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特開2024-53858レーザエリアセンサ、及びレーザエリアセンサにおける遮光部材の取付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053858
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】レーザエリアセンサ、及びレーザエリアセンサにおける遮光部材の取付け方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160321
(22)【出願日】2022-10-04
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】松田 直丈
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA13
5J084AB01
5J084AC02
5J084AD01
5J084AD03
5J084BA03
5J084BA40
5J084BA48
5J084BB24
5J084BB27
5J084BB28
5J084BB40
5J084CA34
5J084EA20
5J084EA29
(57)【要約】
【課題】処理負荷の増大を抑制しつつ、簡単な方法でレーザセンサエリアの検出性能の向上を図る。
【解決手段】レーザエリアセンサ(10)は、レーザ光を透過可能な窓部(21)を有し、外殻を構成するケース(20)と、前記ケースの内部に設けられ、所定の走査角度(θ)ごとに前記窓部を通してレーザ光を照射し物体からの反射光を受光する光学機構(30)と、レーザ光を遮光可能な部材で構成され、前記ケースのうち前記窓部の一部を覆う位置に取り付け可能な遮光部材(40、50)と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を透過可能な窓部を有し、外殻を構成するケースと、
前記ケースの内部に設けられ、所定の走査角度ごとに前記窓部を通してレーザ光を照射し物体からの反射光を受光する光学機構と、
レーザ光を遮光可能な部材で構成され、前記ケースのうち前記窓部の一部を覆う位置に取り付け可能な遮光部材と、
を備えるレーザエリアセンサ。
【請求項2】
前記窓部の縁部に沿って前記遮光部材の取付け位置を案内する案内部を更に備える、
請求項1に記載のレーザエリアセンサ。
【請求項3】
前記遮光部材は、前記窓部と前記遮光部材との間の隙間を埋める蓋部を更に有している、
請求項1に記載のレーザエリアセンサ。
【請求項4】
前記遮光部材は、前記窓部と前記遮光部材との間の空間と外部とを連通する連通部を更に有している、
請求項1に記載のレーザエリアセンサ。
【請求項5】
前記窓部の縁部に沿って並べて配置可能な複数の前記遮光部材を備え、
複数の前記遮光部材のうち少なくとも隣接する2つの前記遮光部材は、相互に配置間隔を調整可能に構成されている、
請求項1に記載のレーザエリアセンサ。
【請求項6】
前記遮光部材を巻き取り及び引き出し可能に収納する格納部を更に備える、
請求項1に記載のレーザエリアセンサ。
【請求項7】
レーザ光を透過可能な窓部を有し、外殻を構成するケースと、
前記ケースの内部に設けられ、所定の走査角度ごとに前記窓部を通してレーザ光を照射し物体からの反射光を受光する光学機構と、
を備えるレーザエリアセンサにおいて、前記ケースにレーザ光を遮光可能な遮光部材を取り付ける方法であって、
前記レーザエリアセンサの検出可能領域内において前記レーザエリアセンサによる検出の対象となる監視対象領域及び前記遮光部材によって光路を遮断する遮断領域を設定する工程と、
前記遮光部材によって前記窓部の全域を覆う工程と、
前記監視対象領域内に物体を検出した場合に発報を行う設定にする工程と、
発報が停止するまで前記監視対象領域を覆う前記遮光部材を除く工程と、
を備える前記レーザエリアセンサにおける遮光部材の取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レーザエリアセンサ、及びレーザエリアセンサにおける遮光部材の取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の走査角度ごとに物体までの距離を測定することで、予め設定された監視領域内を監視するレーザエリアセンサが公知である。レーザエリアセンサは、外殻を構成するケースと、ケースの内部に設けられた光学機構と、を備えている。光学機構は、所定の走査角度ごとにレーザ光を照射し、レーザ光の光路上に物体が存在する場合にはその物体からの反射光を受光する。そして、レーザレーダ装置は、受光した反射光の強度に基づいてレーザ光の光路上に物体が存在するか否かを判断し、レーザ光を照射してから反射光を受光するまでの時間に基づいてその物体までの距離を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-51815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなレーザエリアセンサは、セキュリティやセーフティの面で広く使われており、なかには監視領域が複雑な形状になる場合がある。しかしながら、監視領域の形状が複雑になると、物体の検知に要する処理負荷が大きくなったり、センサ側に処理負担がかかったりし、その結果、求める検知目的や精度を達成できない場合がある。
【0005】
本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、処理負荷の増大を抑制しつつ、簡単な方法でレーザセンサエリアの検出性能の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によるレーザエリアセンサ(10)は、レーザ光を透過可能な窓部(21)を有し、外殻を構成するケース(20)と、前記ケースの内部に設けられ、所定の走査角度(θ)ごとに前記窓部を通してレーザ光を照射し物体からの反射光を受光する光学機構(30)と、レーザ光を遮光可能な部材で構成され、前記ケースのうち前記窓部の一部を覆う位置に取り付け可能な遮光部材(40、50)と、を備える。
【0007】
また、実施形態によるレーザエリアセンサ(10)における遮光部材(40、50)の取付け方法は、レーザ光を透過可能な窓部(21)を有し外殻を構成するケース(20)と、前記ケースの内部に設けられ所定の走査角度(θ)ごとに前記窓部を通してレーザ光を照射し物体からの反射光を受光する光学機構(30)と、を備える前記レーザエリアセンサにおいて、前記ケースにレーザ光を遮光可能な前記遮光部材を取り付ける方法である。当該方法は、前記レーザエリアセンサの検出可能領域(R)内において前記レーザエリアセンサによる検出の対象となる監視対象領域(R1)及び前記遮光部材によって光路(A1、A2)を遮断する遮断領域(R2)を設定する工程(ステップS11)と、前記遮光部材によって前記窓部の全域を覆う工程(ステップS12)と、前記監視対象領域内に物体を検出した場合に発報を行う設定にする工程(ステップS13)と、発報が停止するまで前記監視対象領域を覆う前記遮光部材を除く工程(ステップS14、S15)と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態によるレーザエリアセンサの一例を概略的に示す側面図
図2】一実施形態によるレーザエリアセンサの一例を概略的に示す正面図
図3】一実施形態によるレーザエリアセンサの一例について電気的構成を概略的に示すブロック図
図4】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、ケースに遮光部材を取り付けた状態の一例を概略的に示す側面図
図5】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、案内部周辺の構造を平面に展開して示す図
図6】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、図5のX6-X6線部分を拡大して示す断面図
図7】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、図5のX7-X7線部分を拡大して示す断面図
図8】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、図5のX8-X8線部分を拡大して示す断面図
図9】他の例によるレーザエリアセンサについて、案内部周辺の構造を平面に展開して示す図
図10】他の例によるレーザエリアセンサを示す平面図
図11】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、遮光部材の取付け方法の工程の一例を示すフローチャート
図12】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、検出可能領域内に設定される監視対象領域及び遮断領域の一例を概念的に示す図
図13】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、遮光部材が取り付けられてない場合の測定結果の一例を概念的に示す図
図14】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、遮光部材が取り付けられてない場合に生じる測定誤差を説明するための図
図15】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、遮光部材が取り付けらたことにより測定誤差を回避できたことを説明するための図
図16】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、遮光部材が取り付けられてない場合に生じるクラスタリングの失敗を説明するための図
図17】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、遮光部材が取り付けらたことによりクラスタリングの失敗を回避できたことを説明するための図
図18】一実施形態によるレーザエリアセンサについて、遮光部材が取り付けらたことにより処理個数の上限を回避できたことを説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1から図3に示すレーザエリアセンサ10は、例えば図示しない取付具等を介して、建築物の壁面や柱等の設置対象面に取り付けられる。レーザエリアセンサ10は、予め設定された監視領域内を監視し、監視領域内に侵入した物体の位置や形状を検出する機能を有する。レーザエリアセンサ10は、図1から図3に示すように、ケース20、及び光学機構30を備えている。
【0010】
ケース20は、レーザエリアセンサ10の外殻を構成するものであり、全体として例えば半球状又は扁平した半球状に形成されている。ケース20は、窓部21を有している。窓部21は、レーザ光を透過可能な部材、例えば無色又は有色透明の樹脂材やガラス等で構成されている。窓部21は、ケース20の上下方向の中心部分を跨ぎ、ケース20の外周に沿って設けられている。窓部21は、窓部21の全域に亘って、上側から下側へ向かうほどケース20の中心部に近づく方向に傾斜している。また、ケース20のうち、窓部21以外の部分は、レーザ光が透過しない部材で構成されている。
【0011】
図3に示す光学機構30は、周知の構成を用いることができる。光学機構30は、ケース20の内部に設けられており、所定の走査角度ごと例えば1°ごとにレーザ光を照射して物体Mから反射されたレーザ光すなわち反射光を受光する。なお、走査角度は、1°に限られず、適宜設定することができる。光学機構30は、例えば第1固定ミラー31、第2固定ミラー32、回転ミラー33、モータ34、照射部35、及び受光部36を有している。
【0012】
第1固定ミラー31及び回転ミラー33は、照射部35から照射されたレーザ光をケース20の外部へ導くための光路A1を形成する。回転ミラー33及び第2固定ミラー32は、物体Mで反射された反射光を受光部36へ導くための光路A2を形成する。この場合、第2固定ミラー32は、第1固定ミラー31で反射したレーザ光は透過させ、回転ミラー33で反射したレーザ光は受光部36側へ反射させる機能を有する。第2固定ミラー32は、例えばハーフミラー等で構成することができる。
【0013】
モータ34は、例えばステッピングモータ等で構成されており、回転ミラー33を所定の走査方向へ向かって所定の走査角度単位で回転させる。照射部35は、レーザ光を照射する機能を有する。すなわち、照射部35は、レーザ光の光源である。受光部36は、物体Mで反射された反射光を受光し、その反射光の強度を検出する機能を有する。
【0014】
この場合、照射部35から照射されたレーザ光は、まず、第1固定ミラー31で反射され第2固定ミラー32を透過して回転ミラー33で反射され、その後、窓部21を通ってケース20の外部へ照射される。外部へ照射されたレーザ光の光路A1上に何らかの物体Mが存在する場合、外部へ照射されたレーザ光は、物体Mによって反射される。物体Mで反射された反射光は、窓部21を通ってケース20の内部へ戻り、回転ミラー33及び第2固定ミラー32で反射される。そして、第2固定ミラー32で反射された反射光は、受光部36によって受光される。
【0015】
また、レーザエリアセンサ10は、図4等に示すように、遮光部材40を備えている。遮光部材40は、レーザ光を遮光可能な部材、すなわち遮光性を有する部材で構成されている。遮光部材40の材質としては、例えば金属やセラミック、不透明な樹脂材料若しくは木材等があるが、遮光性を有するものであればこれらに限られない。遮光部材40は、板状の剛性を有する部材であっても良いし、柔軟性を有するシート状の部材であっても良い。遮光部材40は、ケース20のうち窓部21の少なくとも一部を覆う位置に着脱可能に構成されている。遮光部材40は、例えば簡単な作業で、ケース20に対して着脱可能に構成されている。遮光部材40は、窓部21の曲面形状に沿って配置することができ、遮光部材40が配置された部分のレーザ光を遮断する。
【0016】
遮光部材40は、例えば図4から図9に示すように、走査方向に対して直角方向に長い長方形状又は長円形状の板状若しくはシート状の部材を複数組み合わせて構成することができる。この場合、ケース20は、図1及び図2に示すように、案内部22を有する。案内部22は、レーザ光の走査方向でかつ窓部21の縁部に沿って遮光部材40を案内する機能を有する。すなわち、案内部22は、ケース20に対する遮光部材40の取り付け位置を案内する機能を有する。この場合、レーザ光の走査方向でかつ窓部21の縁部に沿ってとは、図1では紙面の左右方向を意味し、図2では紙面の略左右方向を示す。
【0017】
案内部22は、例えば図6及び図7に示すように、ケース20に設けられた溝で構成することができる。案内部22は、図5に示すように、窓部21を展開した場合における窓部21の長手方向の全域に亘って設けられている。この場合、図6及び図7に示すように、遮光部材40は、ボルト45及びナット46によって案内部22に固定される。ボルト45の頭部451は、案内部22内に入れ込まれ、ボルト45の雄ねじ部452は、案内部22から外方へ突出し、遮光部材40を貫いてナット46にねじ込まれている。ナット46が緩められると、遮光部材40は案内部22に沿って移動可能となり、ナット46が締められると、遮光部材40は案内部22に固定される。この場合、ナット46を、例えば人の手でつまんで作業することを想定したいわゆるローレットツマミナットで構成しても良い。これによれば、作業者は、レンチやドライバー等の工具を用いることなく、遮光部材40をケース20に対して着脱することができる。
【0018】
図5等に示すように、案内部22は、案内部22の任意の箇所、例えば案内部22の両端部に挿入部221を有する。挿入部221は、ボルト45の頭部451を案内部22の溝の内側に入れ込むための構造である。挿入部221は、例えば案内部22の溝の幅よりも内径が大きく、かつ、頭部451の外形よりも若干大きい内径の穴で構成することができる。
【0019】
遮光部材40は、図7に示すように、蓋部41を有する構成とすることができる。蓋部41は、窓部21と遮光部材40との間の隙間を埋める機能を有する。蓋部41は、窓部21と遮光部材40との間に異物が這い込むことを抑制する機能を有する。蓋部41の窓部21側は、窓部21に沿って傾斜している。蓋部41は、窓部21の表面に接触する構成であっても良いし、窓部21から僅かに離れた構成でも良い。
【0020】
蓋部41は、遮光部材40のうち蓋部41以外の部分と、一体に構成又は同一の材料で構成されていても良いし、別体及び別の材料で構成されていても良い。蓋部41が窓部21の表面に接触する構成の場合、蓋部41が窓部21に接触することによって窓部21に傷が生じることを防止するため、蓋部41は、例えばスポンジやゴム等の柔軟性を有する部材で構成することが好ましい。また、例えば複数の遮光部材40を配置する場合、蓋部41は、少なくとも両端の遮光部材40に設けられていることが好ましい。
【0021】
また、遮光部材40は、図4から図6に示すように、連通部42を有していても良い。連通部42は、窓部21と遮光部材40との間の空間と外部とを連通している。連通部42は、例えば遮光部材40を厚み方向に貫いて形成された穴若しくは切り欠きで構成することができる。連通部42は、遮光部材40の上下方向のうち中央よりも下側、この場合、下端部側に設けられている。連通部42は、窓部21と遮光部材40との間の空間に這い込んだ雨水等を外部に排出する機能を有する。
【0022】
また、例えば図8に示すように、複数の遮光部材40のうち少なくとも隣接する2つの遮光部材40は、相互に配置間隔を調整可能に構成されている。これにより、窓部21において遮光部材40で覆う領域を細かく調整することができる。例えば図8の例では、並べて配置された複数の遮光部材401~403のうち、隣接する遮光部材401、402と、遮光部材402、403とは、相互に重なる調整代43を有している。そして、遮光部材401、402、及び遮光部材402、403は、調整代43における相互の重なり量を調整することで、調整代43の幅寸法L1を最大値として、相互に配置間隔を調整することができる。なお、この場合、複数の遮光部材40のうち端部に位置する遮光部材403は、他の遮光部材40と隣接しない方の端部に調整代43を有さない構成とすることができる。
【0023】
また、案内部22は、図9に示すように、調整代232を有していても良い。調整代232は、案内部22の全長のうち挿入部221から窓部21の端部に対応する位置までの領域である。調整代232の長さ寸法L2は、遮光部材40の幅寸法Wよりも小さい値に設定することができる。これによっても、窓部21において遮光部材40で覆う領域を細かく調整することができる。
【0024】
上記構成において、遮光部材40は、ボルト45及びナット46を用いてケース20に取り付けられる構成であったが、例えば磁石を用いてケース20に取り付けられる構成でも良い。すなわち、例えば遮光部材40を鉄やステンレス板等の磁性材料で構成し、案内部22を磁石で構成する。又は、遮光部材40の一部に磁石を設け、案内部22を鉄やステンレス板等の磁性材料で構成する。そして、遮光部材40を案内部22に磁力によって吸着固定する構成とすることができる。
【0025】
また、レーザエリアセンサ10は、図10に示すように、遮光部材40に代えて、遮光部材50を備えていても良い。遮光部材50は、巻き取って収納可能であるとともに引き出して設置可能に構成されている。この場合、遮光部材50は、例えば柔軟性を有する一枚の帯状のシート部材で、いわゆるロールスクリーンのような構成とすることができる。また、遮光部材50は、例えば図5等に示すような遮光部材40を蛇腹状にして巻き取り可能に相互に連結した構成であっても良い。更に、遮光部材50は、蛇腹状に折りたたむことができ、引き伸ばして展開した場合には全体として長尺の帯状となる構成とすることもできる。遮光部材50は、全て引き出されると、窓部21の全体を覆うことができる。
【0026】
ケース20に対する遮光部材50の固定方法は、上述したようにボルト及びナットを用いても良いし、磁石を用いても良い。また、例えば面ファスナーを用いても良い。また、レーザエリアセンサ10は、格納部60を備えていても良い。格納部60は、遮光部材50を巻き取った際に遮光部材50を格納する機能を有する。格納部60は、ケース20に対して着脱可能に構成されていても良いし、ケース20に対して予め設けられた構成でもよい。また、格納部60は、例えば図示しないモータ等のアクチュエータを有しており、例えば電動で遮光部材50を出し入れする構成でも良い。
【0027】
レーザエリアセンサ10は、図3に示すように、処理装置11を備えている。処理装置11は、例えばケース20内に設けられている。処理装置11は、CPU111やROM及びRAM等の記憶領域112を有するマイクロコンピュータを有して構成されている。すなわち、処理装置11は、レーザエリアセンサ10内に組み込まれた組み込み型のコンピュータで構成することができる。光学機構30のモータ34、照射部35、及び受光部36は、処理装置11に接続されている。処理装置11は、CPU111において記憶領域112に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、光学機構30の駆動を制御する。
【0028】
処理装置11は、レーザエリアセンサ10による測定結果に基づいて、物体Mの有無の判断や物体Mまでの距離の算出等を行ったりする。処理装置11は、例えばケース20内に組み込まれたコンピュータなどであっても良い。なお、処理装置11は、例えばレーザエリアセンサ10とは別体のいわゆるパソコン等で構成することができる。この場合、処理装置11は、図示は省略するが、レーザエリアセンサ10による監視状況やカメラで撮像した画像等を表示する表示部や、マウスやキーボード等のユーザの操作を入力する入力部も備えていても良い。
【0029】
レーザエリアセンサ10の監視領域を設定する場合、例えば図3に示すように、設定装置70をレーザエリアセンサ10に接続して行う。設定装置70は、例えば汎用のパソコン等で構成することができる。設定装置70は、例えば入力部71、表示部72、及び報知部73を有して構成することができる。
【0030】
次に、レーザエリアセンサ10に対する遮光部材40、50の取付け方法について、図11及び図12も参照して説明する。本実施形態におけるレーザエリアセンサ10に対する遮光部材40、50の取付け方法は、図11に示すように、レーザエリアセンサ10の検出可能領域R内において監視対象領域R1及び遮断領域R2を設定する工程(ステップS11)と、遮光部材40、50によって窓部21の全域を覆う工程(ステップS12)と、監視対象領域R1内に物体を検出した場合に発報を行う設定にする工程(ステップS13)と、発報が停止するまで監視対象領域R1を覆う遮光部材40、50を除く工程(ステップS14、S15)と、を備える。
【0031】
すなわち、まず、作業者は、図11のステップS11において、設定装置70を用いて、例えば図12に示すように検出可能領域R内において監視対象領域R1及び遮断領域R2を設定する。検出可能領域Rは、レーザエリアセンサ10が物体Mを検知可能な最大範囲であり、監視対象領域R1の最大値となる。監視対象領域R1は、検出可能領域R内において物体の検知を行う領域としてユーザによって定義される領域である。遮断領域R2は、検出可能領域Rのうち遮光部材40、50によりレーザ光の経路が遮断される領域であって、物体の検知を行わない領域としてユーザによって定義される領域である。遮断領域R2は、例えば検出可能領域Rから監視対象領域R1を除いた領域とすることができる。
【0032】
次に、作業者は、図11のステップS12において、遮光部材40、50をケース20に取り付けて窓部21の全域を覆う。次に、作業者は、ステップS13において、監視対象領域R1内に物体を検出した場合に発報を行う設定にし、レーザエリアセンサ10による検知を開始する。発報は、例えば設定装置70の表示部72に対する表示や報知部73から報知される音声等を用いることができる。
【0033】
次に、作業者は、ステップS14において、レーザエリアセンサ10による検知状況を確認しながら、すなわち発報状況を確認しながら、発報が無くなるまで、監視対象領域R1を覆う位置に設けられた遮光部材40、50を順次取り除いていく。発報が無くなると(ステップS15でYES)、監視対象領域R1を覆っていた遮光部材40、50が全て取り外されたことになる。その後、作業者は、ステップS16において、現在の設定内容をレーザエリアセンサ10に登録する。
【0034】
また、レーザエリアセンサ10は、遮光部材40、50が、いたずら等により意図せず取り除かれたか否かを検出する機能を有していても良い。この場合、例えばレーザエリアセンサ10は、遮光部材40、50を検出するように設定しておき、その遮光部材40、50が取り除かれた場合に警報を発報するように構成することができる。
【0035】
以上説明した実施形態のように、レーザエリアセンサ10は、ケース20と、光学機構30と、遮光部材40、50と、を備える。ケース20は、レーザ光を透過可能な窓部21を有し、レーザエリアセンサ10の外殻を構成する。光学機構30は、ケース20の内部に設けられ、所定の走査角度θごとに窓部21を通してレーザ光を照射し物体Mからの反射光を受光する。そして、遮光部材40は、レーザ光を遮光可能な部材で構成され、ケース20のうち窓部21の一部を覆う位置に取り付け可能に構成されている。
【0036】
これによれば、例えば車庫に対する車の入庫の検出や、駅構内への列車の侵入の検出等、ある特定の領域内にある一定の大きさの物体が侵入したことを検出したい場合に、レーザエリアセンサ10の監視領域が複雑な形状であっても、物体の検知に要する処理負荷の増大を抑制することができる。
【0037】
すなわち、レーザエリアセンサ10から得られる情報は距離値を含む測定点Pの点群である。そして、処理装置11は、その点群に基づいて、目的とする測定物なのか否かを認識する。例えば処理装置11が高度な処理能力を持つ演算機を備えるものである場合、処理装置11は、高度なクラスタリング等を利用して測定物であるか否かを容易に判定することができる。しかし、処理装置11が、レーザエリアセンサ10に組み込まれた組み込み機器のように安価で処理能力が低いものである場合、高度なクラスタリング等を利用することができないため、測定物の認識が課題になることがある。
【0038】
例えば図13及び図14に示す例では、壁90の手前に設定された監視対象領域R1を例としている。図13及び図14において、レーザエリアセンサ10による測定点Pを黒丸で示している。例えば測定物Mが壁90等の背景に接近している場合、レーザエリアセンサ10自体の測定誤差と相まって、例えば図14に示すようにクラスタリングが失敗し、測定物Mの大きさを誤認することがある。なお、図14では、誤認した測定物Mに斜線を付して示している。
【0039】
この場合、背景を個別に設定したり、測定誤差を予測計算して背景と測定物Mとを切り分けるような高度なクラスタリングしたりし、ソフトウェア処理の改善や設定項目の追加を行うことで、クラスタリングの失敗を防ぐことができる。しかし、処理装置11に、安価で処理能力の低いコンピュータを用いている場合や、既存の製品で対応したい場合等、処理装置11やソフトウェアを変更できない場合もある。本実施形態によれば、図15に示すように、光学機構30のレーザ光の経路を物理的に遮断することで、処理装置11が処理能力の低いコンピュータや既存の構成であっても、誤検出を抑制することができる。なお、図15の例では、遮断領域R2を黒色で塗りつぶして示している。
【0040】
また、例えば組み込み機器等で性能の低いCPUを使用せざるを得ない場合、監視対象領域R1への侵入判定の回数を減らして処理負荷を低減するため、例えば図16に示すように、測定点Pの点群データを予め重心で計算し、この重心を用いて侵入判定を行う場合がある。しかし、この重心の位置も、上述した測定誤差やクラスタリングの失敗によって、誤検知してしまう場合がある。例えば図16の例では、壁90と測定物Mのそれぞれについて重心C1、C2を計算する必要がある。しかし、例えばクラスタリングが失敗して壁90と測定物Mとが同一物体として判断されてしまい、例えば誤った重心CXを計算してしまう場合もある。
【0041】
このような場合も、本実施形態によれば、例えば図17に示すように、光学機構30のレーザ光の経路を物理的に遮断することで、処理能力の低いコンピュータや既存のレーザエリアセンサ10でも、誤検出を抑制することができる。なお、図17の例でも、遮断領域R2を黒色で塗りつぶして示している。
【0042】
さらに、本実施形態によれば、処理装置11の処理負荷を軽減することによる検出能力の劣化を抑制することができる。すなわち、レーザエリアセンサ10には、監視対象領域R1に対する測定結果から移動体を検出し、その移動体を追尾する機能が備わっているものがある。移動体の追尾は、時系列で複数回取得した検出物体Mの点群データから進行方向や速度を算出することで行われる。このような処理をレーザエリアセンサ10内に組み込まれた処理装置11で行う場合、処理の負荷の都合上、追跡できる物体の個数が制限される場合がある。特に演算能力の低いコンピュータを使用していると、その個数制限によって本当に見たい移動体に対して処理が行えず、検出性能が低下するおそれがある。このような場合に対して、遮光部材40、50を設けることで、レーザエリアセンサ10の検出能力の劣化を抑制することができる。
【0043】
すなわち、複数の物体を検知した場合、処理装置11におけるデータ処理に順番が発生する。そして、物体Mが移動体である場合、監視対象領域R1に入った瞬間に移動体の速度等を算出したいニーズもあるため、この場合、処理装置11は、監視対象領域R1外の検出物体Mに対しても演算処理を行う。この際、処理順によっては監視対象領域R1内の検出物体Mが処理個数の上限に達して演算できない可能性がある。例えば図18の例では、レーザエリアセンサ10の処理個数の上限が10個に設定されているとする。そして、例えば図18の例において、処理装置11は、矢印Bに示すように、半時計回り方向に各物体Mの測定点のデータを取得していく。この場合、処理装置11は、上限を超えた11個目の移動体M11については、追跡することができない。
【0044】
これに対し、本実施形態によれば、例えば図18に示すように、データ処理の前側の領域のレーザ光を遮断するように遮光部材40、50を設けることにより、遮断された領域の移動体M1~M7については検出及び追跡を行わないようにすることができる。その結果、監視対象領域R1内の検出物体Mが処理個数の上限に達することによる、検出物体Mの検出漏れを抑制することができる。なお、図18の例では、遮断領域R2に網掛け線を付して示している。
【0045】
さらに、本実施形態によれば、遮光部材40、50によって窓部21の一部を覆うことで、例えば西日等のように、特定方向からの強い光の影響も低減することができる。
【0046】
また、レーザエリアセンサ10は、窓部21の縁部に沿って遮光部材40、50の取付け位置を案内する案内部22を更に備えている。これによれば、作業者は、案内部22に従って遮光部材40、50を取り付けることが出来るため、ケース20に対して遮光部材40、50を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0047】
また、図7に示すように、遮光部材40は、窓部21と遮光部材40との間の隙間を埋める蓋部41を更に有している。これによれば、遮光部材40と窓部21との隙間にゴミ等の異物が入り込んでしまい、そのゴミによる誤検出の発生を抑制することができる。
【0048】
また、遮光部材40は、窓部21と遮光部材40との間の空間と外部とを連通する連通部42を更に有している。これによれば、窓部21と遮光部材40との間の空間に雨水等が入り込んだ場合であっても、その雨水等を連通部42から外部に排出させることができる。これにより、窓部21と遮光部材40との間の空間に雨水等が貯まることによる誤検出の発生を抑制することができる。
【0049】
また、レーザエリアセンサ10は、図9等に示すように、窓部21の縁部に沿って並べて配置可能な複数の遮光部材40を備えている。そして、複数の遮光部材40のうち少なくとも隣接する2つの遮光部材40は、相互に配置間隔を調整可能に構成されている。これによれば、隣接する遮光部材40の配置間隔を調整することができるため、遮断領域R2を細かく設定することができる。
【0050】
また、図10に示すように、遮光部材50は、巻き取り及び引き出し可能に構成されている。すなわち、レーザエリアセンサ10は、格納部60を更に備えている。格納部60は、遮光部材50を巻き取り及び引き出し可能に収納する。これによれば、作業者は、遮光部材50を、ケース20とは別の場所に保管等しなくて良いため、遮光部材50の管理が簡単になる。
【0051】
また、レーザエリアセンサ10における遮光部材40、50の取付け方法は、図11に示すように、レーザエリアセンサ10の検出可能領域R内においてレーザエリアセンサ10による検出の対象となる監視対象領域R1及び遮光部材40、50によって光路を遮断する遮断領域R2を設定する工程(ステップS11)と、遮光部材40、50によって窓部21の全域を覆う工程(ステップS12)と、監視対象領域R1内に物体Mを検出した場合に発報を行う設定にする工程(ステップS13)と、発報が停止するまで監視対象領域R1を覆う遮光部材40、50を除く工程(ステップS14、S15)と、を備える。
【0052】
これによれば、例えば遮光部材40、50を設置するための専用のソフトウェアを組むことなく、例えが既存のレーザエリアセンサの基本機能を利用して設定することができる。そのため、既存のレーザエリアセンサ10に対しても、ソフトウェアに変更を加えずに遮光部材40、50を取り付けることができる。
【0053】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0054】
10…レーザエリアセンサ、20…ケース、21…窓部、22…案内部、30…光学機構、40、401、402、403…遮光部材、41…蓋部、42…連通部、50…遮光部材、60…格納部、A1、A2…光路、M…物体、θ…走査角度、R1…監視対象領域、R2…遮断領域
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