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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053998
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160555
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】狩野 高宏
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 英雄
(72)【発明者】
【氏名】菊地 新一郎
(72)【発明者】
【氏名】豊田 晋伍
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601GA18
4C601GA25
4C601KK45
4C601LL25
(57)【要約】
【課題】超音波診断装置の操作パネルの操作性を向上すること。
【解決手段】実施形態に係る超音波診断装置は、本体筐体と、ディスプレイと、操作パネル部と、支持部と、を備える。支持部は、操作パネル部をチルト可能に支持する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体と、
ディスプレイと、
操作パネル部と、
前記操作パネル部をチルト可能に支持する支持部と、
を備える超音波診断装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記操作パネル部のリア側の位置に設けられ、
前記支持部に設けられた回転軸を中心にして、下方向及び上方向にチルトするように前記操作パネル部を支持する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記操作パネル部を下方向にチルトする場合に、一定のチルト角でチルトを止めるストッパを有する、
請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記支持部のチルト方向の動きをロックする又はロック解除するロック部を、さらに備え、
前記ロック部は、前記支持部によって特定のチルト角に調整された前記操作パネル部を、前記特定のチルト角に保持する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記操作パネル部には、前記操作パネル部を手動で下方向及び上方向にチルトさせるためのハンドルが設けられ、
前記ハンドルには、前記ロック部によるロック及びロック解除のためのレバーが設けられる、
請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
駆動源と、
前記支持部のチルトを制御するチルト制御部と、をさらに備え
前記チルト制御部は、前記駆動源を用いて、前記操作パネル部を特定のチルト角に調整するように、前記支持部を制御する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記支持部のチルト方向の動きをロックする又はロック解除するロック部と、
前記支持部のチルト方向の動きをロックする又はロック解除するための情報を取得する情報取得部と、
前記ロック部を制御する駆動制御部と、をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記情報取得部で取得した前記支持部のチルト方向の動きをロックする又はロック解除するための情報に基づいて、前記ロック部を制御する、
請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記情報取得部は、さらに前記特定のチルト角に関する情報、を取得し、
前記チルト制御部は、前記情報取得部で取得した前記特定のチルト角についての情報に基づいて、前記支持部のチルトを制御する、
請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記情報取得部は、前記操作パネル部に設けられたプリセットボタンの操作によって、前記情報を取得する、
請求項8に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記情報取得部は、前記操作パネル部に設けられた角度設定ボタンの操作によって、前記情報を取得する、
請求項8に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記チルト制御部は、検査の終了時に、前記操作パネル部を初期状態の位置に戻すように前記支持部を制御する、
請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
ユーザ及び超音波プローブの少なくとも一方の位置情報を検出する検出部をさらに備え、
前記チルト制御部は、前記検出部で検出された前記位置情報に基づいて、前記支持部のチルトを制御する、
請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
画像センサをさらに備え、
前記検出部は、画像センサで取得された前記位置情報を用いる、
請求項12に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
磁場を発生する磁気トランスミッタと、
前記磁場を検出する磁気センサと、
をさらに備え、
前記検出部は、前記磁気センサで検出された磁場情報を用いて前記位置情報を検出する、
請求項12に記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置における撮像では、技師等のユーザは、超音波プローブの検出面を被検体の診断部位に接触させ、生成される超音波画像を見ながら、同時に、適切なゲイン調整、撮像モードの切り替え、フリーズ等の操作を、操作パネルを介して行う。しかしながら、従来の超音波診断装置では、操作パネルは超音波診断装置本体に固定接続されているため、ユーザが操作パネルの高さに合わせて操作を行う必要がある。
【0003】
例えば、下肢検査の場合において、ユーザが屈む等、操作パネルに対して低い姿勢になるため、固定された操作パネルでは操作がしづらくなる。さらに、画面に表示される超音波画像が操作パネルに遮られ屈んだユーザから見え難くなることもある。また、立姿勢での操作の場合等において、ユーザが操作パネルに対して高い姿勢になるため、同等に操作パネルの操作がしづらくなることもある。また、ユーザが無理な姿勢での操作パネルの操作を強いられることで検査時間が長くなる可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-126015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の1つは、超音波診断装置の操作パネルの操作性を向上することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限らない。後述する各実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る超音波診断装置は、本体筐体と、ディスプレイと、操作パネル部と、支持部と、を備える。支持部は、操作パネル部をチルト可能に支持する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示す概略図。
図2】従来の超音波診断装置を使用する際に、ユーザが負担のかかる体勢で操作パネルを操作する様子を説明する図。
図3】第1の実施形態に係る操作パネル部が下方向にチルトされた状態を示す図。
図4】第1の実施形態で下方向にチルトした操作パネル部をユーザが操作する様子を説明する図。
図5】第1の実施形態に係る操作パネル部が上方向にチルトされた状態を示す図。
図6】第1の実施形態に係る操作パネル部と支持部の一構成例を示す概略図。
図7】第1の実施形態に係る支持部のストッパの一例について説明する図。
図8】第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示す概略図。
図9】第2の実施形態に係る操作パネル部と支持部の一構成例を示す概略図。
図10】第3の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示す概略図。
図11】第3の実施形態で操作パネル部が下方向にチルトした場合の画像センサの視野範囲とユーザの視界との位置関係を示す図。
図12】第3の実施形態の変形例に係る超音波診断装置の構成例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、超音波診断装置の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示す概略図である。超音波診断装置1は、本体筐体100、支持部10、操作パネル部20、ディスプレイ30、接続部40、及び、車輪60を有する。
【0010】
なお、本実施形態では、床面に垂直な方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、本体筐体100の奥行き方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、本体筐体100の幅方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。また、図1において、操作パネル部20の右側をリア側と呼び、左側をフロント側と呼ぶものとする。
【0011】
本体筐体100は、装置本体101(図8参照)を内蔵する。装置本体101は、超音波プローブ50が受信した被検体Pからのエコー信号にもとづいて超音波画像を生成する。
【0012】
支持部10は、操作パネル部20のリア側の位置に設けられ、操作パネル部20をチルト可能に支持し、接続部40に連結される。構造及び動作の詳細については後述する。
【0013】
操作パネル部20は、例えば、タッチコマンドスクリーンとハードキーと(いずれも図示を省略)を有する。タッチコマンドスクリーンは、ディスプレイと、このディスプレイの近傍に設けられたタッチ入力回路とを備えて構成される。タッチ入力回路は、ユーザによるタッチ入力回路上の指示位置の情報を装置本体101に与える。ハードキーは、キーボード、マウス、フットスイッチ、トラックボール、各種ボタン等を含む。タッチ入力回路及びハードキーは入力回路を構成し、それぞれ、ユーザからの各種指示を受け付ける。
【0014】
操作パネル部20は、例えば、そのフロント側の下面にハンドル23を有する。ハンドル23は、例えば、超音波診断装置1を診断中に移動させる場合や、後述するように、操作パネル部20を手動でチルト方向に動かす場合に、持ち手として用いられる。ハンドル23には、レバー24が設けられ、ユーザによるレバー24の操作に基づいて、操作パネル部20のチルト方向の動きをロック又はロック解除する操作をすることができる。レバー24は、例えば、ハンドル23を握る操作によって可動する部材によって構成される他、ユーザの接触の検知により操作する接触センサ、押下により操作するボタン等で構成することができる。
【0015】
ディスプレイ30は、例えば、液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、装置本体101において生成された生体組織画像などの超音波画像を表示する。また、ディスプレイ30は、例えば、ユーザが操作パネル部20を用いて各種指示を入力するための画像を表示する。また、ディスプレイ30は、装置本体101から受けたユーザに対する通知情報を表示する。ディスプレイ30は、接続部40を介して本体筐体100に接続され、Z軸方向を中心に旋回できてもよい。
【0016】
接続部40は、本体筐体100を、操作パネル部20及びディスプレイ30に接続する。接続部40は、例えば、第1接続部41と第2接続部42を有する。第1接続部41は、本体筐体100から鉛直上方向(Z軸の正方向)に延出するように、本体筐体100の上部に取り付けられ、支持部10を介して、操作パネル部20を支持する。第2接続部42は、Z軸の正方向に第1接続部41をさらに延伸するように接続され、ディスプレイ30を支持する。第2接続部42は、ディスプレイ30がZ軸方向を中心に旋回するように、回転可能であってもよい。
【0017】
超音波プローブ50は、ケーブルを介して本体筐体100に直脱可能に接続される。超音波プローブ50は、その先端部に検出器を有し、その検出器のアレイ面には、複数の圧電素子を有する。その複数の圧電素子は、装置本体101の送受信回路130(図8参照)の制御の下、ケーブルにより供給される駆動信号に基づき超音波を発生し、また、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ50は、使用しない場合に、プローブ台22に置かれてもよい。
【0018】
車輪60は、本体筐体100の下部に設けられている。車輪60は、旋回自在の車輪であり、例えば、一対のキャスタなどにより構成される前輪と、モータなどの駆動装置に連結され、ユーザによる操作に応じたパワーアシストをモータから受けて駆動される後輪と、から構成されていてもよい。
【0019】
(操作パネルの操作性)
ここで、操作パネルの操作性について説明する。まず、図2は、従来の超音波診断装置を使用する際に、ユーザDが負担のかかる体勢で操作パネルを操作する様子を説明する図である。ユーザDは、検査の際に、一方の手で超音波プローブ50の検出面を被検体Pの診断部位に接触させ、生成される超音波画像をディスプレイ30で確認しながら、同時に、他方の手で操作パネル部20の操作を行う。
【0020】
そのため、図2に示すように、操作パネル部20の位置が固定された従来の超音波診断装置においては、例えば、被検体Pの下肢検査において、超音波プローブ50を一方の手によって被検体Pの下肢に接触させるために、ユーザDが被検体Pの診断部位の高さにあわせて屈むことになる。このため、ユーザDは、操作パネル部20に対して低い姿勢になり、超音波プローブ50を持っていない他方の手による操作パネルの操作がしづらくなっていた。
【0021】
上述した操作性の課題を解決するため、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、操作パネル部20のチルト角を変更できるように構成されている。
【0022】
図3は、操作パネル部20が下方向にチルトされた状態を示している。前述したように、操作パネル部20のリア側(操作パネルを操作するユーザDから見て後ろ側)の位置には支持部10が設けられている。操作パネル部20は、支持部10に設けられた回転軸を中心にして、下方向にチルトするように、或いは、下方向と上方向の双方にチルトするように構成されている。
【0023】
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の効果を示している。図4に示すように、操作パネル部20が下方にチルトされることにより、被検体Pの下肢検査においても、ユーザDは無理な姿勢での操作パネルの操作を強いられることがないため、操作パネルの操作が容易になる。
【0024】
図5は、操作パネル部20が上方向にチルトされた状態を示している。操作パネル部20が上方向にチルトされれば、例えば、ユーザDが椅子から立ち上がった状態で検査をする場合等においても、超音波プローブ50と操作パネルの同時操作が容易となる。
【0025】
図6は、第1の実施形態に係る操作パネル部20と支持部10の一構成例を示す概略図である。また、図7は、第1の実施形態に係る支持部10のストッパの一例について説明する図である。なお、図6及び図7は、支持部10の外装カバーを外した状態である。図6及び図7を用いて、支持部10の一例について詳細に説明する。
【0026】
支持部10は、操作パネル部20のリア側の位置に設けられ、接続部40の第1接続部41に連結される。そして、支持部10は、支持部10に設けられた回転軸(シャフト15)を中心にして、下方向及び上方向にチルトするように操作パネル部20を支持する。
【0027】
例えば、支持部10は、接続部40の第1接続部41に固定されるベース11と、ベース11に設けられた貫通孔に挿入され、操作パネル部20のチルト回転の軸となるシャフト15とを主要な構成としている。
【0028】
シャフト15は、ベース11に設けられた貫通孔を、Y軸に沿って貫通し、その貫通孔内で回転可能である。また、例えば、シャフト15は、ベース11を挟んで両側に配置
された第1板金13a及び第2板金13bにそれぞれ第1ナット14a及び第2ナット14bで固定される。さらに、第1板金13a及び第2板金13bは、ねじ17を介して操作パネル部20のリア側の面にねじ17により固定される。
【0029】
このような構成において、シャフト15は、操作パネル部20のチルトダウン(下方向のチルト回転)やチルトアップ(上方向のチルト回転)に連動して、ベース11の貫通孔内を回転することになる。
【0030】
また例えば、第1スプリング12a及び第2スプリング12bが、ベース11と両側の第1板金13a及び第2板金13bとの間にそれぞれ配置される。第1スプリング12a及び第2スプリング12bは、例えば、操作パネル部20が下方向又は上方向にチルトされた場合に、ばねの圧縮方向に作用した荷重を受け止め、発生した反力により、チルト回転を抑える働きを有してもよいし、或いは、操作パネル部20を下方向又は上方向にチルトするための回転力を補う働きを有してもよい。
【0031】
一方、ベース11は、前述したように本体筐体100に連結される。具体的には、ベース11のベース連結部11bが、本体筐体100に取り付けられた接続部40の第1接続部41に連結される。また、ベース11は、操作パネル部20のリア側の面に対して略平行であるY軸方向に沿って、シャフト15を貫通させる孔を有する。
【0032】
なお、ベース11は、シャフト15を貫通させる孔を有さずに、ベース11の両側方にシャフトの軸受けを有し、両側方にそれぞれシャフトを備え、両側方のシャフトを回転可能に接続してもよい。
【0033】
ベース11には、操作パネル部20を下方向にチルトする時に一定のチルト角でチルトを止めるストッパ11aが設けられていてもよい。ストッパ11aによれば、必要以上に操作パネル部20が下方向にチルトされない。よって、例えば、操作パネル部20に対して上部から想定しない負荷がかけられた場合であっても、ストッパ11aにより、操作パネル部20が本体筐体100や本体筐体100上に載置された周辺機器200等にぶつかるのを防ぐことができる。また、ベース11には、操作パネル部20を上方向にチルトする時に一定のチルト角でチルトを止める不図示のストッパが設けられていてもよい。
【0034】
また、支持部10には、図示しないロック機構が設けられている。ロック機構は、支持部10の回転軸を中心としたチルト方向の動きをロックする又はロック解除する。ロック機構は、支持部10によって特定のチルト角に調整された操作パネル部20を、特定のチルト角に保持することができる。
【0035】
操作パネル部20の手動による下方向及び上方向へのチルトは、例えば、操作パネル部20のハンドル23と、ハンドル23に設けられているレバー24の操作によって行われる。ユーザは、例えば、レバー24を操作してロック状態を解除し、ロック状態を解除した状態でハンドル23を持って操作パネル部20を動かし、所望のチルト角(或いは、特定のチルト角)まで下方向及び上方向にチルトさせる。このとき、シャフト15は、操作パネル部20のチルト角に連動して、ベース11の貫通孔内を回転している。その後、レバー24を操作して再度ロック状態にすると、操作パネル部20を特定のチルト角に保持できる。
【0036】
本実施形態の超音波診断装置1によれば、検査内容や診断部位等に応じた望ましい角度で、操作パネル部20を上方向及び下方向にチルト可能であるため、ユーザの検査の際の姿勢は無理がなくなり、ユーザの身体的負担が軽減される。併せて、ユーザにとって、超音波プローブ50と操作パネルとを同時に操作することが容易となり、操作パネルの操作性も向上する。さらに、操作パネルの操作性が向上することにより、診察時間短縮の効果も見込め、被験者の身体的負担の軽減にも繋がる可能性もある。
【0037】
なお、このようなユーザの負担軽減のために、接続部40に昇降機構が設けられることで操作パネル部20をチルト角が固定された状態で上下する超音波診断装置が公知である。しかしながら、この種の装置は、昇降機構の構成が複雑であり、比較的高価格である。これに対して、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、構成が簡素であり、低コスト化が可能である。
【0038】
また、プリンタ、DVDレコーダ等の記録再生装置などの周辺機器200が、本体筐体100の上面に載置されることがある。操作パネルを昇降装置によって上下させる公知の超音波診断装置では、操作パネルを下降させたときに、本体筐体100の上面に周辺機器200の載置スペースを確保することができない。これに対して、第1の実施形態に係る超音波診断装置1では、支持部10によって操作パネル部20が下方向へチルトした状態であっても、操作パネル部20と本体筐体100との間に隙間ができるため、周辺機器200を別の場所に設置させる必要がない。そのため、周辺機器200を別の場所に設置させることで起こりうる作業性の低下を回避することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示す概略図である。第1の実施形態では、操作パネル部20は手動でチルトされていたのに対して、第2の実施形態では、支持部10に設けられた駆動源19によって自動でチルトするように構成されている。また、駆動源19による支持部10の動作は処理回路110により制御される。以下、図1の第1の実施形態の係る超音波診断装置1と実質的に異ならない構成及び作用については、同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
支持部10は駆動源19を有する。駆動源19は、例えば、モータ等が挙げられるが、支持部10を自動でチルトする駆動のために、エネルギーを駆動に変換できる装置であればよく、モータ等の電気のほか、空気圧、油圧、磁力、熱等を用いてもよい。
【0041】
図9は、第2の実施形態に係る操作パネル部20と支持部10の一構成例である、駆動源19がモータの場合の概略図である。駆動源19がモータの場合には、例えば、図9に示すように、支持部10のベース11の上部に、モータが収納されており、モータの軸に固定されているモータギアと、シャフト15に固定されているシャフトギアとが歯合し、モータの回転によりシャフト15が回転する。このシャフト15の回転に連動して、第1板金13a及び第2板金13bを介してシャフト15に接続されている操作パネル部20が下方向及び上方向にチルトする。
【0042】
駆動源19による支持部10の動作は処理回路110により制御される。処理回路110は、専用、又は、汎用のプロセッサを有し、操作パネル部20の入力回路や、記憶回路120から読み込んだ各種プログラムを実行することによるソフトウェア処理によって、後述する各種の機能を実現する。また、処理回路110は、超音波診断装置1の各コンポーネントを統括制御する。
【0043】
なお、記憶回路120は、処理回路110において用いられる各種処理プログラムや、プログラムの実行に必要なデータや、超音波診断画像等を記憶する。記憶回路120は、磁気的若しくは光学的記憶媒体、又は、半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記憶媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラム、及び、データの一部、又は、全部はネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0044】
処理回路110は、図8に示すように、情報取得機能111、駆動制御機能112、及び、チルト制御機能113の各機能を実現する。処理回路110の上記各機能の構成、及び、動作について、以下に説明する。
【0045】
情報取得機能111は、例えば、支持部10のチルト方向の動きをロックする又はロック解除するための情報を取得する。情報取得機能111は、操作パネル部20の入力回路を介して、情報を取得する。
【0046】
情報の取得は、操作パネル部20に設けられた第1のプリセットボタン27a及び第2のプリセットボタン27bの操作によって行われてもよい。例えば、第1のプリセットボタン27aが押されると、支持部10の上方向へのチルトの動きをロックする又はロック解除する、第2のプリセットボタン27bが押されると支持部10の下方向へのチルトの動きをロックする又はロック解除する、としてもよい。また、プリセットボタンは1つとし、予め記憶回路120に記憶された、検査内容や診断部位などに応じた方向に、支持部10のチルト方向の動きをロックする又はロック解除する、としてもよい。
【0047】
ロック機構25は、支持部10の回転軸を中心としたチルト方向の動きをロックする又はロック解除する機構である。ロック機構25は、駆動制御機能112により制御される他は、第1の実施形態と実質的に異ならない。
【0048】
駆動制御機能112は、情報取得機能111で取得した支持部10のチルト方向の動きをロックする又はロック解除するための情報に基づいて、ロック機構25を制御する。具体的には、プリセットボタンが操作されると、駆動制御機能112は、ロック機構25を制御し、支持部10のチルト方向の動きのロックを解除する。さらに、後述するチルト制御機能113により、特定のチルト角になるように、支持部10がチルト方向に動かされたら、駆動制御機能112は、特定のチルト角を保持した状態で、支持部10のチルト方向の動きをロックする。
【0049】
チルト制御機能113は、駆動源19を用いて、操作パネル部20を特定のチルト角に調整するように、支持部10のチルトを制御する。具体的には、駆動源19にもたらされる支持部10のシャフト15の回転に連動して、操作パネル部20が下方向及び上方向にチルトされ、特定のチルト角に調整される。特定のチルト角は、例えば、予め記憶回路120に記憶された、下方向及び上方向でそれぞれ固有のチルト角でもよいし、検査内容や診断部位などに応じて決定されるチルト角でもよい。
【0050】
また、検査の終了時に、操作パネル部20を上方向にも下方向にもチルトしていない、いわゆる初期状態の位置に、自動で操作パネル部20を戻すことができる。チルト制御機能113が、操作パネル部20を初期状態の位置に戻すように支持部10を制御する。自動で操作パネル部20を初期状態に戻すための操作は、例えば、操作パネル部20上に不図示の第3のプリセットボタンが設けられ、第3のプリセットボタンの操作で行われてもよいし、当該被検体Pの検査の終了がユーザにより操作パネル部20上で入力された場合に自動で行われてもよい。検査の終了時に、初期状態の位置に操作パネル部20が戻されれば、その次の検査で別のユーザが超音波診断装置1を使用する場合や、別の検査内容や診断部位の場合に、便利である。
【0051】
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態の変形例では、情報取得機能111が特定のチルト角に関する情報を取得し、チルト制御機能113が情報取得機能111で取得した情報に基づいて支持部10のチルトを制御する点で第2の実施形態と異なる。他の構成及び作用については第2の実施形態に係る超音波診断装置1と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
情報取得機能111は、さらに、操作パネル部20の入力回路を介して、角度設定ボタンにより、特定のチルト角に関する情報を取得する。特定のチルト角に関する情報の取得は、押している間だけチルト角を変更するようなボタン、つまみの左右回転でそれぞれ上下方向のチルト角を変更するようなスイッチ、固有のチルト角の角度を選択可能な角度ごとの複数のスイッチ等が挙げられる。
【0053】
例えば、図8に示される、操作パネル部20に設けられた第1の角度設定ボタン28a及び第2の角度設定ボタン28bは、ユーザがボタンを押している間だけそれぞれ上方向、又は、下方向にチルト角を変更するボタンである。ユーザが第1の角度設定ボタン28a及び第2の角度設定ボタン28bを押すと、まず、駆動制御機能112は、支持部10のチルト方向の動きのロックを解除するようにロック機構25を制御する。
【0054】
次に、チルト制御機能113は、情報取得機能111で取得した特定のチルト角についての情報に基づいて、支持部のチルトを制御する。例えば、第1の角度設定ボタン28a及び第2の角度設定ボタン28bでは、ユーザがボタンを押している間だけ、チルト制御機能113は支持部10をチルト方向に動かし、ユーザがボタンを押すのをやめたときに、駆動制御機能112がその動かされた特定のチルト角を保持した状態で支持部10のチルト方向の動きをロックする。
【0055】
角度設定ボタンは、前述したプリセットボタンを有する操作パネル部20に併設されて、プリセットボタンにより特定のチルト角に調整された後の微調整に用いられてもよい。また、操作パネル部20は、角度設定ボタンのみを有していてもよい。
【0056】
第2の実施形態及びその変形例の超音波診断装置1によれば、ユーザのボタン操作のみで操作パネル部20がチルトされるため、ユーザにとって操作パネル部20のチルトの利用がより容易となる。
【0057】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態の係る超音波診断装置1の構成例を示す概略図である。第2の実施形態では、ユーザによるボタンの押下処理に基づいてチルト角を調整するのに対して、第3の実施形態では、処理回路110の検出機能114が行うユーザ及び超音波プローブの少なくとも一方の位置情報の検出に基づいてチルト角を調整する点で第2の実施形態と異なる。他の構成及び作用については図8に示す超音波診断装置1と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
図10に示すように、第3の実施形態の検出機能114は、画像センサ70を用いて取得された位置情報を用いて、ユーザ及び超音波プローブ50の少なくとも一方の位置情報を検出する。
【0059】
画像センサ70は、例えば、光学カメラ、TVカメラ等から構成され、処理回路110の制御の下、ユーザ及び超音波プローブ50の少なくとも一方のカメラ画像(又は、動画)が取得可能なように取り付けられる。取得されたカメラ画像(又は、動画)より、ユーザ及び超音波プローブ50の少なくとも一方の位置情報が検出される。ユーザの位置情報は、全体の位置情報でもよいし、頭部の位置や手の位置等の部分的な位置情報でもよい。画像センサ70は、例えば、超音波診断装置1のディスプレイ30の枠等の近傍に取り付けられてもよい。
【0060】
チルト制御機能113は、検出機能114で検出されたユーザ及び超音波プローブの少なくとも一方の位置情報に基づいて、支持部10のチルトを制御する。チルト制御機能113は、検出機能114で検出されたユーザ及び超音波プローブの少なくとも一方の位置情報から、ユーザの操作パネル部20の操作性が向上するための特定のチルト角を算出し、算出された特定のチルト角に支持部10のチルトを制御することができる。また、チルト制御機能113は、例えば、ユーザが所定の位置にいる場合には、特定のチルト角に支持部10のチルトを制御するとしてもよい。
【0061】
また、検出されたユーザ及び超音波プローブの少なくとも一方の位置情報から、予め記憶回路120に記憶された、特定のチルト角に関する情報に基づいて、支持部10のチルトを制御してもよい。
【0062】
図11は、第3の実施形態で操作パネル部20が下方向にチルトした場合の画像センサ70の視野範囲とユーザの視界との位置関係を示す図である。図11に示すように、操作パネル部20が下方向にチルトされると、例えば、ユーザが屈んだ状態で操作する場合においても、ディスプレイ30を見るためのユーザの視界が、操作パネル部20によって遮られにくくなり、ユーザはディスプレイ30上の超音波診断画像等を確認しやすくなる。また、操作パネル部20が下方向にチルトされると、画像センサ70による撮影が可能な範囲が下側で広がり、ユーザ及び超音波プローブの位置情報を検出できる範囲も広がる。
【0063】
(第3の実施形態の変形例)
図12は、第3の実施形態の変形例に係る超音波診断装置1の構成例を示す概略図である。第3の実施形態では、位置検出を画像センサにより行っている(図10)のに対して、第3の実施形態の変形例では、図12に示すように、磁気トランスミッタ80と超音波プローブ50に設けられた磁気センサとにより行う。他の構成及び作用については図10に示す超音波診断装置1と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
磁気トランスミッタ80は、X、Y、Z軸方向の各軸で磁場をそれぞれ発生させる。磁気トランスミッタ80は、例えば、超音波診断検査が行われる室内等、超音波プローブ50に設けられた磁気センサ51が磁気トランスミッタ80によって発生される磁場を検出できる範囲の場所に設置される。
【0065】
超音波プローブ50に設けられた磁気センサ51は、磁気トランスミッタ80によって発生されるX、Y、Z軸方向の各軸の磁場をそれぞれ検出する。
【0066】
第3の実施形態の変形例の検出機能114は、超音波プローブ50に設けられた磁気センサ51で検出された磁場情報を用いて、超音波プローブ50の位置情報を検出する。
【0067】
第3の実施形態及びその変形例の超音波診断装置1によれば、ユーザによる手動の操作を行わずに、操作パネル部20がチルトされるため、ユーザにとって、操作パネル部20のチルトの利用がさらに容易となる。
【0068】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、超音波診断装置の操作パネルの操作性を向上することができる。
【0069】
なお、上記実施形態において、「プロセッサ」という文言は、例えば、専用、又は、汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。また、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存するかわりに、当該プログラムに相当する機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行するハードウェア処理により各種機能を実現する。或いは、また、プロセッサは、ソフトウェア処理とハードウェア処理とを組み合わせて各種機能を実現することもできる。
【0070】
また、上記実施形態では処理回路の単一のプロセッサが各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサが各機能を実現してもよい。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶回路は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、1つの記憶回路が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶してもよい。
【0071】
なお、各実施形態における、ロック機構25、情報取得機能111、駆動制御機能112、チルト制御機能113、及び、検出機能114は、それぞれ特許請求の範囲におけるロック部、情報取得部、駆動制御部、チルト制御部、及び、検出部の一例である。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
1…超音波診断装置
10…支持部
19…駆動源(モータ)
20…操作パネル部
23…ハンドル
24…レバー
25…ロック機構
30…ディスプレイ
40…接続部
50…超音波プローブ
51…磁気センサ
70…画像センサ
80…磁気トランスミッタ
100…本体筐体
101…装置本体
111…情報取得機能
112…駆動制御機能
113…チルト制御機能
114…検出機能
図1
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図5
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図12