(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054059
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】電動締付機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20240409BHJP
B25B 21/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B25F5/02
B25B21/00 B
B25B21/00 530Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046733
(22)【出願日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2022160528
(32)【優先日】2022-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉野 祐大
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 智大
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA02
3C064BA13
3C064BB71
3C064BB86
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA25
3C064CA27
3C064CA29
3C064CA53
3C064CB05
3C064CB06
3C064CB07
3C064CB11
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB63
3C064CB71
3C064CB72
3C064CB75
3C064CB86
(57)【要約】
【課題】締付作業の邪魔にならない位置にフックを配置すること。
【解決手段】電動締付機は、モータを含む動力部と、シャーボルト及びナットを保持可能なスリーブ機構と、少なくとも一部がスリーブ機構よりも後方に配置され、動力部で発生した回転力を前記スリーブ機構に伝達する動力伝達部と、動力伝達部の少なくとも一部を保持するギヤハウジングと、ギヤハウジングの左側面及び右側面のそれぞれに設けられ、フックをギヤハウジングに固定するねじが挿入されるねじ孔と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを含む動力部と、
シャーボルト及びナットを保持可能なスリーブ機構と、
少なくとも一部が前記スリーブ機構よりも後方に配置され、前記動力部で発生した回転力を前記スリーブ機構に伝達する動力伝達部と、
前記動力伝達部の少なくとも一部を保持するギヤハウジングと、
前記ギヤハウジングの左側面及び右側面のそれぞれに設けられ、フックを前記ギヤハウジングに固定するねじが挿入されるねじ孔と、を備える、
電動締付機。
【請求項2】
前記ギヤハウジングの下部から下方に延びるように配置され、前記モータを起動させるために操作される引金を保持するハンドルハウジングと、
前記ギヤハウジングの下部から下方に延びるように配置され、前記モータを保持するモータハウジングと、を備え、
前記モータハウジングは、前記ハンドルハウジングよりも前方に配置され、
前後方向において、前記ねじ孔は、前記ハンドルハウジングと前記モータハウジングとの間に配置される、
請求項1に記載の電動締付機。
【請求項3】
前記フックの後端部は、前記ハンドルハウジングの後端部よりも前方に配置される、
請求項2に記載の電動締付機。
【請求項4】
前記ギヤハウジングは、金属製である、
請求項1に記載の電動締付機。
【請求項5】
前記ギヤハウジング及びギヤケースの後部の開口を覆うように前記ギヤハウジングに固定されるリヤカバーを備え、
前記リヤカバーは、合成樹脂製である、
請求項4に記載の電動締付機。
【請求項6】
前記フックは、帯状であり、
前記フックの左部が第1のねじにより前記ギヤハウジングの左側面に固定され、
前記フックの右部が第2のねじにより前記ギヤハウジングの右側面に固定される、
請求項1に記載の電動締付機。
【請求項7】
前記フックの中間部は、ギヤケースの後方に配置される、
請求項6に記載の電動締付機。
【請求項8】
前記フックは、インターナルギヤの外径の最上部よりも下方に配置される、
請求項7に記載の電動締付機。
【請求項9】
前記フックの左部及び右部のそれぞれに、前記ねじが配置される開口が設けられる、
請求項6に記載の電動締付機。
【請求項10】
前記フックの左部の前記開口は、第1開口と、前記第1開口よりも前記フックの左端部に近い位置に設けられる第2開口と、を含み、
前記フックの右部の前記開口は、第3開口と、前記第3開口よりも前記フックの右端部に近い位置に設けられる第4開口と、を含み、
第1のねじが前記第1開口を介して前記左側面のねじ孔に挿入されるとき、第2のねじが前記第3開口を介して前記右側面のねじ孔に挿入され、
第1のねじが前記第2開口を介して前記左側面のねじ孔に挿入されるとき、第2のねじが前記第4開口を介して前記右側面のねじ孔に挿入される、
請求項9に記載の電動締付機。
【請求項11】
第1のねじが前記第1開口を介して前記左側面のねじ孔に挿入され、第2のねじが前記第3開口を介して前記右側面のねじ孔に挿入された状態で、前記フックの中間部は、ギヤケースの後方に配置され、
第1のねじが前記第2開口を介して前記左側面のねじ孔に挿入され、第2のねじが前記第4開口を介して前記右側面のねじ孔に挿入された状態で、前記フックの中間部は、ギヤケースの後方又はギヤケースの上方に配置される、
請求項10に記載の電動締付機。
【請求項12】
前記開口は、長孔であり、
前記フックは、前記開口が前記ねじにガイドされながらスライド可能である、
請求項9に記載の電動締付機。
【請求項13】
前記フックは、前記ねじと一体である、
請求項1に記載の電動締付機。
【請求項14】
前記フックは、前記左側面のねじ孔に挿入されるねじを有する第1フックと、前記右側面のねじ孔に挿入されるねじを有する第2フックと、を含む、
請求項13に記載の電動締付機。
【請求項15】
前記第1フック及び前記第2フックのそれぞれは、円柱部と、前記円柱部の左端部及び右端部のそれぞれに配置されるフランジ部と、を有する、
請求項14に記載の電動締付機。
【請求項16】
前記ギヤハウジングの下部から下方に延びるように配置され、前記モータを起動させるために操作される引金を保持するハンドルハウジングと、
前記ギヤハウジングの下部から下方に延びるように配置され、前記モータを保持するモータハウジングと、を備え、
前記モータハウジングは、前記ハンドルハウジングよりも前方に配置され、
前記フックは、帯状であり、
前記フックの左部が第1のねじにより前記ギヤハウジングの左側面に固定され、
前記フックの右部が第2のねじにより前記ギヤハウジングの右側面に固定され、
前記フックの後端部は、ギヤケースの後方において、前記ハンドルハウジングの後端部よりも前方に配置され、
前記フックに、前記フックの下面から上方に凹む凹部が設けられる、
請求項1に記載の電動締付機。
【請求項17】
前記凹部にカラビナが掛けられ、
前記フックの下面と前記ハンドルハウジングの上面との距離は、前記カラビナの太さよりも小さい、
請求項16に記載の電動締付機。
【請求項18】
前記凹部は、前記第1のねじと前記フックの後端部との間、及び前記第2のねじと前記フックの後端部との間のそれぞれに設けられる、
請求項17に記載の電動締付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動締付機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動締付機に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなシャーレンチが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャーレンチ又は一次締めレンチのような電動締付機は、シャーボルトとナットとの締付作業に使用される。電動締付機の重量は大きいので、電動締付機を持ち運ぶ際に肩掛けベルトを使用すると便利である。肩掛けベルトが掛けられるフックが電動締付機に設けられる場合、締付作業の邪魔にならない位置にフックを配置する必要がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、締付作業の邪魔にならない位置にフックを配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動締付機を開示する。電動締付機は、モータを含む動力部と、シャーボルト及びナットを保持可能なスリーブ機構と、少なくとも一部がスリーブ機構よりも後方に配置され、動力部で発生した回転力をスリーブ機構に伝達する動力伝達部と、動力伝達部の少なくとも一部を保持するギヤハウジングと、ギヤハウジングの左側面及び右側面のそれぞれに設けられ、フックをギヤハウジングに固定するねじが挿入されるねじ孔と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、締付作業の邪魔にならない位置にフックが配置される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電動締付機を示す右前方からの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る電動締付機を示す左後方からの斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る電動締付機を示す右側面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る電動締付機を示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る電動締付機のフックに肩掛けベルトが掛けられた状態を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る電動締付機を示す右前方からの斜視図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る電動締付機を示す左後方からの斜視図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る電動締付機を示す左後方からの斜視図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る電動締付機を示す左後方からの斜視図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る電動締付機を示す右前方からの斜視図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る電動締付機を示す左後方からの斜視図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る電動締付機を示す平面図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態に係る電動締付機を示す右前方からの斜視図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態に係る電動締付機を示す左後方からの斜視図である。
【
図15】
図15は、第4実施形態に係る電動締付機を示す左後方からの斜視図である。
【
図16】
図16は、第5実施形態に係る電動締付機の一部を示す左後方からの斜視図である。
【
図17】
図17は、第5実施形態に係る電動締付機の一部を示す右側面図である。
【
図18】
図18は、第5実施形態に係る電動締付機の一部を示す右後方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動締付機は、モータを含む動力部と、シャーボルト及びナットを保持可能なスリーブ機構と、少なくとも一部がスリーブ機構よりも後方に配置され、動力部で発生した回転力をスリーブ機構に伝達する動力伝達部と、動力伝達部の少なくとも一部を保持するギヤハウジングと、ギヤハウジングの左側面及び右側面のそれぞれに設けられ、フックをギヤハウジングに固定するねじが挿入されるねじ孔と、を備えてもよい。
【0010】
上記の構成では、締付作業の邪魔にならない位置にフックが配置される。また、フックは、ギヤハウジングの左側面及び右側面のそれぞれにねじで固定されるので、フックとギヤハウジングとの固定が安定する。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動締付機は、ギヤハウジングの下部から下方に延びるように配置され、モータを起動させるために操作される引金を保持するハンドルハウジングと、ギヤハウジングの下部から下方に延びるように配置され、モータを保持するモータハウジングと、を備えてもよい。モータハウジングは、ハンドルハウジングよりも前方に配置されてもよい。前後方向において、ねじ及びねじ孔は、ハンドルハウジングとモータハウジングとの間に配置されてもよい。
【0012】
上記の構成では、締付作業の邪魔にならない位置にフックが配置される。また、フックとギヤハウジングとの固定が安定する。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フックの後端部は、ハンドルハウジングの後端部よりも前方に配置されてもよい。
【0014】
上記の構成では、締付作業の邪魔にならない位置にフックが配置される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ギヤハウジングは、金属製でもよい。
【0016】
上記の構成では、高強度のギヤハウジングにフックが固定される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動締付機は、ギヤハウジング及びギヤケースの後部の開口を覆うようにギヤハウジングに固定されるリヤカバーを備えてもよい。リヤカバーは、合成樹脂製でもよい。
【0018】
上記の構成では、電動締付機の軽量化が図られる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フックは、帯状でもよい。フックの左部が第1のねじによりギヤハウジングの左側面に固定され、フックの右部が第2のねじによりギヤハウジングの右側面に固定されてもよい。
【0020】
上記の構成では、肩掛けベルトをフックに掛けやすい。また、フックとギヤハウジングとの固定が安定する。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フックの中間部は、ギヤケースの後方に配置されてもよい。
【0022】
上記の構成では、締付作業の邪魔にならない位置にフックが配置される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フックは、インターナルギヤの外径の最上部よりも下方に配置されてもよい。
【0024】
上記の構成では、締付作業の邪魔にならない位置にフックが配置される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フックの左部及び右部のそれぞれに、ねじが配置される開口が設けられてもよい。
【0026】
上記の構成では、フックとギヤハウジングとの固定が安定する。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フックの左部の開口は、第1開口と、第1開口よりもフックの左端部に近い位置に設けられる第2開口と、を含んでもよい。フックの右部の開口は、第3開口と、第3開口よりもフックの右端部に近い位置に設けられる第4開口と、を含んでもよい。第1のねじが第1開口を介して左側面のねじ孔に挿入されるとき、第2のねじが第3開口を介して右側面のねじ孔に挿入され、第1のねじが第2開口を介して左側面のねじ孔に挿入されるとき、第2のねじが第4開口を介して右側面のねじ孔に挿入されてもよい。
【0028】
上記の構成では、作業状況に応じて、第1開口及び第3開口の使用と第2開口及び第4開口の使用とが選択されることにより、締付作業の邪魔にならない位置にフックが配置される。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1のねじが第1開口を介して左側面のねじ孔に挿入され、第2のねじが第3開口を介して右側面のねじ孔に挿入された状態で、フックの中間部は、ギヤケースの後方に配置されてもよい。第1のねじが第2開口を介して左側面のねじ孔に挿入され、第2のねじが第4開口を介して右側面のねじ孔に挿入された状態で、フックの中間部は、ギヤケースの後方又は前記ギヤケースの上方に配置されてもよい。
【0030】
上記の構成では、第1開口及び第3開口が使用される場合、フックの中間部がギヤケースの後方に配置されることにより、締付作業の邪魔にならない位置にフックが配置される。第2開口及び第4開口が使用される場合、作業状況に応じて、フックの中間部がギヤケースの後方又はギヤケースの上方に配置されることにより、締付作業の邪魔にならない位置にフックが配置される。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、開口は、長孔でもよい。フックは、開口がねじにガイドされながらスライド可能でもよい。
【0032】
上記の構成では、作業状況に応じて、ギヤハウジングに対してフックがスライドされることにより、締付作業の邪魔にならない位置にフックが配置される。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フックは、ねじと一体でもよい。
【0034】
上記の構成では、フックをねじ孔にねじ込むことにより、フックがギヤハウジングに固定される。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フックは、左側面のねじ孔に挿入されるねじを有する第1フックと、右側面のねじ孔に挿入されるねじを有する第2フックと、を含んでもよい。
【0036】
上記の構成では、第1フック及び第2フックのそれぞれに肩掛けベルトを掛けることができる。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1フック及び第2フックのそれぞれは、円柱部と、円柱部の左端部及び右端部のそれぞれに配置されるフランジ部と、を有してもよい。
【0038】
上記の構成では、例えばカラビナが円柱部に掛けられた場合、フランジ部により、カラビナが円柱部から外れることが抑制される。
【0039】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動締付機1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0040】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電動締付機1を示す右前方からの斜視図である。
図2は、本実施形態に係る電動締付機1を示す左後方からの斜視図である。
図3は、本実施形態に係る電動締付機1を示す右側面図である。
図4は、本実施形態に係る電動締付機1を示す断面図である。
【0041】
本実施形態において、電動締付機1は、シャーレンチである。なお、電動締付機1は、一次締めレンチでもよい。電動締付機1は、シャーボルトとナットとの締付作業に使用される。一次締めレンチは、シャーボルトとナットとを第1トルクで締め付ける仮締付作業(一次締付作業)に使用される。シャーレンチは、一次締めレンチで締め付けられたシャーボルトとナットとを第1トルクよりも高い第2トルクで締め付ける本締付作業に使用される。本締付作業により、シャーボルトに設けられているピンテールがシャーボルトから分離される。
【0042】
<シャーレンチ>
電動締付機1は、ハウジング2と、動力部6と、動力伝達部4と、スリーブ機構18と、ハンドル部7と、バッテリ装着部9とを備える。ハウジング2は、電動締付機1を構成する各種部材を直接的又は間接的に保持する。動力部6は、回転力を発生する。動力伝達部4は、動力部6で発生した回転力をスリーブ機構18に伝達する。動力伝達部4及びスリーブ機構18の中心軸AXは、前後方向に延びる。動力部6は、動力伝達部4の中央下部から下方へ突出するように配置される。ハンドル部7は、動力伝達部4の後下部から下方へ突出するように配置される。バッテリ装着部9は、動力部6の下部及びハンドル部7の下部つなぐように配置される。バッテリ装着部9にバッテリ8が装着される。
【0043】
動力部6は、ロータシャフト10を有するモータ11を含む。ロータシャフト10の回転軸は、上下方向に延びる。動力伝達部4の少なくとも一部は、スリーブ機構18よりも後方に配置される。動力伝達部4は、モータ11の回転力が入力される中間歯車機構12と、中間歯車機構12の回転力が入力される遊星歯車機構14とを有する。遊星歯車機構14の少なくとも一部は、中間歯車機構12よりも前方に配置される。スリーブ機構18の少なくとも一部は、遊星歯車機構14よりも前方に配置される。モータ11は、電動締付機1の駆動源である。ロータシャフト10の回転は、中間歯車機構12及び遊星歯車機構14により減速された後、スリーブ機構18に伝達される。
【0044】
ハウジング2は、ハンドルハウジング20と、モータハウジング24と、ギヤハウジング26と、リヤカバー28と、ギヤケース30と、インターナルギヤ31とを含む。ハンドルハウジング20は、いわゆる半割れハウジングであり、左ハンドルハウジング21と右ハンドルハウジング22とを含む。ハンドルハウジング20及びモータハウジング24のそれぞれは、ギヤハウジング26の下部から下方に延びるように配置される。モータハウジング24は、ハンドルハウジング20よりも前方に配置される。モータハウジング24は、モータ11を保持する。ギヤハウジング26は、中間歯車機構12及び動力伝達部4の少なくとも一部を保持する。ギヤケース30は、動力伝達部4の少なくとも一部を保持する。ギヤケース30の後部は、ギヤハウジング26の上方に配置される。リヤカバー28は、ハンドルハウジング20よりも上方において、ギヤハウジング26及びギヤケース30の後部の開口を覆うように配置される。ギヤハウジング26及びギヤケース30は、金属製である。なお、ギヤハウジング26とギヤケース30とは、一体とみなされてもよい。リヤカバー28は、合成樹脂製である。リヤカバー28が合成樹脂製なので、ハウジング2の軽量化が図られる。インターナルギヤ31は、動力伝達部4の少なくとも一部及びスリーブ機構18を保持する。インターナルギヤ31は、ギヤケース30よりも前方に配置される。
【0045】
左ハンドルハウジング21と右ハンドルハウジング22とは、複数のネジ34により相互に固定される。ギヤハウジング26は、モータハウジング24とギヤケース30とにより上下方向から挟まれる。ギヤハウジング26は、複数のネジ35によりモータハウジング24に固定される。リヤカバー28は、ハンドルハウジング20に位置決めされる。リヤカバー28は、ネジ38によりギヤケース30に固定される。
【0046】
ハンドル部7の上端部にスイッチ44及び引金45が配置される。引金45は、モータ11を起動させるために使用者に操作される。スイッチ44及び引金45のそれぞれは、ハンドルハウジング20に保持される。引金45は、スイッチ44の前側に配置される。
【0047】
バッテリ装着部9にバッテリ8が装着される。バッテリ8は、充電式バッテリである。バッテリ8は、リチウムイオンバッテリである。バッテリ装着部9の上方にコントローラ74が配置される。右ハンドルハウジング22の下部に複数の通気口79が設けられる。ハンドルハウジング20の内部におけるバッテリ装着部9と動力部6との境界には、前後左右に広がる仕切リブ80が配置されている。コントローラ74は、通気口79におけるファン126によらない自然な通気により、適宜冷却される。モータハウジング24の下部に複数の吸気口90が設けられる。
【0048】
モータ11は、電動モータである。モータ11は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ11は、ステータ96と、ステータ96の内側に配置されるロータ98とを有する。モータ11は、コントローラ74により制御される。
【0049】
ステータ96は、ステータコアと、インシュレータを介してステータコアに装着される複数のコイルとを有する。ステータ96の下部にセンサ回路基板108が固定される。
【0050】
ロータ98は、ロータシャフト10と、ロータシャフト10の周囲に配置された筒状のステータコアと、ステータコアの内部に配置される永久磁石と、センサ回路基板108に対向するようにステータコアの下部に固定されるセンサ用永久磁石とを有する。ロータシャフト10は、ロータコアに固定される。ロータシャフト10の上端部にピニオン115が設けられる。
【0051】
センサ回路基板108は、センサ用永久磁石を検出することによりロータ98の回転位置を検出する磁気センサを有する。コントローラ74は、センサ回路基板108の磁気センサにより検出されたロータ98の回転位置に基づいて、モータ11に供給される電流を制御する。
【0052】
ピニオン115の下側にロータシャフト10の上部を支持する軸受122が設けられる。軸受122は、ギヤハウジング26に保持される。ステータ96の下側にロータシャフト10の下部を支持する軸受124が設けられる。軸受124は、モータハウジング24に保持される。
【0053】
軸受122とステータ96との間にファン126が配置される。ファン126は、ロータシャフト10に固定される。ロータシャフト10の回転により、ファン126が回転する。ファン126が回転することにより、モータ11の周囲に気流が生成され、モータ11が冷却される。ギヤハウジング26に複数の排気口128が設けられる。モータ11の周囲を流れた空気は、排気口128から排出される。
【0054】
中間歯車機構12は、ピニオン115に噛み合う第1中間ギヤ130と、第1中間ギヤ130に噛み合う第2中間ギヤ132とを有する。第1中間ギヤ130の回転軸は、上下方向に延びる。第1中間ギヤ130の上部を支持する軸受134は、ギヤケース30に保持される。第1中間ギヤ130の下部を支持する軸受136は、ギヤハウジング26に保持される。第2中間ギヤ132の回転軸は、上下方向に延びる。第2中間ギヤ132は、第1中間ギヤ130よりも後方に配置される。第2中間ギヤ132の上部を支持する軸受138は、ギヤケース30に保持される。第2中間ギヤ132の下部を支持する軸受139は、ギヤハウジング26に保持される。第2中間ギヤ132の中心部に貫通孔が形成される。第2中間ギヤ132の貫通孔は、上下方向に延びる。第2中間ギヤ132の貫通孔にロッド140が配置される。ロッド140の下端部は、チップレバー56の上端部に接触する。
【0055】
遊星歯車機構14は、ロータシャフト10の回転を減速してスリーブ機構18に伝達する。遊星歯車機構14は、中心軸AXに平行な前後方向に配置された3段の遊星歯車列を有する。遊星歯車機構14は、後遊星歯車列150と、中遊星歯車列160と、前遊星歯車列170とを有する。
【0056】
後遊星歯車列150は、第2中間ギヤ132の上部の傘歯部と噛み合う傘歯151と、傘歯151の前部に形成されたサンギヤ部にそれぞれ噛み合う複数(4個)の遊星ギヤ152と、ピン及びキャリアと、インターナルギヤ31の内面に形成され遊星ギヤ152に噛み合う内歯部とを有する。傘歯151の前部は、軸受156に支持される。傘歯151の後部は、軸受157に支持される。傘歯151は、中心軸AXを中心に回転する。
【0057】
中遊星歯車列160は、1段目のキャリアの前部に形成されたサンギヤ部に噛み合う複数(4個)の遊星ギヤ162と、ピン及びキャリアと、インターナルギヤ31の内面に形成され遊星ギヤ162に噛み合う内歯部とを有する。
【0058】
前遊星歯車列170は、2段目のキャリアの前部に形成されたサンギヤ部に噛み合う複数(4個)の遊星ギヤ172と、ピン173及びキャリア174と、インターナルギヤ31に保持され遊星ギヤ172に噛み合う内歯部175とを有する。
【0059】
遊星歯車機構14の中心を貫くようにチップロッド180が配置される。チップロッド180は、前後方向に延びるように配置される。チップロッド180は、前後方向に移動可能である。チップロッド180の後部に押し出しリング182が配置される。押し出しリング182は、ロッド140と接触する。
【0060】
スリーブ機構18は、電動締付機1の出力部である。スリーブ機構18は、シャーボルト及びナットを同時に保持可能である。スリーブ機構18は、外中間スリーブ200と、外中間スリーブ200の内側に配置される内中間スリーブ202と、少なくとも一部が外中間スリーブ200の前側に配置されるアウタスリーブ204と、アウタスリーブ204の内側に配置されるインナスリーブ206とを有する。
【0061】
外中間スリーブ200は、円筒状であり、3段目の内歯部175と結合される。外中間スリーブ200の後端部は、インターナルギヤ31の前端部の内側に配置される。内中間スリーブ202は、円筒状であり、3段目のキャリア174と連結される。外中間スリーブ200と内中間スリーブ202の間に軸受210が配置される。軸受210の内輪は、内中間スリーブ202及び3段目のキャリアに接触する。軸受210の外輪は、外中間スリーブ200に接触する。外中間スリーブ200の中央部と内中間スリーブ202の前端部との間に軸受211が配置される。軸受211は、オイルレスベアリングである。
【0062】
外中間スリーブ200とアウタスリーブ204とは、4つの爪部とねじとにより固定される。アウタスリーブ204は、外中間スリーブ200に着脱可能である。内中間スリーブ202とインナスリーブ206とは、スプライン結合される。インナスリーブ206は、内中間スリーブ202に着脱可能である。アウタスリーブ204及びインナスリーブ206は、電動締付機1の先端工具として機能する。外中間スリーブ200及び内中間スリーブ202は、先端工具を保持する電動締付機1の先端工具保持部として機能する。アウタスリーブ204は、ソケット状である。アウタスリーブ204の前部の内周面には、ナットが嵌められるナット嵌め込み部が形成される。インナスリーブ206は、ソケット状である。インナスリーブ206の前部の内周面には、シャーボルトのピンテールが嵌められるボルト嵌め込み部が形成される。インナスリーブ206は、インナスリーブスプリング212により前方に付勢されている。インナスリーブスプリング212は、3段目のキャリア174とインナスリーブ206との間に配置される。インナスリーブ206は、前後方向に移動可能な1個のピン214と、ピン214から径方向外側に延びるように配置された複数のストッパ216とを有する。ピン214の後部の太さは、ピン214の前部の太さよりも太い。ピン214が前方に位置している場合には、ピン214の後部がストッパ216の内側端部に接触してストッパ216を径方向外側に押し出す。ピン214が後方に位置している場合には、ピン214の前部がストッパ216の径方向内側への移動を許容する。径方向外側に押し出されたストッパ216は、アウタスリーブ204の内周部に係合する。
【0063】
ピン214の後部は、チップロッド180の先端部に装着された頭部218と接触する。チップロッド180及び頭部218は、チップロッドスプリング220により前方に付勢されている。チップロッドスプリング220は、3段目のキャリア174と頭部218との間に配置される。ピン214は、頭部218により前方に押される。
【0064】
使用者は、インナスリーブ206にシャーボルトのピンテールを挿入する。シャーボルトとナットとは、仮締め(一次締め)されている。ピンテールがチップロッドスプリング220の付勢力に抗してインナスリーブ206に完全に挿入されると、ピン214がピンテールにより後方に押されて、ストッパ216が径方向内側に移動し、インナスリーブ206とアウタスリーブ204との係合が解除され、インナスリーブ206の後方への移動が許容され、アウタスリーブ204へのナットの嵌め込みが許容される。このとき、チップロッド180は後方に移動し、チップロッド180の後端部は、押し出しリング182を経て、リヤカバー28に設けられている穴40に達する。
【0065】
アウタスリーブ204に嵌め込まれたナットは、インナスリーブ206をインナスリーブスプリング212の付勢力に抗して後方に移動させる。シャーボルトのピンテールがインナスリーブ206に完全に嵌められることで、ナットがアウタスリーブ204に嵌められる。
【0066】
使用者がハンドル部7を把持して引金45を引くと、スイッチ44がオンされ、コントローラ74を介してバッテリ8からモータ11へ給電され、モータ11が駆動する。コントローラ74は、センサ回路基板108の磁気センサから出力されるロータ98の回転位置の検出信号に基づいて、ステータ96のコイルに対して順番に電流を流すことで、ロータシャフト10を含むロータ98を回転させる。
【0067】
ロータシャフト10の回転により、ファン126が回転し、吸気口90から排気口128へ空気が流れ、その空気の流れによって、モータ11を始めとする各種の部材が冷却される。
【0068】
ロータシャフト10の回転力は、ピニオン115から第1中間ギヤ130及び第2中間ギヤ132を介して遊星歯車機構14に伝わり、遊星歯車機構14により減速された状態でスリーブ機構18に伝達される。3段目のキャリア174の回転力は、内中間スリーブ202及びインナスリーブ206に伝達される。3段目の内歯部175の回転力は、外中間スリーブ200及びアウタスリーブ204に伝達される。3段目のキャリア174の回転力の方向は、3段目の内歯部175の回転力の方向とは逆である。ナットの締め付け途中では、インナスリーブ206がシャーボルトにより停止され、アウタスリーブ204の回転力がナットに伝達され、ナットがシャーボルトに対して回転する。ナットの締め付けが最終段階に至り、所定しきい値以上の反動トルクがアウタスリーブ204に付加されると、3段目の内歯部175を介してインターナルギヤ31の回転が規制される。すると、3段目のキャリア174と一体のアウタスリーブ204が、シャーボルトのピンテールの剛性に抗してナット締め付け方向と逆方向に回転し、ピンテールを剪断する。ピンテールは、シャーボルトから分離される。こうして、シャーボルトに対するナットの締め付けが完了し、ピンテールの分離を伴うナットの締め付けにより、所定のトルクに係るナットの締め付けが確保される。
【0069】
ナットがアウタスリーブ204から外されると、インナスリーブスプリング212により前方に付勢されたインナスリーブ206が前方に移動し、ストッパ216がアウタスリーブ204に係合する。インナスリーブ206の内側には、シャーボルトから分離されたピンテールであるチップが存在する。インナスリーブ206の内側のチップは、チップロッドスプリング220により前方に付勢されたチップロッド180及びピン214によって、前方への排出を促される。また、使用者がチップレバー56を引くと、チップレバー56により上方に押されたロッド140が押し出しリング182を押し、押し出しリング182が、後方に位置するチップロッド180及びピン214を前方に押し出して、インナスリーブ206の内側のチップが前方に排出される。
【0070】
<フック>
電動締付機1は、フック300を有する。フック300は、ねじ100によりギヤハウジング26に固定される。フック300は、ねじ100が挿入される開口300Aを有する。ハウジング2は、ねじ100が挿入されるねじ孔101を有する。
【0071】
ねじ孔101は、ギヤハウジング26の左側面及び右側面のそれぞれに設けられる。フック300は、ねじ100によりギヤハウジング26に固定される。前後方向において、ねじ100及びねじ孔101は、ハンドルハウジング20とモータハウジング24との間に配置される。上下方向において、ねじ100及びねじ孔101は、動力伝達部4及びスリーブ機構18の中心軸AXよりも下方に配置される。
【0072】
フック300は、帯状の部材である。フック300は、薄板状である。フック300は、金属製である。フック300は、曲げられた状態でギヤハウジング26に固定される。ねじ100が配置される開口300Aは、フック300の左部及び右部のそれぞれに設けられる。フック300の左部が左側のねじ100によりギヤハウジング26の左側面に固定される。フック300の右部が右側のねじ100によりギヤハウジング26の右側面に固定される。フック300の中間部は、ギヤケース30の後方に配置される。フック300は、動力伝達部4及びスリーブ機構18の中心軸AXよりも下方に配置される。フック300は、インターナルギヤ31の外径の最上部よりも下方に配置される。フック300の中間部は、リヤカバー28の後面に対向するように配置される。ハンドルハウジング20の後端部は、リヤカバー28の後端部よりも後方に配置される。フック300の後端部は、ハンドルハウジング20の後端部よりも前方に配置される。
【0073】
図5は、本実施形態に係る電動締付機1のフック300に肩掛けベルト400が掛けられた状態を示す図である。肩掛けベルト400は、カラビナ401を介してフック300に掛けられる。使用者は、フック300を介して電動締付機1に連結された肩掛けベルト400を肩に掛けることができる。電動締付機1の重量は大きいので、電動締付機1を持ち運ぶ際に肩掛けベルト400を使用すると便利である。
【0074】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、電動締付機1は、モータ11を含む動力部6と、シャーボルト及びナットを保持可能なスリーブ機構18と、少なくとも一部がスリーブ機構18よりも後方に配置され、動力部6で発生した回転力をスリーブ機構18に伝達する動力伝達部4と、動力伝達部4の少なくとも一部を保持するギヤハウジング26と、ギヤハウジング26の左側面及び右側面のそれぞれに設けられ、フック300をギヤハウジング26に固定するねじ100が挿入されるねじ孔101と、を備える。
【0075】
上記の構成では、締付作業の邪魔にならない位置にフック300が配置される。また、フック300は、ギヤケース30の左側面及び右側面のそれぞれにねじ100で固定されるので、フック300とギヤケース30との固定が安定する。
【0076】
本実施形態において、電動締付機1は、ギヤハウジング26の下部から下方に延びるように配置され、モータ11を起動させるために操作される引金を保持するハンドルハウジング20と、ギヤハウジング26の下部から下方に延びるように配置され、モータ11を保持するモータハウジング24と、を備える。モータハウジング24は、ハンドルハウジング20よりも前方に配置される。前後方向において、ねじ100及びねじ孔101は、ハンドルハウジング20とモータハウジング24との間に配置される。
【0077】
上記の構成では、締付作業の邪魔にならない位置にフック300が配置される。また、フック300とギヤハウジング26との固定が安定する。
【0078】
本実施形態において、フック300の後端部は、ハンドルハウジング20の後端部よりも前方に配置される。
【0079】
上記の構成では、締付作業の邪魔にならない位置にフック300が配置される。
【0080】
本実施形態において、ギヤハウジング26は、金属製である。
【0081】
上記の構成では、高強度のギヤハウジング26にフック300が固定される。
【0082】
本実施形態において、電動締付機1は、ギヤハウジング26及びギヤケース30の後部の開口を覆うようにギヤハウジング26に固定されるリヤカバー28を備える。リヤカバー28は、合成樹脂製である。
【0083】
上記の構成では、電動締付機1の軽量化が図られる。
【0084】
本実施形態において、フック300は、帯状である。フック300の左部が左側のねじ100によりギヤハウジング26の左側面に固定され、フック300の右部が右側のねじ100によりギヤハウジング26の右側面に固定される。
【0085】
上記の構成では、肩掛けベルト400をフック300に掛けやすい。また、フック300とギヤハウジング26との固定が安定する。
【0086】
本実施形態において、フック300の中間部は、ギヤケース30の後方に配置される。
【0087】
上記の構成では、締付作業の邪魔にならない位置にフック300が配置される。
【0088】
本実施形態において、フック300は、インターナルギヤ31の外径の最上部よりも下方に配置される。
【0089】
上記の構成では、締付作業の邪魔にならない位置にフック300が配置される。
【0090】
本実施形態において、フック300の左部及び右部のそれぞれに、ねじ100が配置される開口300Aが設けられてもよい。
【0091】
上記の構成では、フック300とギヤハウジング26との固定が安定する。
【0092】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0093】
<フック>
図6は、本実施形態に係る電動締付機1を示す右前方からの斜視図である。
図7、
図8、及び
図9のそれぞれは、本実施形態に係る電動締付機1を示す左後方からの斜視図である。
【0094】
電動締付機1は、フック301を有する。本実施形態において、フック301の左部及び右部のそれぞれに、開口301A及び開口301Bが設けられる。フック301の左部において、開口301Aは、開口301Bよりもフック301の左端部に近い位置に設けられる。フック301の右部において、開口301Aは、開口301Bよりもフック301の右端部に近い位置に設けられる。
【0095】
図8に示すように、左側のねじ100がフック301の左部の開口301Bを介してギヤハウジング26左側面のねじ孔101に挿入されるとき、右側のねじ100がフック301の右部の開口301Bを介してギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入される。
図6、
図7、及び
図9に示すように、左側のねじ100がフック301の左部の開口301Aを介してギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入されるとき、右側のねじ100がフック301の右部の開口301Aを介してギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入される。
【0096】
図8に示すように、左側のねじ100がフック301の左部の開口301Bを介してギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入され、右側のねじ100がフック301の右部の開口301Bを介してギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入された状態で、フック301の中間部は、ギヤケース30の後方に配置される。フック301の中間部は、リヤカバー28の後面に対向するように配置される。左側のねじ100がフック301の左部の開口301Bを介してギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入され、右側のねじ100がフック301の右部の開口301Bを介してギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入された状態で、フック301の中間部を、ギヤケース30の上方に配置することができない。
【0097】
図9に示すように、左側のねじ100がフック301の左部の開口301Aを介してギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入され、右側のねじ100がフック301の右部の開口301Aを介してギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入された状態で、フック301の中間部は、ギヤケース30の後方に配置される。フック301の中間部は、リヤカバー28の後面に対向するように配置される。
図6及び
図7に示すように、左側のねじ100がフック301の左部の開口301Aを介してギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入され、右側のねじ100がフック301の右部の開口301Aを介してギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入された状態で、フック301の中間部を、ギヤケース30の上方に配置することができる。
【0098】
フック301の中間部と左部との間に段差部が設けられる。フック301の中間部と右部との間に段差部が設けられる。
図6及び
図7に示すように、フック301の中間部がギヤケース30の上方に配置された状態で、開口301Aは、開口301Bよりも後方に配置される。
図8及び
図9に示すように、フック301の中間部がギヤケース30の後方に配置された状態で、開口301Aは、開口301Bよりも上方に配置される。
【0099】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、フック301の左部の開口は、開口301Bと、開口301Bよりもフック300の左端部に近い位置に設けられる開口301Aと、を含む。フック301の右部の開口は、開口301Bと、開口301Bよりもフック301の右端部に近い位置に設けられる開口301Aと、を含む。左側のねじ100が開口301Bを介してギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入されるとき、右側のねじ100が開口301Bを介してギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入され、左側のねじ100が開口301Aを介してギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入されるとき、右側のねじ100が開口301Aを介してギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入される。
【0100】
上記の構成では、作業状況に応じて、開口301Bの使用と開口301Aの使用とが選択されることにより、締付作業の邪魔にならない位置にフック301が配置される。
【0101】
本実施形態において、左側のねじ100が開口301Bを介してギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入され、右側のねじ100が開口301Bを介してギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入された状態で、フック301の中間部は、ギヤハウジング26の後方に配置される。左側のねじ100が開口301Aを介してギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入され、右側のねじ100が開口301Aを介してギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入された状態で、フック301の中間部は、ギヤケース30の後方又は前記ギヤケース30の上方に配置される。
【0102】
上記の構成では、開口301Bが使用される場合、フック301の中間部がギヤケース30の後方に配置されることにより、締付作業の邪魔にならない位置にフック301が配置される。開口301Aが使用される場合、作業状況に応じて、フック301の中間部がギヤケース30の後方又はギヤケース30の上方に配置されることにより、締付作業の邪魔にならない位置にフック301が配置される。
【0103】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0104】
<フック>
図10は、本実施形態に係る電動締付機1を示す右前方からの斜視図である。
図11は、本実施形態に係る電動締付機1を示す左後方からの斜視図である。
図12は、本実施形態に係る電動締付機1を示す平面図である。
【0105】
電動締付機1は、フック302を有する。本実施形態において、フック302は、ねじ(100)と一体である。フック302は、ギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入されるねじを有する左側のフック302と、ギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入されるねじを有する右側のフック302と、を含む。左側のフック302及び右側のフック302のそれぞれは、円柱部302Bと、円柱部302Bの左端部及び右端部のそれぞれに配置されるフランジ部302Aとを有する。カラビナ401は、円柱部302Bに掛けられる。カラビナ401の側面は、フランジ部302Aに接触する。フランジ部302Aにより、カラビナ401が円柱部302Bから外れることが抑制される。
【0106】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、フック302は、ねじ(100)と一体である。
【0107】
上記の構成では、フック302をねじ孔101にねじ100込むことにより、フック302がギヤハウジング26に固定される。
【0108】
本実施形態において、フック302は、ギヤハウジング26の左側面のねじ孔101に挿入されるねじを有する左側のフック302と、ギヤハウジング26の右側面のねじ孔101に挿入されるねじを有する右側のフック302と、を含む。
【0109】
上記の構成では、左側のフック302及び右側のフック302のそれぞれに肩掛けベルト400を掛けることができる。
【0110】
本実施形態において、左側のフック302及び右側のフック302のそれぞれは、円柱部302Bと、円柱部302Bの左端部及び右端部のそれぞれに配置されるフランジ部302Aと、を有する。
【0111】
上記の構成では、例えばカラビナ401が円柱部302Bに掛けられた場合、フランジ部302Aにより、カラビナ401が円柱部302Bから外れることが抑制される。
【0112】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0113】
<フック>
図13は、本実施形態に係る電動締付機1を示す右前方からの斜視図である。
図14及び
図15のそれぞれは、本実施形態に係る電動締付機1を示す左後方からの斜視図である。
【0114】
電動締付機1は、フック303を有する。フック303は、ねじ100が配置される開口303Aを有する。本実施形態において、開口303Aは、長孔である。フック303は、開口303Aがねじ100にガイドされながらスライド可能である。開口303Aは、フック303の中間部に近い第1端部と、フック303の中間部から遠い第2端部とを有する。
図13及び
図14に示すように、ねじ100が開口303Aの第1端部に配置されることにより、ギヤケース30の上方に配置されるフック303の中間部とギヤケース30の上面との距離が短くなる。
図15に示すように、ねじ100が開口303Aの第2端部に配置されることにより、ギヤケース30の上方に配置されるフック303の中間部とギヤケース30の上面との距離が長くなる。
【0115】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、開口303Aは、長孔でもある。フック303は、開口303Aがねじ100にガイドされながらスライド可能である。
【0116】
上記の構成では、作業状況に応じて、ギヤハウジング26に対してフック303がスライドされることにより、締付作業の邪魔にならない位置にフック303が配置される。
【0117】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0118】
<フック>
図16は、本実施形態に係る電動締付機1の一部を示す左後方からの斜視図である。
図17は、本実施形態に係る電動締付機1の一部を示す右側面図である。
図18は、本実施形態に係る電動締付機1の一部を示す右後方からの斜視図である。
【0119】
電動締付機1は、フック304を有する。フック304は、ねじ100によりギヤハウジング26に固定される。フック304は、ねじ100が挿入される開口304Aを有する。ハウジング2は、ねじ100が挿入されるねじ孔101を有する。
【0120】
ねじ孔101は、ギヤハウジング26の左側面及び右側面のそれぞれに設けられる。フック304は、ねじ100によりギヤハウジング26に固定される。
【0121】
フック304は、帯状の部材である。フック304は、薄板状である。フック304は、金属製である。フック304は、曲げられた状態でギヤハウジング26に固定される。ねじ100が配置される開口304Aは、フック304の左部及び右部のそれぞれに設けられる。フック304の左部が左側のねじ100によりギヤハウジング26の左側面に固定される。フック304の右部が右側のねじ100によりギヤハウジング26の右側面に固定される。フック304の後端部(中間部)は、ギヤケース30の後方に配置される。フック304の後端部は、リヤカバー28の後面に対向するように配置される。ハンドルハウジング20の後端部は、リヤカバー28の後端部よりも後方に配置される。フック304の後端部は、ギヤケース30の後方において、ハンドルハウジング20の後端部よりも前方に配置される。
【0122】
フック304に凹部304Bが設けられる。凹部304Bは、フック304の下面304Cから上方に凹むように設けられる。本実施形態において、凹部304Bは、2つ設けられる。一方の凹部304Bは、左側のねじ100とフック304の後端部との間に設けられる。他方の凹部304Bは、右側のねじ100とフックの後端部との間に設けられる。
【0123】
図18に示すように、凹部304Bにカラビナ401が掛けられる。1つの凹部304Bに1つのカラビナ401が配置される。肩掛けベルト400は、カラビナ401を介してフック304に掛けられる。カラビナ401は、実質的に曲げられた円柱状の部材を含む。
【0124】
ハンドルハウジング20の上面20Aは、後方に向かって下方に傾斜する。フック304の後端部は、ハンドルハウジング20の上面20Aの後端部よりも前方に配置される。フック304とハンドルハウジング20との間隙のうち、フック304の後端部の下面304Cとハンドルハウジング20の上面20Aとの間隙の寸法が最も大きい。フック304の下面304Cとハンドルハウジング20の上面20Aとの距離Gaは、カラビナ401の太さDaよりも小さい。
【0125】
<効果>
以上説明したように、フック304に凹部304Bが設けられるので、凹部304Bに掛けられたカラビナ401がフック304に対してスライド移動することが抑制される。また、フック304の下面304Cとハンドルハウジング20の上面20Aとの距離Gaがカラビナ401の太さDaよりも小さいので、凹部304Bに配置されたカラビナ401が、フック304の下面304Cとハンドルハウジング20の上面20Aとの間に入り込むことが抑制される。また、フック304の下面304Cとハンドルハウジング20の上面20Aとの間隙が十分に狭いので、電動締付機1の周囲の物体がフック304の下面304Cとハンドルハウジング20の上面20Aとの間に入り込むことが抑制される。そのため、作業性の低下が抑制される。
【0126】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、ねじ孔101に挿入されるねじ100により、フック(300等)がギヤハウジング26に固定されることとした。ギヤハウジング26に固定される部材は、フックに限られず、電動締付機1に付属されるアクセサリでもよい。
【0127】
上述の実施形態において、電動締付機1は、シャーレンチであることとした。電動締付機1は、一次締めレンチでもよい。
【符号の説明】
【0128】
1…電動締付機、2…ハウジング、4…動力伝達部、6…動力部、7…ハンドル部、8…バッテリ、9…バッテリ装着部、10…ロータシャフト、11…モータ、12…中間歯車機構、14…遊星歯車機構、18…スリーブ機構、20…ハンドルハウジング、20A…上面、21…左ハンドルハウジング、22…右ハンドルハウジング、24…モータハウジング、26…ギヤハウジング、28…リヤカバー、30…ギヤケース、31…インターナルギヤ、34…ネジ、35…ネジ、38…ネジ、40…穴、44…スイッチ、45…引金、56…チップレバー、74…コントローラ、79…通気口、80…仕切リブ、90…吸気口、96…ステータ、98…ロータ、100…ねじ、101…ねじ孔、108…センサ回路基板、115…ピニオン、122…軸受、124…軸受、126…ファン、128…排気口、130…第1中間ギヤ、132…第2中間ギヤ、134…軸受、136…軸受、138…軸受、139…軸受、140…ロッド、150…後遊星歯車列、151…傘歯、152…遊星ギヤ、156…軸受、157…軸受、160…中遊星歯車列、162…遊星ギヤ、170…前遊星歯車列、172…遊星ギヤ、173…ピン、174…キャリア、175…内歯部、180…チップロッド、182…押し出しリング、200…外中間スリーブ、202…内中間スリーブ、204…アウタスリーブ、206…インナスリーブ、210…軸受、211…軸受、212…インナスリーブスプリング、214…ピン、216…ストッパ、218…頭部、220…チップロッドスプリング、300…フック、300A…開口、301…フック、301A…開口(第2開口)、301B…開口(第1開口)、302…フック、302A…フランジ部、302B…円柱部、303…フック、303A…開口、304…フック、304A…開口、304B…凹部、304C…下面、400…肩掛けベルト、401…カラビナ。