(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053877
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】大量のポリオールを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20240409BHJP
A61K 8/84 20060101ALI20240409BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20240409BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240409BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20240409BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240409BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/84
A61K8/65
A61K8/73
A61K8/55
A61K8/46
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022160348
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】河西 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】島谷 満
(72)【発明者】
【氏名】光田 紫乃布
(72)【発明者】
【氏名】白谷 俊史
(72)【発明者】
【氏名】水野 智子
(72)【発明者】
【氏名】五十島 健史
(72)【発明者】
【氏名】山本 麻理子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD071
4C083AD131
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD431
4C083BB33
4C083BB34
4C083BB42
4C083CC03
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】大量の、即ち、組成物の総質量に対して10質量%以上の、グリセリン等のポリオールを含みながら、軽減されたベタつきを示すことができる組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、(b)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、(c)少なくとも1種のポリオール、及び(d)水を含む組成物であって、組成物中の(c)ポリオールの量が組成物の総質量に対して10質量%以上である、組成物に関する。本発明による組成物は、大量のグリセリン等のポリオールを含むが、軽減されたベタつきを示すことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、
(b)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、
(c)少なくとも1種のポリオール、及び
(d)水
を含む組成物であって、
前記組成物中の(c)ポリオールの量が、前記組成物の総質量に対して10質量%以上である、組成物。
【請求項2】
前記(a)カチオン性ポリマーが、前記(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩と架橋されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(a)カチオン性ポリマーが、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される、少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(a)カチオン性ポリマーが、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えばキトサン及び(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばコラーゲン、カチオン性セルロースポリマー、並びにこれらの塩からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(a)カチオン性ポリマーが、ポリリジン、キトサン及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物中の前記(a)カチオン性ポリマーの量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩が、有機酸若しくはその塩、好ましくは親水性若しくは水溶性の有機酸若しくはその塩、より好ましくはフィチン酸若しくはその塩、テレフタリリデンジカンファースルホン酸若しくはその塩、又はこれらの混合物である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物中の前記(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記(c)ポリオールがグリセリンである、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物中の前記(c)ポリオールの量が、前記組成物の総質量に対して95質量%以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(e)少なくとも1種のアニオン性ポリマーを更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記(e)アニオン性ポリマーが、多糖、好ましくはヒアルロン酸及びその誘導体、セルロースポリマー及びその塩、並びにこれらの混合物、より好ましくはヒアルロン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース及びその塩、並びにこれらの混合物から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物中の前記(e)アニオン性ポリマーの量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
化粧用組成物、好ましくはケア化粧用組成物、より好ましくはスキンケア又はヘアケア化粧用組成物である、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質のための美容方法であって、
請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質に適用する工程と、
前記組成物を乾燥させて、前記ケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程とを含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的大量のポリオールを含む組成物、及び組成物を使用する美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子の形態であってもよく、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーで形成されうるポリイオンコンプレックスが既に公知である。
【0003】
例えば、WO2021/125069は、美容処置に有用であり、一実施形態において、少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種のヒアルロン酸系アニオン性ポリマー、及び少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩を含む、少なくとも1種のポリイオンコンプレックス粒子を含む、組成物を開示している。また、WO2021/125069は、5質量%のグリセリンを含む特定の組成物を開示している。
【0004】
例えば、WO2022/131351は、美容処置に有用であり、一実施形態において、少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー、少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、少なくとも1種のフィラーを含む、少なくとも1種のポリイオンコンプレックス粒子を含む、組成物を開示している。また、WO2022/131351は、5質量%のグリセリンを含む特定の組成物を開示している。
【0005】
グリセリン等のポリオールは、皮膚等のケラチン物質の美容目的に使用されることが多い。しかしながら、大量の、即ち、組成物の総質量に対して10質量%以上の、グリセリン等のポリオールを含む組成物は、ベタつく傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2021/125069
【特許文献2】WO2022/131351
【特許文献3】欧州特許出願第0080976号
【特許文献4】仏国特許第2077143号
【特許文献5】仏国特許第2393573号
【特許文献6】仏国特許第1492597号
【特許文献7】米国特許第4,131,576号
【特許文献8】米国特許第3,589,578号
【特許文献9】米国特許第4,031,307号
【特許文献10】仏国特許第2162025号
【特許文献11】仏国特許第2280361号
【特許文献12】仏国特許第2252840号
【特許文献13】仏国特許第2368508号
【特許文献14】仏国特許第1,583,363号
【特許文献15】米国特許第3,227,615号
【特許文献16】米国特許第2,961,347号
【特許文献17】仏国特許第2080759号
【特許文献18】仏国特許第2320330号
【特許文献19】仏国特許第2270846号
【特許文献20】仏国特許第2316271号
【特許文献21】仏国特許第2336434号
【特許文献22】仏国特許第2413907号
【特許文献23】米国特許第2,273,780号
【特許文献24】米国特許第2,375,853号
【特許文献25】米国特許第2,388,614号
【特許文献26】米国特許第2,454,547号
【特許文献27】米国特許第3,206,462号
【特許文献28】米国特許第2,261,002号
【特許文献29】米国特許第2,271,378号
【特許文献30】米国特許第3,874,870号
【特許文献31】米国特許第4,001,432号
【特許文献32】米国特許第3,929,990号
【特許文献33】米国特許第3,966,904号
【特許文献34】米国特許第4,005,193号
【特許文献35】米国特許第4,025,617号
【特許文献36】米国特許第4,025,627号
【特許文献37】米国特許第4,025,653号
【特許文献38】米国特許第4,026,945号
【特許文献39】米国特許第4,027,020号
【特許文献40】欧州特許出願第0122324号
【特許文献41】EP-A-0750899
【特許文献42】EP-A-1069172
【特許文献43】EP-A-0173109
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering」- Macromolecules、2000年、第33巻、第10号-3694~3704頁
【非特許文献2】「Hyaluronan fragments:an information-rich system」、R. Sternら、European Journal of Cell Biology 58 (2006)、699~715頁
【非特許文献3】D. Campocciaら、「Semisynthetic resorbable materials from hyaluronan esterification」、Biomaterials 19 (1998) 2101~2127頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、大量の、即ち、組成物の総質量に対して10質量%以上の、グリセリン等のポリオールを含みながら、軽減されたベタつきを示すことができる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、
(b)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、
(c)少なくとも1種のポリオール、及び
(d)水
を含む組成物であって、
組成物中の(c)ポリオールの量が、組成物の総質量に対して10質量%以上である、組成物によって達成することができる。
【0010】
(a)カチオン性ポリマーは、(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩と架橋されていてもよい。
【0011】
(a)カチオン性ポリマーは、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される、少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有してもよい。
【0012】
(a)カチオン性ポリマーは、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えばキトサン及び(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばコラーゲン、カチオン性セルロースポリマー、並びにこれらの塩からなる群から選択することができる。
【0013】
(a)カチオン性ポリマーは、ポリリジン、キトサン及びこれらの混合物からなる群から選択されることがより好ましい場合がある。
【0014】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0015】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、有機酸若しくはその塩、好ましくは親水性若しくは水溶性の有機酸若しくはその塩、より好ましくはフィチン酸若しくはその塩、テレフタリリデンジカンファースルホン酸若しくはその塩、又はこれらの混合物であってもよい。
【0016】
本発明による組成物中の(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0017】
(c)ポリオールは、グリセリンであることが好ましい場合がある。
【0018】
本発明による組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して95質量%以下でありうる。
【0019】
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種のアニオン性ポリマーを更に含んでもよい。
【0020】
(e)アニオン性ポリマーは、多糖、好ましくはヒアルロン酸及びその誘導体、セルロースポリマー及びその塩、並びにこれらの混合物、より好ましくはヒアルロン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース及びその塩、並びにこれらの混合物から選択されてもよい。
【0021】
本発明による組成物中の(e)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0022】
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくはケア化粧用組成物、より好ましくはスキンケア又はヘアケア化粧用組成物であってもよい。
【0023】
本発明はまた、ケラチン物質のための美容方法であって、
ケラチン物質に、本発明による組成物を適用する工程と、
該組成物を乾燥させて、ケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程とを含む、美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
鋭意検討の結果、本発明者らは、大量の、即ち、組成物の総質量に対して10質量%以上の、グリセリン等のポリオールを含みながら、軽減されたベタつきを示すことができる組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0025】
そのため、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、
(b)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、
(c)少なくとも1種のポリオール、及び
(d)水
を含み、
組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して10質量%以上である。
【0026】
本発明による組成物は、大量のグリセリン等のポリオールを含むが、軽減されたベタつきを示すことができる。
【0027】
本発明による組成物のベタつきは、成分(c)を組成物の総質量に対して10質量%以上の量で含み、成分(a)及び(b)を含まない組成物のベタつきより少ない。
【0028】
したがって、本発明による組成物は、より滑らかな感触等の改善された質感をもたらすことができる。
【0029】
グリセリン等のポリオールは、親水性であり、したがって、水でケラチン物質の表面から容易に洗い落とすことができる。しかしながら、本発明による組成物中の成分(a)及び(b)は、ポリオールを皮膚等のケラチン物質上によく維持することができるゲル皮膜又はコアセルベートを形成することができる。
【0030】
したがって、本発明による組成物は、強化された保湿効果等の、ポリオールに由来する強化された美容効果ももたらすことができる。
【0031】
以下、本発明による組成物及び方法等をより詳細に説明する。
【0032】
(カチオン性ポリマー)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含む。
【0033】
(a)カチオン性ポリマーのタイプに限定はない。2種以上の異なるタイプのカチオン性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのカチオン性ポリマー、又は異なるタイプのカチオン性ポリマーの組合せを使用することができる。
【0034】
カチオン性ポリマーは、正電荷密度を有する。(a)カチオン性ポリマーの電荷密度は、0.01meq/g~20meq/g、好ましくは0.05~15meq/g、より好ましくは0.1~10meq/gであってもよい。
【0035】
(a)カチオン性ポリマーの分子量が、1,000以上、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上、更により好ましくは4,000以上であることが好ましい場合がある。
【0036】
説明中に別段の定義がない限り、「分子量」は数平均分子量を意味する。
【0037】
(a)カチオン性ポリマーは、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される、少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有してもよい。本明細書における(第一級)「アミノ基」という用語は、-NH2基を意味する。
【0038】
(a)カチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。「コポリマー」という用語は、2種類のモノマーから得たコポリマー、及び2種類超のモノマーから得たもの、例えば3種類のモノマーから得たターポリマーの両方を意味すると理解される。
【0039】
(a)カチオン性ポリマーは、天然及び合成カチオン性ポリマーから選択されうる。(a)カチオン性ポリマーの非限定例は、以下の通りである。
【0040】
(1)ホモポリマー及びコポリマーは、以下の式の単位:
【0041】
【0042】
(式中:
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1~6個の炭素原子を含むアルキル基、例えば、メチル及びエチル基から選択され、
R3は、同一であっても異なっていてもよく、水素及びCH3から選択され、
記号Aは、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、例えば2~3個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状アルキル基、及び1~4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から選択され、
R4、R5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、1~18個の炭素原子を含むアルキル基、及びベンジル基、及び少なくとも1つの実施形態では、1~6個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、
Xは、無機又は有機酸に由来するアニオン、例えば、メト硫酸アニオン、並びに塩化物イオン及び臭化物イオン等のハロゲン化物イオンである)から選択される少なくとも1つの単位を含むアクリル酸又はメタクリル酸のエステル及びアミドに由来する。
【0043】
上記のファミリー(1)のコポリマーはまた、コモノマーに由来する少なくとも1つの単位を含んでもよく、これは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素原子が(C1~C4)低級アルキル基で置換されているアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸及びそのエステルに由来する基、ビニルラクタム、例えばビニルピロリドン及びビニルカプロラクタム、並びにビニルエステルから選択することができる。
【0044】
ファミリー(1)のコポリマーの例としては、限定されないが、以下:
アクリルアミドと、硫酸ジメチル又はハロゲン化ジメチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとのコポリマー、例えば欧州特許出願第0080976号に記載されている、アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェートとのコポリマー、例えば仏国特許第2077143号及び第2393573号に記載されている、四級化又は非四級化ビニルピロリドン/アクリル酸又はメタクリル酸ジアルキルアミノアルキルコポリマー、メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンコポリマー、四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、並びに架橋メタクリロイルオキシ(C1~C4)アルキルトリ(C1~C4)アルキルアンモニウム塩ポリマー、例えば塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルの単独重合、又はアクリルアミドと、塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合、その単独重合又は共重合に続いて、オレフィン性不飽和を含有する化合物、例えばメチレンビスアクリルアミドで架橋することによって得られるポリマー、が挙げられる。
【0045】
(2)カチオン性セルロースポリマー、例えば仏国特許第1492597号に記載されている、1つ以上の第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体等、例えばUnion Carbide Corporation社により名称「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)又は「LR」(LR 400、LR 30M)で販売されているポリマー。これらのポリマーはまた、CTFA辞典において、トリメチルアンモニウム基で置換されているエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの第四級アンモニウムとして定義されている。
【0046】
カチオン性セルロースポリマーが、少なくとも1つの第四級アンモニウム基、好ましくは第四級トリアルキルアンモニウム基、より好ましくは第四級トリメチルアンモニウム基を有することが好ましい。
【0047】
第四級アンモニウム基は、以下の化学式(I):
【0048】
【0049】
(式中、
R1及びR2のそれぞれは、C1~C3アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基を示し、
R3は、C1~C24アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基を示し、
X-は、アニオン、好ましくはハロゲン化物イオン、より好ましくは塩化物イオンを示し、
nは、0~30、好ましくは0~10、より好ましくは0の整数を示し、
R4は、C1~C4アルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基を示す)で表されうる第四級アンモニウム基含有基中に存在しうる。
【0050】
上記の化学式(I)中の最左のエーテル結合(-O-)は、多糖の糖環に結合することができる。
【0051】
第四級アンモニウム基含有基が、-O-CH2-CH(OH)-CH2-N+(CH3)3であることが好ましい。
【0052】
(3)第四級アンモニウムの水溶性モノマーでグラフト化された、例えば、米国特許第4,131,576号に記載の、セルロースコポリマー及びセルロース誘導体等のカチオン性セルロースポリマー、例えばヒドロキシアルキルセルロース、例としては、例えばメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、及びジメチルジアリルアンモニウム塩から選択される塩でグラフト化された、ヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-、及びヒドロキシプロピルセルロース。
【0053】
これらのポリマーに相当する市販製品としては、例えば、National Starch社により名称「Celquat(登録商標)L 200」及び「Celquat(登録商標)H 100」で販売されている製品が挙げられる。
【0054】
(4)米国特許第3,589,578号及び同第4,031,307号に記載されている、非セルロース系カチオン性多糖、例えばカチオン性トリアルキルアンモニウム基を含むグアーガム、カチオン性ヒアルロン酸及びデキストランヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド。塩、例えば2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムの塩化物で修飾されたグアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)もまた、使用されうる。
【0055】
このような製品は、例えば、MEYHALL社により商品名JAGUAR(登録商標)C13 S、JAGUAR(登録商標)C15、JAGUAR(登録商標)C17及びJAGUAR(登録商標)C162で販売されている。
【0056】
(5)ピペラジニル単位、及び酸素、硫黄、窒素、芳香環及び複素環から選択される少なくとも1つの実体により任意選択で割り込まれた直鎖又は分枝鎖を含む二価のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基を含むポリマー、並びにまたこれらのポリマーの酸化及び/又は四級化生成物。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2162025号及び同第2280361号に記載されている。
【0057】
(6)例えば酸性化合物をポリアミンと重縮合させることによって調製される水溶性ポリアミノアミドであり、これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン;ジエポキシド;二無水物;不飽和二無水物;ビス不飽和誘導体;ビスハロヒドリン;ビスアゼチジニウム;ビスハロアシルジアミン;ビスアルキルハライド;ビスハロヒドリン、ビスアゼチジニウム、ビスハロアシルジアミン、ビスアルキルハライド、エピハロヒドリン、ジエポキシド及びビス不飽和誘導体から選択される実体と反応性である二官能性化合物の反応から得られるオリゴマーか選択される実体で架橋されている場合があり;その架橋剤は、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025~0.35molの範囲の量で使用され;これらのポリアミノアミドは、任意選択でアルキル化されているか、又はこれらが少なくとも1つの第三級アミン官能基を含む場合、これらは四級化されていてもよい。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2252840号及び同第2368508号に記載されている。
【0058】
(7)ポリアルキレンポリアミンをポリカルボン酸と縮合させ、続いて二官能性作用剤でアルキル化することから得られるポリアミノアミド誘導体、例えば、メチル、エチル及びプロピル基等、アルキル基が1~4個の炭素原子を含み、エチレン基等、アルキレン基が1~4個の炭素原子を含む、アジピン酸/ジアルキルアミノヒドロキシアルキルジアルキレントリアミンポリマー。このようなポリマーは、例えば仏国特許第1,583,363号に記載されている。少なくとも1つの実施形態では、これらの誘導体は、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンポリマーから選択されうる。
【0059】
(8)2つの第一級アミン基及び少なくとも1つの第二級アミン基を含むポリアルキレンポリアミンと、ジグリコール酸、及び3~8個の炭素原子を含む飽和脂肪族ジカルボン酸から選択されるジカルボン酸との反応によって得られるポリマー。ポリアルキレンポリアミンのジカルボン酸に対するモル比は、0.8:1~1.4:1の範囲であってもよく、それから得られるポリアミノアミドを、エピクロロヒドリンと、エピクロロヒドリンの、ポリアミノアミドの第二級アミン基に対するモル比0.5:1~1.8:1の範囲で反応させる。このようなポリマーは、例えば、米国特許第3,227,615号及び同第2,961,347号に記載されている。
【0060】
(9)アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリル-アンモニウムのシクロポリマー、例えば、鎖の主要構成要素として、式(Ia)及び(Ib):
【0061】
【0062】
(式中:
k及びtは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1に等しく、和k+tは、1に等しく、
R12は、水素及びメチル基から選択され、
R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子を含むアルキル基、アルキル基が例えば1~5個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、及び低級(C1~C4)アミドアルキル基から選択され、又はR10及びR11は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式基、例えばピペリジニル及びモルホリニルを形成してもよく、
Y'は、アニオン、例えば臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、重硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、硫酸イオン及びリン酸イオンである)の単位から選択される少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー。これらのポリマーは、例えば仏国特許第2080759号及びその追加特許第2190406号に記載されている。
【0063】
一実施形態では、R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選択される。
【0064】
このようなポリマーの例としては、これらに限定されないが、(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、例えばCALGON社により名称「MERQUAT(登録商標)100」で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー(ポリクオタニウム-6)(及び低質量平均分子量のそのホモログ)、並びに名称「MERQUAT(登録商標)550」で販売されているジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーが挙げられる。
【0065】
(10)式(II):
【0066】
【0067】
(式中:
R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式及びアリール脂肪族基、並びに低級ヒドロキシアルキル脂肪族基から選択され、或いは、R13、R14、R15及びR16は、これらが結合している窒素原子と一緒になって又は別々に、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成してもよく、或いは、R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、ニトリル基、エステル基、アシル基、アミド基、-CO-O-R17-E基及び-CO-NH-R17-E基(式中、R17は、アルキレン基であり、Eは、第四級アンモニウム基である)から選択される少なくとも1つの基で置換されている直鎖状又は分枝状C1~C6アルキル基から選択され、
A1及びB1は、同一であっても異なっていてもよく、2~20個の炭素原子を含むポリメチレン基から選択され、これは、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和であってもよく、これは、芳香環、酸素、硫黄、スルホキシド基、スルホン基、ジスルフィド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、第四級アンモニウム基、ウレイド基、アミド基及びエステル基から選択される少なくとも1つの実体を、主鎖中に、連結又は挿入されて含んでもよく、
X-は、無機酸又は有機酸に由来するアニオンであり、
A1、R13及びR15は、これらが結合している2個の窒素原子と一緒になってピペラジン環を形成してもよく、
A1が、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和アルキレン又はヒドロキシアルキレン基から選択される場合、B1は、以下:
-(CH2)n-CO-E'-OC-(CH2)n-
[式中、E'は、以下:
a)式-O-Z-O-のグリコール残基{式中、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基、及び以下の式:
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-
-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
(式中、x及びyは、同一であっても異なっていてもよく、定義された独自の重合度を表す1~4の範囲の整数、及び平均重合度を表す1~4の範囲の数から選択される)
の基から選択される}、
b)ビス-第二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体、
c)式-NH-Y-NH- (式中、Yは、直鎖状又は分枝状炭化水素系基及び二価基-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-から選択される)のビス-第一級ジアミン残基、並びに
d)式-NH-CO-NH-のウレイレン基
から選択される]から選択されうる)の少なくとも1つの繰り返し単位を含む第四級ジアンモニウムポリマー。
【0068】
少なくとも1つの実施形態では、X-は、アニオン、例えば塩化物イオン又は臭化物イオンである。
【0069】
このタイプのポリマーは、例えば、仏国特許第2320330号、同第2270846号、同第2316271号、同第2336434号及び同第2413907号、並びに米国特許第2,273,780号、同第2,375,853号、同第2,388,614号、同第2,454,547号、同第3,206,462号、同第2,261,002号、同第2,271,378号、同第3,874,870号、同第4,001,432号、同第3,929,990号、同第3,966,904号、同第4,005,193号、同第4,025,617号、同第4,025,627号、同第4,025,653号、同第4,026,945号、及び同第4,027,020号に記載されている。
【0070】
このようなポリマーの非限定的な例としては、式(III):
【0071】
【0072】
(式中、R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含むアルキル基及びヒドロキシアルキル基から選択され、n及びpは、同一であっても異なっていてもよく、2~20の範囲の整数であり、X-は、無機酸又は有機酸に由来するアニオンである)の少なくとも1つの繰り返し単位を含むものが挙げられる。
【0073】
(11)式(IV):
【0074】
【0075】
(式中:
R18、R19、R20及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、β-ヒドロキシエチル基、β-ヒドロキシプロピル基、-CH2CH2(OCH2CH2)pOH基(式中、pは、0~6の範囲の整数から選択される)から選択されるが、但し、R18、R19、R20及びR21が同時に水素であることはなく、
r及びsは、同一であっても異なっていてもよく、1~6の範囲の整数から選択され、
qは、0~34の範囲の整数から選択され、
X-は、アニオン、例えばハロゲン化物イオンであり、
Aは、ジハライド及び-CH2-CH2-O-CH2-CH2-の基から選択される)の単位を含むポリ四級アンモニウムポリマー。
【0076】
このような化合物は、例えば欧州特許出願第0122324号に記載されている。
【0077】
(12)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマー。
【0078】
好適なカチオン性ポリマーの他の例には、カチオン性タンパク質及びカチオン性タンパク質加水分解物、ポリアルキレンイミン、例えばポリエチレンイミン、ビニルピリジン単位及びビニルピリジニウム単位から選択される単位を含むポリマー、ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、第四級ポリウレイレン、並びにキチン誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、(a)カチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えばUNION CARBIDE CORPORATION社により名称「JR 400」で販売されている製品、カチオン性シクロポリマー、例えばCALGON社により名称MERQUAT(登録商標)100、MERQUAT(登録商標)550及びMERQUAT(登録商標)Sで販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー及びコポリマー、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩で修飾されたグアーガム、並びにビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマーから選択される。
【0080】
(13)ポリアミン
(a)カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基を有する、ホモポリマー又はコポリマーであってもよい(コ)ポリアミンを使用することも可能である。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基であってもよい。アミノ基は、(コ)ポリアミンのポリマー主鎖、又は存在する場合はペンダント基中に存在してもよい。
【0081】
(コ)ポリアミンの例として、キトサン、(コ)ポリアリルアミン、(コ)ポリビニルアミン、(コ)ポリアニリン、(コ)ポリビニルイミダゾール、(コ)ポリジメチルアミノエチレンメタクリレート、(コ)ポリビニルピリジン、例えば(コ)ポリ-1-メチル-2-ビニルピリジン、(コ)ポリイミン、例えば(コ)ポリエチレンイミン、(コ)ポリピリジン、例えば(コ)ポリ(第四級ピリジン)、(コ)ポリビグアニド、例えば(コ)ポリアミノプロピルビグアニド、(コ)ポリリジン、(コ)ポリオルニチン、(コ)ポリアルギニン、(コ)ポリヒスチジン、アミノデキストラン、アミノセルロース、アミノ(コ)ポリビニルアセタール、及びこれらの塩を挙げることができる。
【0082】
(a)カチオン性ポリマーは、キトサンから選択されることが好ましい場合がある。
【0083】
(a)カチオン性ポリマーは、(コ)ポリリジンから選択されることが好ましい場合もある。
【0084】
ポリリジンは周知である。ポリリジンは、細菌発酵によって生成されうるL-リジンの天然ホモポリマーであってもよい。例えば、ポリリジンは、食品中の天然保存料として典型的に使用されるα-ポリ-L-リジン及びε-ポリ-L-リジンであってもよい。ポリリジンは、極性溶媒、例えば水、プロピレングリコール及びグリセロールに可溶性の高分子電解質である。ポリリジンは、ポリD-リジン及びポリL-リジン等の多様な形態で市販されている。ポリリジンは、塩及び/又は溶液の形態にあってもよい。
【0085】
(14)カチオン性ポリアミノ酸
(a)カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基及びカルボキシル基を有する、カチオン性ホモポリマー又はコポリマーでありうるカチオン性ポリアミノ酸を使用することが可能でありうる。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基であってもよい。アミノ基は、カチオン性ポリアミノ酸のポリマー主鎖、又は存在する場合はペンダント基中に存在してもよい。カルボキシル基は、存在する場合はカチオン性ポリアミノ酸のペンダント基中に存在してもよい。
【0086】
カチオン性ポリアミノ酸の例としては、カチオン化コラーゲン、カチオン化ゼラチン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク等を挙げることができる。
【0087】
以下の説明は、(a)カチオン性ポリマーの好ましい実施形態に関する。
【0088】
(a)カチオン性ポリマーが、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えばキトサン及び(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばカチオン化コラーゲン、カチオン性セルロースポリマー、並びにこれらの塩からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0089】
(a)カチオン性ポリマーは、ポリリジン、キトサン及びこれらの混合物からなる群から選択されることがより好ましい場合がある。
【0090】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0091】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0092】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0093】
(アニオン性ポリマー)
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含んでもよい。
【0094】
本発明による組成物が(e)アニオン性ポリマーを含む場合、(a)カチオン性ポリマーは、(e)アニオン性ポリマーと共にポリイオンコンプレックスを形成することができる。
【0095】
(e)アニオン性ポリマーのタイプに限定はない。2種以上の異なるタイプのアニオン性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのアニオン性ポリマー、又は異なるタイプのアニオン性ポリマーの組合せを使用することができる。
【0096】
アニオン性ポリマーは、正電荷密度を有する。(e)アニオン性ポリマーが合成アニオン性ポリマーである場合、(e)アニオン性ポリマーの電荷密度は、0.1meq/gから20meq/g、好ましくは1から15meq/g、より好ましくは4から10meq/gであってもよく、(e)アニオン性ポリマーが天然アニオン性ポリマーである場合、アニオン性ポリマーの平均置換度は、0.1から3.0、好ましくは0.2から2.7、より好ましくは0.3から2.5であってもよい。
【0097】
(e)アニオン性ポリマーの分子量は、1,000以上、好ましくは3,000以上、より一層好ましくは5,000以上、より一層好ましくは10,000以上、より一層好ましくは50,000以上、より一層好ましくは100,000以上、より一層好ましくは1,000,000以上であることが好ましい場合がある。
【0098】
説明において別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量を意味することができる。
【0099】
(e)アニオン性ポリマーは、硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボン酸基及びカルボキシレート基からなる群から選択される、少なくとも1つの負電荷を有することができる及び/又は負電荷を有する部分を有してよい。
【0100】
(e)アニオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。「コポリマー」という用語は、2種類のモノマーから得たコポリマー、及び2種類超のモノマーから得たもの、例えば3種類のモノマーから得たターポリマーの両方を意味すると理解される。
【0101】
(e)アニオン性ポリマーは、天然及び合成のアニオン性ポリマーから選択することができる。
【0102】
(e)アニオン性ポリマーは、少なくとも1つの疎水性鎖を含んでもよい。
【0103】
少なくとも1つの疎水性鎖を含みうるアニオン性ポリマーは、α,β-エチレン性不飽和を含むカルボン酸(モノマーa')及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(モノマーa'')から選択されるモノマー(a)を、(a)以外のエチレン性不飽和を含む非表面活性モノマー(b)、並びに/又はα,β-モノエチレン性不飽和を含むアクリルモノマー若しくはモノエチレン性不飽和を含むイソシアネートモノマーを、一価の非イオン性両親媒性成分又は第一級若しくは第二級脂肪アミンと反応させることから得られるエチレン性不飽和を含むモノマー(c)と、共重合させることによって得ることができる。
【0104】
そのため、少なくとも1つの疎水性鎖を有するアニオン性ポリマーは、2つの合成経路:
- モノマー(a')と(c)、若しくは(a')と(b)と(c)、若しくは(a'')と(c)、若しくは(a'')と(b)と(c)との共重合、
- 又はモノマー(a')、若しくはモノマー(a')と(b)、若しくは(a'')と(b)とから形成されたコポリマーの一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪アミンによる修飾(具体的にはエステル化若しくはアミド化)、
のいずれかによって得ることができる。
【0105】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマーとしては、特に、論文「Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering - Macromolecules、2000年、第33巻、第10号-3694~3704頁」並びに出願EP-A-0750899及びEP-A-1069172に開示されているものを挙げることができる。
【0106】
モノマー(a')を構成する、α,β-モノエチレン性不飽和を含むカルボン酸は、多数の酸から、特に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸及びマレイン酸から選択することができる。これは、好ましくは、アクリル酸又はメタクリル酸である。
【0107】
コポリマーは、界面活性剤特性を有さないモノエチレン性不飽和を含むモノマー(b)を含んでもよい。好ましいモノマーは、単独重合する場合に水不溶性ポリマーをもたらすものである。これらは、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸アルキル(C1~C4)、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル又は対応するメタクリレートから選択することができる。より特に好ましいモノマーは、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルである。使用されうる他のモノマーは、例えば、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル及び塩化ビニリデンである。非反応性モノマーが好ましく、これらのモノマーは、単一のエチレン性基が、重合条件下で反応性である唯一の基であるものである。しかしながら、熱の作用下で反応する基を含むモノマー、例えばアクリル酸ヒドロキシエチルを、任意選択で使用することができる。
【0108】
モノマー(c)は、α,β-モノエチレン性不飽和を含むアクリルモノマー、例えば(a)、又はモノエチレン性不飽和を含むイソシアネートモノマーと、一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪アミンとの反応によって得られる。
【0109】
非イオン性モノマー(c)を生成するのに使用される一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪アミンは、周知である。一価の非イオン性両親媒性化合物は、一般に、分子の親水性部分を形成するアルキレンオキシドを含むアルコキシル化疎水性化合物である。疎水性化合物は、一般に、脂肪族アルコール又はアルキルフェノールで構成され、その化合物中、少なくとも6個の炭素原子を含む炭素性鎖が、両親媒性化合物の疎水性部分を構成する。
【0110】
好ましい一価の非イオン性両親媒性化合物は、以下の式(V):
R-(OCH2CHR')m-(OCH2CH2)n-OH (V)
(式中、Rは、6~30個の炭素原子を含むアルキル又はアルキレン基、及び8~30個の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルアリール基から選択され、R'は、1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、nは、およそ1~150の範囲の平均数であり、mは、およそ0~50の範囲の平均数であり、但し、nは、少なくともmと同じ大きさである)を有する化合物である。
【0111】
好ましくは、式(V)の化合物中、R基は、12から26個の炭素原子を含むアルキル基及びアルキル基がC8~C13であるアルキルフェニル基から選択され、R'基は、メチル基であり、m=0であり、n=1から25である。
【0112】
好ましい第一級及び第二級脂肪アミンは、6~30個の炭素原子を含む1つ又は2つのアルキル鎖から構成される。
【0113】
非イオン性ウレタンモノマー(c)を形成するのに使用されるモノマーは、きわめて多様な化合物から選択することができる。共重合性不飽和、例えばアクリル性、メタクリル性又はアリル性不飽和を含む、任意の化合物を使用してもよい。モノマー(c)は、特に、モノエチレン性不飽和を含むイソシアネート、例えば特にα,α-ジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネートから得ることができる。
【0114】
モノマー(c)は、特に、オキシエチレン化(1から50EO)C6~C30脂肪アルコールのアクリレート、メタクリレート又はイタコネート、例えばメタクリル酸ステアレス-20、オキシエチレン化(25EO)ベヘニルメタクリレート、オキシエチレン化(20EO)モノセチルイタコネート、オキシエチレン化(20EO)モノステアリルイタコネート又はポリオキシエチレン化(25EO)C12~C24アルコールで修飾されたアクリレートから、及びオキシエチレン化(1から50EO)C6~C30脂肪アルコールのジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネート、例えば特にオキシエチレン化ベヘニルアルコールのジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネートから選択されてもよい。
【0115】
本発明の特定の実施形態によれば、(e)アニオン性ポリマーは、(a)α,β-エチレン性不飽和を含むカルボン酸、(b)(a)以外のエチレン性不飽和を含む非表面活性モノマー、及び(c)一価の非イオン性両親媒性化合物と、モノエチレン性不飽和を含むイソシアネートとの反応生成物である非イオン性ウレタンモノマーから得られるアクリルターポリマーから選択される。
【0116】
少なくとも1つの疎水性鎖を含むアニオン性ポリマーとしては、特に、アクリル酸/アクリル酸エチル/アクリル酸アルキルターポリマー、例えばRohm & Haas社によって名称Acusol 823で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリレート/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、例えばRohm & Haas社によって名称Aculyn 22で販売されている製品;(メタ)アクリル酸/アクリル酸エチル/オキシエチレン化(25EO)ベヘニルメタクリレートターポリマー、例えばRohm & Haas社によって名称Aculyn 28で販売されている水性エマルジョンとしての製品;アクリル酸/オキシエチレン化(20EO)モノセチルイタコネートコポリマー、例えばNational Starch社によって名称Structure 3001で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリル酸/オキシエチレン化(20EO)モノステアリルイタコネートコポリマー、例えばNational Starch社によって名称Structure 2001で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリレート/ポリオキシエチレン化(25EO)C12~C24アルコールで修飾されたアクリレートのコポリマー、例えば3V SA社によって名称Synthalen W2000で販売されている30~32%コポリマーラテックス;又はメタクリル酸/アクリル酸メチル/エトキシル化ベヘニルアルコールのジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートのターポリマー、例えば文献EP-A-0173109に開示された40個のエチレンオキシド基を含む24%水性分散体としての製品を挙げることができる。
【0117】
(e)アニオン性ポリマーはまた、ポリエステル-5、例えば、以下の化学式を有する、EASTMAN CHEMICAL社により名称Eastman AQ(商標)55S Polymerで販売されている製品であってもよい。
【0118】
【0119】
A:ジカルボン酸部分
G:グリコール部分
SO3
-Na+: ナトリウムスルホ基
OH:ヒドロキシル基
【0120】
(e)アニオン性ポリマーが、多糖、例えばアルギン酸、ヒアルロン酸及びセルロースポリマー(例えばカルボキシメチルセルロース及びセルロースガム)、アニオン性(コ)ポリアミノ酸、例えば(コ)ポリグルタミン酸、(コ)ポリ(メタ)アクリル酸、(コ)ポリアミン酸、(コ)ポリスチレンスルホネート、(コ)ポリ(ビニルスルフェート)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、(コ)ポリマレイン酸、(コ)ポリフマル酸、マレイン酸(コ)ポリマー、並びにこれらの塩からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0121】
マレイン酸コポリマーは、1つ以上のマレイン酸コモノマー、並びに酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、2~20個の炭素原子を含むオレフィン、及びスチレンから選択される1つ以上のコモノマーを含んでもよい。
【0122】
したがって、「マレイン酸コポリマー」は、1つ以上のマレイン酸コモノマーと、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、2~20個の炭素原子を含むオレフィン、例えばオクタデセン、エチレン、イソブチレン、ジイソブチレン又はイソオクチレン、及びスチレンから選択される1つ以上のコモノマーとの共重合によって得られる任意のポリマーを意味すると理解され、マレイン酸コモノマーは、任意選択で部分的に又は完全に加水分解されている。好ましくは、親水性ポリマー、すなわち2g/l以上の水溶解度を有するポリマーが使用される。
【0123】
本発明の有利な態様では、マレイン酸コポリマーは、マレイン酸単位のモル分率が、0.1から1の間、より好ましくは0.4から0.9の間であってもよい。
【0124】
マレイン酸コポリマーの質量平均モル質量は、1,000から500,000の間、好ましくは1,000から50,000の間でありうる。
【0125】
マレイン酸コポリマーが、スチレン/マレイン酸コポリマー、より好ましくはスチレン/マレイン酸コポリマーナトリウムであることが好ましい。
【0126】
好ましくは、50/50の比のスチレンとマレイン酸とのコポリマーが使用される。
【0127】
例えば、Cray Valley社により参照名SMA1000H(登録商標)で販売されている、水中30%でアンモニウム塩の形態のスチレン/マレイン酸(50/50)コポリマー、又はCray Valley社により参照名SMA1000HNa(登録商標)で販売されている、水中40%でナトリウム塩の形態のスチレン/マレイン酸(50/50)コポリマーが使用されうる。
【0128】
スチレン/マレイン酸コポリマー、例えばスチレン/マレイン酸コポリマーナトリウムの使用は、本発明による組成物によって調製される皮膜の濡れ性を改善することができる。
【0129】
本発明の一実施形態によれば、(e)アニオン性ポリマーは、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択されることが好ましい。
【0130】
ヒアルロン酸は、以下の化学式によって表すことができる。
【0131】
【0132】
本発明の文脈では、用語「ヒアルロン酸」は、具体的には、次式:
【0133】
【0134】
のヒアルロン酸の基本単位を包含する。
【0135】
これは、二糖ダイマー、すなわちD-グルクロン酸及びN-アセチルグルコサミンを含むヒアルロン酸の最小の部分である。
【0136】
用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」はまた、本発明の文脈では、380から13,000,000ダルトンの間の範囲でありうる分子量(MW)を有する、交互β(1,4)及びβ(1,3)グルコシド結合を介して鎖内で一緒に結合される上記のポリマー単位を含む直鎖状ポリマーも含む。この分子量は、主に、ヒアルロン酸が得られる供給源及び/又は調製方法に依存する。
【0137】
用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」はまた、本発明の文脈では、ヒアルロン酸塩も含む。塩として、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0138】
自然状態では、ヒアルロン酸は、真皮及び上皮組織等の脊椎動物の臓器の結合組織の基体中の細胞周囲ゲル中に存在し、具体的には、表皮中、関節の滑液中、硝子体液中、ヒト臍帯中、及び鶏冠突起中に存在する。
【0139】
そのため、用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」は、特に上で想起される分子量の範囲内の分子量を有するヒアルロン酸の全分画又はサブユニットを含む。
【0140】
本発明の文脈では、炎症活性を有さないヒアルロン酸分画が使用されることが好ましい。
【0141】
多様なヒアルロン酸画分の例示を介して、ヒアルロン酸の列挙されている生物活性をその分子量に応じて概説している文献「Hyaluronan fragments:an information-rich system」、R. Sternら、European Journal of Cell Biology 58 (2006)、699~715頁を参照することができる。
【0142】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明に包含される使用に好適なヒアルロン酸分画は、50,000から5,000,000、特に100,000から5,000,000、とりわけ400,000から5,000,000Daの間の分子量を有する。この場合、使用される用語は、高分子量のヒアルロン酸である。
【0143】
或いは、本発明に包含される使用に好適でもありうるヒアルロン酸分画は、50,000から400,000Daの間の分子量を有する。この場合、使用される用語は、中間分子量のヒアルロン酸である。
【0144】
更に或いは、本発明に包含される使用に好適でありうるヒアルロン酸分画は、50,000Da未満の分子量を有する。この場合、使用される用語は、低分子量のヒアルロン酸である。
【0145】
最後に、用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」はまた、ヒアルロン酸エステル、具体的には、1~20個の炭素原子を含有する、特にヒアルロン酸のD-グルクロン酸のレベルにおける置換度が0.5~50%の範囲である、酸官能基のカルボン酸基の全て又は一部がオキシエチレン化アルキル又はアルコールでエステル化されているものを含む。
【0146】
特に、ヒアルロン酸のメチル、エチル、n-プロピル、n-ペンチル、ベンジル及びドデシルエステルを挙げることができる。このようなエステルは、詳細には、D. Campocciaら、「Semisynthetic resorbable materials from hyaluronan esterification」、Biomaterials 19 (1998) 2101~2127頁に記載されている。
【0147】
ヒアルロン酸誘導体は、例えば、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩であってもよい。
【0148】
上に示した分子量はまた、ヒアルロン酸エステルにも有効である。
【0149】
ヒアルロン酸は、特に、Hyactive社から商品名CPN(MW:10~150kDa)で、Soliance社から商品名Cristalhyal(MW:1.1×106)、Bioland社から名称Nutra HA(MW:820 000Da)で、Bioland社から名称Nutra AF(MW:69 000Da)で、Bioland社から名称Oligo HA(MW:6100Da)で、又はVam Farmacos Metica社から名称D Factor(MW:380Da)で供給されているヒアルロン酸であってもよい。
【0150】
(e)アニオン性ポリマーは、天然アニオン性ポリマー、より好ましくは多糖から選択されることが好ましい場合がある。
【0151】
(e)アニオン性ポリマーは、ヒアルロン酸及びその誘導体、セルロースポリマー及びその塩、例えばカルボキシメチルセルロース及びセルロースガム(ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが更により好ましい場合がある。
【0152】
したがって、(e)アニオン性ポリマーは、多糖、好ましくはヒアルロン酸及びその誘導体、セルロースポリマー及びその塩、並びにこれらの混合物、より好ましくはヒアルロン酸及びその塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース及びその塩、例えばセルロースガム、並びにこれらの混合物から選択されてもよい。
【0153】
本発明による組成物中の(e)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0154】
本発明による組成物中の(e)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0155】
本発明による組成物中の(e)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0156】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマー及び(e)アニオン性ポリマーの総量は、組成物の総質量に対して0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0157】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマー及び(e)アニオン性ポリマーの総量は、組成物の総質量に対して20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0158】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマー及び(e)アニオン性ポリマーの総量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0159】
(a)カチオン性ポリマー/(e)アニオン性ポリマーの量、例えば化学当量の比は、0.05~18、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.5~5.0であってもよい。詳細には、(a)カチオン性ポリマーのカチオン性基の数/(e)アニオン性ポリマーのアニオン性基の数が、0.05~18、より好ましくは0.1~10、更により好ましくは0.5~5.0であることが好ましい場合がある。
【0160】
(2つ以上の酸解離定数を有する非ポリマー酸)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、すなわち、少なくとも1種の2つ以上の酸解離定数を有する非ポリマー酸又はその塩を含む。pKa値(酸解離定数)は、当業者に周知であり、一定の温度、例えば25℃で決定されるべきである。
【0161】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、(a)カチオン性ポリマーのための架橋剤として機能することができる。(a)カチオン性ポリマーは、(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩によってイオンで架橋されていてもよい。
【0162】
用語「非ポリマー」は、本明細書では、酸が、2種以上のモノマーを重合させることによって得られるものではないことを意味する。したがって、非ポリマー酸は、ポリカルボン酸等の2種以上のモノマーを重合することによって得られる酸には相当しない。
【0163】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の分子量が、1,000以下、好ましくは800以下、より好ましくは700以下であることが好ましい。
【0164】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩のタイプに限定はない。2つ以上のpKa値を有する2種以上の異なるタイプの非ポリマー酸又はその塩を組み合わせて使用してよい。そのため、2つ以上のpKa値を有する単一のタイプの非ポリマー酸若しくはその塩、又は2つ以上のpKa値を有する異なるタイプの非ポリマー酸若しくはその塩の組合せを使用することができる。
【0165】
用語「塩」は、本明細書では、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸に、好適な塩基を添加することによって形成される塩を意味し、これは、当業者に公知の方法に従って、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸を、塩基と反応させることから得ることができる。塩として、金属塩、例えば、Na及びK等のアルカリ金属との塩並びにMg及びCa等のアルカリ土類金属との塩、並びにアンモニウム塩を挙げることができる。
【0166】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、有機酸又はその塩、好ましくは親水性又は水溶性の有機酸又はその塩であってもよい。
【0167】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性ヒドロキシル基、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも2つの酸基を有しうる。
【0168】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、非ポリマー多価酸であってもよい。
【0169】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、ジカルボン酸、ジスルホン酸及び二リン酸、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0170】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、アコニット酸、オキサロ酢酸、酒石酸、及びこれらの塩;アスパラギン酸、グルタミン酸、及びこれらの塩;テレフタリリデンジカンファースルホン酸、又はその塩(Mexoryl SX)、ベンゾフェノン-9;フィチン酸及びその塩;赤色2号(アマランス)、赤色102号(ニューコクシン)、黄色5号(タルトラジン)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)、赤色201号(リソールルビンB)、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色227号(ファストアシッドマジェンタ)、黄色203号(キノリンイエローWS)、緑色201号(アリザニンシアニングリーンF)、緑色204号(ピラニンコンク)、緑色205号(ライトグリーンSF黄)、青色203号(パテントブルーCA)、青色205号(アルファズリンFG)、赤色401号(ビオラミンR)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、赤色502号(ポンソー3R)、赤色503号(ポンソーR)、赤色504号(ポンソーSX)、緑色401号(ナフトールグリーンB)、緑色402号(ギネアグリーンB)及び黒色401号(ナフトールブルーブラック);葉酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びこれらの塩;シスチン及びその塩;EDTA及びその塩;グリチルリチン及びその塩;並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0171】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩が、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩(Mexoryl SX)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、アスコルビン酸、フィチン酸、及びこれらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0172】
(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩が、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩(Mexoryl SX)、フィチン酸、及びこれらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることがより好ましい場合がある。
【0173】
本発明による組成物中の(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0174】
本発明による組成物中の(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0175】
本発明による組成物中の(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0176】
[ポリオール]
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種のポリオールを含む。2種以上のポリオールが使用される場合、これらは、同一であっても異なっていてもよい。
【0177】
用語「ポリオール」は、本明細書では、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖又はその誘導体を包含しない。糖の誘導体としては、糖の1つ以上のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、及びその1つ以上のヒドロキシ基中の水素原子がアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基、又はカルボニル基等の少なくとも1つの置換基で置き換えられている、糖又は糖アルコールが挙げられる。
【0178】
本発明において使用されるポリオールは、大気圧(760mmHg又は105Pa)下、25℃等の室温にて液体である。
【0179】
(c)ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2~5つのヒドロキシ基を含むC2~24ポリオール、好ましくはC2~9ポリオールであってもよい。
【0180】
(c)ポリオールは、天然の又は合成のポリオールであってもよい。ポリオールは、直鎖状、分岐状又は環状の分子構造を有していてもよい。
【0181】
(c)ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択されうる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、C6~C24ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択することができる。
【0182】
(c)ポリオールは、グリセリンであることが好ましい。
【0183】
本発明において使用される組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
【0184】
他方、本発明において使用される組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して95質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは30質量%以下であってもよい。
【0185】
本発明において使用される組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、10質量%~95質量%、好ましくは10質量%~60質量%、より好ましくは10質量%~30質量%の範囲であってもよい。
【0186】
[水]
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0187】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であってもよい。
【0188】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0189】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~90質量%、好ましくは30質量%~90質量%、より好ましくは50質量%~90質量%であってもよい。
【0190】
[pH]
本発明による組成物のpHは、9.0以下、好ましくは8.5以下、より好ましくは8.1以下であってもよい。
【0191】
本発明による組成物のpHは、3.0以上、好ましくは3.3以上、より好ましくは3.5以上であってもよい。
【0192】
本発明による組成物のpHは、3.0~9.0、好ましくは3.3~8.5、より好ましくは3.5~8.1でありうる。
【0193】
3.0~9.0のpHにおいて、本発明による組成物は、非常に安定でありうる。
【0194】
本発明による組成物のpHは、(b)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩以外の、少なくとも1種のアルカリ剤及び/又は少なくとも1種の酸を添加することによって調整することができる。本発明による組成物のpHはまた、少なくとも1種の緩衝剤を添加することによって調整することもできる。
【0195】
(アルカリ剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルカリ剤を含んでよい。2種以上のアルカリ剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのアルカリ剤、又は異なるタイプのアルカリ剤の組合せを使用することができる。
【0196】
アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよい。無機アルカリ剤は、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩、例えばリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムからなる群から選択されることが好ましい。
【0197】
無機アルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例としては、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0198】
アルカリ剤は、有機アルカリ剤であってもよい。有機アルカリ剤は、モノアミン及びその誘導体、ジアミン及びその誘導体、ポリアミン及びその誘導体、塩基性アミノ酸及びその誘導体、塩基性アミノ酸のオリゴマー及びその誘導体、塩基性アミノ酸のポリマー及びその誘導体、尿素及びその誘導体、並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0199】
有機アルカリ剤の例として、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミン、並びにイソプロパノールアミン;尿素、グアニジン及びこれらの誘導体;塩基性アミノ酸、例えばリジン、オルニチン又はアルギニン;並びにジアミン、例えば以下の構造:
【0200】
【0201】
(式中、Rは、ヒドロキシル基又はC1~C4アルキル基で任意選択により置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、R1、R2、R3及びR4は、独立に、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示す)で記載され、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示することができるものを挙げることができる。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい。
【0202】
アルカリ剤は、これらの溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.02質量%~10質量%、より好ましくは0.03質量%~5質量%の総量で使用することができる。
【0203】
(酸)
本発明による組成物は、少なくとも1種の酸を含んでよい。2種以上の酸を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの酸、又は異なるタイプの酸の組合せを使用することができる。
【0204】
酸としては、化粧料中で一般に使用される任意の無機又は有機酸、好ましくは無機酸を挙げることができる。一価の酸及び/又は多価酸を使用してもよい。クエン酸、乳酸、硫酸、リン酸及び塩酸(HCl)等の一価の酸を使用してもよい。HClが好ましい。
【0205】
酸は、これらの溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.02質量%~10質量%、より好ましくは0.03質量%~5質量%の総量で使用することができる。
【0206】
(緩衝剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の緩衝剤を含んでよい。2種以上の緩衝剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの緩衝剤、又は異なるタイプの緩衝剤の組合せを使用することができる。
【0207】
緩衝剤として、酢酸緩衝液(例えば、酢酸+酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝液(例えば、リン酸二水素ナトリウム+リン酸水素二ナトリウム)、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝液(例えば、ホウ酸+ホウ酸ナトリウム)、酒石酸緩衝液(例えば、酒石酸+酒石酸ナトリウム二水和物)、トリス緩衝液(例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、及びHepes緩衝液(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)を挙げることができる。
【0208】
[任意選択の成分]
本発明による組成物は、前述の必須成分(成分(a)~(d))に加えて、任意選択の成分、例えば、(e)アニオン性ポリマー、並びに化粧品に典型的に用いられる成分、具体的には、界面活性剤(特に、非イオン性界面活性剤)又は乳化剤、親水性又は親油性増粘剤、成分(c)以外の有機揮発性又は不揮発性溶媒、親水性又は疎水性UV遮蔽剤、シリコーン及びシリコーン誘導体、動物又は植物に由来する天然抽出物、油、ワックス等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでもよい。
【0209】
本発明による組成物は、上記の任意選択の成分を、組成物の総質量に対して、0.01質量%~50質量%、好ましくは0.05質量%~30質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の量で含んでもよい。
【0210】
本発明による組成物は、界面活性剤を含まなくてもよい、又は限定された量の界面活性剤、例えば、組成物の総質量に対して、0.1質量%未満、好ましくは0.01質量%未満、より好ましくは0.001質量%未満の界面活性剤を含んでもよい。
【0211】
[調製]
本発明による組成物は、上に記載した必須成分と任意選択の成分とを従来の方法で混合して調製することができる。
【0212】
例えば、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、
(b)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、
(c)少なくとも1種のポリオール、及び
(d)水
を混合する工程を含む方法によって調製することができ、ここで、組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して10質量%以上である。
【0213】
任意選択の成分のいずれかを更に混合することが可能である。例えば、(e)少なくとも1種のアニオン性ポリマーを混合してもよい。
【0214】
混合は、室温(例えば、25℃)等の任意の温度で、好ましくは加熱せずに実施することができる。本発明による組成物は、一切の加熱工程なしで調製できるため、環境に優しい可能性がある。
【0215】
本発明による化粧用組成物が、室温(例えば、25℃)で液体の形態であることが好ましい。
【0216】
[皮膜]
本発明による組成物は、皮膜を容易に調製するのに使用することができる。
【0217】
したがって、本発明はまた、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、より更により好ましくは100nm以上の厚さを任意選択により有する皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製するための方法であって、
本発明による組成物を基質、好ましくはケラチン物質、より好ましくは皮膚及び毛髪に適用する工程と、
組成物を乾燥させる工程とを含む方法にも関しうる。
【0218】
上記皮膜の厚さの上限は限定されない。したがって、例えば、上記の皮膜の厚さは、10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、更により好ましくは1μm以下であってもよい。
【0219】
そのため、本発明はまた、皮膜、好ましくは化粧皮膜であって、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、
(b)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、及び
(c)少なくとも1種のポリオール
を含む、皮膜にも関する。
【0220】
皮膜は、(d)水を更に含んでもよい。
【0221】
上記の皮膜、好ましくは、化粧皮膜は、7以下のpHを有する水に耐性があり、7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上のpHを有する水で除去される。
【0222】
言い換えると、上記の皮膜、好ましくは、化粧皮膜は、7以下、好ましくは6以上かつ7以下の範囲内、より好ましくは5以上かつ7以下の範囲内のpH等の中性又は酸性条件下で耐水性でありうる一方、上記の皮膜、好ましくは、化粧皮膜は、7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上のpH等のアルカリ性条件下で除去することができる。pHの上限は、好ましくは13、より好ましくは12、更により好ましくは11である。
【0223】
これに応じて、上記の皮膜、好ましくは、化粧皮膜は、耐水性であることができ、したがって、それは、ケラチン物質の表面が例えば汗及び雨により濡れている場合であっても、皮膚及び毛髪等のケラチン物質上に残存することができる。他方、上記の皮膜、好ましくは、化粧皮膜は、アルカリ性条件下で、ケラチン物質から容易に除去することができる。したがって、上記の皮膜、好ましくは、化粧皮膜は、水で除去することは困難であるが、それは、例えば、アルカリ性条件をもたらすことができる石けんを用いて容易に除去することができる。
【0224】
更に、上記の皮膜は、皮膜が美容有効成分を一切含まない場合であっても、皮膜の特性に起因して、悪臭を吸収若しくは吸着すること、皮膚及び毛髪等のケラチン物質の外観を変化させること、ケラチン物質の触感を変化させること、及び/又は例えば汚れ若しくは汚染物質からケラチン物質を保護すること等の美容効果を有しうる。
【0225】
上記の皮膜がグリセリン等の(c)少なくとも1種のポリオールを含むと、皮膜は、(c)ポリオールによってもたらされる美容効果、例えば、保湿効果を有することができる。
【0226】
[美容上の使用及び美容方法]
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくはケア化粧用組成物、より好ましくはスキンケア又はヘアケア化粧用組成物として使用されてもよい。
【0227】
したがって、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質への適用が意図されてもよい。ケラチン物質は、ケラチン繊維であってもよい。ケラチン繊維は、本明細書では、ケラチンを主要構成要素として含有する繊維を意味し、その例には、毛髪、睫毛、眉毛等が挙げられる。他方、ケラチン物質は、皮膚及び唇等の粘膜であってもよい。
【0228】
本発明による組成物は、好ましくは、皮膚及び毛髪等のケラチン物質のためのリーブオン又はリンスオフ化粧用組成物として使用することができる。
【0229】
「リーブオン」は、本明細書では、本発明による組成物が、ケラチン物質上に適用された後に皮膚及び毛髪等のケラチン物質から除去されないことを意味する。
【0230】
「リンスオフ」は、本明細書では、本発明による組成物が、ケラチン物質上に適用された後に、濯ぐことによって、皮膚及び毛髪等のケラチン物質から除去されることを意味する。水を、濯ぎのために使用することができる。リンスオフした後であっても、本発明による組成物は、残存して、皮膚及び毛髪等のケラチン物質上で、皮膜又はコーティングを形成することができる。
【0231】
本発明はまた、皮膚及び毛髪等のケラチン物質のための、
ケラチン物質に、本発明による組成物を適用する工程と、
組成物を乾燥させてケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程と
を含む美容方法、並びに
皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製するための、
本発明による組成物を、皮膚及び毛髪等のケラチン物質上に適用する工程と、
組成物を乾燥させる工程とを含む方法にも関する。
【0232】
美容方法は、本明細書では、皮膚及び毛髪等のケラチン物質をケアする及び/又は毛髪等のケラチン繊維をスタイリングするための非治療的美容方法を意味する。
【0233】
本発明はまた、本発明による組成物の、皮膚及び毛髪等のケラチン物質上での化粧皮膜の調製のための、使用にも関しうる。
【0234】
本発明はまた、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、
(b)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の、
皮膚及び毛髪等のケラチン物質のための、
(c)少なくとも1種のポリオール、及び
(d)水
を含む化粧用組成物中での、当該組成物のベタつきを低減するための使用であって、ここで、組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して10質量%以上である、使用にも関しうる。
【0235】
本発明による使用は、成分(a)及び(b)を、任意選択により成分(e)と組み合わせることによって、成分(c)及び(d)を含む組成物であって、組成物中の成分(c)の量が組成物の総質量に対して10質量%以上である組成物のベタつきを低減することができる。
【0236】
本発明による組成物中の成分(a)~(e)に関する説明は、本発明による使用における説明に適用されうる。
【実施例0237】
本発明は、実施例によって、より詳細な方法で記載されることになる。しかしながら、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0238】
(実施例1~4及び比較例1~4)
[調製]
実施例1~4及び比較例1~4による組成物のそれぞれを、表1に示す成分を室温(25℃)で混合することによって調製した。表1における成分の量についての数値はすべて、原料の「質量%」に基づく。
【0239】
【0240】
[評価]
(ゲル皮膜の形成)
10gの量の実施例1~4及び比較例1~4による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0241】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿中のゲル皮膜の形成を評価した。
5: 均一なゲル皮膜が形成された(ゲル皮膜はペトリ皿の上に均一に存在していた)
4: ゲル皮膜が形成されたが、均一ではなかった(ゲル皮膜はペトリ皿の上に不均一に存在していた)
3: ゲル皮膜が若干形成された
2: ゲル皮膜が非常にごく僅かだけ形成された
1: ゲル皮膜は形成されなかった
【0242】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0243】
結果を表1に示す。
【0244】
(質感)
10gの量の実施例1~4及び比較例1~4による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0245】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿上の質感を評価した。
5: ベタつかない(非常に滑らか)
4: 非常に僅かなベタつき(滑らか)
3: 若干ベタつく
2: ベタつく
1: 非常にベタつく
【0246】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0247】
結果を表1に示す。
【0248】
(概略)
実施例1~4による組成物は、ゲル皮膜を形成した。実施例1及び2による組成物は、実施例3及び4による組成物より良好なゲル皮膜を形成した。
【0249】
比較例1~4による組成物は、ゲルを一切形成できなかった。
【0250】
比較例2及び4による組成物はグリセリンを含まなかったため、組成物の質感は評価されなかった。
【0251】
カチオン性ポリマー(ポリリジン及びキトサン)、架橋剤(フィチン酸又はテレフタリリデンジカンファースルホン酸)及びグリセリンが、ゲル皮膜(コアセルベート)を形成することができ、グリセリンに固有のベタつきを低減できることが実証された。
【0252】
(実施例5~6及び比較例5~6)
[調製]
実施例5~6及び比較例5~6による組成物のそれぞれを、表2に示す成分を室温(25℃)で混合することによって調製した。表2における成分の量についての数値はすべて、原料の「質量%」に基づく。
【0253】
【0254】
[評価]
(ゲル皮膜の形成)
10gの量の実施例5~6及び比較例5~6による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0255】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿中のゲル皮膜の形成を評価した。
5: 均一なゲル皮膜が形成された(ゲル皮膜はペトリ皿の上に均一に存在していた)
4: ゲル皮膜が形成されたが、均一ではなかった(ゲル皮膜はペトリ皿の上に不均一に存在していた)
3: ゲル皮膜が若干形成された
2: ゲル皮膜が非常にごく僅かだけ形成された
1: ゲル皮膜は形成されなかった
【0256】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0257】
結果を表2に示す。
【0258】
(質感)
10gの量の実施例5~6及び比較例5~6による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0259】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿上の質感を評価した。
5: ベタつかない(非常に滑らか)
4: 非常に僅かなベタつき(滑らか)
3: 若干ベタつく
2: ベタつく
1: 非常にベタつく
【0260】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0261】
結果を表2に示す。
【0262】
(概略)
実施例5~6による組成物は、均一なゲル皮膜を形成した。ゲル皮膜は、ペトリ皿の表面全体に拡がった。
【0263】
比較例5~6による組成物は、ゲルを一切形成できなかった。
【0264】
比較例5による組成物はグリセリンを含まなかったため、組成物のベタつきは評価されなかった。
【0265】
アニオン性ポリマー(ヒアルロン酸ナトリウム及びセルロースガム)が、カチオン性ポリマー(ポリリジン)、架橋剤(フィチン酸)及びグリセリンに添加されてゲル皮膜(コアセルベート)を形成することができ、こうして形成されたゲル皮膜がより好ましい(より均一である)ことが実証された。
【0266】
(実施例7~8及び比較例7~8)
[調製]
実施例7~8及び比較例7~8による組成物のそれぞれを、表3に示す成分を室温(25℃)で混合することによって調製した。表3における成分の量についての数値はすべて、原料の「質量%」に基づく。
【0267】
【0268】
[評価]
(ゲル皮膜の形成)
10gの量の実施例7~8及び比較例7~8による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0269】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿中のゲル皮膜の形成を評価した。
5: 均一なゲル皮膜が形成された(ゲル皮膜はペトリ皿の上に均一に存在していた)
4: ゲル皮膜が形成されたが、均一ではなかった(ゲル皮膜はペトリ皿の上に不均一に存在していた)
3: ゲル皮膜が若干形成された
2: ゲル皮膜が非常にごく僅かだけ形成された
1: ゲル皮膜は形成されなかった
【0270】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0271】
結果を表3に示す。
【0272】
(質感)
10gの量の実施例7~8及び比較例7~8による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0273】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿上の質感を評価した。
5: ベタつかない(非常に滑らか)
4: 非常に僅かなベタつき(滑らか)
3: 若干ベタつく
2: ベタつく
1: 非常にベタつく
【0274】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0275】
結果を表3に示す。
【0276】
(概略)
実施例7~8による組成物は、ゲルを形成した。
【0277】
比較例7~8による組成物は、ゲルを一切形成できなかった。
【0278】
大量のグリセリンを使用してゲル皮膜(コアセルベート)を形成することができることが実証された。
【0279】
(実施例9及び比較例9)
[調製]
実施例9及び比較例9による組成物のそれぞれを、表4に示す成分を室温(25℃)で混合することによって調製した。表4における成分の量についての数値はすべて、原料の「質量%」に基づく。
【0280】
【0281】
[評価]
(ゲル皮膜の形成)
10gの量の実施例9及び比較例9による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0282】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿中のゲル皮膜の形成を評価した。
5: 均一なゲル皮膜が形成された(ゲル皮膜はペトリ皿の上に均一に存在していた)
4: ゲル皮膜が形成されたが、均一ではなかった(ゲル皮膜はペトリ皿の上に不均一に存在していた)
3: ゲル皮膜が若干形成された
2: ゲル皮膜が非常にごく僅かだけ形成された
1: ゲル皮膜は形成されなかった
【0283】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0284】
結果を表4に示す。
【0285】
(質感)
10gの量の実施例9及び比較例9による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0286】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿上の質感を評価した。
5: ベタつかない(非常に滑らか)
4: 非常に僅かなベタつき(滑らか)
3: 若干ベタつく
2: ベタつく
1: 非常にベタつく
【0287】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0288】
結果を表4に示す。
【0289】
(概略)
実施例9による組成物は、ゲルを形成した。
【0290】
比較例9による組成物は、ゲルを一切形成できなかった。
【0291】
大量のカチオン性ポリマー及び/又は大量の架橋剤を使用してゲル皮膜(コアセルベート)を形成することができることが実証された。
【0292】
(実施例10~16)
[調製]
実施例10~16による組成物のそれぞれを、表5に示す成分を室温(25℃)で混合することによって調製した。表5における成分の量についての数値はすべて、原料の「質量%」に基づく。
【0293】
【0294】
[評価]
(ゲル皮膜の形成)
10gの量の実施例10~16による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0295】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿中のゲル皮膜の形成を評価した。
5: 均一なゲル皮膜が形成された(ゲル皮膜はペトリ皿の上に均一に存在していた)
4: ゲル皮膜が形成されたが、均一ではなかった(ゲル皮膜はペトリ皿の上に不均一に存在していた)
3: ゲル皮膜が若干形成された
2: ゲル皮膜が非常にごく僅かだけ形成された
1: ゲル皮膜は形成されなかった
【0296】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0297】
結果を表5に示す。
【0298】
(質感)
10gの量の実施例10~16による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0299】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿上の質感を評価した。
5: ベタつかない(非常に滑らか)
4: 非常に僅かなベタつき(滑らか)
3: 若干ベタつく
2: ベタつく
1: 非常にベタつく
【0300】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0301】
結果を表5に示す。
【0302】
(概略)
実施例10~16による組成物は、ゲルを形成した。
【0303】
ゲル皮膜(コアセルベート)を形成するための架橋剤の量が変動しうることが実証された。
【0304】
(実施例17及び比較例10~14)
[調製]
実施例17及び比較例10~14による組成物のそれぞれを、表6に示す成分を室温(25℃)で混合することによって調製した。表6における成分の量についての数値はすべて、原料の「質量%」に基づく。
【0305】
【0306】
[評価]
(ゲル皮膜の形成)
10gの量の実施例17及び比較例10~14による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0307】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿中のゲル皮膜の形成を評価した。
5: 均一なゲル皮膜が形成された(ゲル皮膜はペトリ皿の上に均一に存在していた)
4: ゲル皮膜が形成されたが、均一ではなかった(ゲル皮膜はペトリ皿の上に不均一に存在していた)
3: ゲル皮膜が若干形成された
2: ゲル皮膜が非常にごく僅かだけ形成された
1: ゲル皮膜は形成されなかった
【0308】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0309】
結果を表6に示す。
【0310】
(質感)
10gの量の実施例17及び比較例10~14による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0311】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿上の質感を評価した。
5: ベタつかない(非常に滑らか)
4: 非常に僅かなベタつき(滑らか)
3: 若干ベタつく
2: ベタつく
1: 非常にベタつく
【0312】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0313】
結果を表6に示す。
【0314】
(概略)
実施例17による組成物は、ゲルを形成した。
【0315】
比較例10~14による組成物は、ゲルを一切形成できなかった。
【0316】
一価の酸(HCl)の使用がゲル皮膜(コアセルベート)を形成できなかったことが実証された。多価の架橋剤(例えば、フィチン酸)の使用が必須であることが理解されうる。
【0317】
(実施例18~23)
[調製]
実施例18~23による組成物のそれぞれを、表7に示す成分を室温(25℃)で混合することによって調製した。表7における成分の量についての数値はすべて、原料の「質量%」に基づく。
【0318】
【0319】
[評価]
(ゲル皮膜の形成)
10gの量の実施例18~23による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0320】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿中のゲル皮膜の形成を評価した。
5: 均一なゲル皮膜が形成された(ゲル皮膜はペトリ皿の上に均一に存在していた)
4: ゲル皮膜が形成されたが、均一ではなかった(ゲル皮膜はペトリ皿の上に不均一に存在していた)
3: ゲル皮膜が若干形成された
2: ゲル皮膜が非常にごく僅かだけ形成された
1: ゲル皮膜は形成されなかった
【0321】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0322】
結果を表7に示す。
【0323】
(質感)
10gの量の実施例18~23による組成物のそれぞれを、ペトリ皿に入れ、45℃で24時間乾燥した。
【0324】
5名の専門家が、以下の格付けに従って、ペトリ皿上の質感を評価した。
5: ベタつかない(非常に滑らか)
4: 非常に僅かなベタつき(滑らか)
3: 若干ベタつく
2: ベタつく
1: 非常にベタつく
【0325】
次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下のカテゴリーに分類した:
5: 非常に良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: 非常に不良
【0326】
結果を表7に示す。
【0327】
(概略)
実施例18~23による組成物は、ゲルを形成した。
【0328】
ゲル皮膜は、少なくとも8.1未満のpHで形成されうることが実証された。