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特開2024-53934送信装置、受信装置および送受信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053934
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置および送受信システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/235 20110101AFI20240409BHJP
   H04N 21/238 20110101ALI20240409BHJP
   H04N 21/435 20110101ALI20240409BHJP
   H04N 21/438 20110101ALI20240409BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H04N21/235
H04N21/238
H04N21/435
H04N21/438
H04L25/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160464
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】399011195
【氏名又は名称】ザインエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(72)【発明者】
【氏名】石川 美緒
(72)【発明者】
【氏名】井手口 峻
【テーマコード(参考)】
5C164
5K029
【Fターム(参考)】
5C164MA08S
5C164SB08P
5C164SB21P
5C164SB41S
5C164UB10P
5C164UB21P
5C164UB41S
5C164YA21
5K029AA18
(57)【要約】
【課題】映像データに加えて非映像データを共通の伝送路により伝送する送受信システムを提供する。
【解決手段】送受信システムは、送信装置10および受信装置を備える。送信装置10は、結合部40および送信部50を備える。結合部40は、DE信号、映像データ(アクティブデータ、ブランクデータ)および非映像データを入力し、所定のルールに従って映像データと非映像データとを結合して結合データを出力する。送信部50は、結合部40から出力された結合データを入力し、この結合データにBSデータおよびBEデータを挿入して、その挿入後の結合データを伝送路30へ送出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブデータおよびブランクデータを含む映像データならびに非映像データを送出する送信装置であって、
送出する前記映像データと前記非映像データとのデータ量の比がN以上(Nは正整数)であり、
前記映像データと前記非映像データとを結合する結合部と、前記結合部により結合されたデータを送出する送信部と、を備え、
前記結合部は、
前記アクティブデータを送出するアクティブ期間および前記ブランクデータを送出するブランク期間を表すDE信号、前記映像データならびに前記非映像データを入力し、
前記DE信号がブランク期間からアクティブ期間への遷移を示すタイミングおよび計数値がNに達するタイミングで計数値が初期化され基準クロックのパルスを計数する第1カウンタと、計数値がNに達するタイミングで計数値が初期化され前記基準クロックのパルスを計数する第2カウンタと、を含み、
アクティブ期間において、前記第1カウンタの計数値が第1所定値である前記基準クロックのサイクルで前記非映像データを前記アクティブデータに挿入し、
ブランク期間において、前記第2カウンタの計数値が第2所定値である前記基準クロックのサイクルで前記非映像データを前記ブランクデータに挿入して、
前記映像データと前記非映像データとを結合して結合データを出力し、
前記送信部は、
前記結合部から出力された前記結合データを入力し、
前記DE信号がアクティブ期間からブランク期間への遷移を示すタイミングの直後の前記基準クロックのサイクルでBSデータを前記結合データに挿入し、
前記DE信号がブランク期間からアクティブ期間への遷移を示すタイミングの直前の前記基準クロックのサイクルでBEデータを前記結合データに挿入して、
前記BSデータおよび前記BEデータを挿入した後の前記結合データを送出する、
送信装置。
【請求項2】
前記結合部は、前記BSデータを挿入するサイクルの次のサイクルで、前記BSデータを挿入するサイクルにおける前記第2カウンタの計数値を挿入する、
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記結合部は、前記BSデータを挿入するサイクルの2サイクル後のサイクルで前記非映像データを挿入する、
請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
送信装置からDE信号に基づいて送出されたアクティブデータおよびブランクデータを含む映像データならびに非映像データを受信する受信装置であって、
受信する前記映像データと前記非映像データとのデータ量の比がN以上(Nは正整数)であり、
前記送信装置から送出されたデータを受信する受信部と、前記受信部により受信されたデータに基づいて前記映像データと前記非映像データとを分離する分離部と、を備え、
前記受信部は、
前記送信装置から送出されたデータを受信し、その受信したデータに含まれるBSデータおよびBEデータを検出して、前記BSデータおよび前記BEデータに基づいて、アクティブ期間およびブランク期間を表すDE信号を再生し、
前記分離部は、
前記受信部により受信されたデータおよび前記DE信号を入力し、
前記DE信号がブランク期間からアクティブ期間への遷移を示すタイミングおよび計数値がNに達するタイミングで計数値が初期化され基準クロックのパルスを計数する第1カウンタと、計数値がNに達するタイミングで計数値が初期化され前記基準クロックのパルスを計数する第2カウンタと、を含み、
アクティブ期間において、前記受信部により受信されたデータのうち、前記第1カウンタの計数値が第1所定値である前記基準クロックのサイクルのデータを前記非映像データとし、他のサイクルのデータを前記アクティブデータとし、
ブランク期間において、前記受信部により受信されたデータのうち、前記第2カウンタの計数値が第2所定値である前記基準クロックのサイクルのデータを前記非映像データとし、他のサイクルのデータを前記ブランクデータとして、
前記映像データと前記非映像データとを分離する、
受信装置。
【請求項5】
前記分離部は、前記BSデータを検出したサイクルの次のサイクルのデータを、前記BSデータを検出したサイクルにおける前記第2カウンタの計数値として、前記第2カウンタの計数動作を行わせる、
請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記分離部は、前記BSデータを検出したサイクルの2サイクル後のサイクルのデータを前記非映像データとする、
請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
請求項1に記載の送信装置と請求項4に記載の受信装置とを備える送受信システム。
【請求項8】
請求項2に記載の送信装置と請求項5に記載の受信装置とを備える送受信システム。
【請求項9】
請求項3に記載の送信装置と請求項6に記載の受信装置とを備える送受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、受信装置および送受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の映像表示装置に映像を表示する為の映像データを伝送する送受信システムの発明が特許文献1に開示されている。この文献に記載された送受信システムは、アクティブデータおよびブランクデータを含む映像データを送出する送信装置と、この送信装置から送出された映像データを受信して映像表示装置に映像を表示させる受信装置と、を備える。
【0003】
この送受信システムにおいて、送信装置は、受信装置へ送出すべきアクティブデータおよびブランクデータを入力するとともに、DE信号(データイネーブル信号)をも入力する。そして、送信装置は、DE信号が第1レベル(例えばHレベル)である期間(アクティブ期間)にアクティブデータを受信装置へ送出する。送信装置は、DE信号が第2レベル(例えばLレベル)である期間(ブランク期間)にブランクデータを受信装置へ送出する。
【0004】
また、送信装置は、DE信号が第1レベルから第2レベルへ遷移するタイミング(ブランク期間の開始タイミング)を表すBSデータ(ブランクスタートデータ)を受信装置へ送出する。さらに、送信装置は、DE信号が第2レベルから第1レベルへ遷移するタイミング(ブランク期間の終了タイミング)を表すBEデータ(ブランクエンドデータ)を受信装置へ送出する。
【0005】
受信装置は、送信装置から送出され伝送路を経て到達したデータを受信する。そして、受信装置は、受信したデータのうちからBSデータおよびBEデータを検出して、これらを検出したタイミングに基づいてDE信号を再生する。また、受信装置は、この再生したDE信号に基づいて、受信したデータのうちからアクティブデータとブランクデータとを分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/069430号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような送受信システムにおいて、映像データ(アクティブデータ、ブランクデータ)だけでなく非映像データをも送信装置から受信装置へ伝送したいという要求がある。ここで、非映像データとは、映像データと異なり、例えば、機器制御の為のI2Cデータ、音声データであるI2Sデータ、汎用入出力データ、等である。映像データに加えて非映像データを共通の伝送路により伝送することができれば、システムのコスト増加を抑制することができるので好都合である。
【0008】
送信装置から映像データおよび非映像データを受信装置へ伝送する場合、受信装置の側において支障なく映像を表示することができるように映像データを伝送することが必要である。これに加えて、受信装置の側において非映像データを用いる機器の動作に遅れが生じないように、非映像データの伝送は、レイテンシが小さく且つレイテンシのバラツキも小さいことが要求される。
【0009】
本発明は、映像データに加えて非映像データを共通の伝送路により伝送することができ且つ上記のような要求に応えることができる送信装置、受信装置および送受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の送信装置は、アクティブデータおよびブランクデータを含む映像データならびに非映像データを送出する送信装置であって、送出する映像データと非映像データとのデータ量の比がN以上(Nは正整数)であり、映像データと非映像データとを結合する結合部と、結合部により結合されたデータを送出する送信部と、を備える。
【0011】
結合部は、アクティブデータを送出するアクティブ期間およびブランクデータを送出するブランク期間を表すDE信号、映像データならびに非映像データを入力し、DE信号がブランク期間からアクティブ期間への遷移を示すタイミングおよび計数値がNに達するタイミングで計数値が初期化され基準クロックのパルスを計数する第1カウンタと、計数値がNに達するタイミングで計数値が初期化され基準クロックのパルスを計数する第2カウンタと、を含み、アクティブ期間において、第1カウンタの計数値が第1所定値である基準クロックのサイクルで非映像データをアクティブデータに挿入し、ブランク期間において、第2カウンタの計数値が第2所定値である基準クロックのサイクルで非映像データをブランクデータに挿入して、映像データと非映像データとを結合して結合データを出力する。
【0012】
送信部は、結合部から出力された結合データを入力し、DE信号がアクティブ期間からブランク期間への遷移を示すタイミングの直後の基準クロックのサイクルでBSデータを結合データに挿入し、DE信号がブランク期間からアクティブ期間への遷移を示すタイミングの直前の基準クロックのサイクルでBEデータを結合データに挿入して、BSデータおよびBEデータを挿入した後の結合データを送出する。
【0013】
結合部は、BSデータを挿入するサイクルの次のサイクルで、BSデータを挿入するサイクルにおける第2カウンタの計数値を挿入するのが好適である。また、結合部は、BSデータを挿入するサイクルの2サイクル後のサイクルで非映像データを挿入するのが好適である。
【0014】
本発明の受信装置は、送信装置からDE信号に基づいて送出されたアクティブデータおよびブランクデータを含む映像データならびに非映像データを受信する受信装置であって、受信する映像データと非映像データとのデータ量の比がN以上(Nは正整数)であり、送信装置から送出されたデータを受信する受信部と、受信部により受信されたデータに基づいて映像データと非映像データとを分離する分離部と、を備える。
【0015】
受信部は、送信装置から送出されたデータを受信し、その受信したデータに含まれるBSデータおよびBEデータを検出して、BSデータおよびBEデータに基づいて、アクティブ期間およびブランク期間を表すDE信号を再生する。
【0016】
分離部は、受信部により受信されたデータおよびDE信号を入力し、DE信号がブランク期間からアクティブ期間への遷移を示すタイミングおよび計数値がNに達するタイミングで計数値が初期化され基準クロックのパルスを計数する第1カウンタと、計数値がNに達するタイミングで計数値が初期化され基準クロックのパルスを計数する第2カウンタと、を含み、アクティブ期間において、受信部により受信されたデータのうち、第1カウンタの計数値が第1所定値である基準クロックのサイクルのデータを非映像データとし、他のサイクルのデータをアクティブデータとし、ブランク期間において、受信部により受信されたデータのうち、第2カウンタの計数値が第2所定値である基準クロックのサイクルのデータを非映像データとし、他のサイクルのデータをブランクデータとして、映像データと非映像データとを分離する。
【0017】
分離部は、BSデータを検出したサイクルの次のサイクルのデータを、BSデータを検出したサイクルにおける第2カウンタの計数値として、第2カウンタの計数動作を行わせるのが好適である。また、分離部は、BSデータを検出したサイクルの2サイクル後のサイクルのデータを非映像データとするのが好適である。
【0018】
本発明の送受信システムは、上記の本発明の送信装置と上記の本発明の受信装置とを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、映像データに加えて非映像データを共通の伝送路により伝送することができる。また、受信装置の側において支障なく映像を表示することができ、受信装置の側において非映像データを用いる機器の動作の遅れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、送受信システム1の構成を示す図である。
図2図2は、送信装置10の構成を示す図である。
図3図3は、受信装置20の構成を示す図である。
図4図4は、映像データに非映像データを挿入する態様の例を説明するタイミングチャートである。
図5図5は、送受信システム1において映像データに非映像データを挿入する態様を説明するタイミングチャートである。
図6図6は、送受信システム1において映像データに非映像データを挿入する態様を説明するタイミングチャートである。
図7図7は、送受信システム1において映像データに非映像データを挿入する態様を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
本発明者らは、映像データ(アクティブデータ、ブランクデータ)に加えて非映像データを送信装置から共通の伝送路を経て受信装置へ伝送する送受信システムを開発するに際し、特許文献1に記載された送受信システムを改良することを検討した。本発明者らは、その検討の過程において、伝送すべき映像データのデータ量Xと比べて非映像データのデータ量Yが少ないことに注目した。
【0023】
本発明者らは、データ量の比(X/Y)が正整数N以上であるとして、映像データを伝送する単位期間の長さを基準クロックのNサイクル分とし、非映像データを伝送する単位期間を基準クロックの1サイクル分として、これら二つの単位期間を交互に設け、非映像データを伝送しない場合と比較して基準クロックの周期をN/(N+1)倍とすることを検討した。このような送受信システムは、映像データに加えて非映像データを共通の伝送路により伝送することができ、受信装置の側において支障なく映像を表示することができ、受信装置の側において非映像データを用いる機器の動作の遅れを抑制することができると期待される。
【0024】
ところで、前述したとおり、特許文献1に記載された送受信システムでは、送信装置は、DE信号のレベル遷移(アクティブ期間とブランク期間との間の遷移)のタイミングで、BSデータまたはBEデータを受信装置へ送る。受信装置は、受信したデータのうちからBSデータおよびBEデータを検出して、これらを検出したタイミングに基づいてDE信号を再生する。そして、受信装置は、この再生したDE信号に基づいて、受信したデータのうちからアクティブデータとブランクデータとを分離する。
【0025】
映像を表示する画面は一般に長方形であり、映像の各ラインのアクティブデータ量は一定であるから、DE信号がHレベルである期間(アクティブ期間)の長さは一定時間である。したがって、受信装置は、再生したDE信号がHレベルである期間の長さが所定の一定時間と異なる場合には、受信したデータが静電気等の外因により欠損していると判断することができ、さらに、データ補正等の対策をすることでEMC耐性を向上させることができる。
【0026】
しかし、本発明者らは、映像データを伝送するNサイクルの単位期間と、非映像データを伝送する1サイクルの単位期間とを、交互に設けた場合には、次のような問題が生じる場合があることを見出した。すなわち、DE信号のレベル遷移のタイミングでBSデータまたはBEデータを送信装置から受信装置へ送ることを優先的に遵守しようとすると、非映像データの挿入のタイミングによっては、DE信号がHレベルである期間(アクティブ期間)の長さが変動する場合がある。DE信号がHレベルである期間の長さが静電気等の外因によらず変動すると、受信装置において受信したデータが静電気等の外因により欠損しているか否かを判断することができない。このような送受信システムは、より高いEMC耐性が求められる分野に適用することは適切でない。
【0027】
以下に説明する送受信システム1は、上記のような問題点を解消し得るものである。図1は、送受信システム1の構成を示す図である。送受信システム1は、送信装置10および受信装置20を備える。送信装置10は、映像データ(アクティブデータ、ブランクデータ)および非映像データを伝送路30へ送出する。受信装置20は、送信装置10から出力されて伝送路30を経て到達したデータを受信し、この受信したデータを映像データと非映像データとに分離する。そして、受信装置20は、液晶表示装置等の映像表示装置へ映像データを出力し、非映像データを用いる機器へ非映像データを出力する。
【0028】
図2は、送信装置10の構成を示す図である。送信装置10は、結合部40および送信部50を備える。結合部40は、DE信号、映像データ(アクティブデータ、ブランクデータ)および非映像データを入力し、映像データと非映像データとを結合して結合データを出力する。送信部50は、結合部40から出力された結合データを入力し、この結合データにBSデータおよびBEデータを挿入して、その挿入後の結合データを伝送路30へ送出する。
【0029】
結合部40は、第1カウンタ41、第2カウンタ42、セレクタ43、論理回路44、マルチプレクサ45、第1バッファ46および第2バッファ47を含む。
【0030】
第1カウンタ41および第2カウンタ42それぞれは、基準クロックのパルスを計数するものであり、計数値がNに達するタイミングで計数値が初期化される。すなわち、第1カウンタ41および第2カウンタ42それぞれの計数値は、0からN-1までの範囲の値となる。また、第1カウンタ41は、DE信号がブランク期間からアクティブ期間への遷移を示すタイミングでも計数値が初期化される。第2カウンタ42は、DE信号がHレベルからLレベルへ遷移したタイミングの直後のサイクルにおける計数値Mをマルチプレクサ45へ出力する。
【0031】
セレクタ43は、第1カウンタ41および第2カウンタ42それぞれの計数値ならびにDE信号を入力する。セレクタ43は、DE信号がHレベルであるアクティブ期間では第1カウンタ41の計数値を選択して出力し、DE信号がLレベルであるブランク期間では第2カウンタ42の計数値を選択して出力する。
【0032】
論理回路44は、セレクタ43により選択されて出力された計数値およびDE信号を入力する。論理回路44は、DE信号がHレベルであるアクティブ期間では、セレクタ43から出力される値(第1カウンタ41の計数値)が第1所定値N1であるときに、その旨を表す信号をマルチプレクサ45へ出力する。また、論理回路44は、DE信号がLレベルであるブランク期間では、セレクタ43から出力される値(第2カウンタ42の計数値)が第2所定値N2であるときに、その旨を表す信号をマルチプレクサ45へ出力する。N1およびN2は、0からN-1までの範囲の任意の整数値であってよく、互いに等しい値でもよく、互いに異なる値でもよい。論理回路44からマルチプレクサ45へ出力される信号は、映像データに対して非映像データを挿入する基準クロックのサイクルを示すものである。また、論理回路44は、映像データに対して非映像データを挿入した後のDE信号を送信部50へ出力する。
【0033】
第1バッファ46は、映像データを入力して一時的に記憶する。第2バッファ47は、非映像データを入力して一時的に記憶する。第1バッファ46および第2バッファ47それぞれは、FIFOメモリであってよい。
【0034】
マルチプレクサ45は、第1バッファ46に記憶されている映像データを読み出して入力し、第2バッファ47に記憶されている非映像データを読み出して入力する。また、マルチプレクサ45は、論理回路44から出力された信号(映像データに対して非映像データを挿入する基準クロックのサイクルを示す信号)、および、DE信号がHレベルからLレベルへ遷移したタイミングの直後のサイクルにおける第2カウンタ42の計数値Mを入力する。マルチプレクサ45は、論理回路44から出力された信号に基づいて、映像データに対して非映像データを挿入する。また、マルチプレクサ45は、DE信号がHレベルからLレベルへ遷移したタイミングから2サイクル後のサイクルで計数値Mを挿入する。マルチプレクサ45は、これらを結合した結合データを送信部50へ出力する。
【0035】
送信部50は、パッカー51、スクランブラ52、エンコーダ53およびシリアライザ54を含む。パッカー51は、結合部40のマルチプレクサ45から出力された結合データ(映像データ+非映像データ)を入力し、この結合データをパケット処理し、そのパケット処理後のデータをスクランブラ52へ出力する。スクランブラ52は、乱数発生器を有しており、この乱数発生器により生成される乱数を用いて、パッカー51から出力されたデータをスクランブル処理して出力する。エンコーダ53は、シンボルマッピング方式による符号化処理(例えば8B10Bエンコード処理)を行うものであり、スクランブラ52から出力されたデータをエンコード処理して出力する。シリアライザ54は、エンコーダ53から出力されたデータを入力して、このデータ(パラレルデータ)をシリアルデータに変換して伝送路30へ送出する。
【0036】
また、送信部50は、結合部40の論理回路44から出力されたDE信号をも入力する。DE信号がアクティブ期間からブランク期間への遷移を示すタイミングの直後の基準クロックのサイクルでBSデータ(ブランクスタートデータ)を結合データに挿入し、DE信号がブランク期間からアクティブ期間への遷移を示すタイミングの直前の基準クロックのサイクルでBEデータ(ブランクエンドデータ)を結合データに挿入する。送信部50は、BSデータおよびBEデータを挿入した後の結合データに対して、パッカー51、スクランブラ52、エンコーダ53およびシリアライザ54それぞれの上記処理を行う。このとき、エンコーダ53は、BSデータおよびBEデータについては8B10BエンコードのうちでもKコードとし、他のデータについては8B10BエンコードのうちでもDコードとする。
【0037】
DコードおよびKコードの何れも、8ビットデータを10ビットデータにエンコードする。すなわち、DコードおよびKコードの何れにおいても、8ビットの情報を10ビットのシンボルに対応させる。一般に、8ビットデータは256(=2)とおりの値を表すことができ、10ビットデータは1024(=210)とおりの値を表すことができる。Dコードは全ての8ビットデータを10ビットデータにエンコードするのに対して、Kコードは12個の8ビットデータを10ビットデータにエンコードする。したがって、1024とおりの値を表すことができる10ビットデータは、Dコードによる10ビットデータと、Kコードによる10ビットデータとを含むことができる。
【0038】
例えば、8ビットデータおよび10ビットデータそれぞれを2進数で表記すると、8ビットデータ [0001_1100] に対して、Kコードの10ビットデータは [00_1111_0100]および [11_0000_1011] であり、Dコードの10ビットデータは [00_1110_1011] および [00_1110_0100] である。このように、8ビットデータが同じ値であっても、Kコードの10ビットデータはDコードの10ビットデータと異なる。Kコードの10ビットデータがDコードの10ビットデータと一致することはないので、任意の10ビットデータがKコードおよびDコードのうちの何れであるかを識別することができる。
【0039】
図3は、受信装置20の構成を示す図である。受信装置20は、受信部60および分離部70を備える。受信部60は、送信装置10の送信部50から送出されて伝送路30を経て到達したデータを受信する。分離部70は、受信部60により受信されたデータに基づいて映像データと非映像データとを分離する。
【0040】
受信部60は、デシリアライザ61、デコーダ62、デスクランブラ63およびアンパッカー64を含む。デシリアライザ61は、送信装置10から送出されたデータ(シリアルデータ)をパラレルデータに変換して出力する。デコーダ62は、デシリアライザ61から出力されたデータをデコード処理して出力する。デスクランブラ63は、デコーダ62から出力されたデータをデスクランブル処理して出力する。アンパッカー64は、デコーダ62から出力されたデータをアンパケット処理して出力する。
【0041】
また、受信部60は、デシリアライザ61、デコーダ62、デスクランブラ63およびアンパッカー64それぞれの上記処理の際に、受信したデータに含まれるBSデータおよびBEデータを検出して、これらBSデータおよびBEデータに基づいて、アクティブ期間およびブランク期間を表すDE信号を再生する。
【0042】
なお、送信部50および受信部60の構成は、特許文献1に開示された発明の構成と同様のものである。
【0043】
分離部70は、第1カウンタ71、第2カウンタ72、セレクタ73、論理回路74およびデマルチプレクサ75を含む。
【0044】
第1カウンタ71および第2カウンタ72それぞれは、基準クロックのパルスを計数するものであり、計数値がNに達するタイミングで計数値が初期化される。すなわち、第1カウンタ71および第2カウンタ72それぞれの計数値は、0からN-1までの範囲の値となる。また、第1カウンタ71は、DE信号がブランク期間からアクティブ期間への遷移を示すタイミングでも計数値が初期化される。
【0045】
セレクタ73は、第1カウンタ71および第2カウンタ72それぞれの計数値ならびにDE信号を入力する。セレクタ73は、DE信号がHレベルであるアクティブ期間では第1カウンタ71の計数値を選択して出力し、DE信号がLレベルであるブランク期間では第2カウンタ72の計数値を選択して出力する。
【0046】
論理回路74は、セレクタ73により選択されて出力された計数値およびDE信号を入力する。論理回路74は、DE信号がHレベルであるアクティブ期間では、セレクタ73から出力される値(第1カウンタ71の計数値)が第1所定値N1であるときに、その旨を表す信号をデマルチプレクサ75へ出力する。また、論理回路74は、DE信号がLレベルであるブランク期間では、セレクタ73から出力される値(第2カウンタ72の計数値)が第2所定値N2であるときに、その旨を表す信号をデマルチプレクサ75へ出力する。論理回路74におけるN1,N2は、それぞれ、論理回路44におけるN1,N2と同じ値である。論理回路74からデマルチプレクサ75へ出力される信号は、映像データに対して非映像データが挿入されている基準クロックのサイクルを示すものである。
【0047】
デマルチプレクサ75は、受信部60から出力された結合データ(映像データ+非映像データ)を入力するとともに、論理回路74から出力された信号を入力する。デマルチプレクサ75は、論理回路74から出力された信号に基づいて、結合データを映像データと非映像データとに分離する。
【0048】
すなわち、デマルチプレクサ75は、DE信号がHレベルであるアクティブ期間において、受信部60により受信されたデータのうち、第1カウンタ71の計数値が第1所定値N1である基準クロックのサイクルのデータを非映像データとし、他のサイクルのデータをアクティブデータとする。また、デマルチプレクサ75は、DE信号がLレベルであるブランク期間において、受信部60により受信されたデータのうち、第2カウンタ72の計数値が第2所定値N2である基準クロックのサイクルのデータを非映像データとし、他のサイクルのデータをブランクデータとする。
【0049】
さらに、デマルチプレクサ75は、受信部60により受信されたデータのうち、BSデータを検出したサイクルの次のサイクルのデータを、BSデータを検出したサイクルにおける第2カウンタ72の計数値として、第2カウンタ72の計数動作を行わせる。これにより、送信装置10の第2カウンタ42と受信装置20の第2カウンタ72とは、同一の計数値を出力することができる。
【0050】
図4は、映像データに非映像データを挿入する態様の例を説明するタイミングチャートである。この図は、映像データを伝送するNサイクルの単位期間と、非映像データを伝送する1サイクルの単位期間とを、単純に交互に設ける場合を示す。ここでは、N=3としている。N=3である場合、映像データに非映像データを挿入する態様は3とおりある。この図には、上から順に、基準クロック、DE信号、映像データ(アクティブデータA、ブランクデータB)、非映像データ挿入態様(1)~(3)それぞれの場合の非映像データ挿入位置、非映像データC、が示されている。
【0051】
非映像データ挿入態様(1)~(3)それぞれにおいて、上向き矢印で示される位置に非映像データを単純に挿入する場合、非映像データ挿入態様によっては、DE信号がHレベルである期間(アクティブ期間)の長さが変動する場合がある。DE信号がHレベルである期間の長さが静電気等の外因によらず変動すると、受信装置において受信したデータが静電気等の外因により欠損しているか否かを判断することができない。このような送受信システムは、より高いEMC耐性が求められる分野に適用することは適切でない。
【0052】
本実施形態の送受信システム1では、映像データを伝送するNサイクルの単位期間と、非映像データを伝送する1サイクルの単位期間とを、交互に設けることを基本としつつ、アクティブ期間とブランク期間との間で非映像データ挿入態様を互いに異ならせることで、上記のような問題点の解消を図る。
【0053】
図5図7は、送受信システム1において映像データに非映像データを挿入する態様を説明するタイミングチャートである。ここでも、N=3としている。また、非映像データの挿入位置を指示する第1カウンタ41の第1所定値N1および第2カウンタ42の第2所定値N2の何れも0としている。これらの図には、上から順に、DE信号、結合データ(映像データ+非映像データ)、第2カウンタ42の計数値、第1カウンタ41の計数値、が示されている。図5に示される態様は、図4に示された非映像データ挿入態様(1)を変形したものである。図6に示される態様は、図4に示された非映像データ挿入態様(2)を変形したものである。図7に示される態様は、図4に示された非映像データ挿入態様(3)を変形したものである。
【0054】
図5図7に示される非映像データ挿入態様の何れにおいても、DE信号がHレベルであるアクティブ期間では、第1カウンタ41の計数値が0であるサイクルで非映像データCをアクティブデータAに挿入する。DE信号がLレベルであるブランク期間では、最初のサイクルでのBSデータの挿入および最後のサイクルでのBEデータの挿入を最優先とし、第2カウンタ42の計数値が0であるサイクルで非映像データCをブランクデータBに挿入することを基本とする。この基本に加えて、BSデータの挿入サイクルの次のサイクルで計数値Mを挿入する。また、計数値Mの挿入サイクルの次のサイクルで非映像データCを挿入する。計数値Mは、DE信号がHレベルからLレベルへ遷移したタイミングの直後のサイクル(すなわち、BSデータの挿入サイクル)における第2カウンタ42の計数値である。
【0055】
送信装置10の第1カウンタ41および受信装置20の第1カウンタ71は、何れもDE信号がブランク期間からアクティブ期間への遷移を示すタイミングで計数値が初期化されるので、同じ計数値を出力することができる。受信装置20の第2カウンタ72は、受信部60により受信されたデータのうち、BSデータを検出したサイクルの次のサイクルのデータを、BSデータを検出したサイクルにおける第2カウンタ72の計数値とするので、送信装置10の第2カウンタ42と同じ計数値を出力することができる。送信装置10と受信装置20との間で、N、N1、N2の各値を共有して、非映像データ挿入ルールを共有する。
【0056】
このようにすることで、送信装置10から送出されたデータを受信した受信装置20は、BSデータおよびBEデータを検出してDE信号を再生し、映像データと非映像データとを分離することができる。また、映像データを伝送するNサイクルの単位期間と、非映像データを伝送する1サイクルの単位期間とを、交互に設けることを基本としているので、受信装置20の側において支障なく映像を表示することができ、受信装置20の側において非映像データを用いる機器の動作の遅れを抑制することができる。また、DE信号がHレベルである期間の長さを所定の一定時間とすることができるので、その期間の長さが所定の一定時間と異なる場合には、受信したデータが静電気等の外因により欠損していると判断することができ、さらに、データ補正等の対策をすることでEMC耐性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…送受信システム、10…送信装置、20…受信装置、30…伝送路、40…結合部、41…第1カウンタ、42…第2カウンタ、43…セレクタ、44…論理回路、45…マルチプレクサ、46…第1バッファ、47…第2バッファ、50…送信部、51…パッカー、52…スクランブラ、53…エンコーダ、54…シリアライザ、60…受信部、61…デシリアライザ、62…デコーダ、63…デスクランブラ、64…アンパッカー、70…分離部、71…第1カウンタ、72…第2カウンタ、73…セレクタ、74…論理回路、75…デマルチプレクサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7