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特開2024-54092指定されたケーブルシーケンスに従ってケーブルを配置するための機械ネットワーク及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054092
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】指定されたケーブルシーケンスに従ってケーブルを配置するための機械ネットワーク及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/28 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
H01R43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023171396
(22)【出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】22199560.8
(32)【優先日】2022-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506058451
【氏名又は名称】コマックス ホルディング アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】KOMAX HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ヴィヴィロニ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機械ネットワークを利用して、指定されたケーブルシーケンスに従ってケーブルを配置するための方法を提供する。
【解決手段】指定されたケーブルシーケンスSに従ってケーブルを配置するための機械ネットワークVは、第1のケーブル出力装置、第2のケーブル出力装置M、K、L、E及びケーブル搬送装置Kを有する。第1のケーブル出力装置は、第1のケーブルタイプ群のケーブルを出力し、第2のケーブル出力装置は、第2のケーブルタイプ群のケーブルを出力するように構成されている。ケーブル搬送装置は、第1のケーブル出力装置からのケーブルと第2のケーブル出力装置からのケーブルとを選択的に受け入れ、受け入れたケーブルを搬送するように構成され、選択的な受け入れが、指定されたケーブルシーケンスに従って少なくとも部分的に行われる。機械ネットワークを利用して指定されたケーブルシーケンスに従ってケーブルを配置するための方法。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定されたケーブルシーケンス(S1...S4)に従ってケーブルを配置するための機械ネットワーク(V)であって、前記ケーブルシーケンスは、少なくとも1つの第1のケーブルタイプ群と1つの第2のケーブルタイプ群とからのケーブルタイプを含み、前記第1のケーブルタイプ群は、第1のケーブルタイプおよび第2のケーブルタイプのうちの、前記第1のケーブルタイプのみを含み、前記第2のケーブルタイプ群は、前記第1のケーブルタイプおよび前記第2のケーブルタイプのうちの、前記第2のケーブルタイプのみを含み、前記機械ネットワークは、
前記第1のケーブルタイプ群のケーブルを出力するように構成された第1のケーブル出力装置(M1、M2、K1、L1、L2、E1、E2)と、
前記第2のケーブルタイプ群のケーブルを出力するように構成された第2のケーブル出力装置(M1、M2、K1、L1、L2、E1、E2)と、
前記第1のケーブル出力装置からの前記ケーブルと前記第2のケーブル出力装置からの前記ケーブルとを選択的に受け入れ、受け入れたケーブルを搬送するように構成されたケーブル搬送装置(K、K2)と、を有し、前記選択的な受け入れが、前記指定されたケーブルシーケンス(S1...S4)に従って少なくとも部分的に行われる、機械ネットワーク(V)。
【請求項2】
前記ケーブル搬送装置(K)は、前記ケーブルシーケンス(S1...S4)に従ってケーブルの少なくとも一部を受け入れるための、シーケンス方向、特に搬送方向(TR)に前後に並ぶように配置された複数のホルダ(H1...H22)を備える、請求項1に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項3】
ケーブル取外し装置(L1、L2、E1、E2)をさらに含み、前記ケーブル搬送装置(K、K2)は、前記ケーブル搬送装置(K、K2)から前記ケーブル取外し装置(E1、E2)にケーブルを選択的に転送するようにさらに構成され、前記選択的な転送は、前記指定されたケーブルシーケンス(S1...S4)に従って少なくとも部分的に行われる、請求項1に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項4】
前記ケーブルを選択的に受け入れ及び/又は選択的に転送するための少なくとも1つのグリッパ装置(G1、G2、G3、G4、G4a、G4b)をさらに含む、請求項1に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項5】
前記ケーブル搬送装置(K、K1、K2)は、前記第1のケーブル出力装置、前記第2のケーブル出力装置、及び前記ケーブル取外し装置のうちの少なくとも1つに移動することができる、請求項1に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項6】
前記第1のケーブル出力装置及び前記第2のケーブル出力装置のうちの少なくとも1つは、ケーブル加工機(M1、M2)を含む、請求項1に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項7】
前記第1のケーブル出力装置、前記第2のケーブル出力装置、及び前記ケーブル取外し装置のうちの少なくとも1つは、ケーブル供給装置(E1、E2)を含む、請求項1に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項8】
前記ケーブル供給装置(E1、E2)は、操作者によって手動で供給されるケーブルを受け入れるように、及び/又は、操作者にケーブルを転送するように構成されている、請求項7に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項9】
前記第1のケーブル出力装置、前記第2のケーブル出力装置、及び前記ケーブル取外し装置のうちの少なくとも1つは、ケーブル格納部(L1、L2)を含む、請求項1に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項10】
少なくとも前記選択的な受け入れ及び/又は前記選択的な転送を制御するように構成された制御部をさらに含む、請求項1に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項11】
前記制御部は、さらに、所望のケーブルシーケンスを受信し、前記所望のケーブルシーケンスに従って、少なくとも前記第1のケーブル出力装置からの前記第1のケーブルタイプ群および前記第2のケーブル出力装置からの前記第2のケーブルタイプ群を前記指定されたケーブルシーケンスとして決定し、少なくとも前記第1のケーブル出力装置および前記第2のケーブル出力装置を制御することによって、前記指定されたケーブルシーケンスに従って実際のケーブルの順次配置を生成するように構成されている、請求項10に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項12】
前記制御装置は、さらに、前記ケーブル搬送装置におけるケーブルの現在位置、前記ケーブル搬送装置におけるケーブルの供給源、前記機械ネットワーク(V)の構成、前記ケーブル搬送装置におけるケーブルの測定データ、前記ケーブル搬送装置におけるケーブルの生産データのうちの少なくとも1つを含むデータを記憶するように構成されている、請求項10又は11に記載の機械ネットワーク(V)。
【請求項13】
指定されたケーブルシーケンス(S1...S4)に従ってケーブルを配置するための方法であって、前記ケーブルシーケンスは、少なくとも1つの第1のケーブルタイプ群と第2のケーブルタイプ群とからのケーブルタイプを含み、前記第1のケーブルタイプ群は、第1のケーブルタイプおよび第2のケーブルタイプのうちの、前記第1のケーブルタイプのみを含み、前記第2のケーブルタイプ群は、前記第1のケーブルタイプおよび前記第2のケーブルタイプのうちの、前記第2のケーブルタイプのみを含み、前記方法は、
前記第1のケーブルタイプ群のケーブルを出力するように構成された第1のケーブル出力装置(M1、M2、K1、L1、L2、E1、E2)と、前記第2のケーブルタイプ群のケーブルを出力するように構成された第2のケーブル出力装置(M1、M2、K1、L1、L2、E1、E2)と、前記第1のケーブル出力装置からの前記ケーブルと前記第2のケーブル出力装置からの前記ケーブルとを選択的に受け入れ、受け入れたケーブルを搬送するように構成されたケーブル搬送装置(K、K2)と、を含む、機械ネットワーク(V)を形成することと、
前記選択的な受け入れが前記指定されたケーブルシーケンス(S1...S4)に従って少なくとも部分的に行われるように、前記機械ネットワーク(V)を自動制御することと、を含む方法。
【請求項14】
前記機械ネットワーク(V)は、ケーブル取外し装置(L1、L2、E1、E2)をさらに含み、前記ケーブル搬送装置(K、K2)は、前記ケーブル搬送装置(K、K2)から前記ケーブル取外し装置(E1、E2)にケーブルを選択的に転送するようにさらに構成され、
前記選択的な転送が前記指定されたケーブルシーケンス(S1...S4)に従って少なくとも部分的に行われるように前記機械ネットワーク(V)を自動制御することを、さらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
所望のケーブルシーケンスを受け入れることと、
前記所望のケーブルシーケンスに従って、少なくとも前記第1のケーブル出力装置からの前記第1のケーブルタイプ群と前記第2のケーブル出力装置から前記第2のケーブルタイプ群との構成を前記指定されたケーブルシーケンスとして決定することと、
少なくとも前記第1のケーブル出力装置および前記第2のケーブル出力装置を制御することによって、前記指定されたケーブルシーケンスに従って実際のケーブルの順次配置を生成することと、を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、指定されたケーブルシーケンスに従ってケーブルを配置するための機械ネットワークに関する。さらなる実施形態は、機械ネットワークを利用して、指定されたケーブルシーケンスに従ってケーブルを配置するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、電気接続を行う場所では、様々なタイプのケーブルが使用される。例えば、その場所は、様々なタイプのケーブルが使用される製品の生産設備である。このような製品の一例は自動車であり、生産設備の一例は自動車の組立工場であり、例えば、様々なタイプのケーブルは、組立工場において、個々に、またはケーブルハーネスに組み合わされて自動車に取り付けられる。様々なタイプは、例えば、ケーブルの長さ、被覆の色、および/または端子取り付けを含む、1つまたは複数の可変パラメータによって定義される。
【0003】
製品の各適例において、このような様々なタイプのケーブルが一定量必要である。このような様々なタイプのケーブルを順次配置することを、ケーブルシーケンスと呼ぶ。例えば、様々な(異なる構成の)タイプのケーブルが、構成A(タイプA)のケーブルと、構成B(タイプB)のケーブルと、構成C1(タイプC1)のケーブルと、構成C2(タイプC2)のケーブルと、構成D(タイプD)のケーブルとを含むグループから生じる場合、例示的なケーブルシーケンスは順次配置A、B、C1、C2、Dを含み、別の例示的なケーブルシーケンスは、順次配置B、B、D、B、Aを含む。
【0004】
ケーブルの組立(少なくとも長さに合わせて切断し、皮むきし、必要に応じて圧着端子などの端子を取り付けることを含む)のためのケーブル加工機が知られており、このケーブル加工機は、機械構成により、常に同じタイプのケーブル、例えばタイプAのケーブルのみを生産する。別のタイプのケーブルが同じケーブル加工機で生産される場合、このケーブル加工機は、例えばタイプBのケーブルのみを生産するように、別の機械構成に変換する必要がある。生産されたケーブルは保管トレイからロットとして取り出され、可能な限り更なる加工工程(例えば、ケーブルボード上に敷設すること)に搬送され、場合によっては中間保管されてもよい。更なる加工工程は、例えば、敷設ボード上の人が各ケーブルハーネスに必要なケーブルを様々なロットから取り外すなど、ロットを分離してシーケンスに組み立てるプロセスを含む。したがって、このようなケーブル加工機は、ロット生産型の機械とも呼ばれている。
【0005】
さらに、機械構成によって1つ以上のケーブルシーケンスを生成することができる、ケーブルを組み立てる(少なくとも長さに合わせて切断し、皮むきし、必要に応じて端子を取り付けることを含む)ためのケーブル加工機が知られている。このような複雑な構造の機械は、ケーブルシーケンスに必要な全ての加工装置を備える。ケーブルシーケンスを生成するために、必要なすべての出発材料が機械に持ち込まれ、機械が、直接連続して生成するか、または材料をケーブルハーネスに組み立てる。
【0006】
シーケンス生成と比較して、ロット生産は、自動化が困難な精巧な工程である、下流の工程(ワイヤを分離し、シーケンスに再配置する)を必要とするという欠点がある。
【0007】
ケーブル加工機でのシーケンス生成は、ロット生産と比較して、シーケンスの生成に必要な全ての装置が機械に設置されているが、常時稼働しているのはその一部だけであるという欠点がある。加えて、機械は、技術的により精巧でより大規模な構造でなければならない。どちらも費用対効果を悪化させる。したがって、例えば、4つの異なる圧着端子を持つシーケンスについては、上記機械に4つの圧着モジュールが必要であるが、ケーブル1本につきゲーブル端毎に稼働するのは1つだけであり、一方、ロットを生産する機械の場合には、全てのモジュールは2つの圧着モジュールを有する2台の機械上で持続的に稼働する。
【0008】
米国特許第10,148,055号明細書には、シーケンス生成タイプのケーブル加工機を備えたケーブルハーネス生産システムが開示されている。
【0009】
欧州特許出願公開第0508695号明細書には、単独でケーブルシーケンスを生成することができる、精巧に具現化されたケーブル加工機が記載されている。このケーブル加工機は、複雑な構成をしている。この従来技術によれば、ケーブルには、一定の間隔で識別マークが設けられている。搬送装置は、このように準備されたケーブルを同時かつ段階的に搬送する役割を果たす。
【0010】
欧州特許出願公開第2418658号明細書は、単独でケーブルシーケンスを生成することができる、さらに精巧に具現化されたケーブル加工機が記載されている。このケーブル加工機も、複雑な構成となっている。この従来技術によれば、異なるタイプのケーブルが配置パターンで保持される。
【0011】
米国特許出願公開第4,835,858号明細書には、ケーブルハーネスのサブグループからケーブルハーネスを組み立てるための装置が記載されている。制御装置は、2つ以上の異なるサブグループの順次配置からケーブルハーネスを組み立てるための異なる搬送装置を選択する役割を果たす。サブグループのケーブルは、あらかじめコネクタハウジングに一緒に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US10,148,055B2
【特許文献2】EP0508695A2
【特許文献3】EP2418658A1
【特許文献4】US4,835,858A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
費用対効果の比率が改善される、ケーブルシーケンスの自動生成のための解決策が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の一態様によれば、機械ネットワークが提供される。機械ネットワークは、指定されたケーブルシーケンスに従ってケーブルを配置するように機能する。ケーブルシーケンスは、少なくとも1つの第1のケーブルタイプ群と第2のケーブルタイプ群とからのケーブルタイプを含む。指定された第1のケーブルタイプおよび指定された第2のケーブルタイプが異なる場合、第1のケーブルタイプ群は第1のケーブルタイプのみを含み(第2のケーブルタイプは含まれない)、第2のケーブルタイプ群は第2のケーブルタイプのみを含む(第1のケーブルタイプは含まれない)。
【0015】
しかしながら、第1のケーブルタイプ群と第2のケーブルタイプ群のいずれも、さらに別のケーブルタイプを含むことができる。例えば、第1のケーブルタイプ群は第3のケーブルタイプをさらに含むことができ、第2のケーブルタイプ群は第4のケーブルタイプをさらに含むことができる。または、第1のケーブルタイプ群および第2のケーブルタイプ群のうちの少なくとも1つは、第1のケーブルタイプおよび第2のケーブルタイプとも異なる、さらに別のケーブルタイプを含むことができる。
【0016】
本明細書で使用されるケーブルは、例えば、端部の加工および取り付けの有無にかかわらず、特定の長さに切断された個々のワイヤ、ツイストペア、または一般的なケーブル加工機上で製造された別の製品を含む。
【0017】
機械ネットワークは、第1のケーブル出力装置と第2のケーブル出力装置を含む。第1のケーブル出力装置は、第1のケーブルタイプ群のケーブル(または複数のケーブル)を出力するように構成されている。第2のケーブル出力装置は、第2のケーブルタイプ群のケーブル(または複数のケーブル)を出力するように構成されている。したがって、第1のケーブル出力装置が出力するケーブルの中に第2のケーブルタイプは存在せず、第2のケーブル出力装置が出力するケーブルの中に第1のケーブルタイプは存在しない。例えば、第1のケーブル出力装置は第2のケーブルタイプのケーブルを出力することができず、第2のケーブル出力装置は第1のケーブルタイプのケーブルを出力することができない。それぞれのケーブル出力装置が例えばケーブル加工機である場合、本例による第1のケーブル出力装置(第1のケーブル加工機)は第2のケーブルタイプのケーブルを生産することができず、第2のケーブル出力装置(第2のケーブル加工機)は第1のケーブルタイプのケーブルを生産することができない。
【0018】
本明細書で使用される機械ネットワークは、異なるケーブル出力装置(例えば、第1のケーブル出力装置および第2のケーブル出力装置)が所望のケーブルシーケンスに従って配置を最終的に達成するために相互作用するように構成されるが、個々のケーブル出力装置のいずれも、単独では、所望のケーブルシーケンスに従って配置されるように構成及び/又は適切に設定されていない。言い換えれば、本開示による機械ネットワークでは、所望のケーブルシーケンスを達成するために、少なくとも第1のケーブル出力装置と第2のケーブル出力装置が相互作用しなければならない、すなわちネットワークを形成しなければならない。
【0019】
機械ネットワークは、さらに、ケーブル搬送装置を含む。ケーブル搬送装置は、第1のケーブル出力装置からのケーブルと第2のケーブル出力装置からのケーブルを選択的に受け入れ、受け入れたケーブルを搬送するように構成されている。選択的な受け入れは、指定されたケーブルシーケンスに従って少なくとも部分的に行われる。
【0020】
ケーブルシーケンスは、第1および第2のケーブルタイプ群からのケーブルタイプに限定されない。したがって、この構成は、厳密に2つのケーブル出力装置に限定されるものではなく、3つ以上のケーブル出力装置を設けることもできる。
【0021】
本明細書で使用される、指定されたケーブルシーケンスに従って少なくとも部分的に選択的に受け入れることは、特に、受け入れの結果としてケーブルシーケンスの少なくとも1つ以上の部分がケーブル搬送装置で実現又は出現するような方法で、異なるケーブルタイプを受け入れることを含む。例えば、ケーブル搬送装置は、例えば順次配置で(例えば、順次に)配置されたホルダなどの複数の受入装置を含み、順次配置で配置された受入装置上では、異なるタイプのケーブルは、少なくとも指定されたケーブルシーケンスの一部に従って選択的な受け入れの結果として現れる。このような部分は、例えば、指定されたケーブルシーケンスに従った順次構成の2つ以上のケーブルを含む。
【0022】
特に、最初は各々の部分の間に隙間が残っているため、ケーブルシーケンスが未だ完全には実現しておらず、その後、ケーブルシーケンスが完全に実現するような方法で、隙間におけるさらなるケーブルの接合が行われることが考えられる。代替的に又は追加的に、最初は個々の部分のみがケーブルシーケンスに従って配置され、他の部分は最初はケーブルシーケンスに従って配置されず、その後、ケーブルシーケンスが完全に実現するような方法で、ケーブルシーケンスに適合しない部分の再選別(re-sorting)が行われることが考えられる。
【0023】
本明細書で使用される、選択的な受け入れは、例えば、(例えば、ケーブル出力装置が、ケーブル加工機である場合、及び/又はそれぞれのケーブル加工機によって生産されたロットからの個々のケーブルの受け入れを含むとき)それぞれのケーブル出力装置が出力するロットからのそれぞれのケーブルタイプの一致する個々のケーブルを受け入れる、又は、取り外すことも含み、その結果、所望のケーブルシーケンスに従ってその後の組み立てを行うことができる。
【0024】
実施形態では、ケーブル搬送装置は、選択的な受け入れが指定されたケーブルシーケンスに従って完全に行われるように構成されている。これには、異なるケーブルタイプが、受け入れの結果として、完全なケーブルシーケンスが実現または出現するような方法で受け入れられることを含む。
【0025】
選択的な受け入れは、第1及び/又は第2のケーブル出力デバイスからの直接受け入れを含む。代替的に又は追加的に、選択的な受け入れは、間接的な受け入れを含む。すなわち、第1及び/又は第2のケーブル出力装置は、最初に、それぞれのケーブルを1つ以上の中間ステーションに渡し、次いで、ケーブル搬送装置が、1つ以上の中間ステーションからそれぞれのケーブルを選択的に受け入れ、それによって、第1及び/又は第2のケーブル出力装置から間接的に受け入れることが考えられる。
【0026】
実施形態では、ケーブル搬送装置がシーケンス方向に前後に並ぶように配置された複数の(連続した)ホルダを含む。各ホルダは、ケーブルの少なくとも一部を受け入れる役割を果たす。特に、各ホルダは、ケーブルシーケンスに従って、ケーブルの少なくとも一部を受け入れるように機能する。本明細書で使用される、シーケンス方向に次々に配置されるとは、例えば、互いに直線的に隣接する、または互いに環状に隣接する、または互いにループ状に隣接する、一定のまたは可変の間隔で互いに相対するホルダの配置を含む。特に、シーケンス方向は、複数のケーブルがそれらの順次配置によって規定されたシーケンスで搬送されるケーブル搬送装置の搬送方向である。
【0027】
互いに続く複数のホルダが、1本の同じケーブルの異なる部分を受け入れることが考えられる。例えば、1本の同じケーブルを、例えば、ケーブルの一端を1つのホルダに、ケーブルの他端を次のホルダにというように、複数の連続するホルダ上に又はホルダからループとして配置又は吊り下げることができる。これは、1本の同じケーブルの異なる部分が連続するホルダによって受け入れられ、個々のホルダは除外されることを含む。
【0028】
実施形態では、機械ネットワークはケーブル取外し装置をさらに含む。さらに、ケーブル搬送装置は、ケーブル搬送装置からケーブル取外し装置へのケーブルを選択的に転送するように構成されている。選択的な転送は、指定されたケーブルシーケンスに従って少なくとも部分的に行われる。これには、特に、第1のケーブル出力装置からのケーブル及び第2のケーブル出力装置からのケーブルを受け入れる場合、最初に、指定されたケーブルシーケンスに従って1つ以上の部分のみが配置され、次いで、指定されたケーブルシーケンスが少なくとも1つのさらなる部分において実現することを、ケーブル搬送装置からケーブル取外し装置への適合ケーブルの標的(選択的)転送によってもたらすことができることを含む。この手順は、ケーブル搬送装置からケーブル取外し装置への整合ケーブルの目標転送を通して、指定されたケーブルシーケンスが完全に実現するまで繰り返すこともできる。しかしながら、ケーブル搬送装置からケーブル取外し装置へのケーブルの選択的な転送は、中間工程を構成することもでき、中間工程の後に、第1のケーブル出力装置からのケーブル及び/又は第2のケーブル出力装置からのケーブルの選択的な受け入れの1つ以上のさらなる動作が続く。
【0029】
実施形態では、機械ネットワークは、さらに、ケーブルの選択的な受け入れ及び/又は選択的な転送のためのグリッパ装置を含む。グリッパ装置は、特に、ケーブルを受け入れ/転送するためのケーブル搬送装置のホルダの位置に移動または接近することができ、また、受け入れ/転送するために、第1のケーブル出力装置、第2のケーブル出力装置、およびケーブル取外し装置のうちの少なくとも1つの位置に移動または接近することができるような位置に配置することができる。その位置に到達することは、その位置におけるグリッパ装置の移動を含むことができ、及び/又は、グリッパ装置の固定位置に対する、ケーブル搬送装置、第1のケーブル出力装置、第2のケーブル出力装置、及びケーブル取外し装置のうちの少なくとも1つの移動を含むことができる。例示的な実施形態では、グリッパ装置は、ロボットアームおよびグリッパを含む。
【0030】
実施形態では、ケーブル搬送装置は移動可能であり、特に、第1のケーブル出力装置、第2のケーブル出力装置、およびケーブル取外し装置のうちの少なくとも1つに対して自動的に移動可能である。例えば、ケーブル搬送装置は、モータ制御可能なローラ上に配置され、指定されたケーブルシーケンスを得るための現在の必要性に応じて、第1のケーブル出力装置、第2のケーブル出力装置、及びケーブル取外し装置に近づくように、ローラの適切な制御によって選択的かつ自動的に移動させることができる。
【0031】
実施形態では、第1のケーブル出力装置及び第2のケーブル出力装置のうちの少なくとも1つはケーブル加工機を含む。
【0032】
実施形態では、第1のケーブル出力装置、第2のケーブル出力装置、及びケーブル取外し装置のうちの少なくとも1つはケーブル供給装置を含む。
【0033】
実施形態では、ケーブル供給装置は、操作者によって手動で供給されるケーブルを受け入れるように構成されている。代替的に又は追加的に、ケーブル供給装置は、ケーブルを操作者に転送するように構成されている。したがって、ケーブル供給装置によって、第1のケーブルタイプ群及び/又は第2のケーブルタイプ群に含まれるケーブルを、機械ネットワーク及びその自動プロセスに手動で供給したり、そこから取り外したりすることができる。
【0034】
実施形態では、第1のケーブル出力装置、第2のケーブル出力装置、及びケーブル取外し装置のうちの少なくとも1つはケーブル格納部を含む。ケーブル格納部は、例えば、ケーブルを再選別するため、又は組み立て式ケーブルをバッファ保管するために、ケーブル搬送装置から1本以上のケーブルを受け取り、その後、再びケーブル搬送装置へ出力するように構成されている。
【0035】
同様に、(一次)ケーブル搬送装置に加えて、1つ以上の更なる(二次)ケーブル搬送装置が存在することも考えられる。このような更なるケーブル搬送装置は、それ自体が例えばケーブル格納部として機能することができ、または、そのように考えることができる。
【0036】
実施形態では、機械ネットワークは、さらに、選択的な受け入れ及び選択的な転送のうちの少なくとも1つを制御するように構成された制御部を含む。実施形態では、制御部は、さらに、所望のケーブルシーケンスを(例えば、入力ユニットを介して)受け入れるように構成され、すなわち、少なくとも第1のケーブルタイプ群と第2のケーブルタイプ群とから、所望のケーブルシーケンスに従って構成を決定し、したがって、指定されたケーブルシーケンスを決定し、少なくとも第1のケーブル出力装置と第2のケーブル出力装置と任意選択でケーブル取外し装置とを制御することによって、指定されたケーブルシーケンスに従って、ケーブルの実際の順次配置を生成するように構成されている。
【0037】
実施形態では、制御部は、以下のグループ、すなわち、ケーブル搬送装置におけるケーブルの現在位置、ケーブル搬送装置におけるケーブルの供給源、機械ネットワークの構成、ケーブル搬送装置におけるケーブルの測定データ、ケーブル搬送装置におけるケーブルの生産データの少なくとも1つを含むデータを記憶するようにさらに構成されている。
【0038】
本開示の更なる態様によれば、指定されたケーブルシーケンスに従ってケーブルを配置するための方法が提供される。ケーブルシーケンスは、少なくとも1つの第1のケーブルタイプ群と第2のケーブルタイプ群とからのケーブルタイプを含む。第1のケーブルタイプ群は、第1のケーブルタイプおよび第2のテーブルタイプのうちの第1のケーブルタイプのみを含み、第2のケーブルタイプ群は、第1のケーブルタイプおよび第2のケーブルタイプのうちの第2のケーブルタイプのみを含む。この方法は、機械ネットワークの形成と、機械ネットワークの自動制御とを含む。機械ネットワークは、第1のケーブルタイプ群のケーブルを出力するように構成された第1のケーブル出力装置と、第2のケーブルタイプ群のケーブルを出力するように構成された第2のケーブル出力装置と、第1のケーブル出力装置からのケーブルと第2のケーブル出力装置からのケーブルとを選択的に受け入れ、受け入れられたケーブルを搬送するように構成されたケーブル搬送装置とを含む。機械ネットワークの制御は、指定されたケーブルシーケンスに従って選択的な受入れが少なくとも部分的に行われるような制御を含む。
【0039】
本方法の実施形態では、機械ネットワークは、ケーブル取外し装置をさらに含み、ケーブル搬送装置は、ケーブルをケーブル搬送装置からケーブル受取装置に選択的に転送するようにさらに構成され、また、本方法は、選択的な転送が指定されたケーブルシーケンスに従って少なくとも部分的に行われるような方法で機械ネットワークを自動制御することをさらに含む。
【0040】
本方法の実施形態では、所望のケーブルシーケンスを受信することと、所望のケーブルシーケンスに従って、第1のケーブル出力装置からの少なくとも第1のケーブルタイプ群の構成と第2のケーブル出力装置からの第2のケーブルタイプ群の構成とを指定されたケーブルシーケンスとして決定することと、少なくとも第1のケーブル出力装置と第2のケーブル出力装置とを制御することによって、指定されたケーブルシーケンスに従ってケーブルの実際の順次配置を生成することとをさらに含む。
【0041】
以下、添付図面を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】ケーブルシーケンスの模式図である。
図2】複数の異なるケーブルタイプのケーブルを備えたリニアケーブル搬送装置を模式的に示す図である。
図3】ホルダを有する循環ケーブル搬送装置とホルダを装填するためのグリッパを模式的に示す図である。
図4】ホルダが部分的に装填された循環ケーブル搬送装置を模式的に示す図である。
図5】ホルダが部分的に装填されたケーブル搬送装置の一部を模式的に示す図である。
図6】ホルダが部分的に装填されたケーブル搬送装置の一部を模式的に示す図である。
図7】ホルダが部分的に装填されたケーブル搬送装置の一部を模式的に示す図である。
図8】ホルダが部分的に装填されたケーブル搬送装置の一部を模式的に示す図である。
図9図3のホルダを備えた循環ケーブル搬送装置と、更なる循環ケーブル搬送装置と、ホルダを装填するためのグリッパとを示す図である。
図10図3のホルダを備えた循環ケーブル搬送装置と、更なる循環ケーブル搬送装置と、ホルダを装填するためのグリッパとを示す図である。
図11】特に可動ケーブル搬送装置を有する、例示的な実施形態による機械ネットワークの概略ブロック図である。
図12】特にケーブル格納部を有する、例示的な実施形態による機械ネットワークの概略ブロック図である。
図13】特にケーブル取外し装置を有する、例示的な実施形態による機械ネットワークの概略ブロック図である。
図14】ケーブルの分配動作を示す機械ネットワークの部分を模式的に示す図である。
図15】ケーブルの組み合わせ動作を示す機械ネットワークの部分を模式的に示す図である。
図16】特に制御部を有する、例示的な実施形態による機械ネットワークの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下では、互いに適切に組み合わせることができる、あるいは個々の特徴及び/又は要素を必要に応じて省略することができる例示的な実施形態を説明する。
【0044】
図1は、ケーブルシーケンスS1、S2、S3、S4の模式図を示す。
【0045】
図1(A)には、以下のことが示されている。第1のケーブルタイプのケーブル110は、第1の接続端構成111と第2の接続端構成112を備え、以下ではケーブルタイプAと呼ぶ。第2のケーブルタイプのケーブル120は、第1の接続端構成121と第2の接続端構成122を備え、以下ではケーブルタイプBと呼ぶ。第3のケーブルタイプのケーブル130は第1の接続端構成131と第2の接続端構成132を備え、以下ではケーブルタイプDと呼ぶ。第4のケーブルタイプのケーブル140は第1の接続端構成141と第2の接続端構成142を備え、以下ではケーブルタイプC1と呼ぶ。第1のケーブルタイプのケーブル150は第1の接続端構成151と第2の接続端構成152を備え、以下ではケーブルタイプC2と呼ぶ。ケーブルタイプA、B、D、C1、C2はそれぞれ、ケーブル自体の少なくとも1つの条件(例えば、ケーブル長、導体構成、導体断面、導体材料、絶縁材料、絶縁体の色など)及び第1及び/又は第2の接続端構成(端子の有無、端子タイプなど)が異なる。
【0046】
例えば、自動車などの組み立て製品では、異なるタイプのケーブルA、B、D、C1、C2が必要であり、この数量を(生産オーダーの)ケーブルシーケンスと呼ぶ。図1(b)には、以下のことが示されている。ケーブルシーケンスS1は、ケーブルタイプA、B、C1、C2、Dのケーブルをこの順で含む。ケーブルシーケンスS2は、ケーブルタイプC1、B、D、C2のケーブルをこの順で含む。ケーブシーケンスS3は、ケーブルタイプB、B、D、B、Aのケーブルをこの順で含む。ケーブルシーケンスS4は、ケーブルタイプA、A、Bのケーブルをこの順で含む。
【0047】
基本的には、基礎となるのは、以下の考慮事項である。生産オーダーのケーブルシーケンス、特に生産オーダーのケーブルシーケンス全体が効率的に生産することができるサブ数量に分割される。それぞれの場合における1つ以上のケーブルタイプの効率的な生産は、例えば、専用または特別に構成されたケーブル加工機によって達成され、その結果、例えば、同じ端子を有するが、異なるケーブル長を有する同じケーブル材料のすべてのケーブルの数量によってサブ数量が形成される。ケーブルシーケンスS1、S2、S3、S4の共同生成のために、複数のケーブル加工機と更なる装置とが機械ネットワークに組み合わされる。サブ数量は、生産オーダーとして機械ネットワークの部品に形成および分配され、各部品(例えば、各ケーブル加工機)が、特に、利用されていない加工モジュールがない、またはほとんどない状態で、それぞれの生産オーダーへの変換操作などがほとんどない場合にのみ、好ましくは効率的に適合するように調整される。
【0048】
例示的に、図2は、順次配置で直線的に配置されたケーブル用ホルダを有するケーブル搬送装置Kを模式的に示し、ここではホルダH1のみが示されている。説明のために、図2では、第1のケーブルタイプ群がちょうどケーブルタイプAを含み、第2のケーブルタイプ群がちょうどケーブルタイプBを含むと仮定する。第1及び/又は第2のケーブルタイプ群は、追加的に他のケーブルタイプを含むことも考えられるが、第1のケーブルタイプ群と第2のケーブルタイプ群は、少なくとも1つのケーブルタイプが異なることが考えられる。
【0049】
図2に示すケーブル搬送装置Kは、保持されたケーブルを搬送方向TRに搬送する。図2の例では、それぞれの配置が順次配置に従うホルダが、ケーブルシーケンスS4に従ってケーブルを保持する。この目的のために、第1のケーブル出力装置は、図2において、第1のケーブル加工機M1の形態で、第1のケーブルタイプ群のケーブル(ここではケーブルタイプAのケーブルのみ)を出力し、第2のケーブル出力装置は、図2において、さらに第2のケーブル加工機M2の形態で、第2のケーブルタイプ群のケーブル(ここではケーブルタイプBのケーブルのみ)を出力する。ケーブル搬送装置Kは、ケーブルシーケンスS4(すなわち、A、A、B)がケーブル搬送装置K上に順次配置で実現されるように、ケーブルタイプAのケーブルおよびケーブルタイプBのケーブルをそれぞれの加工機M1、M2から受け入れる。したがって、図2の実施例によるシーケンスA、A、B(シーケンスS4)は、2つのケーブル加工機(M1、M2)に分配され、加工機M1はケーブルタイプAのすべてのケーブルを生産し、加工機M2はケーブルタイプBのすべてのケーブルを生産する。
【0050】
例えば、ケーブル加工機M1、M2のような各ケーブル出力装置は、有利なことに、ケーブルを提供し(例えば、ケーブル格納部から生成または取り出す)、その後、少なくとも一点でケーブルを保持するように構成されており、その結果、ケーブル搬送装置Kは、この点で前記ケーブルを効率的に受け入れることができる。受け入れるために、生産されたケーブルの後続ケーブル端を保持するピボットマシン(図示せず)のピボットアームは、ケーブルを規定された位置に移動させることができ、そこで、ケーブルはケーブル搬送装置K、例えば、ケーブル搬送装置Kのホルダによって受け入れられ、このとき、ケーブル搬送装置Kは規定された位置に位置する。
【0051】
図3は、ホルダH1~H22を有する循環ケーブル搬送装置Kとホルダを装填するためのグリッパ(ケーブルグリッパ)G1、G2の平面図を模式的に示す。循環ケーブル搬送装置は、ホルダH1...H22を搬送方向TRに移動させる。搬送方向TRは、図3では時計回り方向に例示的に示されている。しかしながら、搬送方向が時計回りと逆になることや、搬送方向が変わる可能性もある。図3では、ホルダの数は例示的に22個で示されているが、ホルダによって最も長い所望のケーブルシーケンスを受け取ることができる限り、任意の数のホルダであってもよく、すなわち、22個よりも少ないまたは多いホルダであってもよい。
【0052】
ケーブル搬送装置Kは、ケーブルをホルダH1...H22に受け入れるように設計されている。例えば、ローラチェーンや循環ベルトRには、ホルダH1...H22(ケーブルホルダ)が設けられている。各ホルダH1...H22にケーブルの少なくとも一部を導入することができ、その結果、それぞれのホルダは、例えば、ケーブルの導入された部分を保持(例えばクランプ)する。ホルダH1...H22は、好ましくは等間隔で(互いに一定間隔で)配置されるが、ホルダH1...H22が互いに異なる間隔を有することも考えられる。ホルダH1...H22は、好ましくは類似または同じタイプで形成されるが、異なるタイプのホルダH1...H22を設けることも考えられる。例えば、異なるタイプのホルダH1...H22は、異なるタイプのケーブルを保持するために最適化することができる。
【0053】
ケーブル搬送装置Kは、ケーブル出力装置(例えば、ケーブル加工機M1、M2)上に配置され、適切な受入装置を用いて、またはケーブル出力装置の相対移動によって、ケーブルをケーブル搬送装置内に受け入れることができる。
【0054】
例えば、受け入れ時にケーブルを受け入れるホルダ(ケーブルホルダ)H1が所定の場所(移送場所)に位置している場合、ケーブル出力装置(例えば、ケーブル加工機M1)からのケーブルがケーブルグリッパG1に受け入れられ、その後、ケーブルグリッパG1からのケーブルがホルダH1に受け入れられる。残りのホルダH2...H22は、例えば、空であるか、または受け入れ時に他のケーブルが装填される。更なるケーブルグリッパG2は、例えば、ケーブル搬送装置Kからケーブルを受け入れ、それを別の場所に運ぶ役割を果たす。
【0055】
図4は、ホルダが部分的に装填された図3の循環ケーブル搬送装置Kを模式的に示す。図4では、ケーブル搬送装置KのホルダH1...H22は、ケーブル出力装置(ここでは、ケーブル加工機M1)によって画定されるケーブル平面の上方に配置されている。受入装置(ここでは、グリッパG3)は、ケーブル出力装置M1からケーブルを受け入れ、それをケーブル搬送装置Kに搬送し、ケーブル搬送装置Kの整合ホルダ(ここでは、ホルダH1)にクランプする。図4に示すように、ホルダH16、H17とホルダH18、H19はそれぞれ、同じケーブル110の両端111、112が装填され、図示した2つのケーブルは、このようにしてループの屈曲部から吊り下げられた状態で保持されている。しかしながら、これは、ケーブルを保持する可能性を例示的に表現したに過ぎない。
【0056】
例えば、図5~8に示されているように、ケーブルを保持するための更なるタイプが可能であるが、決定的なものではない。図5は、ループの屈曲部からの吊り下げを示す。図6はケーブル端から離れた点、例えば、ケーブルのほぼ中央部からの吊り下げを示す。図7および図8はそれぞれ、ケーブル端からの吊り下げを示しており、図8では、ケーブルが地面に接触することを回避するために、ケーブルの特定の長から、溝RI(例えば、ステンレス鋼)がケーブル搬送装置Kの下、例えば、地面の近くまたは地面上に設置されることが示され、それにより、吊り下げられたケーブルが損傷および汚れから保護される。
【0057】
図9は、図3のホルダを備えた循環ケーブル搬送装置K1と、更なる循環ケーブル搬送装置K2と、ホルダを装填するためのグリッパG4とを示す。図10は、複数のグリッパG4a、G4bを備えた図9のケーブル搬送装置K1及びK2の変形例を示す。グリッパG4またはグリッパG4a、G4bは、旋回運動によってケーブルをケーブル搬送装置K1からケーブル搬送装置K2に、またはその逆に搬送するように構成することができる。ケーブル搬送装置K1、K2のそれぞれのベルトRは、所望のホルダが搬送装置(グリッパG4、G4a、G4b)に位置するように、受け入れのために移動される。図10の変形例では、並列に動作可能な複数のグリッパG4a、G4bを介してスループットを増加させることができる。
【0058】
図11は、例示的な実施形態による機械ネットワークVの概略ブロック図を示す。図11の例では、機械ネットワークVに、第1のケーブル出力装置としての第1のケーブル加工機M1と、第2のケーブル出力装置としての第2のケーブル加工機M2と、第1のケーブル搬送装置K1と、第2のケーブル搬送装置K2とが含まれる。第1のケーブル搬送装置K1は、例えば、第1のケーブル加工機K1で第1のケーブルタイプの1つ以上のケーブルを受け入れる。第1のケーブル搬送装置K1は、第2のケーブル加工機M2への経路p1上を移動する。第1のケーブル搬送装置K1は、第2のケーブル加工機M2で第2のケーブルタイプの1つ以上のケーブルを受け入れる。第1のケーブル搬送装置K1は、第2のケーブル搬送装置K2への経路p2上を移動する。第2のケーブル搬送装置K2は、第1のケーブル搬送装置K1からのケーブルを選択的に受け入れ、その後、指定されたケーブルシーケンス(ここでは、「S」のみで示される)が第2のケーブル搬送装置K2に存在するようにする。したがって、図1のこの例では、第1のケーブル搬送装置K1は、第2のケーブル搬送装置K2が第1および第2のケーブル出力装置M1、M2からケーブルを間接的に受け入れる中間ステーションとして機能する。
【0059】
図12は、例示的な実施形態による機械ネットワークVの概略ブロック図を示す。図12の例における機械ネットワークVは、第1のケーブル出力装置としての第1のケーブル加工機M1と、第2のケーブル出力装置としての第2のケーブル加工機M2と、第3のケーブル出力装置としての第3のケーブル加工機M3と、第1のケーブル格納部L1と、第2のケーブル格納部L2と、第1の移送装置U1と、第2の移送装置U2と、第1のケーブル搬送装置K1と、第2のケーブル搬送装置K2と、第3のケーブル搬送装置K3と、第4のケーブル搬送装置K4と、第5のケーブル搬送装置K5と、組立機T1と、提示場所T2と、敷設ボードV1とを含む。
【0060】
第1のケーブル格納部L1は、第1の受入装置U1によって、第1のケーブル搬送装置K1からケーブルを受け入れ、その後、ある位置にある前記ケーブルを第1のケーブル搬送装置K1または第2のケーブル搬送装置K2に再び解放するように構成されている。したがって、ケーブルは、ケーブル搬送装置で再選別することができ、また、所定の時間にケーブル加工機が利用できないケーブルは、プレハブ化し、バッファ保管し、適切な時間に再びケーブル搬送システムに供給することができる。更なるケーブル搬送装置又は異なる構成の装置は、例えば、第1のケーブル格納部L1として機能することができる。更なるケーブル搬送装置としての構成は、各ケースの循環ベルトがそれぞれのグリッパに対して正しい位置になるという点で、ケーブルを任意の順序で取り上げて解放することができるような利点がある。
【0061】
図13は、例示的な実施形態による機械ネットワークの概略ブロック図を示す。図13の例では、機械ネットワークには、第1のケーブル出力装置としての第1のケーブル加工機M1と、第2のケーブル出力装置としての第2のケーブル加工機M2と、第1のケーブル取外し装置E1と、第2のケーブル取外し装置E2と、ケーブル搬送装置K1とが含まれている。第1のケーブル取外し装置E1および第2のケーブル取外し装置E2の少なくとも一方は、ケーブル搬送装置K1から選択的に、すなわち、指定されたケーブルシーケンスS1...S4に従ってケーブルを搬送することができる。図13にケーブル取外し装置E1の矢印で示すように、方向がこれに限定される場合、これを一方向に構成されていると称する。しかしながら、代替的に又は追加的に、ケーブル取外し装置(図13のE2の両方向矢印を参照)は、それぞれのケーブルをケーブル搬送装置K1に出力することができ、したがってケーブル出力装置として機能する。両方向が可能である場合、このようなケーブル取外し装置E2は、双方向に構成されていると称する。
【0062】
ケーブル取外し装置E1、E2は、例えば、機械ネットワークVの外部の供給源からのケーブル、例えば、手動で製造された及び/又は別の場所で製造された及び/又は機械ネットワークに統合されていない特殊なケーブル加工機で製造されたケーブルを供給するように機能する。ケーブル取外し装置E1、E2は、ケーブルを例えば手動でこれらに移し替えることができ、その後、これらのケーブルが機械ネットワーク内を通過できるように構成されている。これとは別に、ケーブル取外し装置E2は、例えば、バッファ保管又はランダムサンプルの品質チェックの目的で、ケーブルがケーブル搬送システム又はケーブル格納部からケーブルを取り出すことができるように構成されている。
【0063】
図14は、ケーブルの分配動作U2を表すための機械ネットワークVの一部を概略的に示す。例えば、図14に示すような動作のために、機械ネットワークは、複数の機械(M1...M3)、ケーブル搬送システム(K...K5)、及びケーブル格納部(L1、L2)からなり、その中でケーブルが分配動作U2によって分配される。
【0064】
図15は、ケーブルの再選別動作U10を表すための機械ネットワークVの一部を概略的に示す。例えば、図15に示す動作のために、機械ネットワークは、複数の機械(M1...M3)、ケーブル搬送システム(K1...K5)、及びケーブル格納部(L1、L2)からなり、その中でケーブルが結合動作U10によって結合される。機械ネットワークでさらに可能な動作は、特に、交換と再選別である。これらの動作の1つ以上が終了すると、指定されたケーブルシーケンスS1...S4が存在することになる。
【0065】
指定されたケーブルシーケンスS1...S4に存在するケーブルは、ケーブル搬送装置Kによって、例えば、更なる加工機、例えば組立機械T1(図12参照)に転送されるか、又は、敷設ボードV1(図12参照)上にケーブルを敷設するために、操作者(図12:定時場所T2参照)に提示され、操作者は、シーケンスS1...S4の順序でケーブルを取り外す。
【0066】
図16は、例示的な実施形態による機械ネットワークVの概略ブロック図を示す。機械ネットワークVは、いくつかのケーブル出力装置M(例えば、ケーブル加工機)、いくつかのケーブル取外し装置E、いくつかのケーブル格納部L、いくつかのケーブル搬送装置K、及び制御部100を含む。ケーブル加工機Mには、外部から部品Tが供給される。ケーブル取外し装置Eは、外部の供給源と通信することができ、すなわち、供給源Qからの加工済みケーブルを受け入れることができ、及び/又は、供給源Qへ加工ケーブルを出力することができる。ケーブル搬送装置Kのうちの1つから、指定されたケーブルシーケンスSに従ってケーブルが出力される。
【0067】
制御部100は、例えば、機械ネットワークVの上位に位置する。制御部100は、異なるタイプのケーブル(異なるケーブル材料、異なる端部取り付け、異なる加工工程)の少なくとも1つのシーケンスの生産オーダーを受け付ける。制御部は、生産オーダーを有利にサブオーダーに分割することを決定又は計算し、これらの生産オーダーをデータとしてネットワークVの関連するケーブル出力装置(例えば、ケーブル加工機M)に渡すか、又はケーブル出力装置(ケーブル加工機M)自体を制御する。
【0068】
制御部100は、個々のケーブル出力装置によって出力されたケーブルを管理し、生産オーダーで要求されたケーブルシーケンス(指定されたケーブルシーケンス)Sがケーブル搬送装置Kで利用できるように、それらケーブルの搬送、バッファ保管、及びケーブル搬送装置Kへの転送を調整する。
【0069】
制御部100は、例えば、ケーブル出力装置からケーブル搬送装置内の実用的な位置へのケーブルの転送を調整し、その結果、ケーブルは、ケーブル搬送装置上に所望の状態で配置される。
【0070】
制御部100は、機械ネットワークVの操作者に対して、機械ネットワークVを特定の生産オーダー(例えば、工具、機械オプション、加工する材料)に対してどのように最適化できるかを推奨又は指示することができる。このことから、制御部100は、操作者のためのオーダー及び変換指示を自動的に生成することができ、したがって、要求に対する機械ネットワークの最適化をサポートすることができる。
【0071】
制御部100は、及び/又は、適用可能な場合には、機械ネットワークVの部分の更なる個々の制御は、制御ハードウェア、コンピュータ、ソフトウェアなどの1つ以上の部分にわたって、必要に応じて分散させることができる。
【0072】
また、制御部100は、例えば、どの供給源からのどのケーブルがケーブル搬送装置内のどの位置に存在するかを連続的に記録および記憶し、機械ネットワークVの負荷状態のデジタル画像を保持するように構成されている。したがって、個々のケーブルのトレーサビリティも保証される。また、制御部100は、例えば、ケーブルの測定または生産データなどのデータを保持し、当該ケーブルに割り当て、デジタル画像として保持して記憶するように構成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】