(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053856
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】衣類乾燥装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240409BHJP
D06F 33/06 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
D06F58/02 K
D06F33/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160318
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】本村 隆行
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA04
3B166AB23
3B166AB30
3B166AB32
3B166AE02
3B166AE05
3B166AE07
3B166BA55
3B166BA69
3B166BA72
3B166CA01
3B166CA11
3B166DB03
3B166DB18
3B166DC12
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE02
3B166DE04
3B166EA03
3B166EA14
3B166EA18
3B166EB03
3B166EB17
3B166ED01
3B166ED02
3B166ED05
3B166GA02
3B166GA12
3B166GA22
3B166JM03
3B167AA02
3B167AA04
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB32
3B167AE02
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA55
3B167BA69
3B167BA72
3B167JA43
3B167LA23
3B167LC30
3B167LD15
3B167LE10
3B167LG08
(57)【要約】
【課題】本実施形態は、乾燥フィルターのメンテナンスを行うことをユーザに一層促すことができるようにした衣類乾燥装置を提供する。
【解決手段】衣類乾燥装置は、衣類が収容される衣類収容槽と、衣類収容槽内の空気を循環させる循環風路と、循環風路に着脱可能に設けられ、循環風路内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する乾燥フィルターと、循環風路を介して衣類収容槽内の空気を循環させることにより衣類収容槽内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行する乾燥運転実行部と、循環風路に取り付けられている乾燥フィルターを、循環風路から取り外す方向に移動させる乾燥フィルター移動部と、を備え、乾燥フィルター移動部は、乾燥運転を終了すると乾燥フィルターを循環風路から取り外す方向に移動させるとともに、乾燥フィルターが循環風路に取り付けられる方向に移動することを阻止する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置全体の外郭を構成する装置本体部と、
前記装置本体部内に設けられ、衣類が収容される衣類収容槽と、
前記衣類収容槽内の空気を循環させる循環風路と、
前記循環風路に着脱可能に設けられ、前記循環風路内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する乾燥フィルターと、
前記循環風路を介して前記衣類収容槽内の空気を循環させることにより前記衣類収容槽内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行する乾燥運転実行部と、
前記循環風路に取り付けられている前記乾燥フィルターを、前記循環風路から取り外す方向に移動させる乾燥フィルター移動部と、
を備え、
前記乾燥フィルター移動部は、前記乾燥運転実行部が前記乾燥運転を終了すると、前記乾燥フィルターを前記循環風路から取り外す方向に移動させるとともに、前記乾燥フィルターが前記循環風路に取り付けられる方向に移動することを阻止する衣類乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥フィルターを前記循環風路に取り付けるために、使用者が前記乾燥フィルターを前記循環風路に取り付ける方向に移動させる第1操作と、前記第1操作とは異なる第2操作が必要である請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項3】
前記乾燥フィルターは、前記循環風路内を流れる空気が流入する開口部を備え、
前記乾燥フィルター移動部が前記乾燥フィルターを前記循環風路から取り外す方向に移動させることにより、前記開口部が使用者により視認可能な状態が形成される請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項4】
前記開口部は、前記乾燥フィルターの前部に設けられており、
前記乾燥フィルター移動部は、前記乾燥フィルターの前部を前記循環風路から取り外す方向に移動させる請求項3に記載の衣類乾燥装置。
【請求項5】
前記乾燥フィルターは、前記循環風路に取り付けられた状態で前記装置本体部の表面の一部を形成する表面形成部を備え、
前記開口部は、前記装置本体部の表面および前記表面形成部の表面とは異なる色である請求項3に記載の衣類乾燥装置。
【請求項6】
前記循環風路内を流れる空気の一部を排出する排気ダンパーを備え、
前記排気ダンパーは、前記乾燥運転が実行されていない状態において開状態に切り換えられることにより、前記循環風路を介して前記衣類収容槽内に外気が流入可能な状態を形成する請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているドラム式の洗濯乾燥機は、衣類を乾燥する衣類乾燥装置の一例であり、衣類が収容される水槽と、水槽内の空気を循環させる循環風路と、循環風路に着脱可能に設けられている乾燥フィルターと、を備えている。循環風路に取り付けられた状態の乾燥フィルターは、水槽内の衣類を乾燥する乾燥運転時において、循環風路内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する。異物は、例えば衣類から発生した糸くずや塵埃などである。
【0003】
この種の衣類乾燥装置においては、乾燥フィルター内において異物が蓄積して目詰まりなどが発生すると、循環風路を介した空気の循環効率が低下し、ひいては、衣類の乾燥効率が低下して乾燥運転の所要時間が延びてしまうおそれがある。そのため、従来の衣類乾燥装置では、乾燥フィルターのメンテナンスを行うことをユーザに促すための表示出力や音声出力を、乾燥運転の終了後に実行するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、乾燥フィルターのメンテナンスを行うことを表示出力や音声出力によりユーザに促したとしても、ユーザがメンテナンスを行わない場合もあり、このような場合には、衣類の乾燥効率が低い状態のまま衣類乾燥装置が使用されてしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本実施形態は、乾燥フィルターのメンテナンスを行うことをユーザに一層促すことができるようにした衣類乾燥装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る衣類乾燥装置は、装置全体の外郭を構成する装置本体部と、前記装置本体部内に設けられ、衣類が収容される衣類収容槽と、前記衣類収容槽内の空気を循環させる循環風路と、前記循環風路に着脱可能に設けられ、前記循環風路内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する乾燥フィルターと、前記循環風路を介して前記衣類収容槽内の空気を循環させることにより前記衣類収容槽内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行する乾燥運転実行部と、前記循環風路に取り付けられている前記乾燥フィルターを、前記循環風路から取り外す方向に移動させる乾燥フィルター移動部と、を備え、前記乾燥フィルター移動部は、前記乾燥運転実行部が前記乾燥運転を終了すると、前記乾燥フィルターを前記循環風路から取り外す方向に移動させるとともに、前記乾燥フィルターが前記循環風路に取り付けられる方向に移動することを阻止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図2】本実施形態に係る循環風路の構成例を概略的に示す図
【
図3】本実施形態に係る洗濯乾燥機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
【
図4】本実施形態に係る乾燥フィルターおよび乾燥フィルター収容部の構成例を概略的に示すものであって、乾燥フィルターが取り外された状態を例示する斜視図
【
図5】本実施形態に係る乾燥フィルター収容部およびその周辺部分の構成例を概略的に示す斜視図
【
図6】本実施形態に係る乾燥フィルターが取り付けられた状態を例示する平面図
【
図7】本実施形態に係る乾燥フィルターが取り外された乾燥フィルター収容部の状態を例示する平面図
【
図8】本実施形態に係る乾燥フィルターが取り付けられた状態および取り外された状態を例示する縦断面図
【
図9】本実施形態に係る乾燥フィルターおよび乾燥フィルター収容部の構成例を概略的に示すものであって、乾燥フィルターが取り付けられた状態を例示する縦断側面図
【
図10】本実施形態に係る乾燥フィルターおよび乾燥フィルター収容部の構成例を概略的に示すものであって、乾燥フィルターが取り外された状態を例示する縦断側面図
【
図11】本実施形態に係る持ち上げ部の構成例を概略的に示す縦断面図
【
図12】本実施形態に係る洗濯乾燥機の上部の構成例を概略的に示す斜視図
【
図13】本実施形態に係る排気ダンパーの開状態および閉状態を概略的に示す斜視図
【
図14】本実施形態の変形例に係る乾燥フィルターおよび乾燥フィルター収容部の構成例を概略的に示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、衣類乾燥装置に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に例示する洗濯乾燥機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、衣類を洗う洗い処理、衣類をすすぐすすぎ処理、衣類を脱水する脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。洗濯乾燥機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、衣類を乾燥する乾燥処理を施すことが可能な衣類乾燥装置の一例でもある。
【0010】
洗濯乾燥機1は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱2の内部に、衣類処理槽3を備えている。衣類処理槽3は、例えば洗い処理、すすぎ処理、脱水処理、乾燥処理などといった各種の処理の対象である図示しない衣類を収容可能に構成されている。外箱2は、装置本体部の一例であり、衣類処理槽3は、衣類収容槽の一例である。衣類処理槽3内には、回転槽の一例である図示しないドラムが回転可能に設けられている。ドラムの回転中心軸は、水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びている。ドラムは、衣類処理槽3の背面に設けられているドラムモータ3mにより回転する構成である。
【0011】
衣類処理槽3の前面開口部3cは、外箱2の前面に設けられているドア4によって開閉可能に構成されている。使用者は、ドア4を開くことにより、衣類処理槽3の前面開口部3cを通して当該衣類処理槽3内に衣類を出し入れすることができる。衣類処理槽3は、衣類に乾燥処理を施す乾燥運転においては、衣類が収容される衣類収容槽として機能し、且つ、衣類を乾燥する衣類乾燥槽として機能する。
【0012】
洗濯乾燥機1は、衣類処理槽3内に水を供給するための給水部5、および、衣類処理槽3内の水を機外に排出するための排水部6を備えている。給水部5は、例えば水道などといった図示しない水源から衣類処理槽3に延びる給水経路7の途中に、周知の給水弁8や注水ケース9などを備えた構成である。排水部6は、衣類処理槽3の底部から機外に延びる排水経路10の途中に、周知の排水弁11などを備えた構成である。排水弁11が閉じられた状態で給水部5から衣類処理槽3内に水が供給されることにより、衣類処理槽3内に所定量の水が溜められる。排水弁11が開かれることにより、衣類処理槽3内の水が排水経路10を介して機外に排出される。
【0013】
排水経路10の途中には、排水弁11よりも上流側に周知の排水フィルター12が設けられている。排水フィルター12は、排水部6により衣類処理槽3内から排水経路10を介して機外に排出される水に含まれている異物を捕獲する。異物は、例えば衣類から発生した糸くずや塵埃などである。
【0014】
洗濯乾燥機1は、循環風路14を備えている。循環風路14は、衣類処理槽3の外部において、衣類処理槽3の空気流出口3aと空気流入口3bとの間を接続している。この場合、空気流出口3aは、衣類処理槽3の上面の前部に設けられている。また、空気流入口3bは、衣類処理槽3の背面の上部に設けられている。
【0015】
循環風路14の途中には、熱交換ダクト15が設けられている。熱交換ダクト15は、外箱2内の下部の後部において、当該外箱2の左右方向に沿うように設けられている。循環風路14の途中には、熱交換ダクト15よりも風上側に乾燥フィルター100が設けられている。循環風路14の途中部には乾燥フィルター収容部200が設けられている。乾燥フィルター100は、この乾燥フィルター収容部200内に着脱可能に設けられている。循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられた状態の乾燥フィルター100は、衣類処理槽3内の衣類を乾燥する乾燥運転時において、循環風路14内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する。異物は、例えば衣類から発生した糸くずや塵埃などである。
【0016】
図2に例示するように、洗濯乾燥機1は、ヒートポンプ機構16を備えている。ヒートポンプ機構16は、圧縮機17、凝縮器18、絞り器19、蒸発器20を冷媒管21によりサイクル接続した冷凍サイクルを構成している。このうち、熱交換器を構成する凝縮器18および蒸発器20は、循環風路14の一部を構成する熱交換ダクト15の内部に配置されている。
【0017】
循環風路14には、循環送風機22が備えられている。循環送風機22は、風発生部あるいは風圧発生部の一例として機能するものであり、衣類処理槽3内の空気を、循環風路14を通して循環させるものである。この循環送風機22が駆動されることにより、
図2に矢印Wで例示するように、衣類処理槽3内の空気は、空気流出口3aから循環風路14内に導入されて、空気流出口3a側である風上側から空気流入口3b側である風下側に向かって流れて、空気流入口3bから衣類処理槽3内に戻されるようになっている。即ち、循環送風機22が駆動されることにより、衣類処理槽3内の空気は、循環風路14を介して循環される。
【0018】
蒸発器20は、熱交換ダクト15内において、衣類処理槽3の空気流出口3a側、つまり、循環風路14内の風上側に配置されている。一方、凝縮器18は、熱交換ダクト15内において、衣類処理槽3の空気流入口3b側、つまり、循環風路14内の風下側に配置されている。即ち、循環風路14内、より詳細には熱交換ダクト15内において、蒸発器20は、凝縮器18よりも風上側つまり風が流れる方向における上流側に配置されている。換言すれば、循環風路14内、より詳細には熱交換ダクト15内において、凝縮器18は、蒸発器20よりも風下側つまり風が流れる方向における下流側に配置されている。
【0019】
蒸発器20は、除湿部の一例であり、循環風路14内を空気流出口3a側から空気流入口3b側、つまり、風上側から風下側に向かって流れる空気を冷却して除湿する除湿手段として機能する。一方、凝縮器18は、加熱部の一例であり、循環風路14内を空気流出口3a側から空気流入口3b側、つまり、風上側から風下側に向かって流れる空気を加熱する加熱手段として機能する。
【0020】
これら蒸発器20および凝縮器18が循環風路14内に設けられていることにより、循環風路14内を風上側から風下側に向かって流れる空気は、蒸発器20によって除湿され、且つ、凝縮器18によって加熱され、所定温度の温風として衣類処理槽3内に戻される。これにより、衣類処理槽3内に収容されている衣類を温風によって乾燥することができる。
【0021】
次に、洗濯乾燥機1の制御系の構成例について詳細に説明する。
図3に例示する制御装置30は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムや各種の設定情報などに基づいて洗濯乾燥機1の動作全般を制御可能である。制御装置30には、上述した給水弁8、排水弁11、圧縮機17、循環送風機22などが接続されている。また、制御装置30には、上述したドラムモータ3mが接続されている。制御装置30は、これら駆動系の構成要素の動作を制御することにより、洗濯乾燥機1の動作全般を制御して各種の運転を実行することが可能である。
【0022】
制御装置30は、制御プログラムを実行することにより、運転実行処理部31をソフトウェアにより仮想的に実現している。運転実行処理部31は、ハードウェアにより構成されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより構成されていてもよい。
【0023】
運転実行処理部31は、例えば給水弁8、排水弁11、ドラムモータ3mなどの動作を制御することにより、衣類を洗う洗い運転、衣類をすすぐすすぎ運転、衣類を脱水する脱水運転などといった各種の運転を実行可能である。運転実行処理部31は、例えば給水弁8、排水弁11、圧縮機17、循環送風機22、ドラムモータ3mなどの動作を制御することにより、衣類を乾燥する乾燥運転を実行可能である。乾燥運転では、運転実行処理部31は、循環送風機22を駆動することにより循環風路14を介して衣類処理槽3内の空気を循環させるとともに、圧縮機17を駆動して蒸発器20を冷却および凝縮器18を加熱することにより循環風路14内を流れる空気を除湿および加熱して温風として衣類処理槽3内に供給する。これにより、運転実行処理部31は、衣類処理槽3内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行する乾燥運転実行部として機能する。
【0024】
次に、循環風路14のうち乾燥フィルター100が着脱可能に装着される部分の構成例について詳細に説明する。
図4から
図10に例示するように、循環風路14は、乾燥フィルター100が着脱可能に装着される乾燥フィルター収容部200を備えている。乾燥フィルター収容部200は、上面が開放した概ね矩形箱状に形成されている。乾燥フィルター収容部200は、循環風路14の一部を構成している。
【0025】
図5,
図9,
図10に例示するように、乾燥フィルター収容部200の前面部には、空気流入口201が設けられている。空気流入口201は、循環風路14の風上側つまり衣類処理槽3の空気流出口3a側に連通している。よって、衣類処理槽3内から空気流出口3aを介して流出した空気は、当該空気流入口201から乾燥フィルター収容部200内に流入する。空気流入口201内は、縦方向および横方向に延びる仕切り部201aによって複数の空間に仕切られている。
【0026】
図7から
図10に例示するように、乾燥フィルター収容部200の後面部および下面部には、空気流出口202が設けられている。空気流出口202は、循環風路14の風下側つまり衣類処理槽3の空気流入口3b側に連通している。よって、空気流入口201から乾燥フィルター収容部200内に流入した空気は、当該空気流出口202から乾燥フィルター収容部200外つまり循環風路14の風下側に流出して空気流入口3bから衣類処理槽3内に流入する。空気流出口202内は、縦方向および横方向に延びる仕切り部202aによって複数の空間に仕切られている。
【0027】
図4,
図5,
図7から
図10に例示するように、乾燥フィルター収容部200の上部には、概ね矩形枠状に延出する棚部203が設けられている。棚部203の上面は、概ね平面状となっている。棚部203の上面は、前部および後部の面積が左部および右部の面積よりも大きくなっている。
【0028】
図5,
図7,
図8に例示するように、乾燥フィルター収容部200内には、持ち上げ部204が設けられている。持ち上げ部204は、複数、この場合、2つ設けられており、乾燥フィルター収容部200の左右の内側面に分散して配置されている。持ち上げ部204は、乾燥フィルター収容部200の前後方向における中央部よりも前側に配置されている。持ち上げ部204は、上下方向に直線状に延びている。2つの持ち上げ部204は、乾燥フィルター収容部200の左右方向において相互に対向するように配置されている。
【0029】
図11に例示するように、持ち上げ部204は、上下方向に直線状に延びる概ね筒状の本体部204a内に、スプリング204bおよび座面部品204cを備えている。座面部品204cは、スプリング204bの上端部に取り付けられている。スプリング204bは、本体部204a内において座面部品204cを上方向に付勢している。本体部204aは、乾燥フィルター収容部200の内壁面から内方に突出するように設けられており、その先端部は、滑らかな円弧形状となっている。本体部204aの先端部には、上下方向に直線状に延びるスリット204dが形成されている。スリット204dは、本体部204aの上端部から当該本体部204aの上下方向における中央部よりも低い高さ位置まで延びている。
【0030】
一方、
図4に例示するように、乾燥フィルター100は、概ね矩形箱状に形成されているフィルター本体部101と、当該フィルター本体部101の上部に設けられている概ね矩形板状のフィルターパネル部102と、を備えている。
【0031】
フィルター本体部101の前部には、開口部101aが設けられている。開口部101aは、概ね矩形状に開口しており、当該開口部101a内には仕切り部が設けられていない。即ち、開口部101aは、複数の空間に仕切られていない単一の開口を形成している。
【0032】
図9に例示するように、乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に装着された状態では、フィルター本体部101の開口部101aは、乾燥フィルター収容部200の空気流入口201に対向する。よって、衣類処理槽3内から乾燥フィルター収容部200内に流入した空気は、当該開口部101aからフィルター本体部101内に流入する。
【0033】
フィルター本体部101の後面部および下面部には、フィルター機能部101bが設けられている。フィルター機能部101bは、所定の細かいメッシュサイズの網状の部材により構成されている。乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に装着された状態では、フィルター本体部101のフィルター機能部101bは、乾燥フィルター収容部200の空気流出口202に対向する。よって、フィルター本体部101内に流入した空気は、当該フィルター機能部101bから乾燥フィルター収容部200外つまり循環風路14の風下側に流出する。
【0034】
このとき、フィルター機能部101bは、当該フィルター機能部101bを通過する空気に含まれている異物を捕獲して循環風路14の風下側に流出することを阻止する。フィルター機能部101bにより捕獲された異物は、フィルター本体部101内に蓄積される。
【0035】
図4および
図8に例示するように、フィルター本体部101の左右の外側面には、それぞれ複数のリブ101cが設けられている。リブ101cは、上下方向に直線状に延びている。リブ101cは、フィルター本体部101の上端部から当該フィルター本体部101の上下方向における中央部よりも低い高さ位置まで延びている。
【0036】
リブ101cは、フィルター本体部101の左右の外側面に、それぞれ3つずつ設けられている。このうち、乾燥フィルター100の前後方向における最前側のリブ101cは、乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に装着された状態で、上述した持ち上げ部204のスリット204d内に挿入されるようになっている。
【0037】
図8に例示するように、乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に取り付けられることに伴い、持ち上げ部204のスリット204d内にリブ101cが上方から挿入される。また、持ち上げ部204のスリット204d内に挿入されたリブ101cの下端部は、座面部品204cの上面に当接する。そして、持ち上げ部204のスリット204d内においてリブ101cが上方から下方に移動することに伴い、当該リブ101cの下端部により座面部品204cがスプリング204bの付勢力に抗しながら下方に押し込まれて、当該スプリング204bが定常状態から圧縮された状態となる。これにより、乾燥フィルター収容部200内に取り付けられた乾燥フィルター100は、圧縮されたスプリング204bが定常状態に復帰しようとする復帰力を受けて、乾燥フィルター収容部200内から取り外される方向、この場合、上方向に付勢された状態となる。
【0038】
図9および
図10に例示するように、乾燥フィルター収容部200の後部には、ロック装置300が設けられている。ロック装置300は、周知のソレノイド301によりロック部材302を前後方向に移動させる構成である。
【0039】
図9に例示するように、ロック装置300は、乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に装着された状態でロック部材302を前方に移動させることにより、当該ロック部材302の先端部を乾燥フィルター100の被係止部105に後方から係止させる。これにより、ロック装置300は、スプリング204bの復帰力を受けて上方向に付勢されている乾燥フィルター100が上方向に移動してしまうことを阻止する。被係止部105は、乾燥フィルター100のうちフィルター本体部101の後部の上部、換言すれば、フィルターパネル部102の後部の下部に位置して設けられている。
【0040】
図10に例示するように、ロック装置300は、ロック部材302を後方に移動させることにより、当該ロック部材302の先端部が乾燥フィルター100の被係止部105に係止した状態を解除する。これにより、ロック装置300は、乾燥フィルター100が上方向に移動してしまうことを阻止する状態を解除する。そして、ロック装置300によるロックが解除された乾燥フィルター100は、スプリング204bの復帰力を受けて上方向に飛び出すように移動する。なお、スプリング204bの復帰力が強過ぎると、ロック装置300によるロックが解除されるとともに乾燥フィルター100が勢い良く上方向に飛び出してしまうことが懸念される。そのため、洗濯乾燥機1は、使用するスプリング204bの復帰力を適宜調整することにより、乾燥フィルター100が適度な勢いで緩やかに上方向に移動するように構成するとよい。
【0041】
ロック装置300によるロック部材302の移動の制御は、上述した制御装置30によって行われる。制御装置30は、ロック装置300がロック部材302を後方に移動させた状態で、使用者が手動により乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられる方向、この場合、下方向に押し込むように移動させ、且つ、使用者が手動により所定操作、例えば運転開始の操作を入力すると、ロック装置300を駆動してロック部材302を前方に移動させて被係止部105に係止した状態を形成する。これにより、乾燥フィルター100が循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられた状態で固定される。ロック装置300がロック部材302を前方に移動させた状態、換言すれば、ロック部材302の先端部が被係止部105に係止した状態は、所定状態の一例として定義することができる。使用者は、例えば外箱2の前面上部に設けられている図示しない操作パネルを介して運転開始の操作を入力することができる。
【0042】
なお、所定状態は、ロック装置300がロック部材302を前方に移動させた状態、あるいは、ロック部材302の先端部が被係止部105に係止した状態に限られず、乾燥フィルター100が循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられた状態を固定できる状態であれば、種々の状態を適用することができる。洗濯乾燥機1は、ロック装置300ではなく、ロック装置300以外の構成要素により所定状態を形成する構成であってもよい。
【0043】
制御装置30は、乾燥運転を終了すると、ロック装置300を駆動してロック部材302を後方に移動させた状態を形成する。これにより、ロック装置300によるロック状態が解除され、乾燥フィルター100が圧縮状態のスプリング204bの復帰力を受けて上方向に移動する。即ち、洗濯乾燥機1によれば、乾燥運転が終了すると、乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内から自動的に取り外される構成となっている。
【0044】
制御装置30は、ロック装置300のロック部材302を後方に移動させてから所定時間が経過すると、ロック部材302を前方に移動させる。これにより、ロック部材302の先端部が乾燥フィルター収容部200内まで延出した状態が形成される。この状態においては、仮に、使用者が乾燥フィルター100を乾燥フィルター収容部200内に取り付けようとしても、乾燥フィルター収容部200内にロック部材302が延出しているため、乾燥フィルター100が循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられる方向、この場合、下方向に移動することがロック部材302によって阻止される。
【0045】
制御装置30は、乾燥運転終了後においてロック装置300によるロック部材302の往復動作、より詳細には、ロック部材302を後方に移動させ、その後、前方に戻す動作を1回実行すると、次の運転が開始されるまで、ロック装置300がロック部材302を前方に移動させた状態を維持する。つまり、制御装置30は、次の運転が開始されるまで、乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けることができない状態を維持する。制御装置30は、例えば次回の運転開始に際し洗濯乾燥機1の電源ボタンがオンされるとロック部材302を後方に移動させる。これにより、循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に乾燥フィルター100を挿入つまり取り付け可能な状態が形成される。
【0046】
以上の構成例において、持ち上げ部204は、循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられている乾燥フィルター100を、循環風路14の乾燥フィルター収容部200内から取り外す方向に移動させる乾燥フィルター移動部として機能する。持ち上げ部204は、ロック装置300と協働することにより、制御装置30が乾燥運転を終了すると、乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内から取り外す方向に移動させる。持ち上げ部204は、ロック装置300と協働することにより、制御装置30が次回の乾燥運転を含む運転を開始するまで、乾燥フィルター100が循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられる方向、この場合、下方向に移動することを阻止する。
【0047】
図12に例示するように、フィルターパネル部102は、乾燥フィルター100が循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられた状態で外箱2の表面、この場合、上面の一部を構成するようになっている。即ち、フィルターパネル部102は、表面形成部の一例として機能する。
【0048】
乾燥フィルター100において開口部101aを形成しているフィルター本体部101は、外箱2の表面を形成している材料およびフィルターパネル部102を構成している材料とは異なる色の材料により構成するとよい。なお、乾燥フィルター100は、少なくとも開口部101aを形成している部分が、外箱2の表面およびフィルターパネル部102の表面とは異なる色であればよい。従って、例えば、開口部101a部分に外箱2の表面とは異なる色の塗料やシール材を付けたり、開口部101a部分のみを外箱2の表面とは異なる色の材料で形成したりした構成としてもよい。
【0049】
図12に例示するように、持ち上げ部204がロック装置300と協働して乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内から取り外す方向、この場合、上方向に移動させた状態においては、乾燥フィルター100の開口部101aが前方に露出した状態が形成され、つまり、乾燥フィルター100の開口部101aが洗濯乾燥機1の前方に存在する使用者により視認可能な状態が形成される。
【0050】
以上に例示した洗濯乾燥機1の構成例によれば、持ち上げ部204は、ロック装置300と協働することにより、制御装置30が乾燥運転を終了すると、乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内から取り外す方向に移動させるとともに、制御装置30が次回の乾燥運転を含む運転を開始するまで、乾燥フィルター100が循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられる方向に移動することを阻止する。
【0051】
この構成例によれば、乾燥運転の終了後に自動的に乾燥フィルター100が循環風路14の乾燥フィルター収容部200内から取り外され、且つ、次回の乾燥運転を含む運転が開始されるまで、乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けることができない状態が形成される。つまり、洗濯乾燥機1によれば、乾燥運転が終了すると自動的に乾燥フィルター100が取り外され、且つ、次回の乾燥運転を含む運転が開始されるまで乾燥フィルター100を取り付けることができない構成となっている。
【0052】
そのため、本実施形態によれば、洗濯乾燥機1が運転されていない不稼働期間においては、乾燥フィルター100が取り外された状態となるため、単なる表示出力や音声出力により乾燥フィルターのメンテナンスを促す従来技術に比べ、乾燥フィルター100のメンテナンスを行うことをユーザに一層促すことができる。なお、本実施形態における乾燥フィルター100のメンテナンスには、例えば、フィルター本体部101内に蓄積されている異物の除去、乾燥フィルター100の各部の清掃や洗浄、乾燥フィルター100の各部の目視確認などといった各種の作業が含まれる。
【0053】
乾燥フィルター100が循環風路14の乾燥フィルター収容部200内から取り外された状態では、乾燥フィルター収容部200から循環風路14を介して衣類処理槽3内に外気が流入可能な状態が形成される。そして、乾燥フィルター100が循環風路14の乾燥フィルター収容部200内から取り外された状態、つまり、乾燥フィルター収容部200から循環風路14を介して衣類処理槽3内に外気が流入可能な状態は、運転の終了後から次回の運転が開始されるまでの間にわたって、つまり、洗濯乾燥機1が稼働されていない期間にわたって維持される。そのため、洗濯乾燥機1の不稼働時に、仮に誤って衣類処理槽3内に人が入ってしまったとしても、乾燥フィルター収容部200から循環風路14を介して衣類処理槽3内に外気を供給することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0054】
洗濯乾燥機1によれば、使用者が乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられる方向に移動させ、且つ、所定状態が形成されることにより、乾燥フィルター100が循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けられた状態で固定される。即ち、洗濯乾燥機1によれば、乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けて固定状態とするためには、使用者が乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付ける方向に移動させる第1操作と、この第1操作とは異なる第2操作つまり所定状態を形成するための操作が必要となっている。
【0055】
ここで、単に使用者が乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けただけで、つまり、単に使用者が乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に押し込んだだけで乾燥フィルター100が取り付け状態で固定される構成を検証すると、単に使用者が乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けただけで、乾燥フィルター収容部200から循環風路14を介して衣類処理槽3内に外気を供給することができなくなってしまう。
【0056】
洗濯乾燥機1によれば、単に使用者が乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けただけでは乾燥フィルター100が取り付け状態で固定されず、さらに、所定状態が形成されることを条件として乾燥フィルター100が取り付け状態で固定されるように構成した。これにより、乾燥フィルター収容部200から循環風路14を介して衣類処理槽3内に外気を供給することができる状態が、単に使用者が乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内に取り付けただけで消失してしまうことを回避することができる。
【0057】
本実施形態において例示した所定状態は、ロック装置300がロック部材302を前方に移動させた状態、もしくは、ロック部材302の先端部が被係止部105に係止した状態であり、この状態は、使用者が手動により運転開始の操作を入力することに応じて形成される。つまり、本実施形態によれば、使用者の明確な意思に基づく手動操作に応じて所定状態が形成される。そのため、乾燥フィルター100が取り付け状態で固定された状態、つまり、乾燥フィルター収容部200から循環風路14を介して衣類処理槽3内に外気を供給することができない状態を、使用者の明確な意思に基づいて形成することができ、乾燥フィルター収容部200から循環風路14を介して衣類処理槽3内に外気を供給することができない状態が意図せず形成されてしまうことを抑制することができる。
【0058】
洗濯乾燥機1によれば、持ち上げ部204がロック装置300と協働して乾燥フィルター100を循環風路14の乾燥フィルター収容部200内から取り外す方向に移動させることにより、開口部101aが洗濯乾燥機1の前方に存在する使用者により視認可能な状態が形成される。この構成例によれば、運転終了後において、使用者は、開口部101aを介して乾燥フィルター100の内部の状態を一層確認しやすくなり、乾燥フィルター100のメンテナンスを行うことを、より一層促すことができる。
【0059】
洗濯乾燥機1によれば、少なくとも開口部101aは、外箱2の表面およびフィルターパネル部102の表面とは異なる色で構成するとよい。この構成例によれば、開口部101aを目立たせることができる。そのため、使用者は、開口部101aを介して乾燥フィルター100の内部の状態、例えば異物の蓄積状態などを一層確認しやすくなり、従って、乾燥フィルター100のメンテナンスを行うことを、より一層促すことができる。
【0060】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜、変更や拡張を行うことができる。
【0061】
図13に例示するように、洗濯乾燥機1は、循環風路14内を流れる空気の一部を外部に排出する排気ダンパー14dを備えている。排気ダンパー14dは、循環風路14に設けられている排気口14wを開閉可能に構成されている。排気ダンパー14dは、閉状態では、循環風路14内を流れる空気の一部を排気口14wから外部に排出不能であり、開状態では、循環風路14内を流れる空気の一部を排気口14wから外部に排出可能である。排気ダンパー14dの開閉は、例えば制御装置30により制御することができる。
【0062】
このように構成されている排気ダンパー14dは、例えば乾燥運転が実行されていない状態つまり衣類処理槽3内の空気が循環風路14を介して循環されていない状態において開状態に切り換えられることにより、循環風路14の排気口14wを介して衣類処理槽3内に外気が流入可能な状態を形成する。そのため、循環風路14の乾燥フィルター収容部200内から乾燥フィルター100を取り外すこととともに、あるいは、取り外すことに代えて、排気ダンパー14dを開状態に切り換えることにより、循環風路14の排気口14wを介して衣類処理槽3内に外気が流入可能な状態を形成してもよい。このとき、循環風路14の排気口14wを介した衣類処理槽3内への外気の流入量を極力多く確保するために、排気ダンパー14dの開度は、極力大きくするとよい。
【0063】
洗濯乾燥機1によれば、排気ダンパー14dが閉状態に切り換えられている状態では、排気口14wが閉塞されることから循環風路14内の密閉度が向上し、乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に吸着して外れにくくなることが懸念される。しかしながら、洗濯乾燥機1によれば、排気ダンパー14dを開状態に切り換えることにより、排気口14wが開放して循環風路14の密閉性を低下させることができる。これにより、乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に吸着された状態を解消することができ、乾燥フィルター100を乾燥フィルター収容部200内から取り外しやすくすることができる。
【0064】
図14に例示するように、持ち上げ部204は、少なくとも乾燥フィルター100の前部つまり開口部101a側部分のみを循環風路14の乾燥フィルター収容部200内から取り外す方向に移動させる構成としてもよい。この場合、乾燥フィルター100は、前部が後部よりも高くなるように傾斜した態様で持ち上げられる状態となる。この状態においては、乾燥フィルター100の開口部101aが洗濯乾燥機1の前方上側に指向した状態となる。これにより、洗濯乾燥機1の前方に存在する使用者は、自身に向かって指向する開口部101aを介して乾燥フィルター100の内部の状態を一層確認しやすくなり、乾燥フィルター100のメンテナンスを行うことを、より一層促すことができる。
【0065】
なお、洗濯乾燥機1は、このように乾燥フィルター100が傾斜した状態で持ち上げられるように、例えば、持ち上げ部204全体の延伸方向を適宜傾斜させたり、スリット204dの延伸方向を適宜傾斜させたり、持ち上げ部204の長さを適宜変更したり、スリット204dの長さを適宜変更したりするとよい。
【0066】
乾燥フィルター収容部200内における持ち上げ部204の位置は、適宜変更して実施することができ、例えば、持ち上げ部204は、乾燥フィルター収容部200の前後方向における中央部よりも後側に配置されていてもよいし、乾燥フィルター収容部200の前後方向における中央部に配置されていてもよいし、乾燥フィルター収容部200の前面部や後面部に配置されていてもよい。
【0067】
乾燥フィルター収容部200内に配置する持ち上げ部204の数は、適宜変更して実施することができ、例えば、3つ以上の複数個であってもよいし、1つであってもよい。乾燥フィルター収容部200内において、複数の持ち上げ部204は、例えば左右方向や前後方向において相互に対向していてもよいし対向していなくてもよい。
【0068】
乾燥フィルター移動部は、スプリング204bにより乾燥フィルター100を付勢する構成に限られず、例えば、モータなどによりギヤやカムなどを駆動することにより乾燥フィルター100を取り外し方向や取り付け方向に移動させる構成であってもよい。乾燥フィルター移動部は、例えば押上機構により乾燥フィルター100を取り外し方向に押し上げる構成としてもよいし、例えば引付機構により乾燥フィルター100を取り付け方向に引き付ける構成としてもよい。押上機構は、例えば物理的な押上部材により乾燥フィルター100を押し上げる構成であってもよいし、例えば風圧や磁力などを利用して乾燥フィルター100を押し上げる構成であってもよいし、その他の構成であってもよい。引付機構は、例えば物理的な押下部材により乾燥フィルター100を押し下げる構成であってもよいし、例えば空気の吸い込み力や磁力などを利用して乾燥フィルター100を押し下げる構成であってもよいし、その他の構成であってもよい。
【0069】
洗濯乾燥機1は、運転開始時において乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に装着されていないことが検知された場合には、乾燥フィルター100を乾燥フィルター収容部200内への取り付け方向に自動的に移動させる機構を備える構成としてもよい。
【0070】
洗濯乾燥機1は、運転開始時において乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に装着されていないことが検知された場合には、乾燥フィルター100が取り付けられていないことを報知する機能を備える構成としてもよい。この報知は、例えば、表示出力であってもよいし、音声出力であってもよいし、両者を併用した出力であってもよい。
【0071】
なお、乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に装着されていないことは、例えば、乾燥フィルター収容部200内に装着された乾燥フィルター100により押下されるスイッチがオンしたか否かに基づいて検知することができる。あるいは、乾燥フィルター収容部200内に乾燥フィルター100が取り付けられているか否かを、光学センサや磁気センサなどによって検知する構成としてもよい。その他、乾燥フィルター100が乾燥フィルター収容部200内に装着されているか否かを検知できる構成であれば、種々の構成を適用することができる。
【0072】
本実施形態は、回転槽の回転軸が水平方向または傾斜方向に延びるいわゆるドラム式の洗濯乾燥機に限られるものではなく、回転槽の回転軸が垂直方向に延びる洗濯機、いわゆる縦軸型の洗濯乾燥機にも適用することができる。また、本実施形態は、洗濯機能を有しない純粋な衣類乾燥装置にも適用することができる。
【0073】
本実施形態は、あくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
図面において、1は洗濯乾燥機(衣類乾燥装置)、2は外箱(装置本体部)、3は衣類処理槽(衣類収容槽)、14は循環風路、14dは排気ダンパー、31は運転実行処理部(乾燥運転実行部)、100は乾燥フィルター、101aは開口部、102はフィルターパネル部(表面形成部)、204は持ち上げ部(乾燥フィルター移動部)を示す。