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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054042
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】作業台車
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
A01B69/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160615
(22)【出願日】2022-10-04
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108958
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 英一
(72)【発明者】
【氏名】幡上 宏政
(72)【発明者】
【氏名】飯田 一博
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA03
2B043AB15
2B043BA02
2B043BB07
2B043DC01
2B043EA32
2B043EA35
2B043EB07
2B043EB12
2B043EB23
2B043ED12
(57)【要約】
【課題】 軽量な構成の作業台車であっても、その進行方向を安定的にガイドすること。
【解決手段】 発明の作業台車としての除草機1は、平行に延びる二条の畝Uに沿って走行する。そして、前記二条の畝間Uaを畝長方向に走行するための走行手段3と、該クローラに支持された機体2と、該機体2の前側に設けられ、該機体2の進行方向をガイドするための進行方向ガイド手段5とを備える。前記進行方向ガイド手段5は、前記二条の畝Uの畝間Uaに対峙する左右の畝側面にそれぞれ当接するように設けられた一対のガイドローラ22と、前記機体2から前方に離間させた位置に、該一対のガイドローラ22を支持する支持部21とを備えている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に延びる二条の畝に沿って走行する作業台車であって、
前記二条の畝上又は/及び同畝間を畝長方向に走行するための走行手段と、
該走行手段に支持された機体と、
該機体の前側に設けられ、該機体の進行方向をガイドするための進行方向ガイド手段とを備え、
前記進行方向ガイド手段は、前記二条の畝の畝間に対峙する左右の畝側面にそれぞれ当接するように設けられた一対のガイドローラと、前記機体から前方に離間させた位置に、該一対のガイドローラを支持する支持部とを備えている作業台車。
【請求項2】
前記走行手段は、畝間を走行する一つの走行要素を備えており、
前記進行方向ガイド手段は、平面視における前記機体と前記一対のガイドローラとの相対位置が変動しないように前記支持部が支持しており、
前記畝側面に当接する前記一対のガイドローラによって前記走行手段の進行方向がガイドされるように構成されている態様を例示する。
請求項1記載の作業台車。
【請求項3】
前記走行手段は、前記二条の畝上をそれぞれ走行する一対の走行要素を備え、該一対の走行要素は互いに独立に駆動制御可能に構成されており、
前記進行方向ガイド手段は、前記支持部が、前記機体に取り付けられる基端部と、該基端部に対して上下方向に延びる軸を介して左右に揺動可能に支持され、先端側に前記一対のガイドローラが取り付けられる揺動部とにより構成されるとともに、該基端部に対する該揺動部の揺動角度を検知する角度センサーを備え、
該揺動角度に基づいて、前記基端部に対する前記揺動部の長さ方向が前記機体の前後方向と一致する状態になるように、前記一対の走行要素の駆動が制御されるように構成されている請求項1記載の作業台車。
【請求項4】
前記走行手段は、前記二条の畝間を並んでそれぞれ走行する一対の走行要素を備え、該一対の走行要素は互いに独立に駆動制御可能に構成されており、
前記進行方向ガイド手段は、前記支持部が、前記機体に取り付けられる基端部と、該基端部に対して上下方向に延びる軸を介して左右に揺動可能に支持され、先端側に前記一対のガイドローラが取り付けられる揺動部とにより構成されるとともに、該基端部に対する該揺動部の揺動角度を検知する角度センサーを備え、
該揺動角度に基づいて、前記基端部に対する前記揺動部の長さ方向が前記機体の前後方向と一致する状態になるように、前記一対の走行要素の駆動が制御されるように構成されている請求項1記載の作業台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に設けられた畝に追従して走行する作業台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術としては、特許文献1に記載された自走式防除機を例示する。この自走式防除機は、図11に示すように、車体フレーム101の中程の左右に駆動車輪105を装着している。その車体フレーム101の四角に駆動車輪105を支点として、前後方向に揺動可能となる位置に走行用補助車輪前側106a、後側106bをハの字形に装着し、かつ駆動車輪105の外側面となる位置の直近、もしくは外側の位置に持ち出している。重量物であるバッテリーと駆動用モーター103は車体の総重量が駆動車輪105の接地面に集中するように装着し、スプレーホース102を車体フレーム101の底部にて牽引するように構成されている。自走式防除機は、このように噴霧部、バッテリー及びモーターを搭載するとともにスプレーホースを牽引可能に頑丈に構成され、それ故に重量な構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-253088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、自走式防除機では、圃場に設けられた畝への追従は、重量のある作業機の駆動車輪を、その前後の走行用補助車輪前側106a、後側106bが畝の側面に当接することによる反作用で機械的にガイドすることで実現している。このように重量のある機体を機械的にガイドするためには、頑丈な畝が必要であったり、走行用補助車輪前側106a、後側106bの軸を機体に対してしっかりと支持させる必要があったりするという課題がある。また、走行用補助車輪前側106a、後側106bは操向の役割だけでなく、接地面に対して機体を支持する役割もあるため、畝側面における傾斜角度が緩やかな裾の部分に接地するように設ける必要があり、畝側面からの操向ガイドが得られにくいという課題もある。
【0005】
例えば、畝をフィルム状の被覆材でトンネル状に覆って作物を栽培するトンネルハウス栽培において、トンネルハウス内のような狭い空間内で作業させるための作業台車は小型に構成する必要があり、それ故に軽量な構成となる。そのような軽量な構成になると、畝側面形状の細かな変動により機体の進行方向が影響を受けやすく、走行が安定し難いという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、第1の発明の作業台車は、
平行に延びる二条の畝に沿って走行する作業台車であって、
前記二条の畝上又は/及び同畝間を畝長方向に走行するための走行手段と、
該走行手段に支持された機体と、
該機体の前側に設けられ、該機体の進行方向をガイドするための進行方向ガイド手段とを備え、
前記進行方向ガイド手段は、前記二条の畝の畝間に対峙する左右の畝側面にそれぞれ当接するように設けられた一対のガイドローラと、前記機体から前方に離間させた位置に、該一対のガイドローラを支持する支持部とを備えている。
【0007】
前記走行手段としては、特に限定されないが、クローラ、車輪等を例示する。
【0008】
作業台車としては、畝上への播種作業を行う播種機や、畝上又は/及び畝間の除草作業を行う除草機や、畝上の作物への防除作業を行う防除機等を例示する。
【0009】
この構成によれば、前記機体の進行方向をガイドするための前記一対のガイドローラを、該機体から前方に離間させた位置に前記支持部により支持させているので、軽量な構成の作業台車であっても、畝側面形状の細かな変動の影響を受けにくく、機体の進行方向を安定させることができる。そのため、畝の湾曲に沿った安定な走行が可能になり、作物への不要な接触の可能性を低減することができる。また、前記一対のガイドローラを前記機体の前方に設けることにより、前後方向に機能要素を配置しているので、トンネルハウス栽培におけるトンネルハウス内のような狭く長い空間内でも容易に使用することができる。
【0010】
第2の発明の作業台車としては、前記第1の発明において、
前記走行手段は、畝間を走行する一つの走行要素を備えており、
前記進行方向ガイド手段は、平面視における前記機体と前記一対のガイドローラとの相対位置が変動しないように前記支持部が支持しており、
前記畝側面に当接する前記一対のガイドローラによって前記走行手段の進行方向がガイドされるように構成されている態様を例示する。
【0011】
前記畝間を走行する走行手段に加え、前記機体の側方の畝の上面を走行する補助走行手段を設けてもよい。これにより、例えば前記畝間の幅が狭い場合のように前記走行手段を幅狭に構成せざるを得ない場合に、前記機体の側方への転倒を防止することができる。
【0012】
この構成によれば、簡易な構造としているので、小型かつ安価に構成できる。
【0013】
第3の発明の作業台車としては、前記第1の発明において、
前記走行手段は、前記二条の畝上をそれぞれ走行する一対の走行要素を備え、該一対の走行要素は互いに独立に駆動制御可能に構成されており、
前記進行方向ガイド手段は、前記支持部が、前記機体に取り付けられる基端部と、該基端部に対して上下方向に延びる軸を介して左右に揺動可能に支持され、先端側に前記一対のガイドローラが取り付けられる揺動部とにより構成されるとともに、該基端部に対する該揺動部の揺動角度を検知する角度センサーを備え、
該揺動角度に基づいて、前記基端部に対する前記揺動部の長さ方向が前記機体の前後方向と一致する状態になるように、前記一対の走行要素の駆動が制御されるように構成されている態様を例示する。
【0014】
この構成によれば、前記支持部を前記基端部及び該基端部に対して揺動可能に支持された揺動部とにより構成するとともに、前記一対のガイドローラが畝側面に接触することにより検知される畝の湾曲を前記基端部に対する前記揺動部の揺動角度で検知し、前記一対の走行要素を駆動するように構成されているので、畝に大きな力が加わることがなく、畝の崩れを低減することができる。
【0015】
第4の発明の作業台車としては、前記第1の発明において、
前記走行手段は、前記二条の畝間を並んでそれぞれ走行する一対の走行要素を備え、該一対の走行要素は互いに独立に駆動制御可能に構成されており、
前記進行方向ガイド手段は、前記支持部が、前記機体に取り付けられる基端部と、該基端部に対して上下方向に延びる軸を介して左右に揺動可能に支持され、先端側に前記一対のガイドローラが取り付けられる揺動部とにより構成されるとともに、該基端部に対する該揺動部の揺動角度を検知する角度センサーを備え、
該揺動角度に基づいて、前記基端部に対する前記揺動部の長さ方向が前記機体の前後方向と一致する状態になるように、前記一対の走行要素の駆動が制御されるように構成されている態様を例示する。
【0016】
前記畝間を走行する走行手段に加え、前記機体の側方の畝の上面を走行する補助走行手段を設けてもよい。これにより、例えば前記畝間の幅が狭い場合のように前記走行手段を幅狭に構成せざるを得ない場合に、前記機体の側方への転倒を防止することができる。
【0017】
この構成によっても、前記第3の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る作業台車によれば、軽量な構成の作業台車であっても、その進行方向を安定的にガイドすることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を具体化した第一実施形態に係る作業台車の正面図である。
図2】同作業台車の背面図である。
図3】同作業台車の平面図である。
図4】同作業台車の側面図である。
図5】本発明を具体化した第二実施形態に係る作業台車の正面図である。
図6】同作業台車の背面図である。
図7】同作業台車の平面図である。
図8】同作業台車の側面図である。
図9】同作業台車の制御ブロック図である。
図10】同作業台車の動作例を示す平面図である。
図11】本発明の背景技術に係る自走式防除機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図4は本発明を具体化した第一実施形態の作業台車としての除草機1を示している。本例の除草機1は、トンネルハウス栽培におけるトンネルハウスH内に設けられた平行に延びる二条の畝Uからなる畝列に沿って走行するように構成されており、走行手段3に支持された機体2を備えている。機体2には、クローラ10を駆動する駆動部4と、該機体2の進行方向をガイドする進行方向ガイド手段5と、畝Uの除草作業を行う除草部6と、駆動部4を制御する制御部8と、駆動部4及び制御部8に電力を供給するバッテリー(図示略)と、機体2の横倒れを防止する機体姿勢保持手段9とが搭載されている。なお、各図において、矢印Fは機体2前側を指し示している。
【0021】
トンネルハウスHは、畝列を跨ぐように地面に差し込まれた、略逆U字状の支柱Haが畝列の畝長方向に列設され、該支柱Haの列に対してフィルム状の被覆材(図示略)が被せられるとともに、該畝列の畝長方向の複数箇所において掛け紐Hcによって該被覆材が支柱Haの列に押さえつけられることにより構成されている。本例の除草機1は、このようにトンネル状に覆われた狭い空間内で畝列の畝間Ua及び畝上Ubの除草作業することができるように小型に構成されている。
【0022】
機体2は、走行手段3により支持される下部フレーム2aと、該下部フレーム2aに立設された縦フレーム2bと、該縦フレーム2bを介して走行手段3の上方に支持された上部フレーム2cとを備えている。
【0023】
走行手段3は、畝間を走行する一つの走行要素としてのクローラ10を備える。クローラ10は、機体2の下部フレーム2aに対して側面視で略三角形状に列設された複数の転輪10aと、該転輪10aに巻き掛けられた無限軌道10bとを備える。最上部に位置する転輪10aの軸は駆動軸11となっており、該駆動軸11にはその回転力をクローラ10に伝えるためのスプロケット12が設けられている。
【0024】
機体姿勢保持手段9は、機体2の上部フレーム2cに対して上下高さ調節可能に支持され、該機体2の左右方向外方にそれぞれ延びる横フレーム9aと、該横フレーム9aの先端にそれぞれ下垂された補助脚フレーム9bと、該各補助脚フレーム9bの下端に左右方向に延びる軸を介して回転自在に支持された補助輪9cとを備えている。横フレーム9aは伸縮可能に構成されており、畝列の幅に応じて長さが調節可能になっている。この機体姿勢保持手段9は、左右の補助輪9cが畝列の上面に接触することにより、機体2の横倒れを防止するようになっている。
【0025】
駆動部4は、機体2の下部フレーム2aに搭載されており、クローラ10の駆動輪を駆動するモーター4aを備えている。
【0026】
バッテリーは、機体2の下部フレーム2aに搭載されており、駆動部4及び制御部8に電力を供給するようになっている。
【0027】
除草部6は、機体2の上部フレーム2cの後端部に搭載されており、機体2の後方において左右方向に延びる除草フレーム6aを備え、該除草フレーム6aの左右方向中央部及びその両側には、それぞれ畝間用の除草タイン6b及び畝上用の除草タイン6cがそれぞれ配設されている。除草フレーム6aは、除草フレーム支持手段6dにより機体2に対して上下高さ調節可能に設けられている。除草フレーム支持手段6dに対して、除草フレーム6aは、略上下方向へスライド可能に支持されるとともに、付勢手段6e(バネ)で下方に付勢されている。また、除草フレーム支持手段6dには、付勢手段6eによる下方への付勢力を調節する付勢力調節手段6fも装備されている。付勢力調節手段6fは手動レバー15により操作可能になっている。付勢力調節手段6fとしては、手動レバー15を省き、後述する第二実施形態のように電動シリンダ59で駆動されるように構成してもよい。除草タイン6b、6cは、弾性を有する多数の棒体16、17が左右方向に列設されている。畝間用の除草タイン6bの棒体16は直線状に形成されている。畝上用の除草タイン6cの棒体17は、畝上Ubにおける畝幅方向の中央部に植えられた作物Cを避けるように、各棒体17の上端部が除草フレーム6aに対して外側方に傾斜して設けられるとともに、各棒体17の先端部が内側方に向けて折曲されている。除草フレーム6aには、各棒体16、17の上端部が、取付高さや取付角度が調節可能に取り付けられている。
【0028】
進行方向ガイド手段5は、機体2の上部フレーム2cの前端部に基端部が支持された支持部21と、該支持部21の前端部に設けられ、該機体2の進行方向をガイドするための左右一つのガイドローラ22とを備えている。支持部21は、基端部が左右方向に延びる軸23を介して機体2に対して上下に揺動可能に支持された前支持片21aと、該前支持片21aの前端部に対して、両側方へ突設された一対の横支持片21bとを備えている。機体2の上部フレーム2cには、前支持片21aを、それが上方に揺動した位置に係止する係止手段(図示略)が設けられており、畝列の外側で機体2を移動するとき等に一対のガイドローラ22を支持面の上方に高く浮かせた状態にすることが可能になっている。横支持片21bの先端部には、該横支持片21bの長さ方向の直交方向に向けて各ガイドローラ22の軸22aが支持されている。前支持片21aの長さ方向に対する横支持片21bの取付位置及び取付角度、前支持片21aに対する横支持片21bの長さ方向における取付位置及び取付角度は調節可能に構成されている。横支持片21bに対するガイドローラ22の軸22aの取付角度は調節可能に構成されている。これらの各種調節手段により機体2と畝列との相対位置に応じて、機体2に対する各ガイドローラ22の相対位置が適宜調節可能になっている。以上のように、進行方向ガイド手段5の一対のガイドローラ22は、前記二条の畝Uの畝間Uaに対峙する左右の畝側面にそれぞれ当接するように設けることが可能になっている。また、以上のように、進行方向ガイド手段5は、平面視における前記機体2と前記一対のガイドローラとの相対位置が変動しないように前記支持部21が支持しており、前記畝側面に当接する前記一対のガイドローラ22によって走行手段3の進行方向がガイドされるように構成されている。
【0029】
制御部8は、機体2の上部フレーム2cに搭載されており、駆動部4のモーターの動作を制御するように構成されている。本例の制御部8は無線接続されたリモートコントローラから操縦可能に構成してもよい。
【0030】
以上のように構成された本例の作業台車としての除草機1によれば、前記機体2の進行方向をガイドするための前記一対のガイドローラ22を、該機体2から前方に離間させた位置に前記支持部21により支持させているので、軽量な構成の作業台車であっても、畝側面形状の細かな変動の影響を受けにくく、機体2の進行方向を安定させることができる。そのため、畝Uの湾曲に沿った安定な走行が可能になり、作物Cへの不要な接触の可能性を低減することができる。また、前記一対のガイドローラ22を前記機体2の前方に設けることにより、前後方向に機能要素を配置しているので、トンネルハウス栽培におけるトンネルハウス内のような狭く長い空間内でも容易に使用することができる。
【0031】
また、前記走行手段3は、畝間を走行する一つの走行要素としてのクローラ10を備えており、前記進行方向ガイド手段5は、平面視における前記機体2と前記一対のガイドローラ22との相対位置が変動しないように前記支持部21が支持しており、前記畝側面に当接する前記一対のガイドローラ22によって前記走行手段3の進行方向がガイドされるように構成されている。この構成によれば、簡易な構造としているので、小型かつ安価に構成できる。
【0032】
次に、図5図10は本発明を具体化した第二実施形態を示している。本例の作業台車としての除草機51は、以下に示す点において、主に第一実施形態と相違している。従って、同実施形態と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0033】
本例の前記走行手段53は、前記二条の畝上Ubをそれぞれ走行する一対の走行要素としてのクローラ10を備え、該一対のクローラ10は互いに独立に駆動制御可能に構成されている。各クローラ10の構成は、第一実施形態のクローラ10と同様となっている。各クローラ10の前方には、畝上Ubにおける作物の上を走行することを防止するための分草手段を設けるようにしてもよい。
【0034】
前記進行方向ガイド手段5は、前記支持部21の前支持片21aが、前記機体2に取り付けられる基端部54と、該基端部54に対して上下方向に延びる軸55を介して左右に揺動可能に支持され、先端側に前記一対のガイドローラ22が取り付けられる揺動部56とにより構成されるとともに、該基端部に対する該揺動部56の揺動角度ωeを検知する角度センサー57を備えている。角度センサー57に検知された揺動角度ωeを表す信号は制御部58に入力されるようになっている。
【0035】
本例の制御部58は、角度センサー57から入力した揺動角度ωeに基づいて、前記基端部54に対する前記揺動部56の長さ方向が前記機体2の前後方向と一致する状態になるように、前記一対のクローラ10の駆動が制御されるように構成されている。具体的には、本例の制御部58では、図9及び図10に示すように、機体の進行角度ωrefと、畝の湾曲角度ωfとの角度差分である揺動角度ωeが0°になるようにフィードバック制御を行い、その結果を左右のモーターの制御信号へ変換し、出力するように構成されている。これにより、畝列に沿ってスムーズに走行するように、機体2の進行方向を制御する。
【0036】
本例の除草部6における付勢力調節手段6fは、電動シリンダ59により駆動されるように構成されている。付勢力調節手段6fとしては、電動シリンダ59を省き、第一実施形態のように手動レバー15により操作可能にしてもよい。
【0037】
以上のように構成された本例の作業台車としての除草機51によっても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。それに加え、支持部21を前記基端部54及び該基端部54に対して揺動可能に支持された揺動部56とにより構成するとともに、一対のガイドローラ22が畝側面に接触することにより検知される畝の湾曲を前記基端部54に対する前記揺動部56の揺動角度ωeで検知し、前記一対のガイドローラ22を駆動するように構成されているので、畝Uに大きな力が加わることがなく、畝Uの崩れを低減することができる。
【0038】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)第二実施形態における除草機51において、一対のクローラ10が一対の畝の畝間Uaを走行するように構成すること。この場合、第一実施形態の除草機1が備えている、機体の横倒れを防止する機体姿勢保持手段9を装備させることが好ましい。
(2)クローラ10を1又は複数の車輪に変更すること。
(3)本発明の作業台車を、畝上Ubへの播種作業を行う播種機や、畝上Ubの作物への防除作業を行う防除機として構成すること。
【符号の説明】
【0039】
1 除草機
2 機体
2a 下部フレーム
2b 縦フレーム
2c 上部フレーム
3 走行手段
4 駆動部
4a モーター
5 進行方向ガイド手段
6 除草部
6a 除草フレーム
6b 除草タイン
6c 除草タイン
6d 除草フレーム支持手段
6e 付勢手段
6f 付勢力調節手段
8 制御部
9 機体姿勢保持手段
9a 横フレーム
9b 補助脚フレーム
9c 補助輪
10 クローラ
10a 転輪
10b 無限軌道
11 駆動軸
12 スプロケット
15 手動レバー
16 棒体
17 棒体
21 支持部
21a 前支持片
21b 横支持片
22 ガイドローラ
22a 軸
23 軸
51 除草機
53 走行手段
54 基端部
55 軸
56 揺動部
57 角度センサー
58 制御部
59 電動シリンダ
C 作物
F 機体前側
H トンネルハウス
Ha 支柱
Hc 紐
U 畝
Ua 畝間
Ub 畝上
ωe 揺動角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11