(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005404
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】自動販売機システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240110BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20240110BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240110BHJP
【FI】
G06Q10/08
G07F9/00 L
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105577
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 恒治
【テーマコード(参考)】
3E044
5L049
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044DE01
3E044DE02
5L049AA16
5L049BB46
(57)【要約】
【課題】配送車の駐車位置から、商品を収納する配送用ケースを台車上に多段積みして複数の自動販売機に対する商品補充を行う場合における商品補充作業を効率的に行うことができる自動販売機システムを提供する。
【解決手段】管理サーバは、ルートマンの携帯端末からの配送計画作成要求を受け付けると、台車40に多段積みされて商品を収納する配送用ケース51~56を各段の配送用ケース群61~63にグループ分けし、各自動販売機に補充すべき商品を、自動販売機を単位として訪問順序の逆順であって各配送用ケース群61~63の下段から配送用ケース群61~63ごとに各配送用ケース群61~63の商品収納可能数以内に割り当てたピッキングリストD20を作成し、ピッキングリストD20を含む配送計画を携帯端末に通知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動販売機及び各自動販売機に商品補充などの作業を行う訪問作業員の携帯端末に接続された管理サーバを有し、前記管理サーバは、各自動販売機から取得した商品販売情報をもとに各自動販売機の商品売上を取得し、取得した商品売上をもとに各自動販売機に対する商品コラムごとの補充数を算出し、該補充数を含む配送計画を前記携帯端末に通知する自動販売機システムであって、
前記管理サーバは、前記携帯端末からピッキングリスト作成要求を含む配送計画作成要求を受け付けると、台車に多段積みされて商品を収納する配送用ケースを各段の配送用ケース群にグループ分けし、各自動販売機に補充すべき商品を、自動販売機を単位として訪問順序の逆順であって各配送用ケース群の下段から配送用ケース群ごとに各配送用ケース群の商品収納可能数以内に割り当てたピッキングリストを作成し、該ピッキングリストを含む配送計画を前記携帯端末に通知することを特徴とする自動販売機システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、全自動販売機に補充すべき商品が全配送用ケース群に収納できない場合、訪問順序に対応して分割した複数のピッキングリストを作成することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、最上段の配送用ケース群の商品収納可能数を割り増して前記ピッキングリストを作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動販売機システム。
【請求項4】
前記配送用ケースは、多段積みが可能な折り畳みコンテナであることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送車の駐車位置から、商品を収納する配送用ケースを台車上に多段積みして複数の自動販売機に対する商品補充を行う場合における商品補充作業を効率的に行うことができる自動販売機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機の設置業者である飲料メーカーでは、ルートマンが各自動販売機を巡回して、売上金の回収や釣り銭の補充を行うとともに、商品の補充及び入れ替えを行っている。ここで、自動販売機をオンライン化し、自動販売機の販売数データをもとに自動販売機への商品補充量を把握するものが提案されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-42217号公報
【特許文献2】特開2002-74479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動販売機に対する補充作業等のために巡回中の配送車において自動販売機の商品補充情報を取得して商品補充を行う直近検量方式では、配送車が自動販売機近傍の駐車場に到着した後、取得した商品補充情報をもとに補充に必要な商品を配送車内からピッキングする。このピッキングされた商品は、逐次配送用ケースに収納され、台車に積まれて商品補充すべき自動販売機に搬送される。
【0005】
ここで、ショッピングモールやビル内に複数の自動販売機が存在する場合、配送車の駐車位置から複数の自動販売機への補充商品をまとめて台車に積んで各自動販売機に配送する。そして、台車に積まれる配送用ケースは、台車上に2段あるいは3段に多段積みされる。
【0006】
この場合、自動販売機毎に補充する複数の商品をピッキングすると同じ商品のピッキングが繰り返されることになり、ピッキング作業効率が悪くなるため、複数の自動販売機全体に対して商品ごとにピッキングしてピッキング作業効率を向上させることができる。
【0007】
しかし、商品毎のピッキングを行うと、商品が特定の配送用ケースにまとまって収納されてしまうため、各自動販売機を巡回する際、下段の配送用ケースに収納されている商品を取り出す場合が発生し、自動販売機に対する補充作業に時間がかかってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、配送車の駐車位置から、商品を収納する配送用ケースを台車上に多段積みして複数の自動販売機に対する商品補充を行う場合における商品補充作業を効率的に行うことができる自動販売機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の自動販売機及び各自動販売機に商品補充などの作業を行う訪問作業員の携帯端末に接続された管理サーバを有し、前記管理サーバは、各自動販売機から取得した商品販売情報をもとに各自動販売機の商品売上を取得し、取得した商品売上をもとに各自動販売機に対する商品コラムごとの補充数を算出し、該補充数を含む配送計画を前記携帯端末に通知する自動販売機システムであって、前記管理サーバは、前記携帯端末からピッキングリスト作成要求を含む配送計画作成要求を受け付けると、台車に多段積みされて商品を収納する配送用ケースを各段の配送用ケース群にグループ分けし、各自動販売機に補充すべき商品を、自動販売機を単位として訪問順序の逆順であって各配送用ケース群の下段から配送用ケース群ごとに各配送用ケース群の商品収納可能数以内に割り当てたピッキングリストを作成し、該ピッキングリストを含む配送計画を前記携帯端末に通知することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記管理サーバは、全自動販売機に補充すべき商品が全配送用ケース群に収納できない場合、訪問順序に対応して分割した複数のピッキングリストを作成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記管理サーバは、最上段の配送用ケース群の商品収納可能数を割り増して前記ピッキングリストを作成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記配送用ケースは、多段積みが可能な折り畳みコンテナであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配送車の駐車位置から、商品を収納する配送用ケースを台車上に多段積みして複数の自動販売機に対する商品補充を行う場合における商品補充作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機システムの概要構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、ピッキングリストの作成処理を説明する説明図である。
【
図3】
図3は、管理サーバによるピッキングリストを含む配送計画の作成処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
<自動販売機システムの概要構成>
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機システムの概要構成を示す模式図である。この自動販売機システムは、ショッピングモールやビル内に配置される複数の自動販売機1~6の各通信ユニット11~16、及び、各自動販売機1~6に商品補充などの作業を行う訪問作業員であるルートマン100の携帯端末10に接続される管理サーバ31を有する。ルートマン100の作業には、商品補充の他に、故障対応、売上金回収、釣銭補充などがある。自動販売機1~6は、複数の自動販売機の一例を示している。
【0017】
管理サーバ31は、クラウド30上のサーバであり、売上算出部32、配送計画部33及びデータベース部36を有する。データベース部36は、自販機データD1、売上データD2、自販機在庫データD3、配送計画D4を有する。自販機データD1は、自動販売機1~6の静的な情報であり、自動販売機1~6の設置場所、商品構成情報などを記憶する。売上データD2は、自動販売機1~6から送られる一件明細をもとに売上を更新して記憶する。自販機在庫データD3は、各自動販売機の動的な在庫情報であり、例えば、自動販売機ごと、商品名、在庫数、補充数がほぼリアルタイムで随時更新される。在庫数は、自動販売機から送られる一件明細をもとに更新し、補充数はルートマン100による商品補充の完了の際、携帯端末10あるいは通信ユニット11~16を介して通知されて更新される。
【0018】
本実施の形態では、自動販売機に対する補充作業等のために巡回中の配送車において携帯端末10を介して自動販売機の商品補充情報を取得して商品補充を行う直近検量方式を採用している。この直近検量方式では、商品を搭載した配送車20が自動販売機1~6の近傍の駐車場PP1に到着した後、取得した商品補充情報をもとに補充に必要な商品を配送車20内からピッキングする。このピッキングされた商品は、逐次配送用ケースに収納され、台車40に積まれて商品補充すべき自動販売機1~6に搬送される。
【0019】
したがって、配送計画D4は、駐車場PP1から各自動販売機1~6を巡回する配送ルートR、各自動販売機1~6に補充すべき商品の補充数、及び、後述するピッキングリストを含む。ピッキングリストは、台車40に多段積みされる各段の配送用ケースに収納すべき商品のリストが提示されたものである。
【0020】
売上算出部32は、逐次、自動販売機側から送られる一件明細をもとに売上データD2を算出する。この売上データD2により自販機在庫データD3も更新される。
【0021】
配送計画部33は、携帯端末10からのピッキングリスト作成要求を含む配送計画作成要求を受け付けると、台車40に多段積みされて商品を収納する配送用ケースを各段の配送用ケース群にグループ分けし、各自動販売機1~6に補充すべき商品を、自動販売機を単位として訪問順序の逆順であって各配送用ケース群の下段から配送用ケース群ごとに各配送用ケース群の商品収納可能数以内に割り当てたピッキングリストを作成し、このピッキングリストを含む配送計画D4を携帯端末10に通知する。
【0022】
なお、上記のように、配送計画D4には、配送ルートR及び各自動販売機1~6に対する補充数が含まれる。配送ルートRは、配送計画部33により各自動販売機1~6の設置場所LP1~LP6及び補充数などをもとに最短ルートを作成してもよいが、ルートマン100が携帯端末10を介して選択作成した配送ルートを、配送計画作成要求内に含めてルートマン100側から提示するようにしてもよい。
【0023】
<ピッキングリストの作成>
図2は、ピッキングリストの作成処理を説明する説明図である。
図2に示すように、配送計画部33は、ピッキングリスト作成要求を含む配送計画作成要求を受け付けると、まず、台車40に多段積みされる配送用ケース51~56を各段の配送用ケース群61~63にグループ分けし、各段の配送用ケース群61~63の商品収納可能数を算出する。この商品収納可能数は、台車40に対する配送用ケース51~56に対して予め決定された多段積み態様及び配送用ケース51~56の種別をもとに算出する。予め、多段積み態様及び配送用ケース51~56の種別が決定されていない場合、携帯端末10側から管理サーバ31側に通知してもよいし、管理サーバ31側から携帯端末10側に配送計画D4に含めて通知してもよい。
図2(a)では、1段目~3段目までの各配送用ケース群61~63の商品収納可能数がそれぞれ80本として算出されている。
【0024】
その後、
図2(b)に示すように、配送計画部33は、配送計画D10を作成する。配送計画部33は、配送ルートRを決定し、決定した配送ルートR順の各自販機A~F(各自動販売機1~6に対応)に補充すべき商品種別ごとの補充数を算出する。この算出結果が配送計画D10である。さらに配送計画部33は、自動販売機を単位として訪問順序の逆順であって各配送用ケース群61~63の下段(1段目:配送用ケース群61)から配送用ケース群61~63ごとに各配送用ケース群61~63の商品収納可能数以内に割り当てる。
【0025】
図2(b)では、1段目の配送用ケース群61に自販機D,E,Fの補充数66本が割り当てられ、2段目の配送用ケース群62に自販機B,Cの補充数75本が割り当てられ、3段目(最上段)の配送用ケース群63に自販機Aの補充数70本が割り当てられている。
【0026】
その後、
図2(c)に示すように、配送計画部33は、各段の配送用ケース群61~63ごとに、商品種別ごとの補充数を示す各段ピッキングリストD21~D23による構成されるピッキングリストD20を作成し、配送計画D4内のピッキングリストD20として携帯端末10に通知する。
【0027】
このピッキングリストD20の通知を受けたルートマン100は、ピッキングリストD20を参照して、1段目の配送用ケース群61から順に商品をピッキングして配送用ケースに商品を収納する。このようなピッキングを行うことにより、各自動販売機1~6への商品補充作業の際、上段の配送用ケース群からそのまま商品を取り出すことができ、配送用ケース51~56の配置替え等の無駄な作業を行わなくて済み、訪問順序に対応して商品補充作業を効率的に行うことができる。
【0028】
なお、配送用ケース51~56を折り畳みコンテナとし、商品が空になった配送用ケースを折り畳んで、その後の商品補充を行うとよい。折り畳みコンテナとすることにより、商品が空になった配送用ケースの収納スペースを小さくすることができる。また、折り畳みコンテナでなくても、上部に向かって開口がテーパ状に広がり、重ね合わせが可能な配送用ケースを用いて、商品が空になった配送用ケースを、商品が収納されている最上段の配送用ケースの底面から重ね合わせするようにしてもよい。また、空になった配送用ケースを配置するスペースが台車40上に存在する場合には、このスペースに配置すればよい。
【0029】
また、全自動販売機に補充すべき商品が全配送用ケース群に収納できない場合、訪問順序に対応して分割した複数のピッキングリストD20を作成する。この場合、配送ルートRも複数作成される。
【0030】
さらに、最上段の配送用ケース群の商品収納可能数を割り増してピッキングリストD20を作成するようにしてもよい。最上段の配送用ケース群の上部には、配送用ケースが積まれないため、山積みが可能だからである。例えば、配送用ケース群63の商品収納可能数は80本であったが、100本に割り増ししてもよい。
【0031】
<配送計画作成処理>
図3は、管理サーバ31によるピッキングリストを含む配送計画の作成処理手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、まず、管理サーバ31は、ピッキングリスト作成要求を含む配送計画作成要求があったか否かを判定する(ステップS101)。配送計画作成要求がない場合(ステップS101:No)には、本判定処理を繰り返す。
【0032】
一方、配送計画作成要求があった場合(ステップS101:Yes)には、各自動販売機への配送ルート及び補充数の算出を行う(ステップS102)。さらに、台車40上の各段ピッキングリストD21~D23からなるピッキングリストD20を作成する(ステップS104)。その後、作成したピッキングリストD20を含む配送計画D4を、携帯端末10を介してルートマン100に通知し(ステップS105)、本処理を終了する。
【0033】
なお、上述した実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0034】
1~6 自動販売機
10 携帯端末
11~16 通信ユニット
20 配送車
30 クラウド
31 管理サーバ
32 売上算出部
33 配送計画部
36 データベース部
40 台車
51~56 配送用ケース
61~63 配送用ケース群
100 ルートマン
D1 自販機データ
D2 売上データ
D3 自販機在庫データ
D4,D10 配送計画
D20 ピッキングリスト
D21~D23 各段ピッキングリスト
LP1~LP6 設置場所
PP1 駐車場
R 配送ルート