(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053933
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】アラーム集約システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160463
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村里 裕太
(72)【発明者】
【氏名】高見 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】奥 信一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純平
(72)【発明者】
【氏名】後藤 義明
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、携帯端末に通知するアラームの頻度(回数)を適切に制御するアラーム集約システムを提供することである。
【解決手段】本発明のアラーム集約システム1は、作業機械100と、作業機械からアラームデータを取得するサーバ500と、サーバからアラームの通知を受ける端末600とを有しており、作業機械は、一日の動作内容を記録した日報データを作成してサーバに送信し、サーバは、以前に同じ内容のアラームデータを取得していない場合、あるいは、以前に同じ内容のアラームデータを取得しかつ該取得した時点以降に作成された日報データが存在する場合に端末にアラームの通知を行い(S250)、以前に同じ内容のアラームデータを取得した時点以降に作成された日報データが存在しない場合には端末にアラームの通知を行わない(S240)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械からアラームデータを取得し、端末に対してアラームの通知を送信するサーバを有するアラーム集約システムであって、
前記サーバは、
前記作業機械から一日の動作内容を記録した日報データと前記アラームデータを受信する通信装置と、制御装置とを有し、
前記制御装置は、
以前に同じ内容のアラームデータを取得しているか否かを判定し、前記日報データのうち、以前に同じ内容のアラームデータを取得した時点以降に作成された前記日報データが存在するか否かを判定し、
以前に同じ内容のアラームデータを取得していない場合、あるいは、以前に同じ内容のアラームデータを取得しかつ該取得した時点以降に作成された前記日報データが存在する場合に前記通信装置を介して前記端末に前記アラームの通知を行い、以前に同じ内容のアラームデータを取得した時点以降に作成された前記日報データが存在しない場合に前記端末に前記アラームの通知を行わないこと、
を有することを特徴とするアラーム集約システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記端末に通知するアラームとして前記端末の表示装置に前記アラームデータを時系列に並べて表示するものであることを特徴とする請求項1に記載のアラーム集約システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記作業機械と前記端末の位置情報に基づいて、前記アラームを通知する前記端末を選択することを特徴とする請求項3に記載のアラーム集約システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラーム集約システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1などに示すように、従来、作業機械の車体で故障が発生した場合に、その故障を車体のセンサにより検知してアラーム情報を生成し、通信端末を使用して遠隔にあるサーバに送信するシステムが提案されている。そして、このアラーム情報を受信したサーバでは、作業機械の点検を担当する点検員であるサービスマンが持つ携帯端末へとアラーム情報を送信し、サービスマンが適切な措置やメンテナンスなどを実行できるようにするための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のシステムでは、サーバは、車体のセンサからしきい値を越えた検知データを取得するたびに、検知データから対応するアラーム情報を導き出し、その対応するアラーム情報をサービスマンが持つ携帯端末へ送信して、携帯端末からアラームの発報をしていた。サービスマンは、自分の携帯端末を確認して、アラームの発報回数を集計し、他の作業機械を含む複数のアラームの発報回数(平均発生率)と比較して、対応の優先度(対応の順番)を判断していた。すなわち、アラームの発報回数を基準に、他の作業機械の平均値よりも高ければ、対応の優先度を増加させるなどの調整をしていた。このように、アラームの発報が繰り返される事象は、対応の優先度が高いとみなされるが、発報回数が少なくても優先度の高い事象もある。
【0005】
このように、両者を区分けすることは現実的ではないため、事象が解決されるまでは通知するという解決策もある。しかしながら、複数の部位で故障に関連する事象が発生した場合、各々から繰り返して発報されつづけるため携帯端末へのアラームの表示数が膨大になり、重要なアラームを見落とす可能性がある。そのため、本来サービスマンが行うべきことが行えない虞が生じる。
【0006】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、サービスマンの携帯端末に通知されるアラームの頻度(回数)を適正化し、重要なアラームの見落としを防ぐことが可能となるアラーム集約システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明のアラーム集約システムは、部品の故障などによって、車体センサからのしきい値を超えるデータがあれば、アラーム発報として、サーバで随時取得するが、すでに受信しているアラームと同じ内容のアラーム発報があれば、最初の1件のみの通知としてサービスマンの携帯端末に表示させるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業機械の稼働時間内に発生したアラームを集計し、サーバにその都度送信させるが、以前と同じアラームと判断された場合は、最初の1件のみを通知し、アラームの通知数を減らして適正化することで、重要なアラームの見落としを防ぎ、現場に出向く点検員の負担を減らすことにつながる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るアラーム集約システムの実施の一形態を示す全体構成図。
【
図3】車体とサーバとの間のやり取りを示す機能ブロック図。
【
図4】サーバの制御装置にて実行されるアラームデータの通知判定処理の内容を説明するフローチャート。
【
図8】サーバと端末間のやり取りを示すハードウェアブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るアラーム集約システムの実施の一形態を示す全体構成図である。本実施形態のアラーム集約システム1は、作業機械100からアラームデータを取得して集約し、サービスマンや顧客などのユーザに通知するシステムである。本実施形態では、作業機械100が油圧ショベルの場合を例に説明する。
【0011】
アラーム集約システム1は、作業機械100と、通信衛星200と、基地局300と、ネットワーク400と、サーバ500と、携帯端末600とを有している。本実施形態では、作業機械100、基地局300、サーバ500、携帯端末600がそれぞれ1つの場合を例に説明するが、複数であってもよい。また、作業機械100との通信は、通信衛星200との間に限定されず、基地局300と直接通信を行う構成としてもよい。
【0012】
ネットワーク400には、サーバ500の他に基地局300と携帯端末600とがそれぞれ接続されており、情報の双方向通信が可能となっている。携帯端末600は、ネットワーク400に通信接続可能なデジタルデバイスであり、サービスマンや顧客によって使用される。携帯端末600は、例えば情報を表示するとともにタッチ入力が可能なタッチパネルディスプレイを備えており、タブレットやスマートフォンなどが用いられている。サーバ500は、ネットワーク400に接続されたこれらのノード、すなわち基地局300および携帯端末600とデータの授受を行うことができる。
【0013】
図2は、車体とサーバのハードウェアブロック図である。
作業機械100は、センサ群110と、表示装置120と、コントローラ130と、記憶装置140と、通信装置150を有している。
【0014】
センサ群110は、複数のセンサからなり、例えば作業機械100が油圧ショベルの場合には、エンジンの稼働状態や温度、油圧ポンプの吐出圧やパイロット圧などといった油圧ショベルを稼働するために必要な各部の状態を検出する。センサ群110は、一般に1つの油圧ショベルに対して数十から数百以上の単位で設けられている。そして、これら各種センサ群110からの信号は、それぞれ専用の信号線を介して随時コントローラ130に入力される。
【0015】
コントローラ130は、CPUと、メモリと、入出力インターフェースを有しており、所定の制御プログラムに従って各種センサ群110からの入力信号を演算処理し、そのデータや制御信号を記憶装置140や通信装置150、表示装置120に出力する。
【0016】
記憶装置140は、ハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置であり、主にコントローラ130から出力されるアラームデータや集計データなどを随時読み出し可能に記憶・保存する。通信装置150は、衛星通信網や携帯電話網等のネットワークを介して、遠隔にあるサーバ500との間でデータ通信を行う。通信装置150には、無線通信用のアンテナや現在地の位置情報を送るためのGPS機能などが付設されている。
【0017】
サーバ500は、ネットワーク400に接続されており、作業現場から遠く離れた遠隔地に設置されている。サーバ500は、
図2に示すように、表示装置510と、通信装置520と、制御装置530と、記憶装置540を有している。通信装置520は、ネットワーク400を介して作業機械100からのアラームデータを取得し、制御装置530は、通信装置52により取得したアラームデータに基づいて演算処理を行う。記憶装置540は、アラームデータと制御装置530により演算処理された演算結果を保存し、表示装置510は、アラームデータや演算結果などを表示する。
【0018】
サーバ500には、携帯端末600がネットワーク400を介して接続可能となっており、そのサーバ500から携帯端末600にデータをダウンロードしたり、携帯端末600からサーバ500にデータを送信できるようなっている。
【0019】
図3は、車体とサーバとの間のやり取りを示す機能ブロック図である。
図3では、作業機械100とサーバ500との間でのやり取りから携帯端末600までの情報の流れを模式的に示している。
【0020】
作業機械100のコントローラ130は、センサ群110から作業機械100の各部の検知情報を受け取り、検知情報を用いて演算処理を行い、演算結果のデータを記憶装置140に格納する。コントローラ130は、データとしきい値とを比較し、しきい値を超えたデータをアラームデータと判定するアラームデータ判定部を有する。コントローラ130は、センサ群110のセンサ検出値が上限値を超えた場合や、センサ検出値が上限値を超えた回数が指定回数以上の場合、センサ検出値が上限値を超えていた時間の累積時間が所定時間以上の場合等に、しきい値を超えたと判断する。
【0021】
そして、コントローラ130は、作業機械100の日報データを作成する日報データ作成部を有する。日報データ作成部は、例えば一日の作業が終了する度に日報データを作成する。日報データには、作業機械100の一日の動作内容が記録されている。日報データは、作業機械100からサーバ500に送信され、サーバ500の記憶装置540に日別に記憶される。作業機械100の通信装置150は、日報データとアラームデータをサーバ500に送信するデータ送信部を構成する。
【0022】
サーバ500は、通信装置520にて作業機械100からアラームデータを受け取ると、制御装置530にて携帯端末600にアラームを通知するか否かを判定する処理を行う。アラームの通知判定に用いられたデータは、サーバ500内の記憶装置540に記録され、次回また同じアラームデータを受けたときに、使われることになる。
【0023】
図4は、サーバ500の制御装置530にて実行されるアラームの通知判定処理の内容を説明するフローチャートである。
【0024】
ステップS210では、作業機械100から送信されたアラームデータを取得する。ステップS220では、ステップS210で取得したアラームデータと同じ内容のアラームデータを以前に取得していたか否かを判定する(データ取得判定部)。以前に同じ内容のアラームデータを取得していたか否かの判定は、サーバ500内の記憶装置540にて記録されているデータとの比較によって行われる。そして、以前に同じ内容のアラームデータを取得していた場合は、ステップS230に進む。
【0025】
ステップS230では、以前に同じ内容のアラームデータを取得した時点から今回のアラームデータを取得した時点までの間に作成された日報データが存在するか否か、つまり、以前に同じ内容のアラームデータを取得した時点以降に作成された日報データが存在するか否かが判断される(日報データ判定部)。日報データは、一日単位で作業機械100の動作を記録したデータであり、作業機械100が稼働した日があれば、必ず作成される。日報データは、例えば一日の作業が終了する度に作業機械100によって作成され、作業機械100からからサーバ500に送信され、サーバ500の記憶装置540に日別に記憶される。所定の日付において日報データが存在する場合には、その日は作業機械100によって通常作業が行われた、つまり、作業機械100の状態は正常であり、作業機械100からのアラームデータの受信はなかった、と判断することができる。
【0026】
この日報データの有無というステップS230の判断によって、今回取得したアラームデータが、以前のアラームの原因が解消せずに同じ内容のアラームデータを連続して取得したものなのか、それとも、一旦解消したが、同じ内容を有する別の新たなアラームデータを取得したものなのかを判断する。
【0027】
例えば、作業機械100のコントローラ130が、作業機械100の一部分について異常を示すアラームデータを作成し、サーバ500に送信したが、その異常が解消せずに、再度、同じ内容のアラームデータを作成し、繰り返しサーバ500に送信する場合がある。一方、アラームの通知を受けてサービスマンが対応して異常を解消した後に、また、同じ部分について新たに異常が発生し、アラームデータが作成されて、サーバ500に送信される場合もある。このような場合に、サーバ500では、今回受け取ったアラームデータが、異常が解消せずに繰り返し連続して送信されたものなのか、それとも、一旦解消した後に新たに発生した異常について送信されたものであるのか、区別ができない。
【0028】
そこで、サーバ500では、以前に同じ内容のアラームデータを取得した時点から今回のアラームデータを取得した時点までの間に作成された日報データが存在するか否か、つまり、以前に同じ内容のアラームデータを取得した時点以降に作成された日報データが存在するか否かを判断し、日報データの有無に応じて、今回受け取ったアラームデータが、異常が解消せずに繰り返し連続して送信されたものなのか、それとも、一旦解消した後に新たに発生した異常について送信されたものであるのかを判断する。
【0029】
例えば、所定期間の間に作成された日報データが存在しない場合、つまり、以前に同じ内容のアラームデータを取得した時点以降に作成された日報データが存在しない場合には、今回取得したアラームデータは以前のアラームの原因が解消せずに同じ内容のアラームデータを連続して取得したものであると判断する。このように、所定期間の間に作成された日報データが存在しない場合は、ステップS240に移行し、携帯端末600にアラームを通知せず、そのアラームデータをサーバ500内に記憶する。
【0030】
そして、所定期間の間に作成された日報データが存在する場合には、異常を解消した後に、また、同じ部分について新たに異常が発生し、アラームデータが作成されて、サーバ500に送信されたもの、つまり、今回取得したアラームデータは、以前のアラームの原因は一旦解消したが、同じ内容を有する別の新たなアラームデータを取得したものであると判断する。これは、例えば、以前に同じアラームを通知しており、その際にサービスマンにより、なんらかの修理等が行われて、アラームを一度消すことができたものと判断でき、連続アラームではなく別アラームと判断できる。
【0031】
ステップS220で、以前に同じ内容のアラームデータを取得していないと判断された場合、及び、ステップS230で所定期間に日報データが存在すると判断された場合には、ステップS250に進む。ステップS250では、携帯端末600にアラームを通知する処理が行われる。
【0032】
したがって、作業機械100に異常が発生した場合に、携帯端末600に対して最初の1件のみアラームを通知することができて適正化され、異常が解消せずに同じ内容のアラームが繰り返し通知されるのを防ぐことができる。したがって、サービスマンが重要なアラームを見落とすのを防ぎ、本来、向かうべきところに向かわせることができる。
【0033】
図5は、作業機械の日報データの構成の一例を示すものである。
日報データは、作業機械100の機種コード、号機(個体番号)、日報データの発生日時、機械の号機を特定する情報(号機下1桁)を少なくとも含み、図示していないが機械によってはエンジン稼働時間、および、その日稼働した各エンジンモードの時間等の情報も有している。
図5に示す例では、日報データの発生日時の項目に2021年9月20日の記録がされている。
【0034】
図6は、作業機械から送信されたアラームデータのリストの一例を示す図である。
機種コード、号機、アラームコード、発生日時を時系列に示している。なお、アラームコード列は実際には複数の文字列であるが、
図6では簡略化して「A、B、C」と表記している。また、アラームコードはA、B、Cの3つに限られず、アラームのパターンやタイプなどに応じて多数用意されるものである。
【0035】
例えば、機種コードa、号機000001、アラームコードAを2021年9月4日18:04にサーバ500で取得した場合に、サーバ500内で記録していた以前のアラームデータと比較する。
【0036】
そして、2021年9月4日18:04よりも前の時刻である2021年9月3日13:04にサーバ500で取得したアラームデータが、機種コードa、号機000001、アラームコードAであり、2021年9月4日18:04に取得したアラームデータと全て同じ内容であるので、2021年9月4日18:04に取得したアラームデータは、以前に取得したアラームデータと同じアラームデータであると判断することができる。
【0037】
サーバ500は、所定期間の日報データがあるかどうか、つまり、2021年9月3日13:04と2021年9月4日18:04との間に作成された日報データの有無の確認を行う。そして、日報データがなければ、連続アラームとみなされ、サーバ500から携帯端末600に対してアラームの通知はしない。日報データがあるときは、連続アラームとはみなされずに、別アラームとして携帯端末600にアラームを通知する。
【0038】
図7は、アラーム名を示すデータテーブルを示す図であり、
図6のアラームコードが具体的にどのような内容のものなのかを示したものである。アラームコードは、アラームの対象部位とアラームの性質に応じて「警告」、「異常」など複数あり、オーバーヒート警告やエンジン油圧警告などセンサ値からしきい値を超えたデータがあった場合にこのような警告や異常のアラームが通知される。
【0039】
図8は、サーバと携帯端末との間でのやり取りを示すハードウェアブロック図である。
携帯端末600は、通信装置610と、制御装置620と、記憶装置630と、操作装置640と、撮像装置650と、表示装置660を有している。
【0040】
携帯端末600は、通信装置610を介してサーバ500からアラームの通知を受信すると、アラームデータに対応するアラームコードとアラーム名称を、表示装置660に表示させる。サービスマンは、表示装置660の表示を見ることで、実際に修理やメンテナンスというアクションを起こすことが可能となる。
【0041】
図9は、携帯端末600の表示の一例を示す図であり、携帯端末に通知したアラームデータを表示した画面である。
【0042】
携帯端末600の表示装置660は、アラームデータを画面表示する表示モニタ661を有している。表示モニタ661の画面上部には、作業機械100の機種671と、号機672と、顧客名673と、エンジン稼働時間674と、使用した年数675と、住所676が表示されている。
【0043】
表示モニタ661の画面中央部には、アラームヒストリー677が表示され、上から順番にアラームデータが時系列に並ぶようになっている。作業機械100からサーバ500に対して複数回繰り返して送信されるアラームデータは、1件のみがアラームヒストリーに表示される。したがって、サービスマンは、携帯端末600に時系列に並んで表示されるアラームに対して、重要性または優先度を認識して修理やメンテナンスに取り組むことができる。
【0044】
なお、携帯端末600へのアラームデータの表示の方法は、時系列に限られるものではない。表示装置660は、アラームデータの緊急度や優先度など、アラームデータの性質に応じて色分けして、アラームデータを表示してもよい。具体的には時系列で表示が後の方でも、緊急に取り組む必要のあるアラームデータは、表示領域の背景色を赤とし、優先度が通常である場合は青に表示するなどしてもよい。背景色の色は赤、青に限られるものではなく、任意に設定可能である。緊急度を示すことで、サービスマンは優先的に取り組むアラームを把握することができる。
【0045】
また、他の実施形態として、画面の領域の一部に、車体全体のイメージ図と、アラームが通知されている該当部位を丸囲みや矢印のポインタで特定するように表示してもよい。この表示を見ることによってサービスマンは点検が必要な箇所を視覚的・直感的に把握することが可能になる。
【0046】
本実施形態のアラーム集約システム1によれば、作業機械100からのアラームデータをサーバ500で取得し、サーバ500内で以前に取得した、同じアラームデータがあれば、最初の1件のみを通知として携帯端末600に表示させるので、携帯端末600に対するアラームの通知が減って適正化され、携帯端末600に膨大な数のアラームが通知されるのを防ぐことができ、現場に出向くサービスマンの負担を減らすことにつながる。したがって、サービスマンは、重要なアラームの見落としを防ぎ、メンテナンスや修理が必要な作業機械100のもとへ行くことができる。
【0047】
本実施形態のアラーム集約方法は、サーバ500が作業機械100からしきい値を超えたアラームデータを受け取り、サーバ500の制御装置530において同じアラームデータを以前に受けているか否かを判断する工程を有する。そして、同じアラームデータを受けていた場合には、以前に同じ内容のアラームデータを取得した時点から今回のアラームデータを取得した時点までの間に作成された日報データが存在するか否かを判断する工程を有する。そして、サーバ500が作業機械100から同じアラームデータを受けていない場合、及び日報データが存在するには、携帯端末600にアラームを通知する工程と、日報データがない場合には携帯端末600にアラームを通知しない工程とを有する。
【0048】
本実施形態のアラーム集約方法によれば、以前と同じアラームデータを作業機械100から受けた場合に、最初の1件のみをアラームとして携帯端末600に通知する。したがって、携帯端末600へのアラームの通知が減り、サービスマンによるアラームの見落としが減り、すぐに対応が必要ではないアラームに対しても、対応を忘れることなく行うことができ、事前に顧客のマシンダウンを防ぐことができることにつながる。
【0049】
(他の実施形態)
図6の説明に関連して、アラームデータのリストは「位置情報」を含んでもよい。そしてアラームの通知に先立ち、その通知先圏内に属する端末のみを指定する。これによって
携帯端末は、すべてのアラーム通知を受信するのではなく、現在地の域内にある作業機械のみを対象にしたアラームデータを受信する一方で、域外の遠方にある作業機械は表示しないという設定をすることが可能になり、効率的な対応を実現することができる。
あるいは、任意の域内に複数のサービスマンがいる場合、アラームを発報している機械の位置情報にもっとも近いサービスマンを対象に優先的に通知するなどの設定をすることとしてもよい。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
100…作業機械(油圧ショベル)、200…通信衛星、300…基地局、400…ネットワーク、500…サーバ、600…携帯端末、110…センサ群、120…表示装置、130…コントローラ、140…記憶装置、150…通信装置、510…表示装置、520…通信装置、530…制御装置、540…記憶装置、610…通信装置、620…制御装置、630…記憶装置、640…操作装置、650…撮像装置、660…表示装置