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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053954
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】光導波路及び配線基板
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20240409BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240409BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G02B6/122 311
G02B6/12 371
G02B6/12 301
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160494
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 広和
(72)【発明者】
【氏名】古町 遼佳
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB12
2H137AC12
2H137BA35
2H137BA52
2H137BA53
2H137BA55
2H137BB02
2H137BB03
2H137BB12
2H137BB32
2H137BB33
2H137CC02
2H137CC03
2H137CC05
2H137CC12
2H137EA03
2H137HA11
2H147AB04
2H147AB05
2H147BA10
2H147BB02
2H147BB03
2H147BD05
2H147BG06
2H147CC13
2H147CC14
2H147CD09
2H147CD10
2H147DA09
2H147DA10
2H147EA09C
2H147EA10C
2H147EA13A
2H147EA13B
2H147EA14A
2H147EA14B
2H147EA14C
2H147EA17A
2H147EA17B
2H147EA19A
2H147EA19B
2H147EA20A
2H147EA20B
2H147FA20
2H147FC09
2H147FD02
2H147FD15
2H147GA19
(57)【要約】
【課題】光導波路を介した光結合の効率向上。
【解決手段】実施形態の光導波路5は、第1端部5a及び第1端部5aの反対側の第2端部5bを有していて第1端部5aと第2端部5bとの間で光を伝えるコア部51と、コア部51を囲むクラッド部52と、を含んでいる。クラッド部52は、凹部50を備える表面52aを有する第1クラッド521及び第1クラッド521上に積層されている第2クラッド522を含み、コア部51は、凹部50を充填する第1部分511と、第1部分511及び表面52aの上に形成されていて表面52a上を凹部50の外側へと延びる第2部分512とを有しており、第2部分512の厚さT21、T23が、第1端部5aと第2端部5bとの間で変化している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部及び前記第1端部の反対側の第2端部を有していて前記第1端部と前記第2端部との間で光を伝えるコア部と、
前記コア部を囲むクラッド部と、
を含む光導波路であって、
前記クラッド部は、凹部を備える表面を有する第1クラッド及び前記第1クラッド上に積層されている第2クラッドを含み、
前記コア部は、前記凹部を充填する第1部分と、前記第1部分及び前記表面の上に形成されていて前記表面上を前記凹部の外側へと延びる第2部分とを有しており、
前記第2部分の厚さが、前記第1端部と前記第2端部との間で変化している。
【請求項2】
請求項1記載の光導波路であって、前記第1端部における前記第2部分の厚さは、前記第2端部における前記第2部分の厚さよりも大きい。
【請求項3】
請求項2記載の光導波路であって、前記第2端部は光の入射面を有し、前記第1端部は光の出射面を有する。
【請求項4】
請求項1記載の光導波路であって、前記第2部分は、前記凹部の対向する2つの外縁の両方から、前記表面上を前記凹部の外側へと延びている。
【請求項5】
請求項1記載の光導波路であって、前記第1部分と前記第2部分とが一体的に形成されている。
【請求項6】
請求項1記載の光導波路であって、前記コア部の前記第2部分が前記凹部から外側に延びている長さは、前記第1端部から前記第2端部まで略一定である。
【請求項7】
請求項1記載の光導波路であって、前記光導波路は有機物によって構成されている。
【請求項8】
絶縁層及び導体層を含む回路基板と、
前記回路基板の上に置かれている光導波路と、
を含む配線基板であって、
前記光導波路は、第1端部及び前記第1端部の反対側の第2端部を有していて前記第1端部と前記第2端部との間で光を伝えるコア部と、前記コア部を囲むクラッド部とを含み、
前記クラッド部は、凹部を備える表面を有する第1クラッド及び前記第1クラッド上に積層されている第2クラッドを含み、
前記コア部は、前記凹部を充填する第1部分と、前記第1部分及び前記表面の上に形成されていて前記表面上を前記凹部の外側へと延びる第2部分とを有しており、
前記第2部分の厚さが、前記第1端部と前記第2端部との間で変化している。
【請求項9】
請求項8記載の配線基板であって、
前記第1端部における前記第2部分の厚さは、前記第2端部における前記第2部分の厚さよりも大きく、
前記第1端部において、前記第1クラッドの前記表面、及び前記コア部の前記第2クラッド側の表面が露出している。
【請求項10】
請求項9記載の配線基板であって、
前記回路基板は、前記コア部を伝播する光を発する又は受ける部品に覆われる部品領域を有し、
前記コア部の前記1端部は、平面視で前記部品領域と重なっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光導波路及び配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、実装基板と、実装基板に搭載された光導波路と、光導波路に光学的に接続されている光インターポーザーとを含む光導波路接続体が開示されている。光導波路は、光が伝播するコア部及びコア部の側面に隣接する側面クラッド部を含むコア層を含んでいる。コア層の上面が光インターポーザーと対向することで、コア部と光インターポーザーの導光部とが光学的に結合している。
【0003】
特許文献2には、実装基板と、実装基板に搭載された光導波路と、光導波路に光学的に接続されている光素子とを含む光導波路接続体が開示されている。光導波路は、光が伝播するコア部及びコア部の側面に隣接する側面クラッド部を含むコア層を含んでいて、ミラーを介して接合させている。コア層の上面が平坦化することで、コア部と光素子とが光学的に結合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-141910号公報
【特許文献2】特開2017-102312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の光導波路では、側面クラッド部は、コア層の上面において、コア部よりも光インターポーザー側に突出している。すなわち、光インターポーザーに向けられるコア層の上面において、コア部は、側面クラッド部よりも、光インターポーザー側と反対方向に凹んでいる。そのため、光インターポーザーと光導波路とを互いに近接させても、コア部と光インターポーザーの導光部との間で高い光結合効率が得られないことがある。また、特許文献2に開示の光導波路では、光ファイバを接続したテーパー導波路にミラーを介して、光素子と接合させているが、コア部で所定の光伝送の効果が得られないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光導波路は、第1端部及び前記第1端部の反対側の第2端部を有していて前記第1端部と前記第2端部との間で光を伝えるコア部と、前記コア部を囲むクラッド部と、を含んでいる。そして、前記クラッド部は、凹部を備える表面を有する第1クラッド及び前記第1クラッド上に積層されている第2クラッドを含み、前記コア部は、前記凹部を充填する第1部分と、前記第1部分及び前記表面の上に形成されていて前記表面上を前記凹部の外側へと延びる第2部分とを有しており、前記第2部分の厚さが、前記第1端部と前記第2端部との間で変化している。
【0007】
本発明の配線基板は、絶縁層及び導体層を含む回路基板と、前記回路基板の上に置かれている光導波路と、を含んでいる。そして、前記光導波路は、第1端部及び前記第1端部の反対側の第2端部を有していて前記第1端部と前記第2端部との間で光を伝えるコア部と、前記コア部を囲むクラッド部とを含み、前記クラッド部は、凹部を備える表面を有する第1クラッド及び前記第1クラッド上に積層されている第2クラッドを含み、前記コア部は、前記凹部を充填する第1部分と、前記第1部分及び前記表面の上に形成されていて前記表面上を前記凹部の外側へと延びる第2部分とを有しており、前記第2部分の厚さが、前記第1端部と前記第2端部との間で変化している。
【0008】
本発明の実施形態によれば、光導波路を介して、又は配線基板に備わる光導波路を介して光学的に接続される光学部品同士を、高い光結合効率で結合することができると推察される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の光導波路の一例を示す平面図。
図2図1の例の光導波路の正面図。
図3図1の例の光導波路のIII-III線での断面図。
図4図1の例の光導波路のIV-IV線での断面の部分拡大図。
図5A図1の例の光導波路の第1端部側の側面の部分拡大図。
図5B図1の例の光導波路の第2端部側の側面の部分拡大図。
図6図3の拡大図。
図7】一実施形態の光導波路のコア部の変形例を示す断面図。
図8】一実施形態の光導波路の第1変形例を示す平面図。
図9図8の例におけるコア部の変形例の第2端部側の側面の部分拡大図。
図10】一実施形態の光導波路の第2変形例を示す断面図。
図11】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図12図11の配線基板の平面視での一例を示す平面図。
図13A】実施形態の光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
図13B】実施形態の光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
図13C】実施形態の光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
図13D】実施形態の光導波路の製造工程の一例を示す平面図。
図13E】実施形態の光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
図13F】実施形態の光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
図14A】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図14B】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図14C】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図14D】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図14E】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の光導波路及び配線基板が図面を参照しながら説明される。以下の説明で参照される各図面では、開示される実施形態が理解され易いように特定の部分が拡大して描かれていることがあり、大きさや長さに関して、各構成要素が互いの間の正確な比率で描かれていない場合がある。
【0011】
<実施形態の光導波路の構造>
図1には、一実施形態の光導波路の一例である光導波路5の平面図が示されている。図1に一点鎖線で描かれている円B内には、図1のI部の拡大図が示されている。図2には、図1の光導波路5の正面図(図1における下方側からの図)が示されており、図3には、光導波路5の図1のIII-III線での断面が示されている。なお、図1などに例示の光導波路5は本実施形態の光導波路の一例に過ぎない。実施形態の光導波路の構造は、図1などの各図面に示される構造に限定されない。
【0012】
図1図3に示されるように、本実施形態の光導波路5は、光を伝えるコア部51、及びコア部51を囲むクラッド部52を含んでいる。コア部51は、コア部51の延長方向における2つの端部(第1端部5a、及び第1端部5aの反対側の端部である第2端部5b)を有している。コア部51は第1端部5aと第2端部5bとの間で光を伝える。すなわちコア部51を伝播する光は、第1端部5a又は第2端部5bにおけるコア部51の露出面から入射し、第1端部5a又は第2端部5bにおけるコア部51の露出面から出射する。
【0013】
クラッド部52は、第1クラッド521及び第1クラッド521上に積層されている第2クラッド522を含んでいる。第1クラッド521と第2クラッド522との積層方向は、以下では「Z方向」とも称される。また、実施形態の光導波路の説明において、第1クラッド521側は「下側」又は単に「下」とも称され、第2クラッド522側は「上側」又は単に「上」とも称される。クラッド部52は、コア部51の周囲に設けられており、コア部51の延長方向、すなわち、コア部51内での光の伝播方向(+X方向又は-X方向」とも総称される)と直交する任意の方向においてコア部51を挟み込んでいる。なお、図1では、理解が容易なように、コア部51の外縁は第2クラッド522に覆われている部分も含めて実線で示されており、後述される溝状の凹部50(図4参照)の外縁50aが破線で示されている。
【0014】
図1図3の例では、クラッド部52の第2クラッド522は、光導波路5における第1端部5a側の外縁まで形成されていない。そのため第1端部5aでは、図2及び図3に示されるように、コア部51における第2クラッド522側の表面(第1クラッド521と反対側の表面)51aが、クラッド部52に覆われずに露出している。同様に第1端部5aでは、図1及び図2に示されるように、第1クラッド521における第2クラッド522側の表面52aも、第2クラッド522に覆われずに露出している。
【0015】
光導波路5、すなわちコア部51及びクラッド部52は、任意の透光性の材料で形成される。光導波路5は、例えば、有機性素材(有機物)、無機性素材(無機物)、又は、無機ポリマーのような有機成分と無機成分とを含む混成素材によって構成され得る。無機性素材として、石英ガラスやシリコンなどが例示され、有機性素材として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、及びエポキシ系樹脂などが例示される。有機物で構成される光導波路5は、軽量で、且つ高い靭性を有し易い。
【0016】
コア部51及びクラッド部52は、互いに異なる材料で構成されてもよく、互いに同じ系統の材料で構成されていてもよい。しかし、コア部51には、コア部51とクラッド部52との界面での光の全反射が可能なように、クラッド部52に用いられる材料よりも高い屈折率を有する材料が用いられる。コア部51及びクラッド部52は、同一の屈折率を有する材料で形成された後に、適切な処理を受けて互いの屈折率を異ならせていてもよい。光導波路5は、後述される支持板6(図13A参照)のような、製造工程中の光導波路5を支持する支持体上で形成された後、その支持体から分離されて用いられてもよく、支持体と共に用いられてもよい。
【0017】
コア部51は、光導波路5の使用時には、第1端部5a及び第2端部5bそれぞれにおいて、光電変換素子を含む半導体装置のような光電変換部品、及び/又は、光ファイバや光コネクタのような導波路の外部と接続するコネクタ部材などの光学部品と光学的に結合される。すなわち、コア部51とこれら光学部品との間で光の送受が可能な位置関係を有するように、各光学部品に対して光導波路5のコア部51が位置付けられる。図1及び図2にはコア部51の第1端部5aにおいてコア部51と光学的に結合される光学部品の例として、光電変換素子(図示せず)を備える部品E1が二点鎖線で示されている。一方、第2端部5bにおいてコア部51と光学的に結合される光学部品の例として、複数の光ファイバFが二点鎖線で示されている。なお「光学的に結合される」は、以下では「光結合ざれる」とも称される。
【0018】
部品E1は、図1の円B内や図2に示されるように、部品E1に光が入射又は部品E1から光が出射する部分である受光又は発光部E1bを含んでいる。受光又は発光部E1bにおいて部品E1がコア部51と光結合される。光ファイバFを伝播してきた光は、コア部51の第2端部5bから光導波路5に入光し、コア部51内を伝播してその第1端部5aから、受光又は発光部E1bを介して部品E1内に入光する。一方、受光又は発光部E1bから出光した光は、第1端部5aから光導波路5に入光し、コア部51内を伝播して第2端部5bから光ファイバFへと出光する。
【0019】
光導波路5は、その一例として、図1に示された並列する8つのコア部51を有している。実施形態の光導波路5は、このように任意の複数のコア部51を有し得る。その場合、部品E1は、複数のコア部51の数に対応する複数の受光又は発光部E1bを含み得る。図1においては、複数のコア部51の第1端部5aにおける配置ピッチP1は、第2端部5bにおける配置ピッチP2よりも小さい。例えば、第2端部5bでコア部51と結合される複数の光ファイバFは、部品E1に備えられる複数の受光又は発光部E1bの配置ピッチほど小さいピッチで並び得ないことがある。図1の例では複数のコア部51が第2端部5bにおいて第1端部5aよりも大きなピッチで配置されている。そのため、第1端部5a及び第2端部5bそれぞれにおいて、コア部51と、部品E1又は光ファイバFとが、別途のピッチ変換手段を要せずに適切に結合されると考えられる。
【0020】
例えば、第1端部5aにおけるコア部51の配置ピッチP1は、10μm以上、100μm以下であり、20μm以上、80μm以下であることが好ましい。また、第2端部5bにおけるコア部51の配置ピッチP2は、例えば、50μm以上、300μm以下であり、100μm以上、250μm以下であることが好ましい。しかし、各端部におけるコア部51の配置ピッチは、これらの数値例に限定されない。
【0021】
本実施形態の光導波路5では、図2及び図3に示されるように、コア部51の第1クラッド521と第2クラッド522との界面IFよりも第2クラッド522側まで、コア部51が形成されている。すなわち、図2において、クラッド部52に隠れているコア部51における第2クラッド522側の表面51aを示す破線は、第1クラッド521と第2クラッド522との界面IFよりも第2クラッド522側に位置している。第1端部5aにおいて露出するコア部51の表面51aは、Z方向において第1クラッド521の表面52aよりも第2クラッド522側に位置している。また、図3において、界面IFを示す破線は、コア部51の表面51aよりも第1クラッド521側に位置している。
【0022】
このように形成される本実施形態の光導波路5のコア部51が、さらに図4図5A図5B、及び図6を参照して説明される。図4は、図1の光導波路5のIV-IV線での断面の一部の拡大図であり、図5A及び図5Bには、それぞれ、光導波路5の第1端部5a側の側面の一部及び第2端部5b側の側面の一部が示されている。図4図5A及び図5Bには、それぞれ、光導波路5が含む複数のコア部51のうちの2つ及びその周辺部だけの側面又は断面が示されている。図6図3に示される断面の拡大図である。
【0023】
実施形態の光導波路では、図4図6に示されるように、第1クラッド521が有する表面52aは、凹部50を備えている。コア部51は、凹部50を充填する第1部分511と第2部分512とを有している。第2部分512は、第1部分511の上、及び第1クラッド521の表面52aの上に形成されている。すなわち、第2部分512は、第1クラッド521の表面52aよりも第2クラッド522側に突出していて第2クラッド522に入り込んでいる。その結果、コア部51は、第1クラッド521と第2クラッド522との界面IFよりも第2クラッド522側に突出している。そのため、図5Aに示される第1端部5aから図5Bに示される第2端部5bまでの任意の箇所におけるコア部51のうちの凹部50と平面視で重なっている部分の厚さ(図4図5A及び図5Bの厚さT12、T11、T13など)は凹部50の深さよりも大きい。なお「平面視」は、Z方向に沿う視線で対象物を見ることを意味している。
【0024】
凹部50は、図4図5A、及び図5Bに示されるように、コア部51の第1端部5aと第2端部5bとの間に延びる溝状の形体を有し得る。溝状の凹部50は、凹部50が延びる方向にそれぞれが沿っている、互いに対向する2つの外縁(壁面)50aを有している。そして表面52aの上に形成されているコア部51の第2部分512は、凹部50の上から表面52a上を凹部50の外側へと延びている。すなわち第2部分512は、凹部50の外縁50aよりも凹部50の外側へと延びている。第2部分512は、凹部50の周囲において第1クラッド521の表面52aを覆っている。図4などの例では、第2部分512は、凹部50の対向する2つの外縁50aの両方から、表面52a上を凹部50の外側へと延びている。
【0025】
図4などの例のコア部51の第1部分511は、略矩形の断面形状を有しており、略正方形の断面形状を有し得る。略矩形の断面形状の第1部分511は、幅(平面視で光の伝播方向に直交する方向における第1部分511の対向する外縁間の距離)、及び厚さを有している。図4などに例示の第1部分511の幅及び厚さは、それぞれ、第1端部5aから第2端部5bに渡って略一定である。コア部51の第1部分511の幅及び厚さは、それぞれ、例えば1μm以上、15μm以下であり、3μm以上、10μm以下であり得る。
【0026】
本実施形態では、このように、コア部51が、第1クラッド521の凹部50を充填する第1部分511の上にさらに第2部分512を有している。そのため、部品E1の受光又は発光部E1b(図5A参照)のような光学部品の受発光部とコア部51とを近接させ得ることがある。そのため、前述した特許文献1及び特許文献2と比べて、コア部51と光学部品とを、高い効率で結合させ得ることがある。そして、光導波路5を介して光学的に接続される部品E1及び光ファイバF(図1参照)などの光学部品同士を、高い光伝達効率で光学的に接続し得ることがある。
【0027】
さらに本実施形態では、前述したように、コア部51が有する第2部分512は、凹部50の上から表面52a上を凹部50の外側へと延びている。すなわち、コア部51の幅(平面視で光の伝播方向に直交する方向における各コア部51の対向する外壁間の長さ)は、第1クラッド521内よりも第1クラッド521の表面52aにおいて広がっている。そのため、コア部51の幅に沿う方向(図5Aに矢印Yで示される方向)における部品E1のような光学部品とコア部51との位置合わせが多少ずれても、光学部品及びコア部51の一方から出射される光が他方に入射し易いと考えられる。すなわち、そのような位置ずれが生じても、光学部品とコア部51との間の実質的な光結合効率が維持され易いと考えられる。特に、図4図5A及び図5Bの例では、第2部分512は、凹部50の2つの外縁50aの両方から凹部50の外側へと延びているので、光学部品とコア部51との位置合わせがコア部51の幅に沿う方向においていずれの向きにずれても、実質的な光結合効率が低下し難いと考えられる。
【0028】
また、本実施形態では、コア部51が第2部分512を有しているので、光導波路5において、所望の伝送モードが維持され易いことがある。例えば、光導波路5のような導光部材では、光がその内部を実際に伝わるコア部51のような光路の断面の大きさ(太さ)が、その光路の構成材と光路を囲むクラッド部52のような被覆体の構成材との屈折率差に応じて選択される。すなわち、適切な大きさの断面を有するコア部51を実現することによって、例えばシングルモードなどの、最適な伝送モードで光を伝播させる光導波路5が得られる。しかしコア部51が凹部50を充填する第1部分511だけで構成されていると、第1クラッド521の変形、及び/又は、凹部50内の第1部分511自身の熱収縮の影響で、所望のコア部51の断面の大きさを得ることが困難なことがある。その結果として、最適な伝送モードでなくなり、光が伝播されない光導波路となってしまうことがある。これに対して、本実施形態ではコア部51が第1部分511に加えて第2部分512を有しているので、熱収縮などによる、コア部51の断面に関する所望の大きさからの乖離が補われることがある。その結果、本実施形態では、最適な伝送モードを実現し易いことがある。また、コア部51が樹脂などの有機材料で形成されていて製造工程で多少の膜減り(所定値よりも膜の厚みが少なくなる現象)が生じた場合でも、所望のコア部51の断面の大きさを得ることができ、実質的な光結合効率が維持されることもある。
【0029】
そして、実施形態の光導波路では、図4図6に示される光導波路5のコア部51のように、コア部51の第2部分512の厚さが、第1端部5aと第2端部5bとの間で変化している。そのため、図4図6の例では、第1端部5a側の端面におけるコア部51の第2部分512の厚さT21と、第2端部5b側の端面における第2部分512の厚さT23とは異なっている。また、第1端部5a側の端面における第2部分512の厚さT21と、第2端部5b側の端面における第2部分512の厚さT23、及び図4に示される第1端部5aと第2端部5bとの間の領域における第2部分512の厚さT22とは、互いに異なっている。なお、コア部51の第2部分512の厚さは、第1クラッド521の第2クラッド522側の表面52aとコア部51の第2クラッド522側の表面(第1クラッド521と反対側を向く表面)51aとのZ方向における距離である。
【0030】
本実施形態の光導波路5では、このようにコア部51の第2部分512の厚さが第1端部5aと第2端部5bとの間で変化している。そのため、光導波路5が、図2に例示の態様で部品E1のような光学部品と光結合される場合、厚い第2部分512を含む端部を光学部品側に位置付けることによって、その光学部品とコア部51とを近接させ易いことがある。例えば、厚い第2部分512が部品E1の受光又は発光部E1bのような光学部品の受発光部と対向するので、光学部品のパッケージ部(ボディ部)と第2クラッド522とが接触してしまって光学部品の受発光部とコア部51との近接を妨げるようなことが生じ難いと考えられる。
【0031】
図4図6の例の光導波路5のコア部51では、第1端部5aにおける第2部分512の厚さは、第2端部5bにおける第2部分512の厚さよりも大きい。図6に示されるように、コア部51の第2クラッド522側の表面51aが、コア部51の第1クラッド521側の表面51bに対して、及び第1クラッド521と第2クラッド522との界面IFに対して、一定の傾斜角で傾斜している。すなわち、コア部51の表面51aには、第2端部5b側ほど、コア部51の表面51aが表面51bに近付くようにテーパーが付けられている。そのため、第2部分512の厚さは、第2端部5b側の端面から第1端部5a側の端面に向かって漸増しており、第1端部5a側の端面から第2端部5b側の端面に向かって漸減している。第1端部5a側の端面と第2端部5b側の端面との間の位置での第2部分512の厚さは、第1端部5a側の端面における第2部分512の厚さT21よりも小さく、第2端部5b側の端面における第2部分512の厚さT23よりも大きい。
【0032】
図4図6の例のように、第2部分512の厚さが第2端部5b側よりも第1端部5a側において大きいコア部51の内部では、第2端部5b側からの光にとって、コア部51と第2クラッド522との界面(表面51a)への入射角が大きくなる。そのため第2端部5b側から伝播する光は全反射し易く、すなわち第2クラッド522へ透過し難いので、第2端部5b側から第1端部5a側に効率良く光が伝播されると考えられる。従って、図6の例のように、第2端部5bは、光導波路5の使用時に外部からの光の受光部として機能するコア部51の露出面を光の入射面51iとして有し得る。一方、第1端部5aは、光導波路5の使用時に発光部として機能するコア部51の露出面を光の出射面51eとして有し得る。
【0033】
コア部51の第2部分512は、第1端部5aから第2端部5bにわたって任意の厚さを有し得る。第1端部5aから第2端部5bの間の任意の位置における第2部分512の厚さは特に限定されない。第1端部5aおける第2部分512の厚さと第2端部5bにおける第2部分512の厚さとの差異も任意の値であり得る。例えば、第1端部5aにおける第2部分512の厚さは、0.1μm以上、3μm以下であり、0.3μm以上、1.5μm以下であることが好ましい。前述したような第2部分512による効果が得られ、且つ、部品E1などの光学部品と組み合わされた時のその光学部品を含めた全体の厚さの肥大化が回避され易いと考ええられる。
【0034】
なお、コア部51の表面51aは、コア部51の表面51bや第1クラッド521と第2クラッド522との界面IFに対して、一定の傾斜角で傾斜していなくてもよく、途中で変化する傾斜角を有していてもよい。コア部51の表面51aは、例えば表面51bと平行な部分を有していてもよい。また、コア部51の第2部分512の厚さは、第1端部5a側から第2端部5b側まで、又は第2端部側5b側から第1端部5a側まで、常に漸減又は漸増していなくてもよく、例えば、第2部分512の厚さが一定の区間をコア部51が有していてもよい。
【0035】
図1図6の例では、コア部51の第1部分511と第2部分512とが一体的に形成されている。そのため、第1部分511と第2部分512との界面での光の屈折や反射が生じ難く、光が適切にコア部51内を伝播し得ると考えられる。また、コア部51の第2クラッド522側の表面51a(上面)は略平坦である。そのため、表面51aが湾曲している場合と比べて、例えばシングルモードのような所望の伝送モードを実現し易いことがある。なお、表面51aの「平坦」は、表面51aが、第2部分512の厚さの1/5を超える高低差で湾曲していないことを意味している。
【0036】
図1図6の例では、図5Aに示されるように、第1端部5aにおいて隣接する2つのコア部51の第2部分512同士が繋がっている。このように、隣接する第2部分512同士は第1端部5aにおいて繋がっていてもよい。一方、図5Bに示されるように、第2端部5bにおいて隣接する2つのコア部51の第2部分512同士は、繋がらずに離間している。隣接する第2部分512同士が離間している範囲において、コア部51の第2部分512が凹部50の対向する外縁50aそれぞれから凹部50の外側に延びている長さLは、図5Aに示される第1端部5a側から図5Bに示される第2端部5b側まで、略一定であり得る。
【0037】
図7には、本実施形態の光導波路5のコア部51の変形例における、図4が示す断面図と同様の切断位置での断面が示されている。図7の例では、コア部51の第2部分512は、凹部50の対向する2つの外縁50aの一方だけから、表面52a上を凹部50の外側へと延びている。このように本実施形態におけるコア部51の第2部分512は、凹部50の2つの外縁50aのいずれか一方の外側だけに延びていてもよい。図7の例のコア部51においても、前述したような光学部品とコア部51との位置ずれの向き次第で、実質的な光結合効率が維持されることがある。
【0038】
図8には、本実施形態の光導波路の第1変形例である光導波路5αの平面図が示されている。光導波路5αは、コア部51の幅が、第1端部5a側から第2端部5b側に渡って変化している点で、図1などの光導波路5と異なっている。具体的には、コア部51の第1部分511の幅及び第2部分512の幅それぞれが、第1端部5a側から第2端部5b側に渡って変化している。なお、光導波路5αは、コア部51の幅が第1端部5a側から第2端部5b側に渡って変化している点を除いて、図1の光導波路5と同様の構成要素を含んでいて同様の構造を有している。図1の光導波路5と同様の構成要素については、図1に付された符号と同じ符号が図8に付されるか適宜省略され、繰り返しとなる説明は適宜省略される。
【0039】
図8の光導波路5αでは、第1端部5aにおける各コア部51の幅は、第2端部5bにおける各コア部51の幅よりも小さい。第2端部5bでコア部51と光学的に結合され得る光ファイバFは、第1端部5aでコア部51と光学的に結合され得る部品E1の受光又は発光部E1b(図1参照)の幅よりも大きなコア径を有し得る。図8の例では、各コア部51の幅が第2端部5bにおいて第1端部5aよりも大きいので、光導波路5αと光ファイバFとの間で受光側に入光せずに喪失する光が少なく、効率良く光が伝達されると考えられる。
【0040】
図8に示される第1端部5aにおけるコア部51の第1部分511の幅W11は、例えば1μm以上、15μm以下であり、3μm以上、10μm以下であってもよい。一方、第2端部5bにおけるコア部51の第1部分511の幅W13は、例えば3μm以上、20μm以下であり、5μm以上、15μm以下であってもよい。コア部51が第1部分511についてこのような幅を有していると、コア部51と、部品E1や光ファイバFなどの光学部品との高い効率での光結合が実現されることがある。
【0041】
図9には、図8の光導波路5αにおけるコア部51の変形例が示されている。図9は、光導波路5αのコア部51の変形例における第2端部5b側(図8参照)の側面を拡大して部分的に示している。図9に示される変形例では、各コア部51の第2部分512は、図5Aに示される第1端部5aでの第2部分512と同様に、隣接するコア部51の第2部分512と繋がっている。このように、実施形態の光導波路では、第1部分511と第2部分512とを有するコア部51の第2部分512は、第2端部5bにおいても隣接するコア部51の第2部分512と繋がっていてもよい。隣接するコア部51同士の間で、第1端部5aから第2端部5bまでの全体に渡って第2部分512同士が繋がっていてもよい。
【0042】
図10には、本実施形態の光導波路の第2変形例である光導波路5βの断面図が示されている。光導波路5βは、コア部51が第1端部5aにおいて第1クラッド521の上でクラッド部52から露出していない点で、図1などに例示の光導波路5と異なっている。光導波路5βは、上記の点を除いて、図1などの例の光導波路5と略同じ構造を有していて略同じ構成要素で構成されている。図1などに含まれる構成要素と同様の構成要素には、図10において、図1などに付されている符号と同じ符号が付されるか適宜省略され、繰り返しとなる説明は省略される。
【0043】
図10の例のコア部51は、第1端部5aにおいても第2クラッド522に覆われていて、その端面だけが、クラッド部52の端面と共に光導波路5βの側面に露出している。光導波路5βの側面に露出するコア部51の第1端部5a側の端面は、一例として、コア部51と光結合される部品E1の受光又は発光面E1cと対向するように位置づけられる。この場合、部品E1は、光導波路5の第1端部5aからの延長線上に配置され、光導波路5βの側面に露出するコア部51の端面は、部品E1の受光又は発光面E1cと、バット結合によって光結合される。光導波路5βは、図1などの光導波路5αと同様に、第1部分511と第2部分512とを有するコア部51を含んでいて、第1端部5aにおける第2部分521の厚さは、第2端部5bにおける第2部分521の厚さよりも大きい。そのため、コア部51の端面と部品E1の受光又は発光面E1cとが対向するような部品E1のZ方向における位置づけが容易なことがある。
【0044】
<実施形態の配線基板の構造>
次に、一実施形態の配線基板が、図面を参照して説明される。図11には、一実施形態の配線基板の一例である配線基板100の断面図が示されており、図12には、図11の配線基板100の平面視での一例が示されている。なお、図11などに示される配線基板100は本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。実施形態の配線基板の積層構造、並びに導体層及び絶縁層それぞれの数は、図11の配線基板100の積層構造、並びに配線基板100に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。
【0045】
図11に示されるように、配線基板100は、回路基板200と、回路基板200の上に置かれている光導波路5とを含んでいる。配線基板100に含まれる光導波路5は、一実施形態の光導波路の一例として説明された、図1などに示される光導波路5である。従って、実施形態の配線基板が含む光導波路は、図1図10を参照して説明された実施形態の光導波路と同様の構造を有し得、実施形態の光導波路と同様の特徴を有し得る。なお、図12では、光導波路5の各コア部51は、簡略化されて1本の破線で示されている。
【0046】
配線基板100に含まれる光導波路5は、少なくとも、第1端部5a及び第2端部5bを有していて第1端部5aと第2端部5bとの間で光を伝えるコア部51と、コア部51を囲むクラッド部52とを含んでいる。クラッド部52は、少なくとも、凹部を備える表面52aを有する第1クラッド521及び第1クラッド521上に積層されている第2クラッド522を含んでいる。コア部51は、少なくとも、表面52aに備えられる凹部50(図4参照)を充填する第1部分511と第1部分511及び表面52aの上に形成されていて表面52a上を凹部50の外側へと延びる第2部分512とを有している。そして、コア部51の第2部分512の厚さが、第1端部5aと第2端部5bとの間で変化している。
【0047】
回路基板200は、絶縁層及び導体層を含んでいる。具体的には、図11の例の回路基板200は、その厚さ方向において対向する第1面3a及び第2面3bを有するコア基板3と、コア基板3の第1面3a上に順に積層されている絶縁層21及び導体層11、並びに、第2面3b上に順に積層されている絶縁層22及び導体層12を含んでいる。絶縁層21及び絶縁層22それぞれには、自身を挟む導体層同士を接続するビア導体20が形成されている。コア基板3は、絶縁層32と、絶縁層32の両面に形成されている導体層31とを含んでいる。絶縁層32には、絶縁層32を貫通して両側の導体層31同士を接続するスルーホール導体33が設けられている。筒状のスルーホール導体33の内部は、例えばエポキシ樹脂のような絶縁性樹脂や金属粒子を含む導電性樹脂で形成される充填体34で充填されている。
【0048】
なお、実施形態の配線基板の説明では、配線基板100の厚さ方向において絶縁層32から遠い側は、「上側」もしくは「上方」、又は単に「上」とも称される。さらに、配線基板100の各構成要素において、絶縁層32と反対側を向く表面は「上面」とも称される。配線基板100の厚さ方向は、光導波路5の説明において前述された第1クラッド521と第2クラッド522との積層方向に沿っているため「Z方向」とも称される。
【0049】
回路基板200は、さらに、コア基板3の第1面3a側及び第2面3b側それぞれに形成されているソルダーレジスト23を含んでいる。ソルダーレジスト23は、例えば、感光性を有するエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などで形成されている。
【0050】
回路基板200は、さらに、導体層11の上に形成されている導体ポスト13、14を含んでいる。導体ポスト13、14の表面上には、例えば、すず系はんだや金系はんだなどを用いて接続層15が形成されている。導体ポスト13、14は、導体層11から絶縁層21と反対方向に向かって延びる、例えば柱状の形状を有する導電体である。導体ポスト13、14はソルダーレジスト23を貫通してその表面から突出している。
【0051】
図11の例の配線基板100は、さらに、支持板6を備えており、光導波路5は支持板6上に配置されている。支持板6によって、光導波路5が支持されると共に、光導波路5に剛性が付与される。光導波路5と支持板6とは、平面視で略同じ形状及び略同じ大きさを有し得る。図11の例では、光導波路5を備えた支持板6が、回路基板200の絶縁層21のうちの回路基板200の表面への露出部分に配置されている。
【0052】
支持板6は、好ましくは、光導波路5よりも高い剛性を有する材料で形成される。支持板6は、さらに、光導波路5の熱膨張率よりも低い熱膨張率を有する材料で形成されてもよい。温度変化による光導波路5の変位が抑制されることがある。支持板6の材料としては、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、及び石英ガラスなどのガラス類、タングステン、チタン、及びモリブデンなどの各種金属、並びに、アルミナ、窒化ケイ素、及び酸化ケイ素などの各種セラミックス、などが例示される。
【0053】
絶縁層21、22、及び絶縁層32は、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などの熱硬化性の絶縁性樹脂を用いて形成され得る。絶縁層21、22、及び絶縁層32は、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン(PTFE)樹脂、ポリエステル(PE)樹脂、及び変性ポリイミド(MPI)樹脂のような熱可塑性の絶縁性樹脂を用いて形成されていてもよい。なお、これら絶縁層の材料として列挙される各樹脂は、各絶縁層を形成し得る材料の例示に過ぎない。各絶縁層は、回路基板200内の導体層同士の間に絶縁性を提供し得る任意の材料で形成され得る。図示されていないが、各絶縁層は、ガラス繊維やアラミド繊維などで形成される芯材(補強材)を含んでいてもよく、シリカ(SiO2)、アルミナ、又はムライトなどの微粒子からなる無機フィラーを含んでいてもよい。
【0054】
導体層11、12、及び導体層31、スルーホール導体33、ビア導体20、並びに、導体ポスト13、14は、銅又はニッケルなどの適切な導電性を有する任意の金属を用いて形成され得る。これら各導電体は、図11では簡略化されて一層で描かれているが、2以上の膜体を含む多層構造を有し得る。例えば、導体層11、12は、無電解めっき膜、及び電解めっき膜を含む2層構造を有し得る。導体ポスト13、14は、例えば、無電解めっき及び/又は電解めっきによって析出されるめっき金属によって形成されている。
【0055】
導体層11、12、及び、導体層31は、それぞれ、任意の導体パターンを含み得る。図11の例では、導体層11は導体パッド11a、11bを含んでいる。導体パッド11a上には導体ポスト13が形成されており、導体パッド11b上には導体ポスト14が形成されている。配線基板100の使用時には、導体ポスト13に外部の部品E1が接続され、導体ポスト14には外部の部品E2が接続される。そのため、回路基板200は、部品E1が搭載される部品領域A1を有している。部品領域A1は、配線基板100の使用時に部品E1に覆われる領域である。部品E1に備わる電極E1aは、導体ポスト13を介して導体パッド11aに電気的に接続される。部品E2に備わる電極E2aは、導体ポスト14を介して導体パッド11bに電気的に接続される。
【0056】
図11に示される部品E1は、図1などを参照して説明された部品E1と同様に、光電変換素子を備えていて光導波路5と光結合される光学部品である。図1などに示される部品E1と同様に、図11に例示の部品E1は、部品E1に光が入射又は部品E1から光が出射する部分である受光又は発光部E1bを備えている。受光又は発光部E1bを介して、部品E1は、コア部51を伝播する光を発するか、コア部51を伝播する光をコア部51から受け取る。部品E1の電極E1a、及び受光又は発光部E1bは、部品E1における配線基板100側に向けられる面に備えられている。すなわち、図11の例において部品E1は、所謂フェイスダウン実装(フリップチップ実装)される。
【0057】
部品E1としては、フォトダイオードなどの受光素子、並びに、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、レーザーダイオード(LD)、及び、垂直共振型面発光レーザー(VCSEL)などの発光素子が例示される。部品E1が発光素子である場合、部品E1は、電極E1aに入力される電気信号に基づく光を生成し、発光部として機能する受光又は発光部E1bから光を出射する。また、部品E1が受光素子である場合、受光部として機能する受光又は発光部E1bに入光する光に基づく電気信号が生成されて電極E1aから出力される。
【0058】
部品E2は、例えば、部品E1を発光させる電気信号の生成、及び/又は、部品E1で生成された電気信号の処理などを行う半導体装置などの電子部品であり得る。部品E2としては、半導体装置、例えば、汎用オペアンプ、ドライバIC、マイコン、プログラマブルロジックデバイス(PLD)などが例示される。
【0059】
コア部51の第2端部5b側の端面は、図11及び図12に示されるように、配線基板100の使用時に光導波路5と接続される光ファイバFと対向して光学的に結合するように位置づけられる。例えば図11に示されるように、コネクタC等の部材を用いて光ファイバFと光導波路5とが連結される。図11及び図12の例では、光導波路5におけるコア部51の第2端部5b側の端部が、回路基板200の外側に突出している。特に図11及び図12の例では、支持板6の端部も回路基板200の外側に突出していて光導波路5の突出部分を支持している。従って、光導波路5へのコネクタCの取り付けが容易であり、コア部51の第2端部5b側の端面と光ファイバFとの光学的な結合が容易であると考えられる。
【0060】
一方、コア部51の第1端部5aは、平面視で部品領域A1と重なっている。コア部51は、部品領域A1から回路基板200の外縁に向かって延びている。図11に示される光導波路5においても、図1などの光導波路5と同様に、コア部51の第1端部5aにおいて、第1クラッド521の表面52a及びコア部51における第2クラッド522側の表面51aが、第2クラッド522に覆われずに露出している。そして、配線基板100の使用時には、コア部51は、その表面51aと部品E1の受光又は発光部E1bとが第1端部5aにおいて対向して光学的に結合(アディアバティック結合)するように、位置づけられる。すなわち、コア部51内を第1端部5aに向かって伝播してきた光の一部は、エバネッセント光として、表面51aからコア部51の外部に漏出して、部品E1の受光又は発光部E1bに入光する。表面51aは、クラッド部52を介さずに部品E1の受光又は発光部E1bと対向しているため、効率の高い結合が実現されると考えられる。
【0061】
さらに、図1などに示される光導波路5の説明において前述したように、図1の例の配線基板100が含む光導波路5においても、第1端部5aにおけるコア部51の第2部分512の厚さは、第2端部5bにおける第2部分512の厚さよりも大きい。第2端部5bよりも厚い第2部分512を含む第1端部5aが部品E1側に位置付けられているので、図4図6を参照して実施形態の光導波路5について前述したように、部品E1とコア部51とを近接させ易いことがある。
【0062】
このように光導波路5が配置される図11の例では、光ファイバFを伝播してきた光は、コア部51の第2端部5bから光導波路5に入光し、コア部51内を伝播してその第1端部5aから、受光又は発光部E1bを介して部品E1内に入光する。部品E1に入光したその光は、部品E1内で電気信号に変換されて電極E1aから出力される。出力された電気信号は、導体層11を介して部品E2に入力されて処理される。一方、部品E2から部品E1に向けて出力された電気信号は、電極E1aを介して部品E1内に入力されて光に変換される。その光は、受光又は発光部E1bから出光して第1端部5aから光導波路5に入光する。入光した光は、コア部51内を伝播して第2端部5bから光ファイバFへと出光する。
【0063】
なお、図11に例示の実施形態の配線基板における部品E1のような光素子と光導波路との光結合の形態は、図10に例示されている光結合の形態(バッド結合)であってもよい。
【0064】
<実施形態の光導波路の製造方法>
つぎに、実施形態の光導波路を製造する方法が、図13A図13Fを参照して説明される。以下の説明では、一例として、インプリント法を用いて図11の支持板6上で図1図6に例示の光導波路5を製造する方法が説明される。図13Aに示されるように、例えばガラス板が支持板6として用意され、支持板6の表面上に第1クラッド521が形成される。例えばPMMAのような、クラッド部52(図13E参照)の構成材料として前述された材料が、フィルム状に成形されて支持板6に熱圧着される。
【0065】
第1クラッド521に金型Mが押し付けられる。金型Mには、第1クラッド521に押し付けられる面に、第1クラッド521の表面52aが有するべき凹部50に対応するリブ状の突起M1が設けられている。第1クラッド521に金型Mを押し付けることによって、第1クラッド521の表面52aに凹部50が形成される。図1などに例示の光導波路5の形成においては、複数の凹部50が形成される。
【0066】
図13B図13Dに示されるように、コア部51が形成される。図13Dは、コア部51の形成後の第1クラッド521及びコア部51の平面図である。まず、図13Bに示されるように、例えばアクリル系樹脂などのコア部51の構成材料として前述された材料が、第1クラッド521の表面52aの凹部50内、及び表面52aの全面に、塗布、印刷、又は積層などによって供給される。実施形態の光導波路の製造工程では、凹部50を充填すると共に第1クラッド521の表面52aよりも突出するコア部51が形成される。そのため、コア部51の構成材料は、その上面51aが図13Bにおいて第1クラッド521の表面52aを示す破線よりも上側に位置するように供給される。すなわち、凹部50を充填する第1部分511と、第1部分511及び表面52aを覆う第2部分512とを有するコア部51が形成される。
【0067】
その後、図13Cに示されるように、第2部分512の厚さが第1端部5aとその反対側の第2端部5bとの間で変化するように、コア部51の上面51aにテーパーが付けられる。一例として、第1端部5a側よりも第2端部5b側に強い圧力が加わるように、上面51aに上方から圧力が加えられる。他の例として、コア部51のうちの上面51aの近傍部分が、第1端部5a側よりも第2端部5b側ほど多く削り取られる。例えばそのようにして、上面51aにテーパーが付けられる。
【0068】
図13Dに示されるように、例えば露光及び現像によって、第1クラッド521の表面52a上に供給されたコア部51の材料の不要部分が除去される。その結果、所定の平面形状の第2部分512が形成される。図1などに例示の光導波路5の形成においては、図13Dに示されるように、並列する複数の溝状の凹部50それぞれを充填する複数のコア部51が形成される。その後、コア部51は、必要に応じて加熱などによって完全硬化されてもよい。なお、コア部51の構成材料は、図13Bに示される工程において、適切なマスクを用いた印刷によって、凹部50の内部、及び第2部分512が形成されるべき領域だけに供給されてもよい。
【0069】
図13Eに示されるように、第2クラッド522が第1クラッド521及びコア部51上に形成される。例えば、第1クラッド521の形成と同様に、PMMAのようなクラッド部52の構成材料が、フィルム状に成形されて第1クラッド521及びコア部51に熱圧着される。第2クラッド522が第1クラッド521と密着することによって、コア部51を囲むクラッド部52が形成される。
【0070】
図13Fに示されるように、第2クラッド522においてコア部51の第1端部5aを覆う部分が除去される。その結果、第1端部5aにおいてコア部51の一部が露出する。第2クラッド522の除去部分は、例えば露光及び現像、又はレーザー加工などによって除去され得る。図13Eに示される工程においてコア部51の第1端部5a側の一部が覆われないように、第2クラッド522の構成材料が熱圧着されてもよい。例えば図13A図13Fに示される工程を経ることによって、図1などに例示の光導波路5が製造される。
【0071】
<実施形態の配線基板の製造方法>
つぎに、実施形態の配線基板を製造する方法の一例が、図11の配線基板100を例に用いて図14A図14Eを参照して説明される。
【0072】
図14Aに示されるように、コア基板3の両側に、絶縁層21、22、及び導体層11、12が形成される。例えば、コア基板3の絶縁層32となる絶縁層を含む両面銅張積層基板に、サブトラクティブ法によって所望の導体パターンを有する導体層31とスルーホール導体33とが形成される。筒状の形体のスルーホール導体33の内部は、例えばエポキシ樹脂などの適切な樹脂を注入することによって充填体34で充填される。そして、コア基板3の第1面3a上に絶縁層21が形成され、第2面3b上に絶縁層22が形成される。絶縁層21及び絶縁層22は、例えば、コア基板3上へのフィルム状のエポキシ樹脂の積層、及びその熱圧着によって形成される。各絶縁層には、ビア導体20を形成するための貫通孔が、例えば炭酸ガスレーザー光の照射などによって形成される。そして、絶縁層21の上に導体層11が形成され、絶縁層22の上には導体層12が形成される。導体層11は、導体パッド11a、11bなどの所定の導体パターンを含むように形成される。導体層11及び導体層12は、例えばセミアディティブ法によって形成される。導体層11、12の形成と共に、絶縁層21、22に設けられた貫通孔内にビア導体20が形成される。
【0073】
図14Bに示されるように、導体ポスト13が形成される。図14Bには、導体ポスト13の形成後の図14AのXIVB部の拡大図が示されている。図14Bには示されていないが、導体ポスト14(図14C参照)も導体ポスト13と共に形成される。セミアディティブ法による導体層11などの形成では、図14Bに示されるように、絶縁層21の表面の全面に、例えば無電解めっきによって金属膜111が形成されている。その金属膜111を給電層として用いる電解めっきを含むパターンめっきによって、めっき膜112が形成される。
【0074】
パターンめっきに用いられためっきレジスト(図示せず)が除去された後、金属膜111が全面的に残されたまま、導体層11及び絶縁層21の上に、導体ポスト13の形成箇所に開口R1aを有するめっきレジストR1が形成される。そして開口R1a内に、例えば、金属膜111を給電層として用いる電解めっきによって導体ポスト13が形成される。
【0075】
さらに、図14Bに示されるように、接続層15が、例えば金属膜111を給電層として用いる電解めっきによって、導体ポスト13の端面上に形成される。接続層15として、例えば、すず、すず合金、又は、金合金などからなる金属膜が形成される。接続層15の形成後、めっきレジストR1が適切な剥離剤を用いて除去される。そして、金属膜111のうちのめっき膜112に覆われていない部分が、例えば、クイックエッチングによって除去される。
【0076】
図14Cに示されるように、絶縁層21及び導体層11、導体ポスト13、14、及び接続層15を覆うソルダーレジスト23が形成される。ソルダーレジスト23は、例えば、液状又はシート状のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを、印刷、塗布、吹き付け、又は積層などの方法で絶縁層21、及びその表面上の各構成要素上に供給することによって形成される。コア基板3の第2面3b側にも、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂の塗布や積層などによってソルダーレジスト23が形成される。
【0077】
図14Dに示されるように、ソルダーレジスト23の厚さ方向の一部が除去される。ソルダーレジスト23の厚さの減少によって、導体ポスト13、14における絶縁層21と反対側の端部が露出する。ソルダーレジスト23の一部は、例えば、四フッ化炭素(CF4)ガスを用いるプラズマエッチングなどのドライエッチンングや、ブラスト処理などによって除去され得る。
【0078】
図14Eに示されるように、ソルダーレジスト23における、光導波路5が配置される領域に対応する部分が、例えば、炭酸ガスレーザー光の照射などによって除去される。絶縁層21の表面のうちの光導波路5が配置される領域が露出する。そのレーザー加工によってソルダーレジスト23に開口23aが形成され得る。回路基板200が完成する。
【0079】
光導波路5が、例えば、図13A図13Fを参照して説明された方法で用意される。図11の例の配線基板100が製造される場合は、例えばガラス板などからなる支持板6も用意される。光導波路5は、図13A図13Fを参照して説明されたように支持板6上で形成されてもよいし、支持板6と別個に形成された後に、別途用意された支持板6上に任意の接着剤(図示せず)を用いて接着されてもよい。
【0080】
ソルダーレジスト23から露出している絶縁層21の表面の所定の部分に、例えば、熱硬化性、常温硬化性、又は光硬化性などの任意の接着剤Guが供給され、その上に、支持板6及び光導波路5が搭載される。必要に応じて、加熱などによる接着剤Guの硬化処理が行われ、光導波路5及び支持板6が回路基板200に固定される。さらに、接続層15が、リフロー処理などによって一旦溶かされて半球状の形状に整形される。以上の工程を経ることによって図11の例の配線基板100が完成する。
【0081】
実施形態の光導波路及び配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態の配線基板は任意の積層構造を有し得る。例えば、実施形態の配線基板はコア基板を含まないコアレス基板であってもよい。実施形態の配線基板は任意の数の導体層及び絶縁層を含み得る。さらに、導体パッド11b及び導体ポスト14は形成されていなくてもよく、導体ポスト13も必ずしも設けられない。また、実施形態の光導波路のコア部の第1部分の厚さは、コア部の第1端部と第2端部との間で異なっていてもよく、第1部分の断面形状は矩形以外の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
100 配線基板
11、12、31 導体層
21、22、32 絶縁層
200 回路基板
5、5α、5β 光導波路
5a 第1端部
5b 第2端部
50 凹部
50a 凹部の外縁
51 コア部
51a コア部の第2クラッド側の表面
51e 出射面
51i 入射面
511 第1部分
512 第2部分
52 クラッド部
52a 第1クラッドの表面
521 第1クラッド
522 第2クラッド
A1 部品領域
E1 部品
L コア部の第2部分が凹部の外縁から外側に延びている長さ
T21~T23 コア部の第2部分の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E