(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054039
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240409BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240409BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20240409BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01L21/66 Y
H01L27/04 T
H01L29/91 A
H01L29/91 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160610
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 彦哲
【テーマコード(参考)】
4M106
5F038
【Fターム(参考)】
4M106AB11
4M106AB15
4M106AD02
4M106AD23
4M106CA04
4M106DD03
5F038CA10
5F038CA13
5F038DT12
5F038EZ13
5F038EZ15
(57)【要約】
【課題】半導体基板のリセス量を電気的にモニタすることが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体装置は、第一主面及び第二主面を有する第一導電型の半導体基板と、前記第一主面上に設けられる第一領域と、前記第一主面上に設けられる第二領域と、を備える。前記第二領域は、評価用素子を備える。前記評価用素子は、前記第一主面側の表面領域に設けられる前記第二導電型の第一半導体領域と、当該第一半導体領域の前記第一主面側の表面領域に設けられる前記第一導電型の第二半導体領域と、当該第一半導体領域に接する第一電極パッドと、前記第二半導体領域に接する第二電極パッドと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一主面及び第二主面を有する第一導電型の半導体基板と、
前記第一主面上に設けられる第一領域と、
前記第一主面上に設けられる第二領域と、
を備え、
前記第二領域は、評価用素子を備え、
前記評価用素子は、
前記第一主面側の表面領域に設けられる前記第一導電型と反対導電型の第二導電型の第一半導体領域と、
当該第一半導体領域の前記第一主面側の表面領域に設けられる前記第一導電型の第二半導体領域と、
当該第一半導体領域に接する第一電極パッドと、
前記第二半導体領域に接する第二電極パッドと、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
請求項1の半導体装置において、
前記第一領域は、
前記第一主面側の表面領域に設けられる前記第二導電型の第一半導体領域と、
当該第一半導体領域に接する金属層と、
を備える、半導体装置。
【請求項3】
請求項2の半導体装置において、
さらに、前記第一主面側の表面領域に設けられる前記第一導電型の第二半導体領域を有する第三領域を備える、半導体装置。
【請求項4】
請求項3の半導体装置において、
前記第二領域は、前記第二半導体領域の深さが異なる複数の前記評価用素子を備える、半導体装置。
【請求項5】
請求項4の半導体装置において、
半導体チップ領域とスクライブ領域とを備え、
前記第一領域および前記第三領域は前記半導体チップ領域に配置され、
前記第二領域は前記スクライブ領域に配置される、半導体装置。
【請求項6】
請求項4の半導体装置において、
前記第一領域、前記第二領域および前記第三領域は一つの半導体チップに設けられ、
前記第三領域は前記第一領域の外側に配置され、
前記第二領域は記第三領域の外側に配置される、半導体装置。
【請求項7】
請求項2から6の何れか1項の半導体装置において、
さらに、前記第二主面にカソード電極を備え、
前記金属層はアノード電極である、半導体装置。
【請求項8】
請求項2から6の何れか1項の半導体装置において、
前記第一領域における前記第一半導体領域の前記第二主面側に前記第二導電型の第三半導体領域を備える、半導体装置。
【請求項9】
請求項3から6の何れか1項の半導体装置において、
前記第三領域は、前記第一主面側の表面領域に設けられる前記第二導電型の第三半導体領域を備える、半導体装置。
【請求項10】
セル領域と評価用素子領域とを備える半導体装置の製造方法であって、
第一表面を有する第一導電型の半導体基板に第二導電型の不純物を導入することにより、前記半導体基板の前記第一表面から第一深さにわたり、第一半導体領域を形成するA工程と、
前記セル領域に位置する前記半導体基板および前記評価用素子領域に位置する前記第一半導体領域に前記第一導電型の不純物を導入することにより、前記半導体基板の前記第一表面から第二深さにわたり、前記第一導電型の第二半導体領域を形成するB工程と、
前記半導体基板の上に絶縁膜を形成するC工程と、
前記絶縁膜の、前記セル領域に位置する前記第一半導体領域、前記評価用素子領域に位置する前記第二半導体領域および前記第一半導体領域のそれぞれの上に開口部を形成するD工程と、
それぞれの前記開口部内に、前記セル領域に位置する前記第一半導体領域、前記評価用素子領域に位置する前記第二半導体領域および前記第一半導体領域に電気的に接続されるコンタクト部を形成するE工程と
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9の半導体装置の製造方法において、
前記B工程は、前記評価用素子領域における複数の前記第一半導体領域のそれぞれの中央部に幅の異なるレジストパターンを形成して、前記レジストパターンをマスクとしたイオン注入法により、前記第一導電型の不純物を導入する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体装置に関し、例えば、半導体基板のリセス量をモニタする半導体装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「半導体ウエハの製造過程において、半導体素子の素子特性等の半導体チップの電気特性をモニタリングし、不良を一速く検出するために、半導体ウエハには、半導体チップの電気特性を評価する少なくとも1つのモニタ素子(モニタパターン)と、このモニタ素子に導通され、モニタ素子の動作検査を行うためのモニタ素子用電極パッドとが形成される。モニタ素子用電極パッドにプローブを接触させて、半導体チップの電気特性の検査がなされる。」ことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリコン(Si)等の半導体基板と金属配線とを接続するコンタクト工程において、ドライエッチングによる半導体基板表面へのダメージを低減するため、ウエットエッチングが行われる場合がある。しかし、半導体基板のウエットエッチングのエッチングレートは不安定である。エッチングしすぎると半導体基板にリセスが形成されることがある。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば次の通りである。すなわち、半導体装置は、第一主面及び第二主面を有する第一導電型の半導体基板と、前記第一主面上に設けられる第一領域と、前記第一主面上に設けられる第二領域と、を備える。前記第二領域は、評価用素子を備える。前記評価用素子は、前記第一主面側の表面領域に設けられる前記第二導電型の第一半導体領域と、当該第一半導体領域の前記第一主面側の表面領域に設けられる前記第一導電型の第二半導体領域と、当該第一半導体領域に接する第一電極パッドと、前記第二半導体領域に接する第二電極パッドと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記半導体装置によれば、半導体基板のリセス量を電気的にモニタすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態における半導体装置の全体平面図である。
【
図4】
図4は
図3に示す半導体装置のA-A’線に沿った要部断面図である。
【
図5】
図5は
図3に示す半導体装置のB-B’線に沿った要部断面図である。
【
図6】
図6は
図3に示す半導体装置のC-C’線に沿った要部断面図である。
【
図7】
図7は
図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図8】
図8は
図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図9】
図9は
図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図12】
図12は
図3に示すモニタ素子を形成するためのイオン注入マスクパターン開口及びコンタクト開口パターンを示すレイアウト図である。
【
図13】
図13はN+型半導体領域を形成するイオン注入を示す図である。
【
図14】
図14はN+レジストの幅とN+プロファイルの関係を示す図である。
【
図15】
図15は変形例における半導体装置の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。
【0010】
FRD(Fast Recovery Diode)を例に実施形態における半導体装置を説明する。FRDは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワーデバイスに並列接続される還流ダイオードに使用される。
【0011】
実施形態における半導体装置の構成について
図1から
図6を参照して説明する。
図1は実施形態における半導体装置の全体平面図である。
図2は
図1に示す半導体領域の拡大平面図である。
図3は
図1に示す破線部分の拡大平面図である。
図4は
図3に示す半導体装置のA-A’線に沿った要部断面図である。
図5は
図3に示す半導体装置のB-B’線に沿った要部断面図である。
図6は
図3に示す半導体装置のC-C’線に沿った要部断面図である。
【0012】
実施形態における半導体装置1は、半導体基板1sを有する。半導体基板1sは、一方の主面(第一主面)としての表面と、他方の主面(第二主面)としての、表面と反対側の裏面と、を有する。なお、半導体装置1では、半導体基板、半導体層(半導体領域)などの導電型(P型またはN型)を反転させた構成としてもよい。そのため、N型およびP型の一方の導電型を第一導電型とし、他方の導電型を第二導電型とした場合、第一導電型をP型、第二導電型をN型とすることもできるし、反対に第一導電型をN型、第二導電型をP型とすることもできる。
【0013】
図1に示すように、半導体装置1は、平面視矩形状の半導体チップ領域2がマトリクス状に複数形成されたものである。隣接する半導体チップ領域2間がスクライブ領域3となっている。半導体チップ領域2の数や配置等は適宜設計される。スクライブ領域3には評価用素子4が配置されている。評価用素子4は半導体チップに発生する製造上の問題を見つけ出すための素子であり、TEG(Test Element Group)と呼ばれる。図示する例では、評価用素子4が三つ配置されているが、これに限定されるものではなく、二つ以下であってもよいし四つ以上であってもよい。本明細書では、スクライブ領域3を評価用素子形成領域ともいう。半導体装置1は、ダイシング工程で個々の半導体チップに分割される。
【0014】
図2に示すように、半導体チップ領域2は、セル領域2aと、周辺領域2bと、外周領域2cと、を有する。周辺領域2bは、セル領域2aに対して、例えば半導体チップ領域2の外周側に設けられている。外周領域2cは、周辺領域2bに対して、例えば半導体チップ領域2の外周側に設けられている。
【0015】
セル領域2aには、アノード電極AEが設けられている。アノード電極AEの一部は、ボンディングワイヤ等を接続するための電極パッドとなる。アノード電極AEは電極パッドとなる箇所を除いて絶縁膜(不図示)に覆われている。
【0016】
周辺領域2bには、後述する周辺電極が設けられている。周辺電極PE1,PE2は、アノード電極AEに対して、例えば半導体チップ領域2の外周側に設けられている。
【0017】
図3に示すように、評価用素子4には、モニタ素子41と、複数の電極パッド42,43とが形成されている。モニタ素子(モニタパターン)41は半導体装置1の製造過程において半導体チップ領域2の半導体素子の素子特性等を評価するためのモニタパターンである。電極パッド42,43はモニタ素子41に導通され、モニタ素子41の電気的特性検査を行うためのパッドである。複数の電極パッド42,43のそれぞれにプローブを接触させてモニタ素子の特性が評価される。
【0018】
図4に示すように、モニタ素子41は半導体チップ領域2の半導体素子の素子特性を評価するためのダイオードであり、半導体装置1の表層に形成される。この上に層間絶縁膜21が覆うように形成される。層間絶縁膜21の上および層間絶縁膜21に形成されたコンタクトホール22内に金属層23が形成される。
【0019】
モニタ素子41は半導体基板1sの主要部を構成するN-型ドリフト領域11の上に設けられる。モニタ素子41はP型の第一半導体領域(P型ボディ領域)14とP型ボディ領域14の半導体基板1sの表面側の部分に設けられるN型の第二半導体領域(N+型半導体領域)15で構成されている。P型ボディ領域14は、P型の導電型の半導体領域であり、N+型半導体領域14は、P型の導電型とは異なるN型の導電型の半導体領域である。ここで、N+型半導体領域14の不純物濃度は、N-型ドリフト領域11よりも高い。
【0020】
図5に示すように、セル領域2aには、N-型ドリフト領域11の上に、P型ボディ領域14と、P型の第三半導体領域(P型フィールド領域)13とが、設けられている。P型ボディ領域14はアノード電極AEと電気的に接続されている。P型フィールド領域13はP型ボディ領域14よりも深く設けられている。セル領域2aに形成されたP型フィールド領域13は、P型ボディ領域14とN-型ドリフト領域11との間の電流経路を広げて電流密度を下げるために設けられる半導体層である。
【0021】
周辺領域2bには、N+型半導体領域15が設けられている。N+型半導体領域15は周辺電極PE2と電気的に接続されている。また、N+型半導体領域15よりも深くP型フィールド領域13が設けられている。P型フィールド領域13は周辺電極PE1と電気的に接続されている。周辺電極PE1,PE2は、アノード電極AEのようなボンディングワイヤ等を接続するための電極ではなく、電位は与えられない。
図5では、P型フィールド領域13およびP型フィールド領域13に接続される周辺電極PE1は一つずつ示されているが、これに限定されるものではなく、二つ以上の複数であってもよい。また、P型フィールド領域13とN+型半導体領域15との間およびP型フィールド領域13とセル領域2aのP型フィールド領域13との間に素子分離領域12が設けられている。素子分離領域12は、例えば、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)により形成されている。周辺領域2bに形成された素子分離領域12(所謂フィールド酸化膜)およびP型フィールド領域13は、空乏層を外周領域に伸ばすことによって電界緩和を行い、ダイオードの耐圧を向上させる領域である。また、周辺領域2bに形成されたN+型半導体領域15は、個々のダイオードを構成する半導体チップの端部に空乏層が到達することを抑制する機能を有する。
【0022】
半導体装置1の製造方法について、
図7~11を用いて説明する。
図7~11は、
図6に示す半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図7~11は、
図6の断面図と同じ断面の断面図である。
【0023】
まず、
図7に示すように、例えばリン等のN型不純物が導入されたシリコン単結晶の半導体基板1sから構成される半導体ウエハを用意する。半導体ウエハは、表面1aと、表面1aとは反対側の裏面1bと、を有する。
【0024】
半導体ウエハにおけるN型不純物の不純物濃度を、例えば2×1014cm-3程度とすることができる。半導体ウエハの厚さを、例えば450μm~1,000μm程度とすることができる。
【0025】
次に、半導体ウエハの表面にシリコン窒化膜(Si3N4)を形成し、Si3N4膜をパターニングしてSi3N4膜マスクを形成する。Si3N4膜マスク領域以外の領域の半導体ウエハの表面を酸化性雰囲気で酸化して素子分離領域12を形成する。
【0026】
次に、レジストパターンをマスクとしたイオン注入法により、半導体ウエハの表面1a側の半導体基板1sにP型不純物を導入することによって、P型半導体領域13を形成する。このときのイオン注入条件としては、例えばイオン種をボロン(B)とし、ドーズ量を3.5×1013cm-2程度とし、注入エネルギーを75keV程度としたイオン注入条件を、好適なものとして例示することができる。
【0027】
次に、レジスト除去後、例えば1200℃程度、30分程度のアニールを不活性ガスとしての窒素(N2)ガスの雰囲気において実行し、P型フィールド領域13に対する結晶欠陥の修復および引き延ばし拡散を行う。
【0028】
次に、
図8に示すように、レジストパターンをマスクとしたイオン注入法により、セル領域2aおよびスクライブ領域3の必要な部分にP型不純物を導入することによって、P型ボディ領域14を形成する。
【0029】
具体的には、このP型ボディ領域14は、セル領域2aに形成されたP型フィールド領域13上およびN-型ドリフト領域11(1s)上に形成される。また、P型ボディ領域14は、スクライブ領域3のN-型ドリフト領域11(1s)上に形成される。
【0030】
このときのイオン注入条件としては、例えばイオン種をBとし、ドーズ量を1×1013cm-2程度とし、注入エネルギーを75keV程度としたイオン注入条件を、好適なものとして例示することができる。レジスト除去後、例えば1000℃程度、100分程度のアニールをN2ガス雰囲気において実行する。
【0031】
次に、
図9に示すように、レジストパターンをマスクとしたイオン注入法により、周辺領域2bのN-型ドリフト領域11(1s)上およびスクライブ領域3のP型ボディ領域14の上にN型不純物を導入することによって、N+型半導体領域15を形成する。
【0032】
このときのイオン注入条件としては、例えばイオン種を砒素(As)とし、ドーズ量を5×1015cm-2程度とし、注入エネルギーを80keV程度としたイオン注入条件を、好適なものとして例示することができる。レジスト除去後、例えば1000℃程度、100分程度のアニールをN2ガス雰囲気において実行する。
【0033】
次に、
図10に示すように、半導体ウエハの表面1a上に、例えばCVD法等により、例えばPSG膜からなる層間絶縁膜21を形成する。層間絶縁膜21は、例えばドリフト領域11(1s)、P型半導体領域13、P型ボディ領域14およびN+型半導体領域15を覆うように形成される。層間絶縁膜21の厚さは、例えば0.6μm程度である。この層間絶縁膜21の材料としては、PSG膜のほか、BPSG(Boro Phospho Silicate Glass)膜、NSG(Non-doped Silicate Glass)膜、SOG(Spin-On-Glass)膜、シリコン酸化(SiO
2)膜、またはこれらの複合膜等を好適なものとして例示することができる。
【0034】
次に、レジストパターンをマスクとした異方性ドライエッチング法により、層間絶縁膜21にコンタクトホール(開口)22を形成する。この異方性ドライエッチングのガスとしては、例えばアルゴン(Ar)ガス、トリフルオロメタン(CHF3)ガスおよびテトラフルオロメタン(CF4)ガスからなる混合ガス等を、好適なものとして例示することができる。
【0035】
続いて、ドライエッチングによる半導体基板表面へのダメージを低減するため、レジスト除去後、層間絶縁膜21をマスクとしたSEZウエットエッチング法により、コンタクトホール22および半導体基板1sをエッチングする。SEZウエットエッチングのエッチング液としては、例えば、硝酸(HNO3):フッ化水素(HF)=200:1を、好適なものとして例示することができる。
【0036】
次に、
図11に示すように、アノード電極AE等の金属層23を形成する。具体的には、例えば以下のような手順で実行する。まず、半導体ウエハの表面1a上の全面に、コンタクトホール22を埋め込むように、例えばスパッタリング法により、アルミニウム系金属膜(例えば数%シリコン添加、残りはアルミニウム)を形成する。アルミニウム系金属膜の厚さは、例えば5μm程度である。
【0037】
次に、レジストパターンをマスクとしたドライエッチング法により、アルミニウム系金属膜から構成される金属層23を形成する。このドライエッチングのガスとしては、例えば塩素(Cl2)/三塩化ホウ素(BCl3)ガス等を、好適なものとして例示することができる。
【0038】
これにより、セル領域2aでは、コンタクトホール22の内部と層間絶縁膜21上にアノード電極AEが形成される。スクライブ領域3では、コンタクトホール22の内部と層間絶縁膜21上に電極パッド42,43が形成される。ここで、コンタクトホール22内の金属層23をコンタクト部という。
【0039】
アノード電極AEは、セル領域2aに形成されたP型ボディ領域14と電気的に接続される。電極パッド42は、スクライブ領域3に形成されたP型ボディ領域14と電気的に接続され、電極パッド43は、スクライブ領域3に形成されたN+型半導体領域15と電気的に接続される。
【0040】
次に、アノード電極AE上に、例えばポリイミドを主要な成分とする有機膜等からなるパッシベーション膜としての絶縁膜を形成する。絶縁膜の厚さは、例えば2.5μm程度である。
【0041】
次に、レジストパターンをマスクとしたドライエッチング法により、絶縁膜をパターニングして、絶縁膜を貫通してアノード電極AEに達する開口部を形成する。そして、開口部に露出した部分のアノード電極AEで構成されるアノードパッドを形成する。
【0042】
次に、半導体ウエハの裏面1bに対して、バックグラインディング処理を施すことによって、例えば800μm程度の厚さを、必要に応じて、例えば30μm~200μm程度に薄膜化する。例えば耐圧が600V程度とすると、最終厚さは、70μm程度である。また、必要に応じて、裏面1bのダメージ除去のためのケミカルエッチング等も実施する。
【0043】
次に、例えばスパッタリング法により、半導体ウエハの裏面1bに、ドリフト領域11(1s)と電気的に接続されたカソード電極24を形成する。その後、ダイシング等により、半導体基板1sの半導体チップ領域2に分割し、必要に応じて、パッケージに封止することにより、半導体装置としての半導体チップが略完成する。
【0044】
上述したように、P型ボディ領域が形成されている半導体基板1sと金属層23とを接続するコンタクト工程において、ドライエッチングによる半導体基板1sの表面へのダメージを低減するため、ウエットエッチングが行われる。半導体基板1sを構成するSiのウエットエッチングのエッチングレートは不安定である。エッチングしすぎると半導体基板1sにリセスが形成され、RRSOA破壊が発生することがある。
【0045】
そこで、実施形態では、評価用素子4によりSiリセス量をモニタする。評価用素子4によるSiリセス量のモニタ方法について
図4を参照して説明する。
【0046】
電極パッド42に電圧(V1)、電極パッド43に電圧(V2)を印加して、電極パッド42、43間の電流を測定する。ここで、V2>V1であり、モニタ素子41に形成されるPN接合ダイオードに逆方向電圧が印加される。Siリセス量がN+型半導体領域15の最小深さ(d)を超えたら、PN接合ダイオードが機能しなくなり、大電流が流れる。この測定法でSiリセス量をモニタする。
【0047】
最小深さ(d)が異なる複数のN+型半導体領域15の形成し、電流を測定することで、Siリセス量のモニタを多値化することができる。
【0048】
最小深さ(d)が異なる複数のN+型半導体領域15の形成方法について
図12~14を参照して説明する。
図12は
図3に示すモニタ素子を形成するためのイオン注入マスクパターン開口及びコンタクト開口パターンを示すレイアウト図である。
図13はN+型半導体領域を形成するイオン注入を示す図である。
図14はN+レジストの幅とN+プロファイルの関係を示す図である。
【0049】
上述したように、レジストパターンをマスクとしたイオン注入法により、スクライブ領域3の必要な部分にP型不純物を導入することによって、P型ボディ領域14が形成される。このときに使用されるレジストパターンの開口領域が、
図12に示すP型ボディ注入開口領域14oである。
【0050】
上述したように、レジストパターンをマスクとしたイオン注入法により、スクライブ領域3のP型ボディ領域14の上にN型不純物を導入することによって、N+型半導体領域15が形成される。このイオン注入をN+注入という。このときに使用されるレジストパターンの開口領域が、
図12に示すN+注入開口領域15oである。また、このときのレジストが、
図13に示すN+レジスト15rである。
【0051】
上述したように、レジストパターンをマスクとした異方性ドライエッチング法により、層間絶縁膜21にコンタクトホール22が形成される。このときに使用されるレジストパターンの開口領域が、
図12に示すコント開口領域22oである。
【0052】
同じ条件のN+注入でも、
図13に示す真ん中のN+レジスト15rの幅(L)を変えることで、
図14に示すように、最小深さ(d)を変調することができ、Siリセス量のモニタを多値化することができる。
【0053】
N+レジスト15rがない(L=0)ときは、N型不純物の半導体基板1sの表面から深さ方向への不純物濃度分布(N+プロファイル)の深さは略一様である。このときの最小深さをd0とする。
【0054】
N+レジスト15rの幅がL1(L=L1>0)ときは、N+プロファイルの深さは浅くなる。このときの最小深さをd1とすると、d1<d0である。
【0055】
N+レジスト15rの幅がL2(L=L2>L1)ときは、N+プロファイルの深さはさらに浅くなる。このときの最小深さをd2とすると、d2<d1である。
【0056】
最小深さ(d)は、例えば、40nm以上200nm以下の範囲で複数の値に設定される。
【0057】
なお、N+レジスト15rの幅のみの調整で所望の最小深さを得られない場合、N+型半導体領域15の注入条件や注入拡散アニール条件を調整するようにしてもよい。
【0058】
本実施形態によれば、電気特性評価(ダイオードの電流測定)によってSiリセス量をモニタすることが可能になる。また、評価用素子を複数設けることにより、Siリセス量のモニタを多値化することが可能になる。また、FRDでは、セル領域のP型ボディ領域の形成プロセスと周辺領域のチップ最外周のN+注入のプロセスがあるので、プロセスを追加することなく、評価用素子を形成することができ、付加的なコストがかからない。
【0059】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の一部、および、変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0060】
実施形態では、評価用素子4をスクライブ領域3に配置する例を説明したが、半導体チップ領域2の外周領域のコーナ付近に配置してもよい。変形例における半導体装置について
図15を参照して説明する。
図15は変形例における半導体装置の概略上面図である。
図16は
図15に示す評価用素子の拡大平面図である。
図17は
図15に示す半導体装置のD-D’線に沿った要部断面図である。
【0061】
図15に示すように、変形例における半導体チップ領域2は、実施形態における半導体チップ領域2の外周領域2cに評価用素子4a,4b,4c,4dを有する。評価用素子4a,4b,4c,4dは外周領域2c(評価用素子領域)に設けられる。
図16、17に示すように、評価用素子4a,4b,4c,4dは実施形態における評価用素子4と同様の構造である。上述したように、半導体装置1は、ダイシング工程で個々の半導体チップに分割される。この分割された半導体チップを半導体装置ともいう。
【0062】
ただし、評価用素子4a,4b,4c,4dのそれぞれのN+半導体領域15の最小深さ(d)は異なり、その深さをd1、d2、d3およびd4とすると、例えば、d1<d2<d3<d4である。これにより、半導体チップ毎にSiリセス量をモニタすることが可能になる。
【0063】
以上、本開示者によってなされた開示を実施形態および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1・・・半導体装置
1s・・・半導体基板
1a・・・表面(第一主面)
1b・・・裏面(第二主面)
2a・・・セル領域(第一領域)
2b・・・周辺領域(第三領域)
2c・・・外周領域(評価用素子領域、第二領域)
3・・・スクライブ領域(評価用素子領域、第二領域)
4・・・評価用素子
11・・・ドリフト領域
13・・・P型フィールド領域(第三半導体領域)
14・・・P型ボディ領域(第一半導体領域)
15・・・N+型半導体領域(第二半導体領域)
21・・・絶縁膜
22・・・コンタクトホール(開口)
23・・・金属層
42・・・電極パッド(第一電極パッド)
43・・・電極パッド(第二電極パッド)
AE・・・アノード電極(金属層)