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特開2024-53925シート搬送装置及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053925
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】シート搬送装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240409BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240409BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
H04N1/12 Z
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160449
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 有亮
【テーマコード(参考)】
3F048
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
3F048AA04
3F048AA08
3F048AB01
3F048BB02
3F048BB05
3F048BC01
3F048CC03
3F048CC04
3F048CC11
3F048DC12
3F048EB22
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB40
5C062AC05
5C062AC58
5C062AD01
5C062AD02
5C062AF15
5C072AA01
5C072BA13
5C072DA25
5C072EA07
5C072NA01
5C072RA04
(57)【要約】
【課題】シート搬送装置における搬送ローラの膨潤にユーザが対処することを可能にする。
【解決手段】シートを搬送するローラを有する搬送手段と、前記搬送手段において前記ローラの膨潤が発生したことを検知する膨潤検知手段と、前記膨潤検知手段により前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、報知手段にユーザへの報知を行わせる制御手段と、を備えるシート搬送装置が提供される。対応するコンピュータプログラムもまた提供される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するローラを有する搬送手段と、
前記搬送手段において前記ローラの膨潤が発生したことを検知する膨潤検知手段と、
前記膨潤検知手段により前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、報知手段にユーザへの報知を行わせる制御手段と、
を備えるシート搬送装置。
【請求項2】
前記シート搬送装置は、
搬送路に沿って搬送される前記シートを検知するシート検知手段、
をさらに備え、
前記膨潤検知手段は、前記シート検知手段を用いて測定される前記シートの搬送速度に基づいて、前記ローラの膨潤が発生したかを判定する、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記膨潤検知手段は、前記シートの前記搬送速度が基準値よりも大きい場合に、前記ローラの膨潤が発生したと判定する、請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記シート搬送装置は、
前記搬送手段を保護する、開閉可能な保護部材と、
前記保護部材を開閉する操作が行われたことを検知する開閉検知手段と、
をさらに備え、
前記膨潤検知手段は、前記保護部材を開閉する操作が行われたことが前記開閉検知手段により検知された後に測定される前記シートの前記搬送速度に基づいて、前記ローラの膨潤が発生したかを判定する、
請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記基準値は、前記保護部材を開閉する操作の前に最後に測定されたシート搬送速度に基づく、請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記基準値は、前記ローラの経時的な摩耗を算入することにより設定される、請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記膨潤検知手段により前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、前記ローラを交換すべきであることを前記ユーザへ報知するように前記報知手段を制御する、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記膨潤検知手段により前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、前記ローラを清掃するための推奨される方法を前記ユーザへ報知するように前記報知手段を制御する、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記シート搬送装置は、
搬送路に沿って搬送される前記シートを光学的に読取って読取画像を生成する読取手段、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記膨潤検知手段により前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、搬送方向における前記読取画像の倍率を調整すべきであることを前記ユーザへ報知するように前記報知手段を制御する、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記搬送手段の前記ローラの回転速度を変更することにより、前記搬送方向における前記読取画像の倍率を調整する、請求項9に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記読取手段による読取動作の周期を変更することにより、前記搬送方向における前記読取画像の倍率を調整する、請求項9に記載のシート搬送装置。
【請求項12】
前記報知手段を備える外部装置と通信する通信手段、
をさらに備える、請求項1~11のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項13】
前記報知手段をさらに備える、請求項1~11のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項14】
シートを搬送するローラを有するシート搬送装置の処理回路に、
前記ローラの膨潤が発生したことを検知することと、
前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、ユーザへの報知を行うように報知手段を制御することと、
を行わせるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シート搬送装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スキャナ、プリンタ、コピー機及びファクシミリといった装置は、シート(例えば、読取原稿又は画像形成用の記録媒体)を搬送する搬送機構を有する。こうしたシート搬送装置の多くは、シートの搬送中にエラー(例えば、ジャム)が発生すると、必要に応じて搬送を停止し、エラーの発生をユーザに報知する。例えば、特許文献1は、シートの搬送が停止した場合に、停止の原因に応じてユーザが行うべき作業を選択し、選択した作業をユーザに報知することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-46653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シート搬送装置において発生し得るエラーの原因は様々である。とりわけ、近年の感染症の流行は、専門知識を有するサービスマンではなくユーザ自身が例えば清掃又は部品の交換といった保守作業を行おうとする傾向を後押ししている。この傾向は、従来では稀にしか発生しなかった種類の不具合を惹起することがある。そうした不具合の1つは、搬送機構に含まれる搬送ローラの膨潤である。通常、搬送ローラは、略円筒状の弾性体を回転軸により支持する構成を有するが、例えば不適正な清掃液でゴム製の搬送ローラが清掃されると、膨潤が発生して搬送ローラの径が伸長してしまう。搬送ローラの径の伸長は、シートの搬送速度の変動をもたらし、原稿の読取り又は画像の形成の品質を低下させかねない。
【0005】
本開示は、こうした事情に鑑み、シート搬送装置における搬送ローラの膨潤にユーザが対処することを可能にする仕組みを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある観点によれば、シートを搬送するローラを有する搬送手段と、前記搬送手段において前記ローラの膨潤が発生したことを検知する膨潤検知手段と、前記膨潤検知手段により前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、報知手段にユーザへの報知を行わせる制御手段と、を備えるシート搬送装置が提供される。対応するコンピュータプログラムもまた提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術によれば、シート搬送装置における搬送ローラの膨潤にユーザが対処することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るシート搬送装置の概略的な構成の一例を示す概略断面図。
図2】一実施形態に係るシート搬送装置の搬送制御に関与するハードウェア構成例を示すブロック図。
図3】ディスプレイにより表示され得る報知メッセージの第1の例について説明するための説明図。
図4】ディスプレイにより表示され得る報知メッセージの第2の例について説明するための説明図。
図5】ディスプレイにより表示され得る報知メッセージの第3の例について説明するための説明図。
図6】第1実施例に係る搬送制御処理の流れの一例を示すフローチャート。
図7】シート読取処理の詳細な流れの一例を示すフローチャート。
図8】膨潤判定処理の詳細な流れの一例を示すフローチャート。
図9】第2実施例に係る搬送制御処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<1.装置の基本的な構成例>
まず、図1及び図2を用いて、一実施形態に係るシート搬送装置100の基本的な構成例について説明する。以下の説明において、シート搬送装置100は、シート状の原稿を読取る原稿読取装置(スキャナともいう)であるものとする。但し、本開示に係る技術は、スキャナのみならず、プリンタ、コピー機、ファクシミリ、及びデジタル複合機を含み得る任意の種類のシート搬送装置に、広く適用可能である。
【0011】
<1-1.搬送に関連する機構>
図1は、シート搬送装置100の概略的な構成の一例を示す概略断面図である。シート搬送装置100は、載置台1に載置されたシート束からシート(搬送媒体ともいう)Sを1枚ずつ搬送路RTへ給送し、シートSを搬送路RTに沿って搬送した後に排出トレイ2へ排出する。シート搬送装置100の読取ユニット70は、後に詳しく説明するように、シートSが搬送されている間に、シートSの片面又は両面を光学的に読取って、読取画像を生成する。
【0012】
シートSは、シート搬送装置100の用途に依存して、任意の厚さ及び材質で構成される任意の種類のシートであってよい。例えば、シートSは、OA紙若しくは光沢紙のような紙、OHPシートのようなフィルム、免許証若しくはクレジットカードのようなカード、又はパスポートのような冊子であってもよい。以下の説明において、載置台1に面する(図中で下側へ向けられる)シートSの面を表(おもて)面、表面とは反対側の面を裏面という。載置台1に配設されるシートセンサ60は、載置台1に少なくとも1枚のシートSが載置されていることを検知する。
【0013】
シート搬送装置100は、シートSを搬送する搬送手段として、搬送路RTの上流から下流への順に、第1搬送部10、第2搬送部20及び第3搬送部30を備える。
【0014】
第1搬送部10は、搬送路RTを挟んで対向して配設される送りローラ11及び分離ローラ12のペアを含む。送りローラ11は、伝達部5を介して駆動部3へ接続される。駆動部3は、例えばモータであってよく、送りローラ11及び分離ローラ12を回転駆動させるための駆動力を発生させる。伝達部5は、例えば電磁クラッチであってよく、駆動部3からの駆動力を送りローラ11へ伝達し又は駆動力の伝達を遮断する。送りローラ11は、駆動部3からの駆動力を受けて、図中で反時計回り(実線矢印で示した方向)に回転する。分離ローラ12は、揺動可能に構成され、一定の圧力で送りローラ11へ向けて付勢される。分離ローラ12は、駆動部3からの駆動力を分離ローラ12へ伝達するトルクリミッタ12aを有する。駆動部3からの駆動力は、分離ローラ12に、図中で反時計回り(実線矢印で示した方向)に回転するためのトルクを与える。但し、トルクリミッタ12aは、分離ローラ12のトルクをある上限値を超えないように規制する。
【0015】
分離ローラ12は、搬送中のシートSが存在せず送りローラ11に当接している場合には、トルクが規制されているために送りローラ11の回転に連動して図中で時計回り(破線矢印で示した方向)に回転する。シートSの搬送が開始されると、伝達部5が駆動力を送りローラ11へ伝達することで、送りローラ11が回転して、シートSを載置台1から搬送路RTへ向けて(順方向D1へ)給送する。すると、分離ローラ12は、シートSを介して間接的に送りローラ11に圧接することになり、反時計回りに回転することで、残りのシートを下流へ搬送しないようにせき止める。それにより、シートSがシート束から1枚ずつ分離され、シートSが搬送路RTに沿って搬送されることになる。
【0016】
シートSの搬送中に異常が発生した場合には、伝達部5が駆動力を遮断することで、送りローラ11は自由回転可能な状態となる。すると、分離ローラ12が逆回転して、途中まで搬送されたシートSが逆方向へ戻されて載置台1へ排出される。
【0017】
このように、本実施形態において、第1搬送部10は、シートSを搬送する搬送手段のみならず、シートSを搬送路RTへ給送する給送手段、あるいはシート束からシートSを分離する分離手段としても機能する。なお、シートSを逆方向へ戻す機能が必要ではない場合には、シート搬送装置100の構成から伝達部5が省略されてもよい。また、シート束からシートSを分離するために、分離ローラ12の代わりに、回転することなく送りローラ11へ向けて付勢される分離パッドが採用されてもよい。
【0018】
第2搬送部20は、第1搬送部10の下流で、搬送路RTを挟んで対向して配設される駆動ローラ21及び従動ローラ22のペアを含む。駆動ローラ21は、駆動部4へ接続される。駆動部4は、例えばモータであってよく、駆動ローラ21(及び後述する駆動ローラ31)を回転駆動させるための駆動力を発生させる。駆動ローラ21は、駆動部4からの駆動力を受けて、図中で反時計回り(実線矢印で示した方向)に回転し、第1搬送部10から搬送されて来るシートSをさらに下流へ搬送する。従動ローラ22は、一定の圧力で駆動ローラ21へ向けて付勢され、駆動ローラ21の回転に連動して図中で時計回りに回転する。
【0019】
第3搬送部30は、第2搬送部20の下流で、搬送路RTを挟んで対向して配設される駆動ローラ31及び従動ローラ32のペアを含む。駆動ローラ31は、駆動部4からの駆動力を受けて、図中で反時計回り(実線矢印で示した方向)に回転し、第2搬送部20から搬送されて来るシートSをさらに搬送して、排出トレイ2へ排出する。従動ローラ32は、一定の圧力で駆動ローラ31へ向けて付勢され、駆動ローラ31の回転に連動して図中で時計回りに回転する。即ち、本実施形態において、第3搬送部30は、シートSを搬送する搬送手段のみならず、シートSを排出する排出手段としても機能する。
【0020】
本実施形態において、第1搬送部10、第2搬送部20及び第3搬送部30がシートSを搬送する搬送速度(及び対応するローラの回転速度)は、互いに等しくてよい。
【0021】
重送センサ40は、第1搬送部10と第2搬送部20との間に配設されるエラー検知手段である。重送センサ40は、静電気等が原因となって2枚以上のシートが重なって搬送されるエラー(即ち、重送)を検知する。本実施形態において、重送センサ40は、搬送路RTへ向けて一定の強度で超音波を発信する発信部41、及び発信部41に対向して配設される受信部42を含む。超音波はシートを通過する際に減衰することから、受信部42により受信される超音波の強度を測定することで、搬送路RTに沿って搬送されているシートの枚数を判定することができる。
【0022】
シートセンサ50は、重送センサ40と第2搬送部20との間に配設されるシート検知手段である。シートセンサ50は、第1搬送部10を通過したシートSの先端及び後端を検知する。本実施形態において、シートセンサ50は、光学センサ(例えば、フォトインタラプタ)であり、搬送路RTへ向けて光を射出する発光部51、及び発光部51に対向して配設される受光部52を含む。シートSがシートセンサ50の検知位置を通過している間、発光部51と受光部52との間の光路がシートSにより遮蔽される。そのため、受光部52による光の受光状態の変化に基づいて、シートセンサ50の検知位置にシートSの先端及び後端が到達したタイミングをそれぞれ検知することができる。
【0023】
シートセンサ50の配設位置は、重送センサ40の下流側の近傍である。したがって、シートセンサ50がシートSの先端を検知したタイミングで重送センサ40に超音波の強度(又は減衰率)を測定させることで、同時に搬送されているシートの枚数を重送センサ40を用いて判定することが可能である。
【0024】
シートセンサ55は、第2搬送部20と読取ユニット70との間に配設されるシート検知手段である。シートセンサ55は、第2搬送部20を通過したシートSの先端及び後端を検知する。本実施形態において、シートセンサ55は、光学センサであり、搬送路RTへ向けて光を射出する発光部56、及び発光部56に対向して配設される受光部57を含む。なお、シートセンサ50及び55の各々は、光学センサには限定されず、例えばイメージセンサ、又は搬送路RTに突出したレバーへのシートSの接触を検知する機械式のセンサであってもよい。
【0025】
読取ユニット70は、シートセンサ55の下流側に配設される読取手段である。本実施形態において、読取ユニット70は、第1読取部71及び第2読取部72を含む。第1読取部71は、搬送路RT上の読取位置を通過するシートSの表面に光を照射する光源、表面からの反射光を電気信号へ変換するイメージセンサ、及び光を誘導するレンズアレイを含み得る。第1読取部71は、イメージセンサにより生成されるシートSの表面の読取画像データを、コントローラ8へ出力する。第2読取部72は、搬送路RT上の読取位置を通過するシートSの裏面に光を照射する光源、裏面からの反射光を電気信号へ変換するイメージセンサ、及び光を誘導するレンズアレイを含み得る。第2読取部72は、イメージセンサにより生成されるシートSの裏面の読取画像データを、コントローラ8へ出力する。搬送路RT上の第1読取部71の(表面用の)読取位置及び第2読取部72の(裏面用の)読取位置は一致していてもズレていてもよい。コントローラ8は、シート搬送装置100の動作の全般を制御する。コントローラ8の詳細な構成について後に説明する。
【0026】
シート搬送装置100の筐体は、搬送手段を含む上述した機構を保護するカバー90を備える。カバー90は、回転軸91の周りに開閉可能な保護部材である。例えば、ユーザは、カバー90の取っ手92を把持して図中の方向D2へ引くことで、カバー90を開けて筐体内部の機構を露出させることができる。例えば、シート搬送装置100においてシートのジャムが発生した場合には、ユーザは、カバー90を開け、ジャムを引き起こしたシートを取り除き、そしてカバー90を閉じる。カバーセンサ95は、カバー90の開閉状態を監視する開閉検知手段である。カバーセンサ95は、カバー90を開閉する操作が行われた場合に、その操作を検知する。カバーセンサ95は、例えば光学センサ又は機械式のセンサなど、任意の種類のセンサであってよい。
【0027】
<1-2.搬送制御に関与するハードウェア構成例>
図2は、シート搬送装置100の搬送制御に関与するハードウェア構成例を示すブロック図である。図2を参照すると、シート搬送装置100は、コントローラ8、接続インタフェース83、センサ群84、アクチュエータ群85、通信インタフェース86、操作ユニット87、及び報知ユニット88を備える。
【0028】
コントローラ8は、処理回路81及び記憶部82を含む。処理回路81は、例えば、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、又はマイクロコントローラを含んでよい。記憶部82は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)及びその他の不揮発性メモリを含んでよい。記憶部82は、シート搬送装置100の各部を制御するためのコンピュータプログラム、及び関連するデータを記憶する。処理回路81は、記憶部82に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、シート搬送装置100におけるシートの搬送及び読取りを制御する。とりわけ、本実施形態において、処理回路81は、搬送制御部110及び状態判定部120として機能する。搬送制御部110及び状態判定部120の機能の詳細について後に説明する。
【0029】
接続インタフェース83は、コントローラ8とセンサ群84及びアクチュエータ群85との間の接続を仲介するインタフェースである。センサ群84は、上述した重送センサ40、シートセンサ50、55、60、読取ユニット70のイメージセンサ、カバーセンサ95、及びその他のセンサを含み得る。アクチュエータ群85は、上述した駆動部3、4のモータ、伝達部5の電磁クラッチ、及びその他のアクチュエータを含み得る。センサ群84の各センサは、接続インタフェース83を介してセンサ信号をコントローラ8の処理回路81へ出力する。処理回路81は、接続インタフェース83を介してアクチュエータ群85の各アクチュエータへ制御信号を出力する。
【0030】
通信インタフェース86は、シート搬送装置100が他の装置と通信するための通信手段である。通信インタフェース86は、有線インタフェースであってもよく又は無線インタフェースであってもよい。例えば、シート搬送装置100は、通信インタフェース86及び外部ネットワークを介して、ユーザ端末(例えば、PC(Personal Computer)又はスマートフォンといった情報処理装置)と通信し得る。操作ユニット87は、ユーザからの指示又は情報入力を受け付けるための入力手段である。操作ユニット87は、例えば、タッチセンサ、キーパッド、ボタン、スイッチ及びマイクロフォンのうちの1つ以上を含んでよい。報知ユニット88は、ユーザへの報知を行うための報知手段である。報知ユニット88は、例えば、ディスプレイ、ライト及びスピーカのうちの1つ以上を含んでよい。操作ユニット87のタッチセンサと報知ユニット88のディスプレイは、タッチパネルとして一体的に提供されてもよい。
【0031】
ユーザは、原稿の読取りを開始する際に、1つ以上のシートからなる原稿を載置台1に載置し、シート搬送装置100に読取りジョブの実行を指示する。ジョブ実行の指示は、操作ユニット87を介して入力されてもよく、又はユーザ端末からシート搬送装置100へ送信されてもよい。読取りジョブは、例えば、読取り解像度、カラーモード(カラー/モノクロ)、面設定(片面/両面)、及び原稿サイズ(長さ、幅)といったパラメータを含み得る。搬送制御部110は、ジョブ実行の指示に応じて、シートを1枚ずつ(シート束の下から順に)搬送するように各アクチュエータを駆動し、ジョブのパラメータに従って読取ユニット70に各シートの片面又は両面を読取らせる。各シートの搬送及び読取りのタイミングは、センサ群84から入力されるセンサ信号に基づいて制御される。そして、読取りの終了したシートは、順に排出トレイ2へ排出される。搬送制御部110は、読取ユニット70から読取画像データを受信する。読取画像データは、一時的に記憶部82に記憶された後、例えば通信インタフェース86を介してユーザ端末へ送信され得る。
【0032】
読取り動作の途中で、状態判定部120は、シート搬送装置100の状態を判定する。例えば、状態判定部120によりジャム又は重送といったエラーが発生したと判定されると、搬送制御部110は、必要に応じてシートの搬送を停止し(又はシートを逆送して載置台1へ排出させ)、報知ユニット88又は外部装置に、エラーの発生をユーザへ報知させる。即ち、本実施形態において、搬送制御部110は、報知を制御する報知制御手段としても機能する。
【0033】
図2には示していないものの、シート搬送装置100は、各部に電力を供給するための電力供給回路をも備える。シート搬送装置100は、外部電源(例えば、商用電源)から電力の供給を受けてもよい。また、シート搬送装置100は、充電可能なバッテリを備えていてもよい。記憶部82の不揮発性メモリは、シート搬送装置100の電源がオフされた後にも保持すべきデータを記憶する。
【0034】
<2.ローラの膨潤>
シート搬送装置100の上述した搬送手段を構成するローラは、シートに付着しているインク若しくはトナー、シートの紙粉、又は環境中の塵などによって汚れることがある。ローラの汚れは、搬送性能の低下、又は搬送されるシートの汚れの原因となり得る。また、ローラは、シートSの搬送を繰り返すにつれて経時的に摩耗し得る。そのため、シート搬送装置100のユーザ又はユーザからの依頼を受けたサービスマンが、カバー90を開けてローラを清掃し又は新品へ交換するための保守作業を定期的に行うことを要する。
【0035】
ローラを清掃するために推奨される方法は、例えば、水又は純正の清掃液を含浸させて固く絞った布でローラの外周面を拭うことである。こうした推奨される清掃方法は、通常、ユーザマニュアルに記載されているものの、その記載を認識していないユーザが推奨されない方法でローラを清掃することがあり得る。とりわけ、ローラに使用されるゴム部材は、例えばベンゼン又はキシレンといった有機溶媒を吸収して膨張する性質を有しており、この現象を膨潤という。ユーザが膨潤を引き起こす成分を含む非純正の清掃液でローラを拭うと(あるいは動作中や保守作業中などに誤ってそうした成分を含む液体をローラへこぼすと)、膨潤が発生してローラの径が伸長する。ローラの径の伸長は、ローラ1回転当たりのシートの搬送距離を長くし、搬送速度の好ましくない増加をもたらす。
【0036】
上述したように、本実施形態に係るシート搬送装置100は、スキャナである。スキャナにおける搬送ローラの膨潤は、搬送方向における読取画像のサイズの収縮をもたらす。他の実施形態において、シート搬送装置は、例えばプリンタである。プリンタ内でシートを搬送するローラが膨潤した場合、シートに形成される画像が搬送方向に拡大することになる。こうしたローラの膨潤に起因する出力品質の低下にユーザが適時に対処することを可能にするために、シート搬送装置において膨潤を検知し、その検知結果に基づいてユーザへの報知を行う仕組みを以下に説明する。
【0037】
<3.膨潤の検知>
本実施形態では、上述したように、シート搬送装置100の第1搬送部10、第2搬送部20及び第3搬送部30に含まれるローラの各々が、シートSを搬送する搬送ローラとして機能する。これら搬送ローラのうちのどのローラについても膨潤は起こり得るが、ここでは、説明の簡明さのために、第1搬送部10の送りローラ11の膨潤に焦点を当てて説明する。送りローラ11についての以下の説明は、シートの搬送に関与する他のローラにも適用可能である。
【0038】
本実施形態において、状態判定部120は、送りローラ11の膨潤が発生したかを判定することにより、送りローラ11の膨潤を検知する。即ち、状態判定部120は、膨潤検知手段として機能し得る。ここでは一例として、状態判定部120は、シートセンサ50を用いてシートSの搬送速度を測定するものとする。具体的には、状態判定部120は、シートセンサ50によりシートSの先端が検知されてから同じシートSの後端が検知されるまでの時間長でシートサイズを除算することにより、送りローラ11により搬送されるシートSの搬送速度を算出することができる。状態判定部120は、複数枚のシートについてそれぞれ算出される搬送速度を平均することにより平均搬送速度を測定してもよい。状態判定部120は、このように測定される搬送速度をある基準値と比較することにより、送りローラ11の膨潤が発生したかを判定する。以下の説明において、膨潤の検知のために搬送速度と比較される基準値を基準速度という。例えば、状態判定部120は、シートSの搬送速度が基準速度よりも大きい場合に、送りローラ11の膨潤が発生したと判定(即ち、膨潤が発生したことを検知)してもよい。
【0039】
第1の例として、基準速度の値は、固定的に設定されてもよい。その値は、予め決定されていてもよく、又は新品の送りローラ11の初回動作時に測定される搬送速度に等しくてもよい。送りローラ11の回転速度が変化していないにも関わらず、測定された搬送速度が基準速度を上回る場合には、送りローラ11の径が伸長していると考えられることから、膨潤が発生したと推定され得る。
【0040】
第2の例として、基準速度の値は、カバー90を開閉する操作の前に最後に測定されたシート搬送速度に基づいて設定されてもよい。ローラの膨潤の原因の多くは、カバー90を開けた状態で何らかの保守作業が行われた際に生じると考えられる。そのため、カバー90を開ける前に最後に測定された搬送速度に対して、カバー90を閉じた後に測定される搬送速度が増加しているかを判定することで、膨潤の発生を適時に検知することができる。即ち、この例において、状態判定部120は、カバー90を開閉する操作が行われたことがカバーセンサ95により検知された後に測定される搬送速度と、当該操作の前に測定された搬送速度に基づく基準速度と比較する。
【0041】
第3の例として、基準速度の値は、ローラの経時的な摩耗を算入することにより設定されてもよい。ローラの膨潤はローラの径を伸長させるのに対して、摩耗はローラの径を短縮させる。そのため、シート搬送装置100が長期(又は多数回)にわたって使用されると、摩耗及び膨潤の影響が相殺し合うために、単純な搬送速度から膨潤の発生を判定することは難しい。しかし、ローラの摩耗の度合いは、ローラの累積的な駆動時間(又は駆動回数)に略比例して大きくなることから、ローラの動作実績(例えば、ローラの総駆動時間又は総駆動回数など)を記録することで摩耗の度合いを予測することが可能である。そこで、基準速度として、新品のローラについて予め決定される初期値からローラの摩耗の度合いの予測に基づく速度減少分を減算した値を使用することで、ローラが摩耗している場合にも膨潤の発生を検知することができる。
【0042】
いずれの例においても、基準速度は、動作ごとに生じ得る搬送速度のわずかな変動を許容するための、予め決定されるマージンを含んでいてもよい。例えば、第2の例において、カバー90を開ける操作の前に最後に測定された搬送速度をSb[mm/s]、マージンをXとした場合、基準速度Sa[mm/s]はSa=Sb+Xとして算出されてもよい。
【0043】
なお、ここで説明した搬送速度の測定方法は一例に過ぎず、他の測定方法が使用されてもよい。例えば、シートセンサ50の代わりに、シートセンサ55(又は他のシート検知手段)によりシートSの先端が検知されてから同じシートSの後端が検知されるまでの時間長でシートサイズを除算することにより、シートSの搬送速度が算出されてもよい。例えば、シートSの搬送速度は、第1搬送部10よりも下流の第2搬送部20の位置において安定的となる傾向があることから、シートセンサ55を用いて搬送速度を算出することで、算出の精度を向上させることができる。代替的に、異なる2つのシート検知手段(例えば、重送センサ40、シートセンサ50、シートセンサ55、又は他のシートセンサのうちの2つ)によりシートSの先端が検知されたタイミングの間の時間差で、それら2つのシート検知手段の間の距離を除算することにより、シートSの搬送速度が算出されてもよい。
【0044】
また、第3の例に関連して、基準速度の値がローラの経時的な摩耗の度合いに基づいて減算されてもよいことを説明したが、基準速度の値を減算する代わりに、搬送速度の実測値に対し(例えば、摩耗の度合いに比例する)速度減少分が補償されてもよい。この場合には、ローラの膨潤が発生したことを検知するために、速度減少分を加算された補償後の搬送速度が、(一定に維持され得る)基準速度と比較される。
【0045】
また、駆動部3としてステッピングモータが使用される場合には、時間を計測する代わりにステッピングモータのステップ数が計測され、搬送速度の算出に使用されてもよい。
【0046】
<4.膨潤の発生の報知>
状態判定部120により送りローラ11の膨潤が発生したことが検知された場合に、搬送制御部110は、何らかの報知手段にユーザへの報知を行わせる。即ち、本実施形態において、搬送制御部110は、報知制御手段として機能し得る。報知は、例えばディスプレイにおける報知メッセージの表示、特定の報知パターンでのライトの点灯、又はスピーカによる報知メッセージの読上げなど、いかなる手法で行われてもよい。本節では、シート搬送装置100の報知ユニット88のディスプレイに報知メッセージを表示させる例を主に説明する。当然ながら、ここで説明されるメッセージ及び関連する画面は、シート搬送装置100ではなく、通信インタフェース86を介してシート搬送装置100へ接続される外部装置(例えば、ユーザ端末)のディスプレイに表示されてもよい。
【0047】
<4-1.第1の例>
搬送制御部110は、状態判定部120により送りローラ11の膨潤が発生したことが検知された場合に、送りローラ11を交換すべきであることをユーザへ報知するように報知ユニット88を制御してもよい。
【0048】
図3を用いて、報知メッセージの第1の例について説明する。図3(A)に示したように、第1の例において、報知ユニット88のディスプレイに報知メッセージ140が表示されている。報知メッセージ140は、送りローラ11の膨潤が検知されたこと、及びこのまま読取りジョブを続行すると収縮した読取画像が出力されるおそれがあることをユーザへ報知するテキストを含む。さらに、報知メッセージ140は、送りローラ11を新品に交換することをユーザに促している。ユーザは、画像の収縮のおそれを受け入れてジョブを続行する場合には、ボタン141を操作する。一方、ユーザは、読取りジョブを停止して送りローラ11の交換を行う場合には、ボタン142を操作する。
【0049】
ユーザは、ボタン142を操作した場合、カバー90を開けて送りローラ11を新品に交換し、カバー90を閉じる。カバー90が開いた後で閉じられたことがカバーセンサ95により検知さると、搬送制御部110は、図3(B)に示した報知メッセージ150をディスプレイに表示させる。報知メッセージ150は、送りローラ11を新品に交換したかをユーザに問合せるテキストを含む。ユーザは、送りローラ11を新品に交換した場合にはボタン151を、交換していない場合にはボタン152を操作する。送りローラ11の交換を行ったユーザがボタン151を操作することで、搬送制御部110は、ローラの交換時にリセットすべき状態変数(例えば、基準速度及びローラの動作実績を表すカウンタなど)をリセットすることができる。
【0050】
膨潤の検知に応じて、ユーザが膨潤した搬送ローラを新品に交換することで、原稿の読取り又はシートへの画像の形成といった装置の機能における出力品質の低下を回避することが可能である。
【0051】
<4-2.第2の例>
搬送制御部110は、状態判定部120により送りローラ11の膨潤が発生したことが検知された場合に、搬送方向における読取画像の倍率を調整すべきであることをユーザへ報知するように報知ユニット88を制御してもよい。
【0052】
図4を用いて、報知メッセージの第2の例について説明する。図4(A)に示したように、第2の例において、報知ユニット88のディスプレイに報知メッセージ160が表示されている。報知メッセージ160は、送りローラ11の膨潤が検知されたこと、及びこのまま読取りジョブを続行すると収縮した読取画像が出力されるおそれがあることをユーザへ報知するテキストを含む。さらに、報知メッセージ160は、スキャン倍率の調整を行うことをユーザに促している。ユーザは、画像の収縮のおそれを受け入れてジョブを続行する場合には、ボタン161を操作する。一方、ユーザは、スキャン倍率の調整を行う場合には、ボタン162を操作する。
【0053】
ユーザがボタン162を操作した場合、図4(B)に示した倍率調整画面170がディスプレイに表示され得る。倍率調整画面170は、倍率指定欄171、ボタン172及びボタン173を含む。ユーザは、倍率指定欄171を操作することで、搬送方向における読取画像の倍率を調整することができる。例えば、膨潤に起因して搬送速度が増加している場合には、ユーザは、倍率指定欄171において100%を上回る倍率を指定して、ボタン172を操作する。一方、ユーザは、読取画像の倍率の調整をスキップする場合には、ボタン173を操作する。
【0054】
この例において、搬送制御部110は、ローラの回転速度を変更することにより、搬送方向における読取画像の倍率を調整可能であってもよい。例えば、100%を上回る倍率がユーザにより指定された場合、ローラの回転速度を指定された倍率で除算することにより引き下げることで、シートSの搬送速度を引き下げることができる。代替的に、搬送制御部110は、読取ユニット70による読取動作の周期を変更することにより、搬送方向における読取画像の倍率を調整可能であってもよい。例えば、100%を上回る倍率がユーザにより指定された場合、読取動作の周期を指定された倍率で除算することにより短縮して、読取り動作の遅れを解消し、読取画像の収縮を防ぐことができる。一変形例において、読取画像の収縮は、指定された倍率で読取画像を再サンプリングして読取画像を拡大することにより補償されてもよい。但し、一旦収縮した画像を再サンプリングして拡大すると画像の解像度が失われることから、ローラの回転速度の変更又は読取動作の周期の変更により読取画像の収縮を未然に防ぐ方が望ましい。
【0055】
膨潤の検知に応じて、搬送方向における読取画像の倍率が調整されることで、搬送ローラが新品に交換されない状況でも、適切なサイズの読取画像を出力することが可能である。
【0056】
なお、図3を用いて説明した第1の例においてユーザがジョブの続行を選択してボタン141を操作した場合に、第2の例のようにスキャン倍率の調整が提案されてもよい。
【0057】
また、上述した例に関わらず、搬送方向における読取画像の倍率は、測定された搬送速度に基づいて自動的に調整されてもよい。この場合に、例えば図4(B)の倍率調整画面170の倍率指定欄171に、自動的に調整された倍率の値が既定値としてセットされてもよい。
【0058】
<4-3.第3の例>
搬送制御部110は、状態判定部120により送りローラ11の膨潤が発生したことが検知された場合に、ローラを清掃するための推奨される方法をユーザへ報知するように報知ユニット88を制御してもよい。例えば、推奨される清掃方法を案内するテキストが、図3(A)に示した報知メッセージ140若しくは図4(A)に示した報知メッセージ160に追加されてもよく、又はそうした案内を呼出すためのリンクが各メッセージに追加されてもよい。代替的に、図5に示す第3の例のように、推奨される清掃方法をユーザへ報知するための独立した報知メッセージが、膨潤の発生の検知、又は上述したボタンのいずれかの操作に応じて表示されてもよい。
【0059】
図5に示した第3の例において、報知ユニット88のディスプレイに報知メッセージ180が表示されている。報知メッセージ180は、送りローラ11の膨潤が検知されたことをユーザへ報知するテキストと共に、ローラの推奨される清掃方法をユーザへ案内するテキストを含む。こうしたメッセージを出力することで、ユーザは、次にローラの汚れを発見した際に、膨潤を引き起こさない適正な方法でローラを清掃することができるようになると期待される。即ち、推奨外の方法での清掃が再度行われることを未然に防止し、膨潤の悪化を回避することができる。
【0060】
搬送制御部110は、測定された搬送速度が基準速度をどの程度上回っているかに依存して、ユーザへ報知される内容を切替えてもよい。例えば、搬送速度から基準速度を減算した差がある閾値を上回る場合には第1の例のようにローラの交換が提案される一方で、そうでない場合には第2の例のようにスキャン倍率の調整が提案され又は第3の例のように推奨される清掃方法が案内されてもよい。
【0061】
<5.処理の流れ>
本節では、上述したシート搬送装置100により実行され得る、いくつかの実施例に係る処理の流れについて説明する。以下の説明において、処理ステップを'S'と略記する。
【0062】
<5-1.搬送制御処理(第1実施例)>
図6は、第1実施例に係る搬送制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6の搬送制御処理は、シート搬送装置100の全体的な動作の制御に関連するものであり、シート搬送装置100の電源がオンされることにより開始される。シート搬送装置100は、動作を開始する際に、いくつかの状態変数を設定する。例えば、ここで設定される状態変数は、ジャムが発生しているか否かを示すジャムフラグ、膨潤が発生しているか否かを示す膨潤フラグ、及び基準速度などを含む。例えば、ジャムフラグの値は、ジャムが発生していないことを意味する'偽(FALSE)'へ初期化される。膨潤フラグの値は、膨潤が検知されていないことを意味する'偽'へ初期化される。基準速度は、記憶部82の不揮発性メモリに記憶されている値へ設定される。
【0063】
まず、S101で、状態判定部120は、シート搬送装置100の電源の状態を継続的に監視する。電源がオンに保たれている限り(S101-NO)、処理はS103へ進む。一方、電源がオフされると(S101-YES)、シート搬送装置100はシャットダウンされ、図6の搬送制御処理は終了する。
【0064】
S103で、状態判定部120は、カバーセンサ95から入力されるセンサ信号に基づいて、カバー90の開閉状態を監視する。カバー90が開けられたことがカバーセンサ95により検知されると、処理はS105へ進む。一方、カバー90が閉じた状態に維持されている場合には、処理はS107へ進む。
【0065】
カバー90が開けられた場合、S105で、状態判定部120は、後に説明する膨潤判定処理において搬送速度Snと比較される基準速度Saを、前回測定された搬送速度(以下、前回速度という)Sbに基づいて設定する。例えば、基準速度は、前回速度又は前回速度とマージンとの和に設定され得る(Sa=Sb+X)。そして、処理はS107へ進む。
【0066】
S107で、状態判定部120は、ユーザにより送りローラ11が交換されたかを判定する。例えば、カバー90が開けられた後に図3(B)に示した報知メッセージ150のボタン151が押下された場合には、状態判定部120は、送りローラ11が交換されたと判定し得る。送りローラ11が交換されたと判定される場合には、処理はS109へ進む。一方、送りローラ11が交換されたと判定されない場合には、処理はS111へ進む。
【0067】
送りローラ11が交換されたと判定される場合、S109で、状態判定部120は、基準速度Sa及び前回速度Sbを共にゼロへ初期化する。基準速度Saがゼロに等しいことは、送りローラ11が新品であるために膨潤の判定が必要ではないこと、又は交換後にシートSの搬送が未だ行われていないために基準速度が設定されていないことを意味する。そして、処理はS111へ進む。S109で前回速度をゼロへ初期化しておくことで、ローラの交換後であってシートSの搬送が行われる前にカバー90が開けられたとしても、上述したS105において基準速度Saはゼロに維持されることになる。
【0068】
S111で、搬送制御部110は、読取りジョブの実行開始の指示を待ち受ける。指示が受信されない場合には、処理はS101へ戻る。読取りジョブの実行開始の指示が受信されると、処理はS113へ進む。
【0069】
S113で、搬送制御部110は、受付けた読取りジョブのパラメータを取得する。ここで取得されるパラメータは、上述したように、読取り解像度、カラーモード、面設定、及び原稿サイズを含み得る。これらパラメータの値は、記憶部82のRAMにより保持され得る。次いで、S115で、搬送制御部110は、ジャムフラグ及び膨潤フラグをリセット('偽'に設定)し、処理時間を計時するためのタイマを起動する。そして、S120で、シート搬送装置100は、搬送制御部110による制御の下で、1枚のシートに対するシート読取処理を実行する。ここで実行されるシート読取処理について、後にさらに説明する。
【0070】
次いで、S131で、状態判定部120は、ジャムフラグが'真(TRUE)'を示すか否かを判定する。例えば、シート読取処理の最中にジャムが検知された場合には、ジャムフラグは'真'を示すため、処理はS133へ進む。ジャムが検知されなかった場合には、処理はS140へ進む。
【0071】
S133で、搬送制御部110は、ジャムが検知されたため、読取りジョブを停止し、ジャムが発生したことをユーザへ報知するように報知ユニット88を制御する。そして、処理はS101へ戻る。なお、図6には示していないものの、搬送制御部110は、シート読取処理の最中に重送センサ40により重送が検知された場合にも、同様にジョブを停止してエラーをユーザへ報知させてよい。
【0072】
S140で、状態判定部120は、膨潤判定処理を実行し、その判定結果に基づいて膨潤フラグを更新する。ここで実行される膨潤判定処理について、後にさらに説明する。その後の処理は、S151で、膨潤フラグが'真'を示すか否かに依存して分岐する。膨潤フラグが'真'を示す場合(S151-YES)、処理はS153へ進む。一方、膨潤フラグが'偽'を示す場合(S151-NO)、処理はS155へ進む。
【0073】
S153で、搬送制御部110は、膨潤が発生したことが検知されたため、ユーザに膨潤への対処を行わせるための報知を行う。ここでの報知は、上述した第1の例のようなローラ交換の提案、第2の例のような倍率調整の提案、及び第3の例のような推奨される清掃方法の案内のうちの1つ以上を含んでよい。その後、処理はS101へ戻る。
【0074】
ジャムが検知されず且つ膨潤の発生も検知されない場合、S155で、搬送制御部110は、シートセンサ60からのセンサ信号に基づいて、処理すべき残りのシートが存在するか否かを判定する。処理すべき残りのシートが存在する場合には、処理はS115へ戻る。処理すべき残りのシートが存在しない場合には、読取りジョブは終了し、稼働中のタイマが停止され、処理はS101へ戻る。
【0075】
<5-2.シート読取処理>
図7は、図6のS120で実行されるシート読取処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
まず、S121で、搬送制御部110は、タイマを参照することにより、シートSの搬送開始時刻を記録(例えば、RAM上の変数として保持)し、載置台1に載置されたシート束からのシートSの搬送を開始する。
【0077】
次いで、S122で、搬送制御部110は、シートセンサ50によりシートSの先端が検知されるまで待機する。また、搬送制御部110は、待機している最中に、S123で、搬送開始時刻からの経過時間が所定のジャム検知時間に到達したか否かを判定する。経過時間がジャム検知時間に到達した場合には、処理はS128へ進む。
【0078】
シートセンサ50によりシートSの先端が検知されると、S124で、搬送制御部110は、タイマを参照することにより、先端検知時刻T1を記録する。次いで、S125で、搬送制御部110は、ジョブのパラメータに従って、読取ユニット70にシートの片面又は両面の読取りを開始させる。
【0079】
次いで、S126で、搬送制御部110は、シートセンサ50によりシートSの後端が検知されるまで待機する。この間に、読取ユニット70は、エラーが検知されない限りシートの読取り動作を継続している。搬送制御部110は、S127で、搬送開始時刻(又は先端検知時刻)からの経過時間が所定のジャム検知時間に到達したか否かを判定する。経過時間がジャム検知時間に到達した場合には、処理はS128へ進む。
【0080】
処理がS128へ進んだ場合、搬送制御部110は、ジャムフラグを'真'に設定する。そして、図7のシート読取処理は終了する。
【0081】
シートセンサ50によりシートSの後端が検知されると、S129で、搬送制御部110は、タイマを参照することにより、後端検知時刻T2を記録する。次いで、読取ユニット70が読取りを完了すると、S130で、搬送制御部110は、読取ユニット70により生成される読取画像を表す読取画像データを、所定の出力先へ出力する。例えば、読取画像データは、シート搬送装置100の記憶部82の所定のフォルダに保存されてもよく、又は通信インタフェース86を介して外部装置(例えば、ユーザ端末若しくはデータサーバ)へ送信されてもよい。シートSは、排出トレイ2へ排出される。そして、図7のシート読取処理は終了する。
【0082】
<5-3.膨潤判定処理>
図8は、図6のS140で実行される膨潤判定処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【0083】
まず、S141で、状態判定部120は、図7のS129で記録された後端検知時刻T2からS124で記録された先端検知時刻T1を減算して、1枚のシートSがシートセンサ50を通過するために要したシート通過時間Tf(=T2-T1)を算出する。
【0084】
次いで、S142で、状態判定部120は、シートSの搬送方向の長さLをシート通過時間Tfで除算して、送りローラ11の最新の搬送速度Sn(=L/Tf)を算出する。
【0085】
次いで、S143で、状態判定部120は、基準速度Saがゼロに等しいか否かを判定する。基準速度Saがゼロに等しい場合、送りローラ11の交換後にシートSの搬送が未だ行われていないため、その後の判定はスキップされ、図8の膨潤判定処理は終了する。基準速度Saがゼロに等しくない場合には、処理はS144へ進む。
【0086】
S144で、状態判定部120は、S142で算出した搬送速度Snが基準速度Saよりも大きいか否かを判定する。搬送速度Snが基準速度Saよりも大きくない場合、状態判定部120は、送りローラ11の膨潤は発生していないと判定し、図8の膨潤判定処理は終了する(膨潤フラグは'偽'のまま維持される)。搬送速度Snが基準速度Saよりも大きい場合、処理はS145へ進む。
【0087】
S145で、状態判定部120は、送りローラ11の膨潤が発生したと判定し、膨潤フラグを'真'に設定する。そして、図8の膨潤判定処理は終了する。
【0088】
図8の膨潤判定処理に従って膨潤フラグが'真'へ更新された場合、送りローラ11の径が膨潤に起因して伸長していると見做される。シート搬送装置100は、この場合に、ユーザが推奨されない方法で送りローラ11を清掃したものと推定してもよい。搬送制御部110は、この推定に基づいて、推奨される清掃方法をユーザへ案内してもよい。とりわけ、本実施例では、ユーザによりカバー90を開ける操作が行われたことに応じて基準速度が再設定される。そのため、再設定後に測定される搬送速度が基準速度を超過しているという判定に基づいて、推奨されない方法でローラが清掃されたという推定を高い確度で行うことができる。
【0089】
また、本実施例によれば、前回速度に基づいて基準速度が設定されるため、ローラが摩耗している状況において、摩耗に起因する搬送速度の減少が基準速度に反映されることになる。したがって、そうした基準速度を最新の搬送速度と比較することで、ローラが摩耗している状況においても、相対的な搬送速度の増加から膨潤の発生を適切に判定することができる。
【0090】
<5-4.搬送制御処理(第2実施例)>
上では、ローラの膨潤が検知された場合の報知の一例として、スキャン倍率の調整をユーザへ提案してもよいことを説明したが、スキャン倍率の調整は、ローラが摩耗していると推定される場合にも行われてよい。本項では、そうした報知が行われ得る実施例について説明する。
【0091】
図9は、第2実施例に係る搬送制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。図9の搬送制御処理は、図6の例と同様に、シート搬送装置100の電源がオンされることにより開始される。シート搬送装置100が動作を開始する際に設定される状態変数は、上述したジャムフラグ、膨潤フラグ及び基準速度に加えて、送りローラ11の動作回数をカウントするためのローラカウンタ、及びローラカウンタの値と比較される摩耗判定用の閾値を含む。ローラカウンタは、送りローラ11が新品へ交換される都度ゼロへリセットされる。ローラカウンタの値は、シート搬送装置100の電源がオフされる場合にも、不揮発性メモリに記憶されることで維持される。
【0092】
図9において図6と同一の符号を付した処理ステップは、第1実施例に係る搬送制御処理の対応する処理ステップと同様であってよいため、その説明を省略する。
【0093】
S107で送りローラ11が交換されたと判定される場合、状態判定部120は、S109で基準速度Sa及び前回速度Sbを共に初期化した後、S110でローラカウンタをゼロへリセットする。ローラカウンタがゼロに等しいことは、送りローラ11が交換されて以降、未だシートの搬送が行われていないことを意味する。
【0094】
読取りジョブの実行中に、S120で1枚のシートに対するシート読取処理が行われた後、ジャムが検知されない場合には、状態判定部120は、S135で、ローラカウンタをインクリメント(1を加算)する。即ち、本実施例において、ローラカウンタは、送りローラ11の動作回数の実績、より具体的には送りローラ11が搬送したシートの累積的な枚数を表す。
【0095】
ジャム及び膨潤が検知されることなく、処理すべき全てのシートについて読取りが終了すると、状態判定部120は、S157で、ローラカウンタが摩耗判定用の閾値に到達したかを判定する。ローラカウンタが摩耗判定用の閾値に到達したと状態判定部120により判定された場合、S159で、搬送制御部110は、送りローラ11の摩耗に関するユーザへの報知を行う。ここでの報知は、図4に関連して説明したような、スキャン倍率の調整の提案、及びスキャン倍率の指定の受付けを含み得る。また、状態判定部120は、摩耗判定用の閾値を更新する。例えば、Y枚のシートを搬送するごとにスキャン倍率を調整することが望ましい場合、摩耗判定用の閾値の初期値はYに等しく、ローラカウンタが当該閾値に到達したことに応じて、その時点の閾値にYが加算され得る。ローラカウンタが摩耗判定用の閾値に到達していない場合(S157-NO)、又はS159で閾値が更新された後、読取りジョブは終了し、稼働中のタイマが停止され、処理はS101へ戻る。
【0096】
なお、膨潤検知などに起因してスキャン倍率が調整された時点からの、送りローラ11の動作回数が少ない場合には、冗長的な調整の提案を回避するために、S159でのスキャン倍率の調整の提案はスキップされてもよい。
【0097】
<6.まとめ>
ここまで、図1図9を用いて様々な実施形態及び実施例を説明した。上述した実施形態によれば、シート搬送装置は、シートを搬送する搬送ローラの膨潤が発生した場合に、膨潤の発生を検知してユーザへの報知を行う。したがって、搬送ローラの膨潤に気付いたユーザに適時な対処を促すことができる。
【0098】
また、上述した実施形態によれば、シート搬送装置は、搬送路に沿って搬送されるシートを検知するシートセンサを用いて測定される搬送速度に基づいて、搬送ローラの膨潤が発生したかを判定し得る。概して、搬送ローラの膨潤は、搬送ローラの径を伸長させ、回転速度が一定であれば搬送速度を増加させるように作用する。したがって、搬送制御のために多くのシート搬送装置に採用されているシートセンサを用いて搬送速度を測定することで、追加的なハードウェアを要することなく低コストで膨潤の発生を判定する仕組みを取入れることが可能である。例えば、搬送速度の基準値が設定され、搬送速度がその基準値よりも大きい場合に膨潤が発生したと判定され得る。この場合、複雑なアルゴリズムを要することなく膨潤の発生を判定することができる。
【0099】
また、上述した実施形態によれば、シート搬送装置は、搬送ローラを保護する保護部材を開閉する操作が行われたことが検知された後に測定される搬送速度に基づいて、膨潤が発生したかを判定し得る。したがって、ユーザが保護部材を開けて保守作業を行った後に、その作業に起因して発生することの多い搬送ローラの膨潤を適時に検知することができる。
【0100】
<7.その他の実施形態>
本明細書の開示は、少なくとも以下のシート搬送装置及びコンピュータプログラムを含む。
(項目1)
シートを搬送するローラを有する搬送手段と、
前記搬送手段において前記ローラの膨潤が発生したことを検知する膨潤検知手段と、
前記膨潤検知手段により前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、報知手段にユーザへの報知を行わせる制御手段と、
を備えるシート搬送装置。
(項目2)
前記シート搬送装置は、
搬送路に沿って搬送される前記シートを検知するシート検知手段、
をさらに備え、
前記膨潤検知手段は、前記シート検知手段を用いて測定される前記シートの搬送速度に基づいて、前記ローラの膨潤が発生したかを判定する、
項目1に記載のシート搬送装置。
(項目3)
前記膨潤検知手段は、前記シートの前記搬送速度が基準値よりも大きい場合に、前記ローラの膨潤が発生したと判定する、項目2に記載のシート搬送装置。
(項目4)
前記シート搬送装置は、
前記搬送手段を保護する、開閉可能な保護部材と、
前記保護部材を開閉する操作が行われたことを検知する開閉検知手段と、
をさらに備え、
前記膨潤検知手段は、前記保護部材を開閉する操作が行われたことが前記開閉検知手段により検知された後に測定される前記シートの前記搬送速度に基づいて、前記ローラの膨潤が発生したかを判定する、
項目3に記載のシート搬送装置。
(項目5)
前記基準値は、前記保護部材を開閉する操作の前に最後に測定されたシート搬送速度に基づく、項目4に記載のシート搬送装置。
(項目6)
前記基準値は、前記ローラの経時的な摩耗を算入することにより設定される、項目4又は5に記載のシート搬送装置。
(項目7)
前記制御手段は、前記膨潤検知手段により前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、前記ローラを交換すべきであることを前記ユーザへ報知するように前記報知手段を制御する、項目1~6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
(項目8)
前記制御手段は、前記膨潤検知手段により前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、前記ローラを清掃するための推奨される方法を前記ユーザへ報知するように前記報知手段を制御する、項目1~6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
(項目9)
前記シート搬送装置は、
搬送路に沿って搬送される前記シートを光学的に読取って読取画像を生成する読取手段、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記膨潤検知手段により前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、搬送方向における前記読取画像の倍率を調整すべきであることを前記ユーザへ報知するように前記報知手段を制御する、
項目1~6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
(項目10)
前記制御手段は、前記搬送手段の前記ローラの回転速度を変更することにより、前記搬送方向における前記読取画像の倍率を調整する、項目9に記載のシート搬送装置。
(項目11)
前記制御手段は、前記読取手段による読取動作の周期を変更することにより、前記搬送方向における前記読取画像の倍率を調整する、項目9に記載のシート搬送装置。
(項目12)
前記報知手段を備える外部装置と通信する通信手段、
をさらに備える、項目1~11のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
(項目13)
前記報知手段をさらに備える、項目1~11のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
(項目14)
シートを搬送するローラを有するシート搬送装置の処理回路に、
前記ローラの膨潤が発生したことを検知することと、
前記ローラの膨潤が発生したことが検知された場合に、ユーザへの報知を行うように報知手段を制御することと、
を行わせるためのコンピュータプログラム。
【0101】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
10,20,30:搬送手段、50,55:シート検知手段(シートセンサ)、70:読取手段(読取ユニット)、81:処理回路、82:記憶部、86:通信手段(通信インタフェース)、88:報知手段(報知ユニット)、90:保護部材(カバー)、95:開閉検知手段(カバーセンサ)、100:シート搬送装置、110:制御手段(搬送制御部)、120:膨潤検知手段(状態判定部)、S:シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9