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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005391
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電力量測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 22/06 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G01R22/06 110Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105551
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】311002034
【氏名又は名称】富士電機メーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 和文
(57)【要約】
【課題】グランド接続された電流センサと絶縁された電流センサとを用いても簡易な構成で電力量測定を行うことができる電力量測定装置を提供すること。
【解決手段】単相3線式であり、シャント抵抗器SRは、配電線L1に配置され、グランド接続された電流センサであり、電流センサCSは、配電線L3に配置され、絶縁された電流センサであり、電圧検出部11は、の配電線L1を基準電位として配電線L2に対する印加電圧を線間電圧V12として検出し、電圧検出部12は、配電線L1を基準電位として配電線L3に対する印加電圧を線間電圧V13として検出し、この線間電圧V13から線間電圧V12を減算した電圧を、配電線L2に対する線間電圧V23として検出する。各電流センサが検出する電流と、線間電圧V12,V23とを用いて電力量が算出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単相3線式で電力供給を行う配電線のうち中性線に対応する第3の配電線以外の第1の配電線及び第2の配電線にそれぞれ第1の電流センサ及び第2の電流センサを設けて電力量測定を行う電力量測定装置であって、
前記第1の電流センサは、グランド接続されて前記第1の配電線の第1の電流を測定し、
前記第2の電流センサは、絶縁されて前記第2の配電線の第2の電流を測定し、
前記第1の配電線を基準電位として前記第3の配電線に対する第1の印加電圧を前記第3の配電線に対する第1の線間電圧として検出する第1の電圧検出部と、
前記第2の配電線に対する第2の印加電圧を検出し、前記第2の印加電圧から前記第1の印加電圧を減算した第3の印加電圧を算出し、前記第3の印加電圧を、前記第3の配電線に対する第2の線間電圧として検出する第2の電圧検出部と、
前記第1の電流及び前記第1の線間電圧をもとに第1の電力量を演算し、前記第2の電流及び前記第2の線間電圧をもとに第2の電力量を演算し、前記第1の電力量と前記第2の電力量とを加算した全電力量を算出する電力量算出部と、
を備えることを特徴とする電力量測定装置。
【請求項2】
単相3線式で電力供給を行う配電線のうち中性線に対応する第3の配電線以外の第1の配電線及び第2の配電線にそれぞれ第1の電流センサ及び第2の電流センサを設けて電力量測定を行う電力量測定装置であって、
前記第1の電流センサは、グランド接続されて前記第1の配電線の第1の電流を測定し、
前記第2の電流センサは、絶縁されて前記第2の配電線の第2の電流を測定し、
前記第1の配電線を基準電位として前記第3の配電線に対する第1の印加電圧を前記第3の配電線に対する第1の線間電圧として検出する第1の電圧検出部と、
前記第1の配電線を基準電位として前記第2の配電線に対する第2の印加電圧を検出する第2の電圧検出部と、
前記第2の電圧検出部が検出した第2の印加電圧から前記第1の印加電圧を減算した第3の印加電圧を算出し、前記第3の印加電圧を、前記第3の配電線に対する第2の線間電圧として出力する演算処理部と、
前記第1の電流及び前記第1の線間電圧をもとに第1の電力量を演算し、前記第2の電流及び前記第2の線間電圧をもとに第2の電力量を演算し、前記第1の電力量と前記第2の電力量とを加算した全電力量を算出する電力量算出部と、
を備えることを特徴とする電力量測定装置。
【請求項3】
前記第1の電流センサは、シャント抵抗器を用いた電流センサであることを特徴とする請求項1または2に記載の電力量測定装置。
【請求項4】
前記第3の配電線に電圧が印加されて電力供給を行う三相3線式であり、前記第1の電流及び前記第1の線間電圧と、前記第2の電流及び前記第2の線間電圧とを用いた2電力計法により電力量測定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力量測定装置。
【請求項5】
三相4線式で電力供給を行う配電線のうち中性線に対応する第4の配電線以外の第1の配電線、第2の配電線及び第3の配電線にそれぞれ第1の電流センサ、第2の電流センサ及び第3の電流センサを設けて電力量測定を行う電力量測定装置であって、
前記第1の電流センサは、グランド接続されて前記第1の配電線の第1の電流を測定し、
前記第2の電流センサ及び前記第3の電流センサは、絶縁されてそれぞれ前記第2の配電線の第2の電流及び前記第3の配電線の第3の電流を測定し、
前記第1の配電線を基準電位として前記第4の配電線に対する第1の印加電圧を前記第4の配電線に対する第1の印加電圧として検出する第1の電圧検出部と、
前記第1の配電線を基準電位として前記第2の配電線に対する第2の印加電圧を前記第1の配電線に対する第2の印加電圧として検出する第2の電圧検出部と、
前記第1の配電線を基準電位として前記第3の配電線に対する第3の印加電圧を前記第1の配電線に対する第3の印加電圧として検出する第3の電圧検出部と、
前記第1の印加電圧の符号を替えた電圧を、前記第4の配電線を基準電位とした前記第1の配電線の第1の線間電圧として演算し、前記第2の印加電圧から前記第1の線間電圧を減算した値を、前記第4の配電線を基準電位とした前記第2の配電線の第2の線間電圧として演算し、前記第3の印加電圧から前記第1の線間電圧を減算した値を、前記第4の配電線を基準電位とした前記第3の配電線の第3の線間電圧として演算し、前記第1の電流及び前記第1の線間電圧、前記第2の電流及び前記第2の線間電圧、及び、前記第3の電流及び前記第3の線間電圧をもとに全電力量を算出する電力量算出部と、
を備えることを特徴とする電力量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グランド接続された電流センサと絶縁された電流センサとを用いても簡易な構成で電力量測定を行うことができる電力量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力量は配電線の電流及び電圧を用いて演算される。例えば、特許文献1には、電路の電圧を連続的に計測する電圧計測部と、前記電路の電流を連続的に計測する電流計測部と、前記電圧計測部による電圧計測値および前記電流計測部による電流計測値に基づいて電力量を計量する電力量計量部とを備えた電力量計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-174648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力量測定装置において用いられる電流センサとしては磁気センサなどの絶縁されたものが用いられる。この絶縁には絶縁部品が必要となるため、電流センサの装置構成が複雑になり、装置組立も容易ではない。ここで、シャント抵抗器を用いた電流センサは、シャント抵抗を電流バーに介在させるのみであり、装置構成が簡易なものとなる。しかし、シャント抵抗器であっても絶縁部品が必要となり、装置構成が複雑になる。そこで、シャント抵抗器を用いて電流センサを非絶縁、すなわちグランド接続して電流測定すると装置構成が簡易なものとなる。
【0005】
しかしながら、シャント抵抗器を用いた電流センサをグランド接続すると、シャント抵抗器を配置した配電線が基準電位となってしまい、電力測定に必要な線間電圧が測定できない場合が発生する。
【0006】
絶縁された電流センサが用いられる場合、例えば、図6(a)に示すように、単相3線式の配電線では、配電線L1,L3に電圧が印加され、中性線である配電線L2はグランド接続され、電圧が印加されない。配電線L1には絶縁された電流センサCS1が配置され、配電線L3には絶縁された電流センサCS3が配置され、電流センサCS1,CS3は、それぞれ配電線L1,L3の電流を測定する。そして、図示しない電圧検出部によって、基準電位に対する配電線L1の線間電圧V21と基準電位に対する配電線L3の線間電圧V23とが測定される。
【0007】
しかし、配電線L1にグランド接続されるシャント抵抗器SRを用いた電流センサが配置されると、図6(b)に示すように、配電線L1が基準電位となるため、配電線L3の印加電圧は、配電線L1を基準電位とする線間電圧V13として測定されてしまい、中性線である配電線L2に対する印加電圧を測定することができず、正しい電力量測定を行うことができない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、グランド接続された電流センサと絶縁された電流センサとを用いても簡易な構成で電力量測定を行うことができる電力量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、単相3線式で電力供給を行う配電線のうち中性線に対応する第3の配電線以外の第1の配電線及び第2の配電線にそれぞれ第1の電流センサ及び第2の電流センサを設けて電力量測定を行う電力量測定装置であって、前記第1の電流センサは、グランド接続されて前記第1の配電線の第1の電流を測定し、前記第2の電流センサは、絶縁されて前記第2の配電線の第2の電流を測定し、前記第1の配電線を基準電位として前記第3の配電線に対する第1の印加電圧を前記第3の配電線に対する第1の線間電圧として検出する第1の電圧検出部と、前記第2の配電線に対する第2の印加電圧を検出し、前記第2の印加電圧から前記第1の印加電圧を減算した第3の印加電圧を算出し、前記第3の印加電圧を、前記第3の配電線に対する第2の線間電圧として検出する第2の電圧検出部と、前記第1の電流及び前記第1の線間電圧をもとに第1の電力量を演算し、前記第2の電流及び前記第2の線間電圧をもとに第2の電力量を演算し、前記第1の電力量と前記第2の電力量とを加算した全電力量を算出する電力量算出部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、単相3線式で電力供給を行う配電線のうち中性線に対応する第3の配電線以外の第1の配電線及び第2の配電線にそれぞれ第1の電流センサ及び第2の電流センサを設けて電力量測定を行う電力量測定装置であって、前記第1の電流センサは、グランド接続されて前記第1の配電線の第1の電流を測定し、前記第2の電流センサは、絶縁されて前記第2の配電線の第2の電流を測定し、前記第1の配電線を基準電位として前記第3の配電線に対する第1の印加電圧を前記第3の配電線に対する第1の線間電圧として検出する第1の電圧検出部と、前記第1の配電線を基準電位として前記第2の配電線に対する第2の印加電圧を検出する第2の電圧検出部と、前記第2の電圧検出部が検出した第2の印加電圧から前記第1の印加電圧を減算した第3の印加電圧を算出し、前記第3の印加電圧を、前記第3の配電線に対する第2の線間電圧として出力する演算処理部と、前記第1の電流及び前記第1の線間電圧をもとに第1の電力量を演算し、前記第2の電流及び前記第2の線間電圧をもとに第2の電力量を演算し、前記第1の電力量と前記第2の電力量とを加算した全電力量を算出する電力量算出部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記第1の電流センサは、シャント抵抗器を用いた電流センサであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記第3の配電線に電圧が印加されて電力供給を行う三相3線式であり、前記第1の電流及び前記第1の線間電圧と、前記第2の電流及び前記第2の線間電圧とを用いた2電力計法により電力量測定を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、三相4線式で電力供給を行う配電線のうち中性線に対応する第4の配電線以外の第1の配電線、第2の配電線及び第3の配電線にそれぞれ第1の電流センサ、第2の電流センサ及び第3の電流センサを設けて電力量測定を行う電力量測定装置であって、前記第1の電流センサは、グランド接続されて前記第1の配電線の第1の電流を測定し、前記第2の電流センサ及び前記第3の電流センサは、絶縁されてそれぞれ前記第2の配電線の第2の電流及び第3の配電線の第3の電流を測定し、前記第1の配電線を基準電位として前記第4の配電線に対する第1の印加電圧を前記第4の配電線に対する第1の印加電圧として検出する第1の電圧検出部と、前記第1の配電線を基準電位として前記第2の配電線に対する第2の印加電圧を前記第1の配電線に対する第2の印加電圧として検出する第2の電圧検出部と、前記第1の配電線を基準電位として前記第3の配電線に対する第3の印加電圧を前記第1の配電線に対する第3の印加電圧として検出する第3の電圧検出部と、前記第1の印加電圧の符号を替えた電圧を、前記第4の配電線を基準電位とした前記第1の配電線の第1の線間電圧として演算し、前記第2の印加電圧から前記第1の線間電圧を減算した値を、前記第4の配電線を基準電位とした前記第2の配電線の第2の線間電圧として演算し、前記第3の印加電圧から前記第1の線間電圧を減算した値を、前記第4の配電線を基準電位とした前記第3の配電線の第3の線間電圧として演算し、前記第1の電流及び前記第1の線間電圧、前記第2の電流及び前記第2の線間電圧、及び、前記第3の電流及び前記第3の線間電圧をもとに全電力量を算出する電力量算出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、グランド接続された電流センサと絶縁された電流センサとを用いても簡易な構成で電力量測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態である電力量測定装置の電圧検出の概念を説明する説明図である。
図2図2は、本発明の実施の形態である電力量測定装置の構成を示す模式図である。
図3図3は、本発明の実施の形態の変形例である電力量測定装置の構成を示す模式図である。
図4図4は、三相3線式による電圧検出の概念を説明する説明図である。
図5図5は、三相4線式による電圧検出の概念を説明する説明図である。
図6図6は、従来の単相3線式による電圧検出を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態である電力量測定装置の電圧検出の概念を説明する説明図である。図1は、単相3線式であり、電源SPから電力供給を行う配電線のうち中性線に対応する配電線L2以外の配電線L1及び配電線L3に、それぞれ電流センサであるシャント抵抗器SR及び電流センサCSを設けて電力量測定が行われる。シャント抵抗器SRを用いた電流センサは、グランド接続されて配電線L1の電流を測定する。電流センサCSは、絶縁されて配電線L3の電流を測定する。
【0018】
ここで、シャント抵抗器SRを用いた電流センサはグランド接続されているため、配電線L1の電位P1が基準電位となる。配電線L2は中性線として機能し、電圧は印加されない。配電線L1と配電線L2との間の線間電圧V12は、配電線L1の電位P1を基準電位として測定される。ここで、配電線L2と配電線L3との間の線間電圧V23は、直接測定することができないが、配電線L1と配電線L3との間の線間電圧V13は直接測定することができるため、線間電圧V13から線間電圧V12を減算した値を線間電圧V23として測定する。これにより、配電線L1,L3に供給される電力量を算出することができる。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態である電力量測定装置1の構成を示す模式図である。この電力量測定装置1は、図1に示したものと同様に、単相3線式で電力供給された電力を測定する。電圧検出部11には、配電線L1の電位P1である基準電位と、抵抗R1,R2の中点電位から配線L12を介して配電線L1のP1側印加電圧P12とが入力される。電圧検出部11は、差動増幅器13により、P1側印加電圧P12から基準電位を減算して、基準電位に対するP1側印加電圧P12の差分電圧を演算し、この差分電圧を線間電圧V12として出力する。
【0020】
一方、電圧検出部12には、配線L12に接続される配線L4を介したP1側印加電圧P12と、抵抗R3,R4の中点電位から配線L23を介して配電線L3のP3側印加電圧P13とが入力される。電圧検出部12は、差動増幅器14により、P3側印加電圧P13からP1側印加電圧P12を減算し、P1側印加電圧P12に対するP3側印加電圧P13の差分電圧を演算し、この差分電圧を線間電圧V23として出力する。
【0021】
電流検出部21は、シャント抵抗器SRを用いて配電線L1に流れる電流を検出する。電流検出部21は、シャント抵抗器SRの両端の電位差を計測し、この電位差をシャント抵抗器SRの抵抗値で除算することによって、電流を検出する。電流検出部22は、電流センサCSを用いて配電線L3に流れる電流を検出する。電流検出部22は、例えば、電流センサCSが磁気センサである場合、配電線L3に流れる電流により誘導される誘導電圧が入力され、この誘導電圧に対応する出力電圧を配電線L3に流れる電流として検出する。
【0022】
電力量算出部30は、電流検出部21が出力する電流及び電圧検出部11が出力する線間電圧V12を用いて配電線L1に供給される電力量を演算し、電流検出部22が出力する電流及び電圧検出部12が出力する線間電圧V23を用いて配電線L3に供給される電力量を演算し、これらの電力量を加算して、単相3線式による全電力量を算出し、出力端子Tから出力する。
【0023】
本実施の形態では、グランド接続される電流センサを配置して電力量を算出することができるため、電流センサに対する絶縁部品を設ける必要がなく、電力量測定装置1の構成が簡易なものとなる。なお、グランド接続される電流センサは、配電線L3側に配置されても同様である。
【0024】
<変形例>
図3は、本発明の実施の形態の変形例である電力量測定装置2の構成を示す模式図である。本変形例では、電圧検出部12には、P1側印加電圧P12に替えて、配線L5を介して、配電線L1の電位P1である基準電位が差動増幅器14に入力される。そして、差動増幅器14は、P3側印加電圧P13から、配電線L1の電位P1である基準電位を減算し、この基準電位に対するP3側印加電圧P13を線間電圧V13として出力する。一方、電圧検出部11は、実施の形態と同じであり、基準電位に対するP1側印加電圧P12を線間電圧V12として出力する。
【0025】
そして、演算処理部15は、電圧検出部12が出力した線間電圧V13から、電圧検出部11が出力した線間電圧V12を減算し、この減算結果を、配電線L2に対する配電線L3の線間電圧V23として出力する。演算処理部15は、電圧検出部11が出力した線間電圧V12と、演算した線間電圧V23とを電力量算出部30に出力する。
【0026】
電力量算出部30は、実施の形態と同様に、電流検出部21が出力する電流及び演算処理部15が出力する線間電圧V12を用いて配電線L1に供給される電力量を演算し、電流検出部22が出力する電流及び演算処理部15が出力する線間電圧V23を用いて配電線L3に供給される電力量を演算し、これらの電力量を加算して、単相3線式による全電力量を算出し、出力端子Tから出力する。
【0027】
上記の実施の形態では、ハードウェア構成の電圧検出部11,12により、それぞれ線間電圧V12,V23を演算するようにしていたが、本変形例では、ハードウェア構成の電圧検出部11,12がそれぞれ線間電圧V12,V13を出力し、その後、ソフトウェア構成の演算処理部15が、線間電圧V13から線間電圧V12を減算した線間電圧V23を演算することにより、演算処理部15が線間電圧V12,V23を電力量算出部30に出力している。
【0028】
なお、上記の実施の形態及び変形例では、単相3線式の電力線に対する電力量測定装置について説明したが、これに限らず、三相3線式の電力線に対する電力量測定装置にも適用することができる。
【0029】
単相3線式では、配電線L2には電圧が印加されていなかったが、三相3線式では、配電線L2に電圧が印加される。三相3線式における電力測定においても、線間電圧V12,V23を求めることによって電力量を測定することができる。すなわち、電力量算出部30は、電流検出部21が出力する電流、電圧検出部11が出力する線間電圧V12、電流検出部22が出力する電流、電圧検出部12が出力する線間電圧V23を用い、2電力計法により電力量測定を行うことができる。
【0030】
図4は、三相3線式による電圧検出の概念を説明する説明図である。図4(a)に示すように、従来は、配電線L2の電位P2を基準に、配電線L1の電位P1に対する線間電圧V21と、配電線L3の電位P3に対する線間電圧V23を直接に検出することができた。しかし、図4(b)に示すように、配電線L1に、グランド接続された電流センサを配置すると、配電線L1の電位P1が基準電位となるため、配電線L2の電位P2と配電線L3の電位P3との間の線間電圧V23を直接求めることができなかった。
【0031】
そこで、三相3線式でも、単相3線式と同様に、線間電圧V13(P3側印加電圧P13)から線間電圧V12(P1側印加電圧P12)を減算することにより、線間電圧V23を求めることができる。
【0032】
また、上記の実施の形態及び変形例は、三相4線式にも適用することができる。三相4線式では、電力供給を行う配電線のうち中性線に対応する第4の配電線以外の第1の配電線、第2の配電線及び第3の配電線にそれぞれ第1の電流センサ、第2の電流センサ及び第3の電流センサを設けて電力量測定を行う。この三相4線式の電力量測定装置では、第1の電流センサは、グランド接続されて第1の配電線の第1の電流を測定し、第2の電流センサ及び第3の電流センサは、絶縁されてそれぞれ第2の配電線の第2の電流及び第3の配電線の第3の電流を測定する。
【0033】
一方、電圧に関しては、第1の配電線を基準電位として第4の配電線に対する第1の印加電圧を、第4の配電線に対する第1の印加電圧として検出する第1の電圧検出部と、第1の配電線を基準電位として第2の配電線に対する第2の印加電圧を、第1の配電線に対する第2の印加電圧として検出する第2の電圧検出部と、第1の配電線を基準電位として第3の配電線に対する第3の印加電圧を、第1の配電線に対する第3の印加電圧として検出する第3の電圧検出部とを備える。さらに、第1の印加電圧の符号を替えた電圧を、第4の配電線を基準電位とした第1の配電線の第1の線間電圧として演算し、第2の印加電圧から第1の線間電圧を減算した値を、第4の配電線を基準電位とした第2の配電線の第2の線間電圧として演算し、第3の印加電圧から第1の線間電圧を減算した値を、第4の配電線を基準電位とした第3の配電線の第3の線間電圧として演算し、第1の電流及び第1の線間電圧、第2の電流及び第2の線間電圧、及び、第3の電流及び第3の線間電圧をもとに全電力量を算出する電力量算出部を備える。
【0034】
図5は、三相4線式による電圧検出の概念を説明する説明図である。図5(a)に示すように、従来は、第4の配電線の電位P0を基準に、第1の配電線の電位P1に対する線間電圧V01、第2の配電線の電位P2に対する線間電圧V02、第3の配電線の電位P3に対する線間電圧V03を直接に検出することができた。しかし、図5(b)に示すように、第1の配電線に、グランド接続された電流センサを配置すると、第1の配電線の電位P1が基準電位となるため、第2の配電線の電位P2と第3の配電線の電位P3との間の線間電圧V02,V03を直接求めることができなかった。
【0035】
そこで、三相4線式でも、三相3線式と同様に、線間電圧V02,V03を求めることができる。まず、第4の配電線を基準電位とする第1の配電線(電位P1)の線間電圧V01は、電位P1を基準電位とする電位P0の線間電圧V10の符号を替えた電圧として求められる。また、第4の配電線を基準電位とする第2の配電線(電位P2)の線間電圧V02は、第4の配電線を基準電位とする第2の配電線(電位P2)の線間電圧V12から線間電圧V10を減算することによって求められる。さらに、第4の配電線を基準電位とする第3の配電線(電位P3)の線間電圧V03は、第4の配電線を基準電位とする第3の配電線(電位P3)の線間電圧V13から線間電圧V10を減算することによって求められる。
【0036】
なお、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0037】
1,2 電力量測定装置
11,12 電圧検出部
13,14 差動増幅器
15 演算処理部
21,22 電流検出部
30 電力量算出部
CS,CS1,CS3 電流センサ
L1~L3 配電線
L4,L5,L12,L23 配線
P1~P3 電位
P12 P1側印加電圧
P13 P3側印加電圧
R1~R4 抵抗
SP 電源
SR シャント抵抗器
T 出力端子
V01,V02,V03,V12,V10,V13,V23 線間電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6