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  • 特開-開封用カッター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054048
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】開封用カッター
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240409BHJP
   B26B 27/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B65B69/00 D
B26B27/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022169500
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】501371562
【氏名又は名称】大塚 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 昭夫
【テーマコード(参考)】
3C061
3E058
【Fターム(参考)】
3C061AA10
3C061AA25
3C061EE05
3E058AA04
3E058BA01
3E058CA01
3E058CA05
3E058FA04
3E058FA20
(57)【要約】
【課題】共働きの主婦、視力や握力の衰えた高齢者、又は刃物を掴めない状態にある方でも包装袋等を安全に素早く開封でき、飛散する切れ端を容器内に収容し纏めて棄てることのできる開封用カッターを提供する。
【解決手段】 平坦な上方開口部20に凹形溝21aと補助板25を設け、下方開口部26に段差を設けて内部を中空構造とする横長方形の枠体2を形成する。矩形板材の先端部にスリット30、ガイドレール4、把手カッター5からなる切断機構Cを備えた蓋体3を上方開口部20に蝶着する。切れ端Bを収容する受け容器6を設けて両端部に係止バネ62、62を付設し、下方開口部26を介して枠体2内に挿入し、さらに、後面壁22の外面にゴム磁石7,7を貼着したことを特徴とする開封用カッター。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切れ端を収容する容器を設けた開封器具において、
平面視横長方形をなす平坦な上方開口部の前部に凹形溝と後部に補助板を設け、下方開口部に段差を設けて内側を中空構造とする前後左右の面壁からなる枠体、
矩形板材の前方長手方向に沿って前記凹形溝と重合し連通するスリットを欠成し、前記上方開口部に開閉自在に蝶着する蓋体、
前記スリットの両端部に対峙させ固定した支持部材に一対のステンレス棒線を架け渡して、前記スリット上に橋架するガイドレール、
スライド溝とV字刃を有する把手部を前記ガイドレールに挿嵌し、前記V字刃を前記スリット及び前記凹形溝内を往復動させる把手カッター、
容器の両端部に係止バネを付設し、前記下方開口部を介して前記枠体内に挿入する受け容器、
後面壁の外面上部に並置し、一部分を貼着してなるゴム磁石、
を備え、
前記枠体内に挿入した前記受け容器の脱落を前記係止バネにて阻止し保持して、前記受け容器の脱着を下方向に引き抜くだけとし、脱着した前記受け容器の前記枠体内への挿入を前記下方開口部に差し込むだけとして、構成されていることを特徴とする開封用カッター。
【請求項2】
前記蓋体を蝶着する部材に粘着テープを用いていることを特徴とする請求項1記載の開封用カッター。
【請求項3】
前記受け容器を前記枠体内へ挿入する際、前記受け容器の開口縁が前記後面壁の内面に摺接するように、前記後面壁の縦寸法を前面壁の縦寸法より長く設けていることを特徴とする請求項2記載の開封用カッター。
【請求項4】
前記ガイドレールの前記把手カッターに対する挟持力がレール中央部においても強く保持されるように、前記ガイドレール中央部のレール幅を狭めていることを特徴とする請求項3記載の開封用カッター。
【請求項5】
緩く湾出した磁性体の壁面に設置する際、前記ゴム磁石の未貼着部分を撓ませて、前記ゴム磁石の略全体が吸着するように設けられていることを特徴とする請求項1~2の何れかに記載の開封用カッター。
【請求項6】
緩く湾出した磁性体の壁面に設置する際、前記ゴム磁石の未貼着部分を撓ませて、前記ゴム磁石の略全体が吸着するように設けられていることを特徴とする請求項3~4の何れかに記載の開封用カッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンの壁面や冷蔵庫等の壁面に設置し、蓋で挟持した包装袋をカッターをスライドさせて開封し、落ちる切れ端を容器内に収容する開封用カッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般家庭では食品等を包装した袋を開封する際に、ハサミや包丁等の刃物が使用され、切り口のある袋は手で開封されている。近年の包装袋は開封し易くなってはいるが、調理中は手に油などが着くため一々手を洗ったり、切り口が見え難い場合はメガネを掛けたり一手間を要し、特に視力や握力の衰えた高齢者やハサミの使用が困難な方にとって包装袋の開封は容易でなかった。
【0003】
現在では密封された食品や食材が増え、一方、高齢化時代となって自炊する高齢者や共働きで食事作りの時間を削られた主婦も増えていて、忙しい調理時に包装袋の開封に手間取ると苛立ったりストレスを感じたりするとのことである。そこで、こうした問題を解決すべく、包装袋を器具に設けた蓋体で挟み、その蓋体に備えた断裁機構にて開封箇所を瞬時に切断し、発生した切れ端を中容器内に収容する開封器具が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-277006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の開封器具を壁面に設置した場合、中容器を取り出す際に案内レールに嵌合されてる摺動体が壁面に先当たりして蓋体を全開できず、案内レールから摺動体を抜脱して蓋体を開け、中容器を取り出し切れ端を捨てるとした手順を踏まなければならない。仮に、包装袋を安全に瞬時に開封して切れ端を中容器内に収容できたとしても、その中容器を着脱する際の面倒な操作が利用者に無用な負担感を負わせるなどの課題が残されていた。
【0006】
加えて、案内レール中央部の撓みによる摺動体の前後揺動(弛み)、それを防止する棒線バネの取り付け位置が的確でなく固定方法も明確ではない。また、特許文献1の開封器具を卓上用として使用した場合に、スープなどが入った包装袋を開封する際に液体をこぼす畏れがある。
【0007】
本発明が解決しようとする主たる課題は、切れ端を収容する容器の着脱を容易にすることである。さらに、不安定な案内レールの挟持力不足など様々な問題点を解消するため、新たな発想と構造を以て使い勝手の良い開封用カッターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
切れ端を収容する容器を設けた開封器具において、平面視横長方形をなす平坦な上方開口部の前部に凹形溝と後部に補助板を設け、下方開口部に段差を設けて内側を中空構造とする前後左右の面壁からなる枠体、矩形板材の長手方向に沿って前記凹形溝と重合し連通するスリットを欠成し、前記上方開口部に開閉自在に蝶着する蓋体、前記メリットの両端部に対峙させ固定した支持部材に一対のステンレス棒線を架け渡して、前記スリットに沿って橋架するガイドレール、スライド溝とV字刃を有する把手部を前記ガイドレールに挿嵌し、前記V字刃を前記スリット及び前記凹形溝内を往復動させる把手カッター、容器の両端部に係止バネを付設し、前記下方開口部を介して前記枠体内に挿入する受け容器、後面壁の外面上部に並置し、一部分を貼着してなるゴム磁石、を備え、
前記枠体内に挿入した前記受け容器の脱落を前記係止バネにて係止し保持して、前記受け容器の脱着を下方向に引き抜くだけとし、脱着した前記受け容器の前記枠体内への挿入を前記下方開口部に差し込むだけとして、構成されていることを特徴とする開封用カッター。
【0009】
〔請求項2記載の発明〕
前記蓋体を蝶着する部材に粘着テープを用いていることを特徴とする請求項1記載の開封用カッター。
【0010】
〔請求項3記載の発明〕
前記受け容器を前記枠体内へ挿入する際、前記受け容器の開口縁が前記後面壁の内面に摺接するように、前記後面壁の縦寸法を前面壁の縦寸法より長く設けていることを特徴とする請求項2記載の開封用カッター。
【0011】
〔請求項4記載の発明〕
前記ガイドレールの前記把手カッターに対する挟持力がレール中央部においても強く保持されるように、前記ガイドレール中央部のレール幅を狭めていることを特徴とする請求項3記載の開封用カッター。
【0012】
〔請求項5記載の発明〕
緩く湾出した磁性体の壁面に設置する際、前記ゴム磁石の未貼着部分を撓ませて、前記ゴム磁石の略全体が吸着するように設けられていることを特徴とする請求項1~2の何れかに記載の開封用カッター。
【0013】
〔請求項6記載の発明〕、
緩く湾出した磁性体の壁面に設置する際、前記ゴム磁石の未貼着部分を撓ませて、前記ゴム磁石の略全体が吸着するように設けられていることを特徴とする請求項3~4の何れかに記載の開封用カッター。
【発明の効果】
【0014】
受け容器の着脱が容易になり、把手カッターも安定したスライドができ、蓋体の蝶着に粘着テープを用いたことにより、組立の簡略化と製造コストの削減が図れるとともに、壁面設置型にすることでキッチン台の貴重なスペースを邪魔しない。
【0015】
さらに、包装袋等を瞬時に開封する心地よい使用感と切れ端を散乱させない利便性は、仕事を持つ主婦や視力・握力の衰えた高齢者、又は利き手が使えず開封するのが困難な方々に優しく、従来に無かった開封の楽しさが軽いストレス等を発散させてくれる効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の全体を示す斜視図である。
図2】本発明を示す分解斜視図である。
図3】本発明の内部構造を示すA-A断面図である。
図4】本発明の後面壁を示す背面図である。
図5】本発明の一部を構成する把手カッターの他の実施例を示す正面図である。
図6】本発明の一部を構成する把手カッターの拡大側面図である。
図7】本発明の使用状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図1図7に基づいて説明する。
図1図2に示すように、本発明の開封用カッター1は、枠体2、蓋体3、ガイドレール4、把手カッター5、受け容器6、ゴム磁石7、7などの主な要素で壁面設置型として構成されている。
【0018】
本発明の基部となる枠体2は、図2に示すように、前後左右の面壁にて平面視横長方形に形成され、大きさを高さ約80mm、横幅約240mm、奥行き約50mmとして上下に貫通している。平坦に形成された上方開口部20の前方、つまり前面壁21の上縁に溝幅約2mm、深さ約10mmの断面凹形溝21aが縦貫状に欠成され両端部を未貫通としている。また、後面壁22の上縁と上方開口部20には補助板25が被着され、上方開口部20の1/4程を塞いでいる。一方、下方開口部26は、後面壁22の縦寸法を前面壁21の縦寸法より長く(大凡2:1の比)設けたことによって段差を有し、この段差を側面壁23,24の下縁が湾曲状に欠切されて繋いでいる。
【0019】
枠体2の内側は、図3で示すように、前面壁21の中程に段差部21bを設け、上部を凹形溝21aを設けるスペースとして8mm程の厚さとし、下部は面壁21,22,23,24にて横長方形の中空に形成されている。この段差部21bは、挿入された受け容器のストッパーとなるが、段差部21bを設けず複数の突起部(図示なし)を設けてストッパーとしてもよい。また、前面壁21上縁の内側角部は、カットされた切れ端Bが密着しないように断面扇状に欠成されている。さらに、図4に示すように、後面壁22の外周には突縁22aが形成され、設置した枠体2を安定させるため後述するゴム磁石7,7の厚さと平坦になるよう設けられている。その突縁22aの両角部に近接して、非磁性体の壁面に設置する際の取り付けネジ用の掛止穴22b,22bが貫設されている。
【0020】
なお、この枠体2の奥行き寸法を詰めることで、冷蔵庫のドア(磁性体面)等に取り付けた際に出っ張り感の少ない薄型とすることもできる。枠体2を薄型とすることによって他の部品・部材を詰めることによる問題は生じない。又、枠体2を成型する際に、補助板25と枠体2との一体形成や面壁21,22,23,24の厚さ等は、製造する側がコスト・パフォーマンスを考慮して適宜設計すればよい。
【0021】
蓋体3は、上方開口部20に開閉自在に蝶着され、包装袋Bを押圧挟持するものであって、図3で示すように、矩形板材の厚さを補助板25の厚さに外周は上方開口部20の外周に各々整合させている。この蓋体3の先端部3aから4mm程内部に、凹形溝21aと重合し連通するスリット30を長手方向に沿って1mm程の隙間で欠成している。蓋体3の素材は合成樹脂が望ましいが、表面が滑らかで挟持した包装袋Bが滑り易いため、先端部3aの裏面(細長い部分)のみに薄いゴム系の滑り止め8(図2参照)を貼着し、挟持した包装袋Bの動きを摩擦力で阻止するようになっている。
【0022】
さらに、スリット30両端部(未貫通)の上面に、厚さ約8mm、長さ約30mmの所要形状とする支持部材31,32を対峙させ、この支持部材31,32の先端と先端部3a、及び支持部材31,32の外側と側部3c,3dとを整合させ、スリット30の両端部に接着固定(図2参照)している。この支持部材31,32の低部から8~10mm上部位置に、支持部材31,32の長手方向と直交する軸孔31a,31b及び軸孔32a,32bが各々平行かつ所要間隔を設けて穿孔され、軸孔31a,31b及び32a,32b間の中心点がスリット30の延長線上に一致するように設けられている。なお、蓋体3と支持部材31,32とを一体形成にした場合でも、軸孔間の中心点をスリット30の延長線上に一致するように設けることとする。
【0023】
ガイドレール4は、直径2.5mm程の一対のステンレス棒線を蓋体3の長手方向と同寸法にカットして、各中央部を中心に緩やかに湾曲させたものである。このガイドレール4を軸孔31aと軸孔32a間、軸孔31bと軸孔32b間に各々架け渡して湾出部分を対向させ、端部4bを軸孔32aに端部4dを軸孔32bに各々回動不能かつ左右動不能に固着している。一方の端部4a,4cは、後述する把手カッター5をガイドレール4の中央部で着脱する際に、把手カッター5がガイドレール4を押し広げて端部4a,4cを左右に微移動させるため、この微移動を軸孔31a,31bに摺動自在としている。
【0024】
前記した端部4b,4dを回動不能及び左右動不能にするための実施例として、軸孔32a,32bの内径を外側から2/3程内部まで拡径して端部4b,4dを受容するスペースを設け、この軸孔32a,32bに端部4b,4dの先端を平坦に潰したガイドレール4を軸孔32aから軸孔31aへ、軸孔32bから軸孔31bへ各々挿通し、湾出部分を対向させて軸孔32a,32bに硬化剤を注入し端部4b,4dを固着しており、この固着方法は一例であってこれに限定するものではない。なお、固着する場合は、端部4aか4b又は4cか4dの何れか一方となる。
【0025】
また、前述した所要間隔とは、ガイドレール4に挿嵌した把手カッター5を支持部材31又は支持部材32に当接させて、把手カッター5を前後左右に動かした際、ガイドレール4に対してガタ付かずスムーズに摺動するように、支持部材31,32に平行に穿孔された軸孔31aと31b及び軸孔32aと32bの間隔である。
【0026】
そして、スリット30に沿ってガイドレール4が橋架され、このガイドレール4に把手カッター5が挿嵌されて切断機構Cを備えた蓋体3は、後端3bと補助板25との接点に沿って粘着テープ9が貼着され上方開口部20に開閉自在に蝶着されている。この粘着テープ9による蝶着を可能とするため、後面壁22の上縁と上方開口部20の後部に補助板25を被着して蓋体3の蝶着位置を前方に移動させ、補助板25と蓋体3との板厚を平坦に設けて蝶着部材への負荷を軽減し、粘着テープ9による蝶着を可能にしている。
【0027】
この粘着テープ9(紙製を除く)による蓋体3の蝶着を可能にしたことにより、本発明の組立の簡略化と製造コストの削減が図れるとともに、蝶番の無いスマートな外観が形成されることになる。なお、補助板25と蓋体3との蝶着部分がへの字又は逆への字状に屈曲していたり段差のある場合は、粘着テープ9の復元力(平坦になる)が働いて、剥がれ又はズレ易くなるため粘着テープ9による蓋体3の蝶着は不向きとなる。
【0028】
把手カッター5は、図6に示すように、特許文献1で公知の摺動体と同様の形態を有し、把手部5aとスライド溝5b,5bとV字刃5cとで構成され、ガイドレール4内をスライド自在に設けられている。把手部5aは、消しゴム程の大きさとし上部は摘み易ければ形状は自由である。この把手部5aの場合は、前後左右が対称の形成し易い形状としており、V字刃5cの表裏を判別し易くするために、把手部5aの表面に任意の画像を印刷してもよい。また、図5に示すように、愛玩動物等の輪郭を模した把手部50aを形成し、この把手部50aに見合った表情画像Lを印刷して、愛敬を有する把手カッター50として準備してもよい。
【0029】
スライド溝5b,5bは、把手部5a下方の前後を挟む形てV字形溝が横平行に欠切され、このV字形溝にガイドレール4が嵌り挟持されて、把手カッター5はガイドレール4内を左右にスライドできるようになっている。スライド溝5b,5bの深さは、ガイドレール4直径の半分程が嵌る深さが適当で、ガイドレール4に挿嵌した把手カッター5を支持部材31,32に寄せた際、ガイドレール4とスライド溝5b,5bとの摺接が窮屈な場合は、スライド溝5b,5bを欠切して微調節することができる。なお、U字溝や凹形溝をスライド溝5b,5bにした場合、微調節する際の欠切加減が難しくなる。
【0030】
V字刃5cは、表裏面を有する刃先角度を90°とする両刃(図5参照)であって、把手部5aの底面5d長手方向の中心線上に垂設され10mm程突出している。このV字刃5cは、スリット30と凹形溝21aとが重合し連通する内部を往復動自在とし、挟持した包装袋Bの開封箇所に切り入る際に刃が露出しない構造であり、同時に底面5dはスリット30の周面を摺動することになっている。
【0031】
また、この把手カッター5は、ガイドレール4中央部のレール幅の狭い場所で着脱を行うため、把手部5a下方の前面5eと後面5fに底面5d方向へ漸次狭まる勾配(図6参照)を設け、さらに、下部周囲4箇所の角部を削成し底面5dの両側部を狭めて、ガイドレール4に挿嵌し易くしている。
【0032】
この把手カッター5をガイドレール4の中央部に挿嵌する場合、把手カッター5を横方向に45°程傾けて押し込み、同時にV字刃5cの先端をスリット30に差し入れ把手カッター5を0°に戻すことで、ガイドレール4がスライド溝5b,5bに嵌り込み挿嵌となる。また、脱着する場合は、同場所で把手カッター5を横方向に45°程傾け引き抜くことで脱着でき、通常のカッターとしても使用できる。
【0033】
受け容器6は、特許文献1で切れ端Bを収容する容器として公知されている。図2に示すように、この受け容器6の場合は、所要間隔を設けて対向させたU字形側板60,60のU字形周縁に可撓性のシート部材61を熱圧着し、そのU字形側板60,60の外側上部に係止バネ62,62を固着し、下方開口部26を介して枠体2に挿入する構成となっている。この係止バネ62,62は、垂直の面壁21,22,23,24にて形成された中空内に挿入された受け容器6の落脱を阻止し保持する役を成すもので、短冊状薄板の中央部を湾曲させて、一方の端部に固着部62a,62aを設け、他方の端部を曲線状に形成している。バネ材として、PET樹脂材や弾力性を有する金属材が望ましく、ゴム等で劣弧状(ナベ底)に形成された係止部材(図示なし)も可能であり、この受け容器6の落脱を阻止し、かつ受け容器6の引き抜きが可能であれば係止方法は限定されない。
【0034】
なお、この受け容器6のシート部材61は薄く開口縁61a,61b(図2参照)が外側に撓むため、受け容器6を枠体2内に挿入する際は、開口縁61aを前面壁21の下縁に潜らせ開口縁61bを後面壁22の内面に摺接させて刳るように挿入する。従って、前述したように後面壁22の縦寸法が前面壁21の縦寸法より長く設けられている。仮に、下方の開口部(図示なし)を平坦に設けた場合は、受け容器6の開口縁61a,61bが下方の開口部下縁に当接して挿入に手間取り、また、開口縁の撓まない樹脂成型された受け容器(図示なし)であっても、下向きの下方開口部26に挿入する際は手探り状態で挿入することになる。
【0035】
前記したように、下方開口部26を介して枠体2内に挿入された受け容器6は、係止バネ62,62によって垂直面壁からの落脱が阻止され枠体2内に保持されることで、受け容器6を下方向に引き抜くだけで脱着でき、脱着した受け容器6を下方開口部26に差し込むだけで枠体2内へ挿入できることになる。よって、本願の主たる課題である受け容器6の容易な着脱が達成されたことになる。なお、面壁23とU字形側板60及び面壁24とU字形側板60との間に2mm程の隙間が設けられ、係止バネ62,62の取り付けを受け容器6側ではなく、面壁23,24の内側に設けても受け容器6の落脱を阻止することができる。
【0036】
ゴム磁石の利用方法は広く周知されており、図4に示すように、この板状のゴム磁石7,7は、後面壁の外面に並置し貼着して、冷蔵庫等の磁性体壁面E(図3参照)に設置可能としている。但し、冷蔵庫のドア面が緩く湾出したタイプがあることから、ゴム磁石7,7の上縁を突縁22aに当接させて、対向するX,X(約40%)部分を貼着し、Y,Y(約60%)部分を未貼着としている。よって、この未貼着部分を撓ませることにより、湾出したドア面に対してゴム磁石7,7の略全体が吸着するようになっている。
【0037】
なお、ゴム磁石7,7は横滑りする傾向があり、把手カッター5スライド時の押圧力が強過ぎた場合に、枠体2が吸着場所から下方向にズレることが想定される。その対応策として、適宜な直径にくり抜いた両面テープ10を少なくても2枚準備し、X,X部分の表面に貼り付けることで、ゴム磁石7,7の下方へのズレを防止することができる。
【0038】
以上、本実施の形態においては、上記のように開封用カッター1の最良の形態を示したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、例えば、受け容器6のシート部材61を透明又は半透明にして切れ端Bを見えるようにしてもよい。また、キッチン動線の中心を成す冷蔵庫のドア等に設置することで、利便性をより向上させることができる。
【0039】
本発明を使用するときは、設置する壁面の胸の高さ程に取り付け、包装袋Bを蓋体3で挟み把手カッター5を押圧しつつスライド(白抜き矢印方向)させて開封する。なお、利き手が不自由な場合には、手の平で把手カッター5をスライドさせると開封でき、溜まった切れ端Dは受け容器6を引き抜くだけで棄てることができる。また、把手カッター5を脱着すれば、野菜等を結束したテープや紐のカット、剥がし難いフィルム状の蓋や包装箱を封じたテープ等をカッできる。
【符号の説明】
【0040】
1 開封用カッター
2 枠体
20 上方開口部
21 前面壁
21a 凹形溝
22 後面壁
25 補助板
26 下方開口部
3 蓋体
3a 先端部
3b 後端部
30 スリット
31 支持部材
32 支持部材
4 ガイドレール
5 把手カッター
5a 把手部
5b,5b スライド溝
5c V字刃
5d 底部
6 受け容器
60,60 U字形側板
61 シート部材
62,62 係止バネ
7,7 ゴム磁石
8 滑り止め
9 粘着テープ
10 両面テープ
B 包装袋
C 切断機構
D 切れ端
E スチール壁面
L 表情画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7