「業者でない方は、本線から外れて第一待機スペースへ進行」の旨のメッセージを電光表示し、または、当該メッセージを話す音声をスピーカーで流す。
このため、第一進入路11aを走行する車両のうち、車両番号が記憶装置21に記憶されていない車両は、施設入口表示装置23により、第一待機スペース19に進入するよう誘導される。
【0021】
ここで、施設入口カメラ22で撮影された時点で、車両番号が記憶装置21に記憶されている車両、すなわち、車両番号が事前に登録されている車両について説明する。
車両番号が事前に登録されている車両は、ドライバーの名前、住所、勤務先、車両の種類(専用車両、一般車両(軽自動車、セダン、トラック等))、運搬するごみ種類など、自己の車両に紐づく固有情報が、前もって記憶装置21に記憶されている車両である。つまり、当該車両のドライバーは、廃棄物処理施設2に対し、前もって、自己の車両に紐づく固有情報を登録している。そして、当該車両のドライバーは、廃棄物処理施設2の管理者から自己の車両に紐づいて配布されたIC(Integrated Circuit)カードを保持している。当該ICカードは、各ドライバーの身分証ということもできる。
廃棄物処理施設2に、廃棄物、すなわち「ごみ」を搬入する者は、大きく3者に分けられる。地方自治体が直接業務を運営する直営業者と、地方自治体が業務を委託する委託業者や許可業者(以下、「委託業者等」という)と、一般人である。
【0022】
直営業者においては、全ての車両のドライバーがICカードを保持する。委託業者等においては、車両によって、ICカードを保持するドライバーと、ICカードを持たないドライバーが存在する。直営業者と委託業者等の2者が、「業者」である。そして、直営業者と委託業者等が使用する車両が「業者車両」12である。
一般人は、廃棄物処理業者ではなく、且つ、一般的に廃棄物処理施設2の近隣の「住民」であることが多い。一般人においては、ICカードを保持するドライバーと、ICカードを持たないドライバーが存在し、いずれもここでは「住民」と表現する。そして、住民が使用する車両が、「住民車両」13である。なお、住民のうち、ICカードを保持するドライバーは、頻繁に廃棄物処理施設2に廃棄物を運搬する実績があり、業者と同様、廃棄物の荷降作業に手慣れた者であるといえる。ただし、住民のうち、ICカードを保持するドライバーの数は少なく、一般的に、廃棄物処理施設2に進入する住民車両の総数の十分の一に満たない。
なお、ICカードを保持するドライバーは、廃棄物処理施設2内で自己の車両に紐づく固有情報を入力装置5(後述の入口入力装置5a、事前入力装置5b)で手入力する必要がない。
【0023】
従って、制御装置18は、直営業者の業者車両12と、委託業者等のうちICカードを保持するドライバーの業者車両12と、住民のうちICカードを保持するドライバーの住民車両13に対し、施設入口表示装置23を制御して「そのまま本線を進行」の旨のメッセージを電光表示等することになる。
一方、制御装置18は、委託業者等のうちICカードを保持しないドライバーの業者車両12と、住民のうちICカードを保持しないドライバーの住民車両13に対し、施設入口表示装置23に「業者でない者の車両は、本線から外れて第一待機スペースへ進行」の旨のメッセージを電光表示等することになる。
しかし、委託業者等のうちICカードを保持しないドライバーは、自己が業者であることを認識しているので、施設入口表示装置23の表示等に関わらず、第一待機スペース19へ進入せずに、入口計量装置4に向かって第一進入路11aを直進する。
【0024】
従って、施設入口表示装置23によって第一待機スペース入口19aから第一待機スペース19内への進入を誘導されるのは、住民のうちICカードを保持しないドライバーの住民車両13のみである。
しかし、先述のように、ICカードを保持するドライバーの住民車両13はそもそも数が少ないので、たいていの場合、業者車両12のドライバーから見て、自己の前方を走行する住民車両13は本道11から逸れて第一待機スペース入口19aに進入する。
このため、業者車両12のドライバーは、たいていの場合、前方を走る住民車両13が目の前から消えるので、これを追い越したような優越的な感覚を得ることができ、また、その後の目の前の車両は基本的に業者車両12であるので、荷降作業や交通安全に関する心理的負担を軽減でき、安全な走行を継続することができる。
【0025】
第一待機スペース19には、第一待機スペース19に進入して待機する住民車両13を、第一待機スペース出口19bから第一進入路11aへ退出するよう誘導する第一誘導装置24が、第一待機スペース出口19b近傍に配置される。
第一待機スペース19が、図2に示すように、A車線とB車線からなる二車線の待機スペースの場合、第一誘導装置24は、第一待機スペース19内で列をなして待機しうる住民車両13のうち、A車線とB車線の両方の先頭の住民車両13の車両番号を撮影して当該撮影した映像を制御装置18へ送信する第一カメラ24aと、当該先頭の2つの住民車両13のうち、先に第一待機スペース19に進入した住民車両13に対し、第一待機スペース19から第一進入路11aへの退出を誘導する第一表示装置24bと、第一待機スペース出口19bに配置された第一遮断機24cを備える。第一遮断機24cは、第一待機スペース出口19bにおける車両の通行を遮断するものであれば、腕木式や綱張式など、どのような方式を用いてもよい。
【0026】
制御装置18は、施設入口カメラ22で撮影した車両番号を時系列に記憶装置21に記憶させているため、第一待機スペース19に進入した複数の住民車両13の当該進入の順番を判定することができる。制御装置18は、第一カメラ24aで撮影されたA車線とB車線の両方の先頭の住民車両13の車両番号を比べ、いずれが先に第一待機スペース19に進入したか判定する。
そして、後述する所定のタイミング([0043]等参照)で、制御装置18は、第一誘導装置24を制御する。すなわち、制御装置18は、第一表示装置24bに、A車線とB車線の先頭の住民車両13のうち、先に第一待機スペース19に進入した住民車両13の車両番号や、当該住民車両13が待機している「A車線」、「B車線」など車線を電光表示し、または、これらを音声としてスピーカーで流し、該当する住民車両13に退出を促す。
その際、制御装置18は、車両の通行を遮断している第一遮断機24cを開け、該当する住民車両13の通行を可能にする。言い換えれば、制御装置18は、FIFO(First in First out)で、第一待機スペース19に待機する住民車両13の第一進入路11aへの退出の誘導を行う。
なお、第一遮断機24cは、一台の住民車両13が通過し次第、再び閉じて、車両の通行を遮る。
ここで、第一待機スペース19に進入した住民車両13は、A車線とB車線のいずれに進んで待機してもかまわない。
また、第一遮断機24cを通過した住民車両13は、第一待機スペース19に進入せずに第一進入路11aを走行してくる他の車両に割り込む形で、第一進入路11aへ進入する。
【0027】
第一待機スペース19には、住民車両13が待機する間、自己の車両に紐づく固有情報を入力且つ登録することができる事前入力装置5bが配置される。
第一待機スペース19に進入する住民車両13のドライバーは、先述のとおり、住民のうちICカードを保持しないドライバーである。従って、委託業者等のうちICカードを保持しないドライバーよりも廃棄物処理施設2に不慣れであり、入口計量装置4の近傍に配置される入口入力装置5aで車両に紐づく固有情報を手入力する際、大幅に時間を要する恐れがある。
そこで、第一待機スペース19で待機する間に、事前入力装置5bで、自己の車両に紐づく固有情報の一部または全部を手入力させ記憶装置21に記憶させる、すなわちこれら一部または全部の固有情報を登録する。これにより、第一待機スペース19を退出後に必ず実施される入口計量装置4での計量の際、入口入力装置5aへの入力作業時間を大幅短縮または省略することができる。
このように、第一待機スペース19での待ち時間を有効利用することができるので、住民車両13のドライバーは、手持無沙汰で待つことなく、また、上記計量の際の入口入力装置5aでの固有情報入力作業に対する不安も解消できるので、心理的負担が軽減され、第一待機スペース19を退出後に安全な走行を継続することができる。
【0028】
図2に示すように、第一待機スペース19が二車線の場合は、各車線のそれぞれに、所定間隔で複数の事前入力装置5bを設置するのが望ましい。図2では、ある事前入力装置5bでの入力途中で、自己の前方の車両が前進した場合に、一旦、入力途中で登録した後、前方の車両に追従して自己の車両を前進させれば、別の事前入力装置5bで、途中から入力を継続することができる。このため、住民車両のドライバーは、効率的に自己の固有情報の入力および登録を行うことができる。
事前入力装置5bは、例えば、既知のATM(Automatic Teller Machine)のような固定台状の装置でもよいし、固定台にタブレットなどの入力可能な装置を伸縮可能なケーブルで接続してもよい。また、QRコード(登録商標)を掲示した掲示板を複数配置し、第一待機スペース19で待機する住民車両13のドライバーが、自己のスマートフォンを用いてQRコードを読み取り、スマートフォンに表示された入力画面において上記固有情報の入力を行なってもよい。この場合、当該スマートフォンが、事前入力装置5bとなる。
【0029】
以上の第一待機スペース19の説明では、第一待機スペース19は二車線として説明したが、三車線以上の複数の車線を設けても、制御装置18は、第一誘導装置24を制御して、同様の処理を行うことができる。
なお、図3に示すように、第一待機スペースが一車線の場合は、待機する車列の先頭の住民車両13は、第一待機スペースに待機する住民車両13の中で、一番初めに第一待機スペースへ進入した住民車両13であることが明らかである。従って、この場合、制御装置18は、第一遮断機24cの開閉のみで住民車両13の誘導が可能であるので、第一誘導装置24は、第一カメラ24aと第一表示装置24bを必ずしも備える必要はない。この場合も、一車線上に所定間隔で複数の事前入力装置5bを設置するのが望ましい。
【0030】
第一進入路11aを走行する業者車両12または住民車両13は、やがて入口計量装置4に到着し、一旦、停車する。入口計量装置4は、道路(第一進入路11a)に埋設されており、廃棄物を積載した車両の重量(以下、「第一重量」という)を計量する装置である。
入口計量装置4は、廃棄物を積載した車両が入口計量装置4上に停車した状態で第一重量を計量し、計量結果を制御装置18に送信する。
計量入口カメラ25は、入口計量装置4上に停車した車両の少なくとも車両番号を時系列に撮影し、撮影した映像を制御装置18に送信する。
制御装置18に送信された第一重量や上記映像は、車両に紐づく固有情報として記憶装置21に記憶される。
制御装置18は、計量入口カメラ25が撮影した上記車両の映像に基づき、当該車両の種類(例えば、セダン、軽自動車、トラックなど)並びにドライバーの年齢または性別を人工知能で推定し、事前入力装置5bや入口入力装置5aによる手入力によらず、当該車両に紐づく固有情報として記憶装置21に自動で追加・記憶してもよい。
なお、制御装置18は、先述の施設入口カメラ22が撮影した車両の映像を受信するが、この際に、当該車両の種類並びにドライバーの年齢または性別を人工知能で推定して記憶装置21に記憶し、入力装置5(事前入力装置5b、入口入力装置5a)による登録がなされた後、当該車両に紐づく固有情報として取り扱う処理を行ってもよい。
【0031】
入口入力装置5aは、事前入力装置5bと同様、車両に紐づく固有情報を入力する装置であり、入口計量装置4の近傍に配置される。図1に示す例では、入口入力装置5aが、入口遮断機26によって停車する車両の運転席の近傍となる位置に設置されている。
上記固有情報を入力する装置である点は事前入力装置5bと同様ではあるが、入口入力装置5aでは、入力が必要とされる当該固有情報は全て入力され、記憶装置21に記憶される必要がある。言い換えれば、時間の都合などで、事前入力装置5bで入力しきれなかった登録必須の固有情報がある場合、不足する一部の固有情報を入口入力装置5aで全て入力し、登録しなければならない。
登録された「車両に紐づく固有情報」は、車両の車両番号ごとにデータベース化され、記憶装置21に記憶・保存される。
入口入力装置5aは、図示しないタッチパネルや操作ボタンなどの入力部を備え、車両のドライバーが、この入力部を手で操作(手入力)して、自己の固有情報を入力且つ登録することができる。
また、入口入力装置5aは、図示しないICカードリーダを備えており、ドライバーは、保持するICカードをICカードリーダに読み取らせることができる。上記データベースにICカード付与情報のある車両のドライバーは、事前に登録必須の固有情報が登録されているので、入口入力装置5aでの入力作業は不要である。
【0032】
入口遮断機26は、入口計量装置4から荷降場6が配置された廃棄物荷降エリア14に向かう本道11である第二進入路11bを、入口計量装置4の近傍で遮断する装置である。
制御装置18は、入口計量装置4における第一重量の計量が完了し、且つ、当該計量した車両に紐づく固有情報で登録必須の固有情報が全て入力且つ登録された場合、または、当該車両のドライバーが保持するICカードがICカードリーダで読み取られ、計量入口カメラ25が撮影した車両番号と当該車両番号に紐づくICカード付与情報とが合致した場合、入口遮断機26を開けて、当該車両が本道11である第二進入路11bへ進入することを可能とする。入口遮断機26は、一台の車両が通過し次第、再び閉じて、車両の通行を遮る。
なお、第二進入路11bは、入口計量装置4から廃棄物荷降エリア14に向かう一車線且つ一方通行の道路である。
【0033】
第二進入路11bに隣接して、第二待機スペース20が設置される。第二待機スペース20には、第二進入路11bから第二待機スペース20に住民車両13が進入するための第二待機スペース入口20aと、第二待機スペース20から第二進入路11bへ住民車両13が退出するための第二待機スペース出口20bを備える。第二進入路11bに沿って、第二待機スペース入口20aは、第二待機スペース出口20bよりも入口計量装置4に近い側に設置され、第二待機スペース出口20bは、第二待機スペース入口20aよりも廃棄物荷降エリア14に近い側に設置される。
経路表示装置27は、第二進入路11bに沿って、第二待機スペース入口20aよりも計量入口カメラ25に近い側に設置され、第二進入路11bに沿って走行する車両のドライバーに、視覚的表示または音でメッセージを伝達する装置である。
第二進入路11bを走行する全ての車両は、すでに自己の車両に紐づく固有情報が入力且つ登録された車両である。従って、制御装置18は、計量入口カメラ25で撮影された車両の車両番号から、入口遮断機26を通過した車両が、業者車両と住民車両のいずれに対応する車両か判定することができる。
【0034】
制御装置18は、当該車両が、ICカード保持の有無に関わらず業者車両12であると判定した場合、または、ICカードを保持するドライバーの住民車両13であると判定した場合、経路表示装置27に「そのまま本線を進行」の旨のメッセージを電光表示し、または、当該メッセージを話す音声をスピーカーで流す。
ICカードを保持するドライバーの住民車両13は、廃棄物の荷降作業に慣れたドライバーの車両であり、業者と同様に迅速な荷降作業を行うことを期待できるので、業者と同じ扱いをしてかまわない。また、先述のように、ICカードを保持するドライバーの住民車両13はそもそも数が少ないので、たいていの場合、業者車両12のドライバーから見て、自己の前方を走行する住民車両13は本道11から逸れて第二待機スペース入口20aに進入する。
すなわち、業者車両12のドライバーは、たいていの場合、前方を走る住民車両13が目の前から消えるので、これを追い越したような優越的な感覚を得ることができ、また、その後の目の前の車両は基本的に業者車両12であるので、自己の荷降作業をいつ実施できるのか予見することができる。従って、業者車両12のドライバーは、荷降作業や交通安全に関する心理的負担を軽減でき、安全な走行を継続することができる。
【0035】
また、制御装置18は、当該車両が、ICカードを保持しないドライバーの住民車両13であると判定した場合、経路表示装置27に「本線から外れて第二待機スペースへ進行」の旨のメッセージを電光表示し、または、当該メッセージを話す音声をスピーカーで流す。
このため、第二進入路11bを走行する車両のうち、ICカードを保持しないドライバーの住民車両13のみが、経路表示装置27により、第二待機スペース20に進入するよう誘導される。
なお、以上の経路表示装置27の説明では、ICカードを保持するドライバーの住民車両13は、業者車両12と同じ扱いをしたが、廃棄物処理施設2の方針に応じて、ICカードを保持するドライバーの住民車両13についても、経路表示装置27に「本線から外れて第二待機スペースへ進行」の旨のメッセージを電光表示等し、第二待機スペース20へ誘導してもよい。この場合、第二待機スペース入口20aから第二待機スペース出口20bまでは、渋滞時に第二進入路11bに列をなす車両は業者車両12のみとなるので、業者車両12のドライバーの心理的負担をより軽減することができる。
【0036】
第二待機スペース20には、第二待機スペース20に進入して待機する住民車両13を、第二待機スペース出口20bから第二進入路11bへ退出するよう誘導する第二誘導装置28が、第二待機スペース出口20b近傍に配置される。
第二待機スペース20が、図4に示すように、α車線とβ車線からなる二車線の待機スペースの場合、第二誘導装置28は、第二待機スペース20内で列をなして待機しうる住民車両13のうち、α車線とβ車線の両方の先頭の住民車両13の車両番号を撮影して撮影した映像を制御装置18へ送信する第二カメラ28aと、当該先頭の2つの住民車両13のうち、先に第二待機スペース20に進入した住民車両13に、第二待機スペース20から第二進入路11bへの退出を誘導する第二表示装置28bと、第二待機スペース出口20bに配置された第二遮断機28cを備える。第二遮断機28cは、第一遮断機24cや入口遮断機26と同様、車両の通行を遮断するものであれば、腕木式や綱張式など、どのような方式を用いてもよい。
【0037】
制御装置18は、計量入口カメラ25で撮影した車両番号を時系列に記憶装置21に記憶させているため、第二待機スペース20に進入した住民車両13の当該進入の順番を判定することができる。すなわち、制御装置18は、第二カメラ28aで撮影されたα車線とβ車線の両方の先頭の住民車両13の車両番号を比べ、いずれが先に第二待機スペース20に進入したか判定する。
そして、後述する所定のタイミング([0043]等参照)で、制御装置18は、第二誘導装置28を制御する。すなわち、制御装置18は、第二表示装置28bに、α車線とβ車線の先頭の住民車両13のうち、先に第二待機スペース20に進入した住民車両13の車両番号や、当該住民車両13が待機している「α車線」、「β車線」など車線を電光表示し、または、これらを音声としてスピーカーで流し、該当する住民車両13に退出を促す。
その際、制御装置18は、車両の通行を遮断している第二遮断機28cを開け、該当する住民車両13の通行を可能にする。言い換えれば、制御装置18は、FIFO(First in First out)で、第二待機スペース20に待機する住民車両13の第二進入路11bへの退出の誘導を行う。
なお、第二遮断機28cは、一台の住民車両13が通過し次第、再び閉じて、車両の通行を遮断する。
ここで、第二待機スペース20に進入した住民車両13は、α車線とβ車線のいずれに進んで待機してもかまわない。また、第二遮断機28cを通過した住民車両13は、第二待機スペース20に進入せずに第二進入路11bを走行してくる他の車両に割り込む形で、第二進入路11bへ進入する。
【0038】
以上の第二待機スペース20の説明では、第二待機スペース20は二車線として説明したが、三車線以上の複数の車線を設けても、制御装置18は、第二誘導装置28を制御して、同様の処理を行うことができる。
なお、図5に示すように、第二待機スペースが一車線の場合は、待機する車列の先頭の住民車両13は、待機する複数の住民車両13の中で、一番初めに第二待機スペースへ進入した住民車両13であることが明らかである。従って、この場合、制御装置18は、第二遮断機28cの開閉のみで住民車両13の誘導が可能であるので、第二誘導装置28は、第二カメラ28aと第二表示装置28bを必ずしも備える必要はない。
【0039】
本道11である第二進入路11bを走行する業者車両12または住民車両13は、やがて廃棄物荷降エリア14に到着し、第二進入路11bが廃棄物荷降エリア14と接続する位置、言い換えれば、廃棄物荷降エリア14の入口近傍で、一旦停車する。
当該一旦停車を実施させるべく、図1に示すように、当該入口に一時停止線を配置してもよいし、第一遮断機24cなどと同様の遮断機を配置して、第二進入路11bから廃棄物荷降エリア14への進入を遮ってもよい。
当該一旦停車により車両が停止する位置(停車位置)の近傍には、停止した車両から視認可能な位置に、行先案内表示装置29が配置される。また、当該停車位置の近傍には、少なくとも当該停車した車両の車両番号を撮影して当該撮影した映像を制御装置18へ送信する行先案内用カメラ(廃棄物荷降エリア用入口カメラ)30が配置される。
制御装置18は、行先案内用カメラ30から受信した映像に基づき、記憶装置21に記憶されたデータベースを利用して、当該停車した車両が業者車両12か住民車両13か、また、搬送する廃棄物のごみ種類、ここでは可燃ごみか粗大ごみか、を判定することができる。
【0040】
先述のように、廃棄物荷降エリア14には、荷降場6として、可燃ごみ用の業者用荷降場6Aa~6Ac並びに住民用荷降場6Baと、粗大ごみ用の業者用荷降場6Adと住民用荷降場6Bbが配置されており、これら全ての荷降場6の状況は、廃棄物荷降エリア14内または近傍に配置された荷降場カメラ7で常時撮影される。
荷降場カメラ7は、撮影した映像を制御装置18に送信するので、制御装置18は、廃棄物荷降エリア14内の車両の車両番号、各荷降場の空きの有無、各荷降場への車両の停車時点、または、荷降作業の開始時点などを把握できる。
上記一旦停車した車両の種別(業者車両12または住民車両13)と当該車両が搬送するごみ種類(可燃ごみまたは粗大ごみ)に対応する荷降場6が空いた場合、制御装置18は、行先案内表示装置29に当該荷降場の番号を電光表示し、または、当該番号を読み上げる音声をスピーカーで流す。
例えば、当該一旦停車した車両が業者車両12で可燃ごみを搬送している場合かつ業者用荷降場6Aaが空いた場合、制御装置18は、行先案内表示装置29に「業者用荷降場6Aaに進行」の旨のメッセージを電光表示等させる。これにより、上記一旦停車した車両は、適切な荷降場6Aaへ進み、荷降作業が実行される。
【0041】
ここで、廃棄物荷降エリア14への車両の入場を検知する入場検知装置について説明する。入場検知装置は、多様な構成が可能であるため、附番せずに説明する。
例えば、図示しないループコイルを廃棄物荷降エリア14の入口近傍の上記停車位置に設置し、当該ループコイルを車両が移動したことで発生する信号を制御装置18が受信し、廃棄物荷降エリア14への車両の入場を検知する構成としてもよい。この場合は、制御装置18が入場検知装置を兼ねる構成となる。
また、制御装置18とは別個に、入場検知装置を設けてもよい。例えば、当該ループコイルの当該信号を受信して廃棄物荷降エリア14への車両の入場を検知し、検知信号を制御装置18へ送信する入場検知装置を設けてもよい。
さらに、行先案内用カメラ30の映像に映る上記一旦停車中の車両が前進して映像から消えたことを制御装置18が人工知能で認識し、これを廃棄物荷降エリア14への車両の入場の検知としてもよい。制御装置18が行先案内表示装置29に荷降場の番号を電光表示し、または、当該番号を読み上げる音声をスピーカーで流すことについても、これら誘導により上記一旦停車している車両は廃棄物荷降エリア14へ入場するので、やはり、当該入場の検知としてもよい。この場合は、制御装置18が入場検知装置を兼ねる構成となる。
上記停車位置に遮断機を配置した場合には、制御装置18が当該遮断機を開けると一旦停車している車両は廃棄物荷降エリア14へ入場するので、やはり、当該入場の検知としてもよい。この場合も、制御装置18が入場検知装置を兼ねる構成となる。
廃棄物荷降エリア14の入口から荷降場へ移動する車両を捉えた荷降場カメラ7の映像から、制御装置18が上記入場を人工知能で認識し、当該入場の検知としてもよい。この場合も、制御装置18が入場検知装置を兼ねる構成となる。
【0042】
次に、廃棄物荷降エリア14からの車両の退場を検知する退場検知装置について説明する。退場検知装置は、多様な構成が可能であるため、附番せずに説明する。
例えば、廃棄物荷降エリア14と本道11である退出路11cが接続する廃棄物荷降エリア14の出口近傍に、少なくとも廃棄物荷降エリア14を退場する車両の車両番号を撮影して当該撮影した映像を制御装置18へ送信する廃棄物荷降エリア用出口カメラ33を設置する。この場合、制御装置18は、廃棄物荷降エリア用出口カメラ33の映像から得られる車両番号により、廃棄物荷降エリア14に入場したいずれの車両が退場するかを検知することができる。また、廃棄物荷降エリア14の荷降場から移動する車両を捉えた荷降場カメラ7の映像から、制御装置18が上記退場を人工知能で認識し、当該退場の検知としてもよい。さらに、後述の計量出口カメラ31の映像から、制御装置18が上記退場を人工知能で認識し、当該退場の検知としてもよい。これらの場合、制御装置18が退場検知装置を兼ねる構成となる。
また、図示しないループコイルを荷降場6に設置し、当該ループコイルを車両が移動したことで発生する信号を制御装置18が受信し、車両の退場を検知する構成としてもよい。この場合も、制御装置18が退場検知装置を兼ねる構成となる。
もちろん、制御装置18とは別個に、退場検知装置を設けてもよい。例えば、当該ループコイルの当該信号を受信して車両の退場を検知し、検知信号を制御装置18へ送信する退場検知装置を設けてもよい。
【0043】
さて、今、制御装置18が可燃ごみ用の住民用荷降場6Baへ住民車両13(第一住民車両)を誘導する場合、制御装置18は、上記入場の検知に基づき、第一住民車両に対する計時を開始する。
当該計時は、制御装置18が内蔵するタイマーを用いてよい。また、当該計時は、廃棄物処理施設2の方針により、上記入場の検知と同時に開始してもよいし、上記入場の検知から所定の遅延時間t3だけ遅らせて開始してもよい。いずれの場合も、上記「入場の検知に基づいて計時」がなされることになる。
後述するように、誘導開始時間Tは、住民車両13の荷降作業に通常要する作業予定時間t1に基づいて算出されるが、当該入場の検知から荷降場6における荷降作業の開始までには、廃棄物荷降エリア14内における車両の移動や荷降場6に停車してから実際に荷降しに取り掛かるまでの準備などのため、ある程度の時間を要するからである。
なお、当該タイマーなどによる計時は、計時開始から誘導開始時間Tになるまで行われ、誘導開始時間Tとなった時点でリセットされる。
【0044】
そして、制御装置18は、(1)第一住民車両の荷降作業が完了する前であっても予め設定された「誘導開始時間T」が経過した場合、並びに、(2)当該誘導開始時間Tの経過前に、第一住民車両に対する上記退場の検知がある場合に、第二誘導装置28を制御して、第二待機スペース20に待機する住民車両13のうち、第二待機スペース20に最も早く進入した住民車両(第二住民車両)に対して廃棄物荷降エリア14へ移動して近づくよう第二進入路11bへの進入を促す。また、このとき、第二待機スペース20に待機する住民車両の数が1台減ることになるので、制御装置18は、第一誘導装置24を制御して、第一待機スペース19に待機する住民車両13のうち、第一待機スペース19に最も早く進入した住民車両に対して廃棄物荷降エリア14へ移動して近づくよう第一進入路11aへの進入を促す。なお、ここで第一進入路11aへ進入を促された住民車両は、その後、第二待機スペース20へ進入することになる。
上述の誘導開始時間Tは、廃棄物処理施設2の方針により適宜設定可能であるが、住民用荷降場6における住民車両13の荷降しの開始から完了までに通常要する作業予定時間t1より短く設定される。例えば、廃棄物荷降エリア14に最寄りの待機スペースである第二待機スペース20の第二待機スペース出口20bから廃棄物荷降エリア14の入口まで、または、廃棄物荷降エリア14内の住民用荷降場まで、住民車両13が移動するのに見込まれる時間を所定時間t2(移動見込時間t2)としたとき、誘導開始時間Tは、作業予定時間t1と所定時間t2との差となるよう設定されうる。この場合、誘導開始時間Tを式で表すと「誘導開始時間T=作業予定時間t1-所定時間t2」となる。
なお、ここでは、所定時間t2を移動見込時間として説明するが、「所定時間」はこれに限らず、作業予定時間t1より小さい定数、すなわち、作業予定時間t1より所定時間t2が短い時間となる作業予定時間t1>所定時間t2の関係が成り立つ定数であればよいので、他の要素に基づいて適宜設定可能である。
【0045】
所定時間t2(移動見込時間t2)は、例えば、(1)廃棄物荷降エリア14に最寄りの待機スペースである第二待機スペース20の第二待機スペース出口20bから廃棄物荷降エリア14の入口または廃棄物処理エリア14内の住民用荷降場6Bまで、渋滞がなく且つ規定の構内走行速度で住民車両13が走行した場合に要する時間t21でもよいし、(2)当該最寄りの待機スペースである第二待機スペース出口20bから廃棄物荷降エリア14の入口まで、業者車両12が渋滞したと仮定して、第二待機スペース出口20bから廃棄物荷降エリア14の入口までの到達に要する時間t22であってもよい。通常、t22>t21の関係が成り立つ。
例えば、第二待機スペース出口20bから廃棄物荷降エリア14の入口まで約25mであると仮定し、また、図1に示すようにこの約25mの距離の範囲に4台の業者車両12が一列に並んで渋滞していると仮定した場合、廃棄物荷降エリア14に設置された業者用荷降場は4つあり、業者車両12は約5分以内で荷降作業が完了するので、例えば、t22=4分、t21=30秒と設定してもよい。
【0046】
作業予定時間t1は、住民車両13の車両の種類(例えば、セダン、軽自動車、トラックなど)や、住民車両13のドライバーの年齢または性別により、変化させるのが望ましい。車両の種類が異なれば廃棄物の搬送量が異なり、また、年齢や性別が異なれば力仕事である荷降作業に要する時間が異なるからである。
先述のように、車両の種類やドライバーの年齢または性別は、計量入口カメラ25または施設入口カメラ22が撮影した車両の映像に基づき、制御装置18が人工知能(AI)などで推定し、当該車両に紐づく固有情報としてデータベース化し、記憶装置21に記憶させておくことができる。
そこで、例えば、車両に紐づく固有情報に基づいて、制御装置18が、荷降作業を早く終える見込みの住民車両13のグループと遅く終える見込みの住民車両13のグループに、多段階にグループ分けし、それぞれに対応する作業予定時間t1を設定してよい。
ここでは、説明の簡便のため、制御装置18は、車両に紐づく固有情報に基づいて、住民車両13を、荷降作業を早く終える見込みの第一グループと、荷降作業を遅く終える見込みの第二グループの2つに分け、記憶装置21に記憶させる場合を説明する。また、説明の簡便のため、住民車両13の種類は3種類しか存在せず、軽自動車、セダン、トラックの順に廃棄物の搬送量が多くなると仮定する。
例えば、第一グループには、車両に紐づく固定情報において、車両の種類が軽自動車または乗用車であり、ドライバーの年齢が60歳未満であって、且つ、ドライバーの性別が男性である、という3つの条件を全て満たす住民車両13が分類される。また、第二グループには、第一グループに該当しない全ての住民車両13が分類される。
そして、このとき、作業予定時間t1は、例えば、第一グループではt11=5分、第二グループではt11=10分と設定することができる。
【0047】
従って、上述の条件の場合、例えば、所定時間t2(移動見込時間t2)としてt22=4分を採用すると、第一グループの住民車両における誘導開始時間Tは1分となり、第二グループの住民車両における誘導開始時間Tは6分となる。
このため、例えば、制御装置18は、第一グループの住民車両13(第一住民車両)が荷降作業を完了する前であっても、上記入場の検知に基づいたタイマーの計時開始(上記遅延時間t3を加味してよい)から誘導開始時間Tの経過、すなわち1分経過すると直ちに、第二待機スペース20の第二誘導装置28を制御して、第二待機スペース20に待機している住民車両(第二住民車両)に対して第二進入路11bへ進入するよう促す。また、制御装置18は、第一誘導装置24を制御して、第一待機スペース19に待機する住民車両に対して第一進入路11aへ進入するよう促す。
また、制御装置18は、誘導開始時間Tの経過前に第一グループの住民車両13(第一住民車両)が荷降作業を完了して上記退場の検知がある場合に、上記タイマーをリセットするとともに、直ちに、第二待機スペース20の第二誘導装置28を制御して、第二待機スペース20に待機している住民車両(第二住民車両)に対して第二進入路11bへ進入するよう促す。また、制御装置18は、第一誘導装置24を制御して、第一待機スペース19に待機する住民車両に対して第一進入路11aへ進入するよう促す。
これにより、第一待機スペース19及び第二待機スペース20に待機する住民車両13を、住民用荷降場6Bが空く前に、移動誘導できるので、住民車両13の荷降作業を効率的に行うことができ、結果として、住民の心理的負担を軽減することができる。
以上のグループ分けの説明では、2つのグループ分けを行ったが、3つ以上に分けてもよい。また、ごみ種類ごとに異なる誘導開始時間や作業予定時間を設定してもよい。
もちろん、廃棄物処理施設2の方針に応じて、ごみ種類などに関わらず、一律の誘導開始時間や作業予定時間を設定してもよい。
【0048】
さて、廃棄物荷降エリア14の荷降場6で廃棄物の荷降作業を完了した車両は、廃棄物荷降エリア14の出口から施設出口10に向かう本道11、すなわち、一車線且つ一方通行の退出路11cを走行する。退出路11cを走行する車両は、やがて出口計量装置8に到着し、一旦、停車する。
出口計量装置8は、道路(退出路11c)に埋設されており、荷降しした車両の重量(以下、「第二重量」という)を計量する装置である。出口計量装置8は、廃棄物を荷降しした車両が当該出口計量装置8上に停車した状態で第二重量を計量し、計量結果を制御装置18に送信する。
計量出口カメラ31は、出口計量装置8上に停車した車両の少なくとも車両番号を撮影し、撮影した映像を制御装置18に送信する。
制御装置18に送信された第二重量や上記映像は、車両に紐づく固有情報として記憶装置21に記憶される。
出口計量装置8の近傍には、精算装置9が設置されている。精算装置9は、業者車両12または住民車両13のドライバーが、廃棄物荷降エリア14で廃棄物を荷降しした費用、すなわち、ごみの処分費用を精算するための装置であり、自己の車両の第一重量と第二重量の差に応じて当該処分費用が算出される。
出口計量装置8と施設出口10の間には、退出路11cを遮断する出口遮断機32が設置される。
制御装置18は、精算装置9で必要な費用が支払われた場合、出口遮断機32を開けて、退出路11cを走行可能にする。これにより、精算を終えた車両は、廃棄物処理施設2の施設出口10から公道へ退出することができる。なお、出口遮断機32は、一台の車両が通過し次第、再び閉じて、車両の通行を遮る。
【0049】
[第一待機スペース19のみが設置される場合]
以上のごみ搬入管理システム1の説明では、待機スペースとして、第一待機スペース19と第二待機スペース20を両方とも設置される場合の説明を行ったが、第二待機スペース20を備えず、第一待機スペース19のみを備える場合について、簡単に説明する。
この場合は、図1に示す構成のうち、第二待機スペース20、第二誘導装置28、及び、経路表示装置27が設置されないほかは、上記両方とも設置される場合で説明した構成及び効果と同様であるので、重複する説明は省略する。
入口計量装置4での計量の後、全ての車両は第二進入路11bを直進し、廃棄物荷降エリア14に到着する点が、上記両方とも設置される場合の説明と異なる。
【0050】
待機スペースとして、第一待機スペース19のみが設置される場合のごみ搬入管理システムの必須構成は、次の通りである。
すなわち、廃棄物処理施設2に適用されるごみ搬入管理システムは、(1)施設入口3から廃棄物荷降エリア14に向かう本道11に接続され、業者車両12は進入せず且つ住民車両13は本道11から逸れて進入するよう誘導される住民車両13に専用の第一待機スペース19と、(2)第一待機スペース19の出口近傍に配置された第一誘導装置24と、(3)住民車両13のうち、廃棄物荷降エリア14への第一住民車両の入場を検知する入場検知装置と、(4)廃棄物荷降エリア14からの当該第一住民車両の退場を検知する退場検知装置と、(5)当該入場の検知に基づいて計時し、住民用荷降場6Bにおける当該第一住民車両の荷降しが完了する前であっても予め設定された誘導開始時間が経過した場合、並びに、誘導開始時間の経過前に当該退場の検知がある場合に、第一誘導装置24を制御して、第一待機スペース19に待機する住民車両13のうち第二住民車両に対して廃棄物荷降エリア14へ移動のため本道11へ進入するよう誘導する制御装置18を少なくとも備える。
第一待機スペース19のみが設置される場合は、第二進入路11bの長さが比較的短いときに効果的である。
【0051】
業者車両12のドライバーから見て、たいていの場合、自己の前方を走行する住民車両13は本道11である第一進入路11aから逸れて第一待機スペース入口19aに進入する。このため、業者車両12のドライバーは、上述したような優越的な感覚を得ることができ、心理的負担を軽減し緩和させることができるので、安全な走行を継続することができる。
また、第一待機スペース19で待機する住民も、自己の前方に並ぶ住民車両13が規則的に第一待機スペース19から退出してゆくのがわかるので、自己が第一待機スペース19から退出する時間が予見でき、このため、待つことに対する心理的負担が軽減される。
従って、業者車両12と住民車両13の交通の安全性が向上する点で、第一待機スペース19と第二待機スペース20が両方とも設置される場合と同様の効果を得ることができる。
【0052】
[第二待機スペース20のみが設置される場合]
次に、待機スペースとして、第一待機スペース19を備えず、第二待機スペース20のみが設置される場合について、簡単に説明する。
この場合は、図1に示す構成のうち、施設入口カメラ22、第一待機スペース19、第一誘導装置24、及び、事前入力装置5bが設置されないほかは、上記両方とも設置される場合で説明した構成及び効果と同様であるので、重複する説明は省略する。
施設入口3から廃棄物処理施設2へ進入した全ての車両は、第一進入路11aを直進し、入口計量装置4に到着する点が、上記両方とも備える場合の説明と異なる。
【0053】
待機スペースとして、第二待機スペース20のみが設置される場合のごみ搬入管理システムの必須構成は、次の通りである。
すなわち、廃棄物処理施設2に適用されるごみ搬入管理システムは、(1)施設入口3から廃棄物荷降エリア14に向かう本道11に接続され、業者車両12は進入せず且つ住民車両13は本道11から逸れて進入するよう誘導される住民車両13に専用の第二待機スペース20と、(2)第二待機スペース20の出口近傍に配置された第二誘導装置28と、(3)住民車両13のうち、廃棄物荷降エリア14への第一住民車両の入場を検知する入場検知装置と、(4)廃棄物荷降エリア14からの当該第一住民車両の退場を検知する退場検知装置と、(5)当該入場の検知に基づいて計時し、住民用荷降場6Bにおける当該第一住民車両の荷降しが完了する前であっても予め設定された誘導開始時間が経過した場合、並びに、誘導開始時間の経過前に当該退場の検知がある場合に、第二誘導装置28を制御して、第二待機スペース20に待機する住民車両13のうち第二住民車両に対して廃棄物荷降エリア14へ移動のため本道11へ進入するよう誘導する制御装置18を少なくとも備える。
【0054】
業者車両12のドライバーから見て、たいていの場合、自己の前方を走行する住民車両13は本道11である第二進入路11bから逸れて第二待機スペース入口20aに進入する。このため、業者車両12のドライバーは、上述したような優越的な感覚を得ることができるとともに、自己の荷降作業をいつ実施できるのか予見することができるので、心理的負担が軽減され、安全な走行を継続することができる。
また、第二待機スペース20で待機する住民も、自己の前方に並ぶ住民車両13が規則的に第二待機スペース20から退出してゆくのがわかるので、自己が第二待機スペース20から退出する時間が予見でき、このため、待つことに対する心理的負担が軽減される。
従って、業者車両12と住民車両13の交通の安全性が向上する点で、第一待機スペース19と第二待機スペース20が両方とも設置される場合と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ごみ搬入管理システム
2 廃棄物処理施設
3 施設入口
4 入口計量装置
5 入力装置(入口入力装置5a、事前入力装置5b)
6 荷降場
(可燃ごみ用且つ業者用荷降場6Aa~6Ac、粗大ごみ用且つ業者用荷降場6Ad)
(可燃ごみ用且つ住民用荷降場6Ba、粗大ごみ用且つ住民用荷降場6Bb)
7 荷降場カメラ
8 出口計量装置
9 精算装置
10 施設出口
11 本道(第一進入路11a、第二進入路11b、退出路11c)
12 業者車両
13 住民車両
14 廃棄物荷降エリア
15 焼却炉
16 可燃ごみピット
17 粗大ごみピット
18 制御装置
19 第一待機スペース
(第一待機スペース入口19a、第一待機スペース出口19b)
20 第二待機スペース
(第二待機スペース入口20a、第二待機スペース出口20b)
21 記憶装置
22 施設入口カメラ(車両撮影カメラ)
23 施設入口表示装置
24 第一誘導装置(第一カメラ24a、第一表示装置24b、第一遮断機24c)
25 計量入口カメラ(車両撮影カメラ)
26 入口遮断機
27 経路表示装置
28 第二誘導装置(第二カメラ28a、第二表示装置28b、第二遮断機28c)
29 行先案内表示装置
30 行先案内用カメラ(廃棄物荷降エリア用入口カメラ)
31 計量出口カメラ
32 出口遮断機
33 廃棄物荷降エリア用出口カメラ
図1
図2
図3
図4
図5