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  • 特開-サンドイッチパネルの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005403
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】サンドイッチパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/12 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B32B3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105573
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】上坂 政夫
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA16B
4F100AA16D
4F100AD08B
4F100AD08D
4F100AD11B
4F100AD11D
4F100AG00B
4F100AG00D
4F100AK01A
4F100AK01E
4F100AK23A
4F100AK23E
4F100AK33A
4F100AK33E
4F100AK34A
4F100AK34E
4F100AK41B
4F100AK41D
4F100AK47B
4F100AK47C
4F100AK47D
4F100AK53A
4F100AK53E
4F100AK57B
4F100AK57D
4F100AL05A
4F100AL05E
4F100AT00B
4F100AT00D
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100DC02C
4F100DG00B
4F100DG00C
4F100DG00D
4F100DG12B
4F100DG12D
4F100EJ172
4F100EJ202
4F100EJ422
4F100EJ822
4F100GB31
4F100JA06A
4F100JA06E
4F100YY002
4F100YY00A
4F100YY00E
(57)【要約】
【課題】サンドイッチパネルの生産効率を向上できる技術を提供する。
【解決手段】サンドイッチパネル100の製造方法は、複数の樹脂シートaと、シート状基材bと、ハニカム構造を有するシート状のコア層cと、をそれぞれ準備する工程と、コア層cのそれぞれの面上に、樹脂シートa1、シート状基材b、および樹脂シートa2の順に配置する工程と、コア層c、樹脂シートa、およびシート状基材bを、加熱加圧処理により一括して積層化する工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の樹脂シート(a)と、シート状基材(b)と、ハニカム構造を有するシート状のコア層(c)と、をそれぞれ準備する工程と、
前記コア層(c)のそれぞれの面上に、前記複数の樹脂シート(a)のうち一の樹脂シート(a1)、前記シート状基材(b)、および前記複数の樹脂シート(a)のうち他の樹脂シート(a2)の順に配置する工程と、
前記コア層(c)、前記樹脂シート(a)、および前記シート状基材(b)を、加熱加圧処理により一括して積層化する工程と、
を含む、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記積層化する前記工程において、前記加熱加圧処理における圧力が0.3~1.0MPaである、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記積層化する前記工程において、前記加熱加圧処理における加熱温度が110~140℃である、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記樹脂シート(a)は、エポキシ樹脂、およびフェノール樹脂の中から選ばれる1種または2種を含む樹脂組成物から形成される、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記フェノール樹脂が、レゾール型フェノール樹脂、およびノボラック型フェノール樹脂の中から選ばれる1種または2種を含む、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記樹脂組成物は、ポリビニルブチラールを含む、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記樹脂シート(a)は、Bステージ状態である、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記樹脂シート(a)の最低溶融粘度が、5000Pa・s以下である、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記樹脂シート(a)のJIS K 6910に準じて測定される残炭率が、30質量%以上である、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項10】
請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記積層化する前記工程において、
前記樹脂シート(a)を構成する樹脂組成物の一部が前記シート状基材(b)の内部に含浸される、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項11】
請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記シート状基材(b)は、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、および炭化珪素繊維の中から選ばれる1種または2種以上である、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項12】
請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記コア層(c)は、アラミド繊維を含む、サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項13】
請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記サンドイッチパネルが航空機用パネルに用いられるものである、サンドイッチパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サンドイッチパネルは、断面が六角形の壁で構成された中空状のハニカムコアと、このハニカムコアの両面に接合された一対のプリプレグ等の表皮材とで構成されている。軽量で高剛性な特徴をもつサンドイッチパネルは、例えば航空機用の構造部材などに使用されている。
【0003】
サンドイッチパネルの製造方法としては、各種の手法が開示されている。一般的な手法として、例えば、特許文献1に記載の技術がある。同文献によれば、二次接着形成プロセスとして、プリプレグを積層し、真空バック状態にしてオートクレーブを用いてプリプレグ中のバインダー樹脂を硬化させたあと、フィルム状接着剤を介して、ハニカムコアの両面に、複合プリプレグを組み付けて、高温下で加圧して、フィルム状接着剤を硬化させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-1268公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、サンドイッチパネルの開発の高まりに伴い、生産効率をより高くすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、サンドイッチパネルの生産性を高めるべく鋭意検討を行った結果、従来のプリプレグを構成するシート状基材と、樹脂シートと、をともに用いて、ハニカム構造を有するシート状のコア層と一括に積層化する方法を見出した。
【0007】
本発明によれば、以下のサンドウィッチパネルの製造方法が提供される。
【0008】
[1] 複数の樹脂シート(a)と、シート状基材(b)と、ハニカム構造を有するシート状のコア層(c)と、をそれぞれ準備する工程と、
前記コア層(c)のそれぞれの面上に、前記複数の樹脂シート(a)のうち一の樹脂シート(a1)、前記シート状基材(b)、および前記複数の樹脂シート(a)のうち他の樹脂シート(a2)の順に配置する工程と、
前記コア層(c)、前記樹脂シート(a)、および前記シート状基材(b)を、加熱加圧処理により一括して積層化する工程と、
を含む、サンドイッチパネルの製造方法。
[2] [1]に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記積層化する前記工程において、前記加熱加圧処理における圧力が0.3~1.0MPaである、サンドイッチパネルの製造方法。
[3] [1]または[2]に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記積層化する前記工程において、前記加熱加圧処理における加熱温度が110~140℃である、サンドイッチパネルの製造方法。
[4] [1]乃至[3]いずれか一つに記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記樹脂シート(a)は、エポキシ樹脂、およびフェノール樹脂の中から選ばれる1種または2種を含む樹脂組成物から形成される、サンドイッチパネルの製造方法。
[5] [4]に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記フェノール樹脂が、レゾール型フェノール樹脂、およびノボラック型フェノール樹脂の中から選ばれる1種または2種を含む、サンドイッチパネルの製造方法。
[6] [4]または[5]に記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記樹脂組成物は、ポリビニルブチラールを含む、サンドイッチパネルの製造方法。
[7] [1]乃至[6]いずれか一つに記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記樹脂シート(a)は、Bステージ状態である、サンドイッチパネルの製造方法。
[8] [1]乃至[7]いずれか一つに記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記樹脂シート(a)の最低溶融粘度が、5000Pa・s以下である、サンドイッチパネルの製造方法。
[9] [1]乃至[8]いずれか一つに記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記樹脂シート(a)のJIS K 6910に準じて測定される残炭率が、30質量%以上である、サンドイッチパネルの製造方法。
[10] [1]乃至[9]いずれか一つに記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記積層化する前記工程において、
前記樹脂シート(a)を構成する樹脂組成物の一部が前記シート状基材(b)の内部に含浸される、サンドイッチパネルの製造方法。
[11] [1]乃至[10]いずれか一つに記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記シート状基材(b)は、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、および炭化珪素繊維の中から選ばれる1種または2種以上である、サンドイッチパネルの製造方法。
[12] [1]乃至[11]いずれか一つに記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記コア層(c)は、アラミド繊維を含む、サンドイッチパネルの製造方法。
[13] [1]乃至[12]いずれか一つに記載のサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記サンドイッチパネルが航空機用パネルに用いられるものである、サンドイッチパネルの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サンドイッチパネルの生産効率を向上する技術が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るサンドイッチパネルを示す模式断面図である。
図2】本実施形態に係るサンドイッチパネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
<サンドイッチパネル>
図1に示すように、本実施形態に係るサンドイッチパネル100は、ハニカム構造を有するコア層Cと、コア層Cの両面に設けられた複数の硬化物層Aおよび複数の基材層Bと、を備える。具体的には、コア層Cの両面上にそれぞれ、硬化物層A1、基材層B1、硬化物層A2、基材層B2、および硬化物層A3がこの順で積層されている。硬化物層Aは樹脂シートaからなり、基材層Bはシート状基材bからなる。
以下、各構成について説明する。
【0013】
[コア層]
コア層Cは、高強度と軽量性を有する構造を備えるシート状の板部材であり、ハニカム構造を備える。ハニカム構造とは、公知の構造であり、上面から下面に亘って貫通する略正六角性の貫通孔が複数形成された構造を意図する。
【0014】
コア層Cのハニカム構造を構成する基材としては、例えば、アラミド繊維、紙、バルサ材、プラスチック、アルミニウム、チタン、ガラス及びその合金等を公知の方法によりハニカム状に成型したものが挙げられる。なかでも、耐熱性、軽量化の観点から、コア層Cのハニカム構造を構成する基材としては、アラミド繊維を含むことが好ましい。
【0015】
コア層Cは、基材の形状として、織物状の繊維クロスが好ましい。これにより、ハニカム構造への加工性が良好になるとともに、サンドイッチパネル100を軽量化できる。
また、コア層Cが繊維クロスである場合、例えば、ハニカム構造を備えるコア層用基材に、バインダー樹脂を含浸してなるシート状の部材とすることが好適である。これにより、高強度と軽量性を一層高められる。バインダー樹脂としては、特に限定されず、公知のものが用いられる。
コア層Cが織物上の繊維クロスを含む場合、繊維と繊維がクロスする箇所は製造工程において加圧されにくく、ボイドが残存しやすくなるが、本実施形態のサンドイッチパネル100においては、後述の製造方法により、高い密着性が得られ、ボイドの発生を抑制できる。
【0016】
コア層Cの層厚としては、特に限定されないが、例えば、1mm以上50mm以下でもよく、3mm以上40mm以下でもよく、5mm以上30mm以下でもよい。
【0017】
コア層C中の各コアセルサイズは、特に限定されないが、例えば、1辺が1mm以上10mm以下とすることができる。
【0018】
コア層Cの表面(上面、下面)の面積は限定されないが、例えば、サンドイッチパネル100一つ分の表面を有していてもよいし、サンドイッチパネル複数分を合計した表面積を有していてもよい。これにより、1枚のサンドイッチパネル100を個片化して、複数のパネルを切り出して得ることが可能になり、生産性を向上させることができる。たとえば、コア層Cの表面(上面、下面)の面積は、大面積とすることができ、例えば、1m以上であってもよい。
【0019】
また、コア層Cは、内部および/または外部について、耐食性や耐熱性を向上させる観点から、各種の表面処理がされたものであってもよい。
【0020】
[硬化物層]
本実施形態の硬化物層Aは、樹脂シートaの硬化物からなる。硬化物層Aは、コア層Cおよびシート状基材bと一体化して強固に接着しつつ、サンドイッチパネル100の外表面となりうる。図1においては、コア層Cの一方の面上に硬化物層Aが3層用いられているが、硬化物層Aの積層数はかかる数に限られない。
【0021】
[基材層]
本実施形態の基材層Bは、シート状基材bが樹脂シートaと一体化されることによって得られるものである。すなわち、本実施形態の基材層Bは、一体化工程において、樹脂シートaの一部がシート状基材bに含浸されつつ硬化されたものである。
【0022】
シート状基材bとしては、プリプレグの基材として知られるものであれば特に限定されず用いることができるが、例えば、繊維基材が挙げられる。
上記繊維基材としては、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、および炭化珪素繊維等を用いることができる。高い耐熱性の観点から、上記繊維基材は、ガラス繊維を含むことが好ましい。
【0023】
また、繊維基材を含有することにより、サンドイッチパネル100の耐熱性を一層向上させることができる。また、コア層Cとの線膨張係数差を小さくできるので、サンドイッチパネル100の反りを抑制することができる。
【0024】
[用途]
本実施形態のサンドイッチパネル100は、軽量性、機械的強度に優れ、耐熱性や耐燃性など各種の性能をバランスよく備えることができるため、航空機用パネルに好適に用いることができる。例えば、サンドイッチパネル100は、トイレやパーテーション等の航空機の内装や、ワゴンの筐体等の航空機内の備品に用いることができる。
【0025】
<サンドイッチパネルの製造方法>
本実施形態のサンドイッチパネルの製造方法は、以下の工程を含む。
準備工程:複数の樹脂シートaと、シート状基材bと、ハニカム構造を有するシート状のコア層cと、をそれぞれ準備する工程。
配置工程:コア層cのそれぞれの面上に、複数の樹脂シートaおよびシート状基材bを順に配置する工程。
積層化工程:コア層c、樹脂シートa、およびシート状基材bを加熱加圧処理により一括して積層化する工程。
以下、各工程について説明する。
【0026】
1.準備工程
まず、樹脂シートaと、シート状基材bと、コア層cと、をそれぞれ準備する。
【0027】
本実施形態の樹脂シートaは、Bステージ状態であることが好ましい。これにより、後述の積層化工程で、シート状基材bおよびコア層cと強固に一体化できる。
また、従来、マトリクス樹脂を繊維基材に含浸させたプリプレグにおいては、単一方向性の繊維基材を用いた場合、マトリクス樹脂の乾燥による収縮の影響を受けやすく、プリプレグの幅方向の寸法変形が生じやすいという問題があった。これに対し、本実施形態においては、所定の樹脂シートaを用い、シート状基材bと一体化されるため、寸法変形の発生を効果的に抑制できる。
【0028】
Bステージ状態とは、樹脂シートaを構成する樹脂について、DSC(示差走査熱量計)の測定結果から算出される反応率が、0%を超え60%以下であり、好ましくは0.5%以上55%以下であり、さらに好ましくは1%以上50%以下の状態であることを意味する。
【0029】
樹脂シートaの厚みは、5μm以上200μm以下であることが好ましい。樹脂シートaは、幅10mm以上100mm以下の範囲のテープ状、または幅10cm以上200cm以下の範囲のシート状とすることができる。
【0030】
本実施形態の樹脂シートaの最低溶融粘度は、例えば、5000Pa・s以下であり、好ましくは、4000Pa・s以下であり、より好ましくは、3000Pa・s以下である。最低溶融粘度は、用いる熱硬化性樹脂の種類、およびポリビニルブチラールの配合量を上述の範囲とすることにより調整することができる。樹脂シートaの最低溶融粘度の下限値は、例えば、200Pa・s以上である。上記範囲の最低溶融粘度であれば、繊維基材内部まで容易に含浸させることができ、室温で液状の含浸用樹脂組成物を用いた場合と同程度の含浸性とすることができる。
【0031】
ここで、樹脂シートaの最低溶融粘度とは、樹脂シートaが加熱により溶融された際に、樹脂組成物が呈する最低の粘度をいう。詳細には、一定の昇温速度で樹脂シートaを加熱して樹脂を溶融させると、初期の段階は溶融粘度が温度上昇とともに低下し、その後、ある程度を超えると温度上昇とともに溶融粘度が上昇する。最低溶融粘度とは、斯かる極小点の溶融粘度をいう。樹脂組成物層の最低溶融粘度は、動的粘弾性法により測定することができる。
【0032】
本実施形態の樹脂シートaは残炭率が30質量%以上であり、好ましくは、35質量%以上であり、より好ましくは、40質量%以上である。これにより、プリプレグおよびサンドウィッチパネルの密着性を向上できる。
樹脂シートaの残炭率の上限値は特に制限されないが、例えば、80質量%以下である。
【0033】
樹脂シートaの残炭率は、JIS K6910に準じて測定される、800℃の温度における残炭率である。
樹脂シートaの残炭率は、後述する熱硬化性樹脂およびポリビニルブチラールを特定の配合量で含むことにより制御することができる。
【0034】
また、本実施形態の樹脂シートaは、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。これにより、耐熱性、強度に優れたサンドイッチパネル100を得ることができる。
【0035】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂の中から選ばれる1種または2種が挙げられる。
【0036】
(フェノール樹脂)
上記フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂を用いることが好ましい。レゾール型フェノール樹脂は、フェノール樹脂とアルデヒド類とを、塩基性触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
【0037】
レゾール型フェノール樹脂の合成のために使用されるフェノール類としては、フェノール;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p-tert-アミルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール、p-クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p-フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体:1-ナフトール、2-ナフトール等の1価のフェノール類;およびレゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類等が挙げられる。これらは、単独でかまたは2種以上混合して使用できる。
【0038】
レゾール型フェノール樹脂の合成のために使用されるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n-ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o-トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、これらのアルデヒド類の前駆体あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することもできる。中でも、製造コストの観点から、ホルムアルデヒド水溶液を使用することが好ましい。
【0039】
レゾール型フェノール樹脂の合成のために使用される塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;石灰等の酸化物;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;リン酸ナトリウム等のリン酸塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。
【0040】
レゾール型フェノール樹脂の合成のために使用される反応溶媒としては、水が一般的であるが、有機溶媒を使用してもよい。このような有機溶媒の具体例としては、アルコール類、ケトン類、芳香族類等が挙げられる。またアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。芳香族類の具体例としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0041】
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する、換言すると、2官能以上のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。このようなエポキシ樹脂を用いることにより、高耐熱性の樹脂組成物を得ることができる。
【0042】
2官能以上のエポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂;ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;о-クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を含有するエポキシ樹脂、アダマンタン骨格を導入したエポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
本実施形態の樹脂シートaにおいて、熱硬化性樹脂の含有量は、樹脂シートa全体に対して、たとえば、50質量%以上95質量%以下であり、好ましくは、60質量%以上95%質量%以下であり、より好ましくは、70質量%以上90質量%以下である。熱硬化性樹脂の含有量を上記上限値以下とすることにより、得られる樹脂シートaの溶融時の粘度を低く抑えることができ、よって繊維基材に対する含浸性を向上することができる。
一方、熱硬化性樹脂の含有量を上記下限値以上とすることにより、得られる樹脂シートaは、高い耐熱性および耐久性を備える。
【0044】
熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、これらの配合割合は、任意の値に設定できる。なかでも熱硬化性樹脂はフェノール樹脂であることが好ましい。これにより、樹脂シートaの収縮を抑制し、良好な寸法安定性が得られる結果、密着性を向上できる。
【0045】
また、本実施形態の樹脂シートaを構成する樹脂組成物は、さらに、ポリビニルブチラールを含んでもよい。
【0046】
(ポリビニルブチラール)
本実施形態の樹脂シートaに用いられるポリビニルブチラールは、液状の熱硬化性樹脂を固形化する作用を有し、シート形成材として働く。またポリビニルブチラールを用いることにより、得られる樹脂シートaに、可撓性を付与することができる。よって、本実施形態の樹脂シートaは、所望の寸法に切断したり、目的の用途に応じて所望の形状に打ち抜き加工したりすることができる。ポリビニルブチラールは、酸触媒の存在下、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりブチラール化することにより得られる樹脂である。
【0047】
ポリビニルブチラールの重量平均分子量は、取り扱い性等の観点から、好ましくは1.0×10~1.0×10であり、より好ましくは2.0×10~5.0×10であり、さらに好ましくは3.0×10~2.0×10である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定されたポリスチレン換算によるものをいう。
【0048】
ポリビニルブチラールの重合度は、200~3000の範囲が好ましい。重合度を200以上とすることにより、得られる樹脂シートaの機械的強度を確保することができ、重合度を3000以下とすることにより、得られる樹脂シートaが適度な可撓性を有し、取扱い性に優れたものとなり得る。
【0049】
ポリビニルブチラールの含有量は、樹脂シートa全体に対し、たとえば、2質量%以上50質量%以下であり、好ましくは、5質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは、10質量%以上30質量%以下である。ポリビニルブチラールの含有量を上記下限値以上とすることにより、得られる樹脂シートaは、シートの形状を維持するのに十分な強度および可撓性を有し、使用時に繊維基材上に配置される際の取り扱い性に優れる。
一方、ポリビニルブチラールの含有量を上記上限値以下とすることにより、得られる樹脂シートaの溶融時の粘度を低く抑えることができ、よって繊維基材に対する含浸性を向上することができる。またポリビニルブチラールの含有量を上記上限値以下とすることにより、得られる樹脂シートaは、高い耐熱性および耐久性を備える。
【0050】
(その他の成分)
本実施形態の樹脂シートaは、レゾルシン類をさらに含んでもよい。レゾルシン類を含むことにより、樹脂シートaの硬化速度を向上することができる。レゾルシン類の具体例としては、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、5-メチルレゾルシン、2,5-ジメチルレゾルシン等のメチルレゾルシン類、4-エチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、2-ニトロレゾルシン、4-ブロモレゾルシン、4-n-ヘキシルレゾルシンなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。中でも、製造コストとシート成形性の観点から、レゾルシン、またはメチルレゾルシンを用いることが好ましい。
【0051】
本実施形態の樹脂シートaは、上記成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲で、ニトリルブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴム等のエラストマー、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤、着色剤、シランカップリング剤等の添加剤を含んでもよい。
【0052】
樹脂シートaは、次のようにして作製することができる。
本実施形態の樹脂シートaは、上記成分を有機溶剤に溶解して得られる液状またはワニス状の樹脂組成物を、基材シート等に塗布し、加熱処理により有機溶剤を除去してシート状に成形し、その後加熱処理によりBステージ状態(半硬化状態)にすることにより作製される。
【0053】
ワニス状の樹脂組成物に用いられる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶媒、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒及びこれらの混合物が挙げられる。中でも、メタノールが好ましく用いられる。
【0054】
ワニス状の樹脂組成物は、上記成分を有機溶剤中で混練して作製される。混練は、通常の攪拌機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜組み合わせて行うことができる。
【0055】
ワニス状の樹脂組成物をシート状に成形する工程は、基材シートに、ワニス状樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥して有機溶剤を除去して、樹脂組成物層を形成させることにより行われる。加熱乾燥の条件は、使用された有機溶剤が揮発する条件であればよく、例えば、50℃~150℃の温度で、1分~90分間の時間で行われる。
【0056】
上述のようにして得られた樹脂組成物層は、さらに加熱処理を行うことにより、半硬化(Bステージ)状態とされる。半硬化状態とするための加熱処理としては、100~200℃の温度で、1分~60分の時間の条件を用いることができる。
【0057】
基材シートとしては、上述の加熱乾燥条件に耐え得るものであれば特に制限されず、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリーエーテルケトン系フィルム等が使用される。これらの基材シートは、その表面が離型剤で処理されていてもよい。基材シートは、樹脂組成物層が形成された後に除去してもよい。また、このようにして得られた樹脂シートaは、基材シートと対向した面とは反対の面に、剥離フィルムが設けられた、剥離フィルム付樹脂シートaとして提供されてもよい。剥離フィルムとしては、基材シートと同様のものを用いることができる。
【0058】
コア層cとして上述したものを用いることができるが、コア層cが繊維クロスである場合、例えば、ハニカム構造を備えるコア層用基材に、バインダー樹脂を含浸してなるシート状の部材とすることが好適である。この場合、バインダー樹脂は硬化前であってもよく、硬化後であってもよい。
【0059】
シート状基材bとしては、上述したものを用いることができる。
【0060】
2.配置工程
次に、図2に示すように、コア層cのそれぞれの面上に、複数の樹脂シートaおよびシート状基材bを順に配置する。具体的には、コア層cの両面上にそれぞれ、樹脂シートa、シート状基材b1、樹脂シートa2、シート状基材b2、および樹脂シートa3をこの順で積層する。
すなわち、コア層cの表面に接するように樹脂シートaを配置しつつ、樹脂シートaとシート状基材b1を交互に積層し、最上面が樹脂シートaになるように積層する。これにより、樹脂シートaに含まれる熱硬化性樹脂などがコア層cおよびシート状基材bに含浸され、層間密着性を飛躍的に高めることができる。
【0061】
3.積層化工程
続けて、コア層c、樹脂シートa、およびシート状基材bを加熱加圧処理により一括して積層化する。
図2に示すように、最外面に配置された樹脂シートa3を上下方向から挟むようにして、加熱加圧処理により一括して積層化する。この時、樹脂シートa3に対して、離型フィルムを介して、平坦な押し当て板50を配置して、加熱加圧することで、一層均一に加熱加圧することができる。
【0062】
加熱処理は、好ましくは110~140℃であり、より好ましくは120~135℃である。
加圧処理は、好ましくは0.3~1.0MPaであり、より好ましくは1.5~2.5MPaである。
加熱加圧処理の温度、および圧力を上記下限値以上とするにより、コア層c、樹脂シートa、およびシート状基材bを強固に一体化できる。
一方、加熱加圧処理の温度、および圧力を上記上限値以下とするにより、シート状基材b等の破損を抑制しつつ、適切に一体化できる。
加熱加圧処理は、ガス置換などを要せず、大気下で行うことができる。このため、生産性を向上させることができる。
【0063】
押し当て板50は、公知のものを用いることができるが、例えば、SUS板、ブリキ板、アルミニウム板、マグネシウム板等の金属板が挙げられる。
また、押し当て板50の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上10mm以下でもよく、0.8mm以上5mm以下でもよく、1.0mm以上2.0mm以下でもよい。このような範囲内とすることにより、剛性と熱伝導性のバランスを図ることができる。
【0064】
本実施形態の離型フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂(PHT)等のポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリ4-メチル1-ペンテン樹脂(TPX)、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)、およびポリプロピレン樹脂(PP)の中から選ばれる1種または2種以上を含むものであることが好ましい。
離型フィルムの厚みは、特に限定されないが、好ましくは50μm以上150μm以下であり、より好ましくは75μm以上140μm以下であり、さらに好ましくは90μm以上130μm以下である。
【0065】
本実施形態のサンドイッチパネルの製造方法によれば、樹脂シートaおよびシート状基材bを適切に重ね合わせることにより、一括して積層化でき、生産効率を高めることができる。
【0066】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0067】
上記実施形態では、離型フィルムを用いた例について説明したが、離型フィルムは用いなくでもよい。
【実施例0068】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0069】
<実施例1>
(1)準備工程
以下の樹脂シートa、シート状基材b、ハニカムコアを準備した。
・樹脂シートa:以下の手順で作製した。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール(100重量部)、37%ホルマリン水溶液(151重量部)(F/Pモル比=1.7)、トリエチルアミン5重量部を添加し、還流条件下で40分間反応させた。その後、91kPaの減圧条件下で脱水を行いながら系内の温度が70℃に達したところでメタノール(40重量部)を加えて、80℃で2時間反応させ、レゾール型フェノール樹脂を得た。
これに、メタノール(120重量部)、ポリビニルブチラール樹脂(計算分子量40,000、積水化学工業製、エスレックBM-1)(30重量部)を加えて溶解させて混合し、ポリビニルブチラール変性フェノール樹脂ワニスを得た。このワニスを、バーコーターを用いてwet膜厚100μmで塗工した後、80℃の乾燥機で15分乾燥させることで、レゾール型フェノール樹脂75質量%、ポリビニルブチラール20質量%を含有するフェノール樹脂組成物シートa1を得た。
樹脂シートa1の最低溶融粘度は800Pa・s、残炭率は43%であった。
【0070】
なお、樹脂シートa1の物性は、以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
(最低溶融粘度)
樹脂シートa1をARE-G2レオメーターにて、30℃から200℃まで10℃/分の条件で昇温しながら複素粘度を測定し、最も低い粘度を最低溶融粘度とした。
(残炭率)
JIS K 6910に準じて、樹脂シートa1の残炭率を測定した。
【0071】
・シート状基材b:ロール状ガラスクロス(#7781、HEXCEL社製)
・ハニカムコア:アラミド繊維、厚み:10mm、HRH-10-1/8-3.0(HEXCEL社製)、面積:1m×3m
【0072】
(2)サンドイッチパネルの作製
ハニカムコアのそれぞれの面上に、樹脂シートa1、シート状基材b、および樹脂シートa1の順に配置し、上下面からSUS板(厚み:1.5mm、Rz:1.0μm)を押し当て、機械プレスを用い、0.4MPa、127℃、60分で加熱加圧処理を施して一括積層し、ハニカムサンドイッチパネルを得た。
【0073】
<実施例2>
最外層に配置された樹脂シートa1とSUS板と間に離型フィルム(ポリメチルペンテン:TPX(登録商標)フィルム)挿入して、上記の加熱加圧処理を行った以外は実施例1と同様にして、サンドイッチパネルを得た。
【0074】
<比較例1>
フェノール樹脂(レゾール型フェノール樹脂、Durez社製「34370」)を配合し、ガラス繊維(#7781、HEXCEL社製)に含浸させて、シート状のプリプレグ(厚さ250μm)を得た。当該プリプレグはBステージ状態であった。
つぎに、得られたシート状のプリプレグを用いて、サンドイッチパネルを製造した。
ハニカムコア(アラミド繊維、厚み:10mm、HRH-10-1/8-3.0(HEXCEL社製)、面積:1m×3m)の両面に、上記プリプレグを配置し、積層体を得た。
続いて、得られた積層体の両面にSUS板(厚み:1.5mm、Rz:1.0μm)を押し当て、機械プレスを用い、0.3MPa、127℃、60分で加熱加圧して、サンドイッチパネルを得た。
【0075】
(評価結果)
各実施例で得られたサンドイッチパネルは、コア層とプリプレグ層とが良好に密着し、強度、外観においても良好なものであった。
また、比較例のサンドウィッチパネルは、フェノール樹脂をガラス繊維に含浸させた後に乾燥してBステージ化したものであったため、乾燥による収縮が見られた。そのため、サンドウィッチパネルの密着性が実施例のものよりも劣っていた。
【符号の説明】
【0076】
50 押し当て板
100 サンドイッチパネル
A 硬化物層
A1 硬化物層
A2 硬化物層
A3 硬化物層
a 樹脂シート
a1 樹脂シート
a2 樹脂シート
a3 樹脂シート
B 基材層
B1 基材層
b シート状基材
b1 シート状基材
c コア層
図1
図2