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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054041
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】車体フレーム構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20240409BHJP
   B62D 21/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B62D21/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160613
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 光瑠
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BA06
3D203BB12
3D203BB22
3D203CA53
3D203CA68
3D203DB05
(57)【要約】
【課題】床下空間を確保しつつ、車体剛性を向上させることができる。
【解決手段】第1の結合部としての結合部CP1において、サイドシルフロント230と、サイドシルフロント230の車両後方端部と直線状に結合されたサイドシルリア240と、結合部CP1よりも車両後方側に設けられた第2の結合部としての結合部CP2において、フロントサイドフレーム200と、フロントサイドフレーム200の車両後方端部と直線状に結合されたリアサイドフレーム210とを備え、フロントサイドフレーム200は、結合部CP1において、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とを覆うように、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とに結合している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延在し、車幅方向両側の側方底面に設けられたサイドシルフロントと、
前記車両前後方向に延在し、車両前方端部が前記サイドシルフロントの車両後方端部と結合されたサイドシルリアと、
前記車両前方端部から前記車両前後方向に延在し、前記車幅方向両側の前記サイドシルフロントの車幅方向内側に設けられたフロントサイドフレームと、
前記車両前後方向に延在し、前記車両前方端部が前記フロントサイドフレームの前記車両後方端部と結合されたリアサイドフレームと、
を備え、
前記サイドシルフロントと前記サイドシルリアとは、第1の結合部において前記車両前後方向に直線状に延在して結合し、前記フロントサイドフレームと前記リアサイドフレームとは、前記第1の結合部よりも車両後方側の第2の結合部において前記車両前後方向に直線状に延在して結合し、
前記フロントサイドフレームは、前記第1の結合部において、前記サイドシルフロントと前記サイドシルリアとを覆うように、前記サイドシルフロントと前記サイドシルリアとに結合していることを特徴とする車体フレーム構造。
【請求項2】
車両前後方向中央部において車幅方向に延在するクロスメンバと、
前記クロスメンバと前記サイドシルリアとが結合される第3の結合部において、前記サイドシルリアの内部に配設された結合セパレータと、
を備え、
前記結合セパレータは、前記サイドシルリアと前記リアサイドフレームと前記クロスメンバとに結合されていることを特徴とする請求項1に記載の車体フレーム構造。
【請求項3】
前記サイドシルリアは、
第4の結合部において前記サイドシルフロントと、前記フロントサイドフレームとが、3枚重ね合されて結合され、
第5の結合部において前記フロントサイドフレームと、前記リアサイドフレームとが3枚重ね合されて結合され、
第6の結合部において前記リアサイドフレームと、前記結合セパレータとが3枚重ね合されて結合されていることを特徴とする請求項2に記載の車体フレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両下方部には、走行音の抑制および衝突時の影響を減少させるために車体剛性を向上させる車体フレーム構造が設けられている。
【0003】
車体フレーム構造には、車両走行に伴い車輪等から、捩れ方向、車両上下方向等の荷重が伝達される。また、車体フレーム構造には、衝突が発生した場合には、大きな衝突荷重が伝達される。そのため、車両の操縦安定性、乗心地、安全性等を向上させるために、車体フレーム構造においては、フレームにかかる大きな荷重に耐えられる剛性が求められている。
【0004】
車体フレーム構造の剛性を向上させるためには、フレーム構造の連続性が重要であり、例えば、メインフレーム、サイドシルおよびリアサイドフレームを一体化させることが考えられる。ところが、車両への搭載レイアウトや部材の生産性の制約によって、分割して構成させる必要があり、剛性を補う補剛部材を配設する場合がある。
【0005】
例えば、特許文献1においては、車幅方向両側のフロントサイドメンバの後部を車両後方外側へ屈曲させて、車幅方向外側のロッカレール(サイドシル)の車両前方内側の側壁に結合させている。また、車幅方向両側のリアサイドメンバの前部を車両前方外側へ屈曲させて、サイドシルの車両後方内側の側壁に結合させている。そして、車幅方向外側のサイドシルの車幅方向内側の側壁に沿って補剛部材としての延長部を設けることによって、車体剛性の向上を図る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-247057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、延長部を配設することによって、車幅方向内側の床下空間が減少する虞があるという課題があった。また、フロントサイドメンバおよびリアサイドメンバと延長部との結合部に荷重が集中してしまう虞があるという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、床下空間を確保しつつ、車体剛性を向上させる車体フレーム構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車両前後方向に延在し、車幅方向両側の側方底面に設けられたサイドシルフロントと、前記車両前後方向に延在し、車両前方端部が前記サイドシルフロントの車両後方端部と結合されたサイドシルリアと、前記車両前方端部から前記車両前後方向に延在し、前記車幅方向両側の前記サイドシルフロントの車幅方向内側に設けられたフロントサイドフレームと、前記車両前後方向に延在し、前記車両前方端部が前記フロントサイドフレームの前記車両後方端部と結合されたリアサイドフレームと、を備え、前記サイドシルフロントと前記サイドシルリアとは、第1の結合部において前記車両前後方向に直線状に延在して結合し、前記フロントサイドフレームと前記リアサイドフレームとは、前記第1の結合部よりも車両後方側の第2の結合部において前記車両前後方向に直線状に延在して結合し、前記フロントサイドフレームは、前記第1の結合部において、前記サイドシルフロントと前記サイドシルリアとを覆うように、前記サイドシルフロントと前記サイドシルリアとに結合している車体フレーム構造を提案している。
【0010】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車両前後方向中央部において車幅方向に延在するクロスメンバと、前記クロスメンバと前記サイドシルリアとが結合される第3の結合部において、前記サイドシルリアの内部に配設された結合セパレータと、を備え、前記結合セパレータは、前記サイドシルリアと前記リアサイドフレームと前記クロスメンバとに結合されている車体フレーム構造を提案している。
【0011】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記サイドシルリアは、第4の結合部において前記サイドシルフロントと、前記フロントサイドフレームとが、3枚重ね合されて結合され、第5の結合部において前記フロントサイドフレームと、前記リアサイドフレームとが3枚重ね合されて結合され、第6の結合部において前記リアサイドフレームと、前記結合セパレータとが3枚重ね合されて結合されている車体フレーム構造を提案している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、床下空間を確保しつつ、車体剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る車両を下方から見た構成図である。
図2図1に示された車体フレーム構造を下方から見た構成図である。
図3図2の矢印A方向から見たA―A線に沿う断面図である。
図4図2に示されたFC部を拡大した下方から見た構成図である。
図5図4の矢印B方向から見たB―B線に沿う断面図である。
図6図2の車体フレーム構造に伝達される荷重を示した構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1から図6を用いて、本実施形態に係る車体フレーム構造Fが適用された車両Vについて説明する。なお、図面に適宜示される矢印FRは、図1に示す車両Vの前方(正面)を示し、矢印UPは正面視上方を示し、矢印LHは正面視左方を示している。また、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、正面視での上下方向、正面視での前後方向、正面視での左右方向を示すものとする。
【0015】
<実施形態>
図1図6を用いて、車両Vに備えられた本実施形態に係る車体フレーム構造Fの構成について説明する。
【0016】
<車両Vの構成>
車両Vは、例えば、パワーユニット部20に内燃機関あるいは電気モータを駆動源として配置した自動車である。なお、車両Vは、例えば、エンジンと電気モータとの複数の駆動源を有するハイブリッド電気自動車であってもよい。
【0017】
図1に示すように、車両Vは、車輪10と、パワーユニット部20と、プロペラシャフト部30と、ディファレンシャルギア部40と、フロアパネル部50(図1の斜線部)と、車体フレーム構造F(図1のハッチング部)と、を含んで構成されている。
【0018】
パワーユニット部20は、車輪10を駆動する図示しない内燃機関あるいはモータ、変速機、クラッチ、駆動軸等で構成された駆動装置である。パワーユニット部20は、例えば、車両前方部に配置され、車体フレーム構造Fによって支持されている。
【0019】
プロペラシャフト部30は、車両前後方向に延在し、パワーユニット部20から伝達される駆動力を車両後方側の車輪10に伝達する。プロペラシャフト部30は、その車両前方側がパワーユニット部20に接続され、その車両後方側は、ディファレンシャルギア部40に接続されている。
【0020】
ディファレンシャルギア部40は、プロペラシャフト部30の車両後方側に接続され、パワーユニット部20からプロペラシャフト部30を介して伝達される駆動力を車両後方側の車輪10に伝達するとともに、車両後方側左右の車輪10の回転速度差を吸収している。
【0021】
フロアパネル部50は、車両下方部に設けられ、乗員等が着座する図示しないキャビンと車体フレーム構造Fを含む車両外部とを隔てる鋼板等で形成された床材であり、車両前後方向および車幅方向に配設されている。
【0022】
<車体フレーム構造Fの構成>
図2に示すように、車体フレーム構造Fは、バンパビーム100と、トルクボックス110と、フロアトンネル部120と、フロントサイドフレーム200と、リアサイドフレーム210と、クロスメンバ220と、サイドシルフロント230と、サイドシルリア240と、リアクロスメンバ250、260と、を含んで構成されている。
【0023】
(バンパビーム100について)
バンパビーム100は、車両前方側車幅方向に延在し、車両前方側における骨格を構成している。バンパビーム100は、金属等により形成され、略矩形閉断面形状を成している。バンパビーム100は、車幅方向両側のフロントサイドフレーム200の車両前方側先端部に溶接等により結合されている。
【0024】
(トルクボックス110について)
トルクボックス110は、車両Vの底面に車幅方向に延在された骨格であり、パワーユニット部20の車両後方側において車幅方向に延在している。トルクボックス110の車幅方向両側は、フロントサイドフレーム200に溶接等により結合されている。トルクボックス110は、高剛性を有する金属等により形成され、略矩形閉断面形状を成している。
【0025】
(フロアトンネル部120について)
フロアトンネル部120は、車両底部において、車両上方側の車室内側に張り出し車両下方側が開放された略U字形状を成し、車幅方向中央部の車両前後方向に延設されている。フロアトンネル部120は、パワーユニット部20の車両後方部およびプロペラシャフト部30等を収容している。
また、フロアトンネル部120は、トンネルサイドフレーム120aと、トンネルクロスメンバ120bと、トンネルフロア120cと、フロアクロスメンバ120dと、を含んで構成される車幅方向中央部の骨格である。トンネルサイドフレーム120aは、高剛性を有する金属等により形成され略矩形閉断面形状を成し、その車両前方端部は、フロントサイドフレーム200およびトルクボックス110に溶接等により結合されている。また、トンネルサイドフレーム120aの車両後方端部は、後述するクロスメンバ220に溶接等により結合されている。トンネルクロスメンバ120bは、略U字形状を成し、その車幅方向両側は、トンネルサイドフレーム120aに溶接等により結合されている。トンネルフロア120cは、フロアトンネル部120の略U字形状を成す鋼板等を用いた壁部材であり、車幅方向中央部の車両前後方向に延設されている。トンネルフロア120cの車幅方向両側は、トンネルサイドフレーム120aに溶接等により結合されている。フロアクロスメンバ120dの車幅方向両側は、トンネルサイドフレーム120aの車両下方側にボルト等により固定されている。フロアクロスメンバ120dの車両上方側には、パワーユニット部20の車両後方部が載置され固定されている。
【0026】
(フロントサイドフレーム200について)
フロントサイドフレーム200は、車両前部の車幅方向両側に一対となって設けられ、車両Vを駆動するパワーユニット部20の車幅方向外側に位置し、車両前後方向に延在している。フロントサイドフレーム200は、高剛性を有する金属等により形成され略矩形閉断面形状を成している。
車幅方向両側のフロントサイドフレーム200の間には、車両前方端部においては、バンパビーム100の車幅方向両端部が結合されている。また、パワーユニット部20の車両後方側においては、トルクボックス110の車幅方向両端部が結合され、車両前後方向中央部においては、クロスメンバ220の車幅方向両端部が結合されている。フロントサイドフレーム200は、車両前方部から車両前後方向中央部において、車体フレーム構造Fの中心となる骨格を構成している。
また、フロントサイドフレーム200の車両後方端部には、後述するリアサイドフレーム210が結合されている。フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とが結合される後述する骨格結合部FCにおいて、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とは、車両前後方向に直線状に形成されている。
【0027】
(リアサイドフレーム210について)
リアサイドフレーム210は、車両後部の車幅方向両側に一対となって設けられ、フロントサイドフレーム200の車両後方部において車両前後方向に延在している。リアサイドフレーム210は、高剛性を有する金属等により形成され略矩形閉断面形状を成している。リアサイドフレーム210の車両前方端部においては、フロントサイドフレーム200の車両後方端部が直線状に結合されている。
車幅方向両側のリアサイドフレーム210の間には、リアサイドフレーム210の車両前方端部において、後述する骨格結合部FCに結合されるとともに、車両後方側においては、リアクロスメンバ250、260の車幅方向両端部が結合されている。リアサイドフレーム210は、車両前後方向中央部よりも車両後方側において、車体フレーム構造Fの中心となる骨格を構成している。
【0028】
(クロスメンバ220について)
クロスメンバ220は、車両前後方向中央部において車幅方向に延在し、その両端部は、第3の結合部としての結合部CP3において、車幅方向両側のサイドシルリア240と溶接等により結合されている。クロスメンバ220は、金属等により形成され、車両前方側を構成するクロスメンバフロント220aと、車両後方側を構成するクロスメンバリア220bとが結合されることによって、略矩形閉断面形状を成している。
【0029】
(サイドシルフロント230およびサイドシルリア240について)
サイドシルフロント230およびサイドシルリア240は、車両車幅方向両側の側方底面に設けられ、車両前後方向に延在された骨格であり、高剛性を有する金属等により形成されている。図3に示すように、サイドシルリア240は、車幅方向外側を構成するサイドシルリア240aと、車幅方向内側を構成するサイドシルリア240bと、が結合されることによって、略矩形閉断面形状を成している。サイドシルフロント230も、サイドシルリア240と同様に、サイドシルフロント230aとサイドシルフロント230bとが結合されることによって、略矩形閉断面形状を成している。
また、サイドシルリア240の内部には、クロスメンバ220とサイドシルリア240とが結合される結合部CP3に、結合セパレータCSが配設されている。結合セパレータCSは、鋼板等で形成された軽量な補剛部材であり、リアサイドフレーム210とクロスメンバ220とサイドシルリア240とに結合されている。
【0030】
(リアクロスメンバ250、260について)
リアクロスメンバ250、260は、車両後方側において車幅方向に延在し、その両端部は、車幅方向両側のリアサイドフレーム210と溶接等により結合されている。リアクロスメンバ250、260は、金属等により形成され、略矩形閉断面形状を成している。
【0031】
車体フレーム構造Fは、車両前後方向中央部の車幅方向両側に構成される骨格結合部FCにおいて、車両前方部のフレーム構造と車両後方部のフレーム構造とに結合されている。
【0032】
(骨格結合部FCについて)
骨格結合部FCには、車体フレーム構造Fの主要な骨格が集結し相互に結合されている。
図4に示すように、骨格結合部FCには、フロントサイドフレーム200と、リアサイドフレーム210と、クロスメンバ220と、サイドシルフロント230と、サイドシルリア240と、が結合されている。
【0033】
サイドシルフロント230とサイドシルリア240とは、第1の結合部としての結合部CP1において溶接等により結合されている。結合部CP1においては、例えば、結合部CP1aと第4の結合部としての結合部CP1bと結合部CP1cとが、結合部として設けられている。また、結合部CP1において、フロントサイドフレーム200は、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とを覆うように、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とに結合している。
結合部CP1aにおいては、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とが2枚重ね合されて溶着等により結合されている。また、図5に示すように、結合部CP1bにおいては、フロントサイドフレーム200とサイドシルフロント230とサイドシルリア240とが3枚重ね合されて溶着等により結合されている。フロントサイドフレーム200は、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とを覆うように車両下方側に結合されている。結合部CP1cにおいては、フロントサイドフレーム200とサイドシルフロント230とが2枚重ね合されて溶着等により結合されている。
【0034】
図4に示すように、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とは、第2の結合部としての結合部CP2において溶接等により結合されている。結合部CP2においては、例えば、結合部CP2aと第5の結合部としての結合部CP2bとが、結合部として設けられている。
図5に示すように、結合部CP2aにおいては、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とが2枚重ね合されて溶着等により結合されている。結合部CP2bにおいては、フロントサイドフレーム200と、リアサイドフレーム210と、サイドシルリア240とが3枚重ね合されて溶着等により結合されている。フロントサイドフレーム200は、サイドシルリア240を覆うように車両下方側に結合されている。
また、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とは、矢印Cで示される区間において、直線状に形成されている。
また、結合部CP2は、結合部CP1よりも車両後方側に設けられている。
【0035】
図4に示すように、クロスメンバ220とサイドシルリア240とは、第3の結合部としての結合部CP3において溶接等により結合されている。結合部CP3においては、例えば、結合部CP3aと第6の結合部としての結合部CP3bとが、結合部として設けられている。
図5に示すように、結合部CP3aにおいては、クロスメンバ220とサイドシルリア240とが2枚重ね合されて溶着等により結合されている。結合部CP3bにおいては、リアサイドフレーム210と、サイドシルリア240と、サイドシルリア240の内部に配設された結合セパレータCSとが3枚重ね合されて結合されている。また、クロスメンバ220と結合セパレータCSとは、サイドシルリア240の車幅方向内側の壁材を車幅方向両側から挟んだ状態で3枚重ね合されて結合されている。
【0036】
<作用・効果>
上記のように構成された本実施形態に係る車体フレーム構造Fは、骨格結合部FCにおいて、車両前方部のフレーム構造と車両後方部のフレーム構造とを結合させることにより強固な骨格を構成している。以下、図4図6を用いて、骨格結合部FCによる作用について説明する。
【0037】
車体フレーム構造Fには、車両走行に伴い、車輪10あるいは、図示しないサスペンション、パワーユニット部20等から伝達される振動によって、フロントサイドフレーム200等の構造部材に、捩れ、車両上下方向の振動等の荷重が伝達される。
図6に示すように、例えば、車両前方側の車輪10から伝達される振動等による荷重は、矢印AO1~AO6に示すように、フロントサイドフレーム200を介して、トルクボックス110、サイドシルフロント230に分散されて伝達される。また、パワーユニット部20から伝達される捩れ、振動等による荷重は、矢印AO7~AO10に示すように、フロアクロスメンバ120dを介してフロアトンネル部120に分散されて伝達される。そして、フロントサイドフレーム200およびサイドシルフロント230から伝達される荷重は、矢印AO11~AO14に示すように、骨格結合部FCに伝達される。
【0038】
一方、図4に示すように、骨格結合部FCにおいて、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とは、矢印Cで示される区間おいて直線状に形成されて結合されている。また、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とは、矢印Cで示される区間おいて直線状に形成されて結合されている。そのため、フロントサイドフレーム200から伝達される荷重は、リアサイドフレーム210に損失なく伝達される。また、サイドシルフロント230から伝達される荷重は、サイドシルリア240に損失なく伝達される。
【0039】
また、骨格結合部FCにおいては、車体フレーム構造Fの骨格を構成しているフロントサイドフレーム200と、リアサイドフレーム210と、クロスメンバ220と、サイドシルフロント230と、サイドシルリア240と、が相互に強固に結合されている。また、サイドシルリア240の内部には、鋼板等で形成された補剛部材としての結合セパレータCSが、クロスメンバ220を車幅方向外側に延長するように配設されている。結合セパレータCSは、サイドシルリア240を介してリアサイドフレーム210とクロスメンバ220とに、強固に結合されている。
具体的には、結合部CP1~結合部CP3において、フロントサイドフレーム200と、リアサイドフレーム210と、クロスメンバ220と、サイドシルフロント230と、サイドシルリア240と、結合セパレータCSと、が相互に強固に結合されている。
例えば、図5に示すように、結合部CP1の結合部CP1aにおいては、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とが2枚重ね合されて溶着等により結合されている。結合部CP1bにおいては、フロントサイドフレーム200とサイドシルフロント230とサイドシルリア240とが3枚重ね合されて溶着等により結合されている。結合部CP1cにおいては、フロントサイドフレーム200とサイドシルフロント230とが2枚重ね合されて溶着等により結合されている。また、結合部CP1bおよび結合部CP1cにおいては、サイドシルフロント230およびサイドシルリア240の車両下方側を覆うように、フロントサイドフレーム200が結合されている。フロントサイドフレーム200は、サイドシルフロント230とサイドシルリア240との結合部CP1を補剛している。
また、結合部CP2においては、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とが直線状に結合されている。結合部CP2aにおいては、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とが2枚重ね合されて溶着等により結合されている。結合部CP2bにおいては、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とサイドシルリア240とが3枚重ね合されて溶着等により結合されている。また、結合部CP2bにおいては、サイドシルリア240の車両下方側を覆うように、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とが結合されている。サイドシルリア240は、フロントサイドフレーム200とサイドシルフロント230との結合部CP2を補剛している。また、結合部CP2は、結合部CP1よりも車両後方側にずれた位置に構成されている。
また、結合部CP3においては、リアサイドフレーム210と、クロスメンバ220と、サイドシルリア240と、サイドシルリア240の内部に配設されている結合セパレータCSとが結合されている。結合部CP3aにおいては、クロスメンバ220とサイドシルリア240とが2枚重ね合されて溶着等により結合されている。結合部CP3bにおいては、リアサイドフレーム210とサイドシルリア240と結合セパレータCSとが3枚重ね合されて結合されている。結合セパレータCSは、サイドシルリア240を介してクロスメンバ220と結合することによって、クロスメンバ220とサイドシルリア240との結合部CP3を補剛している。
【0040】
以上のように、骨格結合部FCにおいては、車体フレーム構造Fの骨格を構成しているフロントサイドフレーム200と、リアサイドフレーム210と、クロスメンバ220と、サイドシルフロント230と、サイドシルリア240と、が相互に強固に結合されている。そのため、図6に示すように、フロントサイドフレーム200およびサイドシルフロント230から伝達された荷重は、矢印AO11~AO16に示すように、リアサイドフレーム210とクロスメンバ220とサイドシルリア240とに、それぞれ分散される。また、リアサイドフレーム210には、車両後方側において、リアクロスメンバ250、260が結合されているため、リアサイドフレーム210に伝達された荷重は、矢印AO17~AO20に示すように、リアクロスメンバ250、260に分散される。
【0041】
一方、車体フレーム構造Fは、主に床下空間を利用して構成されているが、例えば、電気自動車に利用される電池は、床下空間に収容される場合が多い。そのため、車両の剛性を確保しつつ床下空間が広い車体フレーム構造Fが必要となる。
【0042】
図4に示すように、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とは、車幅方向両端部に配設されている。一方、フロントサイドフレーム200は、フロアトンネル部120の車幅方向外側から車両後方部に向かうにつれて車幅方向外側に向かう傾斜を有している。また、リアサイドフレーム210は、サイドシルリア240の車幅方向内側に配設されている。そのため、車幅方向両側に配設されたフロントサイドフレーム200およびサイドシルリア240の間に挟まれた車幅方向内側の床下空間を広く確保することが望ましい。
ここで、矢印Cで示す区間においては、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とは、サイドシルフロント230とサイドシルリア240と密接可能な直線状に結合されている。そして、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とは、車幅方向両端部に配設されたサイドシルフロント230とサイドシルリア240とを覆うように結合されているため、車幅方向外側に寄せて配設されている。
また、結合部CP1~結合部CP3においては、3枚重ね合わせて結合されているため、結合に必要な面積は少なくなる。また、補剛部材としての結合セパレータは、サイドシルリア240の内部に配設されることによって、結合に必要な面積を占有しないようになっている。
【0043】
以上、本実施形態に係る車体フレーム構造Fは、車両前後方向に延在し、車幅方向両側の側方底面に設けられたサイドシルフロント230と、車両前後方向に延在し、車両前方端部がサイドシルフロント230の車両後方端部と結合されたサイドシルリア240と、車両前方端部から車両前後方向に延在し、車幅方向両側のサイドシルフロント230の車幅方向内側に設けられたフロントサイドフレーム200と、車両前後方向に延在し、車両前方端部がフロントサイドフレーム200の車両後方端部と結合されたリアサイドフレーム210と、を備え、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とは、第1の結合部としての結合部CP1において車両前後方向に直線状に延在して結合し、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とは、結合部CP1よりも車両後方側の第2の結合部としての結合部CP2において車両前後方向に直線状に延在して結合し、フロントサイドフレーム200は、結合部CP1において、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とを覆うように、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とに結合している。
結合部CP1においては、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とが車両前後方向に直線状に延在して結合している。また、結合部CP2においては、フロントサイドフレーム200とリアサイドフレーム210とが車両前後方向に直線状に延在して結合している。
つまり、車両前後方向に延在するサイドシルフロント230、サイドシルリア240フレーム、フロントサイドフレーム200、リアサイドフレーム210を車幅方向両端部に配設することができるため、車体フレーム構造Fは、車幅方向内側の床下空間を広く保つことができる。
一方、結合部CP2は、結合部CP1よりも車両後方側に設けられている。また、フロントサイドフレーム200は、結合部CP1において、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とを覆うように、サイドシルフロント230とサイドシルリア240とに結合している。
つまり、結合部CP1と結合部CP2の車両前後方向にずれることにより、車両Vから伝達される振動、捩れ等の荷重を分散させることができる。また、結合部CP1においては、フロントサイドフレーム200が結合することによって、結合部CP1の剛性を向上させることができる。
そのため、床下空間を確保しつつ、車体剛性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る車体フレーム構造Fは、車両前後方向中央部において車幅方向に延在するクロスメンバ220と、クロスメンバ220とサイドシルリア240とが結合される第3の結合部としての結合部CP3において、サイドシルリア240の内部に配設された結合セパレータCSと、を備え、結合セパレータCSは、サイドシルリア240とリアサイドフレーム210とクロスメンバ220とに結合されている。
つまり、結合セパレータCSは、サイドシルリア240の内部に配設されているため、結合面積を占有せず、床下空間を保つことができる。また、結合セパレータCSは、鋼板等で形成された補剛部材であり、軽量に構成させることができる。また、結合セパレータCSは、リアサイドフレーム210とクロスメンバ220とサイドシルリア240とに結合されているため、クロスメンバ220を車幅方向外側に延長させるとともに、リアサイドフレーム210とクロスメンバ220とサイドシルリア240とを強固に結合させることができる。したがって、車体フレーム構造Fは、車両Vから伝達される振動、捩れ等の荷重をそれぞれの構成部材に分散させることができる。また、車体フレーム構造Fは、それぞれの構成部材に荷重を分散させることによって、それぞれの構成部材に荷重が集中することを低減することができる。
そのため、床下空間を確保しつつ、高重量の補剛部材を追加することなしに車体剛性を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る車体フレーム構造Fは、サイドシルリア240は、第4の結合部としての結合部CP1bにおいてサイドシルフロント230と、フロントサイドフレーム200とが、3枚重ね合されて結合され、第5の結合部としての結合部CP2bにおいてフロントサイドフレーム200と、リアサイドフレーム210とが3枚重ね合されて結合され、第6の結合部としての結合部CP3bにおいてリアサイドフレーム210と、結合セパレータCSとが3枚重ね合されて結合されている。
つまり、骨格を構成する部材を3枚重ね合されて結合させることによって、結合させるための空間を減少させることができるとともに、溶着箇所を減少させることができる。また、サイドシルリア240を中心に、サイドシルフロント230と、フロントサイドフレーム200と、リアサイドフレーム210と、結合セパレータCSとの骨格を構成する部材を相互に強固に結合させることができる。したがって、車体フレーム構造Fは、車両Vから伝達される振動、捩れ等の荷重をそれぞれの構成部材に分散させることができる。
そのため、床下空間を確保しつつ、車体剛性を向上させることができる。
【0046】
なお、本発明の実施形態として、結合セパレータCSをサイドシルリア240に結合させるよう例示したが、結合セパレータCSをサイドシルリア240の車両前方端部に一体に形成させてもよい。
【0047】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1;車両
10;車輪
20;パワーユニット部
30;プロペラシャフト部
40;ディファレンシャルギア部
50;フロアパネル部
100;バンパビーム
110;トルクボックス
120;フロアトンネル部
200;フロントサイドフレーム
210;リアサイドフレーム
220;クロスメンバ
230;サイドシルフロント
240;サイドシルリア
250;リアクロスメンバ
260;リアクロスメンバ
CP1;結合部
CP2;結合部
CP3;結合部
CS;結合セパレータ
F;車体フレーム構造
FC;骨格結合部
V;車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6