(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054025
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】エクステンションユニット
(51)【国際特許分類】
B60R 22/18 20060101AFI20240409BHJP
B60R 22/26 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B60R22/18
B60R22/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160596
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】長澤 勇
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018BA08
3D018BA11
3D018BA12
3D018CA05
3D018CB01
3D018CB06
(57)【要約】
【課題】装着性を改善し、シートベルト装置と同等の拘束性を維持する。
【解決手段】筐体50と、シートベルト装置のタングプレートと係合するバックル部10と、シートベルト装置のバックル本体と係合するタングプレートを含む第1の結合部20と、一端部がバックル部10に回動可能に接続された第1の部材31と、一端部が第1の部材31の他端部に回動可能に接続された第2の部材32とからなるクランク機構を有するロック/アンロック部33と、一端部が第1の部材31の他端部に接続され、他端部に持ち手41を有する操作部材40と、を備え、バックル部10は、両側面が筐体50の内部に形成された溝部54に摺動可能に係合され、操作部材40の操作に応じて、溝部54の上下方向の長さの範囲で摺動し、ロック/アンロック部30は、第2の部材32が回動し、第2の部材32の他端部が第1の部材31と重なるとロック状態となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
シートベルト装置のタングプレートと係合するバックル部と、
前記シートベルト装置のバックル本体と係合するタングプレートを含む第1の結合部と、
一端部が前記バックル部に回動可能に接続された棒状部材としての第1の部材と、一端部が前記第1の部材の他端部に回動可能に接続された棒状部材としての第2の部材とからなるクランク機構を有するロック/アンロック部と、
一端部が前記第1の部材の他端部に接続され、他端部に持ち手を有する操作部材と、
を備え、
前記バックル部は、両側面が前記筐体の内部に形成された溝部に摺動可能に係合され、前記操作部材の操作に応じて、前記溝部の上下方向の長さの範囲で摺動し、
前記ロック/アンロック部は、前記第2の部材が回動し、前記第2の部材の他端部が前記第1の部材と重なるとロック状態となることを特徴とするエクステンションユニット。
【請求項2】
前記操作部材の初期位置では、前記ロック/アンロック部と前記操作部材とが同軸となっており、前記第2の部材の他端部は、前記筐体の底部と接していることを特徴とする請求項1に記載のエクステンションユニット。
【請求項3】
前記バックル部の下方側には、前記第1の結合部を固定して収納し、前記シートベルト装置のバックル本体を保持する保持部が設けられ、前記保持部の背面と前記筐体の面との間に、前記ロック/アンロック部と操作部材とが設けられ、前記ロック/アンロック部の前記第1の部材と前記保持部の背面との間隙は、前記第2の部材の厚みと等しくなっていることを特徴とする請求項1に記載のエクステンションユニット。
【請求項4】
前記筐体の面に上方が開放された開口部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のエクステンションユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エクステンションユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車体には、乗員の安全を図るために、シートベルト装置が取付けられている。
このシートベルト装置には、乗員に装着されるウエビングを着脱可能にロックするバックル装置が設けられている。
このバックル装置は、一般的に、ウエビング(ベルト)に挿通されたタングプレートと、タングプレートが挿脱されると共に、挿入されたタングプレートをロックするバックル本体と、を備えて構成されている。
バックル本体は、バックルベースと、タングプレートをバックルベースに着脱するためのラッチ機構と、ラッチ機構を包囲するバックルカバーとからなる。
バックルベースは、他端がウエビング、ブラケット或いはワイヤ等を介して車体に固定されており、車両衝突時にウエビングに作用する引っ張り荷重を車体に伝える。
また、ラッチ機構はタングプレートのバックルベースへの着脱を自在にし、シートベルト装置の装着及び解放を容易に行えるようにするものであり、タングプレートをバックルベース内に差し込むことにより、錠止部材(ラッチ部材)がタングプレートのラッチ係合孔に係合してタングプレートの抜き出しが防止される。
【0003】
また、通常のシートベルト用ウエビングでは長さが不十分である乗員用にエクステンションユニット(エクステンダーベルト)がディーラー等によって用意されている。
このエクステンダーベルトは、車両に装備されているシートベルト装置中のタングプレートとバックル本体との間に挿入されることにより、上述の通常のシートベルト用ウエビングでは長さが不十分である乗員を拘束する。
【0004】
この種の技術として、エクステンションユニットバックル本体の長手方向に慣性力や衝撃荷重が作用した場合に、タングプレート係合状態をより確実に維持することを目的に、バックル本体に、バックルベースと、当該バックルベースに支持され、挿入されたタングプレートと係合して該タングプレートの抜き出し方向への移動を阻止するロック状態をとりうるラッチ部材と、前記バックル本体に慣性力や衝撃荷重が作用した際に当該タングプレートのロック状態を保持する保持機構と、前記タングプレートとラッチ部材との係合を解除させる解除部材を備え、当該バックル本体がウエビングを介して車体に取付けられてなるシートベルト装置に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、エクステンションユニットは、主として、かなり体格の大きい乗員が用いるものであり、体格がかなり大きいと、インナーベルトが体型で隠されてしまい目視できないために、装着性に課題があった。
また、エクステンションユニットを用いると、乗員の胴体部と骨盤部とを拘束するアウターベルトの折返し点が、想定位置より移動する事になって、衝突時の拘束力を弱め、衝突中の上半身の挙動が不安定になるといった拘束性に関する課題もあった。
【0007】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、装着性を改善するとともに、一般的なシートベルト装置と同等の拘束性を維持するエクステンションユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、筐体と、シートベルト装置のタングプレートと係合するバックル部と、前記シートベルト装置のバックル本体と係合するタングプレートを含む第1の結合部と、一端部が前記バックル部に回動可能に接続された棒状部材としての第1の部材と、一端部が前記第1の部材の他端部に回動可能に接続された棒状部材としての第2の部材とからなるクランク機構を有するロック/アンロック部と、一端部が前記第1の部材の他端部に接続され、他端部に持ち手を有する操作部材と、を備え、前記バックル部は、両側面が前記筐体の内部に形成された溝部に摺動可能に係合され、前記操作部材の操作に応じて、前記溝部の上下方向の長さの範囲で摺動し、前記ロック/アンロック部は、前記第2の部材が回動し、前記第2の部材の他端部が前記第1の部材と重なるとロック状態となることを特徴とするエクステンションユニットを提案している。
【0009】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記操作部材の初期位置では、前記ロック/アンロック部と前記操作部材とが同軸となっており、前記第2の部材の他端部は、前記筐体の底部と接していることを特徴とするエクステンションユニットを提案している。
【0010】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記バックル部の下方側には、前記第1の結合部を固定して収納し、前記シートベルト装置のバックル本体を保持する保持部が設けられ、前記保持部の背面と前記筐体の面との間に、前記ロック/アンロック部と操作部材とが設けられ、前記ロック/アンロック部の前記第1の部材と前記保持部の背面との間隙は、前記第2の部材の厚みと等しくなっていることを特徴とするエクステンションユニットを提案している。
【0011】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記筐体の面に上方が開放された開口部が設けられていることを特徴とするエクステンションユニットを提案している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、装着性を改善するとともに、一般的なシートベルト装置と同等の拘束性を維持することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るエクステンションユニットを乗員が装着した場合の車両車幅方向から見た側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るエクステンションユニットの斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るエクステンションユニットの内部を示す車両前後方向を基準とした断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るエクステンションユニットのバックル部、第1の結合部、シートベルト装置のバックル本体、ロック/アンロック部、操作部材の配置関係を示す車幅方向を基準とした断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るエクステンションユニットのロック/アンロック部のロック時の遷移を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るエクステンションユニットのロック/アンロック部のアンロック時の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
図1から
図6を用いて、本実施形態に係るエクステンションユニット1について説明する。
なお、図面に適宜示される矢印FRは、車両前方(正面)を示し、矢印UPは正面視上方を示し、矢印FRは正面視車両前方を示し、矢印INは正面視車幅方向内側を示している。
また、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、正面視での上下方向、正面視での前後方向、正面視での左右方向を示すものとする。
【0015】
<エクステンションユニット1について>
本実施形態に係るエクステンションユニット1は、
図1に示すように、乗員CRが車両に乗車し、シート2に着座する際に使用するものであって、シートベルト装置のタングプレートとシートベルト装置のバックル本体の間に介在し、後述するように、伸縮自在に可動する。
以下、図面を用いて、エクステンションユニット1について説明する。
【0016】
<エクステンションユニット1の構成>
図2に示すように、本実施形態に係るエクステンションユニット1は、バックル部10と、第1の結合部20と、ロック/アンロック部30と、操作部材40と、筐体50と、を含んで構成されている。
【0017】
(バックル部10について)
図2に示すように、バックル部10は、シートベルト装置100のタングプレート110と係合する。
具体的には、バックル部10は、図示しないバックルベースと、シートベルト装置100のタングプレート110をバックルベースに着脱するためのラッチ機構と、ラッチ機構を包囲するバックルカバー等から構成されている。
また、バックル部10には、
図2に示すように、後述するロック/アンロック部30の第1の部材31の一端部31aが回動可能に接続されている。
また、バックル部10は、
図3に示すように、両側面が、後述する筐体50の内部に形成された溝部54に摺動可能に係合されており、後述する操作部材40の操作に応じて、溝部54の上下方向の長さの範囲で摺動する。
また、バックル部10は、初期位置において、
図2に示すように、車両外側方向(乗員側)に筐体50から露出している。
【0018】
(第1の結合部20について)
図2に示すように、第1の結合部20は、例えば、樹脂等により形成されており、シートベルト装置100のバックル120本体の上部に配設され、シートベルト装置100のバックル120本体と係合するタングプレート21を備えている。
第1の結合部20は、シートベルト装置100のバックル120本体を後述する筐体50の保持部55の側面をガイドとして、筐体50内部に挿入したときに、第1の結合部20のタングプレート21がシートベルト装置100のバックル120本体と係合するような位置に、その側面が筐体50の保持部55に結合されている。
【0019】
(ロック/アンロック部30について)
図2に示すように、ロック/アンロック部30は、一端部31aがバックル部10に回動可能に接続された棒状部材としての第1の部材31と、一端部32aが第1の部材31の他端部32bに回動可能に接続された棒状部材としての第2の部材32とからなるクランク機構を有している。
図4に示すように、操作部材40の初期位置では、ロック/アンロック部30と操作部材40とが同軸となっており、ロック/アンロック部30の第2の部材32の他端部32bは、後述する操作部材40の初期位置において、後述する筐体50の底面51に当接している。
そして、後述する操作部材40が、乗員CRによって、下向きに操作されると、第2の部材32が回転し、第2の部材32の他端部32bが第1の部材31と重なるとロック状態となる。
つまり、第2の部材32の一端部32aから他端部32bまでの長さは、後述する筐体50の溝部54の上下方向の長さと等しくなっている。
ロック/アンロック部30は、
図2、4に示すように、バックル部10の下方側に設けられた第1の結合部20を固定して収納し、シートベルト装置100のバックル120本体を保持する保持部55の背面55aと筐体50の面56との間に設けられている。
そして、ロック/アンロック部30の第1の部材31と保持部55の背面55aとの間隙Wは、第2の部材32の厚みと等しくなっている。
【0020】
(操作部材40について)
図2に示すように、操作部材40は、一端部40aが第1の部材31の他端部31bに接続され、他端部40bに持ち手41が装着されている棒状部材である。
図2に示すように、操作部材40は、
図2、4に示すように、バックル部10の下方側に設けられた第1の結合部20を固定して収納し、シートベルト装置100のバックル120本体を保持する保持部55の背面55aと筐体50の面56との間に設けられている。
【0021】
(筐体50について)
筐体50は、エクステンションユニット1を覆う樹脂等で成形されたカバーである。
筐体50は、
図2に示すように、上面および車幅方向外側(乗員側)の面が開放され、下面は、底面51を除いて開放されている。
また、車幅方向内側(センターコンソール側)の面には、開口部53が設けられている。
筐体50には、
図3に示すように、バックル部10の両側面を摺動可能に係合する溝部54が形成されている。
また、溝部54が設けられた箇所の下側には、
図4に示すように、車両上下方向下方が開放された箱状の保持部55が設けられている。
また、車両上下方向下方が開放された箱状の保持部55の背面55aは、バックル部10の背面11と同一面上となっている。
また、ロック/アンロック部30の第1の部材31と保持部55の背面55aとの間隙Wは、第2の部材32の厚みと等しくなっている。
また、筐体50の面52は、開口部53を有することからロック/アンロック部30の第2の部材32が回動する領域の筐体50の面56は、弾性を有している。
【0022】
<エクステンションユニット1を用いたシートベルト装着時のエクステンションユニット1の挙動>
以下、
図5を用いて、本実施形態に係るエクステンションユニット1を用いたシートベルト装着時のエクステンションユニット1の挙動について説明する。
【0023】
エクステンションユニット1は、その装着時に、筐体50の保持部にシートベルト装置100のバックル120本体を挿入させて、筐体50に結合されたエクステンションユニット1内の第1の結合部20にシートベルト装置100のバックル120本体に設けられたタングプレートが係合させた状態で用いられる。
【0024】
乗員CRは、上記の状態からシート2に着座すると、初期位置において、車両外側方向(乗員側)にエクステンションユニット1の筐体50から露出しているバックル部10を片方の手で包み込むように保持し、もう一方の手で、シートベルト装置100のタングプレート110を引き寄せて、シートベルト装置100のタングプレート110をエクステンションユニット1のバックル部10に係合させて、ロック状態とする。
【0025】
次いで、
図5(A)に示すように、乗員CRは、操作部材40の持ち手41を車両前方にスライドさせる。
そして、前記乗員CRが、操作部材40の持ち手41を車両前方にスライドさせた状態で、斜め下方に押し下げると、
図4(B)に示すように、バックル部10が車両下方に移動し始める。
【0026】
また、このとき、
図5(B)に示すように、操作部材40の初期位置で、筐体50の底面51と接していた第2の部材32の他端部32bは、回転を始める。
【0027】
そして、
図5(C)に示すように、バックル部10が、筐体50の溝部54の下部まで移動すると、回転していたロック/アンロック部30の第2の部材32が、ロック/アンロック部30の第1の部材31と保持部55の背面55aとの間隙Wで嵌合され、ロック/アンロック部30の第2の部材32の他端部32bがロック/アンロック部30の第1の部材31と重なって、ロック状態となって、エクステンションユニット1の装着が完了する。
【0028】
<エクステンションユニット1を用いたシートベルト脱着時のエクステンションユニット1の挙動>
以下、
図6を用いて、本実施形態に係るエクステンションユニット1を用いたシートベルト脱着時のエクステンションユニット1の挙動について説明する。
【0029】
エクステンションユニット1を用いたシートベルトの脱着時には、乗員CRは、
図6(B)に示すように、操作部材40の持ち手41を車両後方にスライドさせた状態で、斜め上方に引き上げる。
【0030】
そうすると、ロック/アンロック部30の第2の部材32とロック/アンロック部30の第1の部材31との重なり状態が解除され、ロック/アンロック部30の第2の部材32が、例えば、車両後方に倒れ込み、ロック状態が解除される。
【0031】
乗員CRが、操作部材40の持ち手42を車両前方にスライドさせた状態で、斜め上方に引き上げ続けると、バックル部10が更に、車両上方に移動し、バックル部10が、筐体50の溝部54の上端まで移動する。
【0032】
この状態で、乗員CRがエクステンションユニット1のバックル部10に設けられたバックル部10とシートベルト装置100のタングプレート110との係合を解除する上下方向に移動可能な押し子が連結された、図示しないボタンを押下すると、バックル部10とシートベルト装置100のタングプレート110との係合が解除され、エクステンションユニット1が脱着状態となり、元の形態に戻る。
【0033】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係るエクステンションユニット1は、筐体50と、シートベルト装置100のタングプレート110と係合するバックル部10と、シートベルト装置100のバックル本体120と係合するタングプレートを含む第1の結合部20と、一端部31aがバックル部10に回動可能に接続された棒状部材としての第1の部材31と、一端部32aが第1の部材31の他端部31bに回動可能に接続された棒状部材としての第2の部材32とからなるクランク機構を有するロック/アンロック部30と、一端部40aが第1の部材31の他端部31bに接続され、他端部40bに持ち手41を有する操作部材40と、を備え、バックル部10は、両側面が筐体50の内部に形成された溝部54に摺動可能に係合され、操作部材40の操作に応じて、溝部54の長さの範囲で摺動し、ロック/アンロック部30は、第2の部材32が回動し、第2の部材32の他端部32bが第1の部材31と重なるとロック状態となる。
つまり、バックル部10は、両側面が筐体50の内部に形成された溝部54に摺動可能に係合され、操作部材40の操作に応じて、溝部54の長さの範囲で摺動し、ロック/アンロック部30は、第2の部材32が回動し、第2の部材32の他端部32bが第1の部材31と重なるとロック状態となるため、操作部材40の操作によって、第2の部材32が回動し、第2の部材32の他端部32bが第1の部材31と重なるとロック状態となるまで、バックル部10が徐々に第1の結合部20に接近して、ロックされる。
すなわち、乗員CRは、操作部材40の持ち手41を手で保持して、一定方向に操作すれば、バックル部10が徐々に第1の結合部20に接近して、ロック状態とすることができる。
つまり、乗員CRは、肩甲骨を動かすことなく、手と腕の動作のみの挙動で、エクステンションユニット1をロック状態とすることができる。
そのため、装着性を改善するとともに、一般的なシートベルト装置100と同等の拘束性を維持することができる。
【0034】
また、本実施形態に係るエクステンションユニット1において、操作部材40の初期位置では、ロック/アンロック部30と操作部材40とが同軸となっており、第2の部材32の他端部32bは、筐体50の底面51と接している。
つまり、バックル部10は、両側面が筐体50の内部に形成された溝部54に摺動可能に係合されていることから、操作部材40の初期位置では、バックル部10が筐体50の溝部54の上端に位置した状態で、ロック/アンロック部30と操作部材40とが同軸となって、第2の部材32の他端部32bは、筐体50の底面51と接している。
すなわち、乗員CRが、操作部材40を下向きに操作すれば、ロック/アンロック部30の第2の部材32が回転し、この回転に伴って、バックル部10が、筐体50の溝部54の上端まで移動し、同時に、ロック/アンロック部30がロック状態となる。
つまり、乗員CRは、肩甲骨を動かすことなく、手と腕の動作のみの挙動で、エクステンションユニット1をロック状態とすることができる。
そのため、装着性を改善するとともに、一般的なシートベルト装置100と同等の拘束性を維持することができる。
【0035】
また、本実施形態に係るエクステンションユニット1は、バックル部10の下方側には、第1の結合部20を固定して収納し、シートベルト装置100のバックル本体120を保持する保持部55が設けられ、保持部55の背面55aと筐体50の面との間に、ロック/アンロック部30と操作部材40とが設けられ、ロック/アンロック部30の第1の部材31と保持部55の背面55aとの間隙は、第2の部材32の厚みと等しくなっている。
つまり、第1の結合部20を固定して収納し、シートベルト装置100のバックル本体120を保持する保持部55の背面55aとの間隙は、第2の部材32の厚みと等しくなっており、ロック/アンロック部30の第2の部材32が回転し、ロック/アンロック部30の第1の部材31と第2の部材32とが重なり合うと、重なったロック/アンロック部30の第1の部材31と第2の部材32との厚みは、少なくとも、ロック/アンロック部30の第1の部材31と第2の部材32と接続する部材の厚みの分だけ厚くなり、保持部55の背面55aとの間隙に嵌合する。
そのため、装着性を改善するとともに、一般的なシートベルト装置100と同等の拘束性を維持することができる。
【0036】
また、本実施形態に係るエクステンションユニット1は、筐体50の面に上方が開放された開口部53が設けられている。
つまり、筐体50のセンターコンソール側の面に上方が開放された開口部53が設けられている。
そのため、開口部53により、ロック/アンロック部30の第1の部材31と第2の部材32とが重なり合う面が弾性力を有することになるため、ロック/アンロック部30を適正に機能させることができる。
また、開口部53を有することにより、保持部55に対するバックル部10の位置関係を目視により確認することができる。
また、保持部55に対するバックル部10の位置関係を目視により確認することができることから、例えば、ロック/アンロック部30の第2の部材32の破損等により、保持部55に対するバックル部10の位置関係が不正となっている場合には、速やかに修理あるいは部品の交換を行うことができる。
【0037】
<変形例1>
本実施形態において、操作部材40の持ち手41を正方形の板状として例示したが、車両上下方向の側面にグリップ部を設けるようにしてもよい。
このような構造とすることにより、乗員CRは、グリップ部を手で把持することができるため、持ち手41を水平方向あるいは上下方向に操作しやすくなる。
そのため、操作が安定して、速やかに、ロック/アンロック操作を行うことができる。
【0038】
<変形例2>
また、変形例1では、持ち手41の車両上下方向の側面にグリップ部を設けることを示したが、手が小さい人には、かえって操作に支障をきたす場合も考えられる。
そこで、持ち手41をスコップの握り部のような形状にしてもよい。
このような構造とすることにより、手の大きさに拘わらず、持ち手41を把持することが可能となり、特に、持ち手41を上下方向に操作する際に、十分な力を伝達することができる。
【0039】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1;エクステンションユニット
2;シート
10;バックル部
20;第1の結合部
21;タングプレート
30;ロック/アンロック部
31;第1の部材
31a;一端部
31b;他端部
32;第2の部材
32a;一端部
32b;他端部
40;操作部材
40a;一端部
40b;他端部
41;持ち手
50;筐体
51;底面
52;面
53;開口部
54;溝部
55;保持部
55a;背面
56;面
100;シートベルト装置
110;タングプレート
120;バックル
CR;乗員
W;間隙