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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053965
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
H02M3/28 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160512
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000214836
【氏名又は名称】長野日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 輝之
(72)【発明者】
【氏名】畠山 浩史
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 潤
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730BB21
5H730EE03
5H730ZZ11
5H730ZZ12
5H730ZZ16
(57)【要約】
【課題】 二次側電力が低電圧/高電流出力となる場合でも、電気抵抗の最小化による電力ロス及び発熱を低減するとともに、全体の小型コンパクト化及びコストダウンに寄与する。
【解決手段】 一次コイル2と二次コイル3を有するトランスユニットUt及びこのトランスユニットUtに接続したチョークコイル4を有するチョークユニットUcを実装した回路基板Ubを備える電力変換装置を構成するに際し、一端3sをバスバープレート5に接続し、かつ他端3tを回路基板Ubに接続することによりトランスユニットUtを固定する固定機能を兼ねる平角導線Wsを用いた二次コイル3を備えるとともに、一端4sをバスバープレート5に接続することによりチョークユニットUcを固定する固定機能を兼ねる平角導線Wcを用いたチョークコイル4を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、一次コイルと二次コイルを有するトランスユニット及びこのトランスユニットに接続したチョークコイルを有するチョークユニットを実装した回路基板を備える電力変換装置において、一端をバスバープレートに接続し、かつ他端を前記回路基板に接続することにより前記トランスユニットを固定する固定機能を兼ねる平角導線を用いた前記二次コイルを備えるとともに、一端を前記バスバープレートに接続することにより前記チョークユニットを固定する固定機能を兼ねる平角導線を用いた前記チョークコイルを備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記トランスユニットは、第一コイル部と第二コイル部を直列接続した二次コイルを備え、第一コイル部と第二コイル部を直列接続した接続部をセンタタップとして機能させることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記トランスユニットは、断面矩形枠状のトランスコアを備えることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記トランスユニットは、前記トランスコアにボビンレスにより巻回した前記一次コイルを備えるとともに、当該一次コイルの外周面に対向し、かつボビンレスにより配した前記二次コイルを備えることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記チョークユニットは、断面矩形枠状のチョークコアを備えることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記回路基板は、前記トランスユニット及び前記チョークユニットの出力を処理する出力回路の少なくとも一部を備えることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスユニット及びチョークユニットを実装した回路基板を備える電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一次コイルと二次コイルを備えるトランスユニット及びこのトランスユニットに接続したチョークコイルを備えるチョークユニットを含む回路基板を搭載した電力変換装置としては、特許文献1-3に記載される電力変換装置が知られている。
【0003】
特許文献1の電力変換装置は、トランスとリアクトルを搭載して電力変換を行うパワー系主回路部、パワー系主回路部の動作を制御する制御回路部、交流電源とパワー系主回路部との間に設けられ、チョークコイルとコンデンサにより入力電流に含まれる伝導ノイズを減衰させる入力フィルタ回路部、パワー系主回路部と外部負荷との間に設けられ、チョークコイルとコンデンサにより出力電流に含まれる電源ノイズを減衰させる出力フィルタ回路部を備えたものである。
【0004】
また、特許文献2の電力変換装置は、電力変換回路を構成する電子部品と、該電力変換回路を制御する制御回路が形成されている制御回路基板と、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を有するとともに、電子部品及び制御回路基板を内部に収納する筺体と、を備え、電力変換回路(コンバータ回路)は、電子部品として、一次コイルと二次コイルとを有するトランスと、一次コイルに接続されて一次側回路を形成する一次側電子部品と、二次コイルに接続されて二次側回路を形成する二次側電子部品とを備え、トランスは一次側回路と二次側回路との間に配置されているとともに、1次側回路と2次側回路とが電気的に絶縁された構成を備えたものである。
【0005】
さらに、特許文献3の電力変換装置は、構造を簡素化することができる電力変換装置の提供を目的としたものであり、具体的には、電力変換装置は、並列接続された一対の電力変換部と、電力変換部を制御するための制御基板と、制御基板を保持する筺体とを備え、各電力変換部におけるチョークコイルの出力側のチョークコイルバスバのそれぞれは、チョークコイルと制御基板とを電気的に接続しつつ該制御基板を機械的に支持するように構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6486443号公報
【特許文献2】特開2015-109759号公報
【特許文献3】特開2011-139598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1-3に記載される従来の電力変換装置は、次のような問題点が存在した。
【0008】
第一に、この種の電力変換装置は、トランスユニット及びチョークユニット等のコイル部品を回路基板上に実装し、これらのコイル部品間を基板上の回路或いは所定のリードを介して接続する。しかも、DC400〔V〕程度の一次側電圧をDC10〔V〕程度の二次側電圧に変換する機能を備えるため、二次側電力は、低電圧/高電流出力となる。したがって、電力ロス及び発熱を低減することにより省エネルギ性をより高める観点からは、部品間を接続する回路上の電気抵抗が無視できない問題があった。
【0009】
第二に、トランスユニット及びチョークユニット等の比較的大型となるコイル部品を回路基板上に搭載して配線(接続)するため、レイアウト構成を考慮しても、回路基板を含む全体のサイズダウンを図るには限界があり、結局、電力変換装置全体の小型コンパクト化及びコストダウンをより推進する観点からも更なる改善の余地があった。
【0010】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した電力変換装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電力変換装置1は、上述した課題を解決するため、少なくとも、一次コイル2と二次コイル3を有するトランスユニットUt及びこのトランスユニットUtに接続したチョークコイル4を有するチョークユニットUcを実装した回路基板Ubを備える電力変換装置を構成するに際して、一端3ma,3mbをバスバープレート5に接続し、かつ他端3sa,3sbを回路基板Ubに接続することによりトランスユニットUtを固定する固定機能を兼ねる平角導線Wsを用いた二次コイル3を備えるとともに、一端4sをバスバープレート5に接続することによりチョークユニットUcを固定する固定機能を兼ねる平角導線Wcを用いたチョークコイル4を備えてなることを特徴とする。
【0012】
この場合、発明の好適な態様により、トランスユニットUtの二次コイル3は、第一コイル部3aと第二コイル部3bを直列接続して構成し、第一コイル部3aと第二コイル部3bを直列接続した接続部3cをセンタタップ11として機能させることができる。また、トランスユニットUtは、断面矩形枠状のトランスコア12を設けることができるとともに、このトランスコア12にボビンレスにより巻回した一次コイル2,及びこの一次コイル2の外周面に対向し、かつボビンレスにより配した二次コイル3を設けることができる。一方、チョークユニットUcには、断面矩形枠状のチョークコア13を設けることができる。さらに、回路基板Ubには、トランスユニットUt及びチョークユニットUcの出力を処理する出力回路14の少なくとも一部を設けることができる。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明に係る電力変換装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0014】
(1) 平角導線Wsを用いた二次コイル3の一端3ma,3mbをバスバープレート5に接続し、かつ他端3sa,3sbを回路基板Ubに接続することによりトランスユニットUtを固定する固定機能を兼ねるとともに、平角導線Wcを用いたチョークコイル4の一端4sをバスバープレート5に接続することによりチョークユニットUcを固定する固定機能を兼ねるため、トランスユニットUt及びチョークユニットUcを最短距離により接続可能になり、かつ回路基板Ub上に固定することができる。この結果、二次側電力が、低電圧/高電流出力となる場合であっても、部品間を接続する回路上の電気抵抗を最小化し、電力ロス及び発熱の更なる低減化を図れるとともに、省エネルギ性をより高めることができる。
【0015】
(2) トランスユニットUt及びチョークユニットUc等の比較的大型となるコイル部品を回路基板Ub上に実装して配線(接続)する場合であっても、最短距離による配線機能と回路基板Ubに対する固定機能を実現できるため、電力変換装置1全体の小型コンパクト化を実現できるとともに、材料コスト及び製造コストを含む全体のコストダウンにも寄与できる。
【0016】
(3) 好適な態様により、トランスユニットUtに、第一コイル部3aと第二コイル部3bを直列接続して構成した二次コイル3を設け、第一コイル部3aと第二コイル部3bを直列接続した接続部3cをセンタタップ11として機能させれば、トランスユニットUtをセンタタップトランスとして構成できるため、センタタップ整流回路を容易に構成することができる。
【0017】
(4) 好適な態様により、トランスユニットUtに、断面矩形枠状のトランスコア12を設ければ、コア付トランスを構成できるため、コア付トランスのメリットを享受できることに加え、コア付トランスに対する十分な接続機能及び固定機能を確保することができる。
【0018】
(5) 好適な態様により、トランスユニットUtのトランスコア12に、ボビンレスにより巻回した一次コイル2,及びこの一次コイル2の外周面に対向し、かつボビンレスにより配した二次コイル3を設ければ、ボビンレスのトランスユニットUtを構成できるため、トランスユニットUt、更には電力変換装置1全体の更なる小型化及び低コスト化に寄与できる。
【0019】
(6) 好適な態様により、チョークユニットUcに、断面矩形枠状のチョークコア13を設ければ、コア付チョークコイルを構成できるため、コア付チョークコイルのメリットを享受できることに加え、コア付チョークコイルに対する十分な接続機能及び固定機能を確保することができる。
【0020】
(7) 好適な態様により、回路基板Ubに、トランスユニットUt及びチョークユニットUcの出力を処理する出力回路14の少なくとも一部を設ければ、出力回路14を含めた回路基板Ubとの組合わせによる電源ユニットを構築できるため、電力変換装置1全体の更なる小型コンパクト及び電力ロス低減化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の好適実施形態に係る電力変換装置の外観斜視図、
図2】同電力変換装置の電気回路図、
図3】同電力変換装置の部品接続図、
図4】同電力変換装置に備えるトランスユニットの縦断断面側面図(図5中B-B線断面)、
図5】同トランスユニットの一部縦断断面背面図(図4中A-A線断面)、
図6】同トランスユニットを分解した各構成部品の斜視図、
図7】同電力変換装置に備えるチョークユニットの縦断断面側面図(図8中D-D線断面)、
図8】同チョークユニットの縦断断面背面図(図7中C-C線断面)、
図9】同チョークユニットを分解した各構成部品の斜視図、
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
まず、本実施形態に係る電力変換装置1の主要構成部品について、図1図9を参照して説明する。
【0024】
電力変換装置1は、主要構成部品として、図3に示すように、トランスユニットUt,チョークユニットUc,及び回路基板Ubを備える。この回路基板Ubには、基板本体部Ubmとバスバープレート5が含まれる。
【0025】
トランスユニットUtの具体的な構造を図4図6に示す。トランスユニットUtは、図6に示すように、基本的パーツとして、トランスコア12,一次コイル2及び二次コイル3を備える。なお、21は絶縁シート、22は絶縁テープ、23は放熱シートをそれぞれ示す。
【0026】
トランスコア12は、断面がコの字形となる所定長さに形成した一対のコア半体12p,12qを組合わせて構成する。例示のコア半体12p,12qはフェライトコアである。これにより、図6に示すように、各コア半体12p,12qの開口側を対向させて組合わせ、コア半体12pと12qを絶縁テープ22により固定すれば、断面矩形枠状の一体化したトランスコア12を構成することができる。このように、トランスユニットUtに、断面矩形枠状のトランスコア12を設ければ、コア付トランスを構成できるため、コア付トランスのメリットを享受できることに加え、コア付トランスに対する十分な接続機能及び固定機能を確保することができる。
【0027】
一次コイル2は、断面円形の一般的なマグネットワイヤ(単銅線)Mwを巻回することにより一対のコイル半体2a,2bを形成し、直列接続することにより一次コイル2を構成する。例示の場合、入力電圧が400〔V〕程度であり、全体の巻数は20ターン程度である。各コイル半体2a…は、図4及び図5に示すように、矩形枠状に巻回し、上述したトランスコア12の180〔゜〕対向する枠部分にそれぞれ配する。マグネットワイヤMwの外周面には、複数層(例示は3層)の絶縁コーティングを施すことにより、絶縁被覆部を設けている。
【0028】
二次コイル3は、第一コイル部3aと第二コイル部3bを直列接続して構成し、第一コイル部3aと第二コイル部3bを接続した接続部3cをセンタタップ11として機能させる。第一コイル部3a及び第二コイル部3bは、図4及び図6に示すように、それぞれ平角導線Wsを使用し、コの字形に折曲形成することにより、巻数が1ターンとなるコイルを形成するとともに、接続部3cを介して接続することにより、センタータップを有する二次コイル3として構成する。例示の場合、二次コイル3の出力電圧は10〔V〕程度である。
【0029】
また、図4に示すように、第一コイル部3aの上側に位置する他端3sa,3saを、後述する基板本体部Ubmに設けた二つの接続孔部25x,25xに接続できるように長目に形成するとともに、第一コイル部3aの下側に位置する一端3maを、基板本体部Ubmの手前に配するバスバープレート5(センタータップ11)に設けた接続凹部26mに接続できるように短目に形成する。さらに、第二コイル部3bの上側に位置する他端3sbを、基板本体部Ubmに設けた接続孔部25yに接続できるように長目に形成するとともに、第二コイル部3bの下側に位置する一端3mbを、バスバープレート5(センタータップ11)に設けた接続凹部26nに接続できるように短目に形成する。したがって、バスバープレート5には、他端3sbが非接触で貫通する貫通窓26sが接続凹部26mに連続して形成されている。
【0030】
このように構成する二次コイル3を設ければ、平角導線Wsを用いることにより、接続機能及び固定機能の双方を良好かつ十分な状態で確保できるため、最適な形態として実施することができる。また、トランスユニットUtをセンタタップトランスとして構成できるため、センタタップ整流回路を容易に構成することができる。
【0031】
一方、チョークユニットUcの具体的な構造を図7図9に示す。チョークユニットUcは、図9に示すように、基本的パーツとして、チョークコア13及びチョークコイル4を備える。なお、31は絶縁部材、32は絶縁テープをそれぞれ示す。
【0032】
チョークコア13は、断面がコの字形となる所定長さに形成した一対のコア半体13p,13qを組合わせて構成する。例示のコア半体13p,13qはフェライトコアである。これにより、図9に示すように、各コア半体13p,13qの開口側を対向させて組合わせることにより一体化させれば、断面矩形枠状のチョークコア13を構成することができる。なお、コア半体13pと13qは絶縁テープ32により固定する。
【0033】
チョークコイル4は、図7図9に示すように、平角導線Wcを使用し、L形に折曲形成することにより、巻数が1ターンとなるチョークコイルを形成する。この場合、チョークコイル4の先端4sを、図6に示すバスバープレート5に設けた接続凹部33に接続可能に形成する。このように構成するチョークコイル4を設ければ、平角導線Wcを用いることにより、接続機能及び固定機能の双方を良好かつ十分な状態で確保できるため、最適な形態として実施することができる。また、チョークユニットUcに、断面矩形枠状のチョークコア13を設ければ、コア付チョークコイルを構成できるため、コア付チョークコイルのメリットを享受できることに加え、コア付チョークコイルに対する十分な接続機能及び固定機能を確保することができる。
【0034】
他方、図3には、回路基板Ubを示す。この回路基板Ubには、基板本体部Ubmとバスバープレート5が含まれる。この場合、基板本体部Ubmには、トランスユニットUt及びチョークユニットUcの出力を処理する出力回路14の少なくとも一部、具体的には、図2に示す同期整流用のMOSFET41,42、サーミスタ43、図示を省略したダイオード等を含む出力回路14の少なくとも一部を実装することができる。このように、回路基板Ubに、トランスユニットUt及びチョークユニットUcの出力を処理する出力回路14の少なくとも一部を設ければ、出力回路14を含めた回路基板Ubとの組合わせによる電源ユニットを構築できるため、電力変換装置1全体の更なる小型コンパクト及び電力ロス低減化に寄与することができる。
【0035】
基板本体部Ubmは、一方の基板面(表面)がMOSFET41…等の実装面になるとともに、他方の基板面(裏面)には、全体にコの字形となる回路パターンが形成されるとともに、図3に示すように、この回路パターンを覆うパターン補強プレート44及びこの補強プレート44を覆う絶縁板45が設けられる。その他、44jは補強プレート44の一部を延出形成した接続端子部、46は出力回路14のコネクタ部を示す。
【0036】
また、バスバープレート5は、一枚の銅板により形成することができ、このバスバープレート5は放熱板を兼ねている。
【0037】
次に、本実施形態に係る電力変換装置1に用いるこれらの主要構成部品の組立方法について、図1図9を参照して説明する。
【0038】
まず、コア半体12p,12qを、開口側を対向させて装着し、外周面に絶縁テープ22を巻いて一体化する。これにより、コア半体12p,12qを組合わせた断面矩形枠状のトランスコア12となる。そして、このトランスコア12に対して、一次コイル2を構成するコイル半体2a,2bを巻回する。
【0039】
この後、図6に示すように、二次コイル3を構成する第一コイル部3aと第二コイル部3bを用意し、第一コイル部3aを、一次コイル2のコイル半体2aを挟むように、開口側から装着するとともに、第一コイル部3bを、一次コイル2のコイル半体2bを挟むように、開口側から装着する。そして、第一コイル部3aと第一コイル部3b間には、絶縁シート21を挿入する。この状態が図3に示すトランスユニットUtとなる。
【0040】
このように、トランスユニットUtのトランスコア12に、ボビンレスにより巻回した一次コイル2,及びこの一次コイル2の外周面に対向し、かつボビンレスにより配した二次コイル3を設ければ、ボビンレスのトランスユニットUtを構成できるため、トランスユニットUt、更には電力変換装置1全体の更なる小型化及び低コスト化に寄与することができる。
【0041】
次いで、図9に示すように、コア半体13pと13qを用意し、開口側を対向させて組合わせるとともに、外周面に絶縁テープ32を巻いて一体化する。これにより、コア半体13pと13qを組合わせた断面矩形枠状のチョークコア13となる。そして、チョークコア13の内側孔部に、図7及び図9に示すチョークコイル4を一端開口から挿入し、先端4sを他端開口から突出させるとともに、チョークコア13の内側孔部における空き隙間に、図7及び図8に示す絶縁部材31を収容して隙間の調整を行う。この状態が図3に示すチョークユニットUcとなる。
【0042】
また、図3に示すように、回路基板Ubを構成する基板本体部Ubmとバスバープレート5を用意する。そして、トランスユニットUtの第一コイル部3aにおける下側の一端3maをバスバープレート5に設けた接続凹部26mに収容して半田付等により接続するとともに、トランスユニットUtの第二コイル部3bにおける下側の一端3mbを、バスバープレート5に設けた接続凹部26nに収容して半田付等により接続する。同様に、トランスユニットUtの第一コイル部3aにおける上側の他端3sa,3saを基板本体部Ubmの各接続孔部25x,25xに挿入することにより半田付等により接続するとともに、トランスユニットUtの第二コイル部3bにおける上側の他端3sbを、バスバープレート5に設けた貫通窓26sを通して基板本体部Ubmに至らせ、接続孔部25yに挿入することにより半田付等により接続する。バスバープレート5は、基板本体部Ubmの絶縁板45に対して接着等により固定することができる。
【0043】
さらに、図3に示すように、チョークユニットUcにおけるチョークコイル4の先端4sを、バスバープレート5に形成した接続凹部33に挿入して半田付等により接続する。なお、チョークコイル4の他端は、図示を省略した他の回路基板に半田付等により接続される。したがって、バスバープレート5には、チョークコイル4の先端4s,二次コイル3における第一コイル部3aの下側の一端3ma及び第二コイル部3bの下側の一端3mbがそれぞれ共通接続され、このバスバープレート5は、センタータップ11として機能する。これにより、図1に示す一体化した目的の電力変換装置1を得ることができる。
【0044】
図2は、電力変換装置1の電気回路図を示す。図2中、51a,51bは入力端子、52a,52bは出力端子をそれぞれ示す。例示の場合、入力端子51a,51bには、スイッチングされたDC400〔V〕程度のパルス電力信号が入力し、出力端子52a,52bには、スイッチングされたDC10〔V〕程度のパルス電力信号が出力する。図2中、53は制御部を示す。なお、図2の電気回路図と図3の部品接続図における同一部分には、それぞれ同一符号を付してその構成を明確にした。
【0045】
よって、このような本実施形態に係る電力変換装置1によれば、基本的な構成として、一端3ma,3mbをバスバープレート5に接続し、かつ他端3sa,3sbを回路基板Ubに接続することによりトランスユニットUtを固定する固定機能を兼ねる平角導線Wsを用いた二次コイル3を備えるとともに、一端4sをバスバープレート5に接続することによりチョークユニットUcを固定する固定機能を兼ねる平角導線Wcを用いたチョークコイル4を備えるため、トランスユニットUt及びチョークユニットUcを最短距離により接続可能になり、かつ回路基板Ub上に固定することができる。この結果、二次側電力が、低電圧/高電流出力となる場合であっても、部品間を接続する回路上の電気抵抗を最小化し、電力ロス及び発熱の更なる低減化を図れるとともに、省エネルギ性をより高めることができる。また、トランスユニットUt及びチョークユニットUc等の比較的大型となるコイル部品を回路基板Ub上に実装して配線(接続)する場合であっても、最短距離による配線機能と回路基板Ubに対する固定機能を実現できるため、電力変換装置1全体の小型コンパクト化を実現できるとともに、材料コスト及び製造コストを含む全体のコストダウンにも寄与できる。
【0046】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0047】
例えば、二次コイル3は、第一コイル部3aと第二コイル部3bを直列接続し、第一コイル部3aと第二コイル部3bを接続した接続部3cをセンタタップ11として構成した場合を示したが、センタタップ11の無い単一の二次コイル3であってもよい。また、トランスユニットUtは、断面矩形枠状のトランスコア12を設けた場合を示したが、トランスコア12の形状や素材は任意であるとともに、コアレスタイプのトランスユニットUtを排除するものではない。同様に、チョークユニットUcに、断面矩形枠状のチョークコア13を設けた場合を示したが、チョークコア13の形状や素材は任意であるとともに、コアレスタイプのチョークユニットUcを排除するものではない。さらに、トランスコア12にボビンレスにより巻回した一次コイル2,及びこの一次コイル2の外周面に対向し、かつボビンレスにより配した二次コイル3を設けた形態を示したが、一次コイル2と二次コイル3の巻線形態は任意であり、例示した巻線形態に限定されるものではない。一方、回路基板Ubに、トランスユニットUt及びチョークユニットUcの出力を処理する出力回路14の少なくとも一部を設けることが望ましいが、出力回路14は別体の基板に設け、回路基板UbはトランスユニットUtとチョークユニットUcのみを実装する実装基板として構成する場合を排除するものではない。なお、導電素材や絶縁素材は、同様の機能(特性)を有する各種素材を利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る電力変換装置は、データセンターにおける電源設備等の各種電源設備における電力変換装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1:電力変換装置,2:一次コイル,3:二次コイル,3ma:二次コイルの一端,3mb:二次コイルの一端,3sa:二次コイルの他端,3sb:二次コイルの他端,3a:第一コイル部,3b:第二コイル部,3c:接続部,4:チョークコイル,4s:チョークコイルの一端,5:バスバープレート,11:センタタップ,12:トランスコア,13:チョークコア,14:出力回路,Ws:平角導線,Wc:平角導線,Ut:トランスユニット,Uc:チョークユニット,Ub:回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9