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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053850
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】工作機械システム
(51)【国際特許分類】
   B23B 13/02 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
B23B13/02 A
B23B13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160309
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000107642
【氏名又は名称】スター精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】内山 拓治
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 武史
【テーマコード(参考)】
3C045
【Fターム(参考)】
3C045FC36
(57)【要約】
【課題】異常の発生を早期に判定可能な工作機械システムを提供する。
【解決手段】本発明の工作機械システム1は、把持解除可能に棒材Wを把持して回転可能な主軸25と、棒材Wの後端側から棒材Wの先端側に向かって棒材Wを付勢し、棒材WとともにZ1軸方向に移動する送り矢44と、送り矢44のZ1軸方向の移動を監視することで異常発生有無を判定する異常判定部20bとを備え、主軸25は、Z1軸方向に移動可能なものであり、異常判定部20bは、主軸25が棒材Wを把持している状態で主軸25の移動距離と送り矢44の移動距離とが異なる場合に第1の異常が発生したと判定するものである。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持解除可能に棒材を把持して回転可能な主軸と、
前記棒材の後端側から該棒材の先端側に向かって該棒材を付勢し、該棒材とともに該棒材の軸心方向に移動する送り矢と、
前記送り矢の前記軸心方向の移動を監視することで異常発生有無を判定する異常判定部とを備えたことを特徴とする工作機械システム。
【請求項2】
前記主軸は、前記軸心方向に移動可能なものであり、
前記異常判定部は、前記主軸が前記棒材を把持している状態で該主軸の移動距離と前記送り矢の移動距離とが異なる場合に第1の異常が発生したと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の工作機械システム。
【請求項3】
前記棒材の先端部分を加工する加工工具が取り付けられて前記軸心方向とは直交する方向に移動可能な刃物台と、
前記刃物台と前記主軸の動作を制御する機械制御部とを備え、
前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第1の異常が発生したと判定した場合、前記棒材の加工済み部分を切り離して再度該棒材の先端部分の加工を開始する第1リトライ処理を実行させるものであることを特徴とする請求項2記載の工作機械システム。
【請求項4】
前記棒材の先端部分を加工する加工工具が取り付けられて前記軸心方向とは直交する方向に移動可能な刃物台と、
前記加工工具によって加工されて前記棒材から切り離された切断済み部分を移送可能な移送部材と、
前記刃物台と前記主軸と前記移送部材の動作を制御する機械制御部と、
不良品を受け入れる不良品受入部とを備え、
前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第1の異常が発生したと判定した場合、前記棒材の加工済み部分を切り離して前記不良品受入部に排出させるものであることを特徴とする請求項2記載の工作機械システム。
【請求項5】
前記主軸の動作を制御する機械制御部を備え、
前記異常判定部は、前記機械制御部が前記主軸に前記棒材の把持を解除させている状態において、該主軸の前記軸心方向への移動に伴って前記送り矢が移動した場合に第2の異常が発生したと判定するものであることを特徴とする請求項1または2記載の工作機械システム。
【請求項6】
前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第2の異常が発生したと判定した場合、前記主軸の把持動作と把持解除動作を含む第2リトライ処理を実行させるものであることを特徴とする請求項5記載の工作機械システム。
【請求項7】
前記棒材の先端部分を加工する加工工具が取り付けられて前記軸心方向とは直交する方向に移動可能な刃物台を備え、
前記主軸は、前記軸心方向に移動不能に固定されたものであり、
前記異常判定部は、前記主軸が前記棒材を把持している状態で前記送り矢が移動した場合に第3の異常が発生したと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の工作機械システム。
【請求項8】
前記刃物台と前記主軸の動作を制御する機械制御部と、
前記送り矢の動作を制御する送り矢制御部とを備え、
前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第3の異常が発生したと判定した場合、前記棒材の加工済み部分を切り離して再度該棒材の先端部分の加工を開始する第3リトライ処理を実行させるものであることを特徴とする請求項7記載の工作機械システム。
【請求項9】
前記棒材の先端部分を加工する加工工具が取り付けられて前記軸心方向とは直交する方向に移動可能な刃物台と、
前記刃物台と前記主軸の動作を制御する機械制御部と
前記送り矢の動作を制御する送り矢制御部とを備え、
前記主軸は、前記軸心方向に移動不能に固定されたものであり、
前記異常判定部は、前記機械制御部が前記主軸に前記棒材の把持を解除させている状態において、前記送り矢制御部が前記送り矢を前進させようとしても前記送り矢が移動しない場合に第4の異常が発生したと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の工作機械システム。
【請求項10】
前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第4の異常が発生したと判定した場合、前記主軸の把持動作と把持解除動作を含む第4リトライ処理を実行させるものであることを特徴とする請求項9記載の工作機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材を把持して回転可能な主軸を備えた工作機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械システムには、加工工具や主軸が設けられた加工装置と、加工装置に長尺状の棒材を供給する給材機とを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。加工装置の主軸は、把持解除可能に棒材を把持して回転する。主軸は、棒材を把持した状態および把持解除した状態の何れの状態においても棒材の軸心方向に移動可能に構成されている。また、主軸が土台である脚に固定された主軸固定型の加工装置もある。加工装置にはNC装置が組み込まれている。NC装置は、加工装置のオペレータなどが作成した加工プログラム(NCプログラム)や加工装置に設けられた操作パネルを用いた入力操作に従って、加工工具が取り付けられた刃物台や主軸などの動作を制御する。NC装置が加工プログラムに従って刃物台や主軸の動作を制御することで、棒材の先端部分が所望の形状に加工され、加工された加工済み部分が切り離される。多くの場合、加工工具による加工が開始されてから加工済み部分が切り離されるまで棒材は主軸によって把持されている。加工装置は、加工済み部分が切り離されたら棒材の掴みかえを行う。掴みかえでは、主軸による把持を解除して主軸が棒材の後端側に移動した後、主軸が棒材を再度把持する。加工工具による加工と棒材の掴みかえを複数サイクル繰り返すことで、サイクル数に応じた複数の製品が1本の棒材から製造される。なお、主軸の移動可能距離を超えた長さの製品を製造する場合、1サイクルの中に掴みかえ動作が含まれていることがある。
【0003】
給材機は、加工装置と並んで加工装置よりも棒材の後端側に設置される。給材機は、送り矢と、送り矢を棒材の軸心方向に移動させる送り矢駆動機構とを備えている。送り矢は、先端にフィンガーチャックを備えている。そのフィンガーチャックが棒材の後端部分を掴むことで、送り矢は棒材と連結される。そして、送り矢駆動機構によって送り矢が棒材の先端側に向かって送り出されることで給材機に投入された棒材が加工装置に供給される。送り矢は、加工装置が加工を行っているときには所定の荷重で棒材の後端側から棒材の先端側に向かって棒材を付勢している。この荷重は、主軸が棒材を把持しているときに棒材と主軸の間に滑りが生じない比較的弱い荷重に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-313267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、加工装置と給材機を備えた工作機械システムでは、それぞれの装置が独立して各種の異常発生有無を判定していた。棒材の軸心方向の位置異常に関しては、給材機に1サイクルにおける加工長を記憶させておき、その加工長と1サイクルの加工前後における送り矢の移動距離とが一致しているか否かを1サイクルの加工完了時に比較することで加工中に異常が発生したか否かを判定するものがある。しかしながら、その判定方法では、1サイクルの加工が完了した後でないと異常の発生を判定できないという問題があった。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、異常の発生を早期に判定可能な工作機械システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の工作機械システムは、
把持解除可能に棒材を把持して回転可能な主軸と、
前記棒材の後端側から該棒材の先端側に向かって該棒材を付勢し、該棒材とともに該棒材の軸心方向に移動する送り矢と、
前記送り矢の前記軸心方向の移動を監視することで異常発生有無を判定する異常判定部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
この工作機械システムによれば、前記異常判定部が、前記送り矢の該軸心方向の移動を監視することで、前記軸心方向の位置異常発生を早期に判定できる。
【0009】
ここで、この工作機械システムは、前記送り矢の前記軸心方向の位置を把握する送り矢位置把握部を備えていてもよい。前記送り矢は、前記棒材の後端部に着脱可能に連結するフィンガーチャックを有するものであってもよい。前記主軸は、前記棒材の前記軸心方向に移動可能なものであり、前記異常判定部は、該主軸の該軸心方向への移動に対する前記送り矢の該軸心方向の移動を監視することで異常発生有無を判定するものであってもよい。なお、前記主軸の前記軸心方向への移動に対する前記送り矢の該軸心方向の移動とは、該主軸と該送り矢の一方が移動していない場合を含む概念である。また、前記異常判定部は、前記異常発生有無を加工時に随時判定するものであってもよく、該異常発生有無を掴みかえ時に随時判定するものであってもよい。さらに、前記異常判定部は、加工プログラムに記述された判定開始コマンドに応じて異常発生有無の判定動作を開始し、該加工プログラムに記述された判定終了コマンドに応じて異常発生有無の判定動作を終了するものであってもよい。その場合、前記異常判定部は、判定動作の開始から終了までの間、繰り返し判定を実行するものであってもよい。
【0010】
この工作機械システムにおいて、
前記主軸は、前記軸心方向に移動可能なものであり、
前記異常判定部は、前記主軸が前記棒材を把持している状態で該主軸の移動距離と前記送り矢の移動距離とが異なる場合に第1の異常が発生したと判定するものであってもよい。
【0011】
第1の異常が発生した場合、前記棒材の先端部分は意図しない形状に加工されているため、加工を継続すると加工工具に過度な負担がかかったり工作機械システムが破損してしまう虞がある。これに対し、この工作機械システムでは、第1の異常の発生と同時に判定できるので、加工工具への過度な負荷や工作機械システムの破損を防止できる。
【0012】
ここで、この工作機械システムは、前記棒材の先端部分を加工する加工工具が取り付けられて移動可能な刃物台と、前記刃物台と前記主軸の動作を制御する機械制御部とを備え、前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第1の異常が発生したと判定した場合、前記刃物台と前記主軸を停止させるものであってもよい。停止させることで、加工を継続することによって生じ得る加工工具の過度な負担や工作機械システムの破損を確実に防止できる。なお、前記刃物台と前記主軸の停止には、該刃物台や該主軸が安全な状態になるまで、該刃物台や該主軸のうち少なくとも一方を移動させた後に停止させることも含む。前記異常判定部は、前記主軸が前記軸心方向へ移動した際に該主軸の移動距離と前記送り矢の移動距離とが異なる場合に第1の異常が発生したと判定するものであってもよい。また、前記異常判定部は、前記主軸が前記棒材を把持して該棒材を加工をしている際に該主軸の移動距離と前記送り矢の移動距離とが異なる場合に第1の異常が発生したと判定するものであってもよい。
【0013】
また、この工作機械システムにおいて、
前記棒材の先端部分を加工する加工工具が取り付けられて前記軸心方向とは直交する方向に移動可能な刃物台と、
前記刃物台と前記主軸の動作を制御する機械制御部とを備え、
前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第1の異常が発生したと判定した場合、前記棒材の加工済み部分を切り離して再度該棒材の先端部分の加工を開始する第1リトライ処理を実行させるものであってもよい。
【0014】
前記第1リトライ処理を実行することで、加工が停止してしまう虞を低減できる。加えて、前記第1の異常が発生したときに前記加工済み部分を切り離すことで、無駄な加工時間や無駄な加工に係るエネルギーの消費を防止にできる上に、棒材の無駄遣いを抑制できる。
【0015】
さらに、この工作機械システムにおいて、
前記棒材の先端部分を加工する加工工具が取り付けられて前記軸心方向とは直交する方向に移動可能な刃物台と、
前記加工工具によって加工されて前記棒材から切り離された切断済み部分を移送可能な移送部材と、
前記刃物台と前記主軸と前記移送部材の動作を制御する機械制御部と、
不良品を受け入れる不良品受入部とを備え、
前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第1の異常が発生したと判定した場合、前記棒材の加工済み部分を切り離して前記不良品受入部に排出させるものであってもよい。
【0016】
前記第1の異常が発生したときに前記加工済み部分を前記不良品受入部に排出することで不良品と良品とが混在してしまうことを防止できる。加えて、前記第1の異常が発生したときに前記加工済み部分を切り離すことで、無駄な加工時間や無駄な加工に係るエネルギーの消費を防止にできる上に、棒材の無駄遣いを抑制できる。
【0017】
ここで、前記移送部材は、前記第1の異常が発生しないで前記主軸を用いた加工が完了した前記切断済み部分を所定の位置まで移送するものであってもよい。
【0018】
加えて、この工作機械システムにおいて、
前記主軸の動作を制御する機械制御部を備え、
前記異常判定部は、前記機械制御部が前記主軸に前記棒材の把持を解除させている状態において、該主軸の前記軸心方向への移動に伴って前記送り矢が移動した場合に第2の異常が発生したと判定するものであってもよい。
【0019】
こうすることで、前記主軸が前記棒材を掴みかえるときに異常が発生したことを早期に判定できる。ここで、前記異常判定部は、掴みかえ動作をしているときに前記主軸の前記軸心方向への移動に伴って前記送り矢が移動した場合に第2の異常が発生したと判定するものであってもよい。
【0020】
またさらに、この工作機械システムにおいて、
前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第2の異常が発生したと判定した場合、前記主軸の把持動作と把持解除動作を含む第2リトライ処理を実行させるものであってもよい。
【0021】
前記第2リトライ処理により、加工が停止してしまう虞を低減できる。
【0022】
また、この工作機械システムにおいて、
前記棒材の先端部分を加工する加工工具が取り付けられて前記軸心方向とは直交する方向に移動可能な刃物台を備え、
前記主軸は、前記軸心方向に移動不能に固定されたものであり、
前記異常判定部は、前記主軸が前記棒材を把持している状態で前記送り矢が移動した場合に第3の異常が発生したと判定するものであってもよい。
【0023】
第3の異常が発生した場合、前記棒材の先端部分は意図しない形状に加工されているため、加工を継続すると加工工具に過度な負担がかかったり工作機械システムが破損してしまう虞がある。これに対し、この工作機械システムでは、第3の異常の発生と同時に判定できるので、加工工具への過度な負荷や工作機械システムの破損を防止できる。
また、この工作機械システムにおいて、
前記刃物台と前記主軸の動作を制御する機械制御部と、
前記送り矢の動作を制御する送り矢制御部とを備え、
前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第3の異常が発生したと判定した場合、前記棒材の加工済み部分を切り離して再度該棒材の先端部分の加工を開始する第3リトライ処理を実行させるものであってもよい。
【0024】
前記第3リトライ処理を実行することで、加工が停止してしまう虞を低減できる。加えて、前記第3の異常が発生したときに前記加工済み部分を切り離すことで、無駄な加工時間や無駄な加工に係るエネルギーの消費を防止にできる上に、棒材の無駄遣いを抑制できる。
【0025】
加えて、この工作機械システムにおいて、
前記棒材の先端部分を加工する加工工具が取り付けられて前記軸心方向とは直交する方向に移動可能な刃物台と、
前記刃物台と前記主軸の動作を制御する機械制御部と
前記送り矢の動作を制御する送り矢制御部とを備え、
前記主軸は、前記軸心方向に移動不能に固定されたものであり、
前記異常判定部は、前記機械制御部が前記主軸に前記棒材の把持を解除させている状態において、前記送り矢制御部が前記送り矢を前進させようとしても前記送り矢が移動しない場合に第4の異常が発生したと判定するものであってもよい。
【0026】
こうすることで、前記棒材を掴みかえるときに異常が発生したことを早期に判定できる。
【0027】
またさらに、この工作機械システムにおいて、
前記機械制御部は、前記異常判定部が前記第4の異常が発生したと判定した場合、前記主軸の把持動作と把持解除動作を含む第4リトライ処理を実行させるものであってもよい。
【0028】
前記第4リトライ処理により、加工が停止してしまう虞を低減できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、異常の発生を早期に判定可能な工作機械システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態にかかる旋盤システムの正面図である。
図2図1に示した旋盤システムの内部構成を簡易的に示す平面図である。
図3図1に示した旋盤システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図1に示した旋盤システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
図5図1に示した旋盤システムの第1監視動作を示すフローチャートである。
図6図1に示した旋盤システムの第2監視動作を示すフローチャートである。
図7図1に示した旋盤システムの第2監視動作を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態の旋盤システムにおける内部構成を簡易的に示す平面図である。
図9図8に示した旋盤システムの第3監視動作を示すフローチャートである。
図10図8に示した旋盤システムの第4監視動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、本発明をNC旋盤と給材機とを備えた旋盤システムに適用した例を用いて説明する。
【0032】
図1は、本実施形態にかかる旋盤システムの正面図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の旋盤システム1は、加工装置であるNC旋盤2と、材料供給装置である給材機4とを備えている。この旋盤システム1が、工作機械システムの一例に相当する。本実施形態のNC旋盤2は、いわゆるスイス型旋盤である。NC旋盤2は、切削室22と、主軸室23と、旋盤操作パネル24とを備えている。切削室22は、棒材W(図2参照)の先端部分を加工する空間が形成された部屋であり、正面側から見てNC旋盤2の右側に配置されている。主軸室23は、主軸25(図2参照)が配置された部屋であり、正面側から見てNC旋盤2の左側に配置されている。
【0034】
旋盤操作パネル24は、旋盤操作部241と旋盤表示画面242とを有している。旋盤操作部241は、旋盤システム1のオペレータによる入力操作を受け付ける複数のボタンやキー等からなる。なお、旋盤操作部241は、旋盤表示画面242と一体化されたタッチパネルであってもよい。旋盤システム1のオペレータは、旋盤操作部241や外部コンピューターを用いて作成した加工プログラムを後述する記憶部203(図3参照)に記憶させることができる。また、旋盤システム1のオペレータは、旋盤操作部241を用いて加工プログラムの修正を行い、修正した加工プログラムを記憶部203に記憶させることもできる。さらに、旋盤システム1のオペレータは、旋盤操作部241を用いて旋盤システム1の各構成要素を個別または連携して動作させることもできる。旋盤表示画面242は、記憶部203に記憶された加工プログラム、旋盤システム1の各種設定値およびエラー内容などの旋盤システム1に関する各種情報を表示するディスプレイである。
【0035】
給材機4は、NC旋盤2に長尺な棒材W(図2参照)を供給する。給材機4は、NC旋盤2と並んで設置される。給材機4には、複数の棒材Wが格納されている。給材機4は、格納された棒材Wのうちの1本をNC旋盤2に向かって送り出す。また、給材機4は、加工によって短くなった棒材Wである残材をNC旋盤2から引き抜いて排出する。残材を排出した後、給材機4は、格納された棒材Wからあらたに1本をNC旋盤2に向かって送り出す。給材機4には、給材機4を操作するための入力装置である給材機操作パネル42が設けられている。
【0036】
図2は、図1に示した旋盤システムの内部構成を簡易的に示す平面図である。
【0037】
図2に示すように、NC旋盤2は、主軸25と、ガイドブッシュ26と、第1刃物台27と、背面主軸28と、第2刃物台29とを備えている。主軸25、ガイドブッシュ26、第1刃物台27、背面主軸28および第2刃物台29は、土台である脚の上に配置されている。主軸25、第1刃物台27、背面主軸28および第2刃物台29は、加工プログラムや旋盤操作パネル24(図1参照)からの入力に従って動作する。
【0038】
主軸25は、Z1軸方向に移動可能である。なお、主軸25は、主軸台によって主軸台とともにZ1軸方向に移動するが、主軸台は図示省略し説明も省略する。Z1軸方向は、水平方向であり、図2においては左右方向である。このZ1軸方向は、棒材Wの軸心方向に相当する。主軸25は、その内部を貫通している棒材Wを把持解除可能に把持するためのコレットチャック251を先端部分に有している。このコレットチャック251は、把持部の一例に相当する。主軸25は、棒材Wを把持して主軸中心線CLを中心として回転可能である。主軸中心線CLの方向はZ1軸方向と一致している。以下、主軸25が棒材Wの後端側に移動することを後退と称することがある。
【0039】
ガイドブッシュ26は、土台である脚に固定されている。ガイドブッシュ26の、主軸25が配置された側とは反対側の端面は、切削室22(図1参照)内に露出している。ガイドブッシュ26は、主軸25の内部を貫通した棒材Wの先端側部分をZ1軸方向へ摺動自在に支持する。このガイドブッシュ26の、棒材Wを支持している部分は、主軸25と同期して主軸中心線CLを中心にして回転可能である。ガイドブッシュ26から切削室22内に突出した棒材Wの先端部分が第1刃物台27に取り付けられた第1工具T1によって加工される。この第1工具T1が加工工具の一例に相当する。ガイドブッシュ26により、加工時の棒材Wの撓みが抑制されるので、特に細長い棒材WをNC旋盤2によって高精度に加工できる。
【0040】
第1刃物台27は、Z1軸方向と直交しかつ水平方向を向いたX1軸方向と、垂直方向を向いたY1軸方向に移動可能である。この第1刃物台27は、刃物台の一例に相当する。図2では、上下方向がX1軸方向であり、紙面に直交する方向がY1軸方向である。第1刃物台27には、切削加工用工具、突切加工用工具などを含む複数種類の第1工具T1がY1軸方向に並んで櫛歯状に取り付けられている。また、第1工具T1として、エンドミルやドリルなどの回転工具を第1刃物台27に取り付けることもできる。第1刃物台27がY1軸方向に移動することで、これらの複数種類の第1工具T1から任意の第1工具T1が選択される。そして、第1刃物台27がX1軸方向に移動することで、選択されている第1工具T1が主軸25に把持されガイドブッシュ26に支持された棒材Wの先端部分に切り込んで加工したり、棒材Wの加工済み部分を切り離したりする。
【0041】
背面主軸28は、X2軸方向およびZ2軸方向に移動可能である。この背面主軸28は、移送部材の一例に相当する。なお、背面主軸28は、背面主軸台によって背面主軸台とともにX2軸方向およびZ2軸方向に移動するが、背面主軸台は図示省略し説明も省略する。X2軸方向は上述したX1軸方向と同一の方向であり、Z2軸方向は上述したZ1軸方向と同一の方向である。また、Z2軸方向は、背面主軸28の軸線方向に相当する。図2には、背面主軸28が、ガイドブッシュ26を挟んで主軸25に対向した位置にある様子が示されている。この位置では背面主軸28の回転中心である背面主軸中心線は、主軸中心線CLと同一線上に配置されている。背面主軸中心線の方向はZ2軸方向と一致している。背面主軸28には、主軸25を用いた加工が完了した棒材Wの加工済み部分が、突切加工用の第1工具T1によって切り離されて受け渡される。以下、切り離された加工済み部分を切断済み部分と称する。背面主軸28は、主軸25から受け渡された切断済み部分を把持解除可能に把持する。また、背面主軸28は、X2軸方向およびZ2軸方向に移動することで把持した切断済み部分を移送する。
【0042】
第2刃物台29は、Y2軸方向へ移動可能である。なお、第2刃物台29は、X2軸方向に移動可能に構成されていてもよい。Y2軸方向は上述したY1軸方向と同一の方向である。第2刃物台29には、切断済み部分を加工するドリルやエンドミル等の第2工具T2が取り付けられている。なお、第2工具T2は、Y2軸方向に並んで第2刃物台29に複数取り付けられている。第2刃物台29のY2軸方向の移動によって、これらの複数の第2工具T2から任意の第2工具T2が選択される。そして、背面主軸28がX2軸方向やZ2軸方向に移動することで、背面主軸28に把持された切断済み部分の切断端側が加工される。この切断端側の加工が完了した切断済み部分が旋盤システム1によって製造された製品になる。なお、背面主軸28を用いた加工を行わない場合もある。その場合、切断済み部分がそのまま製品になる。第2刃物台29には、製品を受け入れる製品受入口291と不図示のシューターとが設けられている。シューターは、第2刃物台29内に設けられている。背面主軸28は、製品を製品受入口291に挿入した後、把持を解除して背面主軸28に設けられたシリンダーによって押し出すことでシューターに製品を投下する。投下された製品は、不図示のコンベアによって所定位置まで移送されて旋盤システム1の外部に設けられた製品貯留部に排出される。
【0043】
切削室22(図1参照)の下端には、主軸25や背面主軸28を用いた加工によって生じた切り屑や不良品を受け入れる切り屑受入部221が設けられている。この切り屑受入部221が不良品受入部の一例に相当する。主軸25を用いた加工が完了した棒材Wの加工済み部分は、主軸25に対向した位置で主軸25と同期回転した背面主軸28と主軸25とがそれぞれ棒材Wを把持した状態で突切加工用の第1工具T1が加工済み部分を切り離すことで背面主軸28に受け渡される。一方、背面主軸28が加工済み部分を把持していない状態で加工済み部分を切り離した場合、その加工済み部分は、落下することで切り屑受入部221に排出される。
【0044】
給材機4は、上述した給材機操作パネル42(図1参照)の他に、送り矢44と、送り矢駆動機構45と、送り矢モータ46と、先端センサ47と、原点センサ48とを有している。送り矢44は、不図示のガイドによってZ1軸方向に移動自在に案内されている。送り矢44の先端には、棒材Wの後端を把持するフィンガーチャック441が設けられている。このフィンガーチャック441は、送り矢44の他の部分に対して回転自在に取り付けられることで、主軸中心線CLを回転中心軸として回転自在になっている。フィンガーチャック441が棒材Wの後端を把持することで、送り矢44は棒材Wに連結される。すなわち、フィンガーチャック441が棒材Wを把持している間、送り矢44は棒材ととともにZ1軸方向に移動する。
【0045】
送り矢駆動機構45は、給材機4の先端側と後端側それぞれに設けられた不図示のプーリと、そのプーリに掛け渡された駆動ベルトによって構成されている。駆動ベルトには、連結部451が固定されている。この連結部451によって駆動ベルトと送り矢44の後端部分とが連結されている。給材機4の後端側に設けられたプーリは、送り矢モータ46の出力軸に固定されている。
【0046】
送り矢モータ46の出力軸が一方向に回転すると、送り矢駆動機構45と連結部451によって送り矢44はZ1軸に沿ってNC旋盤2に向かって移動する。反対に、送り矢モータ46の出力軸が他方向に回転すると、送り矢駆動機構45と連結部451によって送り矢44はZ1軸に沿ってNC旋盤2から離間する方向に移動する。給材機4内に格納された複数の棒材Wのうち軸心が主軸中心線CLと一致した位置にある棒材Wがフィンガーチャック441によって把持される。そして、送り矢44が移動することで、フィンガーチャック441に把持された棒材Wは、棒材Wの軸心方向に移動する。すなわち、送り矢モータ46の出力軸が一方向に回転すると、棒材Wはその先端側に移動し、送り矢モータ46の出力軸が他方向に回転すると、棒材Wはその後端側に移動する。送り矢モータ46は、送り矢エンコーダ461を有している。なお、送り矢エンコーダ461は、送り矢モータ46とは別に設置されていてもよい。送り矢エンコーダ461によって、送り矢モータ46の回転数や回転量が検出される。送り矢エンコーダ461の検出結果は、第2制御装置40(図3参照)に送信される。
【0047】
先端センサ47は、棒材Wの先端を検出する。また、原点センサ48は、送り矢44が原点に位置しているか否かを検出する。送り矢44の原点は、送り矢44の移動範囲のうち最も後端側に位置している。これらの先端センサ47と原点センサ48の検出結果は、それぞれ第2制御装置40(図3参照)に送信される。第2制御装置40は、先端センサ47の検出結果と送り矢エンコーダ461の検出結果によって、加工前における棒材Wの先端位置がどの位置にあるかを把握する。また、第2制御装置40は、原点センサ48の検出結果と送り矢エンコーダ461の検出結果によって、送り矢44の位置を把握する。これら送り矢エンコーダ461及び原点センサ48は、送り矢位置検出手段の一例に相当する。
【0048】
図3は、図1に示した旋盤システムのハードウェア構成を示すブロック図である。なお、この図3では、旋盤システム1のハードウェア構成のうち本発明との関連性の低いものは、これまで説明した構成要素を動作させるものであっても図示省略している。
【0049】
図3に示すように、NC旋盤2は、第1制御装置20と、上述した旋盤操作パネル24と、Z1軸モータ252と、主軸モータ253と、主軸アクチュエータ254と、X2軸モータ281と、Z2軸モータ282とを有している。第1制御装置20は、いわゆるNC(Numerical Control)装置であり、CPU201と、PLC(Programmable Logic Controller)202と記憶部203とを有している。この第1制御装置20が、制御装置の一例に相当する。第1制御装置20は、CPU201による演算機能を有するコンピュータである。第1制御装置20は、記憶部203に記憶されている加工プログラムや旋盤操作パネル24からの入力に従って図2に示した主軸25、第1刃物台27、背面主軸28および第2刃物台29等の各構成要素の動作を制御する。図3には、それらの構成要素を駆動するモータやアクチュエータのうちの一部が示されている。第1制御装置20は、主にNC旋盤2に設けられたサーボモータに対して数値制御を行う。また、第1制御装置20が有しているPLC202は、主にNC旋盤2に設けられたシリンダーやバルブ等のサーボモータ以外の機器の動作をシーケンス制御する。記憶部203は、ROM、HDDおよびSSD等の不揮発性メモリとRAM等の揮発性メモリとから構成されている。
【0050】
Z1軸モータ252は、第1制御装置20からの指令を受けて回転するサーボモータである。Z1軸モータ252が回転することで主軸25(図2参照)はZ1軸方向に移動する。なお、第1制御装置20とZ1軸モータ252の間には不図示のアンプが設けられており、第1制御装置20がアンプに指令を送信することでZ1軸モータ252が制御されている。以下、アンプについては説明を省略する。Z1軸モータ252は、Z1軸エンコーダ2521を有している。Z1軸エンコーダ2521の出力が第1制御装置20にフィードバックされることで、第1制御装置20は、主軸25(図2参照)のZ1軸における位置を常時把握している。このZ1軸エンコーダ2521は、主軸位置検出手段の一例に相当する。
【0051】
主軸25(図2参照)には、ビルトインモーター等の主軸モータ253が設けられている。主軸モータ253は、第1制御装置20から指令を受けて回転する。主軸モータ253が回転することで、主軸25および主軸25に把持された棒材W(図2参照)は、主軸中心線CL(図2参照)を中心にして回転する。なお、主軸25と同様に、背面主軸28にも背面主軸モータが設けられているが説明は省略する。主軸アクチュエータ254は、コレットチャック251(図2参照)を動作させるための油圧シリンダー等のアクチュエータである。主軸アクチュエータ254によって不図示のチャックスリーブが先端側に移動することで、コレットチャック251が閉じて棒材Wが主軸25によって把持される。また、チャックスリーブが後端方に移動することで、コレットチャック251が開いて主軸25による棒材Wの把持が解除される。
【0052】
X2軸モータ281は、第1制御装置20からの指令を受けて回転するサーボモータである。X2軸モータ281が回転することで背面主軸28(図2参照)はX2軸方向に移動する。同様に、Z2軸モータ282は、第1制御装置20からの指令を受けて回転するサーボモータである。Z2軸モータ282が回転することで背面主軸28はZ2軸方向に移動する。なお、X2軸モータ281およびZ2軸モータ282にも不図示のエンコーダが設けられている。
【0053】
給材機4は、上述した給材機操作パネル42、送り矢モータ46、先端センサ47および原点センサ48の他に第2制御装置40を有している。第2制御装置40は、給材機4の各構成要素についてシーケンス制御を行う制御装置である。第2制御装置40は、各センサや送り矢エンコーダ461等から受信した情報に基づいて送り矢モータ46や給材機4に設けられた不図示のアクチュエータの動作を制御する。また、第2制御装置40は、第1制御装置20からの動作要求に応じて給材機4の動作を制御する。
【0054】
送り矢モータ46は、第2制御装置40からの指令を受けて回転するサーボモータである。送り矢モータ46が回転することで送り矢44(図2参照)はZ1軸方向に移動する。上述したように、第2制御装置40は、送り矢44の原点からの移動距離を原点センサ48の検出結果と送り矢エンコーダ461の検出結果によって把握することで、送り矢44のZ1軸方向における位置を常時把握し、給材機4に関する情報として第1制御装置20に送信している。また、第2制御装置40は、新しく供給する棒材Wの先端や電源投入後最初にNC旋盤2に送り出した棒材Wの先端のZ1軸方向における位置を第1制御装置20に送信する。NC旋盤2が加工を開始した後、残材の引き抜き開始までは、第2制御装置40によって送り矢モータ46は基本的に一定のトルクで一方向に回転しようとするように制御される。これにより、棒材Wは、設定された荷重で棒材Wの先端側に向かって送り矢44によって付勢される。この荷重は、主軸25が棒材Wを把持しているときに棒材Wと主軸25との間に滑りが生じる虞が無い比較的弱い荷重に設定される。
【0055】
給材機操作パネル42は、操作部と表示画面とが一体になったタッチパネルである。なお、給材機4には、給材機操作パネル42の他に非常停止ボタンや送り矢モータ46のトルク設定スイッチ等が設けられている。旋盤システム1のオペレータは、給材機操作パネル42を用いて送り矢44(図2参照)をZ1軸方向に手動で移動させたり、給材機4の各種設定値を入力することができる。また、給材機操作パネル42には、給材機4の各種設定値およびエラー内容などの給材機4に関する各種情報並びに給材機4の操作ボタンが表示される。
【0056】
第1制御装置20と第2制御装置40とは信号ケーブルで接続されている。第1制御装置20は、信号ケーブルを介して第2制御装置40に動作要求などを送信する。また、第2制御装置40は、信号ケーブルを介して第1制御装置20に送り矢44の位置情報を含む給材機4に関する各種情報を随時送信する。
【0057】
図4は、図1に示した旋盤システムの機能構成を示す機能ブロック図である。なお、図4でも、本発明に特に関連性の高い機能構成のみを示し、旋盤システム1が有するその他の機能構成は図示省略し説明も省略する。
【0058】
図4に示すように、第1制御装置20によって、機械制御部20aと異常判定部20bとが構成されている。機械制御部20aは、主に図3に示したCPU201とPLC202と記憶部203によって達成される機能構成である。また、異常判定部20bは、主にCPU201と記憶部203によって達成される機能構成である。また、第2制御装置40によって、送り矢制御部40aと送り矢位置把握部40bが構成されている。
【0059】
機械制御部20aは、NC旋盤2の各構成要素の動作を制御するものである。また、機械制御部20aは、第2制御装置40に動作要求や情報送信要求を送信することもある。異常判定部20bは、送り矢44のZ1軸方向の移動を監視することで旋盤システム1の異常発生有無を判定するものである。
【0060】
送り矢制御部40aは、給材機4に設けられた各種センサからの出力、給材機操作パネル42からの入力および第1制御装置20からの動作要求に従って送り矢モータ46などの動作を制御する機能構成である。送り矢位置把握部40bは、原点センサ48の検出結果と送り矢エンコーダ461の検出結果を用いて原点センサ48からの送り矢44のZ1軸方向の位置を演算することで送り矢44(図2参照)の後端位置を把握する。第2制御装置40が有する不図示のメモリーには、送り矢44(図2参照)の長さ情報が保存されている。送り矢位置把握部40bは、送り矢44の後端位置に送り矢44の長さを加算することで先端位置も把握している。
【0061】
図5は、図1に示した旋盤システムの第1監視動作を示すフローチャートである。図5に示す第1監視動作は、主に図4に示した機械制御部20aと異常判定部20bが旋盤システム1の動作を制御することによって実行される動作である。詳細には、記憶部203に記憶されたプログラムに基づいて機械制御部20aと異常判定部20bがこの動作に関連する演算や判定を実行する。そして、その演算結果や判定結果に基づいて機械制御部20aが、NC旋盤2の各構成要素の動作を制御し、また第2制御装置40に動作要求を送信する。
【0062】
第1監視動作は、加工プログラムに記述された第1監視動作を指示するコマンドが実行されることで開始される。この第1監視動作を指示するコマンドが判定開始コマンドの一例に相当する。第1監視動作は、主軸25を用いた加工時に使用される監視動作である。第1監視動作では、まず、機械制御部20aは記憶部203に記憶されている第1カウンタC1を0にする(S11)。その後、異常判定部20bは、自身が把握している主軸25の把持情報および主軸25の位置情報と、送り矢位置把握部40bから受信した送り矢44の位置情報とから、主軸25が棒材Wを把持している状態において、主軸25の移動距離と送り矢44の移動距離とが一致しているかを監視する(ステップS12)。この監視について更に詳しく説明する。異常判定部20bは、主軸25の移動開始前など特定のタイミングにおける主軸25の位置を主軸基準位置として記憶部203に記憶するとともに、そのタイミングにおける送り矢44の位置を送り矢基準位置として記憶部203に記憶する。そして、異常判定部20bは、主軸25が棒材Wを把持しているときに、主軸基準位置からの主軸25の移動距離に一致する距離を送り矢44が送り矢基準位置から移動したときの送り矢44の位置を演算する。さらに、異常判定部20bは、その演算結果における送り矢44の位置情報と送り矢位置把握部40bから受信した送り矢44の位置情報とを比較することで、主軸25と送り矢44の移動距離を比較して一致しているか否かを監視する。なお、ステップS12の判定は、主軸25が移動しているときのみ実施してもよい。ただし、主軸25が移動していないときでも棒材Wに加わる加工負荷によって棒材WがZ1軸方向に移動してしまうことも考えられるため、主軸25の移動に関わらず主軸25が棒材Wを把持しているときには随時実行することが好ましい。異常判定部20bは、それらの移動距離が異なる場合(ステップS12でNO)に第1の異常が発生したと判定する。なお、移動距離の差に閾値を設け、移動距離が完全に一致していない場合でもその閾値内の差であれば移動距離が一致していると判断するように構成してもよい。またその構成において、旋盤操作パネル24やNCプログラムによって閾値の指定や閾値の変更が可能にしてもよい。ここで、主軸25の移動および送り矢44の移動はともにZ1軸方向の移動を指し、以下の説明でも同様である。また、主軸25の移動距離および送り矢44の移動距離とは、移動距離がゼロ、つまり移動していない場合を含む概念である。
【0063】
異常判定部20bは、送り矢44の移動距離と主軸25の移動距離が一致している場合(ステップS12でYES)、次に実行するコマンドが第1監視動作の終了を指示するコマンドであるか否かを判定する(ステップS13)。この第1監視動作の終了を指示するコマンドが、判定終了コマンドの一例に相当する。第1監視動作の終了を指示するコマンドである場合(ステップS13でYES)、第1監視動作を終了する。第1監視動作の終了を指示するコマンドでない場合(ステップS13でNO)、ステップS12に戻って引き続き監視を継続する。ステップS12とステップS13を繰り返すことで、加工時にステップS12の判定が随時実行される。なお、ステップS13において、第1監視動作の終了を指示するコマンドであるか否かを判定することに代えて、1サイクルの加工のうち主軸25を用いた加工が完了したか否かを判定してもよく、主軸25による棒材Wの把持を解除するコマンドが実行されたか否かを判定してもよい。ここで1サイクルとは、主軸25が棒材Wの把持を解除して棒材Wの掴みかえを開始してから、棒材Wの加工済み部分を切り離すまでを指す。また、主軸25を用いた加工とは、主軸25が棒材Wを把持した状態で棒材Wの先端部分に実施される一連の加工のことを指す。なお、この一連の加工には加工済み部分を切り離す突っ切り加工を含む。
【0064】
送り矢44の移動距離と主軸25の移動距離が一致していない場合(ステップS12でNO)、機械制御部20aは、第1リトライ機能が有効になっているか否かを判定する(ステップS14)。第1リトライ機能の有効/無効は、第1監視動作を指示するコマンドの中で指定され、記憶部203に記憶されている。なお、第1リトライ機能の有効/無効は、第1監視動作を指示するコマンドとは別に指定してもよい。
【0065】
第1リトライ機能が有効である場合(ステップS14でYES)、機械制御部20aは、記憶部203に記憶されている第1カウンタC1をC1+1に書き換える(ステップS15)。そして、書き換えた後の第1カウンタC1が第1リトライ設定数以下であるか否かを判定する(ステップS16)。第1リトライ設定数は、第1監視動作を指示するコマンドの中で指定され、記憶部203に記憶されている。なお、第1リトライ設定数は、第1監視動作を指示するコマンドとは別に指定してもよい。
【0066】
第1カウンタC1が第1リトライ設定数以下である場合(ステップS16でYES)、機械制御部20aは、ステップS12の監視の結果得られた主軸25の移動距離と送り矢の移動距離におけるズレ量と、その時点で既に加工を実施済みの加工済み部分の長さからその加工済み部分の全部を切り離すための主軸25の位置を演算する。そして、機械制御部20aは、その位置に主軸25を移動させて加工済み部分を突切加工用の第1工具T1を用いて切り離させる(ステップS17)。送り矢44の移動距離と主軸25の移動距離が一致していない場合、加工中に棒材Wと主軸25のコレットチャック251との間でZ1軸方向の滑りが生じたことになる。その場合、その時点までに加工した加工済み部分は、意図しない形状の不良品になっている。このステップS17においては、背面主軸28が加工済み部分を把持しない状態で加工済み部分を切り離すため、切り離された加工済み部品は落下して切り屑受入部221に排出される。その後、機械制御部20aは、加工プログラムにおける1サイクルの先頭から再度処理を実行する(ステップS18)。これらのステップS17及びステップS18が、第1リトライ処理の一例に相当する。
【0067】
一方、第1リトライ機能が無効である場合(ステップS14でNO)または第1カウンタC1が第1リトライ設定数を超えている場合(ステップS16でNO)、機械制御部20aは、第1工具T1が棒材Wから離間するように第1刃物台27を移動させた後、主軸25、第1刃物台27、送り矢44等の旋盤システム1における各駆動部の動作を停止させて、送り矢44の移動距離と主軸25の移動距離にズレが生じた旨を旋盤表示画面242に表示する(ステップS19)。なお、ステップS19において、第1制御装置20は、第1刃物台27を移動させずに各駆動部の動作を停止させてもよい。
【0068】
図6および図7は、図1に示した旋盤システムの第2監視動作を示すフローチャートである。図6および図7に示す第2監視動作も、第1監視動作と同様に主に図4に示した機械制御部20aと異常判定部20bによって実行される動作である。詳細には、記憶部203に記憶されたプログラムに基づいて機械制御部20aと異常判定部20bがこの動作に関連する演算や判定を実行する。そして、その演算結果や判定結果に基づいて機械制御部20aが、NC旋盤2の各構成要素の動作を制御し、また第2制御装置40に動作要求を送信する。
【0069】
第2監視動作は、加工プログラムに記述された第2監視動作を指示するコマンドが実行されることで開始される。この第2監視動作を指示するコマンドが判定開始コマンドの一例に相当する。第2監視動作は、主軸25による棒材Wの掴みかえ時に使用される監視動作である。第2監視動作では、まず、機械制御部20aが記憶部203に記憶されている第2カウンタC2を0にする(ステップS31)。その後、異常判定部20bは、自身が把握している主軸25の把持情報および主軸25の位置情報と、送り矢位置把握部40bから受信した送り矢44の位置情報とから、主軸25に棒材Wの把持を解除させている状態において、主軸25の移動に伴って送り矢44が移動していないか否かを監視する(ステップS32)。この監視について更に詳しく説明する。異常判定部20bは、主軸25移動開始前の所定のタイミングにおける送り矢44の位置を記憶部203に記憶し、記憶した送り矢44の位置情報と主軸25移動中に送り矢位置把握部40bから受信した送り矢44の位置情報とを比較することで、送り矢44が移動していないか否かを監視する。そして、異常判定部20bは、送り矢44が移動した場合(ステップS32でNO)に第2の異常が発生したと判定する。なお、送り矢44の移動距離に閾値を設け、移動距離が完全にゼロでない場合でもその閾値内の移動距離であれば送り矢44が移動していないと判断するように構成してもよい。またその構成において、旋盤操作パネル24やNCプログラムによって閾値の指定や閾値の変更が可能にしてもよい。
【0070】
異常判定部20bは、送り矢44が移動していない場合(ステップS32でYES)、次に実行するコマンドが第2監視動作の終了を指示するコマンドであるか否かを判定する(ステップS33)。この第2監視動作の終了を指示するコマンドが、判定終了コマンドの一例に相当する。第2監視動作の終了を指示するコマンドである場合(ステップS33でYES)、第2監視動作を終了する。第2監視動作の終了を指示するコマンドでない場合(ステップS33でNO)、ステップS32に戻って引き続き監視を継続する。なお、ステップS33において、第2監視動作の終了を指示するコマンドであるか否かを判定することに代えて、主軸25が掴みかえ位置まで後退したか否かを判定してもよく、主軸25に棒材Wを把持させるコマンドが実行されたか否かを判定してもよい。ステップS32とステップS33を繰り返すことで、掴みかえ時にステップS32の判定が随時実行される。
【0071】
送り矢44が移動している場合(ステップS32でNO)、機械制御部20aは、第2リトライ機能が有効になっているか否かを判定する(ステップS34)。第2リトライ機能の有効/無効は、第2監視動作を指示するコマンドの中で指定され、記憶部203に記憶されている。なお、第2リトライ機能の有効/無効は、第2監視動作を指示するコマンドとは別に指定してもよい。
【0072】
第2リトライ機能が有効である場合(ステップS34でYES)、機械制御部20aは、記憶部203に記憶されている第2カウンタC2をC2+1に書き換える(ステップS35)。そして、書き換えた後の第2カウンタC2が第2リトライ設定数以下であるか否かを判定する(ステップS36)。第2リトライ設定数は、第2監視動作を指示するコマンドの中で指定され、記憶部203に記憶されている。なお、第2リトライ設定数は、第2監視動作を指示するコマンドとは別に指定してもよい。
【0073】
第2カウンタC2が第2リトライ設定数以下である場合(ステップS36でYES)、コレットチャック251の開閉機構および主軸アクチュエータ254などのコレットチャック251の開閉に関する構成要素および送り矢駆動機構45や送り矢エンコーダ461などの送り矢44に関する構成要素が故障していないかを確認するために以下に説明するステップS37とステップS38の動作を実行する。コレットチャック251の開閉に関する構成要素または送り矢44に関する構成要素などが故障していなければ、主軸25に棒材Wを把持をさせている状態で主軸25をZ1軸方向に移動させても意図した動作を行うため問題は生じない。しかし、故障している場合は、機械制御部20aが主軸25に把持を指令した状態において、主軸25を移動させると、主軸25と棒材WとのZ1軸方向の移動にズレが生じて棒材Wが予期しない動きをして棒材WとNC旋盤の構成要素が衝突してしまう虞がある。このため、主軸25に棒材Wを把持をさせている状態で主軸25をZ1軸方向に長い距離移動させる前に、その状態では主軸25と棒材WがZ1軸方向に同一距離移動する正常な動作をするか否かをステップS37とステップS38によって確認している。ただし、ステップS37とステップS38の動作は省略してもよい。
【0074】
機械制御部20aは、主軸25に棒材Wを把持させて主軸25を微動させる(ステップS37)。なお、長尺製品の製造を行うなどで1サイクル内において掴みかえを実行する場合には背面主軸28が棒材Wの先端を把持していることがある。背面主軸28が棒材Wの先端を把持していた場合は、ステップS37で主軸25が棒材Wを把持した後、背面主軸28の把持を解除させてから主軸25を微動させる。そして、機械制御部20aは、主軸25が微動した際の、主軸25の移動距離と送り矢44の移動距離とが一致しているかを確認する(ステップS38)。主軸25の移動距離と送り矢44の移動距離とが一致している場合(ステップS38でYES)、機械制御部20aが主軸25に棒材Wを把持をさせている状態においては正常な動作をしている。従って、主軸25に棒材Wを把持をさせている状態で主軸25を長い距離移動させても問題は生じない。一方、一致していない場合(ステップS38でNO)は、コレットチャック251の開閉に関する構成要素または送り矢44に関する構成要素などが故障している可能性が高い。従って、主軸25に棒材Wを把持をさせている状態で主軸25を長い距離移動させると棒材WとNC旋盤の構成要素が衝突してしまう虞がある。
【0075】
第2リトライ機能が無効である場合(ステップS34でNO)、第2カウンタC2が第2リトライ設定数を超えている場合(ステップS36でNO)または主軸25が微動した際、主軸25の移動距離と送り矢44の移動距離とが一致していない場合(ステップS38でNO)、機械制御部20aは、主軸25、第1刃物台27、送り矢44等の旋盤システム1における各駆動部の動作を停止させて、掴みかえが失敗した旨を旋盤表示画面242に表示する(ステップS39)。なお、ステップS39において旋盤表示画面242に表示する内容は、ステップS34でNOの場合、ステップS36でNOの場合、ステップS38でNOの場合それぞれで表示内容を異ならせてもよい。例えば、ステップS34でNOの場合は主軸25の把持解除が失敗した旨を表示し、ステップS36でNOの場合は第2リトライ数が所定数に達した旨を表示し、ステップS38でNOの場合は旋盤システム1の掴みかえに関する機構が故障している旨を表示してもよい。
【0076】
主軸25の移動距離と送り矢44の移動距離とが一致している場合(ステップS38でYES)、機械制御部20aは、実行している第2監視動作が次の加工を実行するための掴みかえ動作か否かを判定する(ステップS40)。この判定では、1サイクルの最初に実行されている掴みかえ動作であれば、次の加工を実行するための掴みかえ動作であると判定する。或いは、突切加工用の第1工具T1によって棒材Wが切り離された後の主軸25の把持解除状態での移動に伴う送り矢44の移動を監視する動作であれば次の加工を実行するための掴みかえ動作であると判定してもよい。なお、次の加工を実行するための掴みかえ動作である場合(ステップS40でYES)、通常は突切加工用の第1工具T1が棒材Wを先端側に移動させないためのストッパとして機能している。なお、突切加工用の第1工具T1とは別のストッパを第1刃物台27に取り付けて加工済み部分を切り離した後に、その別のストッパを棒材Wの先端が当接する位置に配置させても構わない。
【0077】
実行している第2監視動作が次の加工を実行するための掴みかえ動作である場合(ステップS40でYES)、機械制御部20aは、記憶部203に記憶されている主軸25移動開始前の送り矢44の位置に対してほんの少しだけ後端側に送り矢44が位置するまで主軸25を移動させる(ステップS41)。これにより、ストッパとして機能している突切加工用の第1工具T1との間にほんの少しだけ隙間をあけて棒材Wの先端が突切加工用の第1工具T1に対向した位置に配置される。
【0078】
その後、機械制御部20aは、主軸アクチュエータ254を制御して主軸25に把持解除動作と把持動作を実行させる(ステップS42)。ステップS32において主軸25の移動に伴って送り矢44が移動してしまう原因の1つとして、コレットチャック251の棒材Wへのくい込みがある。このくい込みが原因の場合、主軸25に把持解除動作と把持動作をさせることでコレットチャック251の棒材Wへのくい込みを解消できる可能性がある。なお、ステップS42では、把持解除動作と把持動作を各1回実行させているが、これらの動作を多数回実行させてもよい。くい込みが解消された場合、棒材Wは、送り矢44の付勢によってストッパとして機能している突切加工用の第1工具T1に先端が当接してその位置で停止する。
【0079】
次いで、機械制御部20aは、主軸25の把持を解除させてから掴みかえ位置へ向かって主軸25の移動を開始させる(ステップS43)。その移動開始と同時に、ステップS32に戻って監視を再開する。これらのステップS42及びステップS43が、第2リトライ処理の一例に相当する。
【0080】
実行している第2監視動作が次の加工を実行するための掴みかえ動作ではない場合(ステップS40でNO)は、1サイクル内において掴みかえ動作を実行している場合である。これは主軸25の移動可能距離を超えた長尺製品を製造する際に用いられる動作であり、背面主軸28内に棒材Wの先端部分を挿入して背面主軸28が棒材Wの先端部分を把持した状態で実施される掴みかえ動作である。この場合、機械制御部20aは、ステップS37で把持を解除させた背面主軸28に再度棒材Wを把持させた後、主軸25に把持解除動作と把持動作を実行させる(ステップS44)。このステップS44では、背面主軸28によって棒材Wの移動を防止した上で、主軸25に把持解除動作と把持動作を実行させることでコレットチャック251の棒材Wへのくい込みを解消できる可能性がある。
【0081】
続いて、機械制御部20aは、加工を最初から再実行するのか、加工を継続するのかを判定する(ステップS45)。この選択は、第2監視動作を指示するコマンドの中で指定され、記憶部203に記憶されている。なお、この選択は、第2監視動作を指示するコマンドとは別に指定してもよい。
【0082】
ステップS45で加工を最初から再実行すると判定した場合、機械制御部20aは、送り矢44のズレ量からその時点で既に加工を実施済みの加工済み部分の全部を切り離すための主軸25と背面主軸28の位置を演算する。そして、その位置に主軸25と背面主軸28を同期移動させて加工済み部分を突切加工用の第1工具T1を用いて切り離させる(ステップS46)。また、機械制御部20aは、背面主軸28に把持を解除させ、背面主軸28に設けられたシリンダーを用いて切り離された加工済み部品を背面主軸28から押し出させる。これにより、その加工済み部品は落下し、切り屑受入部221に排出される。
【0083】
その後、機械制御部20aと異常判定部20bは、第2監視動作を終了する。そして、機械制御部20aは、加工プログラムにおける1サイクルの先頭から再度処理を実行する(ステップS47)。
【0084】
ステップS45で加工を継続すると判定した場合、機械制御部20aは、送り矢44のズレ量を考慮して主軸25と背面主軸28の移動位置を演算する(ステップS48)。例えば、主軸25の移動位置は、記憶部203に記憶されている主軸25移動開始前の送り矢44の位置とステップS48の開始時点の送り矢44の位置との差分だけ掴みかえ位置をシフトさせた位置である。背面主軸28の移動位置は、掴みかえ開始時の位置からその差分だけシフトさせた位置である。
【0085】
そして、機械制御部20aは、背面主軸28の把持を解除させてから演算した移動位置まで背面主軸28を移動させた後、背面主軸28によって棒材Wを把持させる(ステップS49)。次いで、主軸25の把持を解除させてから演算した移動位置への主軸25移動を開始させる(ステップS50)。その移動開始と同時に、ステップS32に戻って監視を再開する。これらのステップS44~S50も第2リトライ処理の一例に相当する。
【0086】
以上説明した旋盤システム1によれば、異常判定部20bが、送り矢44の移動を監視することで、Z1軸方向の位置異常の発生を早期に判定できる。特に、異常判定部20bは、加工動作中には主軸25のZ1軸方向への移動に対する送り矢44のZ1軸方向の移動を随時監視しているので、加工動作中に第1の異常が発生したことを判定できる。第1の異常が発生した場合、加工中に棒材Wと主軸25との間で滑りが生じてその時点までに加工した加工済み部分は意図しない形状に加工されている。また、主軸25が把持している棒材Wの位置がズレてしまっている。このため、そのまま加工を継続すると第1工具T1が想定外の位置で棒材Wと接触して第1工具T1に過度な負担がかかったり、第1工具T1の刃先以外の部位が棒材Wと接触して工作機械システムが破損してしまう虞がある。以上説明した旋盤システム1では、第1の異常の発生を加工動作中に随時判定しているので、第1工具T1への過度な負荷や工作機械システムの破損を防止できる。加えて、異常を早期に判定することで、加工時間や棒材Wの無駄を抑制できる。
【0087】
さらに、第1リトライ処理を実行することで、加工が停止してしまう虞を低減できる。これにより、特に夜間などオペレータが長時間この旋盤システム1の近くにいない場合に製品の製造数が大幅に低下してしまう可能性を低下させることができる。加えて、第1リトライ処理において、意図しない形状に加工された不良品である加工済み部分を切り離すので、不良品に対して無用な加工をすることが防止されて加工時間や加工に係るエネルギーの無駄な消費を防止でき、棒材Wの無駄遣いを抑制できる。また、第1の異常が発生したときに不良品である加工済み部分を切り屑受入部221に排出するので、不良品と良品とが混在してしまうことを防止できる。
【0088】
また、第2の異常の発生を判定することで、前記主軸の掴みかえにおいて異常が発生したことを判定できる。これにより、掴みかえに失敗した状態で次の加工を開始することを防止できる。特に、異常判定部20bは、掴みかえ動作中には送り矢44のZ1軸方向の移動を随時監視しているので掴みかえにおいて第2の異常が発生したことを早期にすることができる。早期に判定することで、第2の異常の発生後に掴みかえ動作を継続するといった無駄な動作をすることがなく、加工時間や加工に係るエネルギーの無駄な消費を防止できる。そして、第2リトライ処理を実行することで、加工が停止してしまう虞を低減できる。これにより、特に夜間などオペレータが長時間この旋盤システム1の近くにいない場合に製品の製造数が大幅に低下してしまう可能性を低下させることができる。
【0089】
次に、第2実施形態の旋盤システム1について説明する。これより後の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0090】
図8は、第2実施形態の旋盤システムにおける内部構成を簡易的に示す平面図である。
【0091】
図8に示す旋盤システム1は、先の実施形態に示した旋盤システム1とは主軸25を支持している主軸台が固定され、第1刃物台27がZ1軸方向にも移動可能に構成されている点が先の実施形態と異なる。図8に示す主軸25は、X1軸方向、Y1軸方向およびZ1軸方向の全てに移動不能に固定されている。なお、先の実施形態と同様に、主軸25は、棒材Wを把持して主軸中心線CLを中心として回転可能である。一方、第1刃物台27は、X1軸方向、Y1軸方向およびZ1軸方向の全てに移動可能に構成されている。つまり、図3に示したZ1軸モータ252は、第1刃物台27を移動させるモータとして作用している。また、図8に示す旋盤システム1は、第1監視動作に代えて第3監視動作を行い、第2監視動作に代えて第4監視動作を行う点でも先の実施形態に示した旋盤システム1と異なる。
【0092】
図9は、図8に示した旋盤システムの第3監視動作を示すフローチャートである。図9に示す第3監視動作は、主に図4に示した機械制御部20aと異常判定部20bが旋盤システム1の動作を制御することによって実行される動作である。詳細には、記憶部203に記憶されたプログラムに基づいて機械制御部20aと異常判定部20bがこの動作に関連する演算や判定を実行する。そして、その演算結果や判定結果に基づいて機械制御部20aが、NC旋盤2の各構成要素の動作を制御し、また第2制御装置40に動作要求を送信する。
【0093】
第3監視動作は、加工プログラムに記述された第3監視動作を指示するコマンドが実行されることで開始される。この第3監視動作を指示するコマンドが判定開始コマンドの一例に相当する。第3監視動作は、主軸25を用いた加工時に使用される監視動作である。第3監視動作では、機械制御部20aは記憶部203に記憶されている第3カウンタC3を0にする(S61)。その後、異常判定部20bは、自身が把握している主軸25の把持情報と、送り矢位置把握部40bから受信した送り矢44の位置情報とから、主軸25が棒材Wを把持している状態において、送り矢44が移動していないか否かを監視する(ステップS62)。この監視について更に詳しく説明する。異常判定部20bは、第3監視動作の開始時に主軸25が棒材Wを把持していればそのときの送り矢44の位置を送り矢基準位置として記憶部203に記憶する。また、異常判定部20bは、第3監視動作の開始時に主軸25が棒材Wの把持を解除していれば、次に主軸25が棒材を把持した直後に送り矢44の位置を送り矢基準位置として記憶部203に記憶する。その後、異常判定部20bは、送り矢位置把握部40bから受信した送り矢44の位置情報から、主軸25が棒材Wの把持を継続している状態において、送り矢44が送り矢基準位置から移動していないか否かを監視する。そして、異常判定部20bは、送り矢44が移動した場合(ステップS62でNO)に第3の異常が発生したと判定する。なお、送り矢44の移動距離に閾値を設け、移動距離が完全にゼロでない場合でもその閾値内の移動距離であれば送り矢44が移動していないと判断するように構成してもよい。またその構成において、旋盤操作パネル24やNCプログラムによって閾値の指定や閾値の変更が可能にしてもよい。
【0094】
異常判定部20bは、送り矢44が移動していない場合(ステップS62でYES)、次に実行するコマンドが第3監視動作の終了を指示するコマンドであるか否かを判定する(ステップS63)。この第3監視動作の終了を指示するコマンドが、判定終了コマンドの一例に相当する。第3監視動作の終了を指示するコマンドである場合(ステップS63でYES)、第3監視動作を終了する。第3監視動作の終了を指示するコマンドでない場合(ステップS63でNO)、ステップS62に戻って引き続き監視を継続する。ステップS62とステップS63を繰り返すことで、加工時にステップS62の判定が随時実行される。なお、ステップS63において、第3監視動作の終了を指示するコマンドであるか否かを判定することに代えて、1サイクルの加工のうち主軸25を用いた加工が完了したか否かを判定してもよく、主軸25による棒材Wの把持を解除するコマンドが実行されたか否かを判定してもよい。
【0095】
送り矢44が移動した場合(ステップS62でNO)、機械制御部20aは、第3リトライ機能が有効になっているか否かを判定する(ステップS64)。第3リトライ機能の有効/無効は、第3監視動作を指示するコマンドの中で指定され、記憶部203に記憶されている。なお、第3リトライ機能の有効/無効は、第3監視動作を指示するコマンドとは別に指定してもよい。
【0096】
第3リトライ機能が有効である場合(ステップS64でYES)、機械制御部20aは、記憶部203に記憶されている第3カウンタC3をC3+1に書き換える(ステップS65)。そして、書き換えた後の第3カウンタC3が第3リトライ設定数以下であるか否かを判定する(ステップS66)。第3リトライ設定数は、第3監視動作を指示するコマンドの中で指定され、記憶部203に記憶されている。なお、第3リトライ設定数は、第3監視動作を指示するコマンドとは別に指定してもよい。
【0097】
第3カウンタC3が第3リトライ設定数以下である場合(ステップS66でYES)、機械制御部20aは、ステップS62の監視の結果得られた送り矢基準位置からの送り矢44の移動距離と、その時点で既に加工を実施済みの加工済み部分の長さからその加工済み部分の全部を切り離すことができる第1刃物台27のZ1軸方向の位置を演算する。そして、機械制御部20aは、その位置に第1刃物台27を移動させて突切加工用の第1工具T1を用いて加工済み部分を切り離させる(ステップS67)。なお、加工済み部分が主軸内部に入り込んでいる場合、機械制御部20aは、主軸25に把持を解除させ、加工済み部分が主軸25から先端側に突出する位置まで送り矢44を前進させるように第2制御装置40に動作要求を送信する。そして、送り矢44の前進が完了したら、主軸25に棒材Wを把持させて突切加工用の第1工具T1を用いて加工済み部分を切り離させる。
【0098】
主軸25が棒材Wを把持している状態で送り矢44が移動した場合、加工中に棒材Wと主軸25のコレットチャック251との間でZ1軸方向の滑りが生じたことになる。その場合、その時点までに加工した加工済み部分は、意図しない形状の不良品になっている。このステップS67においては、背面主軸28が加工済み部分を把持しない状態で加工済み部分を切り離すため、切り離された加工済み部品は落下して切り屑受入部221に排出される。その後、機械制御部20aは、加工プログラムにおける1サイクルの先頭から再度処理を実行する(ステップS68)。これらのステップS67及びステップS68が、第3リトライ処理の一例に相当する。
【0099】
一方、第3リトライ機能が無効である場合(ステップS64でNO)または第3カウンタC3が第3リトライ設定数を超えている場合(ステップS66でNO)、機械制御部20aは、第1工具T1が棒材Wから離間するように第1刃物台27を移動させた後、主軸25、第1刃物台27、送り矢44等の旋盤システム1における各駆動部の動作を停止させて、送り矢44が加工中に移動した旨を旋盤表示画面242に表示する(ステップS69)。なお、ステップS69において、第1制御装置20は、第1刃物台27を移動させずに各駆動部の動作を停止させてもよい。
【0100】
図10は、図8に示した旋盤システムの第4監視動作を示すフローチャートである。図10に示す第4監視動作も、第3監視動作と同様に主に図4に示した機械制御部20aと異常判定部20bによって実行される動作である。詳細には、記憶部203に記憶されたプログラムに基づいて機械制御部20aと異常判定部20bがこの動作に関連する演算や判定を実行する。そして、その演算結果や判定結果に基づいて機械制御部20aが、NC旋盤2の各構成要素の動作を制御し、また第2制御装置40に動作要求を送信する。
【0101】
第4監視動作は、加工プログラムに記述された第4監視動作を指示するコマンドが実行されることで開始される。この第4監視動作を指示するコマンドが判定開始コマンドの一例に相当する。第4監視動作は、主軸25による棒材Wの掴みかえ時に使用される監視動作である。図8に示した旋盤システム1では、棒材Wの掴みかえは、主軸25が棒材の把持を解除した状態で送り矢44を前進させた後、主軸25が棒材を再度把持することによって実行される。なお、掴みかえでは、事前に突切加工用の第1工具T1は退避して棒材Wは先端側に移動自在になっている。第4監視動作では、まず、機械制御部20aが記憶部203に記憶されている第4カウンタC4を0にする(ステップS81)。そして、機械制御部20aが第2制御装置40に送り矢44を前進させる動作要求を送信するのと同時に、異常判定部20bは、送り矢位置把握部40bから受信した送り矢44の位置情報を用いて、主軸25に棒材Wの把持を解除させている状態において送り矢44が動作要求どおりに移動したか否かを監視する(ステップS82)。この監視について更に詳しく説明する。異常判定部20bは、機械制御部20aからの動作要求に応じて送り矢制御部40aが送り矢44を前進させようとして送り矢モータ46を駆動したときの送り矢位置把握部40bから受信した送り矢44の位置を監視する。そして、異常判定部20bは、送り矢44が移動しない場合に(ステップS82でNO)に第4の異常が発生したと判定する。なお、異常判定部20bは、機械制御部20aから第2制御装置40に要求した位置まで送り矢44が所定時間内に移動しない場合に送り矢44が移動しないとして第4の異常が発生したと判定してもよい。
【0102】
異常判定部20bは、送り矢44が移動した場合(ステップS82でYES)、次に実行するコマンドが第4監視動作の終了を指示するコマンドであるか否かを判定する(ステップS83)。この第4監視動作の終了を指示するコマンドが、判定終了コマンドの一例に相当する。第4監視動作の終了を指示するコマンドである場合(ステップS83でYES)、第4監視動作を終了する。第4監視動作の終了を指示するコマンドでない場合(ステップS83でNO)、ステップS82に戻って引き続き監視を継続する。なお、ステップS83において、第4監視動作の終了を指示するコマンドであるか否かを判定することに代えて、要求した位置まで送り矢44が移動したか否かを判定してもよく、主軸25に棒材Wを把持させるコマンドが実行されたか否かを判定してもよい。ステップS82とステップS83を繰り返すことで、掴みかえ時にステップS82の判定が随時実行される。
【0103】
送り矢44が移動しなかった場合(ステップS82でNO)、機械制御部20aは、第4リトライ機能が有効になっているか否かを判定する(ステップS84)。第4リトライ機能の有効/無効は、第4監視動作を指示するコマンドの中で指定され、記憶部203に記憶されている。なお、第4リトライ機能の有効/無効は、第4監視動作を指示するコマンドとは別に指定してもよい。また、ステップS84の判定と同時に、機械制御部20aは、送り矢44の移動を停止させる動作要求を第2制御装置40に送信する。
【0104】
第4リトライ機能が有効である場合(ステップS84でYES)、機械制御部20aは、記憶部203に記憶されている第4カウンタC4をC4+1に書き換える(ステップS85)。そして、書き換えた後の第4カウンタC4が第4リトライ設定数以下であるか否かを判定する(ステップS86)。第4リトライ設定数は、第4監視動作を指示するコマンドの中で指定され、記憶部203に記憶されている。なお、第4リトライ設定数は、第4監視動作を指示するコマンドとは別に指定してもよい。
【0105】
第4リトライ機能が無効である場合(ステップS84でNO)または第4カウンタC4が第4リトライ設定数を超えている場合(ステップS86でNO)、機械制御部20aは、主軸25、第1刃物台27、送り矢44等の旋盤システム1における各駆動部の動作を停止させて、掴みかえが失敗した旨を旋盤表示画面242に表示する(ステップS87)。なお、ステップS87において旋盤表示画面242に表示する内容は、ステップS84でNOの場合とステップS86でNOの場合とで表示内容を異ならせてもよい。例えば、ステップS84でNOの場合は主軸25の把持解除が失敗した旨を表示し、ステップS86でNOの場合は第4リトライ数が所定数に達した旨を表示してもよい。
【0106】
第4カウンタC4が第4リトライ設定数以下の場合(ステップS86でYES)、機械制御部20aは、主軸アクチュエータ254を制御して主軸25に把持解除動作と把持動作を実行させる(ステップS88)。ステップS82において送り矢44が移動できない原因が、コレットチャック251の棒材Wへのくい込みである場合、主軸25に把持解除動作と把持動作をさせることでそのくい込みを解消できる可能性がある。なお、ステップS88では、把持解除動作と把持動作を各1回実行させているが、これらの動作を多数回実行させてもよい。
【0107】
次いで、機械制御部20aは、主軸25の把持を解除させてから第2制御装置40に送り矢44の移動を開始させる動作要求を送信する(ステップS89)。その動作要求の送信と同時に、ステップS82に戻って監視を再開する。これらのステップS88及びステップS89が、第4リトライ処理の一例に相当する。
【0108】
この第2実施形態の旋盤システム1においても、異常判定部20bが、送り矢44の移動を監視することで、Z1軸方向の位置異常の発生を早期に判定できる。特に、第3の異常の発生を加工動作中に随時判定することで、第1工具T1への過度な負荷や工作機械システムの破損を防止できる。加えて、異常を早期に判定することで、加工時間や棒材Wの無駄を抑制できる。
【0109】
さらに、第3リトライ処理を実行することで、加工が停止してしまう虞を低減できる。これにより、特に夜間などオペレータが長時間この旋盤システム1の近くにいない場合に製品の製造数が大幅に低下してしまう可能性を低下させることができる。加えて、第3リトライ処理において、意図しない形状に加工された不良品である加工済み部分を切り離すので、不良品に対して無用な加工をすることが防止されて加工時間や加工に係るエネルギーの無駄な消費を防止でき、棒材Wの無駄遣いを抑制できる。また、第3の異常が発生したときに不良品である加工済み部分を切り屑受入部221に排出するので、不良品と良品とが混在してしまうことを防止できる。
【0110】
また、第4の異常の発生を判定することで、前記主軸の掴みかえにおいて異常が発生したことを判定できる。これにより、掴みかえに失敗した状態で次の加工を開始することを防止できる。特に、異常判定部20bは、掴みかえ動作中には送り矢44のZ1軸方向の移動を随時監視しているので掴みかえにおいて第4の異常が発生したことを早期にすることができる。早期に判定することで、第4の異常の発生後にも掴みかえ動作を継続するといった無駄な動作をすることがなく、加工時間や加工に係るエネルギーの無駄な消費を防止できる。そして、第4リトライ処理を実行することで、加工が停止してしまう虞を低減できる。これにより、特に夜間などオペレータが長時間この旋盤システム1の近くにいない場合に製品の製造数が大幅に低下してしまう可能性を低下させることができる。
【0111】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことができる。たとえば、本実施形態の説明では、第1監視動作を指示するコマンドと第2監視動作を指示するコマンドを設ける例を用いたが、これらを統合した監視コマンドを設けてもよい。そして、その監視コマンドの実行中は、主軸25が棒材Wを把持している状態では第1監視動作を実行し、主軸25が棒材Wを把持解除している状態で給材機4が送り矢44を移動させているとき以外に第2監視動作を実行してもよい。またはその監視コマンドの実行中は、主軸25を用いた加工中は第1監視動作を実行し、掴みかえ動作中は第2監視動作を実行してもよい。また、コマンド以外に、旋盤操作パネル24からの入力によって第1監視動作と第2監視動作を実行するように構成してもよい。加えて、旋盤システム1の標準機能として第1監視動作と第2監視動作を自動的に実行するように構成してもよい。その場合、主軸25が棒材Wを把持しているときは第1監視動作を自動的に実施するようにしてもよく、主軸25が棒材Wの把持を解除して移動しているときは第2監視動作を自動的に実施するようにしてもよい。
【0112】
同様に、第3監視動作と第4監視動作の両方を同時に指示する監視コマンドを設けてもよい。そして、その監視コマンドの実行中は、主軸25が棒材Wを把持している状態では第3監視動作を実行し、主軸25が棒材Wを把持解除している状態で給材機4が送り矢44を移動させているときは第4監視動作を実行してもよい。またはその監視コマンドの実行中は、主軸25を用いた加工中は第3監視動作を実行し、掴みかえ動作中は第4監視動作を実行してもよい。また、コマンド以外に、旋盤操作パネル24からの入力によって第3監視動作と第4監視動作を実行するように構成してもよい。加えて、旋盤システム1の標準機能として第3監視動作と第4監視動作を自動的に実行するように構成してもよい。その場合、主軸25が棒材Wを把持しているときは第3監視動作を自動的に実施するようにしてもよく、主軸25が棒材Wの把持を解除した状態で給材機4が送り矢44を移動させているときは第4監視動作を自動的に実施するようにしてもよい。
【0113】
なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 旋盤システム(工作機械システム)
25 主軸
44 送り矢
20a 機械制御部
20b 異常判定部
W 棒材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10