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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054014
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】吸音パネル及び吸音パネルユニット
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240409BHJP
   E04C 2/30 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
E04B2/74 551F
E04B2/74 501D
E04B2/74 541P
E04B2/74 561L
E04C2/30 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160575
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】森本 祐介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】横田 早紀
(72)【発明者】
【氏名】虎走 恵利
(72)【発明者】
【氏名】高木 梨帆
(72)【発明者】
【氏名】大川 航平
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162CC03
2E162CC05
2E162CC10
2E162CD09
2E162CE05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】利用者が発言した内容などが周囲へ音漏れするのを抑制するとともに、吸音パネルの設置箇所を容易に変更することを可能にする。
【解決手段】吸音パネル1は、吸音材が表面に設けられたパネル材5と、パネル材5の下端部に設けられ、設置面に対して移動可能に構成される脚部6とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音材が表面に設けられたパネル材と、
前記パネル材の下端部に設けられ、設置面に対して移動可能に構成される脚部とを備えることを特徴とする吸音パネル。
【請求項2】
前記脚部は、前記設置面に対して回転可能なキャスターを有していることを特徴とする請求項1に記載の吸音パネル。
【請求項3】
前記キャスターは、前記パネル材の下端部両縁から内側に入ったところにおいて前記パネル材と交差する方向に延びる脚部品に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の吸音パネル。
【請求項4】
前記キャスターは、回転可能な状態と回転不可能な状態とを切り替えるロックを有していることを特徴とする請求項2または3に記載の吸音パネル。
【請求項5】
複数を隣接配置させて吸音面の配置形状や長さを変更できることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の吸音パネル。
【請求項6】
隣接するパネル材同士を直線配置、斜め角度付き配置またはコ字型配置が可能であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の吸音パネル。
【請求項7】
隣接するパネル材同士を隙間が無い状態で配置可能であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の吸音パネル。
【請求項8】
隣接するパネル材の側縁同士を連結可能であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の吸音パネル。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の吸音パネルを複数隣接して配置したことを特徴とする吸音パネルユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや公共施設等において、個人用の執務や作業に適した使い方を可能とする吸音パネル及び吸音パネルユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスや公共施設等において自由に仕切ることができる間仕切りパネルが使用されて、作業空間が仕切られることがある。間仕切りパネルは、上下方向を向く左右1対の側部枠杆の上下の端部同士を、左右方向を向く上部枠杆および下部枠杆でそれぞれ連結した枠によって、正面視方形のパネル本体を囲んで支持している(例えば特許文献1参照)。この間仕切りパネルにおける下部枠杆の両側部下面には、支持脚がそれぞれ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005ー232869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、パソコンを使用してオンラインミーティングが行われることが多いが、特許文献1の間仕切りパネルにより作業空間を仕切った場合でも、その空間の遮音効果を十分に得ることができずに、利用者が発言した内容などが周囲へ音漏れするという問題がある。
【0005】
本発明は、これらの課題に着目してなされたものであって、周囲への音漏れを抑制することを可能にした新たな吸音パネル及び吸音パネルユニットを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち、本発明の吸音パネルは、吸音材が表面に設けられたパネル材と、前記パネル材の下端部に設けられ、設置面に対して移動可能に構成される脚部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このようにすると、吸音パネルの表面に吸音材が設けられることにより、音が吸音パネルに吸収されやすい。これにより、吸音パネルにより作業空間を仕切った場合に、その作業空間において利用者が発言した内容などが周囲へ音漏れするのが抑制される。また、吸音パネルが設置面に対して移動可能に構成される脚部を備えるため、吸音パネルの設置箇所を容易に変更することができる。
【0009】
本発明の吸音パネルにおいて、前記脚部は、前記設置面に対して回転可能なキャスターを有していることが好適である。
【0010】
このようにすると、設置面に対して移動可能な脚部の構成を簡略化することができる。
【0011】
本発明の吸音パネルにおいて、前記キャスターは、前記パネル材の下端部両縁から内側に入ったところにおいて前記パネル材と交差する方向に延びる脚部品に取り付けられることが好適である。
【0012】
このようにすると、キャスターを支持する脚部品がパネル材の下端部両縁から内側に入ったところに配置されているため、2つの吸音パネルを隣接するように並べて配置しても、それらの脚部品が干渉しない。
【0013】
本発明の吸音パネルにおいて、前記キャスターは、回転可能な状態と回転不可能な状態とを切り替えるロックを有していることが好適である。
【0014】
このようにすると、吸音パネルを運ぶ際には、ロックを解除してキャスターを回転可能な状態にして運んで、設置箇所まで運んだ後、その設置箇所で長時間使用する場合などには、キャスターをロックして回転不可能な状態に切り替えることで、吸音パネルを設置することで形成されるレイアウトをしっかりと保持することができる。
【0015】
本発明の吸音パネルにおいて、複数を隣接配置させて吸音面の配置形状や長さを変更できることが好適である。
【0016】
このようにすると、吸音パネルによる吸音効果を適宜変更することができる。
【0017】
本発明の吸音パネルにおいて、隣接するパネル材同士を直線配置、斜め角度付き配置またはコ字型配置が可能であることが好適である。
【0018】
このようにすると、吸音パネルで仕切られる空間を適宜変更することができる。
【0019】
本発明の吸音パネルにおいて、隣接するパネル材同士を隙間が無い状態で配置可能であることが好適である。
【0020】
このようにすると、吸音パネルで仕切られる空間の遮音効果を向上させることができる。
【0021】
本発明の吸音パネルにおいて、隣接するパネル材の側縁同士を連結可能であることが好適である。
【0022】
このようにすると、吸音パネルで仕切られる空間の遮蔽効果を向上させることができる。
【0023】
本発明の吸音パネルユニットは、上述した吸音パネルを複数隣接して配置したことを特徴とする。
【0024】
このようにすると、上述した吸音パネルと同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、利用者が発言した内容などが周囲へ音漏れするのを抑制するとともに、吸音パネルの設置箇所を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る吸音パネル1の斜視図である。
図2図2(a)~図2(c)は、図1の吸音パネル1の正面図、側面図、下面図である。
図3図2(a)のa-a線断面図である。
図4図4(a)~図4(c)は、図1の吸音パネル1の芯材5aの正面図、上面図、側面図である。
図5】ブロック部30の構成を説明する図である。
図6図6(a)は、図5のa1-a1線断面図であり、図6(b)は、図5のa2-a2線断面図である。
図7図7(a)は、図1の吸音パネル1の脚部6周辺の拡大斜視図であり、図7(b)は、脚部6の拡大斜視図である。
図8図1の吸音パネル1を移動させる動作を説明する図である。
図9】本発明の実施形態に係る吸音パネル101の斜視図である。
図10図10(a)~図10(c)は、図9の吸音パネル101の正面図、側面図、下面図である。
図11】ホワイトボード110の裏面の構成を説明する斜視図である。
図12図12(a)は、取付具161によりホワイトボード110を吸音パネル101に取り付ける方法を説明する縦断面図であり、図12(b)は、取付具161によりホワイトボード110を吸音パネル101に取り付けた状態を示す拡大斜視図である。
図13】本発明の実施形態に係る吸音パネル201の斜視図である。
図14図13(a)~図13(c)は、図13の吸音パネル201の正面図、側面図、下面図である。
図15図15(a)は、取付具211をパネル材5から取り外した状態を示す吸音パネル101の斜視図であり、図15(b)は、取付具211をパネル材5に取り付けた状態を示す吸音パネル101の斜視図である。
図16】取付具211によりモニター210を吸音パネル201に取り付ける方法を説明する斜視図である。
図17図17(a)は、吸音パネルユニット501の斜視図であり、図17(b)は、吸音パネルユニット501の平面図である。
図18】吸音パネル1同士を連結する方法を説明する図である。
図19】吸音パネル1同士を連結する方法を説明する図である。
図20】吸音パネル1同士を連結した部分を示す斜視図である。
図21】吸音パネルユニット502の斜視図である。
図22】吸音パネル1と吸音パネル101を連結する方法を説明する図である。
図23】吸音パネルユニット503の斜視図である。
図24】吸音パネルユニット504の斜視図である。
図25】吸音パネル1の他の連結方法を説明する図である。
図26】パネル材5の表面に設けられる他のブロック部30aを説明する図である。
図27】ブロック部30aの構成を説明する図である。
図28図28(a)は、図27のa1-a1線断面図であり、図28(b)は、図27のa2-a2線断面図である。
図29】ホワイトボード110の裏面の他の構成を説明する斜視図である。
図30図30(a)は、取付具211aをパネル材5から取り外した状態を示す吸音パネル201の斜視図であり、図30(b)は、取付具211aをパネル材5に取り付けた状態を示す吸音パネル201の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
(吸音パネル1)
本発明の実施形態の吸音パネル1の構造について、図1図8に基づいて説明する。
【0029】
吸音パネル1は、縦長の長方形状のパネル材5と、パネル材5の下端部を支持する脚部6とを有している。
【0030】
パネル材5の表面及び裏面には、略平行に延びる2組の溝10で囲われたブロック部30が溝10を介して縦横に複数配置されている。ブロック部30は、四角形状を有しており、吸音パネル1の表面及び裏面の表面全体に一様に配置される。吸音パネル1において、ブロック部30のそれぞれが吸音面30Aを構成するため、吸音パネル1の表面及び裏面の全体に吸音面30Aが設けられる。
【0031】
パネル材5は、図3に示すように、芯材5aと、芯材5aの一方の面に設けられた表層材5bと、芯材5aの他方の面に設けられた表層材5cとを有している。
【0032】
芯材5aは、パネル材5の断面方向中央部に配置される部材である。芯材5aは、例えば合板やパーチクルボード、ペーパーコアパネルなどの剛性材料で形成される。芯材5aの上端面、下端面、左端面及び右端面には、図4に示すように、直線状の外周溝5nが形成される。外周溝5nは、芯材5aの厚さ方向中央部に形成される。
【0033】
表層材5bは、芯材5aの一方の面上に配置された不織布5b1と、凸条をなす吸音材(ウレタン)5b2と、吸音材5b2の表面を覆う張り材5b3の3層から構成される。そのため、ブロック部30は、略平行に延びる2組の溝10で囲われた領域において、不織布5b1、吸音材5b2及び張り材(張地)5b3により構成される。吸音材5b2は、軟質で弾性変形可能な素材で構成されている。
【0034】
表層材5cも同様に、芯材5aの一方の面上に配置された不織布5c1と、凸条をなす吸音材(ウレタン)5c2と、吸音材5c2の表面を覆う張り材5c3の3層から構成される。そのため、ブロック部30は、略平行に延びる2組の溝10で囲われた領域において、不織布5c1、吸音材5c2及び張り材(張地)5c3により構成される。吸音材5c2は、軟質で弾性変形可能な素材で構成されている。
【0035】
なお、表層材5b及び表層材5cは、ブロック部30の端部にある溝10が芯材5aの端部と一致するように配置され、その状態で、張り材5b3、5c3の端部を芯材5aの端面に形成された外周溝5n内に押し込む。すると、表層材5b及び表層材5cが芯材5aの表面に隙間なく取り付けられる。このように、ブロック部30は、パネル材5の表面に一体に設けられる。
【0036】
ブロック部30は、上述したように、略平行に延びる2組の溝10で囲われた領域に設けられるが、図5に示すように、ブロック部30を正面から見たときに、ブロック部30ごとに、中央吸音面31と、上斜め吸音面32と、下斜め吸音面33と、左斜め吸音面34と、右斜め吸音面35とが設けられる。中央吸音面31、上斜め吸音面32、下斜め吸音面33、左斜め吸音面34及び右斜め吸音面35は、何れも平面状に形成される。
【0037】
なお、ブロック部30は、吸音パネル1の表面及び裏面に設けられるが、ブロック部30の構成は、吸音パネル1の表面及び裏面において略同一である。以下では、吸音パネル1の芯材5aの正面側に設けられ、パネル材5の正面方向を向いたブロック部30について説明する。
【0038】
中央吸音面31は、ブロック部30の中央部に配置され、ブロック部30の形状と相似形状を有している。具体的には、ブロック部30の形状が正方形であるが、中央吸音面31は、ブロック部30よりも小さい面積の正方形に形成される。中央吸音面31は、吸音パネル1の芯材5aの表面から正面側に離れた位置において、芯材5aの表面と略平行に配置される。
【0039】
上斜め吸音面32は、中央吸音面31の上方に配置され、斜め上方を向いた台形形状の面である。上斜め吸音面32において、中央吸音面31と接続される部分が吸音パネル1の芯材5aの表面から最も離れており、上方にいく(中央吸音面31から離れる)につれて芯材5aの表面に近づくように傾斜している。
【0040】
下斜め吸音面33は、中央吸音面31の下方に配置され、斜め下方を向いた台形形状の面である。下斜め吸音面33において、中央吸音面31と接続される部分が吸音パネル1の芯材5aの表面から最も離れており、下方にいく(中央吸音面31から離れる)につれて芯材5aの表面に近づくように傾斜している。
【0041】
左斜め吸音面34は、中央吸音面31の左方に配置され、斜め左方を向いた台形形状の面である。左斜め吸音面34において、中央吸音面31と接続される部分が吸音パネル1の芯材5aの表面から最も離れており、左方にいく(中央吸音面31から離れる)につれて芯材5aの表面に近づくように傾斜している。
【0042】
右斜め吸音面35は、中央吸音面31の右方に配置され、斜め右方を向いた台形形状の面である。右斜め吸音面35において、中央吸音面31と接続される部分が吸音パネル1の芯材5aの表面から最も離れており、右方にいく(中央吸音面31から離れる)につれて芯材5aの表面に近づくように傾斜している。
【0043】
このように、ブロック部30の周囲には、斜め上方に向いた上斜め吸音面32と、斜め下方に向いた下斜め吸音面33と、斜め左方に向いた左斜め吸音面34と、斜め右方に向いた右斜め吸音面35とが設けられる。
【0044】
図6(a)は、上下方向に隣り合う2つのブロック部30の上下方向に沿った断面図を示しているが、上下方向に隣り合う2つのブロック部30の間には、斜め上方に向いた上斜め吸音面32と、斜め下方に向いた下斜め吸音面33とが対向配置される。すなわち、上下方向に隣り合う2つのブロック部30の間には、互いに異なる方向を向いた斜め吸音面32、33が対向配置される。
【0045】
図6(b)は、左右方向に隣り合う2つのブロック部30の左右方向に沿った断面図を示しているが、左右方向に隣り合う2つのブロック部30の間には、斜め左方に向いた左斜め吸音面34と、斜め右方に向いた右斜め吸音面35とが対向配置される。すなわち、左右方向に隣り合う2つのブロック部30の間には、互いに異なる方向を向いた斜め吸音面34、35が対向配置される。
【0046】
脚部6は、図7(a)に示すように、水平方向に延びる略直方体形状の脚部品6aを有している。脚部品6aは、吸音パネル1が設置される設置面と略平行に配置される。脚部品6aの上面中央部には、図7(b)に示すように、パネル材5の下端部が取り付けられる突出部6bが形成される。突出部6bは、脚部品6aの上面から上方に向かって突出しており、突出部6bの上面に対してパネル材5の下端部が取り付けられる。なお、脚部6は、パネル材5の芯材5aの下端面に形成された外周溝5nに対してボルト(図示省略)で止着される。
【0047】
脚部品6aは、パネル材5の下端部両縁から内側に入ったところにおいてパネル材5と交差する方向に延びるように取り付けられる。すなわち、脚部品6aの左端部は、パネル材5の下端部左縁から内側に距離T離れた位置においてパネル材5と垂直に配置され、脚部品6aの右端部は、パネル材5の下端部右縁から内側に距離T離れた位置においてパネル材5と垂直に配置される。脚部品6aの正面側端部は、パネル材5の下端部と平行に配置され、脚部品6aの背面側端部は、パネル材5の下端部と平行に配置される。
【0048】
脚部6は、パネル材5の下端部に設けられ、設置面に対して移動可能に構成される。そのため、脚部6は、脚部品6aに取り付けられたキャスター6cを有している。キャスター6cは、吸音パネル1の設置面に対して回転可能である。4つのキャスター6cは、脚部品6aの下面の四隅に取り付けられる。キャスター6cは、脚部品6aの下方にあるため、図7(b)では点線で図示している。よって、吸音パネル1を設置箇所に運ぶ際に、図8に示すように、吸音パネル1を押したり引っ張ったりすると4つのキャスター6cが回転するため、吸音パネル1を設置箇所まで容易に運ぶことができる。
【0049】
また、4つのキャスター6cには、回転可能な状態と回転不可能な状態とを切り替えるロックが付いている。そのため、吸音パネル1を運ぶ際には、ロックを解除してキャスター6cを回転可能な状態にして運んで、設置箇所まで運んだ後、その設置箇所で長時間使用する場合などには、キャスター6cをロックして回転不可能な状態に切り替えることで、吸音パネル1を設置することで形成されるレイアウトをしっかりと保持することができる。
【0050】
(吸音パネル101)
本発明の実施形態の吸音パネル101の構造について、図9図12に基づいて説明する。
【0051】
吸音パネル101が吸音パネル1と異なる点は、吸音パネル101は、その表面にホワイトボード160が取り付け可能に構成される点である。なお、吸音パネル101の構成において吸音パネル1の構成と同様の部分については、詳細な説明を省略する。
【0052】
吸音パネル101は、吸音パネル1と同様に、図9及び図10に示すように、縦長の長方形状のパネル材5と、パネル材5の下端部を支持する脚部6とを有している。吸音パネル101の一方の面には、ホワイトボード110が取り付け可能である。ホワイトボード110は、吸音パネル101の表面と対向する板状部材である。吸音パネル101では、ホワイトボード110が「板状のオプション部材」に相当する。
【0053】
吸音パネル101においても、吸音パネル1と同様に、パネル材5の表面には、略平行に延びる2組の溝10で囲われたブロック部30が溝10を介して縦横に複数配置されているが、吸音パネル101にホワイトボード110が取り付けられた場合、吸音パネル101上のブロック部30の少なくとも一部は、ホワイトボード110の裏面と対向するように配置される。
【0054】
ホワイトボード110は、パネル材5の端辺に着脱可能に係止される取付具161、162を用いて取り付けられる。具体的には、2つの取付具161により吸音パネル101の上端部から吊下げられるとともに、2つの取付具162により吸音パネル101の下端部から保持される。2つの取付具161および2つの取付具162は、それぞれ、例えば金属製の棒状部材が折り曲げられて形成されている。
【0055】
このように、吸音パネル101では、ホワイトボード110を取り付けるための取付具として、上下方向に沿って延びており、その上端部がパネル材5の上端に係止されるとともに、その下端部がホワイトボード110を保持する取付具161(第1取付具)と、上下方向に沿って延びており、その上端部がホワイトボード110を保持するとともに、その下端部がパネル材5の下端に係止される取付具162(第2取付具)が使用される。
【0056】
ホワイトボード110の裏面の上端部には、図11に示すように、2つの取付部材163が設けられ、ホワイトボード160の裏面の下端部近傍には、2つの取付部材164が設けられる。2つの取付部材163及び2つの取付部材164は、ホワイトボード110の左端部近傍及び右端部近傍に配置される。取付部材163及び取付部材164は、例えば金属製の板状部材である。
【0057】
ホワイトボード110が、2つの取付具161により吸音パネル101の上端部から吊下げられる方法について、図12に基づいて説明する。
【0058】
図12(a)に示すように、取付具161の正面部161aの上端において背面側に向かって水平に折れ曲がって水平部161bを形成し、水平部161bの背面側端部において下方に折れ曲がって係止部161cが形成される。正面部161aと係止部161cとは略平行な状態で上下方向に延びている。正面部161aと係止部161cとの間の距離は、パネル材5の厚さの略1/2と略同一である。すなわち、正面部161aは、パネル材5の表面に沿って配置され、係止部161cは、芯材5aの上端面に形成された外周溝5n内に配置される。
【0059】
取付具161の正面部161aの下端部には、ボルト穴(図示省略)が形成されている。ホワイトボード110の裏面に取り付けられた取付部材163にも、ボルト穴(図示省略)が形成されている。正面部161aの下端部は、取付部材163に対してボルト(図示省略)で止着される。
【0060】
このように、取付具161の上端部を吸音パネル1の上端部に引っ掛けて、その取付具161の下端部によりホワイトボード110が保持される。これにより、ホワイトボード110の上端部は、吸音パネル1の上端部に保持される。
【0061】
上述したように、吸音パネル1の表面には、略平行に延びる2組の溝10で囲われたブロック部(凸状部)30が縦横に複数配置された構造を有している。吸音パネル1の隣り合う2つのブロック部(凸状部)30間の縦方向の溝10は直線状に並んでいる。ホワイトボード110を吸音パネル1の表面に吊下げた状態では、図11(b)に示すように、取付具161の正面部161aが、縦方向の溝10に対向するように位置する。
【0062】
なお、ホワイトボード110の上端部が、2つの取付具161により吸音パネル1の上端部から保持されるのと同様にして、ホワイトボード110の下端部は、2つの取付具162により吸音パネル1の下端部から保持される。
【0063】
簡単に説明すると、ホワイトボード110が吸音パネル1に取り付けられた場合において、ホワイトボード110の下端部と吸音パネル1の下端部との距離は、ホワイトボード110の上端部と吸音パネル1の上端部との距離より大きい。そのため、取付具162の長さは、取付具161の長さより長く形成される。
【0064】
取付具162の下端部を吸音パネル1の下端面に形成された外周溝5n内に引っ掛けて、その取付具162の上端部をホワイトボード110の裏面に取り付けられた取付部材164に対してボルト(図示省略)で止着する。これにより、ホワイトボード110の下端部が吸音パネル1の下端部に保持される。取付具162についても、ホワイトボード110を吸音パネル1の表面に吊下げた状態では、取付具162が、縦方向の溝10に対向するように位置する。
【0065】
(吸音パネル201)
本発明の実施形態の吸音パネル201の構造について、図13図16に基づいて説明する。
【0066】
吸音パネル201が吸音パネル1と異なる点は、吸音パネル201は、その表面にモニター210が取り付け可能に構成される点である。なお、吸音パネル201の構成において吸音パネル1の構成と同様の部分については、詳細な説明を省略する。
【0067】
吸音パネル201は、吸音パネル1と同様に、図13及び図14に示すように、縦長の長方形状のパネル材5と、パネル材5の下端部を支持する脚部6とを有している。吸音パネル101の一方の面には、モニター210が取り付け可能である。モニター210は、吸音パネル201の表面と対向する板状部材である。吸音パネル201では、モニター210が「板状のオプション部材」に相当する。
【0068】
吸音パネル201においても、吸音パネル1と同様に、パネル材5の表面には、略平行に延びる2組の溝10で囲われたブロック部30が溝10を介して縦横に複数配置されているが、吸音パネル201にモニター210が取り付けられた場合、吸音パネル201上のブロック部30の少なくとも一部は、モニター210の裏面と対向するように配置される。
【0069】
吸音パネル201では、図15(a)に示すように、モニター210を取り付けるための取付具211を固定するために、パネル材5の表面に配置されたブロック部30の一部が剥がされる。具体的には、パネル材5の略中央部に配置されたブロック部30が剥がされ、その部分(図15(a)では、略正方形の部分)に、モニター210を取り付けるための取付具211が、図15(b)に示すように、パネル材5の芯材5aに対してボルト(図示省略)で止着される。
【0070】
取付具211の下方には、モニタ支持部材212が一体に形成される。モニタ支持部材212は、吸音パネル201の表面に沿って水平方向に延びる凹部212aを有している。モニター210を吸音パネル201に取り付ける場合、図16に示すように、パネル材5に対して取付具211及びモニタ支持部材212が固定された状態において、モニター210をその下端がモニタ支持部材212上に接触するように置かれる。このように、モニター210は、パネル材5の芯材5aに固定された取付具211を用いて取り付けられる。なお、モニター210の裏面に接続された電源コードを、パネル5の表面の隣り合う2つのブロック部(凸状部)30間の横方向の溝10に沿って這わせた後、芯材5aの側端面に形成された外周溝5n内に配置して吸音パネル201の下端まで這わせると、電源コードが外部から見え難くなる。
【0071】
以上において、3種類の吸音パネル1、101、201について説明したが、以下では、これらを組み合わせて構成される吸音パネルユニットについて、図17図25に基づいて説明する。
【0072】
図17に示す吸音パネルユニット501は、7枚の吸音パネル1により構成される。2枚の吸音パネル1aは、略同一平面状に配置されて左側面を形成し、2枚の吸音パネル1bは、略同一平面状に配置されて右側面を形成し、左側面と右側面とは対向して配置される。2枚の吸音パネル1cは、略同一平面状に配置され、左側面の背面側端部と右側面の背面側端部とを接続する背面を形成する。2枚の吸音パネル1a、2枚の吸音パネル1b及び2枚の吸音パネル1cは、平面視コ字型を形成する。
【0073】
吸音パネルユニット501の内側には、1枚の吸音パネル1dが左側面(2枚の吸音パネル1a)及び右側面(2枚の吸音パネル1b)と略平行となるように配置される。吸音パネル1dは、2枚の吸音パネル1cの接続部分に近接して設置される。
【0074】
吸音パネルユニット501において、隣接する吸音パネル1a同士、隣接する吸音パネル1b同士、隣接する吸音パネル1c同士、隣接する吸音パネル1aと吸音パネル1c、隣接する吸音パネル1bと吸音パネル1cは、隙間が無い状態で配置される。また、隣接する吸音パネル1の側縁同士は、連結具61、62により連結される。連結具61、62は、例えば金属製の部材である。
【0075】
隣接する吸音パネル1a同士を連結する方法について、図18に基づいて説明する。
【0076】
図18(a)に示すように、隣接する吸音パネル1aが同一平面上に配置されるように連結される場合、連結具61が使用される。連結具61は、長尺の平板状部材であり、その上下方向(長手方向)に沿った長さは、パネル材5の上下方向長さよりも短い。連結具61の厚さは、パネル材5の芯材5aの端面に形成された外周溝5nの幅と略同一である。
【0077】
隣接する2つの吸音パネル1a同士を連結する場合、図18(b)に示すように、連結具61の長手方向に沿った一方の端部が、一方の吸音パネル1aの端面に形成された外周溝5nに嵌合されるとともに、連結具61の長手方向に沿った他方の端部が、他方の吸音パネル1aの端面に形成された外周溝5nに嵌合される。それにより、隣接する2つの吸音パネル1aの側縁同士が、隙間が無い状態で連結される。
【0078】
隣接する吸音パネル1aと吸音パネル1cを連結する方法について、図19に基づいて説明する。
【0079】
図19(a)に示すように、隣接する吸音パネル1aと吸音パネル1cが垂直となるように連結される場合、連結具62が使用される。連結具62は、長尺の垂直に折れ曲がった部材であり、その上下方向(長手方向)に沿った長さは、パネル材5の上下方向長さよりも短い。連結具62の厚さは、パネル材5の芯材5aの端面に形成された外周溝5nの幅と略同一である。
【0080】
隣接する吸音パネル1aと吸音パネル1cを垂直に連結する場合、図19(b)に示すように、連結具62の長手方向に沿った一方の端部が、一方の吸音パネル1aの端面に形成された外周溝5nに嵌合されるとともに、連結具62の長手方向に沿った他方の端部が、他方の吸音パネル1cの端面に形成された外周溝5nに嵌合される。それにより、隣接する吸音パネル1aと吸音パネル1cの側縁同士が、隙間が無い状態で連結される。
【0081】
なお、隣接する吸音パネル1b同士及び隣接する吸音パネル1c同士を連結する方法は、隣接する吸音パネル1a同士を連結する方法と同様である。隣接する吸音パネル1bと吸音パネル1cを連結する方法は、隣接する吸音パネル1aと吸音パネル1cを連結する方法と同様である。
【0082】
吸音パネルユニット501において、隣接する吸音パネル1bと吸音パネル1cは、隣接する吸音パネル1aと吸音パネル1cと同様に垂直となるように連結される。上述したように、吸音パネル1では、脚部品6aが、パネル材5の下端部両縁から内側に入ったところにおいてパネル材5と交差する方向に延びるように取り付けられる。そのため、隣接する吸音パネル1bと吸音パネル1cとが垂直に連結された場合でも、図20に示すように、吸音パネル1bの脚部6と吸音パネル1cの脚部6とは干渉しない。
【0083】
図21に示す吸音パネルユニット502は、1枚の吸音パネル1と、1枚の吸音パネル101と、1枚の吸音パネル201により構成される。吸音パネル1の右側縁と吸音パネル201の左側縁とが連結される。吸音パネル1と吸音パネル201は、略同一平面状に配置された状態で連結される。吸音パネル1の左側縁と吸音パネル101の右側縁とが連結される。吸音パネル101は、吸音パネル1に対して傾斜した状態で連結される。これにより、オフィス空間を仕切って、ホワイトボード110及びモニター210を使用しながら、ミーティングを行うことができる。
【0084】
隣接する吸音パネル1と吸音パネル101を連結する方法について、図22に基づいて説明する。
【0085】
図22(a)に示すように、隣接する吸音パネル1と吸音パネル101が傾斜した状態で連結される場合、連結具63が使用される。連結具63は、長尺の折れ曲がった部材であり、その上下方向(長手方向)に沿った長さは、パネル材5の上下方向長さよりも短い。連結具63の厚さは、パネル材5の芯材5aの端面に形成された外周溝5nの幅と略同一である。連結具63の折れ曲がる傾斜度(30度)は、連結される吸音パネル1と吸音パネル101との傾斜度(30度)と一致している。連結具63は、例えば金属製の部材である。
【0086】
隣接する吸音パネル1と吸音パネル101を傾斜した状態で連結する場合、図22(b)に示すように、連結具63の長手方向に沿った一方の端部が、吸音パネル1の端面に形成された外周溝5nに嵌合されるとともに、連結具63の長手方向に沿った他方の端部が、吸音パネル101の端面に形成された外周溝5nに嵌合される。それにより、隣接する吸音パネル1と吸音パネル101の側縁同士が、隙間が無い状態で連結される。
【0087】
図23に示す吸音パネルユニット503は、2枚の吸音パネル1と、1枚の吸音パネル201により構成される。2枚の吸音パネル1は、吸音パネル201の左右両側にそれぞれ連結される。一方の吸音パネル1の右側縁と吸音パネル201の左側縁とが連結される。他方の吸音パネル1の左側縁と吸音パネル201の右側縁とが連結される。2枚の吸音パネル1と吸音パネル201は、略同一平面状に配置された状態で連結される。これにより、オフィス空間を仕切って、吸音パネルユニット503の両側において、ミーティングを行うことができる。
【0088】
図24に示す吸音パネルユニット504は、パネルユニット504aとパネルユニット504bとを有している。
【0089】
パネルユニット504aは、3枚の吸音パネル1と、1枚の吸音パネル101と、1枚の吸音パネル201により構成される。パネルユニット504aでは、左方向から右方向に向かって、吸音パネル101、2枚の吸音パネル1、吸音パネル201、吸音パネル1の順に連結されている。パネルユニット504aの長さ方向中央部において、2つの吸音パネル1の側縁同士が、垂直となるように連結される。なお、吸音パネル101に連結される吸音パネル1の左右方向幅は、図1に示した吸音パネル1の左右方向幅と同一であり、吸音パネル201に連結される吸音パネル1の左右方向幅は、図1に示した吸音パネル1の左右方向幅よりも小さくなっているが、それらの構成は同様である。
【0090】
パネルユニット504bは、1枚の吸音パネル1と、1枚の吸音パネル101により構成される。吸音パネル1と吸音パネル101は、略同一平面状に配置された状態で連結される。
【0091】
パネルユニット504aとパネルユニット504bとを近接して配置することで、オフィス空間を複数の空間に仕切って、ホワイトボード110及びモニター210を使用しながら、複数箇所でミーティングを行うことができる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態の吸音パネル1、101、201は、吸音材5b2、5c2が表面に設けられたパネル材5と、パネル材5の下端部に設けられ、設置面に対して移動可能に構成される脚部6とを備える。
【0093】
このようにすると、吸音パネル1、101、201の表面に吸音材5b2、5c2が設けられることにより、音が吸音パネル1、101、201に吸収されやすい。これにより、吸音パネル1、101、201により作業空間を仕切った場合に、その作業空間において利用者が発言した内容などが周囲へ音漏れするのが抑制される。また、吸音パネル1、101、201が設置面に対して移動可能に構成される脚部6を備えるため、吸音パネル1、101、201の設置箇所を容易に変更することができる。
【0094】
本実施形態の吸音パネル1、101、201において、脚部6は、設置面に対して回転可能なキャスター6cを有している。
【0095】
このようにすると、設置面に対して移動可能な脚部6の構成を簡略化することができる。
【0096】
本実施形態の吸音パネル1、101、201において、キャスター6cは、パネル材5の下端部両縁から内側に入ったところにおいてパネル材5と交差する方向に延びる脚部品6aに取り付けられる。
【0097】
このようにすると、2つの吸音パネル1、101、201を隣接するように並べて配置しても、それらの脚部品6aが干渉しない。
【0098】
本実施形態の吸音パネル1、101、201において、キャスター6cは、回転可能な状態と回転不可能な状態とを切り替えるロックを有している。
【0099】
このようにすると、吸音パネル1、101、201を運ぶ際には、ロックを解除してキャスター6cを回転可能な状態にして運んで、設置箇所まで運んだ後、その設置箇所で長時間使用する場合などには、キャスター6cをロックして回転不可能な状態に切り替えることで、吸音パネル1、101、201を設置することで形成されるレイアウトをしっかりと保持することができる。
【0100】
本実施形態の吸音パネル1、101、201は、複数を隣接配置させて吸音面30Aの配置形状や長さを変更できる。
【0101】
このようにすると、吸音パネル1、101、201による吸音効果を適宜変更することができる。
【0102】
本実施形態の吸音パネル1、101、201は、隣接するパネル材5同士を直線配置、斜め角度付き配置またはコ字型配置が可能である。
【0103】
このようにすると、吸音パネル1、101、201で仕切られる空間を適宜変更することができる。
【0104】
本実施形態の吸音パネル1、101、201は、隣接するパネル材5同士を隙間が無い状態で配置可能である。
【0105】
このようにすると、吸音パネル1、101、201で仕切られる空間の遮音効果を向上させることができる。
【0106】
本実施形態の吸音パネル1、101、201は、隣接するパネル材5の側縁同士を連結可能である。
【0107】
このようにすると、吸音パネル1、101、201で仕切られる空間の遮蔽効果を向上させることができる。
【0108】
本実施形態の吸音パネルユニット501~504は、吸音パネル1、101、201を複数隣接して配置したものである。
【0109】
このようにすると、吸音パネル1、101、201と同様の効果が得られる。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0111】
例えば上記実施形態では、吸音パネル1、101、201の脚部6が、設置面に対して回転可能なキャスター6cを有しているが、それに限られない。吸音パネル1、101、201は、設置面に対して移動可能に構成される脚部6を有していれば、脚部6の構成は任意である。
【0112】
上記実施形態では、4つのキャスター6cが、回転可能な状態と回転不可能な状態とを切り替えるロックを有しているが、それに限られない。4つのキャスター6cがロックを有してなくてもよい。また、4つのキャスター6cがロックを有している場合に、4つのキャスター6cのロック動作を連動させる機構または部材を有していてもよい。その場合、例えば、1つのキャスター6cのロックを回転不可能な状態に切り替えると、それに連動して、他の3つのキャスター6cのロックが回転不可能な状態に切り替えられる。同様に、1つのキャスター6cのロックを回転可能な状態に切り替えると、それに連動して、他の3つのキャスター6cのロックが回転可能な状態に切り替えられる。
【0113】
上記実施形態では、隣接する2つの吸音パネル1、101、201が、1つの金属製の連結具61~63により連結されるが、それに限られない。連結具61~63は、金属以外の材料で形成された部材でもよい。連結具61~63の形状や材質は、任意である。隣接する2つの吸音パネル1、101、201が、複数の連結具61~63により連結されてもよい。その場合、複数の連結具61~63は、吸音パネル1、101、201の上下方向に離れて配置されるのが好適である。また、隣接する2つの吸音パネル1、101、201の連結方法は任意であり、例えば磁石により連結されてもよい。
【0114】
上記実施形態では、吸音パネルユニット501において、複数の吸音パネル1が連結具61、62により連結されているが、さらに他の方法により複数の吸音パネル1を連結してもよい。例えば、図25に示すように、左側面の中央部近傍と右側面の中央部近傍とが、2本の取り付け部材510により連結されてもよい。2本の取り付け部材510は、左側面を構成する吸音パネル1の上端部と右側面を構成する吸音パネル1の上端部とを連結する。これにより、吸音パネルユニット501の剛性が高くなる。
【0115】
上記実施形態では、四角形状のブロック部30が、縦方向及び横方向に配列されているが、それに限られない。ブロック部30の形状、配置、大きさは、任意である。例えば、図26に示すように、ブロック部30aは、溝10aで囲まれた領域に円形に設けられてもよい。
【0116】
その場合、ブロック部30aは、図27に示すように、ブロック部30aを正面から見たときに、ブロック部30aごとに、中央吸音面31aと、上斜め吸音面32aと、下斜め吸音面33aと、左斜め吸音面34aと、右斜め吸音面35aとが設けられる。上斜め吸音面32a、下斜め吸音面33a、左斜め吸音面34a及び右斜め吸音面35aは、中央吸音面31aを囲むように連続して何れも曲面状に形成される。
【0117】
中央吸音面31aは、ブロック部30aの中央部に配置され、ブロック部30aよりも小さい面積の円形に形成される。上斜め吸音面32a、下斜め吸音面33a、左斜め吸音面34a及び右斜め吸音面35aは、中央吸音面31aから離れるにつれて芯材5aの表面に近づくように傾斜している。このように、ブロック部30aの周囲には、斜め上方に向いた上斜め吸音面32aと、斜め下方に向いた下斜め吸音面33aと、斜め左方に向いた左斜め吸音面34aと、斜め右方に向いた右斜め吸音面35aとが設けられる。
【0118】
図28(a)は、上下方向に隣り合う2つのブロック部30aの上下方向に沿った断面図を示しているが、上下方向に隣り合う2つのブロック部30aの間には、斜め上方に向いた上斜め吸音面32aと、斜め下方に向いた下斜め吸音面33aとが対向配置される。すなわち、上下方向に隣り合う2つのブロック部30aの間には、互いに異なる方向を向いた斜め吸音面32a、33aが対向配置される。
【0119】
図28(b)は、左右方向に隣り合う2つのブロック部30aの左右方向に沿った断面図を示しているが、左右方向に隣り合う2つのブロック部30aの間には、斜め左方に向いた左斜め吸音面34aと、斜め右方に向いた右斜め吸音面35aとが対向配置される。すなわち、左右方向に隣り合う2つのブロック部30aの間には、互いに異なる方向を向いた斜め吸音面34a、35aが対向配置される。
【0120】
なお、上述したように、上斜め吸音面32a、下斜め吸音面33a、左斜め吸音面34a及び右斜め吸音面35aは、中央吸音面31aを囲むように連続しているが、本明細書において「ブロック部の周囲に、斜め上下左右に向いた斜め吸音面が設けられる」とは、ブロック部を正面から見たときに、ブロック部の上部の少なくとも一部に斜め上方に向いた上斜め吸音面があり、ブロック部の下部の少なくとも一部に斜め下方に向いた下斜め吸音面があり、ブロック部の左部の少なくとも一部に斜め左方に向いた左斜め吸音面があり、ブロック部の右部の少なくとも一部に斜め右方に向いた右斜め吸音面があることを意味する。
【0121】
上記実施形態では、吸音材5b3、5c3が軟質で弾性変形可能な素材で構成されているが、それに限られない。例えば、吸音材5b3、5c3は、硬質で弾性変形が不可能な素材で構成されてもよい。
【0122】
上記実施形態では、芯材5aが、例えば合板やパーチクルボード、ペーパーコアパネルで形成されるが、それに限られない。芯材5aの材質、構造は任意である。
【0123】
上記実施形態では、吸音パネル1、101、201において、凸条の吸音材5b3、5c3を有するブロック部30がパネル材5の表面及び裏面の両面に配置されるが、それに限られない。ブロック部30は、パネル材5の表面及び裏面の何れか一方の面に配置され、他方の面に配置されなくてもよい。
【0124】
上記実施形態では、吸音パネル101において、ホワイトボード110を取り付けるための取付具として、上下方向に沿って延びる取付具161(第1取付具)と、上下方向に沿って延びる取付具162(第2取付具)が使用されるが、それに限られない。吸音パネル101において、ホワイトボード110を取り付けるための取付具として、図29に示すように、水平方向に沿って延びており、その一端部がホワイトボード110を保持するとともに、その他端部がパネル材5の側端に係止される取付具162(第2取付具)が使用されてもよい。このようにすると、吸音パネルの側端に係止させた取付具162によりホワイトボード110を水平方向から保持することで、ホワイトボード110の取り付け位置がずれるのを抑制することができる。
【0125】
上記実施形態では、吸音パネル201の表面のブロック部30の一部が剥がされた部分においてパネル材5の芯材5aに対して止着された取付具211を使用してモニター210が取り付けられるが、それに限られない。
【0126】
図30(a)に示すように、吸音材が溝10で囲われた領域内で凸条をなすブロック部30として設けられている場合に、吸音パネル201の表面のブロック部30の一部を剥がさずに、取付具211aを、溝10に対応する位置でパネル材5の芯材5aに固定してもよい。
【0127】
その場合、取付具211aは、例えば芯材5aに固定するための2つの取付脚211nを有している。2つの取付脚211nは、取付具211aの背面側に向かって左右方向に離れて突出している。2つの取付脚211n間の距離は、1つのブロック部30の左右方向幅と略同一である。そのため、取付具211aを吸音パネル201の表面に近づけると、2つの取付脚211nの先端が溝10に対応する位置に配置される。その状態で、図30(b)に示すように、2つの取付脚211nの先端が、パネル材5の芯材5aに対してボルト(図示省略)で止着される。このようにすると、ブロック部30を有する張り材をパネル材5の表面から剥がさずにモニター210をパネル材5に取り付けることができる。
【0128】
すなわち、吸音パネル201において、パネル材5の断面方向中央部には、剛性材料で形成される芯材5aが有り、モニター210は、芯材5aに着脱可能に係止される取付具211aを用いて取り付けられてもよい。
【0129】
このようにすると、モニター210の重量が比較的大きい場合でも、モニター210を吸音パネルに対して安定して取り付けることができる。
【0130】
また、上記実施形態の吸音パネル1、101、201において、脚部6に、バッテリーが設けられてもよい。このようにすると、モニターやPC等に給電することができるとともに、吸音パネル1、101、201を移動させる時に吸音パネルの重心を下げることができる。
【0131】
上記実施形態では、吸音パネルユニット501~504の例を示したが、それに限られない。吸音パネルユニットに含まれる吸音パネルの種類、吸音パネルの組み合わせ、吸音パネルの数、吸音パネルの大きさ、吸音パネルの配置(レイアウト)などは、任意である。
【0132】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0133】
1 吸音パネル
5 パネル材
5a 芯材
5b2、5c2 吸音材
6 脚部
6a 脚部品
6c キャスター
30 ブロック部
30A 吸音面
31 中央吸音面
32 上斜め吸音面(斜め吸音面)
33 下斜め吸音面(斜め吸音面)
34 左斜め吸音面(斜め吸音面)
35 右斜め吸音面(斜め吸音面)
101 吸音パネル
110 ホワイトボード(オプション部材)
161 取付具
162 取付具
201 吸音パネル
210 モニター(オプション部材)
211 取付具
211a 取付具
501~504 吸音パネルユニット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30