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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054091
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】流体温度流量調整装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/00 20220101AFI20240409BHJP
   F24H 15/156 20220101ALI20240409BHJP
   F24H 15/31 20220101ALI20240409BHJP
   F24H 15/37 20220101ALI20240409BHJP
   F24H 15/208 20220101ALI20240409BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20240409BHJP
【FI】
F24H3/00 B
F24H15/156
F24H15/31
F24H15/37
F24H15/208
F24H9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171369
(22)【出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】111137700
(32)【優先日】2022-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】517065725
【氏名又は名称】林 峻梅
【氏名又は名称原語表記】JANICE LIN
(71)【出願人】
【識別番号】523375928
【氏名又は名称】クオ ティン ロイ
(71)【出願人】
【識別番号】523375939
【氏名又は名称】クオ ティン シュアン
(71)【出願人】
【識別番号】523375940
【氏名又は名称】クオ ティン ユィ
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】林 峻梅
(72)【発明者】
【氏名】クオ ティン ロイ
(72)【発明者】
【氏名】クオ ティン シュアン
(72)【発明者】
【氏名】クオ ティン ユィ
【テーマコード(参考)】
3L036
【Fターム(参考)】
3L036AA09
(57)【要約】
【課題】多機能且つエネルギーを節約できる流体温度流量調整装置の提供。
【解決手段】流体貯蔵手段1から提供される流体8を加熱することで加熱された流体81を配管システム9に供給する流体温度流量調整装置であって、加熱手段2と制御モジュール3とを備え、加熱手段2は、配管システム9に接続し、且つ、流体貯蔵手段1から提供される流体9を受け取ると共に、加熱部210を囲む加熱管21と、流体貯蔵手段1に連通するらせん通路230と、らせん通路230内の流体8を加熱することで加熱された流体81を生成するヒーター22と、逆止めバルブ25とを有し、制御モジュール3は、流量信号を流量制御バルブ20に出力して流体8の流量を制御し、温度信号をヒーター22に出力してヒーター22の温度を制御することで、余計な流量とエネルギー消費を回避してエネルギーを節約する効果を得ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体貯蔵手段から提供される流体を加熱することで加熱された流体を配管システムに供給する流体温度流量調整装置であって、加熱手段と制御モジュールとを備え、
前記加熱手段は、前記配管システムに接続し、且つ、前記流体貯蔵手段から提供される前記流体を受け取ると共に、加熱部を囲む加熱管と、流量制御バルブが取り付けられる第1の端部が前記流体貯蔵手段に連通し、前記第1の端部の反対側にあって前記第1の端部からの流体を排出することのみを可能にする逆止めバルブが取り付けられる第2の端部が前記配管システムに連通するように前記加熱部内に配置されるらせん通路と、前記らせん通路内の流体を加熱することで加熱された流体を生成するように前記加熱部に配置されるヒーターと、を有し、
前記制御モジュールは、前記流量制御バルブ及び前記ヒーターに電気的に接続して流量信号を前記流量制御バルブに出力して前記流体が前記らせん通路内に流れ込む流量を制御し、温度信号を前記ヒーターに出力して前記ヒーターの温度を制御することを特徴とする流体温度流量調整装置。
【請求項2】
前記配管システムは、流体の流れの上流側にある第1の通路と、第1の通路より下流側にある第2の通路と、を有し
前記加熱手段は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に介在するように両端が前記第1の通路と前記第2の通路とにそれぞれ取り付けられ、且つ、前記らせん通路の前記逆止めバルブからの前記加熱された流体が送り込まれる合流ユニットを有し、前記合流ユニットは両端が前記第1の通路と前記第2の通路とにそれぞれ取り付けられる取付管部と、前記らせん通路に連通する接続開口が形成されると共に、前記取付管部を外から囲むことにより、前記取付管部との間に環状流路を囲む外側管部とを有し、前記取付管部に前記環状流路から前記取付管部の管内まで延伸する複数の注入口が形成されることを特徴とする請求項1に記載の流体温度流量調整装置。
【請求項3】
前記取付管部に形成される各前記注入口は、前記取付管部の横断面の円周方向において並ぶと共に、いずれも前記環状流路側の開口が上流側に位置し、前記取付管部の管内側の開口が下流側に位置するように斜めに延伸することを特徴とする請求項2に記載の流体温度流量調整装置。
【請求項4】
前記合流ユニットは、前記外側管部と前記取付管部との間に介在して前記環状流路を前記外側管部側にある外側と前記取付管部側にある内側とに仕切ると共に、前記外側と前記内側とに連通する連通開口が形成される仕切り管部を更に有することを特徴とする請求項3に記載の流体温度流量調整装置。
【請求項5】
前記加熱手段の前記らせん通路は、中空であると共に、らせん状に延伸するスパイラルチューブにより囲まれることを特徴とする請求項1に記載の流体温度流量調整装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記らせん通路の前記第2の端部から延伸する接続管と、前記接続管に取り付けられると共に、前記接続管を通過する前記加熱された流体の温度を感知すると共に、温度検知信号を前記制御モジュールに出力する温度センサとを更に有し、
前記制御モジュールは、受信した前記温度検知信号に基づいて前記温度信号を出力して前記ヒーターの温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の流体温度流量調整装置。
【請求項7】
前記加熱手段は、前記らせん通路の前記第2の端部から前記配管システムまで延伸する接続管を更に有し、前記接続管は鋭角で前記配管システムに接続されることを特徴とする請求項1に記載の流体温度流量調整装置。
【請求項8】
前記加熱管の前記らせん通路を囲む前記スパイラルチューブの外側を囲むジルコニア製の外側包囲層が配置されることを特徴とする請求項5に記載の流体温度流量調整装置。
【請求項9】
前記加熱管の前記らせん通路を囲む前記スパイラルチューブの外側を囲む外側包囲層が配置されると共に、前記外側包囲層と前記スパイラルチューブとの間に介在して前記スパイラルチューブを囲む熱伝導率の高いセラミックもしくは金属材料により作成される内側包囲層が配置されることを特徴とする請求項5に記載の流体温度流量調整装置。
【請求項10】
前記加熱管は前記らせん通路を囲む前記スパイラルチューブの外側を囲む外側包囲層が配置されると共に、前記外側包囲層と前記スパイラルチューブとの間に介在して前記スパイラルチューブを囲む窒化アルミニウム製の内側包囲層が配置されることを特徴とする請求項5に記載の流体温度流量調整装置。
【請求項11】
前記加熱手段は、所定の軸線に沿って延伸して前記軸線方向における一端側のみが開口するカップ状に形成されて前記加熱管の前記らせん通路を囲む前記スパイラルチューブを前記カップの内側に囲む外側包囲層と、
前記軸線に沿って延伸して前記軸線方向における前記一端側のみが開口するカップ状に形成されて前記外側包囲層と前記スパイラルチューブとの間に介在するように前記スパイラルチューブをそのカップの内側に囲む内側包囲層と、
前記内側包囲層の開口を覆うように取り付けられる内側蓋部と、
前記内側蓋部の外側に重なりながら、前記外側包囲層の開口を覆うように取り付けられる外側蓋部と、を更に有し、
前記スパイラルチューブは、前記らせん通路の前記第1の端部が前記外側蓋部の外側に位置し、前記外側蓋部及び前記内側蓋部を挿通して前記軸線方向に沿って前記内側包囲層のカップの前記一端側の反対側にある奥側へらせん状に曲がるように延伸してから、前記奥側からまた前記軸線方向に沿って前記内側蓋部へらせん状に曲がるように延伸して前記内側蓋部及び前記外側蓋部を挿通して前記らせん通路の前記第2の端部が前記外側蓋部の外側に位置するように形成されることを特徴とする請求項10に記載の流体温度流量調整装置。
【請求項12】
前記加熱手段は、前記軸線方向に沿って延伸する装着スリーブを更に有し、前記スパイラルチューブは前記装着スリーブを内側に囲むようにらせん状に延伸し、前記ヒーターは、取り外し可能に前記装着スリーブ内に挿し込まれることを特徴とする請求項11に記載の流体温度流量調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体を加熱するヒーターに関し、特に、エネルギーを節約できる流体温度流量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光電気産業もしくは半導体産業においては、製造過程で廃ガスが発生するが、廃ガスを放出するにあたって廃ガスは排出配管システム及び真空ポンプを経由して廃ガス処理器に送られる。しかし、排出配管システムが長い場合、排出配管システムを通過する廃ガスは、冷却により排出配管システムに付着すると、排出配管システムにおける排出経路の内径が狭められたりあるいは詰まったりする問題が発生する。
【0003】
このような廃ガスが排出配管システムに付着する現象を避けるべく、ガス加熱装置を用いて加熱されたガスを排出配管システム内に導入して廃ガスと混合させることで、排出配管システムを一定の温度に維持して廃ガスの冷却による固体化を回避する対処方法が用いられる。例えば特許文献1に記載されるように、この従来のガス加熱装置は筐体と、筐体内に位置してガスが通過できるスパイラルチューブと、スパイラルチューブを加熱するために筐体内に配置される加熱手段とを有する。加熱手段が加熱を実行する場合、スパイラルチューブ内のガスは熱の伝導と放射の効果を受けて加熱される。
【0004】
しかし、流体加熱装置の流体流量は固定されているため、異なるプロセス要件を満たすように流体流量および温度を調整することができず、長期にわたる必要以上の高温および高流量は、エネルギーおよび流量の無駄の問題を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾実用新案登録第M293528号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は多機能且つエネルギーを節約できる流体温度流量調整装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の流体温度流量調整装置は、流体貯蔵手段から提供される流体を加熱することで加熱された流体を配管システムに供給するものであり、加熱手段と制御モジュールとを備え、
前記加熱手段は、前記配管システムに接続し、且つ、前記流体貯蔵手段から提供される前記流体を受け取ると共に、加熱部を囲む加熱管と、流量制御バルブが取り付けられる第1の端部が前記流体貯蔵手段に連通し、前記第1の端部の反対側にあって前記第1の端部からの流体を排出することのみを可能にする逆止めバルブが取り付けられる第2の端部が前記配管システムに連通するように前記加熱部内に配置されるらせん通路と、前記らせん通路内の流体を加熱することで加熱された流体を生成するように前記加熱部に配置されるヒーターと、を有し、
前記制御モジュールは、前記流量制御バルブ及び前記ヒーターに電気的に接続して流量信号を前記流量制御バルブに出力して前記流体が前記らせん通路内に流れ込む流量を制御し、温度信号を前記ヒーターに出力して前記ヒーターの温度を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は制御モジュールが流量制御バルブ及びヒーターに接続されることにより、流量信号を流量制御バルブに出力して流体の流量を制御する上、温度信号を出力してヒーターの温度を制御することもできるので、異なる製造プロセスの需要に対応して流体の流量と温度を適切に制御し、余計な流量とエネルギー消費を回避してエネルギーを節約する効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の流体温度流量調整装置の第1の実施例が配管システムに取り付けられる様子が示される説明図である。
図2】第1の実施例の回路ブロック図である。
図3図1に類似し、第1の実施例の他の運用法が示される説明図である。
図4図1に類似し、本発明の流体温度流量調整装置の第2の実施例が示される説明図である。
図5】第2の実施例の合流ユニットと配管システムとの接続関係が示される一部拡大説明図である。
図6】第2の実施例の合流ユニットの取付管部の構成が示される斜視図である。
図7図6に示される取付管部の横断面図である。
図8図6に示される取付管部の縦断面図である。
図9図1に類似し、2つの加熱手段が配管システムに取り付けられる様子が示される説明図である。
図10】前記実施例の加熱手段の変化例が示される断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では各図面を参照して本発明の各実施例について詳しく説明する。
【0011】
図1図2に示されるように、本発明の流体温度流量調整装置の第1の実施例は、流体貯蔵手段1が提供する流体8を加熱することで配管システム9に加熱された流体を注入するのに適し、配管システム9として例えば半導體製造プロセスの反応チャンバー4により生成される廃ガス7を廃ガス処理手段5に移動するものであるが、これに限定されない。配管システム9は、ポンプ6と、ポンプ6と反応チャンバー4とをつなぐ接続通路90と、ポンプ6の接続通路90に反対する側から延伸する第1の通路91と、第1の通路91と廃ガス処理手段5との間に介在する第2の通路92と、を有する。ポンプ6は接続通路90を経由して廃ガス7を反応チャンバー4から抽出して第1の通路91から第2の通路92への方向で廃ガス処理手段5まで送る。本発明は半導體製造プロセスに適用される以外、光電気もしくは石油化学などの分野にも応用できる。流体温度流量調整装置は、加熱手段2と制御モジュール3とを含む。
【0012】
流体貯蔵手段1は流体8の提供に用いられ、流体8を貯蔵する流体貯蔵部11と、流体貯蔵部11に接続し、且つ、流体8の供給に用いられる流体供給管12と、を有する。
【0013】
加熱手段2は、配管システム9に接続し、且つ、流体貯蔵手段1から提供される流体8を受け取ると共に、加熱部210を囲む加熱管21と、流量制御バルブ20が取り付けられる第1の端部231が流体貯蔵手段1に連通し、第1の端部231の反対側にあって第1の端部231からの流体を排出することのみを可能にする逆止めバルブ25が取り付けられる第2の端部232が配管システム9に連通するように加熱部210内に配置されるらせん通路230と、らせん通路230内の流体9を加熱することで加熱された流体81を生成するように加熱部210に配置されるヒーター22と、を有し、らせん通路230は、中空であると共に、らせん状に延伸するスパイラルチューブ23により囲まれる。
【0014】
すなわち、スパイラルチューブ23の一端は第1の端部231として流体供給管12に連通し、この一端の反対側にある他の一端は第2の端部232として接続管24を介して配管システム9の第2の通路92に接続する。
【0015】
加熱手段2は、らせん通路230の第2の端部232から延伸する上述の接続管24と、接続管24に取り付けられると共に、接続管24を通過する加熱されたガス81の温度を感知すると共に、温度検知信号S3を制御モジュール3に出力する温度センサ26とを更に有する。
【0016】
流量制御バルブ20は、流体供給管12からスパイラルチューブ23に進入する流体8の流量を制御するものであり、この第1の実施例において、流量制御バルブ20は電磁調整弁であるが、流量制御バルブ20としては、電子制御方式で流体8の流量を制御するものであれば、他の構成を採用することも出来る。また、流体8はガスであっても液体であってもよい。
【0017】
図示のように、加熱管21はらせん通路230を囲むスパイラルチューブ23の外側を囲む外側包囲層211が配置されると共に、外側包囲層211とスパイラルチューブ23との間に介在してスパイラルチューブ23を囲む内側包囲層212が配置される。外側包囲層211は例えばジルコニアを用いて作成することができるが、ポリテトラフルオロエチレンもしくは他の熱遮断材料を用いて作成することも可能である。ジルコニア材料は耐熱性が高く、そして加熱されても毒性物質を放出することがないので、ポリテトラフルオロエチレンより好適である。内側包囲層212は熱伝導率の高いセラミックもしくは金属材料、例えば窒化アルミニウムなどで作られるが、これに限定されない。
【0018】
この第1の実施例において、ヒーター22はランプヒーターであり、高熱のハロゲンランプや石英ランプを使用して高温を発生させ、熱伝導と熱放射効果により加熱効果を実現する。説明すべきは、ヒーター22は、スパイラルチューブ23を加熱できるものであれば、高周波磁気誘導ヒーターや従来の熱抵抗ヒーターであってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0019】
らせん通路230の第2の端部232から延伸する接続管24は、鋭角θで配管システム9に接続される。鋭角θは0°より大きく、且つ、90°より小さい角度である。
【0020】
この第1の実施例において、流体供給管12からの流体8が第1の端部231を経由してスパイラルチューブ23内のらせん通路230内に流れ込むと、ヒーター22がスパイラルチューブ23を加熱することによりらせん通路230内の流体8が加熱された流体81に変化された後、第2の端部232を経由して配管システム9の第2の通路92内に流れ込んで廃ガス7と混合して廃ガス処理手段5に排出される。
【0021】
制御モジュール3は、回路基板(図示せず)に配置される制御チップ31を有する。図2に示されるように、制御チップ31は温度センサ26と流量制御バルブ20とヒーター22とに電気的に接続することにより、流量信号S1を流量制御バルブ20に出力して流体貯蔵手段1かららせん通路230内に流れ込む流体の流量を制御し、且つ、温度センサ26から受信した温度検知信号S3に基づいて温度信号S2をヒーター22に出力してヒーター22の温度を制御する。
【0022】
説明すべきは、この第1の実施例の流体温度流量調整装置が配管システム9の第2の通路92、すなわち配管システム9のポンプ6と廃ガス処理手段5との間に設置されるのは、反応チャンバー4により生成される廃ガス7に加熱された流体81を混ぜ込んで廃ガス処理手段5に放出するためであるが、本発明の流体温度流量調整装置は廃ガスの放出をサポートするだけでなく、例えば図3に示されるように、反応チャンバー4内に反応に参与するもしくは反応を補助する加熱された流体81を導入するために反応チャンバー4の前に取り付けることも可能であるので、加熱された流体81を配管に導入する応用であれば、すべて本発明の保護範囲に入るものと解釈されるべきである。
【0023】
この第1の実施例が実施される際、制御モジュール3からの流量信号S1が流量制御バルブ20に出力されることにより流量制御バルブ20の開き具合が制御されて流体供給管12から加熱手段2に送られる流体8の流量が調整される。流体8は第1の端部231かららせん通路230内に流れ込んで加熱されて加熱された流体81となった後、第2の端部232から配管システム9に進入して廃ガス7と混合された後に排出される。接続管24が配管システム9に斜めに接続されるため、加熱された流体81は接線方向で配管システム9内に進入することが可能となって渦巻き効果を生成するため、第1の通路91内にある廃ガス7と均一に混合される。作業期間中、制御モジュール3は受信した温度検知信号S3に基づいてヒーター22による加熱具合を調整することができ、そして業者が制御モジュール3により流体8の流量を制御することもできるので、異なる製造プロセスに応じて流体8の適切な流量及び加熱された流体81の温度を調整することが可能となり、流量及びエネルギーの消耗を抑えてエネルギーを節約する効果を発揮することができる。
【0024】
図4図5に本発明の流体温度流量調整装置の第2の実施例が示されており、図示のように、この第2の実施例における加熱手段2は、接続管24の先端に合流ユニット27を更に有し、この合流ユニット27が配管システム9の第1の通路91と第2の通路92との間に取り付けられる点において第1の実施例と異なっている。
【0025】
図4図8に示されるように、合流ユニット27は、配管システム9の第1の通路91と第2の通路92との間に介在するように両端が第1の通路91と第2の通路92とにそれぞれ取り付けられ、且つ、らせん通路230の逆止めバルブ25からの加熱されたガス81が送り込まれる。
【0026】
合流ユニット27は第1の接続口275で配管システム9の第1の通路91に接続し、第2の接続口276で第2の通路92に接続する取付管部271と、らせん通路230に連通する接続開口277が形成されると共に、取付管部271を外から囲むことにより、取付管部271との間に環状流路270を囲む外側管部272とを有し、取付管部271に環状流路270から取付管部271の管内まで延伸する複数の注入口278が形成されている。
【0027】
取付管部271に形成される各注入口278は、図6図8に示されるように、取付管部271の横断面の円周方向において並ぶと共に、いずれも環状流路270側の開口が上流側に位置し、取付管部271の管内側の開口が下流側に位置するように斜めに延伸する形状となっている。なお、注入口278が形成される具体的構成は図6図8に示されるものに限らず、必要に応じて注入口278が形成される数や位置、そして延伸方向を変更することが可能である。
【0028】
更に、この第2の実施例において、合流ユニット27は、外側管部272と取付管部271との間に介在して環状流路270を外側管部272側にある外側と取付管部271側にある内側とに仕切ると共に、外側と内側とに連通する連通開口273が形成される仕切り管部274を更に有する。
【0029】
図4図5に示されるように、この第2の実施例が実施される際、制御モジュール3からの流量信号S1が流量制御バルブ20に出力されることにより流量制御バルブ20の開き具合を制御して流体供給管12から加熱手段2に送られる流体8の流量が調整される。流体8は第1の端部231かららせん通路230内に流れ込んで加熱されて加熱された流体81となった後、加熱された流体81は接続開口277を経由して環状流路270内に進入し、そして連通開口273を通じて注入口278へと流れる。取付管部271に形成される各注入口278が斜めに延伸する構成により、加熱された流体81が仕切り管部274から各注入口278へ噴出する際は圧力が増し、渦巻き効果を生成するため、廃ガス7と均一に混合されて排出される。
【0030】
説明すべきは、この第1の実施例と第2の実施例とにおいて、加熱管21は直線状に延伸する中空の管状体であると共に、流体8がスパイラルチューブ23に進入する第1の端部231と加熱された流体81がスパイラルチューブ23から排出される第2の端部232はこの管状体の両端にそれぞれ位置する構成となっているが、本発明としてはこの構成に限定されず、加熱管21の形状や、スパイラルチューブ23の進入/排出端部の配置は全体の位置構成に応じて調整/変更することが可能である。
【0031】
更に、図9に示されるように、説明すべきは、本発明において加熱手段2の数は1つに限らず、2もしくは2以上の加熱手段2を配管システム9に配置することにより、通常より長い配管システム9の必要な部位に加熱された流体81を注入することによって、配管システム9の各部位に対して温度を調整する効果を発揮することができる。
【0032】
なお、配管システム9に加熱された流体81を注入する必要がない場合は、制御モジュール3で流量制御バルブ20を制御して加熱された流体81の注入を止めることにより、エネルギーを節約する効果を発揮することができる。
【0033】
図10に上記実施例の加熱手段2の変化例が示されている。図示のように、この変化例において、加熱手段2は、所定の軸線に沿って延伸して軸線方向(図中の上下方向)における一端側のみが開口するカップ状に形成されて加熱管21のらせん通路230を囲むスパイラルチューブ23をカップの内側に囲む外側包囲層211と、上記軸線に沿って延伸して軸線方向における一端側のみが開口するカップ状に形成されて外側包囲層211とスパイラルチューブ23との間に介在するようにスパイラルチューブ23をそのカップの内側に囲む内側包囲層212と、内側包囲層212の開口を覆うように取り付けられる内側蓋部214と、内側蓋部214の外側に重なりながら、外側包囲層211の開口を覆うように取り付けられる外側蓋部213と、を更に有し、スパイラルチューブ23は、らせん通路230の第1の端部231が外側蓋部213の外側に位置し、外側蓋部213及び内側蓋部214を挿通して軸線方向に沿って内側包囲層212のカップの一端側の反対側にある奥側へらせん状に曲がるように延伸してから、奥側からまた軸線方向に沿って内側蓋部214へらせん状に曲がるように延伸して内側蓋部214及び外側蓋部213を挿通してらせん通路230の第2の端部232が外側蓋部213の外側に位置するように形成される。
【0034】
また、加熱手段2は、軸線方向に沿って延伸する装着スリーブ28と、内側蓋部214及び外側蓋部213の反対側において重なって配置される第1の熱遮断部材215と第2の熱遮断部材216とを更に有し、スパイラルチューブ23は装着スリーブ28を内側に囲むようにらせん状に延伸し、ヒーター22は、取り外し可能に装着スリーブ28内に挿し込まれる。なお、装着スリーブ28は二酸化ケイ素材料により作成されることができる。
【0035】
ここで、加熱手段2の中において外側蓋部213と内側蓋部214と第1の熱遮断部材215と第2の熱遮断部材216と加熱部210とにより仕切られる各部の空間は、いずれも実質的に真空である。
【0036】
外側包囲層211と内側包囲層212と外側蓋部213と内側蓋部214と第1の熱遮断部材215と第2の熱遮断部材216とにより構成されるダブル真空チャンバー構造を加熱部210に形成することにより、加熱管21の内部の熱の消耗を抑えてエネルギーを節約することができる。また、このような保温及び熱遮蔽効果により、加熱管21との接触により人間が火傷をすることもないので、より安全である。
【0037】
更に、ヒーター22が取り外し可能に装着スリーブ28内に挿し込まれるので、加熱手段2全体の取り換えではなく、ヒーター22のみを取り替えることができる。
【0038】
以上をまとめると、本発明の上記実施例における流体温度流量調整装置は、以下の利点を有する。
【0039】
まず、加熱管21にジルコニア材料もしくはポリテトラフルオロエチレン材料により作成される外側包囲層211と、熱伝導率の高いセラミックもしくは金属材料により作成される内側包囲層212と、を有することにより、加熱手段2の加熱部210が受ける熱は均一となり、余計なエネルギー消費を回避してエネルギーを節約する効果を得ることができる。
【0040】
また、制御モジュール3が流量制御バルブ20に電気的に接続するので、制御チップ31から流量信号S1を流量制御バルブ20に出力して流量制御バルブ20の開き具合を制御して配管システム9に進入する流体8の流量を制御することが可能となると共に、制御モジュール3は制御チップ31から温度信号S2をヒーター22に出力して調整ヒーター22の温度を制御して余計なエネルギー消費を回避してエネルギーを節約する効果を得ることができる。
【0041】
更に、取付管部271の各注入口278が斜めに延伸する構成により加熱された流体81が外側管部272から環状流路270へ送られ、そして各注入口278から噴出する際は渦巻き効果を生成し、廃ガス7と加熱された流体81の圧力が増すので、廃ガス7と加熱された流体81の第2の通路92への流れを加速することができる。
【0042】
この上、本発明はポンプ6と廃ガス処理手段5との間に配置されて製作プロセスにおいて生成される廃ガスの排出をサポートするだけでなく、反応チャンバー4の前に配置されて反応チャンバー4内に反応に参与するもしくは反応を補助する加熱された流体81を導入することもできるので、異なる製造プロセスの需要に応えることができ、高い実用性を有する。
【0043】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 流体貯蔵手段
11 流体貯蔵部
12 流体供給管
2 加熱手段
20 流量制御バルブ
21 加熱管
210 加熱部
211 外側包囲層
212 内側包囲層
213 外側蓋部
214 内側蓋部
215 第1の熱遮断部材
216 第2の熱遮断部材
22 ヒーター
23 スパイラルチューブ
230 らせん通路
231 第1の端部
232 第2の端部
24 接続管
25 逆止めバルブ
26 温度センサ
27 合流ユニット
270 環状流路
271 取付管部
272 外側管部
273 連通開口
274 仕切り管部
275 第1の接続口
276 第2の接続口
277 接続開口
278 注入口
28 装着スリーブ
3 制御モジュール
31 制御チップ
4 反応チャンバー
5 廃ガス処理手段
6 ポンプ
7 廃ガス
8 流体
81 加熱された流体
9 配管システム
90 接続通路
91 第1の通路
92 第2の通路
θ 傾斜角度
S1 流量信号
S2 温度信号
S3 温度検知信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10