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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053956
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160496
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】田島 拓明
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AB02
(57)【要約】
【課題】筐体の左右幅をコンパクト化することができる給湯器を提供する。
【解決手段】燃焼室16の下ケーシング17及び中ケーシング18の前面に、中和器55の上部が取付金具59を介して固定されるブラケット金具58と、中和器55の下部が固定される固定バー60とを取り付けている。また、固定バー60に、コントローラ65の上部が取付金具59、59を介して固定されるケース設置孔75、75を設けている。そして、下ケーシング17及び中ケーシング18の前側において、中和器55とコントローラ65とを上下に並設している。したがって、従来よりも給湯器1の筐体2の左右幅をコンパクト化することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、バーナを備えた燃焼室と、前記燃焼室において発生するドレンを中和する中和器と、前記バーナの動作を制御するコントローラとを備えた給湯器であって、
前記燃焼室のケーシングの前面に、前記中和器の下部が固定される固定金具が取り付けられているとともに、
前記固定金具に、前記コントローラの上部が所定の取付金具を介して固定されるケース設置部が設けられており、
前記ケーシングの前側において、前記中和器と前記コントローラとが上下に並設されていることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記固定金具は、左右方向へ延びる帯状のバー本体と、前記バー本体の左右両端から後方へ延びる脚部と、各前記脚部の先端から夫々左右方向で外側へ延びる固定片とを備えた固定バーで、前記固定片を前記ケーシングの前面に固定して取り付けられているとともに、前記バー本体に、前記中和器の下部が固定される設置部と、前記ケース設置部とが設けられている一方、
前記取付金具は、前後方向へ延びる金具本体と、前記金具本体の後端から上下方向へ延びる第1取付片と、前記金具本体の前端から前記第1取付片とは逆の上下方向へ延びる第2取付片とを有し、
前記第1取付片が前記固定バーの前記ケース設置部に、前記第2取付片が前記コントローラに夫々固定されており、
さらに、前記取付金具と同形状の取付金具が前記中和器の上部と前記ケーシングの前面との間に介在され、
前記同形状の取付金具の第1取付片が前記ケーシングの前面側に、前記同形状の取付金具の第2取付片が前記中和器に夫々固定されていることを特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記コントローラに、下方へ突出する係合部が設けられているとともに、
前記筐体の底板に、前記係合部が係合可能な被係合部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室において発生するドレンを中和するための中和器が設置されてなる給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給湯器には、燃焼室において発生するドレンを中和するための中和器が設置されており、たとえば特許文献1に記載の給湯器では、燃焼室の左側若しくは右側に中和器が設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6814401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の給湯器では、上述したように中和器を燃焼室の側方に設置していたため、給湯器の筐体の左右幅が広くなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、筐体の左右幅をコンパクト化することができる給湯器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、筐体内に、バーナを備えた燃焼室と、燃焼室において発生するドレンを中和する中和器と、バーナの動作を制御するコントローラとを備えた給湯器であって、燃焼室のケーシングの前面に、中和器の下部が固定される固定金具が取り付けられているとともに、固定金具に、コントローラの上部が所定の取付金具を介して固定されるケース設置部が設けられており、ケーシングの前側において、中和器とコントローラとが上下に並設されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、固定金具は、左右方向へ延びる帯状のバー本体と、バー本体の左右両端から後方へ延びる脚部と、各脚部の先端から夫々左右方向で外側へ延びる固定片とを備えた固定バーで、固定片をケーシングの前面に固定して取り付けられているとともに、バー本体に、中和器の下部が固定される設置部と、ケース設置部とが設けられている一方、取付金具は、前後方向へ延びる金具本体と、金具本体の後端から上下方向へ延びる第1取付片と、金具本体の前端から第1取付片とは逆の上下方向へ延びる第2取付片とを有し、第1取付片が固定バーのケース設置部に、第2取付片がコントローラに夫々固定されており、さらに、取付金具と同形状の取付金具が中和器の上部とケーシングの前面との間に介在され、同形状の取付金具の第1取付片がケーシングの前面側に、同形状の取付金具の第2取付片が中和器に夫々固定されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、コントローラに、下方へ突出する係合部が設けられているとともに、筐体の底板に、係合部が係合可能な被係合部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃焼室のケーシングの前面に、中和器の下部が固定される固定金具を取り付けるとともに、固定金具に、コントローラの上部が所定の取付金具を介して固定されるケース設置部を設けており、ケーシングの前側において、中和器とコントローラとを上下に並設している。したがって、従来よりも給湯器の筐体の左右幅をコンパクト化することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、固定金具を、左右方向へ延びる帯状のバー本体と、バー本体の左右両端から後方へ延びる脚部と、各脚部の先端から夫々左右方向で外側へ延びる固定片とを備えた固定バーとし、固定片をケーシングの前面に固定して取り付けるとともに、バー本体に、中和器の下部が固定される設置部と、ケース設置部とを設けている。また、取付金具として、前後方向へ延びる金具本体と、金具本体の後端から上下方向へ延びる第1取付片と、金具本体の前端から第1取付片とは逆の上下方向へ延びる第2取付片とを設け、第1取付片を固定バーのケース設置部に、第2取付片をコントローラに夫々固定している。さらに、取付金具と同形状の取付金具を中和器の上部とケーシングの前面との間に介在し、同形状の取付金具の第1取付片をケーシングの前面側に、同形状の取付金具の第2取付片を中和器に夫々固定している。したがって、中和器の設置とコントローラの設置とに同形状の取付金具を利用するため、部品点数を削減することができ、ひいては製造管理コストを削減することができる。また、前後方向において中和器とケーシングとの間に十分な隙間を確保することができるため、燃焼室の熱による中和器の破損等を防止することができる上、隙間を利用してたとえば樹脂シートを燃焼室の周囲に巻回させる等することで、樹脂シートを用いた過熱防止装置を設置することができる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、コントローラに、下方へ突出する係合部が設けられているとともに、筐体の底板に、係合部が係合可能な被係合部が設けられているため、簡易な構造でコントローラを設置することができ、部品点数の更なる削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】給湯器を正面側から示した説明図である。
図2】フロントカバーを取り外した状態の給湯器を正面側から示した説明図である。
図3図1中のA-A線断面を示した説明図である。
図4】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を左後方から見た斜視図である。
図5】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を右後方から見た斜視図である。
図6】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を右前方から見た斜視図である。
図7】中和器、コントローラ、取付金具、及び固定バーが分解されている状態を前側から示した斜視説明図である。
図8】中和器、コントローラ、取付金具、及び固定バーが分解されている状態を後側から示した斜視説明図である。
図9】固定バーを示した斜視説明図である。
図10】取付金具を示した斜視説明図であり、(a)は前側から、(b)は後側から夫々示している。
図11】中ケーシング及び上ケーシングに取り付けられているブラケット金具を示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる給湯器について、図面にもとづき詳細に説明する。
(給湯器の全体構成の説明)
図1は、給湯器1を正面側から示した説明図である。図2は、フロントカバー4を取り外した状態の給湯器1を正面側から示した説明図である。図3は、図1中のA-A線断面を示した説明図である。図4は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を左後方から見た斜視図である。図5は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を右後方から見た斜視図である。図6は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を右前方から見た斜視図である。図7は、中和器55、コントローラ65、取付金具59、59・・、及び固定バー60が分解されている状態を前側から示した斜視説明図である。図8は、中和器55、コントローラ65、取付金具59、59・・、及び固定バー60が分解されている状態を後側から示した斜視説明図である。図9は、固定バー60を示した斜視説明図である。図10は、取付金具59を示した斜視説明図であり、(a)は前側から、(b)は後側から夫々示している。図11は、中ケーシング18及び上ケーシング19に取り付けられているブラケット金具58を示した斜視説明図である。
【0010】
給湯器1は、縦長箱状の筐体2を有する。筐体2は、箱本体3とフロントカバー4とを備えている。箱本体3は、前面を開口して前後に深底となっている。フロントカバー4は、箱本体3に前方からネジ止めされて前面を閉塞する。フロントカバー4の上部には、後述する上ケーシング19の前側に設けられた円筒状の排気口37が貫通している。
【0011】
箱本体3は、天板5、底板6、左右の側板7A、7B、及び背板8を備えている。底板6には、外部の水道管に接続するための水入口9と、外部の給湯栓に接続するための湯出口10と、外部の浴槽に接続するための風呂戻り口11と風呂往き口12とが設けられている。底板6の中央部には、外部のガス配管に接続するためのガス入口13と、後述する中和器55に接続される排水口14とが設けられている。背板8の上下には、壁面等へ設置するための取付板15、15が設けられている。
【0012】
箱本体3内の奥側には、燃焼室16が設けられている。燃焼室16は、上下方向に連通する下ケーシング17と中ケーシング18と上ケーシング19とを備えている。
下ケーシング17には、複数のバーナユニット20、20・・が収容されている。各バーナユニット20は、前後方向に延びる扁平なバーナ21を左右方向に複数並設してなる。バーナ21の数は、バーナユニット20毎に異なっている。下ケーシング17の下面には、図4に示すように、燃焼ファン22が連結されている。燃焼ファン22は、後面側に設けたファンモータ23により、前後方向を軸として回転する。燃焼ファン22は、バーナユニット20に燃焼用空気を供給する。下ケーシング17の前側には、ガス分配ユニット25が設けられている。ガス分配ユニット25は、複数の電磁弁を備えて、各電磁弁の開閉により燃焼させるバーナユニット20を切替可能となっている。バーナユニット20の上流端には、元弁及び比例弁を備えたガス配管26が接続されている。ガス配管26は、ガス入口13に接続されている。
【0013】
中ケーシング18には、給湯一次熱交換器27及び風呂熱交換器28が収容されている。給湯一次熱交換器27は、左右方向に所定間隔をおいて配設される複数のフィン29、29・・と、各フィン29を蛇行状に上下二段で貫通する給湯側伝熱管30とを備えている。風呂熱交換器28は、各フィン29と、上下段の給湯側伝熱管30の間で各フィン29を蛇行状に貫通する風呂側伝熱管31とを備えている。すなわち、給湯器1は、1つの中ケーシング18内に経路が異なる給湯一次熱交換器27と風呂熱交換器28とが併設されて共通のバーナユニット20によって加熱される1缶2水路型となっている。
【0014】
上ケーシング19には、給湯二次熱交換器32が収容されている。給湯二次熱交換器32は、蛇行状に形成される複数の吸熱管33、33・・を収容している。各吸熱管33は、図4に示すように、両端が上ケーシング19の左側面へ前後に設けた入側ヘッダ34と出側ヘッダ35とに接続されて、入側端部同士と出側端部同士とが互いに連通している。上ケーシング19は、中ケーシング18と後部同士で連通している。上ケーシング19は、前下がり傾斜姿勢で支持されて、前側には、前後に扁平なドレン受け36が設けられている。ドレン受け36の前側に排気口37が前向きに連結されている。
【0015】
水入口9には、給水管40が接続されている。給水管40は、燃焼室16の左側で上方に引き回され、上ケーシング19の入側ヘッダ34に接続されている。
出側ヘッダ35には、中継管41が接続されている。中継管41は、図5にも示すように、燃焼室16の左側から中ケーシング18の後方を通って中ケーシング18の右側へ回り込んでいる。そして、中継管41は、中ケーシング18の右側で前方へ引き回されて、給湯一次熱交換器27の給湯側伝熱管30の下段の上流端に接続されている。
【0016】
給湯側伝熱管30の上段の下流端には、出湯管42が接続されている。出湯管42は、図6にも示すように、中ケーシング18の右側面から中ケーシング18の前方へ回り込み、中ケーシング18の前方を横切って中ケーシング18の左側へ移動する。そして、出湯管42は、図4に示すように、中ケーシング18の左前方で下方向に屈曲し、下方へ直線状に引き回された後、湯出口10に接続されている。出湯管42の直線部43は、バイパス管44を介して給水管40に接続されている。
【0017】
風呂戻り口11には、風呂戻り管45が接続されている。風呂戻り管45は、図4~6に示すように、ポンプ46を介して燃焼室16の右側を上方へ引き回される。そして、風呂戻り管45は、中ケーシング18の前方を横切って中ケーシング18の左側に回り込み、風呂熱交換器28の風呂側伝熱管31の上流端に接続される。風呂戻り管45は、落とし込み管47を介して出湯管42と接続されている。
風呂往き口12には、風呂往き管48が接続されている。風呂往き管48は、燃焼室16の右側を上方へ引き回された後、中ケーシング18の右側で風呂側伝熱管31の下流端に接続されている。
【0018】
燃焼室16の周囲には、樹脂シート50が巻回されている。樹脂シート50は、図2及び図3に示すように、下ケーシング17と中ケーシング18とに跨がって燃焼室16の周囲に巻回される帯状体である。樹脂シート50は、各配管の外側で左右の側板7A、7B、背板8の内面に沿って巻回されることで、燃焼室16と非接触となっている。
【0019】
樹脂シート50には、幅方向に往復して蛇行しながら長手方向に延びる連続状の導電パターン51が、長手方向の全長に亘って印刷されている。導電パターン51の両端は、後述する電装基板66へ電気的に接続されて、過熱防止装置を形成している。この過熱防止装置は、下ケーシング17又は中ケーシング18の異常過熱によってひび割れや穴あき等が生じて燃焼排気が噴出すると、樹脂シート50の溶融と共に導電パターン51が破断して抵抗値が急増又は無限大となることで、その抵抗値の変化を検知した電装基板66が燃料ガスの供給を停止してバーナユニット20を消火させるものである。
【0020】
燃焼室16の前側には、中和器55が配置されている。中和器55は、正面視が矩形状の箱体で、内部には図示しない中和剤が充填されている。中和器55の上面には、上ケーシング19の前側底面及びドレン受け36に接続されるドレン排出管56、56が接続されている。中和器55の下面には、排水口14と接続される排水管57が接続されている。
中和器55の下方には、コントローラ65が配置されている。コントローラ65は、電装基板66と、収納ケース67と、カバー68とを含んでなる。
【0021】
(給湯器の動作説明)
給湯器1において、通常の給湯は以下の如くなされる。
湯出口10に接続された外部配管の給湯栓が開栓されて器具内に通水され、その通水を給水管40に設けた給湯水量センサで検知すると、コントローラ65は、燃焼ファン22を所定時間駆動させて、燃焼室16内に貯留している燃焼排気を排出させる(プリパージ)。その後、ガス配管26の元弁及びガス分配ユニット25の電磁弁を開弁させ、比例弁を所定開度で開弁させて、バーナユニット20へガスを供給すると共に、イグナイタを作動させてバーナユニット20に点火する。
【0022】
これにより、給水管40から供給される水は、給湯二次熱交換器32の吸熱管33を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換して潜熱を回収する。このとき発生したドレンは、ドレン排出管56を介して中和器55に回収され、中和剤で中和された後、排水管57から器具外部へ排出される。
そして、給湯二次熱交換器32を通過した湯水は、中継管41を介して給湯一次熱交換器32に流れ、給湯側伝熱管30を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換して顕熱を回収する。こうして加熱された湯は、出湯管42及び外部配管を通って給湯栓から出湯される。
【0023】
コントローラ65の電装基板66は、出湯管42に設けた出口温度サーミスタによって、給湯一次熱交換器27直後から出湯される湯の温度である出口温度を監視し、バイパス管44に設けた分配弁を駆動させて、出口温度が、給湯一次熱交換器27でのドレンの発生や過熱を防止できる温度範囲内に維持されるようにバイパス管44への流量(バイパス率)を制御する。
また、電装基板66は、出湯管42に設けた出湯温度サーミスタによって出湯温度を監視し、出湯温度が外部の給湯リモコン又は風呂リモコンによって指示された設定温度となるように、ガス分配ユニット25の各電磁弁の開閉制御と比例弁の開度調整とを行うと共に、燃焼ファン22の動作制御によって空気量を連続的に変化させる。
給湯栓を閉じると、給湯水量センサからの信号停止を確認した電装基板66は、元弁及びガス分配ユニット25の電磁弁を閉じてバーナユニット20を消火させ、所定時間燃焼ファン22を駆動させる(ポストパージ)。
【0024】
一方、給湯リモコン又は風呂リモコンの自動スイッチを押すと、電装基板66は、落とし込み管47に設けた落とし込み水電磁弁を開弁して給湯一次熱交換器27及び給湯二次熱交換器32に通水させてバーナユニット20を燃焼させる。出湯管42からの湯は、落とし込み管47及び風呂戻り管45を通って外部の浴槽に供給される。落とし込み管47に設けた風呂水量センサで検出した水量が設定水量に達すると、電装基板66は、落とし込み水電磁弁を閉じて通水を停止し、バーナユニット20を消火させる。
次に、電装基板66は、ポンプ46を作動させて、風呂熱交換器28と浴槽との間で湯を循環させる。このとき、電装基板66は、風呂戻り管45及び風呂往き管48に設けたサーミスタで循環する湯の温度を監視し、設定温度からの低下を確認すると、給湯時と同様にバーナユニット20を点火すると共に、燃焼ファン22によって燃焼用空気を供給する。よって、風呂熱交換器28と浴槽との間を循環する風呂循環水は、風呂側伝熱管31を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換されて設定温度まで加熱される。設定温度に達すると、電装基板66は、バーナユニット20の燃焼を停止させ、ポンプ46を停止させる。
【0025】
(中和器及びコントローラの設置構造の説明)
燃焼室16の前側に中和器55及びコントローラ65を設置する設置構造として、燃焼室16の下ケーシング17前面に金属製の固定バー60がネジ止めされている。固定バー60は、左右方向へ延びる帯状のバー本体71と、バー本体71の左右両端から後方へ延びる脚部72、72と、脚部72、72の先端から夫々左右方向で外側へ延びる固定片73、73とを備えている。バー本体71の下部には、中和器55の下部をネジ止めするための設置孔74、74が穿設されている。また、バー本体71の下部で、設置孔74、74の左右方向で外側には、コントローラ65の収納ケース67をネジ止めするためのケース設置孔75、75が穿設されている。さらに、各ケース設置孔75の近傍には、後述する取付金具59の位置決め片91の先端を差し込み可能な位置決めスリット93が設けられている。各固定片73には、固定バー60を下ケーシング17の前面にネジ止めするためのネジ止め孔76が穿設されている。
【0026】
また、中ケーシング18の前面上端から上ケーシング19の下面にかけて、中和器55の設置構造としても機能するブラケット金具58が取り付けられている。ブラケット金具58は、前後方向へ延びる板状の上ケーシング固定部85と、上ケーシング固定部85の後端から下方へ延びる板状の中ケーシング固定部86とを備えている。このようなブラケット金具58は、上ケーシング固定部85を上ケーシング19の下面に、中ケーシング固定部86を中ケーシング18の前面に夫々スポット溶接することによって、両ケーシング18、19を締結している。そして、中ケーシング固定部86の下部に、中和器55の上部側をネジ止めするための取付部87と、後述する取付金具59の位置決め片91の先端を差し込み可能な位置決めスリット94とが設けられている。
【0027】
さらに、中和器55の上面には、ネジの挿通孔が穿設された上設置片77が上方へ突設されている。また、中和器55の下面には、ネジの挿通孔が穿設された2つの下設置片78、78が下方へ突設されている。下設置片78、78の左右間隔は、設置孔74、74の左右間隔と同じとなっている。
一方、コントローラ65の収納ケース67の上面には、固定バー60におけるケース設置孔75、75の左右間隔と同じ間隔を隔てて、ネジの挿通孔が穿設されたケース設置片83、83が上方へ突設されている。また、収納ケース67の底面には、下方へ突出する係合突起88、88が設けられている。この係合突起88、88は、筐体2の底板6に開設された係合孔89、89に挿通状態で係合可能となっている。
【0028】
また、中和器55及びコントローラ65の設置に利用される取付金具59は、上下方向へ延びる帯状の金属板を折り曲げてなるもので、前後方向へ延びる金具本体80と、金具本体80の後端から上方へ延びる第1取付片81と、金具本体80の前端から下方へ延びる第2取付片82とを有する。第1取付片81上部における左寄りとなる位置には、取付金具59(特に第1取付片81)をブラケット金具58や固定バー60にネジ止めするための第1取付孔90が穿設されている。また、第1取付片81には、取付金具59のブラケット金具58や固定バー60への取付位置を位置決めするための位置決め片91が後方へ突設されている。一方、第2取付片82には、取付金具59(特に第2取付片82)を中和器55や収納ケース67にネジ止めするための第2取付孔92が穿設されている。
【0029】
上述したような設置構造において、中和器55の上部は、取付金具59を介して上設置片77とブラケット金具58とを連結するという態様で固定される。このとき取付金具59は、位置決め片91の先端を位置決めスリット94に差し込んで所定の取付位置に位置決めした後、第1取付片81をブラケット金具58の取付部87に、第2取付片82を上設置片77の後面に夫々ネジ止めして取り付けられる。また、中和器55の下部は、下設置片78、78を固定バー60の前面に当接させた状態で、下設置片78、78を固定バー60にネジ止めして固定される。
このようにして設置される中和器55と燃焼室16の下ケーシング17及び中ケーシング18との間には、前後方向に所定幅の隙間が形成される。そして、樹脂シート50は、その隙間を通した状態で燃焼室16の周囲に巻回されている。
【0030】
一方、コントローラ65は、収納ケース67の係合突起88、88を係合孔89、89に係合させた状態で、2つの取付金具59、59を介して収納ケース67の上部を固定バー60に固定することにより設置される。このとき各取付金具59は、位置決め片91の先端を位置決めスリット93に差し込んで所定の取付位置に位置決めした後、第1取付片81を固定バー60におけるケース設置孔75部分の前面に、第2取付片82をケース設置片83の後面に夫々ネジ止めして取り付けられる。
このようにして設置されたコントローラ65は、中和器55の下方に位置している。すなわち、中和器55とコントローラ65とは、下ケーシング17及び中ケーシング18の前方で上下へ直線状に並んで設置されることになる。
【0031】
(中和器及びコントローラの設置構造に係る発明の効果)
以上のような構成を有する給湯器1によれば、燃焼室16の下ケーシング17及び中ケーシング18の前面に、中和器55の上部が取付金具59を介して固定されるブラケット金具58と、中和器55の下部が固定される固定バー60とを取り付けている。また、固定バー60に、コントローラ65の上部が取付金具59、59を介して固定されるケース設置孔75、75を設けている。そして、下ケーシング17及び中ケーシング18の前側において、中和器55とコントローラ65とを上下に並設している。したがって、従来よりも給湯器1の筐体2の左右幅をコンパクト化することができる。また、中和器55の設置とコントローラ65の設置とに同じ取付金具59を利用するため、部品点数を削減することができ、ひいては製造管理コストを削減することができる。なお、中和器55をもたない顕熱タイプの給湯器についても取付金具59や固定バー60等を流用することができ、部品の共通化に伴う更なる製造管理コストの削減も期待することができる。
【0032】
また、コントローラ65に、下方へ突出する係合突起88、88が設けられているとともに、筐体2の底板6に、係合突起88、88が係合可能な係合孔89、89が設けられているため、簡易な構造でコントローラ65を設置することができ、部品点数の更なる削減を図ることができる。
さらに、下ケーシング17及び中ケーシング18の前方において、中和器55とコントローラ65とが上下へ直線状に並んで設置されており、下ケーシング17及び中ケーシング18の前方の空間が中和器55とコントローラ65とによって埋められているため、筐体2の強度向上を図ることができる。
【0033】
加えて、左右方向へ延びる帯状のバー本体71と、バー本体71の左右両端から後方へ延びる脚部72、72と、脚部72、72の先端から夫々左右方向で外側へ延びる固定片73、73とを備えた固定バー60や、前後方向へ延びる金具本体80と、金具本体80の後端から上方へ延びる第1取付片81と、金具本体80の前端から下方へ延びる第2取付片82とを有する取付金具59を用いて、中和器55を下ケーシング17及び中ケーシング18の前側に設置するため、前後方向において中和器55と下ケーシング17及び中ケーシング18との間に十分な隙間を確保することができる。したがって、燃焼室の熱による中和器の破損等を防止することができる上、隙間を利用して樹脂シート50を燃焼室16の周囲に巻回させることにより、樹脂シート50を用いた過熱防止装置を設置することができる。
【0034】
また、取付金具59の第1取付片81に、後方へ突出する位置決め片91を設ける一方、ブラケット金具58及び固定バー60に、位置決め片91の先端を差し込み可能な位置決めスリット93、94を設けており、取付金具59の取り付けにあたり、位置決め片91の先端を位置決めスリット93、94に差し込むことで、取付金具59を適切な取付位置に位置決め可能としている。したがって、取付金具59の取り付けに係る作業、ひいては給湯器1の組み立て作業を容易に行うことができる。
さらに、そのような位置決め片91を設けることで、取付金具59の姿勢を表裏及び上下反対にした状態で組み立てようとした際に、位置決め片91が中和器55の上設置片77や収納ケース67のケース設置片83に干渉するため、そのような誤った姿勢での組み立てを防止することができる。
さらにまた、取付金具59の第1取付片81をネジ止めするための第1取付孔90は、第1取付片81における左右方向で左寄りとなる位置に設けられているため、取付金具59の姿勢を上述したような誤った姿勢にすると、第1取付孔90及び第2取付孔92の位置と、対応する挿通孔(上設置片77や取付部94における挿通孔、ケース設置孔75やケース設置片83における挿通孔)の位置とがずれることになる。したがって、取付金具59を誤った姿勢のまま組み立ててしまう事態を一層確実に防止することができる。
【0035】
なお、本発明に係る給湯器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、給湯器の全体的な構成は勿論、中和器及びコントローラの設置構造に係る構成についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0036】
たとえば、上記実施形態では、燃焼室のケーシングにブラケット金具を取り付け、そのブラケット金具に取付金具をネジ止めするとしているが、燃焼室のケーシングに直接取付金具をネジ止めするように構成することも可能である。
また、固定金具についても、上記実施形態の固定バーに何ら限定されることはなく、どのような形状の固定金具とするかについては適宜設計変更可能であるし、取付金具の具体的な構成についても、たとえば第1取付片と第2取付片との金具本体からの突出方向を上下逆にする等、適宜設計変更することができる。
【0037】
さらに、上記実施形態では、コントローラを過熱防止装置の一構成要素としているが、コントローラに過熱防止装置としての機能をもたせないとすることも可能である。
加えて、上記実施形態では、コントローラの下面に係合部として係合突起を、筐体の底板に被係合部として係合孔を夫々設けているが、係合部として弾性を有する係合爪を設ける一方、被係合部として前面に係合爪が係合可能な凹部が形成された被係合ボスを設ける等としてもよく、係合部及び被係合部の具体的構成についても適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0038】
1・・給湯器、2・・筐体、16・・燃焼室、17・・下ケーシング、18・・中ケーシング、19・・上ケーシング、20・・バーナユニット、55・・中和器、58・・ブラケット金具、60・・固定バー(固定金具)、65・・コントローラ、67・・収納ケース、68・・カバー、71・・バー本体、72・・脚部、73・・固定片、74・・設置孔(設置部)、75・・ケース設置孔(ケース設置部)、80・・金具本体、81・・第1取付片、82・・第2取付片、88・・係合突起(係合部)、89・・係合孔(被係合部)。
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