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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054005
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】野球用ベース
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/02 20060101AFI20240409BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A63B71/02 D
A63B69/00 505C
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160565
(22)【出願日】2022-10-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】591141027
【氏名又は名称】内外ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】森田 一昭
(57)【要約】
【課題】 安全性が高く、ベース本体と固定金具を分離してリサイクル可能な野球用ベースを提供する。
【解決手段】 地面に設置される野球用ベース1である。金属製の固定金具2と、固定金具2の下面中央に取り付けられ地面に挿入される金属製のポスト3と、ゴム製のベース本体4とを備える。固定金具2は、正方形状の本体板部2aと、本体板部2aの各辺部に設けられ本体板部2aに対しほぼ90度の角度でベース本体4が設けられる側に折り曲げられる4つの折り曲げ片部2bとを有する。固定金具2の上側にベース本体4が取り外し可能に設けられ、ベース本体4が、固定金具2の折り曲げ片部2bを含む周囲を囲んでいる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に設置される野球用ベースであって、
ベース本体と、前記ベース本体を下方から固定する固定金具と、前記固定金具の下面に取り付けられ、地面に挿入される金属製のポストと、を備え、
前記固定金具は、
正方形状の板部と、前記板部の各辺部に設けられ該板部に対しほぼ90度の角度で前記ベース本体が設けられる側に折り曲げられる4つの折り曲げ片部と、を有し、
前記固定金具の上側に前記ベース本体が取り外し可能に設けられ、前記ベース本体が、前記固定金具の折り曲げ片部を含む周囲を囲んでいることを特徴とする、野球用ベース。
【請求項2】
前記ベース本体は、
下側に凹部を有し、前記凹部に前記固定金具の前記板部が嵌合され、
前記ベース本体の下面が、前記固定具の板部の下面と面一、あるいは前記板部の下面より下方に出ている、請求項1記載の野球用ベース。
【請求項3】
前記ベース本体は、
表層部と、前記表層部の内側に設けられている格子構造部とを有し、
前記ベース本体の上下方向に延びる複数の板状の格子要素が交差して、下方から見て碁盤目状に形成されたものであり、
請求項1記載の野球用ベース。
【請求項4】
前記格子要素は、
長手方向の両端に、前記固定金具の前記折り曲げ片部が嵌合する切り欠き部を有する、
請求項3記載の野球用ベース。
【請求項5】
前記格子要素は、中央に配置されるものが、その両側に配置されるものよりも肉厚が厚くなっている、請求項3記載の野球用ベース。
【請求項6】
前記ベース本体は、
前記表層部が、上方から見て正方形状で前記固定金具の前記板部に対応する大きさを有するベース下部と、前記ベース下部の上側に設けられ外面中央が平坦面である山形形状のベース上部とを有し、
前記ベース上部は、中央部分の厚さが、中央部分の周りの周辺部分の厚さよりも厚くなっている、請求項3記載の野球用ベース。
【請求項7】
前記ベース下部は、前記固定金具を囲う側面部分の厚さが、前記ベース上部の前記周辺部分の厚さよりも厚くなっている、請求項6記載の野球用ベース。
【請求項8】
前記ベース下部は、前記固定金具を囲う側面部分の厚さが、前記ベース上部の前記中央部分の厚さよりも厚くなっている、請求項6記載の野球用ベース。
【請求項9】
前記ベース本体は、前記表層部と前記格子構造部とが一体に成形されている、
請求項3に記載の野球用ベース。
【請求項10】
前記ベース本体は、弾性を有するゴム製又は樹脂製である、
請求項9に記載の野球用ベース。
【請求項11】
前記ポストが、前記固定金具の下面の中心から、いずれか角隅側にずらされ偏心された位置に取り付けられている、
請求項1記載の野球用ベース。
【請求項12】
前記ポストが、前記固定金具の下面の中央に取り付けられている、
請求項1記載の野球用ベース。
【請求項13】
前記ポストは、前記固定金具と取り外し可能に構成されている、
請求項11又は12に記載の野球用ベース。
【請求項14】
前記固定金具は、前記ポストを前記固定金具の下面の中央と、前記固定金具の下面の中心から、いずれか角隅側にずらされ偏心された位置と、を選択的に取り付け可能である、
請求項13記載の野球用ベース。
【請求項15】
前記固定金具は、
各辺の前記折り曲げ片部が、所定の間隔をあけて設けられており、
各折り曲げ片部が、前記ベース本体の格子構造の空隙部に入り込む、
請求項1に記載の野球用ベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球用ベースに関する。
【背景技術】
【0002】
野球において、野球用ベースは、地面に固定して用いられる。野球用ベースは、地面に固定された状態において、地面から一定の厚みのある高さを有し、鉛直上方から見下ろすと、正方形状をしている 。
【0003】
野球のプレイヤーは、各塁を足で踏むか、体を地面に滑らせながら手で触ること等により、野球用ベースに接触する。また、プレイヤーは、相手チームのプレイヤーより先に野球用ベースに接触することを求められるため、全力で走りながら野球用ベースを踏むこと、又は、スライディングにより野球用ベースに接触すること等を行う。
【0004】
このように、プレイヤーはベースと接触するため、ベースの構造は非常に重要である。ベースは、周辺領域から一定の高さを有するものであり、最大高さに向けてわずかにドーム状に隆起している。それらは重く、通常スパイクの重みでは穴が開かなくなっている。
【0005】
ベースを周回する間、または盗塁を試みる間、プレイヤーがベースに滑り込む必要がある場面がある。野球では、スライディングは、ランナーとして行動するプレイヤーの動作であり、プレイヤーは、向かっているベースに非常に接近すると体を落とし、グラウンドに沿って滑り込んでベースに到達する。
【0006】
ランナーは、通常のスライディング時は足から先、またはヘッドスライディング時は手から先になど、多くの異なる方法でベースに滑り込み、かつ、多くの異なる理由のために滑り込む。プレイヤーがベースに滑り込むときに怪我をさせないことは非常に重要であり、したがって、この目的並びに他の従来からある目的を考慮して野球用ベースを製造することが求められる。
【0007】
そこで、運動競技で使用するためのベースとして、オーバーモールド工程の一部として形成されることができるものが提案されている(特許文献1参照)。このカバーは、グラウンドアンカーアセンブリを含み、これは、グラウンドプレー面に挿入するためのポスト、およびポストの上部に沿って配置された基部を含んでいる。
【0008】
また、ベースは、基部の上面に結合されたX字型プレートのような補強プレートを含む。X字型プレートは、X字型配向で配置された4本のアームを有している。アームは、基部から半径方向で外側に延在している。カバーがX字型プレートの上に配設され、X字型プレートに結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2022-502178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載のものでは、カバーはオーバーモールド工程の一部として形成されるので、カバー(ゴム製の部分)とプレート(金属製の部分)とは結合されており、2つに分離してリサイクルすることが困難である。
【0011】
そこで、本発明は、ゴムなどのベース部分と金属製の金具部分とを分離して、リサイクルができるとともに、スライディング時などにもプレイヤーが安全な野球用ベースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一の態様の野球用ベースは、地面に設置される野球用ベースであって、ベース本体と、前記ベース本体を下方から固定する固定金具と、前記固定金具の下面に取り付けられ、地面に挿入される金属製のポストとを備え、前記固定金具は、正方形状の板部と、前記板部の各辺部に設けられ該板部に対しほぼ90度の角度で前記ベース本体が設けられる側に折り曲げられる4つの折り曲げ片部とを有し、前記固定金具の上側に前記ベース本体が取り外し可能に設けられ、前記ベース本体が、前記固定金具の折り曲げ片部を含む周囲を囲んでいることを特徴とする。
【0013】
このようにすれば、ベース部分と固定金具部分とを分離できるので、リサイクルの推進が図れる。ここで、固定金具とベース本体が取り外し可能に設けられているとは、例えば、固定金具とベース本体がネジなどで締結されていて、ネジを緩めて外すことで、取り外せることなどを言う。
【0014】
また、固定金具が、板部の各辺部に前記本体板部に対しほぼ90度の角度でベース本体が設けられる側に折り曲げられる4つの折り曲げ片部を有する構造であるので、平板そのままである従来一般的なベース本体とは異なり、ベース本体の金属切断面がベース外に飛び出すことがなく、安全性が高まる。
【0015】
また、この野球用ベースは、前記ベース本体が、下側に凹部を有し、前記凹部に前記固定金具の前記板部が嵌合され、前記ベース本体の下面が、前記固定具の板部の下面と面一、あるいは前記板部の下面より下方に出ている。このようにすれば、固定金具の板部が、しっかりとベース本体に囲われる構成となり、ベースから固定金具が外側に飛び出さず、より安全性が高まる。
【0016】
また、この野球用ベースは、前記ベース本体が、表層部と、前記表層部の内側に設けられている格子構造部とを有し、前記ベース本体の上下方向に延びる複数の板状の格子要素が交差して、下方から見て碁盤目状に形成されたものである。このようにすれば、ベース本体が一定の強度を確保できるとともに、中実の場合に比べて軽量化を図ることができる。
【0017】
また、この野球用ベースは、前記格子要素が、長手方向の両端に、前記固定金具の前記折り曲げ片部が嵌合する切り欠き部を有する。このようにすれば、ベース本体と固定金具の位置決めが容易となるとともに、これらがしっかりと固定されズレが防止される。
【0018】
また、この野球用ベースは、前記格子構造部が、前記ベース本体の上下方向に延びる複数の板状の格子要素が交差して、下方から見て碁盤目状に形成されたものであり、前記格子要素は、中央に配置されるものが、その両側に配置されるものよりも肉厚が厚くなっている。
【0019】
このようにすれば、ベース本体が、プレイヤーが怪我をしづらい程度の柔軟性を確保するとともに、中央部分の剛性を高めることで、ベース本体が必要な剛性を確保して、耐久性の向上が図ることができる。なお、格子構造部を形成する格子要素の数は制限されない。
【0020】
また、この野球用ベースは、前記ベース本体が、前記表層部が、上方から見て正方形状で前記固定金具の前記板部に対応する大きさを有するベース下部と、前記ベース下部の上側に設けられ外面中央が平坦面である山形形状のベース上部とを有し、前記ベース上部は、中央部分の厚さが、中央部分の周りの周辺部分の厚さよりも厚くなっている。
【0021】
このようにすれば、ベース本体の中央部分の厚みを、周辺部分よりも厚くすることで、野球用ベースの形状を保持して剛性を確保するとともに、プレイヤーがベースを踏んで走り抜ける際に、周辺部分が薄くなっていることで、足の引っかかりを抑制して、安全性が高まる。
【0022】
また、この野球用ベースは、前記ベース下部が、前記固定金具を囲う側面部分の厚さが、前記ベース上部の前記周辺部分の厚さよりも厚くなっている。
【0023】
このようにすれば、ベース下部の側面部分を厚くすることで、野球用ベースの形状を保持して剛性を確保するとともに、最もプレイヤーに踏まれる部分の強度が高まる。また、プレイヤーがスライディングをした際に、固定金具の飛び出しを防ぎ、プレイヤーの怪我を防止して、安全性が高まる。
【0024】
また、この野球用ベースは、前記カバー下部が、前記固定金具を囲う側面部分の厚さが、前記ベース上部の前記中央部分の厚さよりも厚くなっている。このようにすれば、さらに剛性と安全性が高まる。
【0025】
また、この野球用ベースは、前記ベース本体が、前記表層部と前記格子構造部とが一体に成形されている。このようにすれば、表層部内にウレタンスポンジ細片などを設ける場合に比べて、耐久性の向上が図れる。
【0026】
また、この野球用ベースは、前記ベース本体は、弾性を有するゴム製又は樹脂製である。このようにすれば、ベース本体が弾性を有するので、野球用ベースの形状を確保するとともに、安全性が高まる。
【0027】
また、この野球用ベースは、前記ポストが、前記固定金具の下面の中心から、いずれか角隅側にずらされ偏心された位置に取り付けられている。このようにすれば、既存のベースよりもサイズが大きくなった場合にも、既存のポストを挿入するための地面の穴または保持スリーブをそのまま利用して、ベースを所定位置に設置することができる(図14参照)。
【0028】
また、この野球用ベースは、前記ポストが、前記固定金具の下面の中央に取り付けられている。このようにすれば、ベースが既存のサイズの場合に、既存の穴や保持スリーブを利用することができる。
【0029】
また、この野球用ベースは、前記ポストが、前記固定金具と取り外し可能に構成されている。このようにすれば、固定金具にポストを取り付けない状態で、固定金具の折り曲げ片部が、下方になるように、固定金具とベース本体を固定することで、地面にポストが挿入できない場合に、地面に折り曲げ片部をかみこませて使用することもできる。ここで、ポストが固定金具と取り外し可能とは、例えば、ポストと固定金具がネジなどで締結されていて、ネジを緩めて外すことで、取り外せることなどを言う。
【0030】
また、この野球用ベースは、固定金具の各辺の前記折り曲げ片部が、所定の間隔をあけて設けられており、各折り曲げ片部が、ベース本体の格子構造の空隙部に入り込む構成とすることもできる。このようにすれば、ベース本体と固定金具のズレが防止される。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、ベース本体と固定金具とを分離できるので、リサイクルの推進を図ることができる。また、固定金具が板部の各辺部にほぼ90度の角度で、ベース本体が設けられる側に折り曲げられる4つの折り曲げ片部を有する構造であるので、平板そのままである従来一般的なベース本体と異なり、固定金具の金属切断面がベース外に飛び出すことがなく、安全性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態に係る野球用ベースを示す斜視図である。
図2】同野球用ベースの下面図である。
図3】同野球用ベースの折り曲げ片部を折り曲げる前の固定金具の平面図である。
図4】(a)は同野球用ベースのベース本体の正面図、(b)は同野球用ベースのベース本体の側面に嵌め込まれる表示プレートを示す図である。
図5】同野球用ベースのベース本体の平面図である。
図6】同野球用ベースのベース本体の底面図である。
図7図6のA-A線における断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る野球用ベースを示す斜視図である。
図9】同野球用ベースのベース本体の底面図である。
図10図9のA-A線における断面図である。
図11】同野球用ベースの折り曲げ片部を折り曲げる前の固定金具の平面図である。
図12】本発明の野球用ベースの固定金具の変形例を示す平面図である。
図13】本発明の野球用ベースの固定金具の変形例を示す平面図である。
図14】本発明の野球用ベースと従来の野球ベースとを一塁ベースに設置した際の、ベース本体とポストとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づき説明するが、本発明は下記実施形態に限
定されるものではない。図1は本発明に係る野球用ベースを示す斜視図、図2は前記野球用ベースの下面図である。
【0034】
図1および図2に示すように、地面に設置される野球用ベース1は、金属製の固定金具2と、固定金具2の下面中央に設けられ地面に挿入される角筒状のポスト3と、ベース本体4とを備える。固定金具2は、例えば鉄製などの金属製で構成されている。ベース本体は、例えばゴム製などの弾性材で構成されている。また、固定金具2の上側に、ベース本体4が取り外し可能に設けられている。これらの固定は、例えばネジなどで締結されている。
【0035】
ベース本体4は、表層部4aと、表層部4aの内側に一体的に設けられている格子構造部4bとを有する。なお、ポスト3は、地面に位置する穴または保持スリーブ内に挿入されて地面に設置されるが、角筒状に制限されるものではない。なお、図2に示すように、ポスト3に溶接された取付板3aが、ネジ7により固定金具2に取り付けられ、固定金具2がネジ8にてベース本体4の下面側に取り付けられ、野球用ベース1として一体化されている。
【0036】
図3に示すように、固定金具2は、正方形状の板部2aと、板部2aの各辺部の中央に設けられる4つの折り曲げ片部2bと、ポスト3を締結するための複数の丸孔2cと、ベース本体4と締結するための複数の丸孔2dとを有する。折り曲げ片部2bは、板部2aに対しほぼ90度の角度で、ベース本体4が設けられる側に折り曲げられるものである。これにより、野球用ベース1の状態で、平板そのままである従来一般的なベース本体とは異なり、固定金具2の金属切断面がベース外に飛び出さない構造となり、安全性が高まる。
【0037】
また、本実施形態の板部2aの角隅部は、安全性を考慮して小さな湾曲部となっているが、必ずしも必要でなく、折り曲げ片部2bの折曲げを損なわなければ、省略することも可能である。なお、Lは折り曲げ線である。
【0038】
図4(a)(b)および図5に示すように、ベース本体4は、上方から見て正方形状で固定金具2に対応する大きさを有するベース下部4Aと、ベース下部4Aの上側に設けられる山形形状のベース上部4Bとを有する。
【0039】
ベース上部4Bは、上面の中央部分が平坦面4Baで構成され、中央部分の周辺部分が、平坦面4Baからベース下部4Aに向かって徐々に高さが低くなる傾斜面となっている。また、ベース下部4Aの側面部は、ベース上部4Bに向かって徐々に中央に近づくように緩く傾斜している。また、ベース下部4Aの側面部には、表示プレート5を設けるための矩形孔が形成されている。表示プレート5は、ベース下部4Aの側面部の矩形孔への嵌合を容易とするために、外周囲に周回凸部5aが形成されている。
【0040】
図6に示すように、ベース本体4の格子構造部4bは、上下方向に延びる板状の格子要素4ba,4ba’または4bb,4bb’が交差して下方から見て碁盤目状に形成されている。また、格子要素4ba,4ba’または4bb,4bb’ は、ベース下部4Aの下縁(ベース本体4の下縁)4Aa,4Abまたは4Ac,4Adとほぼ平行に形成されている。
【0041】
ベース本体4の下縁4Aa,4Abにほぼ平行に延びる格子要素4ba,4ba’は、ベース本体4の下縁4Ac,4Adにほぼ平行に延びる格子要素4bb,4bb’に直交している。そして、格子要素のうち中央に配置される2つの格子要素4ba’,4bb’の厚さt1が、その両側に配置される残りの格子要素4ba,4bbの厚さt2よりも厚くなっている。なお、この構成は必須でなく、中央の格子要素4ba’,4bb’と、その両側に配置される残りの格子要素4ba,4bbとが、同じ厚さで構成することも可能である。
【0042】
これにより、ベース本体4の格子構造によって、プレイヤーがけがしない程度の柔らかさを確保することができると共に、中央部分の剛性が高められてベース本体4として求められる剛性を確保し、耐久性の向上が図られている。
【0043】
図7に示すように、このベース上部4Bは、表層部4aの上面において、中央部分の厚さt3がその周辺部分の厚さt4よりも厚くなっている。ベース下部4Aは、固定金具2が設けられている部分を除き、側面部分の厚さt5が、表層部4aの中央部分及びその周辺部分の厚さt3,t4よりも厚くなっている。
【0044】
よって、表層部4aの中央部分の厚さt3および側面部分の厚さt5を厚くしているので、従来品と比べてゴム厚さが2倍以上となるようにすることができ、剛性を高めるとともに、固定金具2の飛び出しを防止し、安全性を高めることが可能となる。つまり、プレイヤーがベースを踏んでグランドを回る場合やプレイヤーがベースに滑り込む場合を考慮して、ベースの上面やベース側面などの適所に、剛性が確保されている。
【0045】
ベース本体4は、前記格子構造部4bの下側に、固定金具2が嵌合される凹部4dが形成されている。この凹部4dは、ほぼ正方形状で、格子構造部4bの外周囲よりも外側まで延び、折り曲げ片部2bが折り曲げられた状態の固定金具2の大きさに対応している。
【0046】
この構成により、折り曲げ片部2bを含む固定金具2の周囲を囲んでいるのに加えて、ベース本体4は、下面が固定金具2の下面と面一あるいは前記下面より下方に出ているので、本体板部2aの金属断面がベース1外に飛び出すことがなく、安全性が高まっている。
【0047】
以上のように、野球用ベース1は、固定金具2の上側にベース本体4を、ネジ8を用いて取り外し可能に設けているので、固定金具2とベース本体4との組み付け・分離が簡単である。よって、ゴム部であるベース本体4と金属部である固定金具2を分離することで、手間をかけずにリサイクルすることができる。なお、固定金具2とポスト3の取付板3aとは、ネジ7を緩めることで、分離することができる。
【0048】
また、固定金具2は、本体板部2aの各辺部に本体板部2aに対しほぼ90度の角度で、ベース本体4が設けられる側に折り曲げられる4つの折り曲げ片部4bを有する構造であるので、平板そのままである従来一般的なベース本体とは異なり、固定金具2の金属切断面がベース外に飛び出すことがなく、安全性が高まる。
【0049】
加えて、ベース本体4は、表層部4a内に格子構造部4bが一体的に形成される構造としているので、内部にウレタンスポンジ細片などを設ける場合に比べて、衝撃を吸収し易くなり、耐久性の向上が図れる。なお、格子構造部4bを、金具のない市販の塁ベースと同じ寸法とすれば、固定金具2を外すことで、市販されているブロック状の塁ベースを使用することもでき、ベース本体4の破損などの非常事態に対応することができる。
【0050】
<第2実施形態>
続き、上記の第1実施形態のベース1と構成の異なる第2実施形態のベース11について、図8乃至図11に基づき説明する。ベース11とベース1との主な違いは、ベース本体の凹部と格子構造、固定金具のポスト取付位置などである。
具体的には、図8図9図10に示すように、第2実施形態のベース11は、ベース1ではベース本体2の下方の凹部4dが、表層部4aの側面部の下方に至るまで形成されている一方、ベース11ではベース本体14の凹部14dが、表層部14aの側面部はえぐられておらず、格子構造部14bが下端まで伸びない形で凹部が形成されている。
【0051】
また、ベース11の各格子要素の長手方向の両端部に、固定金具12の折り曲げ片部12bが嵌合する切り欠き14eが設けられている。このようにすれば、ベース本体14と固定金具12の位置決めが容易となるとともに、これらがしっかりと固定されズレが防止される。
【0052】
また、ベース11は、ベース1では格子構造部4bの格子要素が中央の4ba’,4bb’と、その両側に配置される残りの格子要素4ba,4bbの厚みが異なっている一方、ベース11では格子要素14ba,14bb,14ba’,14bb’が全て同じ厚みで構成されている。このようにすれば、ベース1よりも軽量化が図れ、材料コストも抑えることができる。
【0053】
また、図8図11に示すように、ベース11は、ベース1では、ポスト3が固定金具2の板部の下面中央に取り付けられている一方、ベース11では、ポスト3が、固定金具12の板部12aの下面に、中心から一の角隅側に偏心した形で取り付けられている。これを実現するために、図11に示すように、固定金具12の板部12aに、ボルト3をネジで締結するための丸孔12cが、中心から偏心した位置に設けられている。
【0054】
このようにすれば、既存のベースよりもサイズが大きくなった場合にも、既存のポストを挿入するための地面の穴または保持スリーブをそのまま利用して、ベースを所定位置に設置することができる(図14参照)。
【0055】
なお、ポスト3が、固定金具12の板部12aの中央の位置と、中心から偏心した位置とで、選択的に取り付けられるようにそれぞれ対応する位置に丸孔12cを設けてもよい(図12参照)。
【0056】
<その他の実施形態>
以上の通り、本発明は前述の実施形態をとりうることができるが、本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更を行うことができ、均等物を実施形態の要素の代わりに用いることができる。加えて、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるための多くの変形がなされてもよい。
【0057】
例えば、上記した実施形態では、固定金具2の折り曲げ片部2bが板部2aの各辺に1つずつで構成されているが、これにかえて、図13に示すように、各辺の折り曲げ片部が、所定の間隔をあけて設けられる構成とすることもできる。また、この場合、折り曲げ片部の高さを上記の実施形態よりも高くしてもよい。このようにすれば、各片の各折り曲げ片部が、ベース本体4の格子構造部4bの空隙部に入り込む構造となり、ベース本体4と固定金具2のズレの防止を図ることができる。
【0058】
また、上記した実施形態では、固定金具2に固定されるポスト3を備える構造であるが、これにかえて、ポスト3を設けず、固定金具2の板部の各折り曲げ片部2bが、下方(ベース本体4側でない方)になるように、固定金具2とベース本体4を固定することも可能である。この場合、地面にポストが挿入できない場合に、地面に折り曲げ片部2bをかみこませて使用することもできる。
【0059】
したがって、本発明は、前述した実施の形態に限定されることがなく、特許請求の範囲に収まるすべての実施形態を含む。
【符号の説明】
【0060】
1 野球用ベース
2 固定金具
2a 板部
2b 折り曲げ片部
2c 丸孔
2d 丸孔
3 ポスト
3a 取付板
4 ベース本体
4A ベース下部
4Aa,4Ab,4Ac,4Ad 下縁
4B ベース上部
4a 表層部
4b 格子構造部
4ba,4ba’,4bb,4bb’ 格子要素
4d 凹部
5 表示プレート
7,8 ネジ
11 野球用ベース
12 固定金具
12a 板部
12b 折り曲げ片部
12c 丸孔
12d 丸孔
14 ベース本体
14A ベース下部
14Aa,14Ab,14Ac,14Ad 下縁
14B ベース上部
14a 表層部
14b 格子構造部
14ba,4ba’,4bb,4bb’ 格子要素
14d 凹部
15 表示プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
前記ベース本体は、
下側に凹部を有し、前記凹部に前記固定金具の前記板部が嵌合され、
前記ベース本体の下面が、前記固定金具の前記板部の下面と面一、あるいは前記板部の下面より下方に出ている、請求項1記載の野球用ベース。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、この野球用ベースは、前記ベース本体が、下側に凹部を有し、前記凹部に前記固定金具の前記板部が嵌合され、前記ベース本体の下面が、前記固定金具の前記板部の下面と面一、あるいは前記板部の下面より下方に出ている。このようにすれば、固定金具の板部が、しっかりとベース本体に囲われる構成となり、ベースから固定金具が外側に飛び出さず、より安全性が高まる。