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特開2024-54085波形および平滑金属製水バリアを有する動的海底電力ケーブル
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  • 特開-波形および平滑金属製水バリアを有する動的海底電力ケーブル 図1
  • 特開-波形および平滑金属製水バリアを有する動的海底電力ケーブル 図2
  • 特開-波形および平滑金属製水バリアを有する動的海底電力ケーブル 図3
  • 特開-波形および平滑金属製水バリアを有する動的海底電力ケーブル 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054085
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】波形および平滑金属製水バリアを有する動的海底電力ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/14 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
H01B7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023169040
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】22199612
(32)【優先日】2022-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ティルバーグ, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン, エーリク
【テーマコード(参考)】
5G311
【Fターム(参考)】
5G311FA01
5G311FB02
5G311FC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】深海では静水圧が高くなり、電力ケーブルが常に動いている場合、変形によって応力集中が生じ、金属製水バリアの疲労寿命を低下させる可能性があるため、座屈などによる問題を解決または少なくとも緩和する動的海底電力ケーブルを提供する。
【解決手段】動的海底電力ケーブル(1)は、導体(3)と、導体の周りに配置され、導体の周りに配置された内側半導電層(5a)、内側半導電層の周りに配置された絶縁層(5b)および絶縁層の周りに配置された外側半導電層(5c)を備える絶縁システムと、絶縁システムの周りに配置された金属製止水層(7)と、を備える。金属製止水層は、波形金属製止水層である第1のセクションおよび平滑金属製止水層である第2のセクションによって形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的海底電力ケーブル(1)であって、
導体(3)と、
前記導体(3)の周りに配置された絶縁システム(5)であって、
前記絶縁システム(5)が、前記導体(3)の周りに配置された内側半導電層(5a)、前記内側半導電層(5a)の周りに配置された絶縁層(5b)、および前記絶縁層(5a)の周りに配置された外側半導電層(5c)を備える、絶縁システム(5)と、
前記絶縁システム(5)の周りに配置された金属製止水層(7)であって、
前記金属製止水層(7)が、波形金属製止水層(7a)である第1のセクション(8a)、および平滑金属製止水層(7b)である第2のセクション(8b)によって形成されている、金属製止水層(7)と、
を備える、動的海底電力ケーブル(1)。
【請求項2】
設置された状態において、前記第1のセクション(1a)が、前記動的海底電力ケーブル(1)の上部セクションであり、前記第2のセクション(1b)が、下部セクションである、請求項1に記載の動的海底電力ケーブル(1)。
【請求項3】
前記波形金属製止水層(7a)が、前記動的海底電力ケーブル(1)の第1の端部、または前記第1の端部から10から15メートル以内から、前記波形金属製止水層(7a)が前記平滑金属製止水層(7b)に遷移するまで延在し、前記平滑金属製止水層(7b)が、遷移点から、前記第1の端部とは反対側の前記動的海底電力ケーブル(1)の第2の端部まで延在する、請求項1または2に記載の動的海底電力ケーブル(1)。
【請求項4】
前記第1のセクション(8a)が、少なくとも50mの長さ、例えば少なくとも100mの長さ、例えば少なくとも150mの長さ、例えば少なくとも200mの長さである、請求項1から3のいずれか一項に記載の動的海底電力ケーブル(1)。
【請求項5】
前記第1のセクション(8a)が、最大800mの長さ、例えば最大600mの長さ、例えば最大400mの長さである、請求項1から4のいずれか一項に記載の動的海底電力ケーブル(1)。
【請求項6】
前記金属製止水層(7)が前記波形金属製止水層(7a)から前記平滑金属製止水層(7b)に遷移する領域において1つの長さで作製されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の動的海底電力ケーブル(1)。
【請求項7】
前記絶縁システム(5)が、前記動的海底電力ケーブル(1)の全長に沿って1つの長さで作製されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の動的海底電力ケーブル(1)。
【請求項8】
前記金属製止水層(7)の周りに配置されたポリマー層(9)を備え、前記ポリマー層(9)が、前記第1のセクション(1a)に沿って、かつ前記第2のセクション(1b)に沿って延在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の動的海底電力ケーブル(1)。
【請求項9】
接着剤を含み、前記接着剤が、前記第2のセクション(8b)において前記ポリマー層(9)と前記平滑金属製止水層(7b)との間に配置されて、前記ポリマー層(9)を前記第2のセクション(1b)に沿って前記金属製止水層(7)に結合する、請求項8に記載の動的海底電力ケーブル(1)。
【請求項10】
前記金属製止水層(7)が、銅、ステンレス鋼、またはアルミニウムのうちの1つを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の動的海底電力ケーブル(1)。
【請求項11】
浮体式プラットフォーム(17)と、前記浮体式プラットフォーム(17)から吊り下げられた請求項1から10のいずれか一項に記載の動的海底電力ケーブル(1)と、を備え、前記金属製止水層(7)の前記第1のセクション(8a)および前記第2のセクション(8b)が、前記浮体式プラットフォーム(17)と海底(19)との間の水柱中に配置されており、前記第1のセクション(8a)が、前記水柱中に前記動的海底電力ケーブル(1)の上部セクションを形成し、前記第2のセクション(8b)が、下部セクションを形成する、海洋構造物(15)。
【請求項12】
導体(3)と、前記導体(3)の周りに配置された絶縁システム(5)であって、前記絶縁システム(5)が、前記導体(3)の周りに配置された内側半導電層(5a)、前記内側半導電層(5a)の周りに配置された絶縁層(5b)、および前記絶縁層(5b)の周りに配置された外側半導電層(5c)を備える、絶縁システム(5)と、を備える動的海底電力ケーブル(1)を製造する方法であって、前記方法が、
a)絶縁システム(5)の周りに配置された金属管を波形化して、前記動的海底電力ケーブル(1)の金属製止水層(7)の第1のセクション(8a)である波形金属製止水層(7a)を形成することと、
b)絶縁システム(5)の周りに配置された金属管の縮径を実行して、前記金属製止水層(7)の第2のセクション(8b)である平滑金属製止水層(7b)を形成することと、を含み、
前記第1のセクション(8a)および前記第2のセクション(8b)が、前記金属製止水層(7)の軸方向長さを一緒に画定する、
方法。
【請求項13】
ステップa)およびb)の間、前記動的海底電力ケーブル(1)が、1つの長さであり、ステップa)の前記金属管およびステップb)の前記金属管が、同じであり、1つの長さで作製される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップa)およびb)の前記金属管が、物理的に別個の金属管であり、前記方法が、ステップa)およびb)の後に、c)前記第1のセクション(8a)と前記第2のセクション(8b)とを接合することを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、動的海底電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
動的海底電力ケーブルは、浮体式構造物から海底に吊り下げられたときに動きにさらされる。したがって、そのようなケーブルは、典型的には、金属製水バリアにより良好な疲労特性を提供するために波形金属製水バリアを有する。そのような解決策の一例が、欧州特許第2896053号明細書に開示されている。
【発明の概要】
【0003】
今日では、動的海底電力ケーブルは、例えば1500m超または2000m超の水深用の深海設備での使用が検討されている。これは、深海では静水圧が高くなり、波形金属製水バリアの座屈を引き起こす可能性があるため、波形金属製水バリアの使用は問題となる。特に、電力ケーブルが常に動いている場合、変形によって応力集中が生じ、金属製水バリアの疲労寿命を低下させる可能性があるため、座屈などによる金属製水バリアの元の設計に対する制御不能な変化は望ましくない。
【0004】
上記に鑑みて、本開示の目的は、先行技術の問題を解決または少なくとも緩和する動的海底電力ケーブルを提供することである。
【0005】
したがって、本開示の第1の態様によれば、導体と、導体の周りに配置された絶縁システムであって、絶縁システムが、導体の周りに配置された内側半導電層、内側半導電層の周りに配置された絶縁層、および絶縁層の周りに配置された外側半導電層を備える、絶縁システムと、絶縁システムの周りに配置された金属製止水層であって、金属製止水層が、波形金属製止水層である第1のセクション、および平滑金属製止水層である第2のセクションによって形成されている、金属製止水層と、を備える、動的海底電力ケーブルが提供される。
【0006】
動的海底電力ケーブルの上部セクションは、動的海底電力ケーブルが設置されている水域の表面領域における波動のために、動的海底電力ケーブルの最も疲労の影響を受ける部分である。波形金属製止水層は、平滑金属製止水層よりも良好な耐疲労特性を提供し、動的海底電力ケーブルは、波形金属製止水層が動的海底電力ケーブルの上部セクションに沿って延在するように有利に設置されている。水柱のさらに下方では、動的海底電力ケーブルは波動の影響をはるかに受けにくいが、より深い深さでは、静水圧が波形金属製止水層の形状に影響を及ぼす可能性がある。したがって、有利には、平滑金属製止水層が動的海底電力ケーブルの下部セクションを形成して、より深い水深で金属製止水層のあらゆる変形なしに周囲の静水圧により良好に耐える。
【0007】
平滑金属製止水層は、波形ではない。
【0008】
一実施形態によれば、設置された状態において、第1のセクションは、動的海底電力ケーブルの上部セクションであり、第2のセクションは、下部セクションである。
【0009】
一実施形態によれば、波形金属製止水層は、動的海底電力ケーブルの第1の端部、または第1の端部から10~15メートル以内から、波形金属製止水層が平滑金属製止水層に遷移するまで延在し、平滑金属製止水層は、遷移点から、第1の端部とは反対側の動的海底電力ケーブルの第2の端部まで延在する。
【0010】
一実施形態によれば、第1のセクションは、少なくとも50mの長さ、例えば少なくとも100mの長さ、例えば少なくとも150mの長さ、例えば少なくとも200mの長さである。
【0011】
一実施形態によれば、第1のセクションは、最大800mの長さ、例えば最大600mの長さ、例えば最大400mの長さである。
【0012】
一実施形態によれば、金属製止水層は、金属製止水層が波形金属製止水層から平滑金属製止水層に遷移する領域において1つの長さで作製されている。
【0013】
一実施形態によれば、絶縁システムは、動的海底電力ケーブルの全長に沿って1つの長さで作製されている。したがって、動的海底電力ケーブルは、その全長に沿って任意の工場接合がなくてもよい。工場接合は、任意の装甲が適用される前に2つの半完成ケーブル長さを接続し、加硫による絶縁システムの復元を伴う。典型的には、工場接合の場合、2つの半完成ケーブル長さの導体は溶接によって接合される。
【0014】
一実施形態では、金属製止水層の周りに配置されたポリマー層が備えられ、ポリマー層は、第1のセクションに沿って、かつ第2のセクションに沿って延在する。
【0015】
ポリマー層は、誘電性または半導電性であり得る。
【0016】
一実施形態では、接着剤が含まれ、接着剤は、第2のセクションにおいてポリマー層と平滑金属製止水層との間に配置されて、ポリマー層を第2のセクションに沿って金属製止水層に結合する。
【0017】
ポリマー層が誘電性である場合、接着剤は誘電性であり得、ポリマー層が半導電性である場合、接着剤は半導電性であり得る。
【0018】
一実施形態によれば、金属製止水層は、銅、ステンレス鋼、またはアルミニウムのうちの1つを含む。
【0019】
動的海底電力ケーブルは、中電圧または高電圧海底電力ケーブルであり得る。
【0020】
動的海底電力ケーブルは、ACまたはDC動的海底電力ケーブルであり得る。
【0021】
動的海底電力ケーブルは、1つ以上の電力コアを備え得、各電力コアは、導体と、導体の周りに配置された絶縁システムであって、絶縁システムが、導体の周りに配置された内側半導電層、内側半導電層の周りに配置された絶縁層、および絶縁層の周りに配置された外側半導電層を備える、絶縁システムと、絶縁システムの周りに配置された金属製止水層であって、金属製止水層が、波形金属製止水層である第1のセクション、および平滑金属製止水層である第2のセクションによって形成されている、金属製止水層と、を備える。
【0022】
動的海底電力ケーブルは、例えば、1つ、2つ、または3つの電力コアを備え得る。
【0023】
本開示の第2の態様によれば、浮体式プラットフォームと、浮体式プラットフォームから吊り下げられた第1の態様の動的海底電力ケーブルと、を備え、金属製止水層の第1のセクションおよび第2のセクションが、浮体式プラットフォームと海底との間の水柱中に配置されており、第1のセクションが、水柱中に動的海底電力ケーブルの上部セクションを形成し、第2のセクションが、下部セクションを形成する、海洋構造物が提供される。
【0024】
したがって、動的海底電力ケーブルの第1のセクションおよび第2のセクションの両方は、水柱中で浮体式プラットフォームから垂れ下がった吊り下げ状態にある。
【0025】
動的海底電力ケーブルは、海底に敷設された静的海底電力ケーブルと接合され得る。接合部は海底上に位置し得、したがって、動的海底電力ケーブルの第2のセクションの一部は海底に敷設され得る。
【0026】
本開示の第3の態様によれば、導体と、導体の周りに配置された絶縁システムであって、絶縁システムが、導体の周りに配置された内側半導電層、内側半導電層の周りに配置された絶縁層、および絶縁層の周りに配置された外側半導電層を備える、絶縁システムと、を備える動的海底電力ケーブルを製造する方法であって、方法が、a)絶縁システムの周りに配置された金属管を波形化して、動的海底電力ケーブルの金属製止水層の第1のセクションである波形金属製止水層を形成することと、b)絶縁システムの周りに配置された金属管の縮径を実行して、金属製止水層の第2のセクションである平滑金属製止水層を形成することと、を含み、第1のセクションおよび第2のセクションが、金属製止水層の軸方向長さを一緒に画定する、方法が提供される。
【0027】
一実施形態によれば、ステップa)およびb)の間、動的海底電力ケーブルは、1つの長さであり、ステップa)の金属管およびステップb)の金属管は、同じであり、1つの長さで作製される。
【0028】
一実施形態によれば、ステップa)およびb)の金属管は、物理的に別個の金属管であり、方法は、ステップa)およびb)の後に、c)第1のセクションと第2のセクションとを接合することを含む。
【0029】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で特に明示的に定義されていない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「a/an/the要素、装置、構成要素、手段」などへのすべての言及は、別途明示的な指定のない限り、要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの実例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0030】
ここで、添付の図面を参照して、本発明の概念の具体的な実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】動的海底電力ケーブルの一例を概略的に示す。
図2】波形と平滑との間を遷移する金属製止水層の一部の側面図を概略的に示す。
図3】海洋構造物を概略的に示す。
図4】動的海底電力ケーブルを製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の概念を、例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して以下により完全に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全となり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0033】
図1は、動的海底電力ケーブル1の一例を示している。図1に描写された動的海底電力ケーブル1は、単一の電力コアを有するが、代替的に、2つまたは3つの電力コアなど、2つ以上の電力コアを備え得る。
【0034】
例示的な動的海底電力ケーブル1は、導体3を備える。導体3は、典型的には、銅またはアルミニウムを含み得る。
【0035】
動的海底電力ケーブル1は、絶縁システム5を備える。絶縁システム5は、導体3の周りに配置された内側半導電層5aを備える。
【0036】
絶縁システム5は、内側半導電層5aの半径方向外側に配置された絶縁層5bを備える。さらに、絶縁システム5は、絶縁層5bの半径方向外側に配置された外側半導電層5cを備える。
【0037】
絶縁システム5は、例えば、ポリマー材料を含む3層押出型絶縁システムであり得る。あるいは、絶縁システム5は、最内層および最外層が半導電性紙層である油浸紙の層で形成されてもよい。
【0038】
動的海底電力ケーブル1は、動的海底電力ケーブル1の長さの大部分、または全長に沿って延在する金属製止水層7を備える。金属製止水層7は、例えば銅を含み得、この場合には純銅もしくは銅合金であってもよく、またはアルミニウムを含み得、この場合には純アルミニウムもしくはアルミニウム合金であってもよく、または積層構造を有し得、またはステンレス鋼を含み得る。
【0039】
金属製止水層7は、絶縁システム5の半径方向外側に配置されている。
【0040】
金属製止水層7は、絶縁システム5の周りに巻き付けられた金属シースで形成され得、動的海底電力ケーブル1の製造中に長手方向に溶接される。
【0041】
動的海底電力ケーブル1は、絶縁システム5と金属製止水層7との間に配置されたクッション層を備え得る。クッション層は、ポリマー材料を含み得る。クッション層は、半導電性であり得る。
【0042】
金属製止水層7は、波形の第1のセクションと、平滑な、すなわち波形ではない第2のセクションと、を含む。特に、第1のセクションの全長に沿って、金属製止水層7は波形金属製止水層であり、第2のセクションの全長に沿って、金属製止水層7は平滑金属製止水層である。第1のセクションは、第2のセクションに遷移する。これにより、波形金属製止水層は、平滑金属製止水層に遷移する。
【0043】
波形金属製止水層の波形は、動的海底電力ケーブル1の軸方向に形成されている。ここで、金属製止水層7は、第1のセクションに沿って軸方向に起伏している。
【0044】
動的海底電力ケーブル1は、ポリマー層9を備える。ポリマー層9は、金属製止水層7の周りに配置されている。ポリマー層9は、第1のセクションに沿って、かつ第2のセクションに沿って延在する。ポリマー層9は、例えば、ポリエチレンもしくはポリプロピレンのようなポリオレフィン、またはポリ塩化ビニルを含み得る。
【0045】
ポリマー層9は、波形金属製止水層と直接接触し得る。
【0046】
動的海底電力ケーブル1は、ポリマー層9と金属製止水層7との間に設けられて第2のセクション、すなわち金属製止水層7が平滑金属製止水層である場所に沿ってポリマー層9を金属製止水層7に結合する、接着剤を含み得る。
【0047】
接着剤は、例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィンを含み得る。
【0048】
動的海底電力ケーブル1は、1つ以上の装甲層11を備え得る。各装甲層11は、複数の装甲ワイヤ11aを備える。装甲ワイヤ11aは、ポリマー層9の周りに螺旋状に敷設され得る。装甲ワイヤ11aは、例えば亜鉛めっき鋼もしくはステンレス鋼の鋼、または銅製のワイヤなどの金属製装甲ワイヤであってもよく、ポリマー材料などの合成材料で作製されてもよく、または装甲ワイヤのうちのいくつかが金属から作製され得、その他が合成材料で作製されてもよい。
【0049】
動的海底電力ケーブル1が装甲層11を備える場合、動的海底電力ケーブル1は、ポリマー層9と1つ以上の装甲層11の最内層との間に配置された床敷層を備え得る。床敷層は、ポリマー材料で作製され得る。
【0050】
動的海底電力ケーブル1は、動的海底電力ケーブル1の最外層を形成する外側シースまたは外側サービング13を備える。外側シースまたは外側サービング13は、ポリマー材料を含み得る。
【0051】
図2は、動的海底電力ケーブル1の一部の側面図を示している。特に、金属製止水層7は、明確にするために金属製止水層7の外部の構成要素が除去されて示されている。
【0052】
図2では、一部のみが示された金属製止水層7の第1のセクション8aは波形金属製止水層7aであり、一部のみが示された第2のセクション8bは平滑金属製止水層7bであることが示されている。金属製止水層7は、動的海底電力ケーブル1の全長に沿って連続的に延在し、波形と平滑との間を遷移する。
【0053】
図3は、水上16に浮遊する浮体式プラットフォーム17と、動的海底電力ケーブル1と、を備える海洋構造物15を示している。
【0054】
浮体式プラットフォーム17は、例えば、浮体式風力タービンの浮体式プラットフォーム、または石油およびガス用途のための半潜水式プラットフォームであり得る。
【0055】
動的海底電力ケーブル1は、浮体式プラットフォーム17から吊り下げられており、海底19まで下方に延在する。
【0056】
海洋構造物15は、動的海底電力ケーブル1の上部の周りに配置された、浮体式プラットフォーム17に接続された曲げ補剛材21、または代替的にベルマウスを備える。特に、曲げ補剛材21、またはベルマウスは、動的海底電力ケーブル1の上部セクション1aの周りに配置されている。金属製止水層7の第1のセクション8aは、動的海底電力ケーブル1が浮体式プラットフォーム17から垂れ下がって海底19まで延在する際に、動的海底電力ケーブル1の上部セクション1aに沿って配置される。
【0057】
第1のセクション8aは、少なくとも50mの長さ、例えば少なくとも100mの長さ、例えば少なくとも150mの長さ、例えば少なくとも200mの長さであり得る。第1のセクション8aは、最大800mの長さ、例えば最大600mの長さ、例えば最大400mの長さであり得る。
【0058】
動的海底電力ケーブル1は、動的海底電力ケーブル1が海底19に向かって延在する際に動的海底電力ケーブル1に波状構成を提供するために、浮力モジュール23が設けられ得る。あるいは、動的海底電力ケーブル1は、浮体式プラットフォーム17から浮動的に垂れ下がっていてもよい。
【0059】
動的海底電力ケーブル1は、第1のセクション8aと同様に、浮体式プラットフォーム17と海底19との間の水柱中に垂れ下がるように配置された下部セクション1bを有する。第2のセクション8bは、動的海底電力ケーブル1の下部セクション1bに沿って配置されている。
【0060】
第2のセクション8bは、一例によれば、少なくとも100mの長さ、例えば少なくとも200mの長さであり得る。第2のセクション8bは、一例によれば、最大3000mまたは最大5000mの長さであり得る。一般に、第2のセクション8bの長さは水深に依存する。
【0061】
下部セクション1bの、したがって第2のセクション8bの一部は、海底19まで延在し、海底19に沿って海底19上の接合部27まで延在し得、接合部27は、動的海底電力ケーブル1を静的海底電力ケーブル27に接続する。
【0062】
次に、図4を参照して、動的海底電力ケーブル1などの動的海底電力ケーブルを製造する方法について説明する。
【0063】
第1の例では、第1のセクション8aおよび第2のセクション8bは、1つの長さで製造される。絶縁システム5は、動的海底電力ケーブル1の全長に沿って1つの長さで作製され得る。したがって、この例では、絶縁システム5を接合する工場接合は行われない。
【0064】
まず、絶縁システム5の周りに金属管を配置する。金属管は、絶縁システム5の周りに金属シースを巻き付け、金属シースを長手方向に溶接、はんだ付け、または接着することによって作製され得る。
【0065】
第2の例では、第1のセクション8aおよび第2のセクション8bは、2つの別個の長さで製造され、次いで接合される。この場合、動的海底電力ケーブル1、またはより典型的には海底電力ケーブル1の1つ以上の電力コアはまた、典型的には、接合された2つの長さで製造され得る。
【0066】
両方の例において、ステップa)では、絶縁システム5の周りに配置された金属管が波形化されて、波形金属製止水層7aが形成される。
【0067】
ステップa)において、金属製止水層7の第1のセクション8aが製造される。
【0068】
ステップa)は、金属管が波形である動的海底電力ケーブル1の少なくともその部分または一部が通過する波形加工機によって実行される。
【0069】
両方の例において、ステップb)では、絶縁システム5の周りに配置された金属管の縮径が実行されて、平滑金属製止水層7bが形成される。
【0070】
ステップb)は、動的海底電力ケーブル1の第2のセクション8bが通過するローラアセンブリによって実行される。
【0071】
ステップb)において、金属製止水層7の第2のセクション8bが製造される。
【0072】
ステップa)がステップb)の前に実行されてもよく、ステップb)がステップa)の前に実行されてもよい。第1のセクション8aおよび第2のセクション8bが、ステップa)およびb)の間、物理的に別個の長さの金属製止水層7である場合、ステップa)およびb)は、工場がそのような製造可能性を提供する場合には同時に実行されてもよい。
【0073】
第1の例では、ステップa)およびb)が実行されると、波形金属製止水層7aおよび平滑動的金属製止水層7bは金属製止水層7を形成し、この場合、金属製止水層7は、金属製止水層7が波形から平滑に遷移する領域において1つの長さに作製され得る。
【0074】
第2の例では、第1のセクション8aおよび第2のセクション8bは、ステップa)およびb)が実行された後に接合されなければならない。接合することは、導体3、絶縁システム5、ならびに波形金属製止水層7aおよび平滑金属製止水層7bを接合することを伴い得る。波形金属製止水層7aと平滑金属製止水層7bとの接合は、例えば、はんだ付けまたは溶接によって行われ得る。
【0075】
第2の例の1つの変形例では、金属管のうちの1つの一部のみが波形である。この金属管の残りの長さは、金属管の残りの長さに縮径を施すことによって平滑にされ得、平滑部分は、ステップb)で作製された平滑金属製止水層7bと接合され得る。
【0076】
本発明の概念は、主にいくつかの例を参照して上述されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上記で開示されたもの以外の他の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】